JPH11326039A - 熱型赤外線撮像装置および熱型赤外線受光素子 - Google Patents

熱型赤外線撮像装置および熱型赤外線受光素子

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JPH11326039A
JPH11326039A JP10133422A JP13342298A JPH11326039A JP H11326039 A JPH11326039 A JP H11326039A JP 10133422 A JP10133422 A JP 10133422A JP 13342298 A JP13342298 A JP 13342298A JP H11326039 A JPH11326039 A JP H11326039A
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JP
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thermal
thermal infrared
infrared sensor
infrared
light
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JP10133422A
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English (en)
Inventor
Masahiro Shoda
昌宏 正田
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Original Assignee
Nikon Corp
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  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、赤外線の波長域内において分光感
度の制御を可能とし、かつ空間分解能を向上させること
を可能とする構造を有する熱型赤外線撮像装置および熱
型赤外線受光素子を提供することを目的とする。 【解決手段】 受光面上にマトリクス状に配置され、赤
外線による温度変化を電気信号に変換する複数の熱型赤
外線センサと、熱型赤外線センサからの電気信号を転送
し、画像信号として出力する信号走査部と、熱型赤外線
センサに対向して配置され、熱型赤外線センサの側から
入射する赤外線の少なくとも一部を反射する反射部とを
備えた熱型赤外線撮像装置において、熱型赤外線センサ
と反射部との光学的距離を少なくとも2種類以上に設定
することにより、受光面上に複数種のオプティカルキャ
ビティ構造を形成してなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線による温度
変化を検出する熱型の受光デバイスに関する。さらに詳
しくは、受光面上に複数種のオプティカルキャビティ構
造を形成した熱型赤外線撮像装置および熱型赤外線受光
素子に関する。
【0002】
【従来の技術】温度を持つ物体からは、赤外線が放射さ
れる。この物体からの赤外線を赤外線撮像装置を用いて
撮像することにより、闇夜においても、物体の形や様子
を明瞭に撮像することが可能となる。このような特徴を
活かすことにより、暗闇下の監視を可能とするセキュリ
ティシステムなどが実用化されている。
【0003】また、物体から放射される赤外線量は、物
体の温度上昇に伴って増大する。このときの赤外線量
は、理想的な熱放射体である黒体からの赤外線量に比べ
て少なく、その比率は一般に「放射率(emissivty)」
と呼ばれている。この放射率が観測対象の物体について
既知であれば、赤外線撮像装置もしくは赤外線受光素子
で計量した赤外線量から、物体の真の温度を求めること
が可能となる。このような原理に基づいて、物体の温度
を非接触で計測する赤外線温度計が実用化されている。
【0004】さらに、赤外線撮像装置もしくは赤外線受
光素子を用いて、燃焼物からの強い赤外線放射を検出す
ることにより、燃焼物の有無を検知することが可能とな
る。このような特徴を活かすことにより、広範囲の監視
域にわたって火災発生を監視する火災検知システムなど
が実用化されている。このように、上述した赤外線撮像
装置および赤外線受光素子は、多目的な用途に使用され
る重要な受光デバイスである。
【0005】これらの赤外線撮像装置および赤外線受光
素子は、赤外線の検出原理から、熱型と量子型とに大別
される(詳しくは、特表平7−509057号公報に記
載される)。量子型は、赤外線照射によるキャリア発生
を検出する素子である。そのため、S/Nを充分に高め
るためには、熱によるキャリア発生(熱雑音)を低減し
なければならず、冷却機構を付加して素子全体を極低温
まで冷却する必要がある。
【0006】一方、熱型は、赤外線による温度変化を検
出する素子である。そのため、センサ部分は、温度変化
を敏感に生じる構造であればよく、センサ部分を積極的
に冷却する必要はない。したがって、熱型では、冷却機
構が本質的に不要となり、装置構成の単純化および小型
化を容易に実現することが可能となる。また、量子型で
は、赤外線の波長が長くなるに従って発生キャリアのエ
ネルギーが低くなり、半導体内のバリアを越えるキャリ
ア数が急激に減少する。そのため、量子型は、長波長側
の検出域に限界が生じる。一方、熱型では、赤外線によ
る温度変化を検出するため、量子型のような限界は生じ
ず、より長波長側の赤外線までも検出することが可能と
