JP2011023444A - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い均一性を備える銀薄膜を熱処理により凝集させて凸凹を形成する場合、温度や表面状態により、一箇所に凝集し、銀薄膜が無くなってしまう領域と、銀が「だま」状に集中してしまう場所ができてしまう場合がある。この場合、本来の目的である乱反射領域にはならず、不良品となる課題がある。
【解決手段】多結晶ITO層20aを積層し、フォトリソグラフ工程によりレジストマスクを形成した後、多結晶ITO層20aを例えば塩酸系のエッチング液を用いてエッチングする。ここで、レジストマスクに覆われた部分は配線層として機能する。この場合粒界から選択的にエッチングが進行し、特定の面方位のグレインが残り、エッチングマスクとして機能する残渣20bが形成される。この残渣20bをマスクとして第2層間絶縁層19をドライエッチングすることでテクスチャー構造を得ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】多結晶ITO層20aを積層し、フォトリソグラフ工程によりレジストマスクを形成した後、多結晶ITO層20aを例えば塩酸系のエッチング液を用いてエッチングする。ここで、レジストマスクに覆われた部分は配線層として機能する。この場合粒界から選択的にエッチングが進行し、特定の面方位のグレインが残り、エッチングマスクとして機能する残渣20bが形成される。この残渣20bをマスクとして第2層間絶縁層19をドライエッチングすることでテクスチャー構造を得ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、光電変換装置の製造方法に関する。
半導体を用いた光電変換装置として、たとえばPNフォトダイオードや、PINフォトダイオード等の構造を用いたものが知られており、画像信号を得るためのイメージセンサーとして開発が進められてきている。特に、PINフォトダイオードは光強度変調に対する時間応答性に優れており、精力的に開発が進められてきている。PINフォトダイオードは、P型半導体、N型半導体、I型半導体により構成されている。
P型半導体とは、正孔(ホール)を発生させる物質を含み、電荷の輸送媒体として主に正孔(ホール)が用いられる半導体である。N型半導体とは、電子を発生させる物質を含み、電子電荷の輸送媒体として主に電子が用いられる半導体である。I型半導体とはP型半導体、N型半導体の双方と比べ、電荷の輸送媒体を発生させる不純物密度が低い半導体(真性半導体)である。ここで、P型半導体を用いた層をP層、N型半導体を用いた層をN層、I型半導体を用いた層をI層と呼称するものとする。
PINフォトダイオードを構成するアモルファス(以下、αとも呼ぶ)半導体や微結晶(10〜100nm程度の粒径を有するもの、以下μcとも呼ぶ)半導体は、化学気相堆積法(CVD法)を用いて形成することができる。CVD法を用いることで、硬質ガラス基板等に薄膜トランジスター(TFT)を形成した後、低温(TFTの耐熱温度以下)で形成し得るアモルファス半導体や微結晶半導体を用いてTFTを覆うようにPINフォトダイオードを構成することが可能である。この場合、TFTを覆う領域上にもPINフォトダイオードを配置することが可能となるため、受光面積が大きく取れ、光電変換効率が高いPINフォトダイオードを得ることが可能となる。なお、PNフォトダイオードでも同様な構成を用いることが可能である。PNフォトダイオードや、PINフォトダイオードは集積化が容易であることから、当該PNフォトダイオードや、当該PINフォトダイオードをマトリクス状に配置して画像信号を得るイメージセンサー等の分野に対しても活用されてきている。
イメージセンサーの感度を向上させ、暗い場所でもノイズを抑えた画像信号を得るためには、PINフォトダイオードで光電変換されなかった光成分をPINフォトダイオードに戻し、再び光電変換に寄与させることが効果的である。光電変換されなかった光成分をPINフォトダイオードに戻す場合、光成分を散乱させて戻すことでより光電変換効率を上げることが可能となる。典型的にはPINフォトダイオードの光入射面と反対側の電極面に光反射性を備えさせ、かつ光散乱により光閉じ込めを可能とするテクスチャー構造(数μm〜数十nmのサイズの凹凸形状を持った構造)を与えることが好適となる。光入射面と反対側の電極面にテクスチャー構造を与えることは、I層を挟まないPNフォトダイオードや、雪崩増倍型フォトダイオードを用いた場合でも同様に好適となる。
