本発明に係る車両制御システムは、車載装置を制御する車両制御装置を含むシステムであり、イグニッションスイッチがオンされるとバッテリからの電源が供給されるものを基本構成としている。また、本発明の車両制御システムは、特に、バッテリが外された状態から接続された際に、イグニッションスイッチがオフの状態であってもバッテリの再接続を検出して一時的に起動させることが可能なシステムである。本発明の車両制御システムは、例えば、燃料噴射装置を制御する車両制御装置に用いることができる。以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システムの構成>
図1は、第1の実施の形態に係る車両制御システム100の概略構成を示す図である。図1に示すように、車両制御システム100は、バッテリ1と、イグニッションスイッチ2と、メインリレー3と、車両制御装置4とを備えている。
バッテリ1は、車両各部の電気負荷に電源を供給するものである。このバッテリ1には電源ライン10が接続されており、この電源ライン10にはイグニッションスイッチ2や、メインリレー3、車両制御装置4が接続されている。なお、以下においては、バッテリ1から直接車両制御装置4に供給される電圧を「BATT」と記載し、バッテリ1からメインリレー3を介して車両制御装置4に供給される電圧を「+B」と記載する。
イグニッションスイッチ2は、主として車両制御装置4をはじめとして図示せぬ各種制御装置にバッテリ1の電源電圧を供給するためのスイッチである。イグニッションスイッチ2がオンされると、バッテリ1と車両制御装置4とが接続され、オフされると接続が切断される。イグニッションスイッチ2は、例えば、キーシリンダーにキーを差し込んで回転させることによりスイッチをオンさせるメカ式のものを用いてもよく、スタートボタンを押すことでスイッチをオンさせるプッシュスタート式のものを用いてもよい。なお、以下においては、イグニッションスイッチ2を介して車両制御装置4に供給される電圧信号を「IGSW」と記載する。
メインリレー3は、車両制御装置4に電源を供給するリレーである。具体的には、メインリレー3は、リレーコイル3aとリレースイッチ3bとを備えており、リレーコイル3aを通電すると対応するリレースイッチ3bがオンされるようになっている。これにより、メインリレー3が駆動して車両制御装置4にバッテリ1の電源が供給される。リレーコイル3aへの通電は、通常はイグニッションスイッチ2がオンされた際に行われるが、本実施の形態では、後述するように、イグニッションスイッチ2がオフの状態であってもバッテリ1が接続されると行われる構成となっている。
車両制御装置4は、ECU(Electronic Control Unit)として構成されており、主たる構成要素として電源装置40と、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と記載する)45とを備えている。車両制御装置4は、燃料噴射装置を制御する装置である場合には、電源装置40及びマイコン45の他に、燃料噴射を制御するための各種構成要素を含んでいるが、本実施の形態ではそれらの構成要素の図示及び説明は省略する。
電源装置40は、バッテリ1から供給された電圧を所定の電圧に変換して車両制御装置4内部の各電気負荷に供給するものである。また、電源装置40は、イグニッションスイッチ2がオンされると、メインリレー3を駆動することでバッテリ電源が供給され、マイコン45に対して駆動のための電源を供給する。さらに、本実施の形態に係る電源装置40は、イグニッションスイッチ2がオフの状態でバッテリ1が接続された際にメインリレー3を駆動させる機能も有している。電源装置40は、これらの機能を実現するために、電源回路41と、接続検出部42と、IG検出部43と、リレー駆動部44と、ウォッチドッグ回路40aとを備えている。
電源回路41は、メインリレー3を介してバッテリ1から供給された電圧(+B)を所定の電圧に変換してマイコン45や電源装置40の各種電気負荷に供給するものである。電源回路41としては、例えば14Vを5Vに降圧するレギュレータ等を用いることができる。なお、この電源回路41は、マイコン45を駆動させるための電圧を生成するものである。本実施の形態では、マイコン駆動用の電源回路41は備えているが、データ記憶用メモリのデータ保持用電源としての電源回路は備えていない。
接続検出部42は、バッテリ1が接続されたことを検出するとともに、接続を検出するとメインリレー3を駆動する旨を示す駆動信号を出力する。具体的には、接続検出部42は、バッテリ1からの電源ライン10に直接接続されており、取り外されたバッテリ1が再接続された際に変化する電圧を監視することでバッテリ1の接続を検出する。また、接続検出部42は、バッテリ1の接続を検出した場合には駆動信号をリレー駆動部44に出力し、接続を検出しない場合には駆動信号は出力しない。
接続検出部42は、バッテリ1の接続を検出し、メインリレー3の駆動信号を出力することができるものであればよく、その構成は限定されないが、本実施の形態における接続検出部42は、ワンショット回路42aとフリップフロップ42bとを備えている。ワンショット回路42aは、トリガとなる信号の入力を受けて任意の幅のパルス信号を一回だけ出力する回路である。ワンショット回路42aとしては、一定時間のパルス信号を出力できるものであればよいが、例えば、単安定マルチバイブレータ回路を用いることができる。
ワンショット回路42aは、バッテリ1からの電源ライン10に接続されておりBATTが入力される。具体的には、バッテリ1が外された状態ではバッテリ1の電圧信号としてロー信号が入力され、バッテリ1が接続された状態ではハイ信号が入力される。このため、入力信号がローからハイに切り替わることでバッテリ1の接続を検出することができる。ワンショット回路42aは、通常はロー信号を出力しているが、入力信号がローからハイに切り替わると、出力信号をローからハイに切り替えて所定の幅のパルス信号を後段のフリップフロップ42bに出力する。
フリップフロップ42bは、ワンショット回路42aからの入力信号を保持する回路である。例えば、ワンショット回路42aがバッテリ1の接続を検出してパルス信号を出力すると、フリップフロップ42bは、その検出結果を所定時間保持するとともに後段のリレー駆動部44に出力する。本実施の形態のフリップフロップ42bは、RS型フリップフロップであり、セット端子(S)にはワンショット回路42aの出力信号が入力され、リセット端子(R)にはマイコン45から出力された、後述するウォッチドッグ信号が入力される。すなわち、フリップフロップ42bは、ワンショット回路42aからパルス信号を入力すると出力信号をハイに切り替え、ウォッチドッグ信号を入力するまでの間保持し、ウォッチドッグ信号を入力すると出力信号をローに切り替える。このフリップフロップ42bから出力されるハイ信号が駆動信号に相当する。なお、ワンショット回路42aからの入力信号を保持する構成は、これに限定されるものではなく他の保持回路でもよい。
IG検出部43は、イグニッションスイッチ2のオン又はオフを検出する。IG検出部43は、イグニッションスイッチ2を介してバッテリ1の電源ライン10に接続されており、イグニッションスイッチ2がオン状態の電圧とオフ状態の電圧とに応じてイグニッションスイッチ2のオン又はオフを検出する。IG検出部43は、検出結果を示す信号をリレー駆動部44に出力する。