なる。
【0007】図9は、この種の熱型赤外線撮像装置の一
例を説明する画素断面図である。図9において、シリコ
ン基板20の主面上には、絶縁層21を介して、アルミ
ニウムまたは白金などからなる赤外線反射膜22が形成
される。この赤外線反射膜22の上方には、金属配線2
3を橋脚として熱型赤外線センサ24が空中に支持され
る。この赤外線反射膜22と熱型赤外線センサ24との
間隙は、全ての画素について1.5〜2μm程度の値に
一律設定される。
【0008】また一方、シリコン基板20の上には、熱
型赤外線センサ24から電気信号を走査するための信号
走査部25が形成される。この信号走査部25と熱型赤
外線センサ24とは、金属配線23によって電気的に接
続される。上記の熱型赤外線センサ24の基材には、厚
さ2500〜3500Åの窒化シリコン膜26が使用さ
れる。この窒化シリコン膜26は、検出帯域の赤外線を
熱吸収するので、基材の他に熱吸収膜としての機能も果
たす。
【0009】この窒化シリコン膜26の上には、絶縁層
27を介して熱検出部28が形成される。この熱検出部
28としては、例えば、温度によって抵抗率の変化する
物質(例えば、酸化バナジウムや酸化チタン)などを厚
さ750Å程度に成形したボロメータなどが使用され
る。この熱検出部28の上には、絶縁層29を介して赤
外線吸収薄膜30が層状に形成される。この赤外線吸収
薄膜30は、赤外線の吸収効率をさらに高めるための補
助的な熱吸収膜であり、厚さ20Å程度のパーマロイな
どが使用される。さらに、この赤外線吸収薄膜30の上
には、表面保護などのために、絶縁層31が形成され
る。
【0010】このような構成では、熱型赤外線センサ2
4と赤外線反射膜22とが対向することにより、一種の
オプティカルキャビティ構造を構成する。そのため、垂
直に入射する赤外線は熱型赤外線センサ24を一旦透過
した後、赤外線反射膜22でフレネル反射する。この反
射された赤外線は、再び熱型赤外線センサ24の方向へ
戻る。このように赤外線の入射経路と反射経路とが一致
することにより、両赤外線の間に干渉が生じる。
【0011】このとき、熱型赤外線センサ24の位置で
は、入射赤外線と反射赤外線との間に、 位相差θ=π+(2nd/λ)×2π ・・・(1) が生じる。なお、(1)式において、λは赤外線の波長
であり、ndは熱型赤外線センサ24と赤外線反射膜2
2との間の光学的距離である。
【0012】このような位相差θにより、熱型赤外線セ
ンサ24の位置における干渉光の光強度は、 λ=4nd/N [ただし、N=1,3,5・・] ・・・(2) の波長条件において強め合う。また逆に、 λ=4nd/M [ただし、M=2,4,6・・] ・・・(3) の波長条件において弱め合う。
【0013】図10は、上記オプティカルキャビティ構
造を有する熱型赤外線センサ24について、(波長−光
吸収率)特性を示す図である。熱型赤外線センサ24の
吸収率は、上記(2)式の「N=1」に相当する波長8
μmをピークとした、なだらかなピーク特性を示す。こ
のような干渉光の吸収により、熱型赤外線センサ24に
は温度変化が生じる。シリコン基板20上の信号走査部
25は、熱型赤外線センサ24の温度変化を熱検出部2
8から電気信号として取り出し、赤外線画像信号として
外部へ出力する。
【0014】なお、本発明者は、特開平8−88340
号公報において、半導体基板上に複数種のオプティカル
キャビティ構造を形成した量子型の赤外線センサを開示
した。これは、一種以上のオプティカルキャビティ構造
によって生じる「入射光と反射光とが弱め合う波長域」
を、その他種の量子型赤外線センサの光検出可能な波長
域内に配置するものであった。このような構成では、複
数種の量子型赤外線センサから得られる出力差をとるこ
とによって、「入射光と反射光とが弱め合う波長域」に
分光感度を有する量子型赤外線センサを等価的に実現す
ることが可能となる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な熱型赤外線撮像装置を用いて温度計測を行う場合、観
測対象の物質について放射率の数値が提供されていると
は限らない。もし放射率が未知の場合、温度計測に先だ
って、使用者が実験的に放射率を求めなければならず、
非常に手間がかかっていた。そのため、実際上は、放射
率を黒体の放射率と同じ値「1」などと仮定して、計測
するケースが非常に多かった。このような使用状態で
は、正確な温度を計測することは望めなかった。
【0016】一方、分析化学の分野では、物体の温度変
化に応じて赤外線の波長分布が変化すること(プランク
の分布則)が知られている。図11は、このような赤外
線の波長分布(計算値)を物体の温度ごとに示した図で
ある。一般に、物体の温度が高くなるに従って、波長の
短い成分のエネルギー比率が高くなる。このような波長
分布の傾向は、個々の物体の放射率にかかわらずほぼ一
定とみなすことができる。したがって、物体から放射さ
れる赤外線の波長分布を検出することができれば、放射
率が未知の物体であっても、物体温度を正確に求めるこ
とが可能となる(より詳しくは、計測自動制御学会論文
集VOL.24,No.4『熱放射の拡張指数則に基づ
く温度推定方法』に記されたものがある)。
【0017】また、このような温度計測以外にも、赤外
線の発光や吸収スペクトラムを観測することにより、物
体の同定や組成検出など、多様かつ有益な分析作業を行
うことが可能となる。しかしながら、従来の熱型赤外線
撮像装置および熱型赤外線受光素子において、上述した
