JP2013177910A - 高圧ガス供給システム - Google Patents

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Abstract

【課題】高圧ガス供給システムの保証下限圧力が減圧弁の所定減圧値よりも高い場合であっても、高圧ガス供給システムにおけるガス容器内のガスの圧力を精度良く検出して、高圧ガス供給システムの稼働時間、及び車両等に適用した場合の航続距離を拡大する。
【解決手段】高圧ガス供給システム1において、ECU6は、主止弁3を閉じた状態で、第2圧力センサSS2の検出値が減圧弁4の所定減圧値よりも低い校正設定圧を示すまで、主止弁3の下流側のガスを燃料電池5に供給する制御を行い、第2圧力センサSS2の検出値が校正設定圧を示す時点での第2圧力センサSS2の検出値を前記時点での第1圧力センサSS1の検出値とするように、第1圧力センサSS1の校正処理を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、高圧ガス供給システムに関し、特に、高圧ガス供給システムにおけるガスの圧力を検出するセンサの校正制御に関する。
近年、水素が燃料ガスとしてアノードに、酸素を含む空気が酸化ガスとしてカソードに、それぞれ供給されて電気化学反応によって発電する燃料電池の開発が盛んである。
このような燃料電池に燃料ガス(以下、単に「ガス」ともいう。)を供給する高圧ガス供給システムでは、燃料電池に供給するガスが高圧の状態でガス容器に収容されており、このガス容器に収容されたガスが、減圧弁で所定減圧値に減圧された後に、燃料電池に供給される。
この種の高圧ガス供給システムにおいて、ガス容器(タンク)に収容されているガスの残量が少なくなってきた場合にガス容器内のガスの残量を把握するために、ガス容器へのガスの補充に際して、減圧弁(減圧装置)の上流側に配置された第1圧力センサにより、ガス容器内のガスの圧力を検出するようにした技術が存在する(特許文献1参照)。
ガス容器は高圧のガスを収容可能なことから使用する圧力レンジが広くなっており、これに対応して、減圧弁の上流側に配置される第1圧力センサとしても、圧力検出レンジが広いものが使用されている。しかし、圧力センサは、一般に、圧力検出レンジが広くなるほど検出誤差が大きくなる傾向にあるため、第1圧力センサによるガス容器内のガスの圧力の検出精度はそれ程高くはない。
そこで、特許文献1に記載の技術では、減圧弁の上流側のガスの圧力が減圧弁の所定減圧値以下になった場合に、減圧弁の上流側のガスの圧力と減圧弁の下流側のガスの圧力とが等しくなることから、その場合における減圧弁の下流側に配置された第2圧力センサの検出値を第1圧力センサの検出値とするように、第1圧力センサの校正処理が行われる。
第2圧力センサは、減圧弁で減圧されたガスの圧力を検出するものであるため、第1圧力センサよりも圧力検出レンジが狭く、第1圧力センサよりも検出誤差が小さい。したがって、第1圧力センサの校正処理を精度良く行うことができる。
特開2011−204411号公報
ところで、高圧ガス供給システムでは、ガス容器に付設された主止弁等における高圧のガスのシール部における漏れの防止や、ガス容器の内面を形成する樹脂ライナーのバックリングの防止のために、高圧ガス供給システムの保証下限圧力が設定されている。そして、高圧ガス供給システムにおけるガスの圧力が保証下限圧力以下になっているか否かの検知が行われ、ガスの圧力が保証下限圧力以下になる場合には、高圧ガス供給システムが停止されるようになっている。
このため、特許文献1に記載の技術において、高圧ガス供給システムの保証下限圧力が減圧弁の所定減圧値よりも高い場合には、減圧弁の上流側のガスの圧力は、保証下限圧力以下になることはなく、減圧弁の所定減圧値よりも高くなる。
しかしながら、この場合、減圧弁の下流側の第2圧力センサの検出値は、減圧弁の上流側の第1圧力センサの検出値と異なることになるため、第2圧力センサの検出値を用いて第1圧力センサの校正処理を行うことができず、高圧ガス供給システムにおけるガス容器内のガスの圧力の低下を精度良く検出することができない。
