以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、本明細書等において接続とは電気的な接続を意味しており、電流、電圧または電位が、供給可能、或いは伝送可能な状態に相当する。従って、接続している状態とは、直接接続している状態を必ずしも指すわけではなく、電流、電圧または電位が、供給可能、或いは伝送可能であるように、配線、抵抗、ダイオード、トランジスタなどの回路素子を介して間接的に接続している状態も、その範疇に含む。
また、本明細書等において「上」や「下」という用語は、構成要素の位置関係が「直上」または「直下」であることを限定するものではない。例えば、「絶縁膜上の電極」という表現であれば、絶縁膜と電極との間に他の構成要素を含むものを除外しない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置およびその作製方法の一形態について図面を参照して説明する。なお、本実施の形態では、半導体装置の一例として受光部を含むセンサを示す。
図1は、センサ150の示す断面図であり、各受光素子(R:赤、G:緑、B:青)の一部分のみを示している。図1に示すセンサ150は、基板100と、光学距離調整膜102と、光学距離調整膜104と、受光部110aと、受光部110bと、受光部110cと、絶縁膜112と、反射膜114aと、反射膜114bと、反射膜114cと、絶縁膜116と、配線118a乃至配線118fと、を有する。
ここで、上記構成の位置関係、接続関係について説明する。
基板100上に光学距離調整膜102が設けられ、光学距離調整膜102上に光学距離調整膜104が設けられている。また、光学距離調整膜102の屈折率は、光学距離調整膜104の屈折率より大きい。
受光部110a、受光部110bおよび受光部110cは、光学距離調整膜104上に設けられており、絶縁膜112は、光学距離調整膜104、受光部110a、受光部110bおよび受光部110c上に設けられている。
反射膜114a、反射膜114bおよび反射膜114cは、受光部110a、受光部110bおよび受光部110cとそれぞれ重畳するように絶縁膜112上に設けられている。
図13(A)に示すように基板100側から入射された光のうち、受光部110(受光部110a、受光部110bおよび受光部110c)を透過する光は、一部が図中の図13(B)に示すように受光部110と絶縁膜112の境界面で反射され、基板100側に進行する。なお、本明細書でいう「光」とは、少なくとも青色領域の波長、緑色領域の波長、赤色領域の波長の光を含むものを指す。
図13(A)のように基板100側から入射された光は、基板100と反射膜114間に存在する膜の境界面(基板100と光学距離調整膜102の境界面、光学距離調整膜102と光学距離調整膜104の境界面、光学距離調整膜104と受光部110の境界面、受光部110と絶縁膜112の境界面および、絶縁膜112と反射膜114の境界面)で、その一部が反射される。
本実施の形態において、受光部110a乃至受光部110cには単結晶シリコン膜を用いているため、光学距離調整膜102、光学距離調整膜104および絶縁膜112(たとえば、酸化シリコンや酸化チタンなど)と比較して屈折率が大きく、故に、上述光の反射は、光学距離調整膜104と受光部110の境界面、および受光部110と絶縁膜112の境界面で主に生じる。そこで、まずは以下にて光学距離調整膜104と受光部110の境界面、および受光部110と絶縁膜112の境界面で生じる光の反射についての説明を行う。
図13(A)に示すように基板100側から入射された光のうち、受光部110(受光部110a、受光部110bおよび受光部110c)を透過する光は、一部が図13(B)に示すように受光部110と絶縁膜112の境界面で反射され、基板100側に進行する。
図13(B)で示される光は、受光部110中を透過する際、図13(A)で示した光と位相が同じであるため、光の干渉効果により、ある一定波長の光の強度が強調される(マイクロキャビティなどともいう)。なお、強調される光の波長は、光学距離を調整することにより、任意に変化させることが可能である。
また、図13(B)に示すように受光部110と絶縁膜112の境界面で反射された光の一部は、図13(C)に示すように第2の光学距離調整膜104と受光部110の境界面で反射され、再度、反射膜114側に進行する。
図13(C)で示される光についても、図13(B)で示される光と同様に、図13(A)で示した光と位相が同じであるため、光の干渉効果が生じる。
このように、基板100に入射された光は、光学距離調整膜104および受光部110の境界面と、受光部110および絶縁膜112の境界面の間で複数回の反射(以下、多重反射という)が生じて何度も光が干渉するため、一定の波長が強く強調される。なお、強調される光の波長は、受光部の膜厚(受光部の光学距離とも言える。)を調整することにより、任意に変化させることが可能である。
次に、上述以外の境界面で生じる光の反射についての説明を行う。
受光部110と絶縁膜112の境界面で反射されなかった光は、図13(D)の点線に示すように絶縁膜112を透過して反射膜114により反射され、図13(D)の実線に示すように基板100側に進行する。
図13(D)の実線に示すような光は、受光部110中を透過する際、図13(A)で示した光と位相が同じであるため、光の干渉効果により、ある一定波長の光の強度が強調される。
受光部110と光学距離調整膜104の境界面で反射されなかった光は、図13(E)に示すように光学距離調整膜104を透過して、光学距離調整膜104と光学距離調整膜102の境界面で反射される。そして、反射された光は、再度、受光部110中を透過する。この際、当該光は図13(A)で示した光と位相が同じであるため、光の干渉効果により、ある一定波長の光の強度が強調される。
このように、反射膜114に反射した光および、光学距離調整膜102と光学距離調整膜104の境界面で反射された光についても、上述の光学距離調整膜104と受光部110の境界面、および受光部110と絶縁膜112の境界面で生じる光の反射と同様に、受光部110において一定の波長が強調される。
そこで、本実施の形態では、受光部110aを含む多重反射領域において青色領域の波長λB(450nm乃至485nm)が強調されるように、受光部110aの膜厚を調整した。また、受光部110bを含む多重反射領域において緑色領域の波長λG(500nm乃至565nm)が強調されるように、受光部110bの膜厚を調整した。また、受光部110cを含む多重反射領域において赤色領域の波長λR(625nm乃至740nm)が強調されるように、受光部110cの膜厚を調整した。