ような波長分布の検出を行うためには、可視領域におけ
るRGBなどのカラーフィルタに相当する赤外領域用の
フィルタが不可欠となる。
【0018】一般に、可視領域用のカラーフィルタは顔
料などを用いて容易に作成することができる。それに対
し、赤外領域用のフィルタは、特殊な無機物を数〜数十
層にもわたって蒸着するなどの複雑な方法によらなけれ
ば作成できない。まして、このような赤外領域用のフィ
ルタを、可視領域のカラーフィルタのようにモザイク状
に作成することは非常に困難であった。
【0019】さらに、画素の中心間隔は、通常25〜2
50μm程度と非常に小さい。そのため、モザイク状の
フィルタを通過した斜光線を隣の画素に入射させないた
めには、熱型赤外線センサ24とフィルタとを充分に近
づける必要がある。このように熱型赤外線センサ24と
フィルタとが接近した場合、相互間に熱の交換が生じ
る。このとき、フィルタ側の体積ははるかに大きいた
め、一方的に熱型赤外線センサ24の熱容量が増大す
る。このように熱型赤外線センサ24の熱容量が増大す
ると、入射赤外線による温度変化の幅が小さくなり、赤
外線の検出感度が著しく下がるという不具合が生じる。
【0020】また、画素の開口率を上げたり、出力信号
のS/Nを高めるためには、1画素分のセル内で、熱型
赤外線センサ24の占有面積をなるべく大きく設計する
必要がある。この場合、隣り合う熱型赤外線センサ24
の縁が限りなく接近するため、熱型赤外線センサ24の
縁間で熱伝搬が起こりやすくなる。このような状態で局
所的に赤外線が照射されると、照射位置の画素から周辺
画素へ熱が波及するため、撮像結果の像解像度やコント
ラストが低下するという不具合が生じる。
【0021】そこで、請求項1〜3に記載の発明では、
上述した問題点を解決するために、波長分布の検出に適
し、かつ像解像度やコントラストを高めることも可能な
構造を備えた熱型赤外線撮像装置を提供することを目的
とする。また、請求項4〜6に記載の発明では、上述し
た問題点を解決するために、波長分布の検出に適し、か
つ空間分解能を高めることも可能な構造を備えた熱型赤
外線撮像装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】(請求項1)請求項1に
記載の発明は、受光面上にマトリクス状に配置され、赤
外線による温度変化を電気信号に変換する複数の熱型赤
外線センサと、熱型赤外線センサからの電気信号を転送
し、画像信号として出力する信号走査部と、熱型赤外線
センサに対向して配置され、熱型赤外線センサの側から
入射する赤外線の少なくとも一部を反射する反射部とを
備えた熱型赤外線撮像装置において、熱型赤外線センサ
と反射部との光学的距離を少なくとも2種類以上に設定
することにより、受光面上に複数種のオプティカルキャ
ビティ構造を形成してなることを特徴とする。
【0023】このような構成では、受光面上に複数種の
オプティカルキャビティ構造が設けられる。これらのオ
プティカルキャビティ構造は種類ごとに光学的距離nd
の値が異なるため、干渉光の光強度にそれぞれ独自の波
長特性を生じる。これら独自の波長特性により、各対応
する熱型赤外線センサには独自の温度変化が生じる。そ
の結果、これら複数種の熱型赤外線センサの分光感度
は、互いに異なるものとなる。
【0024】これら複数種の熱型赤外線センサを使用す
ることにより、赤外線をいくつかの分光特性に分けて検
出することが可能となる。このような分光特性ごとの検
出結果に従って、赤外線の波長分布を簡易に求めること
が可能となる。また、複数種のオプティカルキャビティ
構造により、熱型赤外線センサ間に段差を設けることも
できる。このような段差配列では、従来例に比べて段差
分だけ熱型赤外線センサの縁同士が遠ざかる。そのた
め、センサ間の断熱効果を確実に高めることができる。
したがって、局所的に蓄熱された熱型赤外線センサから
の熱が、周辺の熱型赤外線センサに波及する度合いが一
段と低くなり、熱型赤外線撮像装置の像解像度やコント
ラストを従来以上に高めることが可能となる。ちなみ
に、この作用効果は、赤外線の検出原理を異にする量子
型の従来例(特開平8−88340号公報)からは容易
に想到し得ない、新規かつ顕著な作用効果である。
【0025】(請求項2)請求項2に記載の発明は、請
求項1に記載の熱型赤外線撮像装置において、熱型赤外
線センサで検出可能な赤外線の波長域を制限する波長制
限手段を有し、かつ複数種のオプティカルキャビティ構
造の少なくとも1種において、熱型赤外線センサの位置
で入射光と反射光とが弱め合って生じる光強度のトラッ
プ特性(一部の波長帯で光強度が減衰する特性)を、波
長制限手段により制限される波長域内に配することを特
徴とする。
【0026】このような構成では、トラップ特性を生じ
る熱型赤外線センサ(以下「熱型赤外線センサA」とい
う)と、それ以外の熱型赤外線センサ(以下「熱型赤外
線センサB」という)とが、受光面上に混在配置され
る。この状態で受光面に赤外線が照射されると、熱型赤
外線センサAでは、トラップ特性の分だけ照射赤外線量
が減じる。その結果、熱型赤外線センサAと熱型赤外線
センサBとには温度差が生じる。
【0027】この温度差を、熱型赤外線センサA,Bか
ら検出することにより、トラップ特性の波長域分の赤外
線量を検出することが可能となる。このようにして、赤
外線をいくつかの波長域に区分して検出することによ
り、赤外線の波長分布を簡易に求めることが可能とな
る。また通常、上述した(3)式の波長条件から示され