IG検出部43は、イグニッションスイッチ2のオン又はオフを検出することができるものであればよく、その構成は限定されないが、本実施の形態におけるIG検出部43は、コンパレータ43aを備えている。コンパレータ43aの非反転入力端子は、イグニッションスイッチ2と接続されておりIGSWが入力される。また、コンパレータ43aの反転入力端子は、基準電源に接続されている。イグニッションスイッチ2がオンされると、コンパレータ43aはバッテリ1と接続されるため、非反転入力端子にはBATTが入力される。
基準電源の電圧は、BATTと比較するための電圧に設定されており、バッテリ1と接続されているときにはコンパレータ43aからはハイ信号が出力され、接続されていないときはコンパレータ43aからはロー信号が出力される。すなわち、コンパレータ43aは、イグニッションスイッチ2がオンのときにはハイ信号を出力し、イグニッションスイッチ2がオフのときにはロー信号を出力する。コンパレータ43aから出力された信号は、リレー駆動部44及びマイコン45に入力される。なお、以下においては、コンパレータ43aから出力される信号を「IGSWO」と記載する。
リレー駆動部44は、メインリレー3を駆動又は停止させるものである。リレー駆動部44は、メインリレー3を駆動させる際には、リレーコイル3aを通電させる信号を出力し、停止させる際には非通電の信号を出力する。リレー駆動部44には、接続検出部42からの出力信号及びIG検出部43からの出力信号の他に、後述するマイコン45からの出力信号が入力される。リレー駆動部44は、これら各信号に基づいてメインリレー3の駆動又は停止、すなわち通電の可否を決定する。
リレー駆動部44は、入力した各信号に基づいてメインリレー3を駆動又は停止するものであればよく、その構成は限定されないが、本実施の形態におけるリレー駆動部44は、3入力のオア回路44aを備えている。オア回路44aの各入力端子には、フリップフロップ42bからの出力信号と、コンパレータ43aからの出力信号と、マイコン45からの出力信号とが入力される。そして、これら入力信号の少なくとも1つが、バッテリ1の接続を示す信号(駆動信号)か、イグニッションスイッチ2のオン信号か、メインリレー3の駆動を保持する信号である場合には、オア回路44aは、メインリレー3を駆動する。すなわち、オア回路44aは、リレーコイル3aを通電する旨の信号を出力する。
一方、入力信号が前記各信号のいずれでもない場合には、オア回路44aは、メインリレー3を駆動しない。すなわち、オア回路44aは、リレーコイル3aを非通電にする旨の信号を出力する。このように、オア回路44aは、3入力のいずれか1つでもハイ信号であればハイ信号を出力してメインリレー3を駆動し、全てロー信号であればロー信号を出力してメインリレー3を駆動しないこととなる。なお、以下においては、オア回路44aから出力される信号を「MRELO」と記載する。
なお、オア回路44aとメインリレー3との間に、リレーコイル3aを通電するための駆動源を設けてもよい。オア回路44aからメインリレー3を駆動させるだけの出力が得られない場合などに有効である。また、バッテリ1からの電源ライン10を介して直接入力されるBATTは、上記各構成要素のほかにも電源装置40内に設けられている図示しない各種電気負荷にも供給される。
マイコン45は、CPU46、RAM47、ROM48及びデータ記憶部49を備え、車両制御装置4全体を制御する。マイコン45が備える各種機能は、ROM48に予め記憶されたプログラムに従ってCPU46が演算処理を行うことで実現される。このようなマイコン45が備える機能には、メインリレー3を駆動又は停止する機能や、データ記憶部49のデータを記憶又は消去する機能が含まれている。
データ記憶部49は、車両制御装置4が車両を制御する際に用いる学習値や、車両の自己診断の結果(ダイアグコード)等を記憶している。データ記憶部49としては、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリが用いられている。
マイコン45は、電源回路41から電圧が供給されると起動する。すなわち、マイコン45は、メインリレー3が駆動した場合に起動する。また、電源回路41から供給された電圧は、前記CPU46等の各構成要素のほかにマイコン45内に設けられている図示しない各種電気負荷に供給される。
マイコン45は、起動するとマイコン45の暴走を監視するためにCPU46の指示によりウォッチドッグ信号を出力すると共に、メインリレー3の駆動を保持する信号を出力する。なお、これらウォッチドッグ信号やメインリレー3の駆動を保持する信号が、マイコン45が起動した旨を示す起動信号となる。以下においては、ウォッチドッグ信号を「WDC」と記載し、メインリレー3の駆動を保持する信号を「保持信号」又は「MRHOLD」と記載する。WDCはフリップフロップ42bのリセット端子(R)に入力され、MRHOLDはオア回路44aに入力される。
ウォッチドッグ信号は、本来電源装置40内に設けられるウォッチドッグ回路40aに供給されるものであり、マイコン45が正常である限り一定周期でハイ、ローに切り替わる信号である。ウォッチドッグ回路40aはウォッチドッグ信号の状態を監視することでマイコン45の異常を検出する。即ち、ウォッチドッグ信号がハイまたはローいずれかの状態に所定時間以上継続すれば、ウォッチドッグ回路40aはマイコン45が異常であると判断しマイコン45をリセットする。本実施の形態においては、このウォッチドッグ信号をマイコン45が起動した旨を示す起動信号として兼用している。即ち、ウォッチドッグ信号はウォッチドッグ回路40aとフリップフロップ42bとに供給される。
また、マイコン45には、コンパレータ43aからの出力信号が入力されており、CPU46によってイグニッションスイッチ2のオン又はオフを判断している。メインリレー3が駆動する場合としては、イグニッションスイッチ2がオンされた場合と、イグニッションスイッチ2がオフのときにバッテリ1が接続されたことを検出して電源装置40がハード的に駆動させる場合とがあるため、マイコン45がいずれの場合に起動したのかを判別するためである。
CPU46は、マイコン45の起動後にイグニッションスイッチ2のオン又はオフを判定し、オフであると判定した場合にはバッテリ1が接続されたと判断してデータ記憶部49のデータを消去する。一方、CPU46は、オンであると判定した場合には通常の起動であると判断してデータ記憶部49のデータの消去は行わない。
このように、本実施の形態に係る車両制御システム100は、バッテリ1の再接続を検出してハード的にメインリレー3を駆動させることでマイコン45を起動することができる。これにより、イグニッションスイッチ2がオフの場合であっても、マイコン45がデータ記憶部49のデータを消去することができるようになっている。
<1−2.システムの動作>
次に、車両制御システム100の動作について図2を用いて説明する。図2は、バッテリ1が接続された場合及び通常の起動処理が行われた場合における各種信号の変化を示すタイムチャートである。なお、各信号において高電圧状態を「ハイ」と記載し、低電圧状態を「ロー」と記載する。
BATTは、バッテリ1から直接供給される電圧信号を示しており、バッテリ1が接続されていない状態ではローであり、接続されている状態でハイとなる。IGSWOは、コンパレータ43aの出力信号を示しており、イグニッションスイッチ2がオフの状態ではローであり、オンの状態でハイとなる。ワンショット出力は、ワンショット回路42aの出力信号を示している。F.F.出力は、フリップフロップ42bの出力信号を示しており、ハイがメインリレー3の駆動信号に相当する。MRELOは、オア回路44aからの出力信号を示しており、ハイのときにリレーコイル3aが通電され、ローのときにはリレーコイル3aは通電されない。+Bは、メインリレー3を介して供給されるバッテリ1の電圧信号を示している。マイコン動作は、マイコン45の動作状況を示している。MRHOLDは、マイコン45からオア回路44aに出力される保持信号を示している。WDCは、マイコン45からウォッチドッグ回路40a及びフリップフロップ42bに出力されるウォッチドッグ信号を示している。WDCは、一定の周期でハイとローを繰り返すパルスであり、マイコン45が正常に動作している際に出力される。