そして、光学距離調整膜102、光学距離調整膜104、受光部110、絶縁膜112および反射膜114を順に積層した構造とすることで、基板100と光学距離調整膜102の境界面および絶縁膜112と反射膜114の境界面で、光の干渉効果によって一定波長の光が強調され、当該光が受光部110で受光されるため、カラーフィルターを用いずに特定の色を検知することができ、また、受光部の膜厚を小さくしても、感度よく、特定の色を検知することができる。
配線118aおよび配線118bは、絶縁膜112および絶縁膜116に設けられた開口を介して受光部110aと接続されるように絶縁膜116上に設けられ、配線118cおよび配線118dは、絶縁膜112および絶縁膜116に設けられた開口を介して受光部110bと接続されるように絶縁膜116上に設けられ、配線118eおよび配線118fは、絶縁膜112および絶縁膜116に設けられた開口を介して受光部110cと接続されるように絶縁膜116上に設けられている。
配線118a、配線118cおよび配線118eは、信号線などに電気的に接続され、配線118b、配線118dおよび配線118fは、各画素のトランジスタのゲート電極に電気的に接続されている。また、配線118b、配線118dおよび配線118fは、各受光素子の反射膜を介してトランジスタのゲート電極に電気的に接続されていてもよい。また、受光部に検出光が入射する方向と交差する方向に電界が印加されるように配線が設けられている。
以下に、センサ150の作製工程の一例を示す。
まず、絶縁表面を有する基板100上に光学距離調整膜102を形成し、光学距離調整膜102上に光学距離調整膜104を形成する(図2(A)参照)。
絶縁表面を有する基板100に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性、および透光性を有していることが必要となる。例えば、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、サファイア基板などを用いることができる。基板100は、耐久性を考慮した厚さである0.3mm以上0.7mm以下が好ましい。
また、基板100は薄い方が隣の画素へ光が漏れにくくなるため好ましい。
光学距離調整膜102としては、透明または半透明の材料であり、かつ、基板100および光学距離調整膜104よりも屈折率の高い材料を用いることができ、屈折率が1.8以上3.0以下の材料を用いることが好ましい。例えば、酸化チタンを用いることができる。また、光学距離調整膜102は、300nm以上700nm以下の可視光領域の波長を50%以上透過する材料を用いることが好ましい。
また、光学距離調整膜104としては、透明または半透明の材料であり、かつ、光学距離調整膜102よりも屈折率の低い材料を用いることができ、屈折率が1.0以上1.7以下の材料を用いることが好ましい。例えば、酸化シリコンを用いることができる。また、光学距離調整膜104は、300nm以上700nm以下の可視光領域の波長を50%以上透過する材料を用いることが好ましい。
また、光学距離調整膜102および光学距離調整膜104は、所望の設計波長(本実施の形態では、530nm)が強調されるように以下の数式を用いてそれぞれの膜厚を調整する。ここで、本明細書でいう「設計波長」とは、設計者が設計する波長のことを指す。例えば、530nmの波長だけ反射率を高くする場合や透過率を高くする場合の設計波長は530nmとなる。また、設計波長は、450nm以上740nm以下の範囲で設計することができる。また、以下の数式から得られた膜厚を微調整しても構わない。そうすることで、各受光素子の波長(λB、λG、λR)の光の吸収率のピークを調整することができ、λB、λG、λRの光の吸収率を揃えることができる。
ここで、λは波長[nm]、nは屈折率[任意単位]、dは膜厚[nm]をそれぞれ表している。なお、本明細書で指している「光学距離」とは、屈折率と膜厚の積である「nd」で表される。
光学距離調整膜102の光学距離および光学距離調整膜104の光学距離は、設計波長の4分の1とする。上記光学距離を設計波長の4分の1することで、基板100側に戻ってきた光が再度、基板100と光学距離調整膜102の境界面、または、光学距離調整膜102と光学距離調整膜104の境界面により反射され、受光部110に光が戻ってくる。その光を、受光部110において、光の干渉効果により一定波長の光を強調することができる。
ここで、膜境界面での反射について図14を用いて説明する。図14(A)に示すように屈折率nが大きい膜から屈折率nの小さい膜に光が進行している場合、屈折率nが大きい膜と屈折率nの小さい膜の境界面で反射される光は、位相変化がない。つまり、図14(B)に示すように光が反射され、進行する。また、図14(C)に示すように、屈折率nが小さい膜から屈折率nの大きい膜に光が進行している場合、屈折率nが小さい膜と屈折率nの大きい膜の境界面で反射される光は、位相が180°変化する。つまり、境界面で光が反転され、図14(D)に示すように光が反射され、進行する。
本発明では、上記で説明した反射による位相変化を考慮して光学距離を決定している。光学距離調整膜だけでなく、受光部110および絶縁膜112も同様である。本実施の形態では、光学距離調整膜102を55nm形成し、光学距離調整膜104を90nm形成した。
本実施の形態では、設計波長を緑色領域付近に調整する。緑色領域は、赤色領域、青色領域のほぼ中央値であるため、設計波長を緑色領域付近にすることで、赤色、青色を検知する場合、赤色領域、青色領域の設計波長との誤差が小さくなる。この誤差は、その後、光が透過する膜(受光部、絶縁膜)の膜厚で調整できるので、設計波長は青色領域〜赤色領域の間ぐらいであれば、特に問題はない。
また、光学距離調整膜102の下に接して光学距離調整膜102より屈折率の小さい光学距離調整膜Aを設けてもよいし、さらに光学距離調整膜Aの下に接して光学距離調整膜Aより屈折率の大きい光学距離調整膜Bを設けてもよい。それぞれの膜厚を所望の設計波長が強調されるように調整することで各境界面で反射し、さらに光を強調することができる。なお、光学距離調整膜Aを透過する光の光学距離および光学距離調整膜Bを透過する光の光学距離は、設計波長の4分の1とする。
