以下、一実施形態に係るカメラ及び当該カメラが具備するレンズ鏡筒について、図1〜図7に基づいて詳細に説明する。
図1には、一実施形態に係るカメラ500が模式的に示されている。この図1に示すようにカメラ500は、撮像部200と、レンズ鏡筒100と、を備える。
撮像部200は、筐体210と、この筐体210内に収容された主鏡212、ペンタプリズム214、接眼光学系216を含む光学系と、焦点検出装置230と、シャッタ234と、撮像素子238と、メインLCD240と、主制御部250と、を有する。
主鏡212は、図1の状態では、レンズ鏡筒100から入射した入射光の大半を上方に配置されたフォーカシングスクリーン222に導く。フォーカシングスクリーン222は、レンズ鏡筒100内の光学系の合焦位置に配置され、レンズ鏡筒100内の光学系により形成された画像を結像させる。
ペンタプリズム214は、フォーカシングスクリーン222に結像された画像を、反射した後、ハーフミラー224を介して、接眼光学系216まで導く。これにより、接眼光学系216では、フォーカシングスクリーン222上の映像を正像として観察することができる。この場合、ハーフミラー224は、ファインダLCD226に形成された撮影条件や設定条件等を示す表示画像をフォーカシングスクリーン222の映像に重畳させる。したがって、接眼光学系216の出射端においては、フォーカシングスクリーン222の映像とファインダLCD226の画像とが重ね合わせられた状態を観察することができる。なお、ペンタプリズム214の出射光の一部は、測光部228に導かれ、当該測光部228にて、入射光の強度及びその分布等が測定される。
焦点検出装置230は、主鏡212を透過し、かつ主鏡212の裏面側に設けられた副鏡232にて反射された光を用いて、レンズ鏡筒100内の光学系の焦点調整状態(ピント状態)を検出する。なお、主鏡212及び副鏡232は、撮影の際には、レンズ鏡筒100から入射する入射光の光路から退避するように、図1に破線にて示す位置まで上昇する。
シャッタ234は、主鏡212後方(レンズ鏡筒100から入射する入射光の光路後方)に配置され、撮影の際には、主鏡212及び副鏡232の上昇動作と連動して、開放動作を行う。シャッタ234が開放された状態では、光学フィルタ236を介して撮像素子238にレンズ鏡筒100からの入射光が入射する。撮像素子238は、入射光が形成する画像を電気信号に変換する。
メインLCD240は、その表示画面部分が筐体210の外部に露出した状態となっている。このメインLCD240の表示画面上には、撮像素子238上に形成された映像(撮影された映像)のほか、撮像部200における各種設定情報などが表示される。
主制御部250は、上記各部の種々動作を統括的に制御する。また、主制御部250は、撮像部200内の焦点検出装置230が検出した光学系の焦点調整状態の情報を参照して、レンズ鏡筒100内の光学系(レンズL1〜L5)を駆動したり(オートフォーカス)、レンズ鏡筒100内の光学系の動作量を参照して、合焦していることをファインダLCD226に表示したりする(フォーカスエイド)。
次に、レンズ鏡筒100の構成について、図2〜図7に基づいて詳細に説明する。
図2、図3には、レンズ鏡筒100の断面図が示されている。これらのうち、図2は、レンズ鏡筒100が広角端にある状態を示し、図3は、レンズ鏡筒100が、望遠端までズームされた状態を示す。これらの図に示すように、レンズ鏡筒100は、共通の光軸AX上に配列された1群レンズL1、2群レンズL2、3群レンズL3、4群レンズL4、5群レンズL5を有する。なお、以下においては、光軸AX方向の1群レンズL1側を前側、5群レンズL5側を後側として説明する。
レンズ鏡筒100は、図2、図3に示すように、固定筒10と、1群レンズL1を保持する1群レンズ摺動筒11と、2群レンズL2を保持する2群レンズ摺動筒12と、3群レンズL3及び5群レンズL5を保持する3,5群レンズ摺動筒13と、4群レンズL4を保持する4群レンズ摺動筒14と、を備える。