図2に示すタイムチャートの開始時点では、バッテリ1は取り外された状態であり(BATTがロー)、イグニッションスイッチ2もオフである(IGSWOがロー)。また、他の信号も全てローである。まず、この状態から、バッテリ1が接続された場合について説明する。
時点T1において、バッテリ1が接続されるとBATTが立ち上がる(BATTがハイ)。このBATTの立ち上がりを検出して、ワンショット回路42aがパルスを出力する(ワンショット出力がハイ)。フリップフロップ42bは、セット端子にワンショット回路42aからのパルスが入力され、出力信号をハイにセットする(F.F.出力がハイ)。オア回路44aは、3入力のうちの1つからハイ信号が入力されるためハイ信号を出力する(MRELOがハイ)。すなわち、フリップフロップ42bからメインリレー3の駆動信号が出力され、オア回路44aがリレーコイル3aを通電する信号を出力する。これにより、メインリレー3が駆動し、バッテリ1から供給される電圧が上昇する(+Bが上昇)。
次に、時点T2において、+Bが一定の電圧に達するとマイコン45が起動して動作を開始する(マイコン動作が動作中)。マイコン45は、動作を開始するとメインリレー3の駆動を保持するために保持信号を出力する(MRHOLDがハイ)。また、マイコン45は、動作を開始するとマイコン45の暴走を監視するためにウォッチドッグ信号の出力を開始する(WDCのパルス出力開始)。
なお、マイコン45は、動作を開始するとイグニッションスイッチ2のオン又はオフを判断する。この判断は、コンパレータ43aから出力された信号(IGSWO)に基づいて行われる。マイコン45が動作を開始した時点T2においてIGSWOはローであり、イグニッションスイッチ2はオフであると判断される。マイコン45は、イグニッションスイッチ2がオフであるため、バッテリ1が接続されたと判断し、データ記憶部49のデータを消去する処理の実行を開始する。
また、時点T3において、フリップフロップ42bは、リセット端子にWDCが入力されたことを検出して出力信号をローに切り替える(F.F.出力がロー)。この場合において、オア回路44aには、フリップフロップ42bからロー信号が入力されるものの、マイコン45からMRHOLDのハイ信号が入力されているため、メインリレー3の駆動状態は保持されておりマイコン45は動作の継続が可能である。
マイコン45がデータ記憶部49のデータ消去の処理を完了すると、時点T4において、メインリレー3の駆動を停止するために保持信号の出力を停止する(MRHOLDがロー)。オア回路44aに入力される全ての信号がローとなり、オア回路44aはロー信号を出力する(MRELOがロー)。これにより、メインリレー3の駆動が停止されてバッテリ1から供給される電圧が低下する(+Bが低下)。
そして、時点T5において、+Bが一定の電圧まで低下するとマイコン45が動作を停止し、データ消去に関する処理を終了する。
このように、バッテリ1が外された状態から再度接続された場合であっても、それを検出してメインリレー3を駆動させる構成を設けることにより、イグニッションスイッチ2がオフの状態であってもバッテリ1を接続するだけでデータ記憶部49のデータを消去することが可能になる。
次に、通常の起動処理が行われた場合について説明する。通常の起動は、バッテリ1が接続された状態(BATTがハイ)で開始する。まず、時点T6において、イグニッションスイッチ2がオンされると、コンパレータ43aからハイ信号が出力される(IGSWOがハイ)。すると、オア回路44aからハイ信号が出力される(MRELOがハイ)。これにより、メインリレー3が駆動してバッテリ1から供給される電圧が上昇する(+Bが上昇)。
次に、時点T7において、+Bが一定の電圧に達するとマイコン45が起動して動作を開始する(マイコン動作が動作中)。マイコン45は、動作を開始するとメインリレー3の駆動を保持するために保持信号を出力する(MRHOLDがハイ)。また、マイコン45は、動作を開始するとマイコン45の暴走を監視するためにウォッチドッグ信号の出力を開始する(WDCのパルス出力開始)。
また、マイコン45は、動作を開始するとイグニッションスイッチ2のオン又はオフを判断する。この判断は上記と同様にして行うことができる。マイコン45が動作を開始した時点T7においてIGSWOはハイであるため、イグニッションスイッチ2はオンであると判断される。マイコン45は、イグニッションスイッチ2がオンであるため、通常の起動処理が行われたと判断し、データ記憶部49のデータを消去する処理は実行しない。
その後、時点T8において、車両の走行等の通常の処理が終了してイグニッションスイッチ2がオフになると(IGSWOがロー)、マイコン45は所定の終了処理を実行する。そして、時点T9において、マイコン45は、終了処理を実行した後にメインリレー3の駆動を停止するために保持信号の出力を停止する(MRHOLDがロー)。オア回路44aに入力される全ての信号がローとなり、オア回路44aはロー信号を出力する(MRELOがロー)。これにより、メインリレー3の駆動が停止されてバッテリ1から供給される電圧が低下する(+Bが低下)。
そして、時点T10において、+Bが一定の電圧まで低下するとマイコン45が動作を停止し、通常処理を終了する。
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、バッテリ1を接続した際に車両制御装置4の電源装置40がそれを検出してハード的にメインリレー3を駆動する構成を有していた。これは、車両制御装置4のマイコン45がバッテリ1の接続だけでは起動できず、メインリレー3を駆動しないと起動しないからである。ただし、車両にはイグニッションスイッチ2をオンした場合でなく、バッテリ1が接続されると起動するECUも存在する。このため、車両制御装置4の電源装置40がハード的にメインリレー3を駆動する構成ではなく、バッテリ1が接続されると起動するECUがメインリレー3を駆動する構成であってもよい。そこで、第2の実施の形態では、他のECUがバッテリの接続を検出してメインリレーを駆動することで車両制御装置を起動させる構成について説明する。以下、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
<2−1.システムの構成>
図3は、第2の実施の形態に係る車両制御システム101の概略構成を示す図である。図3に示すように、車両制御システム101は、バッテリ1と、イグニッションスイッチ2と、メインリレー3と、車両制御装置5と、他の車両制御装置6とを備えている。
バッテリ1、イグニッションスイッチ2及びメインリレー3は、第1の実施の形態で説明した各構成と同じである。ただし、本実施の形態では、車両制御装置5にはバッテリ1から接続検出用の接続ラインが接続されておらず、他の車両制御装置6にはバッテリ1からの接続ラインが接続されている。また、メインリレー3には、車両制御装置5及び他の車両制御装置6の双方からリレーコイル3aを通電する信号が供給される構成である。