光入射面と反対側の電極面にテクスチャー構造を形成する製造方法としては、特許文献1、特許文献2に示すように、銀薄膜を形成し、熱処理を行うことで銀薄膜を凝集させてテクスチャー構造を得る方法が示されている。
また、特許文献3に示されるように、半導体層の一部としてダイヤモンド様炭素(以下DLCとも呼ぶ)膜を用い、DLC膜を水素プラズマ等によりテクスチャー構造化させることで、テクスチャー構造を備える半導体層を形成する方法が示されている。
また、特許文献4にあるように、金属イオンを含有する、酸化剤とフッ化水素酸の混合水溶液に、シリコン基板を浸すことにより、基板の表面に多孔質シリコン層を形成する方法が示されている。
特許文献1や特許文献2に示される製造方法を用いた場合、熱処理による銀の凝集反応を用いて凸凹を形成することとなる。高い均一性を備える銀薄膜を熱処理により凝集させる場合、温度や表面状態により、一箇所に凝集し、銀薄膜が無くなってしまう領域と、銀が「だま」状に集中してしまう場所ができてしまう場合がある。この場合、本来の目的である乱反射領域にはならず、不良品となる課題がある。
また、特許文献3に示す製造方法を用いた場合、PINフォトダイオードを構成する半導体層の格子定数が異なる組み合わせを有することとなる。たとえば、炭化珪素と珪素とでは25%程度格子定数が異なっており、DLC層を形成することで大きな応力が内包されることとなり、欠陥が発生する場合がある。光電変換素子内でのこのような欠陥は暗電流を増大させるため、暗電流を十分に低減するには技術的に困難であるという課題がある。また、DLC層と珪素層とを混在させると炭素と珪素との凝集体が発生し、この凝集体を起点として欠陥が発生するという課題がある。
また、特許文献4に示す製造方法を用いた場合、テクスチャー構造ではなく多孔質層が形成されている。多孔質層を持つ物質は洗浄後においても、その内部に汚染物質が蓄積される場合がある。そのため、半導体関連の技術一般に対して適切な技術とは言い難い。また、電気抵抗上からも不利な構造であり、光信号に対する電気的応答速度は、多孔質層を持たない素子と比べ低下するという課題がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例にかかる光電変換装置の製造方法は、基板の第1面に下地層を形成する工程と、前記下地層に重ねて多結晶層を形成する工程と、前記多結晶層をエッチングし、前記多結晶層の残渣を形成する工程と、前記残渣をマスクとして前記下地層をエッチングし、前記下地層に凹部を形成する工程と、前記凹部が形成された面を覆う光反射性の導電層を形成する工程と、前記導電層に重ねて光電変換素子を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
これによれば、加熱により金属層を凝集させてマスクを形成する場合と比べ、高い均一性を備えたマスクを得ることが可能となり、光電変換素子に対してより効率的に反射光を返すことが可能となる。また、凸凹部を備えるDLC層を光電変換素子に用いる場合と比べ、格子定数や熱膨張係数を揃えて光電変換素子を構成することができるため、より高い信頼性を得ることが可能となる。また、下地層を多孔質化した後、光反射性の導電層を形成する場合と比べ、多孔質構造内に残留する不純物の影響を回避することが可能となり、より高い信頼性を得ることが可能となる。
[適用例2]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記エッチングは、エッチング速度が面方位依存性を備えているウェットエッチングであることを特徴とする。
上記した適用例によれば、エッチング速度は面方位により異なっている。そのため、残渣が残せるエッチング時間は、面方位に対するエッチング速度比分だけ余裕を持たせることが可能となり、若干の層厚分布やエッチング液の温度変動等があっても、安定して残渣を残すことが可能となり、プロセス安定性を高めることが可能となる。
[適用例3]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記多結晶層は、インジウム−錫酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO:(登録商標))、またはポリシリコンを含むことを特徴とする。