固定筒10は、基部10aにおいて、撮像部200に固定される。この固定状態では、固定筒10の撮像部200側の端面10bが撮像部200(図1の筐体210)に密接することにより、固定筒10、すなわちレンズ鏡筒100が撮像部200に対して位置決めされる。固定筒10は、その内周面の上側部分(天井部分)近傍に設けられた一対の突起部33a,33bにおいて、ガイドパイプ36Aを支持し、その内周面の下側部分近傍に設けられた一対の突起部33c,33dにおいて、ガイドパイプ36Bを支持する。これらガイドパイプ36A及び36Bは、レンズ鏡筒100の光軸(AX)を基準として180度対向する位置(光軸からの距離が略同一で、光軸を挟んで相対向する位置)に配置されている。なお、ガイドパイプ36A,36Bの材料としては、強度が高く、軽量な材料、例えばステンレスなどを採用することができる。
1群レンズ摺動筒11は、当該1群レンズ摺動筒11の内側に設けられたズーム駆動筒16と連動可能に連結されている。具体的には、1群レンズ摺動筒11に植設されたカムピン15が、ズーム駆動筒16に形成されたカム溝16aに係合した状態となっている。
一方、ズーム駆動筒16は、レンズ鏡筒100の最外周において光軸AX回りの回転が自在とされたズーム操作環18と連動可能に連結されている。具体的には、ズーム駆動筒16から外側に突設された駆動力伝達ピン19が、ズーム操作環18の内面に形成された光軸AXに平行な操作溝18aに係合している。これにより、ズーム駆動筒16は、ズーム操作環18の回転に連動して回転する。ズーム操作環18は、前後方向への移動ができないようになっており、その外周面には滑り止めのゴム層が設けられている。ズーム操作環18は、変倍動作(ズーミング)の際に、ユーザによって回転されるものである。
また、ズーム駆動筒16は、その内側に設けられたズーム用案内筒22に対して回転可能とされている。ズーム用案内筒22には、図2、図3の下半部に示すように、逃げ溝22aが貫通形成され、このズーム用案内筒22と、ズーム駆動筒16に貫通形成された直進溝16bとには、固定筒10の内側に設けられたカムリング20に固定された回転連結部材21が係合している。カムリング20には、固定筒10の内側に突設されたカムピン10dと係合するカム溝20eが形成されている。
上記構造によると、ズーム操作環18が回転されると、駆動力伝達ピン19の作用によりズーム駆動筒16が回転し、その回転とカムピン15の作用により、1群レンズ摺動筒11が前後方向(光軸AXに沿った方向)に移動する。また、ズーム操作環18の回転により、ズーム駆動筒16が回転すると、この回転力が回転連結部材21を介してカムリング20に伝達するため、カムリング20は回転しながら前後方向に移動する。なお、ズーム用案内筒22は、回転せずにズーム駆動筒16とともに前後方向に移動する。
なお、ズーム操作環18と1群レンズ摺動筒11との間には、カバー筒17が設けられている。このカバー筒17は、図2、図3に示すように、1群レンズ摺動筒11に連れ従って前後方向に移動して、ズーム操作環18と1群レンズ摺動筒11との間を封止し、レンズ鏡筒100内への塵埃の浸入を防止する。
図4は、2群レンズ摺動筒12の近傍を取り出して示す図である。図4に示すように、2群レンズ摺動筒12は、2群レンズL2を保持する保持筒24と、保持筒24に固定された押さえ環26と、保持筒24の外周を取り囲む状態で設けられた係合筒28と、を有する。保持筒24と押さえ環26とは、ネジ止め等により固定され、2群レンズL2の外縁部を挟持する。
係合筒28は、2本のガイドバー30A,30Bを片持ち支持する。これら2本のガイドバー30A及び30Bは、光軸AXを挟んで上下対称な位置(180°対向する位置)に配置されている。
ガイドバー30Aは、軸部30A1と、軸部30A1の後側端部に設けられ、軸部30A1よりも外径が大きく設定された嵌合部30A2とを有する。ガイドバー30Aは、その大半が、ガイドパイプ36Aに対してスライド可能に挿入された状態となっている。また、ガイドバー30Aは、軸部30A1において、突起部33aに設けられた軸受部43を貫通した状態(軸受部43に形成された貫通孔に嵌合した状態)となっている。なお、軸部30A1とガイドパイプ36Aとの間は非接触状態が維持されている。
嵌合部30A2は、ガイドパイプ36Aと嵌合する。すなわち、嵌合部30A2の外径は、ガイドパイプ36Aの内径とほぼ同一に設定されている。ここで、ほぼ同径とは、嵌合部30A2のスライドに支障が無い程度の隙間が、ガイドパイプ36Aと嵌合部30A2の間に形成される寸法を意味する。このように、本実施形態では、ガイドバー30Aの軸部30A1が軸受部43の貫通孔に嵌合しており、嵌合部30A2がガイドパイプ36Aに嵌合しているので、ガイドバー30Aは、軸受部43及びガイドパイプ36Aにより、光軸AX方向にガイドされるようになっている。また、ガイドバー30Aは、軸受部43と、ガイドパイプ36Aの軸受部43から離れた位置とに嵌合(接触)することから、2群レンズ摺動筒12の自重によるガイドバー30Aの傾きが抑制され、2群レンズL2の光軸倒れ等が抑制されるようになっている。