次に光学距離調整膜104上に受光膜を形成し、受光膜上にレジストマスク105aを形成し、選択的に受光膜をエッチングして受光膜106aを形成する(図2(B)参照)。
次に受光膜106a上にレジストマスク105bを形成し、選択的に受光膜106aをエッチングして受光膜106bを形成する(図2(C)参照)。
受光膜106bを階段状に形成したのち、レジストマスク105aおよびレジストマスク105bを除去する。次に図2(C)のような階段状の受光膜106b上の各段差にレジストマスク109a、レジストマスク109bおよびレジストマスク109cを形成し、選択的に受光膜106bをエッチングして受光部110a、受光部110bおよび受光部110cを形成する(図3(A)参照)。
受光部110a、受光部110bおよび受光部110cは、それぞれの受光部を透過する光の光学距離がλB、λGおよびλRの波長の4分の2になるように膜厚を調整する。また、受光部110a、受光部110bおよび受光部110cは、例えば、シリコン等を用いることができる。
本実施の形態では、受光部110a、受光部110bおよび受光部110cであるシリコン膜をそれぞれ53nm、68nm、86nm形成した。
次にレジストマスク109a、レジストマスク109bおよびレジストマスク109cを除去し、光学距離調整膜104、受光部110a、受光部110bおよび受光部110c上に絶縁膜112を形成する(図3(B)参照)。
絶縁膜112の膜厚は、1nm以上100nm以下とし、スパッタリング法、MBE法、CVD法、パルスレーザー堆積法、ALD法等を適宜用いることができる。
絶縁膜112の材料としては、酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜、または窒化酸化シリコン膜等を用いて形成することができる。
また、絶縁膜112の材料として酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、ハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート、窒素が添加されたハフニウムアルミネートなどのhigh−k材料を用いることでリーク電流を低減できる。さらに、絶縁膜112は、単層構造としても良いし、積層構造としても良い。
絶縁膜112を透過する光の光学距離は、設計波長の4分の1とする。
また、絶縁膜112は、所望の設計波長が強調されるように先の数式を用いて膜厚を調整する。本実施の形態では、94nm形成した。
以上のように光学距離調整膜102、光学距離調整膜104および絶縁膜112を透過する光の光学距離を設計波長の4分の1に調整することで受光部110から出た光が基板100と光学距離調整膜102の境界面、光学距離調整膜102と光学距離調整膜104の境界面および絶縁膜112と反射膜114の境界面で反射し、その反射光が受光部110内部を透過する光の位相と同じ位相となり、光が強められる。さらに受光部110を透過する光の光学距離をλB、λGおよびλRの波長の4分の2に調整することで光学距離調整膜104と受光部110の境界面および受光部110と絶縁膜112の境界面で反射し、その反射光が受光部110内部を透過する光の位相と同じ位相となり、光がさらに強められる。つまり、二重の反射構造になっており、光を効率よく強めることができる。
次に絶縁膜112上に、導電膜を形成したのち、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により反射膜114a、反射膜114bおよび反射膜114cを形成する(図3(B)参照)。
反射膜114a、反射膜114bおよび反射膜114cは、絶縁膜112上に導電膜を形成した後、該導電膜をフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により、形成することができる。該導電膜の形成には、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、スピンコート法等を用いることができる。反射膜114a、反射膜114bおよび反射膜114cとなる導電膜は、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、またはパラジウム等から選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、アルミニウム、銅などの金属膜の下側若しくは上側にクロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンなどの高融点金属膜を積層させた構成としても良い。また、アルミニウムまたは銅は、耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム、イットリウム等を用いることができる。また、アルミニウム、タングステンなどの反射率が高い材料を用いることが好ましい。
導電膜形成後に加熱処理を行う場合には、この加熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。
また、反射膜114a、反射膜114bおよび反射膜114cは、導電膜を形成後、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法、ICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング法、ECR(Electron Cyclotron Resonance)エッチング法、平行平板型(容量結合型)エッチング法、マグネトロンプラズマエッチング法、2周波プラズマエッチング法またはヘリコン波プラズマエッチング法等を用い、エッチング条件(コイル型の電極層に印加される電力量、基板側の電極層に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、所望のテーパー形状を有するようにエッチングすることができる。また、テーパー形状は、マスクの形状によっても角度等を制御することができる。なお、エッチング用ガスとしては、塩素、塩化硼素、塩化シリコンもしくは四塩化炭素などの塩素系ガス、四弗化炭素、弗化硫黄もしくは弗化窒素などのフッ素系ガスまたは酸素を適宜用いることができる。