また、ガス容器内のガスの圧力の低下についての検出精度が低い(検出誤差が大きい)と、高圧ガス供給システムの保証下限圧力に検出誤差を加えた圧力で、高圧ガス供給システムを停止する必要があるため、高圧ガス供給システムの稼働時間、及び車両等に適用した場合の航続距離が短くなってしまうという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高圧ガス供給システムの保証下限圧力が減圧弁の所定減圧値よりも高い場合であっても、高圧ガス供給システムにおけるガス容器内のガスの圧力を精度良く検出して、高圧ガス供給システムの稼働時間、及び車両等に適用した場合の航続距離を拡大することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ガス受容ユニットにガスを供給する高圧ガス供給システムであって、ガス容器に収容されているガスの前記ガス容器からの供給を許容又は遮断する遮断弁と、前記ガス容器からのガスの圧力を前記ガス供給システムの保証下限圧力よりも低い所定減圧値に減圧する減圧弁と、前記減圧弁の上流側に設けられ、第1上限値まで圧力検出可能な第1圧力センサと、前記減圧弁の下流側に設けられ、前記第1上限値よりも低い第2上限値まで圧力検出可能な第2圧力センサと、前記遮断弁を閉じた状態で、前記第2圧力センサの検出値が前記所定減圧値よりも低い校正設定圧を示すまで、前記遮断弁の下流側のガスを排出、あるいは前記ガス受容ユニットに供給する制御を行い、前記第2圧力センサの検出値が前記校正設定圧を示す時点での前記第2圧力センサの検出値を前記時点での前記第1圧力センサの検出値とするように、前記第1圧力センサの校正処理を行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、遮断弁の下流側のガスを排出、あるいはガス受容ユニットに供給することにより、遮断弁の下流側の圧力を、減圧弁の所定減圧値よりも低い校正設定圧まで低下させる圧力低下処理が実施されるため、より検出精度が高い第2圧力センサの検出値を用いて、第1圧力センサの校正処理を行うことが可能となる。
したがって、高圧ガス供給システムの保証下限圧力が減圧弁の所定減圧値よりも高い場合であっても、高圧ガス供給システムにおけるガス容器内のガスの圧力を精度良く検出して、高圧ガス供給システムの稼働時間、及び車両等に適用した場合の航続距離を拡大することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の高圧ガス供給システムであって、前記制御部は、前記第1圧力センサの検出値が、前記保証下限圧力、前記第2圧力センサの検出誤差、及び前記第1圧力センサのリニアリティ誤差の和まで低下したときに、前記ガス受容ユニットへのガスの供給を停止する制御を行うことを特徴とする。
この発明によれば、保証下限圧力及び第1圧力センサの検出誤差の和まで低下したときにガス受容ユニットへのガス供給を停止する従来の制御と比較して、保証下限圧力の規制を実質的に守りつつ、より低い圧力まで有効にガス容器内のガスを利用することが可能となる。これにより、高圧ガス供給システムの稼働時間、及び車両等に適用した場合の航続距離をより拡大することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の高圧ガス供給システムであって、前記ガス受容ユニットは燃料電池であり、前記制御部は、A)前記燃料電池の発電停止時であって、前回の前記第1圧力センサの校正処理から第1所定時間が経過している、B)前記燃料電池の発電停止時であって、前記第1圧力センサの検出値が所定値以下になっている、及びC)前記燃料電池の起動時であって、前回の発電停止から第2所定時間が経過している、との条件のうち少なくともいずれか一つの条件を満たすときに、前記第1圧力センサの校正処理を行うことを特徴とする。
この発明によれば、ガス受容ユニットとして燃料電池を用いたシステムに適用することができ、燃料電池の発電停止時や起動時のより適切な時期に、第1圧力センサの校正処理を効率的に行うことが可能となる。
本発明によれば、高圧ガス供給システムの保証下限圧力が減圧弁の所定減圧値よりも高い場合であっても、高圧ガス供給システムにおけるガス容器内のガスの圧力を精度良く検出して、高圧ガス供給システムの稼働時間、及び車両等に適用した場合の航続距離を拡大することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る高圧ガス供給システムの概略構成を示す図である。 第1圧力センサの校正処理の手順を示すフローチャートである。 第1圧力センサの校正処理中における第1圧力センサ及び第2圧力センサの各々の検出値の変化を示す図である。 リニアリティ誤差について説明するための図である。 ガス欠判定において使用される高圧ガス供給システムの停止圧力について説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