ガイドバー30Aの材料としては、ガイドパイプ36A,36Bと同様、ステンレスなどを採用することができる。ここで、ガイドバー30Aをスムーズにスライドさせるためには、例えば、嵌合部30A2や軸受部43の貫通孔部分に、潤滑性を有する外装(例えばテフロン(登録商標)含有複合めっきなど)を施すなどすることができる。また、軸受部43や嵌合部30A2の材料として低摩擦係数の材料(ポリアセタール樹脂など)を用いることとしてもよい。これにより、ズーミングやフォーカシングの動作がスムーズになるとともに、ガイドバー30Aや軸受部43の耐久性を向上することができる。
ガイドバー30Bは、円柱形状を有し、その一端が係合筒28に固定されている。このガイドバー30Bの外径はガイドパイプ36Bの内径よりも小さく設定されており、ガイドバー30Bの大半は、ガイドパイプ36Bに挿入された状態となっている。また、ガイドバー30Bは、突起部33cに設けられた軸受部44に形成された長円孔44aにも挿入された状態となっている。なお、ガイドバー30Bの材料としては、ガイドバー30Aと同様、ステンレスなどを採用することができる。
図5には、図4のA−A線断面図が示されている。また、図6には、図4の状態から2群レンズ摺動筒12が前方向に移動した状態が示されている。図5に示すように、軸受部44の長円孔44aの幅は、ガイドバー30Bの直径と略同一、すなわち、2群レンズ摺動筒12のスライドに支障が無い程度の隙間が形成される寸法に設定されている。また、ガイドバー30Bの長さは、図4に示すように、ガイドバー30Aの長さよりも短く、かつ、図6に示すように2群レンズ摺動筒12がスライドした場合にも長円孔44aと接触し続けることが可能な程度の長さに設定されている。また、本実施形態では、ガイドバー30Bと長円孔44aとが接触することにより、2群レンズ摺動筒12のガイドパイプ36Aを中心とした回転方向の動きが抑制されている。なお、軸受部44には、長円孔44aに代えて、U字溝を形成しても良い。また、軸受部44についても、軸受部43と同様、長円孔44a部分に、潤滑性を有する外装(例えばテフロン(登録商標)含有複合めっきなど)を施したり、軸受部44の材料として低摩擦係数の材料(ポリアセタール樹脂など)を用いるなどしてもよい。
ガイドバー30A,30Bの材料としては、強度が高く、軽量な材料、例えばステンレスなどを採用することができる。ガイドバー30A,30Bは、係合筒28に対して、接着又は圧入などの処理を経て固定されている。また、ガイドパイプ36A,36Bの材料としては、ガイドバー30A,30Bと同様、ステンレスなどを採用することができる。
係合筒28の外周面の一部には、突起状のフォロワ28aが形成されている。このフォロワ28aは、係合筒28の外側に設けられた連動リング32の周溝32cと係合している。なお、フォロワ28aは、ガイドバー30Aの近傍、すなわち、ガイドバー30Aの中心軸を延長した延長軸の近傍に配置されている。
この周溝32cが形成されている連動リング32には、更に、連動溝32aと、カムフォロワ32bとが形成されている。連動溝32aには、略L字状の形状を有する連動キー34の一端部が係合している。この連動キー34は、図2、図3に示す、固定筒10の外周部に設けられたピントリング37に接続されており、ピントリング37の光軸AX回りの回転に伴って、光軸AXを中心とした回転方向に移動する。このように、連動キー34が光軸AXを中心とした回転方向に移動すると、連動リング32が光軸AX回りに回転する。また、連動キー34は、固定筒10のモータ室10c内に設けられたモータ38にも接続されている。したがって、連動リング32は、モータ38の回転動作に伴う連動キー34の光軸AXを中心とした回転方向への移動によっても、光軸AX回りに回転する。