上記した適用例によれば、エッチング速度を面方位により変えることができる。たとえば、KOH水溶液はシリコンのエッチングに対して高い面方位依存性を備えており、(111)面のエッチング速度が遅くなる性質を備えている。このような溶液を用いてポリシリコンをエッチングすることで、若干の層厚分布やエッチング液の温度変動等があっても、安定して残渣を残すことが可能となり、プロセス安定性を高めることが可能となる。また、ITOやIZO(登録商標)に対しては、塩酸系のエッチング液を用いることで面方位依存性を備えたエッチングを行うことが可能となる。
[適用例4]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記多結晶層は、層厚が10nm以上100nm以下であることを特徴とする。
上記した適用例によれば、10nm以上の層厚を用いることで、層形成時に生じる凝集を避けて、均一性の高い多結晶層を得ることができる。また、100nm以下の層厚を用いることで、層形成に用いる材料消費量を抑え、かつ層形成に要する時間や、エッチングに要する時間を抑えることが可能となる。
[適用例5]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記導電層は、表面粗さの算術平均(Ra)が10nm以上100nm以下であることを特徴とする。
上記した適用例によれば、導電層に抜けてきた光を乱反射させて返すことができる。導電層により、光電変換されなかった光を再び乱反射させて光電変換素子に返すことで、光電変換効率を向上させることができる。そして、10nm以上のRaを備えることで十分な反射特性が得られる。そして、100nm以下のRaを備えることで、導電層上に設けられる光電変換素子内に生じる未結合手の増加等、光電変換素子の特性低下を抑えることが可能となる。
[適用例6]上記適用例にかかる光電変換装置の製造方法であって、前記下地層は、樹脂またはSiOxNy(x=0またはy=0の場合を含む)を含むことを特徴とする。
上記した適用例によれば、残渣を構成する物質と選択比を取ってエッチングすることが可能となり、プロセス条件のぶれに強くなる。そのため、凹部の形成を再現性高く行うことが可能となり、歩留まりの高い製造工程を提供することが可能となる。
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態:光電変換装置の構成)
以下、本実施形態にかかる光電変換装置について図面を用いて説明する。図1は、テクスチャー構造を有する下地層を備えたPINフォトダイオードを含む光電変換装置の一形態を示す断面図、図2は、光電変換装置の一形態を示す平面図である。
以下、本実施形態にかかる光電変換装置について図面を用いて説明する。図1は、テクスチャー構造を有する下地層を備えたPINフォトダイオードを含む光電変換装置の一形態を示す断面図、図2は、光電変換装置の一形態を示す平面図である。
ここで説明する光電変換装置の構成は、後述する光電変換装置の製造方法により形成される。そして、当該製造方法により形成される構造がもたらす機能や、層厚条件等の範囲設定を定める要因について、より詳細に示すべく説明を行っている。
平面形状としては、図2に示すように、たとえばPINフォトダイオード10を8μm×30μm程度の角を丸めた矩形形状とし、カラーフィルター30等を用いてRGB(赤・緑・青)に入射光を分離し、カラー画像を得る構成を用いることが好適である。また、モノクロ画像に対応した用途に対しては、20μm×20μm程度の正方形形状を持つPINフォトダイオード10を用いても良い。
以下、図1に示す光電変換装置1の構成について説明する。光電変換装置1は、光電変換素子としてのPINフォトダイオード10、基板本体11、半導体層12、チャネル12a、LDD12b、ドレイン12c、ソース12d、ゲート絶縁層13、ゲート電極14、第1層間絶縁層15、ドレイン電極16、ソース電極17、TFT18、下地層としての第2層間絶縁層19、多結晶ITO層20a、光反射性の導電層としての第1導電層21、第1半導体層22、第3半導体層23、第2半導体層24、第2導電層25、隔壁26と、を備える。なお、以下の説明において、「上」とは、基板本体11に対して半導体層12の方向へ向かう方向と定義する。「下」とは、「上」の反対方向と定義する。なお、「○○上に」という表現では、「下」側に位置する物と直接接触していない場合を含むものとする。
光電変換素子としてのPINフォトダイオード10は、第1半導体層22、第3半導体層23、第2半導体層24により構成され、PINフォトダイオード10を挟む第1導電層21と第2導電層25とに対して、PINフォトダイオード10に入力された光強度に対応した光電流を供給する機能を有している。
基板本体11は、硬質ガラス等が用いられ、後述するTFT18等を保持する機能を有している。