(高圧ガス供給システムの構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る高圧ガス供給システムの概略構成を示す図である。
本実施形態の高圧ガス供給システム1は、例えば燃料電池電気自動車等の車両(図示せず)に搭載されるものである。この車両は、燃料電池5による発電電力によって走行用電動モータ(図示せず)を回転させて走行するように構成されており、燃料ガス(水素)を収容するガス容器2を搭載している。
燃料電池5は、例えば陽イオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜を燃料極と酸素極で挟持した膜電極接合体を、更に一対のセパレータで挟持してなる単セル(図示せず)を多数組積層して構成されたスタックを備えている。
図1に示すように、高圧ガス供給システム1は、ガス容器2、主止弁(遮断弁)3、減圧弁4、ガス受容ユニットとしての燃料電池5、第1圧力センサSS1、第2圧力センサSS2、制御部としてのECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)6、中圧デバイス7、及び開閉弁8を備えている。
ガス容器2は、燃料電池5に供給するためのガス(水素)を、例えば最大で35MPa(ゲージ圧)の非常に高い圧力で充填可能なタンクである。主止弁3は、例えばガス容器2に一体に組み込まれるものであり、ガス容器2に収容されているガスのガス容器2からの供給を許容又は遮断する遮断弁である。
減圧弁4は、主止弁3の下流側に設けられており、ガス容器2からのガスの圧力を所定減圧値P2(図3参照、例えば1MPa)に減圧する装置である。本実施形態では、減圧弁4の所定減圧値P2は、高圧ガス供給システム1の保証下限圧力P3(図5参照、例えば2MPa)よりも低い。すなわち、保証下限圧力P3は、減圧弁4の所定減圧値P2よりも高くなっている。
保証下限圧力P3は、ガス容器2に付設された主止弁3等における高圧のガスのシール部(図示せず)における漏れの防止や、ガス容器2の内面を形成する樹脂ライナー(図示せず)のバックリングの防止のために設定された、高圧ガス供給システム1が適正に機能することを保証する下限圧力である。
より詳細に説明すると、ガスのシール部に使用するシール部材としてのOリング(図示せず)は、このOリングが装着される溝(図示せず)内の片側にガスの圧力によって押し付けられ、Oリングによるシール面圧が増加してシール性が向上する。このとき、ガスの圧力が低い場合には、シール面圧が低下してガスの漏れが発生する虞がある。この対策として、ガスのシール部の下限圧力を設定することにより、ガスの漏れが発生することを防止する必要がある。また、樹脂ライナーを使用したガス容器2は、ガスが大量に充填されて高圧状態にあると、樹脂ライナーを透過したガスが樹脂ライナーと、例えば補強層であるCFRP製のシェルとの間に残留してしまうため、ガス容器2内のガスを急激に減圧した場合には、残留したガスが膨張することで樹脂ライナーを変形させる(バックリング)虞がある。この対策として、ガス容器2の下限圧力を設定することにより、樹脂ライナーのバックリングの発生を防止する必要がある。本実施形態では、保証下限圧力P3は、ガスのシール部の下限圧力、及びガス容器2の下限圧力の両方を満足する圧力に設定される。但し、ガスのシール部の下限圧力、及びガス容器2の下限圧力のうちのいずれか一方の圧力に設定されてもよい。
主止弁3と減圧弁4との間には、ガス容器2内のガスの圧力である高圧(例えば35MPa)となる第1ガス流路11が形成されている。また、この減圧弁4と開閉弁8との間には、減圧弁4により減圧されたガスの圧力である中(低)圧(例えば1MPa)となる第2ガス流路12が形成されている。
第1圧力センサSS1は、減圧弁4の上流側の第1ガス流路11に設けられており、第1上限値(例えば90MPa)まで圧力検出可能な圧力センサである。第2圧力センサSS2は、減圧弁4の下流側の第2ガス流路12に設けられており、前記第1上限値よりも低い第2上限値(例えば3MPa)まで圧力検出可能な圧力センサである。