本実施の形態の車両制御装置5は、上述した第1の実施の形態の車両制御装置4と同様に、通常はイグニッションスイッチ2がオンされるとメインリレー3が駆動して起動することを基本構成としている。ただし、本実施の形態では、バッテリ1が接続された際に、車両制御装置5自身がメインリレー3を駆動する構成ではなく、外部装置である他の車両制御装置6がメインリレー3を駆動することで車両制御装置5を起動させる構成である。
車両制御装置5は、ECUとして構成されており、主たる構成要素として電源装置50とマイコン55とを備えている。なお、車両制御装置5として燃料噴射装置を制御する装置を用いることが可能であり、この場合、車両制御装置5は電源装置50及びマイコン55の他に、燃料噴射を制御するための構成要素を含んでいるが、これら他の構成要素の図示及び説明は省略する。
電源装置50は、バッテリ1から供給された電圧を所定の電圧に変換して車両制御装置5内部の各電気負荷に供給するものである。また、電源装置50は、イグニッションスイッチ2がオンされると、メインリレー3を駆動することでバッテリ電源が供給され、マイコン55に対して駆動のための電源を供給する。さらに、本実施の形態に係る電源装置50は、イグニッションスイッチ2がオフの状態でも、他の車両制御装置6がメインリレー3を駆動させる構成を有しており、この場合も同様にマイコン55に駆動のための電源を供給する。電源装置は、これらの機能を実現するために、電源回路51と、IG検出部53と、リレー駆動部54とを備えている。
電源回路51は、メインリレー3を介してバッテリ1から供給された電圧(+B)を所定の電圧に変換してマイコン55や電源装置50の各種電気負荷に供給する。電源回路51としては、例えば14Vを5Vに降圧するレギュレータ等を用いることができる。なお、この電源回路51は、マイコン55を駆動させるための電圧を生成するものである。本実施の形態においても、マイコン駆動用の電源回路は備えているが、データ記憶用メモリのデータ保持用電源としての電源回路は備えていない。
IG検出部53は、イグニッションスイッチ2のオン又はオフを検出する。IG検出部53は、イグニッションスイッチ2を介してバッテリ1の電源ライン10に接続されており、イグニッションスイッチ2がオン状態の電圧とオフ状態の電圧とに応じてイグニッションスイッチ2のオン又はオフを検出する。IG検出部53は、検出結果を示す信号をリレー駆動部54に出力する。
IG検出部53は、イグニッションスイッチ2のオン又はオフを検出することができるものであればよく、その構成は限定されないが、本実施の形態におけるIG検出部53は、コンパレータ53aを備えており、第1の実施の形態のIG検出部43と同様の構成である。すなわち、コンパレータ53aは、イグニッションスイッチ2がオンのときにはハイ信号を出力し、オフのときにはロー信号を出力する。また、出力信号はリレー駆動部54及びマイコン55に入力される。なお、コンパレータ53aからの出力信号を「IGSWO」と記載する。
リレー駆動部54は、メインリレー3を駆動又は停止させるものである。リレー駆動部54は、メインリレー3を駆動させる際には、リレーコイル3aを通電させる信号を出力し、停止させる際には非通電の信号を出力する。リレー駆動部54には、IG検出部53からの出力信号の他に、後述するマイコン55からの出力信号が入力される。リレー駆動部54は、これら各信号に基づいてメインリレー3の駆動又は停止、すなわち通電の可否を決定する。
リレー駆動部54は、入力した各信号に基づいてメインリレー3を駆動又は停止するものであればよく、その構成は限定されないが、本実施の形態におけるリレー駆動部54は、2入力のオア回路54aを備えている。オア回路54aの各入力端子には、コンパレータ53aからの出力信号と、マイコン55からの出力信号とが入力される。そして、これら入力信号の少なくとも1つが、イグニッションスイッチ2のオン信号か、メインリレー3の駆動を保持する信号である場合には、オア回路54aは、メインリレー3を駆動する。すなわち、オア回路54aは、リレーコイル3aを通電する旨の信号を出力する。
一方、入力信号が前記各信号のいずれでもない場合には、オア回路54aは、メインリレー3を駆動しない。すなわち、オア回路54aは、リレーコイル3aを非通電にする旨の信号を出力する。このように、オア回路54aは、2入力のいずれか1つでもハイ信号であればハイ信号を出力してメインリレー3を駆動し、共にロー信号であればロー信号を出力してメインリレー3を駆動しないこととなる。なお、オア回路54aから出力される信号を「MRELO1」と記載する。
また、第1の実施の形態と同様に、オア回路54aとメインリレー3との間に、リレーコイル3aを通電するための駆動源を設けてもよい。
マイコン55は、CPU56、RAM57、ROM58及びデータ記憶部59を備えており、第1の実施の形態におけるマイコン45と同様の構成である。すなわち、マイコン55が備える機能には、メインリレー3を駆動又は停止する機能や、データ記憶部59のデータを記憶又は消去する機能が含まれている。また、マイコン55は、起動するとメインリレー3の駆動を保持するために保持信号(MRHOLD)を出力する。このMRHOLDはオア回路54aに入力され、メインリレー3の駆動状態が保持されることでマイコン55は継続した駆動が可能になる。
また、マイコン55は、コンパレータ53aからイグニッションスイッチ2のオン又はオフの信号を入力しており、マイコン55が起動した際にイグニッションスイッチ2がオンであることを検出すると通常起動であると判断して通常処理を実行し、オフであることを検出するとバッテリ1が接続されたことによる起動であると判断して、データ記憶部59のデータを消去する処理を実行する。
他の車両制御装置6は、電源ライン10を介してバッテリ1と直接接続されており、バッテリ1が接続されると起動することが可能なECUである。他の車両制御装置6は、例えば電源ECUやボデー系のECUである。また、他の車両制御装置6は、主たる構成要素としてマイコン65を備えており、他の構成要素についての図示及び説明は省略する。
マイコン65は、電源回路61、CPU66、RAM67及びROM68を備えている。マイコン65が備える各種機能は、ROM67に記憶されたプログラムに従ってCPU66が演算処理を行うことで実現される。このようなマイコン65が備える機能には、メインリレー3を駆動又は停止する機能が含まれている。
電源回路61は、バッテリ1からの電源ライン10に直接接続されており、バッテリ1から供給された電圧(BATT)を所定の電圧に変換してCPU66等の各種電気負荷に供給するものである。電源回路61としては、例えば14Vを5Vに降圧するレギュレータ等を用いることができる。
マイコン65は、上述のようにバッテリ1からの電源ライン10に直接接続されているため、バッテリ1が接続されている状態では常にBATTが供給されており、イグニッションスイッチ2のオン又はオフに関わらず起動している。つまり、マイコン65は、バッテリ1が外されている状態では起動しないものの、再度接続されると起動するようになっている。
このため、マイコン65は、自らが起動することでバッテリ1が接続されたことを検出することが可能であり、バッテリ1の接続を検出するとCPU66の指示によりメインリレー3を駆動する構成を有している。すなわち、マイコン65は、バッテリ1の接続を検出すると、リレーコイル3aを通電する旨の信号を出力する。このマイコン65から出力されるリレーコイル3aを通電する旨の信号がメインリレー3の駆動信号となる。