次に表面凹凸を低減するために、絶縁膜112、反射膜114a、反射膜114bおよび反射膜114c上に絶縁膜116を形成し、表面を平坦化する(図3(C)参照)。
絶縁膜116としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン系樹脂等の有機材料を用いることができる。また、上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、表面を平坦化させてもよい。
次に絶縁膜112および絶縁膜116に設けられた開口を介して、それぞれ配線118aおよび配線118bは、受光部110aと接続され、配線118cおよび配線118dは、受光部110bと接続され、配線118eおよび配線118fは、受光部110cと接続される。
配線118a乃至配線118fは、絶縁膜116上に導電膜を形成した後、該導電膜をフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により、形成することができる。該導電膜の形成には、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、スピンコート法等を用いることができる。配線118a乃至配線118fとなる導電膜は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、アルミニウム、銅などの金属膜の下側若しくは上側にクロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンなどの高融点金属膜を積層させた構成としても良い。また、アルミニウムまたは銅は、耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム、イットリウム等を用いることができる。
また、配線118a乃至配線118fとなる導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構造、チタン膜と、そのチタン膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を成膜する3層構造などが挙げられる。
また、配線118a乃至配線118fとなる導電膜としては、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム酸化スズ、酸化インジウム酸化亜鉛、または金属酸化物材料にシリコン若しくは酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
導電膜形成後に加熱処理を行う場合には、この加熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。
なお、マスクを用いずに、液滴吐出法を用いて選択的に配線118a乃至配線118fを形成しても良い。液滴吐出法とは、所定の組成物を含む液滴を細孔から吐出または噴出することで所定のパターンを形成する方法を意味し、インクジェット法などがその範疇に含まれる。
また、配線118a乃至配線118fは、導電膜を形成後、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法、ICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング法、ECR(Electron Cyclotron Resonance)エッチング法、平行平板型(容量結合型)エッチング法、マグネトロンプラズマエッチング法、2周波プラズマエッチング法またはヘリコン波プラズマエッチング法等を用い、エッチング条件(コイル型の電極層に印加される電力量、基板側の電極層に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、所望のテーパー形状を有するようにエッチングすることができる。また、テーパー形状は、マスクの形状によっても角度等を制御することができる。なお、エッチング用ガスとしては、塩素、塩化硼素、塩化シリコンもしくは四塩化炭素などの塩素系ガス、四弗化炭素、弗化硫黄もしくは弗化窒素などのフッ素系ガスまたは酸素を適宜用いることができる。
以上により、屈折率の大小関係が交互になっている積層構造にすることにより、所望の設計波長が強調されるようにそれぞれの膜厚を調整するにすることによって、受光部に到達する光を強調することができ、カラーフィルターを用いずに特定の色を検知することができる。また、受光部の膜厚を小さくしても、感度よく、特定の色を検知することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の他の一態様である半導体装置およびその作製方法の一形態について図面を参照して説明する。なお、本実施の形態では、半導体装置の一例としてフォトダイオード(受光部)を含むセンサを示す。
図4は、センサ250の示す断面図であり、各受光素子(R:赤、G:緑、B:青)の一部分のみを示している。図4に示すセンサ250は、基板200と、光学距離調整膜202bと、光学距離調整膜204と、光学距離調整膜206と、光学距離調整膜208と、受光部210aと、受光部210bと、受光部210cと、絶縁膜212と、反射膜214aと、反射膜214bと、反射膜214cと、絶縁膜216と、配線218a乃至配線218fとを有する。
ここで、上記構成の位置関係、接続関係について説明する。
基板200上に光学距離調整膜202bが設けられ、光学距離調整膜202b上に光学距離調整膜204が設けられ、光学距離調整膜204上に光学距離調整膜206が設けられ、光学距離調整膜206上に光学距離調整膜208が設けられている。また、光学距離調整膜208の屈折率は、光学距離調整膜206の屈折率より大きく、受光部210(受光部210a、受光部210bおよび受光部210c)の屈折率は、光学距離調整膜208の屈折率および絶縁膜212の屈折率より大きく、反射膜214(反射膜214a、反射膜214bおよび反射膜214c)の屈折率は、絶縁膜212の屈折率より小さい。
受光部210は、光学距離調整膜208上に設けられており、絶縁膜212は、光学距離調整膜208、受光部210a、受光部210bおよび受光部210c上に設けられている。
反射膜214a、反射膜214bおよび反射膜214cは、受光部210a、受光部210bおよび受光部210cとそれぞれ重畳するように絶縁膜212上に設けられている。