るように、一つのオプティカルキャビティ構造からは、
数次におよぶトラップ特性が生じる。そのため、光学的
距離ndの設定によっては、熱型赤外線センサの広い光
検出可能な波長域内に、余計なトラップ特性が含まれて
しまう可能性がある。しかしながら、請求項2に記載の
発明では、波長制限手段により光検出可能な波長域を制
限する。したがって、この波長制限手段を用いて、余計
な波長特性を光検出可能な波長域の外におき、目的とす
る波長域の赤外線量を確実に検出することが可能とな
る。
【0028】(請求項3)請求項3に記載の発明は、請
求項1に記載の熱型赤外線撮像装置において、熱型赤外
線センサで検出可能な赤外線の波長域を制限する波長制
限手段を有し、複数種のオプティカルキャビティ構造の
少なくとも1種において、熱型赤外線センサの位置で入
射光と反射光とが強め合って生じる光強度のピーク特性
を、波長制限手段により制限される波長域内に配するこ
とを特徴とする。
【0029】このような構成では、ピーク特性を生じる
熱型赤外線センサ(以下「熱型赤外線センサC」とい
う)が受光面上に配置される。この状態で受光面に赤外
線が照射されると、ピーク特性分に相当する赤外線量が
熱型赤外線センサCに照射され、温度変化が生じる。こ
の温度変化を、熱型赤外線センサCから検出することに
より、ピーク特性の波長域分の赤外線量を検出すること
が可能となる。このようにして、赤外線をいくつかの波
長域に区分して検出することにより、赤外線の波長分布
を簡易に求めることが可能となる。
【0030】また通常、上述した(2)式の波長条件か
ら示されるように、一つのオプティカルキャビティ構造
からは、数次におよぶピーク特性が生じる。そのため、
光学的距離ndの設定によっては、熱型赤外線センサの
広い光検出可能な波長域内に、余計なピーク特性が含ま
れてしまう。しかしながら、請求項3に記載の発明で
は、波長制限手段により光検出可能な波長域を制限す
る。したがって、この波長制限手段を用いて、余計な波
長特性を光検出可能な波長域の外におき、目的とする波
長域の赤外線量を確実に検出することが可能となる。
【0031】(請求項4)請求項4に記載の発明は、赤
外線による温度変化を電気信号に変換する熱型赤外線セ
ンサと、熱型赤外線センサに対向して配置され、熱型赤
外線センサの側から入射する赤外線の少なくとも一部を
反射する反射部とを備えた熱型赤外線受光素子におい
て、熱型赤外線センサと反射部との光学的距離を少なく
とも2種類以上に設定することにより、受光面上に複数
種のオプティカルキャビティ構造からなる領域を形成し
てなることを特徴とする。
【0032】このような構成の熱型赤外線受光素子で
は、複数種のオプティカルキャビティ構造を設けること
により、入射光と反射光との干渉により生じる波長特性
を素子上の領域ごとに異ならしめる。これらの各領域を
用いて赤外線検出を行うことにより、赤外線の波長分布
を簡易に求めることが可能となる。また特に、複数種の
オプティカルキャビティ構造により、熱型赤外線センサ
間に段差を設けることが可能となる。このような段差配
列では、従来例に比べて段差分だけ熱型赤外線センサの
縁同士が遠ざかる。そのため、センサ間の断熱効果を確
実に高めることができる。したがって、局所的に蓄熱さ
れた熱型赤外線センサからの熱が、周辺の熱型赤外線セ
ンサに波及する度合いが一段と低くなり、熱型赤外線受
光素子の空間的な分解能を従来以上に高めることが可能
となる。ちなみに、この作用効果は、赤外線の検出原理
を異にする量子型の従来例(特開平8−88340号公
報)からは容易に想到し得ない、新規かつ顕著な作用効
果である。
【0033】(請求項5)請求項5に記載の発明は、請
求項4に記載の熱型赤外線受光素子において、熱型赤外
線センサで検出可能な赤外線の波長域を制限する波長制
限手段を有し、複数種のオプティカルキャビティ構造の
少なくとも1種において、熱型赤外線センサの位置で入
射光と反射光とが弱め合って生じる光強度のトラップ特
性を、波長制限手段により制限される波長域内に配する
ことを特徴とする。
【0034】このような構成では、トラップ特性を生じ
る領域(以下「領域A」という)と、それ以外の領域
(以下「領域B」という)とが、受光面上に混在して配
置される。この状態で半導体基板に赤外線が照射される
と、領域Aにおいては、トラップ特性分だけ照射赤外線
量が減じる。その結果、領域Aと領域Bとには温度差が
生じる。
【0035】この温度差を検出することにより、トラッ
プ特性の波長域分の赤外線量を検出することが可能とな
る。このようにして、赤外線をいくつかの波長域に区分
して検出することにより、赤外線の波長分布を簡易に求
めることが可能となる。また通常、上述した(3)式の
波長条件から示されるように、一つのオプティカルキャ
ビティ構造からは、数次におよぶトラップ特性(一部の
波長帯において減衰する特性)が生じる。そのため、光
学的距離ndの設定によっては、熱型赤外線センサの広
い光検出可能な波長域内に、余計なトラップ特性が含ま
れてしまう可能性がある。しかしながら、請求項5に記
載の発明では、波長制限手段により光検出可能な波長域
を予め制限する。したがって、この波長制限手段を用い
て、余計なトラップ特性を光検出可能な波長域の外にお
き、目的とする波長域の赤外線量を確実に検出すること
が可能となる。
【0036】(請求項6)請求項6に記載の発明は、請
求項4に記載の熱型赤外線受光素子において、熱型赤外
線センサで検出可能な赤外線の波長域を制限する波長制
限手段を有し、複数種のオプティカルキャビティ構造の