また、マイコン65は、タイマ機能を有しており、リレーコイル3aを通電する旨の信号を出力してから所定時間経過後に、その出力を停止する。これは、他の車両制御装置6がメインリレー3を駆動すると、車両制御装置5が起動してメインリレー3の駆動を保持することから、他の車両制御装置6側でメインリレー3の駆動を保持しておく必要がないためである。従って、所定時間とは、車両制御装置5が起動して保持信号を出力することができる程度の時間であればよい。なお、マイコン65から出力される駆動信号、すなわちリレーコイル3aを通電又は非通電にする旨の信号を「MRELO2」と記載する。
このように、本実施の形態における車両制御システム101は、他の車両制御装置6がバッテリ1の接続を検出するとメインリレー3を駆動することにより、車両制御装置5に+Bが供給されるため、車両制御装置5を起動させることができる。これにより、イグニッションスイッチ2がオフの場合であっても、マイコン55がデータ記憶部59のデータを消去することが可能になる。
<2−2.システムの動作>
次に、第2の実施の形態に係る車両制御システム101の動作について図4を用いて説明する。図4は、バッテリ1が接続された場合及び通常の起動処理が行われた場合における各種信号の変化を示すタイムチャートである。各信号において高電圧状態を「ハイ」と記載し、低電圧状態を「ロー」と記載する。
図4に示す、BATT、IGSWO、+B及びMRHOLDは、第1の実施の形態のものと同様である。マイコン55動作は、車両制御装置5のマイコン55の動作状況を示しており、マイコン65動作は、他の車両制御装置6のマイコン65の動作状況を示している。MRELO1は、オア回路54aからの出力信号を示しており、MRELO2は、マイコン65から出力される駆動信号を示している。MRELO1及びMRELO2がハイのときにはリレーコイル3aが通電され、ローのときにはリレーコイル3aは通電されない。
図4に示すタイムチャートの開始時点では、バッテリ1は取り外された状態であり(BATTがロー)、イグニッションスイッチ2もオフである(IGSWOがロー)。また、他の信号も全てローである。まず、この状態からバッテリ1が接続された場合について説明する。
時点T1において、バッテリ1が接続されるとBATTが立ち上がる(BATTがハイ)。BATTの立ち上がりに同期して他の車両制御装置6にBATTが供給され、マイコン65が起動し動作を開始する(マイコン65動作が動作中)とともにバッテリ1の接続を検出する。マイコン65は、動作を開始してバッテリ1の接続を検出すると、メインリレー3を駆動するためにリレーコイル3aを通電する旨の信号を出力する(MRELO2がハイ)。すなわち、他の車両制御装置6が、バッテリ1の接続を検出し、メインリレー3の駆動信号を出力する。これにより、メインリレー3が駆動し、バッテリ1から車両制御装置5に供給される電圧が上昇する(+Bが上昇)。
次に、時点T2において、+Bが一定の電圧に達するとマイコン55が起動して動作を開始する(マイコン55動作が動作中)。マイコン55は、動作を開始するとメインリレー3の駆動を保持するために保持信号を出力する(MRHOLDがハイ)。オア回路54aは、2入力のうちの1つにハイ信号が入力されることになるためハイ信号を出力する(MRELO1がハイ)。これにより、車両制御装置5からもメインリレー3を駆動する信号を出力することになる。
なお、マイコン55は、動作を開始するとイグニッションスイッチ2のオン又はオフを判断する。この判断は、コンパレータ53aから出力された信号(IGSWO)に基づいて行われる。マイコン55が動作を開始した時点T2においてIGSWOはローであり、イグニッションスイッチ2はオフであると判断される。マイコン55は、イグニッションスイッチ2がオフであるため、バッテリ1が接続されたと判断し、データ記憶部59のデータを消去する処理の実行を開始する。
また、時点T3において、マイコン65は、リレーコイル3aを通電する旨の信号の出力を停止する(MRELO2がロー)。MRELO2がハイの期間(T1からT3までの期間)はマイコン65に予め設定されており、マイコン65は、出力信号をハイにしてから所定時間が経過すると出力信号をローにする。これにより、他の車両制御装置6はメインリレー3の駆動を停止することになるが、マイコン55が保持信号を出力しているため、メインリレー3の駆動状態は保持されており、マイコン55は動作の継続が可能である。
マイコン55がデータ記憶部59のデータ消去の処理を完了すると、時点T4において、メインリレー3の駆動を停止するために保持信号の出力を停止する(MRHOLDがロー)。オア回路54aに入力される全ての信号がローとなり、オア回路54aはロー信号を出力する(MRELO1がロー)。これにより、メインリレー3の駆動が停止されてバッテリ1から供給される電圧が低下する(+Bが低下)。
そして、時点T5において、+Bが一定の電圧まで低下するとマイコン55が動作を停止し、データ消去に関する処理を終了する。
このように、バッテリ1が外された状態から再度接続された場合であっても、バッテリ1が接続されると起動する他のECUを用いてメインリレー3を駆動させる構成とすることにより、イグニッションスイッチ2がオフの状態であってもバッテリ1を接続するだけでデータ記憶部59のデータを消去することが可能になる。
次に、通常の起動処理が行われた場合について説明する。通常の起動は、バッテリ1が接続され、マイコン65が動作中の状態で開始する(BATTがハイ、マイコン65動作が動作中)。まず、時点T6において、イグニッションスイッチ2がオンされると、コンパレータ53aからハイ信号が出力される(IGSWOがハイ)。すると、オア回路54aからハイ信号が出力される(MRELO1がハイ)。これにより、メインリレー3が駆動してバッテリ1から供給される電圧が上昇する(+Bが上昇)。
次に、時点T7において、+Bが一定の電圧に達するとマイコン55が起動して動作を開始する(マイコン55動作が動作中)。マイコン55は、動作を開始するとメインリレー3の駆動を保持するために保持信号を出力する(MRHOLDがハイ)。
また、マイコン55は、動作を開始するとイグニッションスイッチ2のオン又はオフを判断する。この判断は上記と同様にして行うことができる。マイコン55が動作を開始した時点T7においてIGSWOはハイであるため、イグニッションスイッチ2はオンであると判断される。マイコン55は、イグニッションスイッチ2がオンであるため、通常の起動処理が行われたと判断し、データ記憶部59のデータを消去する処理は実行しない。
その後、時点T8において、車両の走行等の通常の処理が終了してイグニッションスイッチ2がオフになると(IGSWOがロー)、マイコン55は所定の終了処理を実行する。そして、時点T9において、マイコン55は、終了処理を実行した後にメインリレー3の駆動を停止するために保持信号の出力を停止する(MRHOLDがロー)。オア回路54aに入力される全ての信号がローとなり、オア回路54aはロー信号を出力する(MRELO1がロー)。これにより、メインリレー3の駆動が停止されてバッテリ1から供給される電圧が低下する(+Bが低下)。
そして、時点T10において、+Bが一定の電圧まで低下するとマイコン55が動作を停止し、通常処理を終了する。
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、バッテリ1が接続されると他の車両制御装置6が直接メインリレー3を駆動させて車両制御装置5を起動する構成としていたが、他の車両制御装置6が直接メインリレー3を駆動させない構成としてもよい。そこで、第3の実施の形態では、外部装置である他の車両制御装置がバッテリ1の接続を検出して、その検出結果を車両制御装置に送信し、車両制御装置が検出結果に基づいてメインリレーを駆動させる構成について説明する。以下、第1及び第2の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