このような構成にすることで、先の実施の形態と同様に基板200に入射された光は、光学距離調整膜206と光学距離調整膜208の境界面と、受光部210と絶縁膜212の境界面の間で複数回の反射(以下、多重反射という)が生じる。なお、本実施の形態の光学距離調整膜208と受光部210の積層構造は、実施の形態1の受光部110に相当し、同様の機能を有する。なお、上述の多重反射が生じる多重反射領域は、光学距離調整膜204、光学距離調整膜206、光学距離調整膜208、受光部210および絶縁膜212の積層領域である。
多重反射領域では、光の干渉効果により、ある一定波長の光の強度が強調される(マイクロキャビティなどともいう)。なお、強調される光の波長は、光学距離を調整することにより、任意に変化させることが可能である。
そこで、本実施の形態では、受光部210aを含む多重反射領域において青色領域の波長λB(450nm乃至485nm)が強調されるように、受光部210aが重畳する光学距離調整膜208の膜厚を調整した。また、受光部210bを含む多重反射領域において緑色領域の波長λG(500nm乃至565nm)が強調されるように、受光部210bが重畳する光学距離調整膜208の膜厚を調整した。また、受光部210cを含む多重反射領域において赤色領域の波長λR(625nm乃至740nm)が強調されるように、受光部210cが重畳する光学距離調整膜208の膜厚を調整した。
上述した光学距離調整膜206、光学距離調整膜208、受光部210および絶縁膜212が順に積層されているキャビティ構造を採用することによって、カラーフィルターを用いずに特定の色を検知することができ、また、受光部の膜厚を小さくしても、感度よく、特定の色を検知することができる。
配線218aおよび配線218bは、絶縁膜212および絶縁膜216に設けられた開口を介して受光部210aと接続されるように絶縁膜216上に設けられ、配線218cおよび配線218dは、絶縁膜212および絶縁膜216に設けられた開口を介して受光部210bと接続されるように絶縁膜216上に設けられ、配線218eおよび配線218fは、絶縁膜212および絶縁膜216に設けられた開口を介して受光部210cと接続されるように絶縁膜216上に設けられている。
配線218a、配線218cおよび配線218eは、信号線などに接続され、配線218b、配線218dおよび配線218fは、各画素のトランジスタのゲート電極に電気的に接続されている。また、配線218b、配線218dおよび配線218fは、各受光素子の反射膜214を介してトランジスタのゲート電極に電気的に接続されていてもよい。また、受光部に検出光が入射する方向と交差する方向に電界が印加されるように配線が設けられている。
以下に、センサ250の作製工程の一例を示す。
まず、絶縁表面を有する基板200上に光学距離調整膜202を形成する(図5(A)参照)。
絶縁表面を有する基板200は、先の実施の形態の基板100を参酌することができる。
光学距離調整膜202の形成方法、材料などは、先の実施の形態の光学距離調整膜104を参酌することができる。
次に光学距離調整膜202上にレジストマスク203aを形成し、選択的に光学距離調整膜202をエッチングして光学距離調整膜202aを形成する(図5(B)参照)。
次に光学距離調整膜202a上にレジストマスク203bを形成し、選択的に光学距離調整膜202aをエッチングして光学距離調整膜202bを形成する(図5(C)参照)。
光学距離調整膜を階段状に形成したのち、レジストマスク203aおよびレジストマスク203bを除去する。このように光学距離調整膜を階段状にすることで後に形成される光学距離調整膜208を平坦化したときに青色領域、緑色領域および赤色領域の光学距離調整膜208の膜厚を異なるものとすることができる。
次に光学距離調整膜202b上に光学距離調整膜204を形成し、光学距離調整膜204上に光学距離調整膜206を形成する(図6(A)参照)。
光学距離調整膜204の形成方法、材料などは、先の実施の形態の光学距離調整膜102を参酌することができる。また、光学距離調整膜206は、光学距離調整膜202と同様の材料を用いることができる。
次に光学距離調整膜206上に光学距離調整膜208を形成する(図6(B)参照)。
光学距離調整膜208は、光学距離調整膜204と同様の材料を用いることができる。
光学距離調整膜208の形成後、平坦化処理を施し、透過する波長の一部が強調されるように光学距離調整膜208の膜厚を調整する。光学距離調整膜208の膜厚の調整は、所望の色の波長に光学距離が合致するように行う。
光学距離調整膜202b、光学距離調整膜204、光学距離調整膜206および光学距離調整膜208は所望の設計波長(本実施の形態では、530nm)が強調されるように先の数式を用いてそれぞれの膜厚を調整する。
光学距離調整膜204を透過する光の光学距離および光学距離調整膜206を透過する光の光学距離は、設計波長の4分の1とする。先の実施の形態と同様で、反射膜214で反射され、基板200側に戻ってきた光を再度、受光部210側に進ませることができる。
本実施の形態では、エッチングにより140nm、120nm、100nmの膜厚をもつ階段状の光学距離調整膜202bを形成し、光学距離調整膜204を40nm形成し、光学距離調整膜206を100nm形成し、平坦化処理により40nm、60nm、80nmの膜厚をもつ階段状の光学距離調整膜208を形成した。
設計波長は、本実施の形態では、緑色領域付近に調整する。緑色領域は、赤色領域、青色領域のほぼ中央値であるため、設計波長を緑色領域付近にすることで、赤色、青色を検知する場合、赤色領域、青色領域の設計波長との誤差が小さくなる。この誤差は、その後、光が透過する膜(受光部、絶縁膜)の膜厚で調整できるので、設計波長は青色領域〜赤色領域の間ぐらいであれば、特に問題はない。
また、光学距離調整膜202bの下に接して光学距離調整膜202bより屈折率の大きい光学距離調整膜Cを設けてもよいし、さらに光学距離調整膜Cの下に接して光学距離調整膜Cより屈折率の小さい光学距離調整膜Dを設けてもよい。また、光学距離調整膜Cまたは光学距離調整膜Dの一方を光学距離調整膜202bのように階段状し、光学距離調整膜202bを階段状にしないような構成としてもよい。先の実施の形態で用いた数式を用いてそれぞれの膜厚を所望の設計波長が強調されるように調整することでさらに光を強調することができる。なお、光学距離調整膜Cを透過する光の光学距離および光学距離調整膜Dを透過する光の光学距離は、設計波長の4分の1とする。