半導体層12は、ポリシリコンやアモルファスシリコン、マイクロ結晶シリコン等により構成されている。半導体層12には、後述するTFT18を構成するドレイン12c、ソース12d、LDD12b、チャネル12aが形成されている。そして後述するゲート絶縁層13とゲート電極14と組み合わされてTFT18が構成される。
ゲート絶縁層13は、後述するTFT18のゲート電極14と半導体層12とを分離する機能を有している。
ゲート電極14は、ゲート絶縁層13を介してチャネル12aに電界を供給し、チャネル12aを流れる電流を制御している。
第1層間絶縁層15は、後述するTFT18等に用いられる電極や図示せぬ配線パターンを電気的に分離する機能を有している。
ドレイン電極16は、ドレイン12cと電気的に接続され、ドレイン12cの電位を第1層間絶縁層15上に伝達し、第1層間絶縁層15上に位置する図示せぬ配線パターンを介して電子回路を構成している。
ソース電極17は、ソース12dと電気的に接続され、ソース12dの電位を第1層間絶縁層15上に伝達する機能を有している。この場合は、PINフォトダイオード10に接続される第1導電層21と接続され、PINフォトダイオード10と、PINフォトダイオード10と並列に接続された図示せぬ保持容量に蓄える電荷の蓄積/クリア動作を行うべく、TFT18のソース12dと接続されている。
TFT18は、ドレイン12c、ソース12d、LDD12b、チャネル12aと、ゲート絶縁層13とゲート電極14とを組み合わせることで形成されている。TFT18は、PINフォトダイオード10と、PINフォトダイオード10と並列に接続された図示せぬ保持容量に蓄える電荷の蓄積/クリア動作を行う機能を有している。また、多結晶ITO層20aは、図示せぬ回路同士を電気的に接続する機能を有している。また、配線材として機能していると共に、後述する実施形態でのテクスチャー構造の製造に関与している。多結晶ITO層20aは、10nm以上100nm以下程度の層厚を備えることが好ましい。10nm以上の層厚を用いることで、層形成時に生じる凝集を避けて、均一性の高い多結晶層を得ることができる。また、100nm以下の層厚を用いることで、層形成に用いる材料消費量を抑え、かつ層形成に要する時間や、エッチングに要する時間を抑えることが可能となるからである。また、多結晶ITO層20aに代えてインジウム−亜鉛酸化物(IZO:(登録商標))、またはポリシリコンを用いても良い。この場合においても同様に10nm以上100nm以下程度の層厚を備えることが好ましい。
そして基板本体11、TFT18、ドレイン電極16、ソース電極17、第1層間絶縁層15を組み合わせたものを、光電変換素子としてのPINフォトダイオード10を支える基板31として扱っている。
下地層としての第2層間絶縁層19は、PINフォトダイオード10と、ソース電極17やドレイン電極16と電気的に分離し、かつTFT18やその他配線部材により生じた凸凹を平坦化し、PINフォトダイオード10を形成する際に歪が残らないようにする機能を有している。第2層間絶縁層19は、例えばアクリル樹脂や酸化珪素を用いて形成される。第2層間絶縁層19には、窪み状の形状を備える数μm〜数十nmのサイズの凹凸形状をもった表面構造(テクスチャー構造)が形成されている。そして、第1導電層21の一部は、この第2層間絶縁層19の形状を反映したテクスチャー構造を備えている。アクリル樹脂や酸化珪素はITOや、インジウム−亜鉛酸化物、ポリシリコン等と選択比をもってエッチングすることが可能であり、プロセス条件のぶれに強い構造を得ることが可能となる。
第1導電層21の一部は、PINフォトダイオード10の電極としても機能している。第1導電層21は、例えばアルミニウム・銅(AlCu)合金等、アルミニウム合金を用いることが好適であり、さらには原子数密度で比率を定めた場合に金属アルミニウムを過半量含むことが好ましい。ここで、原子数密度で比率を定めた場合に金属アルミニウムを過半量含むAl合金は、アルミニウムの性質を引き継ぐ高い光反射率を確保し、かつ高い導電性を有しながら安価である。そして、ウェット加工でもドライ加工でも加工が可能であり、プロセスを選ばないという利点を有している。加えて、Al単体で電極を形成する場合と比べ、エレクトロマイグレーション(電流を流すことで生じる金属Alの移動:配線抵抗の増大、断線を引き起こす)を抑えられるという利点を有している。第1導電層21の層厚としては、たとえば100nm程度の平均層厚値を有している。また、第1導電層21として銀系の合金、混合物、および多層の積層物を用いても良い。この場合、可視光反射率をアルミニウムより高く取ることが可能となる。また、使用目的に応じて他の金属を用いても良い。