つまり、第1圧力センサSS1は、ガス容器2内の高圧のガスの圧力を検出するものであるため、高圧状態から低圧状態に至るまで、広い範囲の圧力を検出することが可能な圧力検出レンジ(例えば0〜90MPa)を有している。一方、第2圧力センサSS2は、減圧弁4の下流側におけるガスの圧力を検出するものであるため、減圧弁4で減圧された後の、第1圧力センサSS1よりも狭い範囲の圧力を検出することが可能な圧力検出レンジ(例えば0〜3MPa)を有している。
圧力センサは圧力検出レンジが広くなるほど検出誤差が大きくなる傾向にあり、例えば検出誤差を圧力検出レンジの3%F.S.(Full Scale)とすれば、第1圧力センサSS1及び第2圧力センサSS2の検出誤差はそれぞれ次の通りとなる。すなわち、例えば90MPaまで圧力検出可能な第1圧力センサSS1の検出誤差E1(図5参照)は、90MPaの3%である2.7MPaとなる。一方、例えば3MPaまで圧力検出可能な第2圧力センサSS2の検出誤差E2(図5参照)は、3MPaの3%である90kPaとなり、第1圧力センサSS1の検出誤差E1よりも小さい。
第1圧力センサSS1及び第2圧力センサSS2としては、例えば歪ゲージ方式の圧力センサを採用することができるが、これに限定されるものではなく、種々の方式の圧力センサを採用することができる。
また、第2ガス流路12には、例えばフィルタ等の中圧デバイス7が設けられている。開閉弁8は、燃料電池5と配管13等を介して接続されており、減圧弁4により減圧されたガスの燃料電池5への供給量を調整することができる。
ECU6は、CPU及び記憶手段(いずれも図示せず)を有しており、高圧ガス供給システム1の動作を制御する。ECU6は、車両のIG(イグニッション;図示せず)と連動しており、IGがオンされると燃料電池5を起動して燃料電池5を発電させ、IGがオフされると燃料電池5の発電を停止する制御を行う。また、ECU6には、第1圧力センサSS1及び第2圧力センサSS2からの信号が入力されるようになっており、ECU6は、主止弁3及び開閉弁8の動作の制御、後記する第1圧力センサSS1の校正処理等を行う。なお、ECU6とは別の制御部が、第1圧力センサSS1の校正処理を実施するように構成してもよい。
ガス容器2から供給された燃料ガスとしての水素は、主止弁3、第1ガス流路11、減圧弁4、第2ガス流路12、中圧デバイス7、開閉弁8、及び配管13を介して、燃料電池5のアノードに供給される。また、図示していないが、燃料電池5のカソードには、コンプレッサ、冷却器、加湿器等で構成された空気供給装置から酸化ガスとしての空気が供給される。燃料電池5のアノードに水素が供給され、カソードに空気が供給されると、水素と酸素との電気化学反応によって発電が行われる。燃料電池5が発電した電力(発電電流)は、走行用電動モータや補機(いずれも図示せず)等に供給される。
(第1圧力センサの校正処理)
本実施形態では、ガス容器2に収容されているガスの残量が少なくなってきた場合において、第1圧力センサSS1が保証下限圧力P3付近のガスの圧力を精度良く検出することができるように、第1圧力センサSS1の校正が行われる。
次に、図2及び図3を参照して、第1圧力センサSS1の校正処理について説明する。
図2は、第1圧力センサの校正処理の手順を示すフローチャートである。図3は、第1圧力センサの校正処理中における第1圧力センサ及び第2圧力センサの各々の検出値の変化を示す図である。
まず、ECU6は、校正処理を開始する条件(校正開始条件)が満たされているか否かを判断する(ステップS1)。すなわち、ECU6は、A)燃料電池5の発電停止時であって、前回の第1圧力センサSS1の校正処理から第1所定時間T1が経過している、B)燃料電池5の発電停止時であって、第1圧力センサSS1の検出値Ph(図3参照)が所定値Ps以下になっている、及びC)燃料電池5の起動時であって、前回の発電停止から第2所定時間T2が経過している、との条件のうち少なくともいずれか一つの条件を満たすか否かを判断する。これにより、燃料電池5の発電停止時や起動時のより適切な時期に、第1圧力センサSS1の校正処理を効率的に行うことが可能となる。
前記した校正開始条件は、次のような理由により設定されている。