少なくとも1種において、熱型赤外線センサの位置で入
射光と反射光とが強め合って生じる光強度のピーク特性
を、波長制限手段により制限される波長域内に配するこ
とを特徴とする。
【0037】このような構成では、ピーク特性を生じる
領域(以下「領域C」という)が受光面上に設けられ
る。この状態で半導体基板に赤外線が照射されると、ピ
ーク特性分に相当する赤外線量が領域Cに照射され、温
度変化が生じる。この温度変化を検出することにより、
ピーク特性の波長域分の赤外線量を検出することが可能
となる。このようにして、赤外線をいくつかの波長域に
区分して検出することにより、赤外線の波長分布を簡易
に求めることが可能となる。
【0038】また通常、上述した(2)式の波長条件か
ら示されるように、一つのオプティカルキャビティ構造
からは、数次におよぶピーク特性が生じる。そのため、
光学的距離ndの設定によっては、熱型赤外線センサの
広い光検出可能な波長域内に、余計なピーク特性が含ま
れてしまう可能性がある。しかしながら、請求項6に記
載の発明では、波長制限手段により光検出可能な波長域
を制限する。したがって、この波長制限手段を用いて、
余計なピーク特性を光検出可能な波長域の外におき、目
的とする波長域の赤外線量を確実に検出することが可能
となる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明にお
ける実施の形態を説明する。
【0040】(第1の実施形態)第1の実施形態は、請
求項1,2に記載の発明に対応する熱型赤外線撮像装置
の実施形態である。図1は、第1の実施形態における装
置構成を示す図である。図1において、赤外線を透過す
る撮像光学系1の光軸上には、波長7〜11μm帯を選
択的に透過する波長制限フィルタ2が配置される。この
波長制限フィルタ2の後方には、熱型赤外線撮像装置3
が配置される。この熱型赤外線撮像装置3からの画像信
号は、画像処理回路11を介して処理された後、外部へ
出力される。
【0041】この熱型赤外線撮像装置3の受光面には、
3種類の受光画素4〜6が混在して配置される。これら
3種類の受光画素4〜6は、オプティカルキャビティ構
造の光学的距離ndの値が互いに異なる。図2は、受光
画素4および受光画素5の断面構造を示す図である。第
1の実施形態における構成上の特徴点は、熱型赤外線セ
ンサ24と赤外線反射膜22との幾何学的距離(図2中
のd1,d2)が3種類の受光画素4〜6ごとに異なる
点である。なお、その他の構成については、従来例(図
9)と同様であるため、同じ参照番号を図2に付与して
ここでの構成説明を省略する。
【0042】このように受光画素4〜6で幾何学的距離
の値を変えることにより、複数種のオプティカルキャビ
ティ構造が受光面上に設けられる。このような複数種の
オプティカルキャビティ構造は、概ね次のような手順で
形成される。まず、シリコン基板20上に、信号走査部
25や赤外線反射膜22などを形成する。
【0043】次に、受光画素4,5,6に相当する位置
に、例えば酸化シリコン膜などからなる犠牲層を厚さ
2.0μmで形成する。さらに、受光画素5,6に相当
する位置に、犠牲層を厚さ2.0μmで選択的に追加形
成する。またさらに、受光画素6に相当する位置に、犠
牲層を厚さ1.0μmで選択的に追加形成する。
【0044】このような一連の過程を経て、段差形状の
犠牲層が完成する。このような犠牲層の完成後、もしく
は犠牲層を順次形成する過程において、各犠牲層の上に
熱型赤外線センサ24と金属配線23とが形成される。
以上のような工程の完了後、犠牲層の部分を、例えば、
フッ酸系のエッチング液などで除去し、熱型赤外線セン
サ24の下に空隙部分を形成する。
【0045】このような製造工程を経て、下表のような
寸法のオプティカルキャビティ構造が完成する。 屈折率n 幾何学的距離d 光学的距離nd 受光画素4: 1.0 2.0μm 2.0μm 受光画素5: 1.0 4.0μm 4.0μm 受光画素6: 1.0 5.0μm 5.0μm このような3種類のオプティカルキャビティ構造によ
り、受光画素4〜6では、熱型赤外線センサ24の位置
における干渉光の波長特性が異なるものとなる。
【0046】図3は、熱型赤外線センサ24の(波長−
光吸収率)特性を受光画素4〜6ごとに示した図であ
る。図3に示されるように、受光画素4は、波長8μm
を中心とするなだらかなピーク特性を示す。一方、受光
画素5,6は、それぞれ下表のような波長を中心とする
トラップ特性を示す。
【0047】 これらの中心波長は、上述した(3)式の波長条件のお
いてM=2として得られる波長値にほぼ相当する。
【0048】このような受光画素4〜6における各熱型
赤外線センサ24の出力は、信号走査部25を介して順
次に読み出され、画像処理回路11へ与えられる。この
画像処理回路11は、隣接する受光画素4,5の電気信
号について、差分値の算出を画素単位に行う。また、画
像処理回路11は、隣接する受光画素4,6からの電気
信号についても、差分値の算出を画素単位に行う。ちな
みに、ここでの差分値の算出は、アナログ電気信号の状
態で差分アンプを使用して行ってもよいし、デジタル信
号に一旦変換した後に、数値演算回路を使用して行って
もよい。
【0049】図4は、これら差分値から得られる等価的
な(波長−吸収率)特性を示した図である。図4に示さ
れるように、下表の波長を中心とする等価的なピーク特
性が得られる。 等価的なピーク波長 (受光画素4)−(受光画素5): 8.0μm (受光画素4)−(受光画素6): 10.0μm 図5は、これら差分値の比率と物体温度との関係を示し