第2層間絶縁層19におけるテクスチャー構造の深さは、基板本体11の平面方向において、PINフォトダイオード10が形成される領域内で、第2層間絶縁層19を覆う第1導電層21の表面粗さの算術平均(Ra)が10nm以上100nm以下となるよう形成されていることが好ましい。
10nm以上のRaを持つことで、第1導電層21に到達した光を散乱させて反射させることが可能となり、PINフォトダイオード10の光電変換効率を向上させることができる。また、100nm以下のRaを持つことで、第1導電層21のテクスチャー構造に起因する新たなリーク電流の発生を抑制することが可能となる。
第1半導体層22は、後述する第3半導体層23、第2半導体層24と、で構成される、PINフォトダイオード10の光電変換領域として機能する。第1半導体層22としては、α−シリコンや、μc−シリコンが用いる。そして、燐等の不純物元素を含むN型を示す第1半導体層22が構成されている。ここで、第1半導体層22の層厚は50nm程度の値を有している。
第3半導体層23は、第1半導体層22と重ねて配置されており、意図的な不純物添加を行っていない層である。より精密には、第1半導体層22と比べ、第1不純物元素の量が原子数あたりの密度に関して低い。第3半導体層23は、α−シリコンや、μc−シリコンを用いて構成され、層厚は500nm程度である。
第2半導体層24は、第3半導体層23と重ねて配置されている。第2半導体層24としては、α−シリコンや、μc−シリコン等が用いられる。そして、硼素等の不純物元素を含む、第2導電型としてP型を示す第2半導体層24が構成されている。ここで、第3半導体層23は、第2半導体層24と比べ、第2不純物元素の量が原子数あたりの密度が低く構成されている。ここで、第2半導体層24の層厚は、50nm程度の厚みを有している。
第2導電層25は、第2半導体層24と重ねて配置されており、たとえばインジウム・錫・酸化物(ITO)層等が用いられている。層厚は50nm程度であり、電気抵抗の上昇と、光透過率の低下というトレードオフを最適化する層厚が用いられている。第2導電層25は可視光波長域の光を透過する材質と厚さで形成され、好ましくは可視光波長域において、第2半導体層24の光透過率より高い光透過率有する材質と厚さを選択することが好適であり、さらに好ましくは、可視光波長域において、第1半導体層22、第3半導体層23、第2半導体層24を合わせた(これら3層を透過させた)光透過率より高い光透過率を有する材質と厚さを選択することが好適であり、第2導電層25による光損失を抑えることで、より明るいPINフォトダイオード10を得ることができる。そして、隔壁26は、PINフォトダイオード10を素子分離する機能を有している。
また、第1導電層21としてはAlCuに限定されることはなく、たとえば金属アルミニウム(Al)または、AlTi、AlCr、AlTa、AlNb、AlCu、AlAg、AlAu、AlSiおよびこれらの合金、混合物、および多層の積層物を用いても良い。ここで、第1導電層21として上記した金属を用いた場合に、原子数密度で比率を定めた場合にAlを過半量含むことが好適である。この場合、金属アルミニウムが備える易加工性により、ドライエッチング法やウェットエッチング法等を用いて、第1導電層21を加工することが容易となる。
また、第1導電層21の形状として、上記したように平均表面粗さ(Ra)が10nm以上100nm以下の値を有する、ナノメートルのサイズの凹凸形状をもった表面構造(テクスチャー構造)を有していることが好適である。
また、PINフォトダイオード10のI層となる第3半導体層23を除いても良い。この場合、PINフォトダイオード10のPIN構造をなす部分はPNフォトダイオードとなり、光電変換は主にPN接合部分で行われることとなる。即ち、第3半導体層23に代えてPN接合の空乏層を割り当てることでPNフォトダイオードの構成を適用することが可能となる。また、上記したPINフォトダイオード10のPIN構造をなす部分に、雪崩増倍型フォトダイオード(APD)構造を用いても良い。
また、第1半導体層22にN型不純物を導入し、第2半導体層24にP型不純物を導入しているが、これは反対に第1半導体層22にP型不純物を導入し、第2半導体層24にN型不純物を導入しても良い。この場合、バイアス条件や、信号電流の向き等を変更することで対応することができる。
(第2の実施形態:光電変換装置の製造方法)