<3−1.システムの構成>
図5は、第3の実施の形態に係る車両制御システム102の概略構成を示す図である。図5に示すように、車両制御システム102は、バッテリ1と、イグニッションスイッチ2と、メインリレー3と、IGリレー7と、車両制御装置8と、他の車両制御装置9とを備えている。
バッテリ1、イグニッションスイッチ2及びメインリレー3は、第1及び第2の実施の形態で説明した各構成と同じである。本実施の形態においては、車両制御装置8にはバッテリ1からの接続検出用の接続ラインとイグニッションスイッチの接続ラインが接続されておらず、他の車両制御装置9にはバッテリ1から直接接続された接続ラインと、イグニッションスイッチ2を介して接続された接続ラインとが接続されている。また、メインリレー3には、車両制御装置8からリレーコイル3aを通電する信号が供給され、他の車両制御装置9からは供給されない構成である。
IGリレー7は、車両制御装置8にイグニッションスイッチ2のオン又はオフ情報を伝達するものである。IGリレー7は、リレーコイル7aとリレースイッチ7bとを備えており、リレーコイル7aを通電すると対応するリレースイッチ7bがオンされてIGリレー7が駆動する。具体的には、他の車両制御装置9がリレーコイル7aを通電する旨の信号を出力すると、IGリレー7が駆動するようになっている。IGリレー7が駆動する場合としては、通常はイグニッションスイッチ2がオンの場合であるが、本実施の形態ではバッテリ1が接続された場合も含まれる。
IGリレー7はバッテリ1の電源ライン10と接続されており、IGリレー7が駆動すると車両制御装置8にバッテリ電圧が印加され、停止すると印加されなくなる。すなわち、この電圧値がイグニッションスイッチ2のオン又はオフ情報に対応する。以下では、IGリレー7が駆動した場合の電圧信号を「イグニッションスイッチ2のオン信号」とし、停止した場合の電圧信号を「イグニッションスイッチ2のオフ信号」と記載して説明する場合がある。
車両制御装置8は、IGリレー7からイグニッションスイッチ2のオン信号が入力されるとメインリレー3を駆動して動作を開始することを基本構成としている。車両制御装置8は、ECUとして構成されており、主たる構成要素として電源装置80とマイコン85とを備えている。なお、車両制御装置8として燃料噴射装置を制御する装置を用いることが可能であり、この場合、車両制御装置8は電源装置80及びマイコン85の他に燃料噴射を制御するための構成要素を含んでいるが、これら他の構成要素の図示及び説明は省略する。
電源装置80は、バッテリ1から供給された電圧を所定の電圧に変換して車両制御装置8内部の各電気負荷に供給するものである。また、電源装置80は、IGリレー7からイグニッションスイッチ2のオン信号が入力されるとメインリレー3を駆動することでバッテリ電源が供給され、マイコン85に対して駆動のための電源を供給する。電源装置は、これらの機能を実現するために、電源回路81と、IG検出部83と、リレー駆動部84とを備えている。
電源回路81は、メインリレー3を介してバッテリ1から供給された電圧(+B)を所定の電圧に変換してマイコン85や電源装置80の各種電気負荷に供給する。電源回路81としては、例えば14Vを5Vに降圧するレギュレータ等を用いることができる。なお、この電源回路81は、マイコン85を駆動させるための電圧を生成するものである。本実施の形態においても、マイコン駆動用の電源回路は備えているが、データ記憶用メモリのデータ保持用電源としての電源回路は備えていない。
IG検出部83は、イグニッションスイッチ2のオン又はオフを検出する。IG検出部83は、イグニッションスイッチ2と接続されておらず、IGリレー7と接続されており、IGリレー7から出力された電圧信号に応じてイグニッションスイッチ2のオン又はオフを検出する。IG検出部83は、検出結果を示す信号をリレー駆動部84に出力する。
IG検出部83は、イグニッションスイッチ2のオン又はオフを検出することができるものであればよく、その構成は限定されないが、本実施の形態におけるIG検出部83は、コンパレータ83aを備えている。コンパレータ83aの非反転入力端子は、IGリレー7と接続されており、反転入力端子は基準電源に接続されている。IGリレー7が駆動すると、コンパレータ83aはバッテリ1と接続され、非反転入力端子にはBATTが入力される。
基準電源の電圧は、BATTと比較するための電圧に設定されており、バッテリ1と接続されているときにはコンパレータ83aからはハイ信号が出力され、接続されていないときはコンパレータ83aからはロー信号が出力される。すなわち、コンパレータ83aは、IGリレー7が駆動しているときにはイグニッションスイッチ2のオン信号が入力されてハイ信号を出力し、IGリレー7が停止しているときにはイグニッションスイッチ2のオフ信号が入力されてロー信号を出力する。コンパレータ83aから出力された信号は、リレー駆動部84及びマイコン85に入力される。なお、コンパレータ83aから出力される信号を「IGSWO」と記載する。
リレー駆動部84は、メインリレー3を駆動又は停止させるものである。リレー駆動部84は、メインリレー3を駆動させる際には、リレーコイル3aを通電させる信号を出力し、停止させる際には非通電の信号を出力する。リレー駆動部84には、IG検出部83からの出力信号の他に、マイコン85からの出力信号が入力される。リレー駆動部84は、これら各信号に基づいてメインリレー3の駆動又は停止、すなわち通電の可否を決定する。
リレー駆動部84は、入力した各信号に基づいてメインリレー3を駆動又は停止するものであればよく、その構成は限定されないが、本実施の形態におけるリレー駆動部84は、2入力のオア回路84aを備えている。オア回路84aの各入力端子には、コンパレータ83aからの出力信号と、マイコン85からの出力信号とが入力される。そして、これら入力信号の少なくとも1つが、イグニッションスイッチ2のオン信号か、メインリレー3の駆動を保持する信号である場合には、オア回路84aは、メインリレー3を駆動する。すなわち、オア回路84aは、リレーコイル3aを通電する旨の信号を出力する。
一方、入力信号が前記各信号のいずれでもない場合には、オア回路84aは、メインリレー3を駆動しない。すなわち、オア回路84aは、リレーコイル3aを非通電にする旨の信号を出力する。このように、オア回路84aは、2入力のいずれか1つでもハイ信号であればハイ信号を出力してメインリレー3を駆動し、共にロー信号であればロー信号を出力してメインリレー3を駆動しないこととなる。なお、オア回路84aから出力される信号を「MRELO1」と記載する。
また、上記各実施の形態と同様に、オア回路84aとメインリレー3との間に、リレーコイル3aを通電するための駆動源を設けてもよい。
マイコン85は、CPU86、RAM87、ROM88及びデータ記憶部89を備えており、上記各実施の形態におけるマイコン45・55と同様の構成である。すなわち、マイコン85が備える機能には、メインリレー3を駆動又は停止する機能や、データ記憶部89のデータの記憶又は消去する機能が含まれている。また、マイコン85は、起動するとメインリレー3の駆動を保持するために保持信号(MRHOLD)を出力する。このMRHOLDはオア回路84aに入力され、メインリレー3の駆動状態が保持されることでマイコン85は継続した駆動が可能になる。