た図である。
【0050】一般に、物体の放射率は狭い波長範囲では
一定値と見なすことができる。そのため、狭い波長範囲
内の検出出力について比率を算出することにより、物体
ごとに異なる放射率の影響を除去することが可能とな
る。したがって、図5に示すような出力比率の温度変化
は、物体の種類にかかわらず、ほぼ同一傾向を示すと考
えられる。したがって、このような出力比率の結果に基
づいて、放射率が未知の物体についても、物体温度を求
めることが可能となる。
【0051】また、これら各種のオプティカルキャビテ
ィ構造から得られた画素出力や差分値に対して、特定色
を割り振ってモニタ表示することにより、観測対象の温
度分布をカラー映像として表示することなども可能とな
る。以上説明したように、第1の実施形態では、受光面
上のオプティカルキャビティ構造を用いて、光強度にト
ラップ特性を生じさせる。このトラップ特性に起因する
センサ部の温度差に基づいて、トラップ特性の波長域分
の赤外線量を検出することが可能となる。
【0052】また、第1の実施形態では、波長制限フィ
ルタ2を設けて、熱型赤外線撮像装置3に照射される赤
外線の波長域を7〜11μm帯に制限する。したがっ
て、波長分布の検出に不要な波長域を予め低減させるこ
とが可能となる。このような波長制限フィルタ2の働き
により、オプティカルキャビティ構造から副次的に発生
する余計な波長特性を除去することが可能となる。
【0053】さらに、第1の実施形態では、複数種のオ
プティカルキャビティ構造により、熱型赤外線センサ2
4に段差を設ける。そのため、段差分だけ熱型赤外線セ
ンサ24の縁同士が遠ざかり、センサ間の断熱効果が一
段と高められる。したがって、局所的に蓄熱された熱型
赤外線センサ24からの放射熱が、周辺画素へ波及する
という不具合を改善することができる。次に、別の実施
形態について説明する。
【0054】(第2の実施形態)第2の実施形態は、請
求項1,3に記載の発明に対応する熱型赤外線撮像装置
の実施形態である。図6(a)は、第2の実施形態の概
略構成を示す図である。図6(a)において、赤外線を
透過する撮像光学系1の光軸上には、波長7〜14μm
帯を選択的に透過する波長制限フィルタ12が配置され
る。この波長制限フィルタ12の後方には、熱型赤外線
撮像装置13が配置される。
【0055】なお、この熱型赤外線撮像装置13の断面
構造については、オプティカルキャビティ構造の光学的
距離ndの値を除いて、第1の実施形態の断面構造(図
2)と同一であるため、ここでの構成説明を省略する。
第2の実施形態では、オプティカルキャビティ構造を下
表のような寸法に設定する。
【0056】 屈折率n 幾何学的距離d 光学的距離nd 受光画素4: 1.0 7.0μm 7.0μm 受光画素5: 1.0 7.5μm 7.5μm 受光画素6: 1.0 8.0μm 8.0μm 図6(b)は、このような3種類の受光画素4〜6にお
ける(波長−光吸収率)特性を示した図である。
【0057】図6(b)に示されるように、3種類の受
光画素4〜6は、それぞれ下表のような波長を中心とす
るピーク特性を示す。 これらの中心波長は、上述した(2)式の波長条件のお
いてN=3として得られる波長値にほぼ相当する。この
ような受光画素4〜6における各熱型赤外線センサ24
の出力は、信号走査部25を介して順次に読み出され
る。
【0058】以上説明したように、第2の実施形態で
は、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第2の実施形態に特有な効果としては、光強度の
ピーク特性を配しているので、波長域ごとに区分した赤
外線量を直に検出することができる点である。したがっ
て、検出出力間の差分をとる構成(図1中の画像処理回
路11)が不要となり、装置全体の単純化および小型化
を図ることが可能となる。次に、別の実施形態について
説明する。
【0059】(第3の実施形態)第3の実施形態は、請
求項4〜6に記載の発明に対応する熱型赤外線受光素子
の実施形態である。図7は、第3の実施形態における熱
型赤外線受光素子TDの構造を説明する概念図である。
【0060】図7に示すように、シリコン基板40の表
面には、絶縁膜41を間に介して、赤外線反射膜42が
形成される。この赤外線反射膜42の上方には、金属配
線43により空中に支持される2つの熱型赤外線センサ
44a,44bが配置される。この金属配線43には端
子A〜Cがそれぞれ電気的に接続され、熱型赤外線セン
サ44a,44bからの電気信号を外部へ出力する。こ
のような熱型赤外線受光素子TDに対する赤外線の入射
経路上には、赤外線の通過帯域を制限する波長制限フィ
ルタ45が配置される。
【0061】このような構成の熱型赤外線受光素子TD
においても、第1の実施形態(または第2の実施形態)
と同様に、赤外線反射膜42と熱型赤外線センサ44
a,44bとの光学的距離(図7中に示すd1,d2)
を適宜に設定することにより、光強度にトラップ特性
(またはピーク特性)を設けることが可能となる。この
ような熱型赤外線受光素子を使用して、波長分布の特徴
を検出することにより、例えば、燃焼赤外線と太陽光と
を弁別可能な火災検知装置などを低コストで実現するこ
とが可能となる。
【0062】(別の実施形態について)なお、上述した
第1〜3の実施形態では、オプティカルキャビティ構造
の光学的距離ndを、幾何学的距離dを変えて設定した
が、本発明は、これに限定されるものではない。一般的