以下、本実施形態にかかる図1記載の光電変換装置の製造方法について図面を用いて説明する。図3(a)、(b)、図4(a)、(b)、図5(a)、(b)、図6、図7は、PINフォトダイオードを含む光電変換装置の製造方法における一形態を示す工程断面図である。
以下、本実施形態にかかる図1記載の光電変換装置の製造方法について図面を用いて説明する。図3(a)、(b)、図4(a)、(b)、図5(a)、(b)、図6、図7は、PINフォトダイオードを含む光電変換装置の製造方法における一形態を示す工程断面図である。
まず、工程1として、基板本体11上に、半導体層12の前駆体となるシリコン層を堆積し、熱処理やレーザーアニール等により多結晶シリコン層に改質した後、フォトリソグラフ工程によりレジストマスクを形成する。そして、このレジストマスクを用いてエッチング工程を行い、多結晶シリコン層を用いた半導体層12を形成する。エッチング工程終了後、レジストマスクは除去する。
次に、ゲート絶縁層13を堆積した後、フォトリソグラフ工程とイオン注入やイオンドーピング工程と、を用いて、ドレイン12c、ソース12dを形成する。イオン注入工程後、レジストマスクは除去する。
次に、工程2として、モリブデン層、アルミニウム層、チタン層、タングステン層、タンタル層等の金属やポリシリコン層等を堆積した後、フォトリソグラフ工程によりレジストマスクを形成する。そして、このレジストマスクを用いてエッチング工程を行い、ゲート電極14を形成する。エッチング工程終了後、レジストマスクは除去する。
次に、工程3として、ゲート電極14をマスクとして、イオン注入工程を用いて、LDD12bを形成する。ここまでの工程でTFT18が形成される。そして、ゲート電極14と平面的に重なる半導体層12はチャネル12aとして機能する。
ここまでの工程を終了した状態の断面図を図3(a)に示す。
ここまでの工程を終了した状態の断面図を図3(a)に示す。
次に、工程4として、たとえば酸化珪素を用いて第1層間絶縁層15を形成し、ゲート電極14を含むTFT18等を覆い、電気的に絶縁する。
次に、工程5として、ドレイン12c、ソース12dを電気的に接続するために、第1層間絶縁層15の一部を開口した後、アルミニウム等の金属を堆積する。そして、不要領域を除去してドレイン電極16、ソース電極17を形成する。ここまでの工程を終了した状態の断面図を図3(b)に示す。ここまでの工程により、基板31が形成される。
次に、工程6として、たとえばアクリル樹脂やポリイミド樹脂等の樹脂、またはSiOxNy(x=0、y=0を含む)を用いて下地層としての第2層間絶縁層19を形成し、ドレイン電極16、ソース電極17等を覆い、電気的に絶縁すると共に、TFT18等の構造体に起因する段差を平坦化する。これらの樹脂やSiOxNy(x=0、y=0を含む)は、ITOやIZO(登録商標)、ポリシリコン等と選択比をもってエッチングすることが可能であり、プロセス条件のぶれに対して強い工程を提供することが可能となる。本実施形態では、アクリル樹脂を用いた場合について説明を続ける。そして、フォトリソグラフ工程によりレジストマスクを形成し、第2層間絶縁層19を開口し、ソース電極17を露出させる。この工程に代えて、感光性アクリル樹脂を用いてレジストマスクを用いずに露出させても良い。続けて、多結晶ITO層20aを形成する。多結晶ITO層20aは、スパッタ法等を用いて形成したアモルファスITOを、200℃、1時間程度アニールすることで得ることができる。
この場合、多結晶ITO層20aのグレインサイズは200nm以上300nm以下程度の大きさとなる。そして、この大きさが、後述する残渣20bの配置間隔を規定する大きさとなる。ここで、このグレインサイズはアニール温度やアモルファスITOの層厚や製造条件を変えることで制御可能である。
また、スパッタ法を用いる際に、酸素を添加したプラズマ雰囲気を用いることで直接多結晶ITO層20aを形成することも可能である。この場合、形成条件を変えることによりグレインサイズの制御をより幅広い範囲で設定することが可能となる。本実施形態では、アモルファスITOをアニール工程を用いて多結晶化させた場合について説明を続ける。ここまでの工程を終了した状態の断面図を図4(a)に示す。