また、マイコン85は、コンパレータ83aからイグニッションスイッチ2のオン又はオフの信号を入力しており、マイコン85が起動した際にイグニッションスイッチ2がオンであることを検出すると通常起動であると判断して通常処理を実行し、オフであることを検出するとバッテリ1が接続されたことによる起動であると判断して、データ記憶部89のデータを消去する処理を実行する。
他の車両制御装置9は、電源ライン10を介してバッテリ1と直接接続されており、バッテリ1が接続されると起動することが可能なECUである。また、他の車両制御装置9は、イグニッションスイッチ2とも接続されている。このような他の車両制御装置9は、例えば電源ECUを用いることができる。他の車両制御装置9は、主たる構成要素としてマイコン95を備えており、他の構成要素についての図示及び説明は省略する。
マイコン95は、電源回路91、IG検出部93、CPU96、RAM97及びROM98を備えている、マイコン95が備える各種機能は、ROM98に記憶されたプログラムに従ってCPU96が演算処理を行うことで実現される。このようなマイコン95が備える機能には、IGリレー7を駆動又は停止する機能が含まれている。
電源回路91は、バッテリ1からの電源ライン10に直接接続されており、バッテリ1から供給された電圧(BATT)を所定の電圧に変換してCPU96等の各種電気負荷に供給するものである。電源回路91としては、例えば14Vを5Vに降圧するレギュレータ等を用いることができる。
IG検出部93は、イグニッションスイッチ2のオン又はオフを検出する。具体的には、IG検出部93は、入力される電圧に応じてイグニッションスイッチ2のオン又はオフを検出し、その検出結果をCPU96に出力する。このようなIG検出部93としては、イグニッションスイッチ2のオン又はオフを検出することができる構成であればよい。
マイコン95は、IG検出部93からイグニッションスイッチ2がオンである旨の検出結果を入力すると、CPU96の指示によりIGリレー7を駆動させる。すなわち、マイコン95は、リレーコイル7aを通電する旨の信号を出力する。このように、マイコン95は、イグニッションスイッチ2がオンされるとIGリレー7を駆動させることを基本構成としている。
また、マイコン95は、上述のようにバッテリ1からの電源ライン10に直接接続されているため、バッテリ1が接続されている状態では常にBATTが供給されており、イグニッションスイッチ2のオン又はオフに関わらず起動している。つまり、マイコン95は、バッテリ1が外されている状態では起動しないものの、再度接続されると起動するようになっている。
このため、マイコン95は、自らが起動することでバッテリ1が接続されたことを検出することが可能であり、本実施の形態では、バッテリ1の接続を検出した場合においてもCPU96の指示によりIGリレー7を駆動する構成としている。すなわち、マイコン65は、バッテリ1の接続を検出するとIGリレー7を駆動し、IGリレー7から出力されたイグニッションスイッチ2のオン信号がコンパレータ83aに入力され、コンパレータ83aからメインリレー3の駆動信号が出力される。
また、マイコン95は、タイマ機能を有しており、IGリレー7のリレーコイル7aを通電する旨の信号を出力してから所定時間経過後に、その出力を停止する。これは、車両制御装置8がメインリレー3を駆動して起動した後に、車両制御装置8はメインリレー3の駆動を保持することから、他の車両制御装置9がイグニッションスイッチ2のオン信号を出力し続ける必要がないためである。従って、所定時間とは、車両制御装置8が起動して保持信号を出力することができる程度の時間であればよい。なお、マイコン95から出力されるIGリレー7のリレーコイル7aを通電又は非通電にする旨の信号を「MRELO2」と記載する。
このように、本実施の形態における車両制御システム102は、他の車両制御装置9がバッテリ1の接続を検出すると、IGリレー7を介してイグニッションスイッチ2のオン信号が出力され、それを入力した車両制御装置8がメインリレー3を駆動する構成である。これにより、イグニッションスイッチ2がオフの場合であっても、一時的にイグニッションスイッチ2がオンである場合と同様の処理を行うことで、車両制御装置8に+Bが供給されてマイコン85が起動し、データ記憶部89のデータを消去することが可能になる。
<3−2.システムの動作>
次に、第3の実施の形態に係る車両制御システム102の動作について図6を用いて説明する。図6は、バッテリ1が接続された場合及び通常の起動処理が行われた場合における各種信号の変化を示すタイムチャートである。各信号において高電圧状態を「ハイ」と記載し、低電圧状態を「ロー」と記載する。
図6に示す、BATT、IGSWO、+B及びMRHOLDは、上記各実施の形態のものと同様である。マイコン85動作は、車両制御装置8のマイコン85の動作状況を示しており、マイコン95動作は、他の車両制御装置9のマイコン95の動作状況を示している。MRELO1は、オア回路84aからの出力信号を示しており、MRELO2は、マイコン95から出力されるIGリレー7のリレーコイル7aを通電又は非通電にする旨の信号を示している。MRELO1及びMRELO2がハイのときには各リレーコイル3a・7aが通電され、ローのときには各リレーコイル3a・7aは通電されない。
図6に示すタイムチャートの開始時点では、バッテリ1は取り外された状態であり(BATTがロー)、イグニッションスイッチ2もオフである(IGSWOがロー)。また、他の信号も全てローである。まず、この状態からバッテリ1が接続された場合について説明する。
時点T1において、バッテリ1が接続されるとBATTが立ち上がる(BATTがハイ)。BATTの立ち上がりに同期して他の車両制御装置9にBATTが供給され、マイコン95が起動し動作を開始する(マイコン95動作が動作中)とともにバッテリ1の接続を検出する。マイコン95は、バッテリ1の接続を検出するとIGリレー7を駆動するためにリレーコイル7aを通電する旨の信号を出力する(MRELO2がハイ)。これにより、IGリレー7が駆動してコンパレータ83aに対してイグニッションスイッチ2のオン信号が出力され、コンパレータ83aからはイグニッションスイッチ2がオンである旨の信号(すなわち、メインリレー3の駆動信号)が出力される(IGSWOがハイ)。コンパレータ83aから出力されたハイ信号はオア回路84aに入力されるため、オア回路84aからはメインリレー3のリレーコイル3aを通電する旨の信号が出力される(MRELO1がハイ)。これにより、メインリレー3が駆動してバッテリ1から車両制御装置9に供給される電圧が上昇する(+Bが上昇)。
次に、時点T2において、+Bが一定の電圧に達するとマイコン85が起動して動作を開始する(マイコン85動作が動作中)。マイコン85は、動作を開始するとメインリレー3の駆動を保持するために保持信号を出力する(MRHOLDがハイ)。
次に、時点T3において、マイコン95がIGリレー7のリレーコイル7aを通電する旨の信号の出力を停止する(MRELO2がロー)。これにより、IGリレー7の駆動が停止されるため、コンパレータ83aにはイグニッションスイッチ2のオフ信号が入力され、コンパレータ83aからはイグニッションスイッチ2がオフである旨の信号が出力される(IGSWOがロー)。これにより、他の車両制御装置9はIGリレー7の駆動を停止することになるが、車両制御装置8がメインリレー3を駆動状態に保持しているため、マイコン85は動作の継続が可能である。なお、MRELO2がハイの期間(T1からT3までの期間)はマイコン95に予め設定されており、マイコン95は出力信号をハイにしてから所定時間経過後に出力信号をローにする処理を行う。