には、屈折率n、あるいは屈折率nと幾何学的距離dと
の組み合わせによっても光学的距離ndをコントロール
することが可能である。
【0063】例えば、屈折率1の真空に代えて、適当な
気体やシリコン窒化膜(屈折率2)やシリコン酸化膜
(屈折率1.4)などを空隙部分に配することにより、
幾何学的距離dを大きくしなくても、光学的距離ndを
コントロールすることが可能となる。また、空隙部分に
複数種の物質を組み合わせて配してもよい。この場合、
層間物質の屈折率をそれぞれn1,n2・・・とし、層
間物質の幾何学的距離をそれぞれd1,d2・・・とし
た場合、全体の光学的距離を(n1d1+n2d2+・
・・)に置き換えて考えればよい。
【0064】さらに、上述した第1〜3の実施形態で
は、受光面上に2〜3種類のオプティカルキャビティ構
造を形成しているが、本発明はこれに限定されるもので
はない。例えば、受光面上に4種類以上のオプティカル
キャビティ構造を形成しても勿論よい。このような構成
では、検出帯域をさらに細分化できるので、赤外線の波
長分布の特徴をより精緻に求めることが可能となる。こ
のような受光デバイスは、物体の発光あるい吸収スペク
トラムの特徴から物体の同定や組成分析を行うような用
途に、特に好適なデバイスとなる。
【0065】また、上述した第1〜3の実施形態では、
熱型赤外線センサを半導体基板の表面から凸状に持ち上
げた素子構造(いわゆるマイクロブリッジ型)について
説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
一般的には、オプティカルキャビティ構造を備えた熱型
赤外線センサであれば、本発明を適用することができ
る。例えば、半導体基板に設けた縦穴の底などに赤外線
反射部を設け、この縦穴の入り口中央に熱型赤外線セン
サを支持する素子構造(いわゆる基板エッチ型)に、本
発明を適用することもできる。
【0066】さらに、上述した第1〜3の実施形態で
は、熱型赤外線センサとして、温度による抵抗値の変化
を検出するボロメータ型のセンサを使用したが、本発明
はこれに限定されるものではない。一般的には、赤外線
による温度変化を電気信号に変換するセンサであれば、
本発明の熱型赤外線センサに使用することができる。例
えば、温度によって強誘電体の表面に生じる電荷の変化
を検出する焦電型のセンサを使用してもよい。また、温
度による誘電率の変化を検出する誘電型のセンサを使用
してもよい。
【0067】また、上述した第1〜3の実施形態では、
波長制限手段として波長制限フィルタを使用している
が、本発明はこれに限定されるものではない。一般に、
波長制限手段としては、熱型赤外線センサで検出可能な
波長域を制限するものであればよい。例えば、特定の波
長域の赤外線を選択的に熱吸収する熱吸収材を熱型赤外
線センサに設けることにより、波長制限手段として使用
することもできる。
【0068】さらに、第1の実施形態では、受光画素4
〜6を図1に示すように配置しているが、本発明は、こ
の配置形式に特に限定されるものではない。例えば、図
8に示すように、受光画素4〜6を縦ストライプ状に配
置しても勿論よい。また、横ストライプ状や市松模様状
などに配置しても勿論よい。また、上述した第1および
第2の実施形態では、二次元マトリクス状に熱型赤外線
センサを配列した場合について説明したが、本発明はこ
れに限定されるものではない。例えば、一次元マトリク
ス状に熱型赤外線センサを配列することにより、ライン
センサを構成しても勿論よい。
【0069】
【発明の効果】(請求項1,4)請求項1,4に記載の
発明では、受光面上に複数種のオプティカルキャビティ
構造を設け、各対応する熱型赤外線センサの分光感度
を、互いに異ならしめる。これらの熱型赤外線センサを
使用して赤外線を波長域ごとに区分して検出することに
より、赤外線の波長分布を簡易に求めることが可能とな
る。その結果、可視領域の色検出機能に相当する機能
(いわゆる、赤外線領域におけるマルチスペクトラム検
出機能)を実現することが可能となる。
【0070】さらに、従来例に挙げたモザイク状のフィ
ルタが不要となるため、熱型赤外線センサに対してフィ
ルタを近接配置する必要がなくなり、その分だけ熱型赤
外線センサの熱容量を下げることが可能となる。したが
って、赤外線による温度変化の幅が広くなり、熱型赤外
線センサの検出感度を高めることが可能となる。また、
複数種のオプティカルキャビティ構造により、熱型赤外
線センサの間に段差を設けることも可能となる。この段
差分だけ熱型赤外線センサの縁同士が遠ざかるので、セ
ンサ間の断熱効果を一段と高めることができる。したが
って、熱型赤外線センサからの熱が周辺へ波及しづらく
なり、像解像度やコントラストなどの空間分解能を一段
と高めることが可能となる。
【0071】(請求項2,5)請求項2,5に記載の発
明では、トラップ特性を生じる熱型赤外線センサが配置
される。このセンサに赤外線が照射されると、トラップ
特性分だけ照射赤外線量が低減し、他の熱型赤外線セン
サとの間に温度差が生じる。この温度差を検出すること
により、トラップ特性の波長域分の赤外線量を検出する
ことが可能となる。また特に、波長制限手段を備えるの
で、波長分布の検出に本来不要な波長域を予め低減させ
ることができる。このような波長制限手段の配置によ
り、オプティカルキャビティ構造から副次的に発生する
余計な波長特性を抑制することが可能となる。
【0072】(請求項3,6)請求項3,6に記載の発
明では、ピーク特性を生じる熱型赤外線センサが配置さ