ここで、多結晶ITO層20aは10nm以上100nm以下の層厚を備えることが好ましい。10nm以上の層厚とすることで、第2層間絶縁層19を均一に覆うことができる。また、100nm以下の層厚とすることで、ITOの消費量を抑え、かつ後述する面方位依存性エッチングを、層厚を厚くした場合と比べ短時間で行うことが可能となる。また、ここでは多結晶ITO層20aを用いる例について説明したが、これはIZO(登録商標)や、ポリシリコンを用いても良い。例えばポリシリコンを用いる場合には、KOHや、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等を用いて異方性エッチングを行うことが好適である。特に、アルカリ金属を嫌うシリコンプロセスでは、TMAHの方がアルカリ金属の汚染に対して安全ではあるが、十分に洗浄しうる場合には、KOHを使うことも可能である。本実施形態では、多結晶ITO層20aを用いた場合について説明を続ける。
次に、工程7として、フォトリソグラフ工程によりレジストマスクを形成した後、多結晶ITO層20aを例えば塩酸系のエッチング液を用いてエッチングする。レジストマスクに覆われた部分は配線層として機能する。この場合粒界から選択的にエッチングが進行する。エッチング速度が面方位依存性を持つことで、特定の面方位のグレインが残り、残渣20bが形成される。ここで、少なくともPINフォトダイオード10に含む領域を残して、多結晶ITO層20aの一部が除去され、残渣20bが形成される。この工程後、レジストマスクを除去する。ここまでの工程を終了した状態の断面図を図4(b)に示す。
次に、工程8として、たとえばSF6等のフッ素系ガスを用いて、第2層間絶縁層19をドライエッチングする。SF6を用いたドライエッチングでは、多結晶ITO層20aや残渣20bに残されたITOは損傷を受けないため、第2層間絶縁層19は基板本体11側に対して凹形状にエッチングされる。ここでのエッチング深さは、図1に示す第1導電層21の形状が、平均表面粗さ(Ra)が10nm以上100nm以下の値を有する、ナノメートルのサイズの凹凸形状をもった表面構造(テクスチャー構造)となるよう調整することが好適である。ここまでの工程を終了した状態の断面図を図5(a)に示す。
次に、工程9として、図1に示す、光反射性の導電層としての第1導電層21を形成する。第1導電層21は、AlCu層を形成し、フォトリソグラフ工程によりレジストマスクを形成した後、燐酸、硝酸、酢酸を含むエッチング液を用いてエッチングを行う。この工程では多結晶ITO層20aはエッチングされないため、多結晶ITO層20aを残してAlCu層をエッチングすることができる。そしてエッチング終了後、レジストマスクを除去する。この工程により、第1導電層21が形成される。ここまでの工程を終了した状態の断面図を図5(b)に示す。ここで、第1導電層21としてはAlCuに限定されることはなく、例えば金属アルミニウム(Al)または、AlTi、AlCr、AlTa、AlNb、AlCu、AlAg、AlAu、AlSiおよびこれらの合金、混合物、および多層の積層物を用いても良い。ここで、第1導電層21として上記した金属を用いた場合に、原子数密度で比率を定めた場合にAlを過半量含むことが好適である。この場合、金属アルミニウムが備える易加工性により、ドライエッチング法やウェットエッチング法等を用いて、第1導電層21を形成することが容易となる。また、銀系の合金、混合物、および多層の積層物を用いても良い。この場合、可視光反射率をアルミニウムより高く取ることが可能となる。また、加工条件に応じて他の金属を用いても良い。ここまでの工程を終了した状態の断面図を図5(b)に示す。
次に、工程10として第1半導体層前駆体22a、第3半導体層前駆体23a、第2半導体層前駆体24aを形成する。第1半導体層前駆体22a、第3半導体層前駆体23a、第2半導体層前駆体24aは化学気相堆積法(CVD法)や、スパッタ法等を用いて形成することができる。本実施形態では、CVD法を用いた場合について説明を続ける。
第1半導体層前駆体22aとしては、α−シリコンや、μc−シリコンが用いられ、燐等の不純物元素を含みN型を示している。第1半導体層前駆体22aの層厚は50nm程度の値である。
第3半導体層前駆体23aは、第1半導体層前駆体22aと重ねて形成されており、意図的な不純物添加を行っていない層である。第3半導体層23は、α−シリコンや、μc−シリコンを用いて構成され、層厚は500nm程度である。なお、第3半導体層前駆体23aの形成は省略することが可能である。この場合には、第1半導体層前駆体22aや後述する第2半導体層前駆体24aを厚くすることが光電変換効率の点からは好ましい。