次に光学距離調整膜208上に、受光膜を形成したのち、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により受光部210a、受光部210bおよび受光部210cを形成する(図6(C)参照)。
階段状の光学距離調整膜208を透過する光の光学距離および受光部210aを透過する光の光学距離の合計、階段状の光学距離調整膜208を透過する光の光学距離および受光部210bを透過する光の光学距離の合計、および階段状の光学距離調整膜208を透過する光の光学距離および受光部210cを透過する光の光学距離の合計がそれぞれλB、λGおよびλRの波長の4分の2になるように膜厚を調整する。また、受光部210a、受光部210bおよび受光部210cの材料などは先の実施の形態の受光部110a、受光部110bおよび受光部110cを参酌することができる。
本実施の形態では、受光部210a、受光部210bおよび受光部210cであるシリコン膜を35nm形成した。
次に光学距離調整膜208、受光部210a、受光部210bおよび受光部210c上に絶縁膜212を形成する(図7(A)参照)。
絶縁膜212の形成方法、材料などは先の実施の形態の絶縁膜112を参酌することができる。
絶縁膜212を透過する光の光学距離は、設計波長の4分の1とする。
以上のように光学距離調整膜204、光学距離調整膜206および絶縁膜212を透過する光の光学距離を設計波長の4分の1に調整することで受光部210から出た光が光学距離調整膜202bと光学距離調整膜204の境界面、光学距離調整膜204と光学距離調整膜206の境界面および絶縁膜212と反射膜214の境界面で反射し、その反射光が光学距離調整膜208および受光部210内部を透過する光の位相と同じ位相となり、光が強められる。さらに光学距離調整膜208および受光部210を透過する光の光学距離をλB、λGおよびλRの波長の4分の2に調整することで光学距離調整膜206と光学距離調整膜208の境界面および受光部210と絶縁膜212の境界面で反射し、その反射光が光学距離調整膜208および受光部210内部を透過する光の位相と同じ位相となり、光がさらに強められる。つまり、二重の反射構造になっており、光を効率よく強めることができる。
次に絶縁膜212上に、導電膜を形成したのち、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により反射膜214a、反射膜214bおよび反射膜214cを形成する(図7(A)参照)。
反射膜214a、反射膜214bおよび反射膜214cの形成方法、材料などは先の実施の形態の反射膜114a、反射膜114bおよび反射膜114cを参酌することができる。
本実施の形態では、絶縁膜212を94nm形成し、反射膜214a、反射膜214bおよび反射膜214cであるタングステン膜を370nm形成した。
次に表面凹凸を低減するために、絶縁膜212、反射膜214a、反射膜214bおよび反射膜214c上に絶縁膜216を形成し、表面を平坦化する(図7(B)参照)。
絶縁膜216の形成方法、材料などは先の実施の形態の絶縁膜116を参酌することができる。
次に絶縁膜212および絶縁膜216に設けられた開口を介して、それぞれ配線218aおよび配線218bは、受光部210aと接続され、配線218cおよび配線218dは、受光部210bと接続され、配線218eおよび配線218fは、受光部210cと接続される。
配線218a乃至配線218fの形成方法、材料などは先の実施の形態の配線118a乃至配線118fを参酌することができる。
以上により、屈折率の大小関係が交互になっている積層構造にすることにより、所望の設計波長が強調されるようにそれぞれの膜厚を調整するにすることによって、受光部に到達する光を強調することができ、カラーフィルターを用いずに特定の色を検知することができる。また、受光部の膜厚を小さくしても、感度よく、特定の色を検知することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
実施の形態1で示したフォトダイオード(受光部ともいう)を含むセンサを用いて、対象物の情報を読み取るイメージセンサ機能を有する半導体装置を作製することができる。
図8に、イメージセンサ機能を有する半導体装置の一例を示す。図8(A)はセンサの等価回路であり、図8(B)はセンサの一部を示す断面図である。なお、図8(B)に示す各受光素子のフォトダイオード310a、フォトダイオード310bおよびフォトダイオード310cは、図8(A)のフォトダイオード310と置き換えることができる。
フォトダイオード310は、一方の配線(図8(B)では、配線318a、配線318cおよび配線318e)がフォトダイオードリセット信号線358に、他方の配線(図8(B)では、配線318b、配線318dおよび配線318f)が反射膜を介してトランジスタ340のゲート電極に電気的に接続されている。トランジスタ340は、ソース電極またはドレイン電極の一方がセンサ基準信号線372に、ソース電極またはドレイン電極の他方がトランジスタ356のソース電極またはドレイン電極の一方に電気的に接続されている。トランジスタ356は、ゲート電極がゲート信号線359に、ソース電極またはドレイン電極の他方がセンサ出力信号線371に電気的に接続されている。
図8(B)は、各受光素子(R:赤、G:緑、B:青)のセンサおよびトランジスタ340を示す断面図である。
絶縁表面を有する基板300上には、光学距離調整膜302および光学距離調整膜304が設けられている。光学距離調整膜302の屈折率は、光学距離調整膜304の屈折率より大きい。
フォトダイオード310a、フォトダイオード310b、フォトダイオード310cおよびトランジスタ340は、光学距離調整膜304上に設けられている。フォトダイオード310a、フォトダイオード310b、フォトダイオード310c上には、絶縁膜312が設けられている。トランジスタ340上には接着膜320を用いて基板323が設けられている。
また、フォトダイオード310a、フォトダイオード310bおよびフォトダイオード310cは、透過する波長の一部が強調されるようにそれぞれ光学距離が調整されており、フォトダイオード310aの膜厚は、フォトダイオード310bの膜厚より小さく、フォトダイオード310bの膜厚は、フォトダイオード310cの膜厚より小さくなっている。