すなわち、車両停止時(燃料電池5の発電停止時)に、毎回高圧の第1ガス流路11の圧力を低下させて後記する第1圧力センサSS1の校正を行うと、次回車両起動時(燃料電池5の起動時)には主止弁3に大きな差圧が発生している状態で作動が行われることとなるため、主止弁3のシート部の耐久性が懸案となる可能性がある。このため、第1圧力センサSS1の校正処理は、車両停止時に毎回行うのではなく、車両停止時であって第1所定時間T1が経過しているときに(例えば1週間に1回や、1ヵ月に1回などの頻度で)行うようにしてもよく、これにより、主止弁3に与える影響を小さくすることができる。
また、ガス容器2内のガスの圧力を示す第1圧力センサSS1の検出値Phが保証下限圧力P3(図5参照)に近い低い圧力となった場合の第1圧力センサSS1の検出精度の向上が目的であるため、車両停止時であって第1圧力センサSS1の検出値Phが所定値Ps(例えば10MPa)以下になっているときに実施するようにしてもよい。この場合、第1圧力センサSS1の校正処理は、車両停止時であってガス容器2内のガスの圧力が低い場合に必ずしも毎回行う必要はなく、所定の頻度で行われてもよい。ガス容器2内のガスの圧力が低い場合には主止弁3の耐久性に与える影響が小さいため、例えば1日に1回といった具合に高い頻度で第1圧力センサSS1の校正処理が行われてもよい。
また、前回の車両停止時から第2所定時間T2(例えば1週間、1ヵ月等の長期間)が経過していると判断された場合には、長期間不使用による第1圧力センサSS1の検出精度の低下の虞を回避するため、車両起動時にも第1圧力センサSS1の校正処理が行われてもよい。但し、校正開始条件は、前記した例に限定されるものではなく、例えば前記A)の条件のみ使用する等、適宜変更して実施され得る。
ECU6は、校正開始条件が満たされるまで待機し(ステップS1:No)、校正開始条件が満たされていると判断した場合(ステップS1:Yes)、車両停止時には主止弁3を閉じ、一方、車両起動時には主止弁3を閉じた状態を維持して(ステップS2、図3のt1参照)、主止弁3の下流側のガスの圧力を低下させる圧力低下処理を開始する(ステップS3)。
圧力低下処理では、ECU6は、開閉弁8を開いて、主止弁3の下流側のガスを燃料電池5に供給して消費する制御を行う。なお、主止弁3の下流側のガスを、燃料電池5に供給して消費する代わりに、外部に排出するように制御してもよい。
続いて、ECU6は、減圧弁4の下流側の第2ガス流路12に設けられた第2圧力センサSS2の検出値Pm(図3参照)を取得し(ステップS4)、取得した検出値Pmが減圧弁4の所定減圧値P2(図3参照、例えば1MPa)よりも低い校正設定圧P1(図3参照、例えば0.8MPa)に到達したか否かを判断する(ステップS5)。第2圧力センサSS2の検出値Pmが校正設定圧P1に未だ到達していない場合には(ステップS5:No)、ステップS4に戻る。
図3に示すように、減圧弁4の上流側の第1ガス流路11に設けられた第1圧力センサSS1の検出値Phは、当初(図3のt1)にはガス容器2内のガスの圧力Ptを示しているが、第2ガス流路12の圧力が消費ガス流量での減圧弁4の制御圧P2aとなった時点(図3のt3)から、低下し始める。
一方、減圧弁4の下流側の第2ガス流路12に設けられた第2圧力センサSS2の検出値Pmは、当初(図3のt1)には減圧弁4の所定減圧値P2を示しているが、ガスの消費が開始された時点(図3のt2)で、前記したように消費ガス流量での減圧弁4の制御圧P2aに僅かに低下して保たれる。
第1ガス流路11内のガスの圧力は低下を続け、第2ガス流路12内のガスの圧力と等しくなった時点(図3のt4)から、これら両方の圧力はさらに低下する。このとき、減圧弁4は締切状態とならずに全開状態となるため、第1ガス流路11内のガスの圧力は第2ガス流路12内のガスの圧力と等しくなる。そして、第2ガス流路12内のガスの圧力の検出値Pmが、校正設定圧P1に到達した時点(図3のt5)で、ガスの消費が停止される。
すなわち、第2圧力センサSS2の検出値Pmが校正設定圧P1に到達した場合(ステップS5:Yes、図3のt5)、ECU6は、開閉弁8を閉じて、主止弁3の下流側のガスの燃料電池5への供給を停止し、前記した圧力低下処理を終了する制御を行う(ステップS6)。
続いて、ECU6は、第2圧力センサSS2の検出値Pmが校正設定圧P1に到達した以後において、第2圧力センサSS2の検出値Pmが校正設定圧P1を示す時点(図3のt6)での第2圧力センサSS2の検出値Pmを、前記時点(図3のt6)での第1圧力センサSS1の検出値Phとするように、第1圧力センサSS1の校正を行う(ステップS7)。