第2半導体層前駆体24aは、第3半導体層前駆体23aと重ねて形成されており、α−シリコンや、μc−シリコン等が用いられる。そして、硼素等の不純物元素を含みP型を示している。第2半導体層前駆体24aの層厚は50nm程度の値である。形成条件としては、例えば、シラン(SiH4)と笑気(N2O)とを材料ガスとして、ホスフィン(PH3)を導入し、第1半導体層前駆体22aとしてN型のα−Siを50nm程度層形成する。続けて、PH3の導入を止め、第3半導体層23としてI型のα−Siを500nm程度層形成する。続けて、ジボラン(B2H6)を導入し、第2半導体層24としてP型のα−Siを50nm程度層形成する。ここまでの工程を終了した状態の断面図を図6に示す。
次に、工程11として、第1半導体層22、第3半導体層23、第2半導体層24を形成する。具体的には、フォトリソグラフ工程によりレジストマスクを形成した後、SF6系のガスを用いてドライエッチングを行う。SF6系のガスを用いることで、第1導電層21、多結晶ITO層20aを残した状態でエッチングを行うことが可能となる。ここまでの工程を終了した状態の断面図を図7に示す。
次に、工程12として、隔壁26を形成する。隔壁26は、例えば酸化珪素層を堆積した後、フォトリソグラフ工程によりレジストマスクを形成し、フッ酸によりエッチングすることで形成される。エッチング工程終了後、レジストマスクは除去する。そして、ITOを用いた第2導電層25を蒸着法やイオンプレーティング法等を用いて形成する。以上の工程を行うことで、図1に示す光電変換装置1を製造するための製造工程を提供することができる。
また、この製造工程を用いた場合、工程7に示されるように、多結晶ITO層のエッチングにより得られた残渣領域をマスクとしてテクスチャー構造を形成することから、マスクとして機能する残渣領域は規則性を持たずに形成される。そのため、光の干渉による偽色の発生が抑えられ、色バランスに優れた光電変換装置を提供することが可能となる。
1…光電変換装置、10…PINフォトダイオード、11…基板本体、12…半導体層、12a…チャネル、12b…LDD、12c…ドレイン、12d…ソース、13…ゲート絶縁層、14…ゲート電極、15…第1層間絶縁層、16…ドレイン電極、17…ソース電極、18…TFT、19…第2層間絶縁層、20a…多結晶ITO層、20b…残渣、21…第1導電層、22…第1半導体層、22a…第1半導体層前駆体、23…第3半導体層、23a…第3半導体層前駆体、24…第2半導体層、24a…第2半導体層前駆体、25…第2導電層、26…隔壁、30…カラーフィルター、31…基板。
Claims (6)
- 基板の第1面に下地層を形成する工程と、
前記下地層に重ねて多結晶層を形成する工程と、
前記多結晶層をエッチングし、前記多結晶層の残渣を形成する工程と、
前記残渣をマスクとして前記下地層をエッチングし、前記下地層に凹部を形成する工程と、
前記凹部が形成された面を覆う光反射性の導電層を形成する工程と、
前記導電層に重ねて光電変換素子を形成する工程と、
を備えることを特徴とする光電変換装置の製造方法。 - 請求項1に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記エッチングは、エッチング速度が面方位依存性を備えているウェットエッチングであることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
- 請求項1または2に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記多結晶層は、インジウム−錫酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO:(登録商標))、またはポリシリコンを含むことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記多結晶層は、層厚が10nm以上100nm以下であることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記導電層は、表面粗さの算術平均(Ra)が10nm以上100nm以下であることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載の光電変換装置の製造方法であって、前記下地層は、樹脂またはSiOxNy(x=0またはy=0の場合を含む)を含むことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
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2009
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