カムフォロワ32bは、カムリング20に形成されたカム溝20bに係合している。したがって、連動リング32が回転した場合には、連動リング32及びこれに連結している部材(2群レンズ摺動筒12、ガイドバー30A,30B、2群レンズL2)が、カム溝20bとカムフォロワ32bの作用により、前後方向に移動するようになっている。この前後方向の移動において、連動リング32は、光軸AX回りに回転しながら前後方向に移動するが、ガイドバー30A,30Bの移動方向は、ガイドパイプ36A及び長円孔44aにより前後方向にのみ規制されているので、ガイドバー30A,30Bに接続されている2群レンズ摺動筒12及び2群レンズL2は、回転することなく前後方向に移動する。なお、カムフォロワ32bは、ガイドバー30Aの近傍、すなわち、ガイドバー30Aの中心軸を延長した延長軸の近傍に配置されている。
図7は、3,5群レンズ摺動筒13、4群レンズ摺動筒14及びその近傍を取り出して示す図である。この図7に示すように、3,5群レンズ摺動筒13は、3群レンズL3と5群レンズL5とを光軸AX方向に所定間隔あけた状態で保持する。
3,5群レンズ摺動筒13は、ガイドパイプ36Aに係合する2つの係合部13a,13bと、ガイドパイプ36Bに係合する1つの係合部13cを有している。また、4群レンズ摺動筒14は、ガイドパイプ36Aに係合する2つの係合部14a,14bと、ガイドパイプ36Bに係合する係合部14cとが設けられている。
係合部13b、13a、14a及び14bは、円形の貫通孔を有している。この貫通孔は、ガイドパイプ36Aとほぼ同径であり、3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14は、貫通孔にガイドパイプ36Aが挿入された状態で、ガイドパイプ36Aにより前後方向にガイドされる。ここで、ほぼ同径とは、3,5群レンズ摺動筒13のスライドに支障が無い程度の隙間が、ガイドパイプ36Aと貫通孔の間に形成される寸法を意味する。ガイドパイプ36Aは、3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14の自重を指示する。一方、係合部13c及び14cは、U字溝を有する。U字溝の幅は、ガイドパイプ36Bの直径と略同一、すなわち、3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14のスライドに支障が無い程度の隙間が形成される寸法に設定されている。3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14では、ガイドパイプ36BにU字溝が係合することにより、ガイドパイプ36Aを中心とした回転方向の動きが抑制されている。なお、係合部13c及び14cには、U字溝に代えて、径方向に長い長円孔を形成しても良い。
次に、図2、図3等に基づいて、ズーム動作を行うとき(ズーミング)の各レンズL2〜L5の移動動作、及びピントを合わせるとき(フォーカシング)の各レンズL2〜L5の移動動作について説明する。
まず、ズーミングのときの各レンズの移動動作について説明する。ここでは、レンズ鏡筒100が広角端にある状態(図2)から、望遠端にズームされるまで(図3)の動作について説明する。
図2の状態から、ユーザによりズーム操作環18(図2等参照)が回転されると、前述したように回転連結部材21等を介してカムリング20が回転される。この回転に伴い、連動リング32にもカムフォロワ32bを介して、回転力と前方向の移動力とが作用するが、連動リング32は、連動溝32aと係合する連動キー34(固定状態)により、前後方向にのみガイドされているので、回転することなく前側に直進する。また、この連動リング32の直進に伴って、連動リング32に係合する係合筒28(すなわち2群レンズ摺動筒12)、及び2群レンズL2が前方向に移動する。この2群レンズ摺動筒12が前方向へ移動する間、ガイドバー30Bは、軸受部44の長円孔44a部分に接触した状態を維持し続け、ガイドバー30Aは、ガイドパイプ36Aに対する挿入状態を維持し続ける(図4、図6参照)。
更に、カムリング20の回転は、カムフォロワ35,45を介して係合している3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14(3〜5群レンズL3〜L5)も前方向に移動させる。なお、レンズL3,L5とレンズL4の移動距離は、カムフォロワ35及びカムフォロワ45が係合するカム溝20c,20dの形成方向(角度)によって異なる。なお、カムリング20自体も前方向に移動するため、各レンズL3〜L5の実際の移動距離は、カムリング20の移動距離と、カム溝20c,20dによるカムフォロワ35,45の移動距離との合計距離となる。