(保証下限圧力を守るための制御)
次に、高圧ガス供給システム1の保証下限圧力P3(図5参照)を守るための制御について説明する。
本実施形態に係る高圧ガス供給システム1では、ガス容器2内のガスの残量を把握するために、ガス容器2内のガスの圧力を示す第1圧力センサSS1の検出値Ph(図3参照)が実際に保証下限圧力P3(図5参照)以下となっていないかの検知(ガス欠判定)が行われる。第1圧力センサSS1の検出値Phが実際に保証下限圧力P3以下となる場合には、ECU6は、高圧ガス供給システム1の動作を停止する制御を行う。
前記ガス欠判定を精度良く行うためには、第1圧力センサSS1の検出値Phの誤差について考慮する必要がある。
前記した第1圧力センサSS1の校正処理を行うことにより、第1圧力センサSS1の検出値Phの誤差は、校正設定圧P1においては、第1圧力センサSS1の検出誤差E1(図5参照、例えば2.7MPa)の代わりに第2圧力センサSS2の検出誤差E2(図5参照、例えば90kPa)とすることができる。一方、保証下限圧力P3における第1圧力センサSS1の検出値Phの誤差は、第2圧力センサSS2の検出誤差E2に、さらに、第1圧力センサSS1の圧力変動分(校正設定圧P1と保証下限圧力P3との差分)のリニアリティ誤差EL(図5参照、例えば450kPa)を加えたものとすることが好ましい。
第1圧力センサSS1として使用される圧力センサのアナログ出力電圧は、圧力に対して比例の関係にあり、ほぼ直線的な関係であるが、理想直線に対して実際にはズレが存在しており、その理想直線に対するズレの誤差のことをリニアリティ誤差という。
第1圧力センサSS1のリニアリティ誤差ELは、通常次のように計算される。
図4は、リニアリティ誤差について説明するための図である。
図4を参照して、まず、出力電圧Vout[V]についてのリニアリティ誤差Vpは、第1圧力センサSS1の圧力検出レンジの下限圧力Paにおける出力電圧Va、及び上限圧力Pbにおける出力電圧Vbから次式によって計算される。
Vp=k(Pb−Pa)/2−(Vb−Va)/2
ここで、kは、比例定数(係数)である。
したがって、圧力についてのリニアリティ誤差ELは、次式によって計算される。
EL=(Pb−Pa)×Vp/(Vb−Va)
但し、前記計算において、下限圧力Paを校正設定圧P1とし、上限圧力Pbを保証下限圧力P3とすることにより、保証下限圧力P3付近の圧力検出に影響を与えることなく、リニアリティ誤差ELを小さくすることができる。
図5は、ガス欠判定において使用される高圧ガス供給システムの停止圧力について説明するための図である。
図5に示すように、本実施形態では、ECU6は、第1圧力センサSS1の検出値Phが、保証下限圧力P3(例えば2MPa)、第2圧力センサSS2の検出誤差E2(例えば90kPa)、及び第1圧力センサSS1のリニアリティ誤差EL(例えば450kPa)の和P4(例えば2.54MPa)まで低下したときに、燃料電池5へのガスの供給を停止する制御を行う。
このようにすれば、第1圧力センサSS1の検出値Phが、保証下限圧力P3(例えば2MPa)、及び第1圧力センサSS1の検出誤差E1(例えば2.7MPa)の和P5(例えば4.7MPa)まで低下したときに燃料電池5へのガスの供給を停止する従来の制御と比較して、保証下限圧力P3の規制を実質的に守りつつ、より低い圧力まで有効にガス容器2内のガスを利用することが可能となる。これにより、高圧ガス供給システム1の稼働時間、及び車両等に適用した場合の航続距離をより拡大することができる。
前記したように、本実施形態に係る高圧ガス供給システム1では、ECU6は、主止弁3を閉じた状態で、第2圧力センサSS2の検出値Pmが減圧弁4の所定減圧値P2よりも低い校正設定圧P1を示すまで、主止弁3の下流側のガスを燃料電池5に供給する制御を行う。そして、ECU6は、第2圧力センサSS2の検出値Pmが校正設定圧P1を示す時点(図3のt6)での第2圧力センサSS2の検出値Pmを前記時点(図3のt6)での第1圧力センサSS1の検出値Phとするように、第1圧力センサSS1の校正処理を行う。