れる。このセンサに赤外線が照射されると、ピーク特性
分の赤外線が照射され、温度変化が生じる。この温度変
化を検出することにより、ピーク特性の波長域分の赤外
線量を検出することが可能となる。また特に、波長制限
手段を備えるので、波長分布の検出に本来不要な波長域
を予め低減させることができる。このような波長制限手
段の配置により、オプティカルキャビティ構造から副次
的に発生する余計な波長特性を抑制することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の装置構成を示す図である。
【図2】受光画素4および受光画素5の断面構造を示す
概略図である。
【図3】受光画素4〜6の(波長−光吸収率)特性を示
した図である。
【図4】差分値から得られる等価的な(波長−吸収率)
特性を示した図である。
【図5】「差分値の比」と「物体の温度」との関係(計
算値)を示した図である。
【図6】第2の実施形態を説明する図である。
【図7】第3の実施形態の素子構成を示す図である。
【図8】画素配列の一例を示す図である。
【図9】従来の熱型赤外線撮像装置の一例を説明する画
素断面図である。
【図10】熱型赤外線センサ24の(波長−光吸収率)
特性を示す図である。
【図11】赤外線の波長分布を物体の温度ごとに示した
図である。
【符号の説明】
1 撮像光学系 2,12 波長制限フィルタ 3,13 熱型赤外線撮像装置 4,5,6 受光画素 11 画像処理回路 20,40 シリコン基板 21,27,29,31 絶縁層 22,42 赤外線反射膜 23,43 金属配線 24,44a,44b 熱型赤外線センサ 25 信号走査部 26 窒化シリコン膜 28 熱検出部 30 赤外線吸収薄膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受光面上にマトリクス状に配置され、赤
    外線による温度変化を電気信号に変換する複数の熱型赤
    外線センサと、 前記熱型赤外線センサからの電気信号を転送し、画像信
    号として出力する信号走査部と、 前記熱型赤外線センサに対向して配置され、前記熱型赤
    外線センサの側から入射する赤外線の少なくとも一部を
    反射する反射部とを備えた熱型赤外線撮像装置におい
    て、 前記熱型赤外線センサと前記反射部との光学的距離を少
    なくとも2種類以上に設定することにより、前記受光面
    上に複数種のオプティカルキャビティ構造を形成してな
    ることを特徴とする熱型赤外線撮像装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の熱型赤外線撮像装置に
    おいて、 前記熱型赤外線センサで検出可能な赤外線の波長域を制
    限する波長制限手段を有し、 前記複数種のオプティカルキャビティ構造の少なくとも
    1種において、前記熱型赤外線センサの位置で入射光と
    反射光とが弱め合って生じる光強度のトラップ特性を、
    前記波長制限手段により制限される波長域内に配するこ
    とを特徴とする熱型赤外線撮像装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の熱型赤外線撮像装置に
    おいて、 前記熱型赤外線センサで検出可能な赤外線の波長域を制
    限する波長制限手段を有し、 前記複数種のオプティカルキャビティ構造の少なくとも
    1種において、前記熱型赤外線センサの位置で入射光と
    反射光とが強め合って生じる光強度のピーク特性を、前
    記波長制限手段により制限される波長域内に配すること
    を特徴とする熱型赤外線撮像装置。
  4. 【請求項4】 赤外線による温度変化を電気信号に変換
    する熱型赤外線センサと、 前記熱型赤外線センサに対向して配置され、前記熱型赤
    外線センサの側から入射する赤外線の少なくとも一部を
    反射する反射部とを備えた熱型赤外線受光素子におい
    て、 前記熱型赤外線センサと前記反射部との光学的距離を少
    なくとも2種類以上に設定することにより、前記受光面
    上に複数種のオプティカルキャビティ構造からなる領域
    を形成してなることを特徴とする熱型赤外線受光素子。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の熱型赤外線受光素子に
    おいて、 前記熱型赤外線センサで検出可能な赤外線の波長域を制
    限する波長制限手段を有し、 前記複数種のオプティカルキャビティ構造の少なくとも
    1種において、前記熱型赤外線センサの位置で入射光と
    反射光とが弱め合って生じる光強度のトラップ特性を、
    前記波長制限フィルタにより制限される波長域内に配す
    ることを特徴とする熱型赤外線受光素子。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の熱型赤外線受光素子に
    おいて、 前記熱型赤外線センサで検出可能な赤外線の波長域を制
    限する波長制限手段を有し、 前記複数種のオプティカルキャビティ構造の少なくとも
    1種において、前記熱型赤外線センサの位置で入射光と
    反射光とが強め合って生じる光強度のピーク特性を、前
    記波長制限手段により制限される波長域内に配すること
    を特徴とする熱型赤外線受光素子。
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