このように、ズーミングのときには、ズーム操作環18の回転動作に伴って、2〜5群レンズL2〜L5(及び説明、図示を省略している1群レンズL1)のそれぞれが前方向に、別々の距離(ただし、レンズL3とL5は同一距離)だけ移動するようになっている。
次に、フォーカシングのときの各レンズの移動動作について説明する。
まず、ピントリング37がユーザにより回転されるか、あるいはモータ38が回転駆動されることにより、連動キー34が光軸AXを中心とする回転方向に移動すると、前述したように、連動キー34に係合する連動リング32が光軸AX回りに回転する。この回転により、連動リング32は、カムフォロワ32bをカムリング20のカム溝20bに沿わせて、前方向にも移動する。そして、この連動リング32の回転方向及び前方向の移動により、連動リング32の周溝32cに係合したフォロワ28aを有する係合筒28(すなわち2群レンズ摺動筒12)及び2群レンズL2も前方向に移動することになる。ここで、カムフォロワ32b及びフォロワ28aは、ガイドバー30Aの近傍に配置されているので、連動リング32及び係合筒28に対して光軸AX方向の駆動力を効率的に作用させることができる。
一方、カムリング20は、無回転の固定状態にあるため、3群〜5群レンズL3〜L5は前(後)方向に移動しない。また、説明及び図示を省略している1群レンズL1も前(後)方向に移動することはない。
このように、フォーカシングのときには、連動キー34の回転動作に伴って、2群レンズL2のみが前(後)方向に移動するようになっている。この場合、2群レンズ摺動筒12に固定されたガイドバー30A,30Bには、3,5群レンズ摺動筒13や4群レンズ摺動筒14は直接接触していないので、2群レンズ摺動筒12の前(後)方向への移動が、3,5群レンズ摺動筒13や4群レンズ摺動筒14により邪魔されることはない。
なお、フォーカシング時のモータ38の回転は、図1の主制御部250が、焦点検出装置230の検出結果に基づいて制御する。すなわち、主制御部250によるモータ38の回転制御により、オートフォーカスが実行される。なお、レンズ鏡筒100と、撮像部200との間は、レンズ鏡筒100と撮像部200との間に設けられる接続端子により電気的に接続されており、これにより、レンズ鏡筒100(例えばモータ38など)に、撮像部200側から電力が供給されるようになっている。
以上説明したように、本実施形態によると、2群レンズ摺動筒12が、ガイドバー30Aのガイドパイプ36Aの内周面に沿ったスライド動作により光軸AX方向にスライドし、3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14が、ガイドパイプ36Bの外周面に沿って光軸AX方向にスライドするので、各レンズ摺動筒12,13,14を、同一部材に沿って移動させることができる。これにより、レンズ鏡筒100内の構造の簡素化を図ることが可能である。また、本実施形態では、ガイドバー30Aが、その外周面が軸受部43と接触する軸部30A1と、ガイドパイプ36Aと嵌合する嵌合部30A2とを有しており、軸部30A1の外径が、嵌合部30A2の外径よりも小さく設定されている。これにより、ガイドバー30Aは、嵌合部30A2においてのみガイドパイプ36Aと嵌合し、軸部30A1はガイドパイプ36Aと嵌合しないようになっているので、たとえ、軸部30A1の軸受部43と接触する部分よりも後側の部分の真直度が悪かったとしても、当該真直度がガイドバー30Aのスライド動作に与える影響を低減することができる。これにより、2群レンズ摺動筒12の摺動動作における作動不良が抑制される。また、ガイドバー30Aの加工が容易となり、加工コストが低減される。さらには、ガイドバー30Aの軽量化を図ることが可能となるため、レンズ鏡筒100の軽量化を図ることが可能となる。
また、本実施形態によると、光軸AX方向に延びるガイドバー30Bが、2群レンズ摺動筒12に固定されるとともに、固定筒10に接触することで、2群レンズ摺動筒12の固定筒10に対する光軸AX回り方向の移動動作(回転動作)を規制している。そして、ガイドバー30Bは、その長さが、2群レンズ摺動筒12がスライドする場合に長円孔44aと接触し続けられる程度の長さとなっている。すなわち、ガイドバー30Bをガイドバー30Aよりも短くすることができるので、ガイドバー30Bをガイドバー30Aと同一の長さとする場合と比べて、レンズ鏡筒100の軽量化を図ることが可能となる。さらに、ガイドバー30Bの加工コストや、材料費の低減が可能となる。