このような本実施形態によれば、主止弁3の下流側のガスを燃料電池5に供給することにより、主止弁3の下流側の圧力を、減圧弁4の所定減圧値P2よりも低い校正設定圧P1まで低下させる圧力低下処理が実施されるため、より検出精度が高い第2圧力センサSS2の検出値Pmを用いて、第1圧力センサSSの校正処理を行うことが可能となる。
したがって、高圧ガス供給システム1の保証下限圧力P3が減圧弁4の所定減圧値P2よりも高い場合であっても、高圧ガス供給システム1におけるガス容器2内のガスの圧力を精度良く検出して、高圧ガス供給システム1の稼働時間、及び車両等に適用した場合の航続距離を拡大することができる。
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、前記実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
例えば、本発明の高圧ガス供給システム1は、燃料電池電気自動車への適用に限定されるものではなく、その他の車両や航空機、列車、船舶、家庭用や業務用の定置式などの燃料電池システム、あるいは水素ガス以外のガスを利用したシステムにも適用可能である。
また、前記実施形態では、高圧ガス供給システム1においてガスが供給されるガス受容ユニットは、ガスを消費する燃料電池5である場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばガスを貯留するアキュムレータであってもよい。
また、図2に示す校正処理は、前記実施形態ではプログラムを用いたソフトウェア的な処理として説明したが、ASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)等を用いたハードウェア的な処理であってもよい。
1 高圧ガス供給システム
2 ガス容器
3 主止弁(遮断弁)
4 減圧弁
5 燃料電池(ガス受容ユニット)
6 ECU(制御部)
7 中圧デバイス
8 開閉弁
SS1 第1圧力センサ
SS2 第2圧力センサ
E1 第1圧力センサの検出誤差
E2 第2圧力センサの検出誤差
EL 第1圧力センサのリニアリティ誤差
P1 校正設定圧
P2 所定減圧値
P3 保証下限圧力
Ph 第1圧力センサの検出値
Pm 第2圧力センサの検出値

Claims (3)

  1. ガス受容ユニットにガスを供給する高圧ガス供給システムであって、
    ガス容器に収容されているガスの前記ガス容器からの供給を許容又は遮断する遮断弁と、
    前記ガス容器からのガスの圧力を前記ガス供給システムの保証下限圧力よりも低い所定減圧値に減圧する減圧弁と、
    前記減圧弁の上流側に設けられ、第1上限値まで圧力検出可能な第1圧力センサと、
    前記減圧弁の下流側に設けられ、前記第1上限値よりも低い第2上限値まで圧力検出可能な第2圧力センサと、
    前記遮断弁を閉じた状態で、前記第2圧力センサの検出値が前記所定減圧値よりも低い校正設定圧を示すまで、前記遮断弁の下流側のガスを排出、あるいは前記ガス受容ユニットに供給する制御を行い、前記第2圧力センサの検出値が前記校正設定圧を示す時点での前記第2圧力センサの検出値を前記時点での前記第1圧力センサの検出値とするように、前記第1圧力センサの校正処理を行う制御部と、
    を備えたことを特徴とする高圧ガス供給システム。
  2. 前記制御部は、前記第1圧力センサの検出値が、前記保証下限圧力、前記第2圧力センサの検出誤差、及び前記第1圧力センサのリニアリティ誤差の和まで低下したときに、前記ガス受容ユニットへのガスの供給を停止する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の高圧ガス供給システム。
  3. 前記ガス受容ユニットは燃料電池であり、
    前記制御部は、
    A)前記燃料電池の発電停止時であって、前回の前記第1圧力センサの校正処理から第1所定時間が経過している、
    B)前記燃料電池の発電停止時であって、前記第1圧力センサの検出値が所定値以下になっている、及び
    C)前記燃料電池の起動時であって、前回の発電停止から第2所定時間が経過している、との条件のうち少なくともいずれか一つの条件を満たすときに、前記第1圧力センサの校正処理を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高圧ガス供給システム。
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