本実施の形態では、フォトダイオード310aを含む多重反射領域において青色領域の波長λB(450nm乃至485nm)が強調されるように、フォトダイオード310aの膜厚を調整した。また、フォトダイオード310bを含む多重反射領域において緑色領域の波長λG(500nm乃至565nm)が強調されるように、フォトダイオード310bの膜厚を調整した。また、フォトダイオード310cを含む多重反射領域において赤色領域の波長λR(625nm乃至740nm)が強調されるように、フォトダイオード310cの膜厚を調整した。
トランジスタ340上には絶縁膜316が設けられている。反射膜314a、反射膜314bおよび反射膜314cは、各画素のトランジスタ340のゲート電極と電気的に接続されており、フォトダイオード310a、フォトダイオード310bおよびフォトダイオード310cは、各画素のトランジスタ340と電気的に接続されている。
また、上記フォトダイオードに、光学距離調整膜304側から順に第1の半導体膜としてp型の導電型を有する半導体膜と、第2の半導体膜として高抵抗な半導体膜(i型半導体膜)、第3の半導体膜としてn型の導電型を有する半導体膜を積層するpin型のフォトダイオードを用いてもよい。
第1の半導体膜はp型半導体膜であり、p型を付与する不純物元素を含む非晶質シリコン膜により形成することができる。第1の半導体膜の形成には13族の不純物元素(例えばホウ素)を含む半導体材料ガスを用いて、プラズマCVD法により形成する。半導体材料ガスとしてはモノシラン(SiH4)、Si2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いればよい。また、不純物元素を含まない非晶質シリコン膜を形成した後に、拡散法やイオン注入法を用いて該非晶質シリコン膜に不純物元素を導入してもよい。また、イオン注入法などにより不純物元素を導入した後に加熱などを行うことで、不純物元素を拡散させると好ましい。この場合に非晶質シリコン膜を形成する方法としては、熱CVD法、プラズマCVD法またはスパッタリング法などを用いればよい。第1の半導体膜の膜厚は10nm以上50nm以下となるよう形成することが好ましい。
第2の半導体膜は、i型半導体膜であり、非晶質シリコン膜により形成する。第2の半導体膜の形成には、半導体材料ガスを用いて、非晶質シリコン膜をプラズマCVD法により形成する。半導体材料ガスとしては、モノシラン(SiH4)、Si2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いればよい。第2の半導体膜の形成には、熱CVD法、プラズマCVD法またはスパッタリング法などを用いればよい。第2の半導体膜の膜厚は200nm以上1000nm以下となるように形成することが好ましい。
第3の半導体膜は、n型半導体膜であり、n型を付与する不純物元素を含む非晶質シリコン膜により形成する。第3の半導体膜の形成には、15族の不純物元素(例えばリン)を含む半導体材料ガスを用いて、プラズマCVD法により形成する。半導体材料ガスとしてはモノシラン(SiH4)、Si2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いればよい。また、不純物元素を含まない非晶質シリコン膜を形成した後に、拡散法やイオン注入法を用いて該非晶質シリコン膜に不純物元素を導入してもよい。イオン注入法等により不純物元素を導入した後に加熱等を行うことで、不純物元素を拡散させるとよい。この場合に非晶質シリコン膜を形成する方法としては、熱CVD法、プラズマCVD法またはスパッタリング法などを用いればよい。
また、第1の半導体膜、第2の半導体膜および第3の半導体膜は、非晶質半導体ではなく、多結晶半導体を用いて形成してもよいし、微結晶半導体を用いて形成してもよい。
また、光電効果により発生した正孔の移動度は電子の移動度に比べて小さいため、pin型のフォトダイオードは、p型の半導体膜側を受光面とする方がよい特性を示す。
本実施の形態では、基板300の面からフォトダイオード310a、フォトダイオード310bおよびフォトダイオード310cが受ける光322を電気信号に変換する例を示す。また、pin型のフォトダイオードの場合、受光面とした半導体膜側とは逆の導電型を有する半導体膜側からの光は外乱光となるため、配線は遮光性を有する導電膜を用いるとよい。また、n型の半導体膜側を受光面として用いることもできる。
絶縁膜316としては、絶縁性材料を用いて、その材料に応じて、スパッタリング法、プラズマCVD法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法等)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いて形成することができる。
絶縁膜316としては、表面凹凸を低減するため平坦化絶縁膜として機能する絶縁膜が好ましい。絶縁膜316としては、例えば、ポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等も、耐熱性を有する有機絶縁材料を用いることができる。また、上記有機絶縁材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等の単層、または積層を用いることができる。
光学距離調整膜302および光学距離調整膜304は先の実施の形態と同様にフォトダイオードに到達する光322が強調されるようにそれぞれの膜厚が調整されている。
フォトダイオードに到達する光322を検出することによって、被検出物の情報を読み取ることができる。なお、被検出物の情報を読み取る際にバックライトなどの光源を用いることができる。
以上により、屈折率の大小関係が交互になっている積層構造にすることにより、所望の設計波長が強調されるようにそれぞれの膜厚を調整するにすることによって、フォトダイオードに到達する光を強調することができ、カラーフィルターを用いずに特定の色を検知することができる。また、受光部の膜厚を小さくしても、感度よく、特定の色を検知することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、実施の形態1について作製した本発明の一態様に係る半導体装置の特性について計算した結果を用いて説明する。
まずは、実施例試料の構成について図9を用いて説明する。