また、マイコン85は、時点T3以降において、イグニッションスイッチ2のオン又はオフを判断する。この判断は、コンパレータ83aから出力された信号(IGSWO)に基づいて行われる。時点T3以降において、IGSWOはローであり、イグニッションスイッチ2はオフであると判断される。マイコン85は、イグニッションスイッチ2がオフであるため、バッテリ1が接続されたと判断し、データ記憶部89のデータを消去する処理の実行を開始する。
なお、マイコン85がイグニッションスイッチ2のオン又はオフを判断するタイミングは、T3以降とする必要がある。この理由は以下のとおりである。バッテリ1が接続された際は、本来イグニッションスイッチ2はオフされているが、車両制御装置8を起動させるにはIGリレー7を駆動させる必要があるため、本実施の形態では、一時的にIGリレー7を駆動する構成としている。ところが、IGリレー7を駆動させるとイグニッションスイッチ2のオン信号が出力されることになるため、IGリレー7の駆動を停止してイグニッションスイッチ2のオフ信号を出力した後にマイコン85が判断するようにしておかないと、マイコン85はイグニッションスイッチ2がオンであると判断してしまう。その結果、マイコン85は、通常起動であるとの誤った判断をしてしまいデータ消去の処理を実行しないことになる。このため、マイコン85の判断をT3以降に行う必要がある。
従って、本実施の形態では、マイコン85はタイマ機能を有する構成とし、マイコン85が起動してから所定のタイミングでイグニッションスイッチ2のオン又はオフの判断を実行するようになっている。この所定のタイミングは、マイコン95がIGリレー7を確実に停止した後の任意のタイミングであればよい。例えば、上述のように、マイコン95は、IGリレー7を駆動すると所定時間経過後に駆動を停止する処理を行うため、マイコン85がイグニッションスイッチ2のオン又はオフを判断するタイミングをこの所定時間経過後となるように設定すればよい。
マイコン85がデータ記憶部89のデータ消去の処理を完了すると、時点T4において、メインリレー3の駆動を停止するために保持信号の出力を停止する(MRHOLDがロー)。オア回路84aに入力される全ての信号がローとなり、オア回路84aはロー信号を出力する(MRELO1がロー)。これにより、メインリレー3の駆動が停止されてバッテリ1から供給される電圧が低下する(+Bが低下)。
そして、時点T5において、+Bが一定の電圧まで低下するとマイコン85が動作を停止し、データ消去に関する処理を終了する。
このように、バッテリ1が外された状態から再度接続された場合であっても、バッテリ1が接続されると起動する他のECUを用いてイグニッションスイッチ2のオン信号を出力させる構成とすることにより、車両制御装置8を起動させることが可能になるため、イグニッションスイッチ2がオフの状態であってもバッテリ1を接続するだけでデータ記憶部89のデータを消去することが可能になる。
次に、通常の起動処理が行われた場合について説明する。通常の起動は、バッテリ1が接続され、マイコン95が動作中の状態で開始する(BATTがハイ、マイコン95動作が動作中)。まず、時点T6において、イグニッションスイッチ2がオンされると、マイコン95がIGリレー7のリレーコイル7aを通電させる旨の信号を出力する(MRELO2がハイ)。これにより、IGリレー7が駆動してコンパレータ83aにイグニッションスイッチ2のオン信号が出力され、コンパレータ83aからメインリレー3の駆動信号、すなわちイグニッションスイッチ2がオンである旨の信号が出力される(IGSWOがハイ)。コンパレータ83aから出力されたハイ信号はオア回路84aに入力されるため、オア回路84aからはメインリレー3のリレーコイル3aを通電する旨の信号が出力される(MRELO1がハイ)。これにより、メインリレー3が駆動してバッテリ1から車両制御装置8に供給される電圧が上昇する(+Bが上昇)。
次に、時点T7において、+Bが一定の電圧に達するとマイコン85が起動して動作を開始する(マイコン85動作が動作中)。マイコン85は、動作を開始するとメインリレー3の駆動を保持するために保持信号を出力する(MRHOLDがハイ)。
また、マイコン85は、動作を開始してから所定のタイミングでイグニッションスイッチ2のオン又はオフを判断する。この場合、IGリレー7は駆動した状態であるため、コンパレータ83aからの出力(IGSWO)はハイであり、イグニッションスイッチ2はオンであると判断される。マイコン85は、イグニッションスイッチ2がオンであるため、通常の起動処理が行われたと判断し、データ記憶部89のデータを消去する処理は実行しない。
その後、時点T8において、車両の走行等の通常の処理が終了してイグニッションスイッチ2がオフになると、マイコン95はIGリレー7の駆動を停止する(MRELO2がロー)。IGリレー7の駆動が停止すると、コンパレータ83aの出力(IGSWO)がローになり、マイコン85は終了処理を実行する。
そして、時点T9において、マイコン85は、終了処理を実行した後にメインリレー3の駆動を停止するために保持信号の出力を停止する(MRHOLDがロー)。オア回路84aに入力される全ての信号がローとなり、オア回路84aはロー信号を出力する(MRELO1がロー)。これにより、メインリレー3の駆動が停止されてバッテリ1から供給される電圧が低下する(+Bが低下)。
そして、時点T10において、+Bが一定の電圧まで低下するとマイコン85が動作を停止し、通常処理を終了する。
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
上記第2及び第3の実施の形態では、メインリレー3又はIGリレー7をマイコン65・95から指示により駆動する例について説明した。すなわち、マイコン65・95が、バッテリ1の接続を検出し、ソフト的な処理で各リレー3・7を駆動していた。ただし、各実施の形態は、これらに限定されるものではなく、ハード的に駆動する構成としてもよい。例えば、他の車両制御装置6・9が、第1の実施の形態における接続検出部42やIG検出部43、リレー駆動部44と同様の構成を備え、バッテリ1の接続を検出するとメインリレー3やIGリレー7を駆動する構成とすることができる。
また、上記第1の実施の形態では、フリップフロップ42bをウォッチドッグ信号の入力でリセットしていたが、フリップフロップ42bのリセットの仕方はこれに限定されるものではない。例えば、マイコン45から出力されるMRHOLDをリセット端子(R)に入力させ、MRHOLDの入力を検出したらリセットする構成でもよい。MRHOLDはマイコン45が起動してから出力する信号であるため、フリップフロップ42bをマイコン45の起動後にリセットすることができる。この場合、オア回路44aがMRELOを出力してメインリレー3の駆動を保持した後にリセットするように、フリップフロップ42bのリセット端子の前に遅延回路を設けることが好ましい。すなわち、マイコン45が起動してから出力する信号を用いて、メインリレー3の駆動の保持後にフリップフロップ42bのリセット端子に入力する構成とすればよい。
また、上記第1の実施の形態では、接続検出部42は、バッテリ1の接続を検出するとフリップフロップ42bの出力をハイにセットする回路としてワンショット回路42aを備えた構成としていたが、これに限定されるものではない。例えば、フリップフロップ42bの初期値を最初からセット側に設定しておけば、ワンショット回路42aは不要である。この場合、フリップフロップ42bは、バッテリ1の接続を検出すると最初からセット側で起動することができる。
また、上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。