また、本実施形態では、固定筒10が光軸AX方向に延びるガイドパイプ36Bを支持しており、3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14は、ガイドパイプ36Aにより光軸方向にガイドされるとともに、ガイドパイプ36Bに接触することで光軸AX回り方向の移動動作(回転動作)が規制されている。これにより、3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14は、ガイドバー30A及び30Bとは非接触な状態で前後方向にガイドされる。したがって、2群レンズ摺動筒12の移動を、3,5群レンズ摺動筒13及び4群レンズ摺動筒14が妨げることがない。これにより、2群レンズ摺動筒12を移動させるのに必要な力を低減することができるので、モータ38の負担またはピントリング37を回転させるユーザの負担を軽減することができる。
また、本実施形態では、ガイドバー30Bは、ガイドパイプ36Bに挿入され、かつ、ガイドバー30Bの外径が、ガイドパイプ36Bの内径よりも小さく設定されているため、ガイドパイプ36Bとガイドバー30Bとの機械的な干渉を回避することができるとともに、2群レンズ摺動筒12のスライド動作を妨げないことが可能となる。さらに、ガイドパイプ36Bとガイドバー30Bとを別々に設ける場合と比較して、レンズ鏡筒100内の構造の簡素化及びスペース効率の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、軸部30A1が係合筒28に支持され、嵌合部30A2は、ガイドバー30Aの後端に設けられている。これにより、軸受部43と嵌合部30A2との間の距離を長くとることができるため、嵌合部30A2の外径とガイドパイプ36Aの内径との嵌合がたに起因するガイドパイプ36Aに対するガイドバー30Aの傾きを低減することが可能となる。これにより、2群レンズ摺動筒12の光軸AXに対する倒れが低減するので、光学性能の劣化防止が可能となる。
また、本実施形態では、ガイドパイプ36A、36Bが、レンズ鏡筒100の光軸AXを基準として180度対向する位置に配置されているので、ガイドバー30A,30Bの距離を極力大きくとることができる。これにより、2群レンズ摺動筒12の光軸AX方向周りの回転をガイドバー30Bで規制する際に必要な力を小さくすることができ、ひいては、ガイドバー30Bにかかる力及び変形等を小さくすることができる。
なお、上記実施形態では、嵌合部30A2は、ガイドバー30Aの後側の端部に配置されていた。しかしながら、嵌合部30A2が配置される位置は、ガイドバー30Aの後端に限られるものではなく、2群レンズ摺動筒12のスライド動作を妨げない位置であればよい。
なお、上記実施形態では、固定筒10の突起部33aに形成された軸受部43がガイドバー30Aの外周面に接触することで、ガイドバー30Aを光軸AX方向にガイドする場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、図8のような構成(変形例1及び2)を採用することで、ガイドバー30Aを光軸AX方向にガイドすることとしてもよい。
なお、軸部30A1及び嵌合部30A2は、同一部材を加工(切削等)することにより形成しても良いし、各部を異なる部材で形成し接着等することでガイドバー30Aを製造することとしても良い。
図8(a)には、変形例1に係る構成が示されている。変形例1では、軸受部43が突起部33aにではなく、ガイドパイプ36Aの内部に配置されている。また、図8(b)には、変形例2に係る構成が示されている。変形例2では、係合筒28が嵌合部30A2を支持し、2群レンズ摺動筒12がスライドしても、軸部30A1と軸受部43とが接触し続けることができる位置に、軸受部43を配置している。このように、軸受部43を突起部33aではなく、ガイドパイプ36Aの内部に配置することによっても、ガイドバー30Aを光軸AX方向にガイドすることが可能である。
また、上記実施形態では、2群レンズ摺動筒12に固定されたガイドバー30Bが、固定筒10の突起部33cに形成された長円孔44aに接触することで、2群レンズ摺動筒12の回転動作が規制される場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、図9〜図11のような構成(変形例3〜6)を採用することで、2群レンズ摺動筒12の回転動作を規制することとしてもよい。