絶縁表面上に光学距離調整膜である酸化チタン膜(TiO2)402を55nm形成し、酸化チタン膜402上に光学距離調整膜である酸化シリコン膜(SiO2)404を90nm形成する。酸化チタン膜402の屈折率nは2.4、酸化シリコン膜404の屈折率nは1.46である。
次に、酸化シリコン膜404上に受光部410a、受光部410b、受光部410cであるシリコン膜をそれぞれ53nm、68nm、86nm形成する。形成方法は実施の形態1を参酌することができる。シリコン膜の屈折率nは3.91である。
次に、酸化シリコン膜404およびシリコン膜上に絶縁膜である酸化シリコン膜(SiO2)412を90nm形成し、酸化シリコン膜412上に受光部410a、受光部410bおよび受光部410cとそれぞれ重畳するように反射膜414a、反射膜414bおよび反射膜414cであるタングステン膜を370nm形成する。形成方法は実施の形態1を参酌することができる。タングステン膜の屈折率nは3.1である。
本実施例では、絶縁表面側から順に酸化チタン膜402(n=2.4)、酸化シリコン膜404(n=1.46)、シリコン膜(n=3.91)、酸化シリコン膜412(n=1.46)、タングステン膜(n=3.1)と積層されているように、ある膜Aに接して積層する膜B(例えば、酸化チタン膜402に積層する酸化シリコン膜404)の屈折率の方が膜Aと比較して小さい場合(nは、膜A>膜B)は、膜Bの上に接して積層される膜C(例えば、シリコン膜)の屈折率は膜Bより大きくなっている(nは、膜C>膜B)。同様に、ある膜Dに接して積層する膜E(例えば、酸化シリコン膜404に積層するシリコン膜)の屈折率の方が膜Dと比較して大きい場合(nは、膜D<膜E)は、膜Eの上に接して積層される膜F(例えば、酸化シリコン膜412)の屈折率は膜Eより小さくなっている(nは、膜F<膜E)。
このように屈折率の大小関係が交互になっている積層構造(マイクロキャビティ構造)を採用し、所望の設計波長が強調されるようにそれぞれの膜厚を調整するにすることによって、受光部に到達する光を強調することができる。
図10は、受光部410a、受光部410bおよび受光部410cであるシリコン膜における吸収率を示している。図10の縦軸は吸収率[%]、横軸は波長[nm]を示し、図中の細線は受光部410aの分光特性、太線は受光部410bの分光特性、破線は受光部410cの分光特性を表している。
図10に示すように、シリコン膜の膜厚が55nmである受光部410aは、波長450nm付近において、吸収率が高いことが確認できる。また、シリコン膜の膜厚が68nmである受光部410bは、波長530nm付近において、吸収率が高いことが確認できる。また、シリコン膜の膜厚が86nmである受光部410cは、波長630nm付近において、吸収率が高いことが確認できる。
上記のように、受光部410a、受光部410bおよび受光部410cにおいて、青色領域の波長、緑色領域の波長、赤色領域の波長の吸収率が増加するピークになっている。
以上のように、屈折率の大小関係が交互になっている積層構造を採用し、所望の設計波長が強調されるようにそれぞれの膜厚を調整するにすることによって、受光部に到達する光を強調することができ、カラーフィルターを用いずに特定の色を検知することができる。また、受光部の膜厚を小さくしても、感度よく、特定の色を検知することができる。
本実施例では、反射膜として用いる金属について計算にて評価を行う。
本実施例は、反射膜にタングステン膜を用いている実施例1の試料Aと反射膜にアルミニウム膜を用い、他の構成は実施例1と同様である試料Bについてシリコン膜の光の吸収率を比較する。なお、試料Aのタングステン膜および試料Bのアルミニウム膜の膜厚は共に370nmである。
図11は、反射膜の違いによるシリコン膜の光の吸収率を示している。図11(A)は試料Aのシリコン膜の光の吸収率、図11(B)は試料Bのシリコン膜の光の吸収率を示している。図11(A)および図11(B)の縦軸は吸収率[%]、横軸は波長[nm]を示し、図中の細線は受光部410aの分光特性、太線は受光部410bの分光特性、破線は受光部410cの分光特性を表している。
図11に示すように反射膜がアルミニウム膜の方がシリコン膜の光の吸収率が高くなっていることが確認できる。これは、金属膜の反射率の違いによるものであり、タングステンの反射率は50〜60%であるのに対し、アルミニウムの反射率は90〜95%と高いことが分かる。反射率が高いことによって、シリコン膜に反射光が集まり、シリコン膜の光の吸収率が高くなることが確認できた。
本実施例では、半導体装置の各構成の膜厚を微調整したときのシリコン膜の光の吸収率について計算にて評価を行う。
本実施例は、実施例2の試料Bと試料Bの各構成の膜厚を微調整した試料Cについてシリコン膜の光の吸収率を比較する。
試料Cの各構成について図9を用いて説明する。
絶縁表面上に光学距離調整膜である酸化チタン膜(TiO2)402を57nm形成し、酸化チタン膜402上に光学距離調整膜である酸化シリコン膜(SiO2)404を70nm形成する。酸化チタン膜402の屈折率nは2.4、酸化シリコン膜404の屈折率nは1.46である。
次に、酸化シリコン膜404上に受光部410a、受光部410bおよび受光部410cであるシリコン膜をそれぞれ55nm、70nm、88nm形成する。形成方法は実施の形態1を参酌することができる。シリコン膜の屈折率nは3.91である。
次に、酸化シリコン膜404およびシリコン膜上に絶縁膜である酸化シリコン膜(SiO2)412を94nm形成し、酸化シリコン膜412上に受光部410a、受光部410bおよび受光部410cとそれぞれ重畳するように反射膜414a、反射膜414bおよび反射膜414cであるアルミニウム膜を370nm形成する。形成方法は実施の形態1を参酌することができる。アルミニウム膜の屈折率nは3.1である。
図12は、シリコン膜の光の吸収率を示している。図12(A)は試料Bのシリコン膜の光の吸収率、図12(B)は試料Cのシリコン膜の光の吸収率を示している。図12(A)および図12(B)の縦軸は吸収率[%]、横軸は波長[nm]を示し、図中の細線は受光部410aの分光特性、太線は受光部410bの分光特性、破線は受光部410cの分光特性を表している。
図12に示すように各構成の膜厚を微調整した試料Cは、試料Bより各波長領域のシリコン膜の光の吸収率がほぼ揃っていることが確認できる。微調整することによって、シリコン膜の光の吸収率を同程度にできることが確認できた。