図9(a)、図9(b)には、変形例3に係る構成が示されている。なお、図9(b)は、図9(a)のB−B線断面図である。変形例3では、ガイドパイプ36Bの一部(前側端部)に、長円孔71aが形成されたキャップ状部材71を設けることとしている。このようにしても、ガイドバー30Bが、キャップ状部材71(長円孔71a)と接触し続けるので、上記実施形態と同様、2群レンズ摺動筒12の回転動作を規制することが可能である。
図10(a)、図10(b)には、変形例4に係る構成が示されている。なお、図10(b)は、図10(a)のC−C線断面図である。変形例4では、上記実施形態のガイドパイプ36Bに代えて、全体が偏平な形状を有するガイドパイプ36B’を採用している。このようにしても、ガイドバー30Bとガイドパイプ36B’の内周面の一部とが接触し続けるので、上記実施形態と同様、2群レンズ摺動筒12の回転動作を規制することが可能である。なお、偏平な形状を有するガイドパイプ36B’を採用しても、3,5群レンズ摺動筒13と4群レンズ摺動筒14の移動動作に問題が生じることはない。
図11(a)には、変形例5に係る構成が示されている。変形例5では、ガイドバー30Bが固定筒10の突起部33cに固定されている。また、変形例5では、2群レンズ摺動筒12の係合筒28にU字溝28hを設けることとしている。この場合、2群レンズ摺動筒12が前後方向に移動する間、ガイドバー30BはU字溝28hに接触し続けるようになっている。このような変形例5を採用しても、上記実施形態と同様、2群レンズ摺動筒12の回転動作を規制することが可能である。なお、係合筒28には、U字溝28hに代えて、U字溝と同様の機能を有する長円孔を形成しても良い。なお、図11(a)では、ガイドパイプ36Bを採用することとしているが、これに限らず、図11(b)の変形例6のように、ガイドパイプ36Bを棒状部材(ガイドバー)36B”に変更することとしてもよい。
なお、上記実施形態及び変形例1〜6は、種々組み合わせることが可能である。
なお、上記実施形態では、ガイドバー30Bとガイドパイプ36Bとを同軸上に配置する場合について説明したが、これに限られるものではなく、ガイドバー30Bとガイドパイプ36Bとを異なる軸上に配置しても良い。この場合、ガイドパイプ36Bに代えて、棒状部材(図11(b)の符号「36B”」で示すような部材)を用いることとしてもよい。
なお、上記実施形態では、ズーミングの際に、1〜5群レンズL1〜L5のすべてが光軸AX方向に移動し、フォーカシングの際には、2群レンズL2のみが光軸AX方向に移動する場合(内焦式)について説明したが、これに限られるものではない。例えば、フォーカシングの際に、2群レンズL2以外のレンズL1、L3〜L5のいずれかが光軸AX方向に移動するようにしても良い。このうち、フォーカシングを1群レンズL1の移動により実行する方式は、前玉繰り出し方式と呼ばれる。また、フォーカシングの際に、1〜5群レンズL1〜L5のすべてのレンズ又はこれらのうちの複数のレンズが移動するようにしても良い。このうち、すべてのレンズが移動する方式は全体繰り出し方式と呼ばれる。
なお、上記実施形態では、ガイドパイプ36A,36Bが、固定筒10と別体で構成され、固定筒10によりガイドパイプ36A,36Bが支持されている場合について説明したがこれに限られるものではない。例えば、ガイドパイプ36A,36Bと固定筒10とが一体成型されていても良い。
また、上記実施形態では、3群レンズL3と5群レンズL5が、共通のレンズ摺動筒13により保持される場合について説明したが、これに限らず、3群レンズL3と5群レンズL5は、別々のレンズ摺動筒により保持されても良い。
また、上記実施形態のレンズの数やレンズ配置は一例である。すなわち、レンズ鏡筒としては、ガイドバーに固定された一のレンズ摺動筒に保持されるレンズと、ガイドパイプの外周面に沿ってスライドする他のレンズ摺動筒に保持されるレンズとを、少なくとも有していれば良い。
なお、上記実施形態では、カムフォロワやフォロワなどの凸状の部材(部分)が設けられた部材に、当該凸状の部材(部分)に代えて、カム溝、周溝などの凹状の部分を設けることとし、カム溝、周溝などの凹状の部分が設けられた部材に、凹状の部分に代えて、カムフォロワやフォロワなどの凸状の部材(部分)を設けることとしても良い。
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。