JP2013177521A - ポリブタジエンゴムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ゴム材料に有用な加工性、耐摩耗性および低ロス性のバランスが改良され、かつそれぞれの性能が向上したポリブタジエンゴムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 遷移金属重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを製造する工程において、該1,3−ブタジエンの重合後に添加剤(A)芳香族系ビニル化合物が存在している中に(B)有機ハロゲン化合物を添加することにより得られるシス−1,4−ポリブタジエンに関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ゴム材料に有用な加工性、耐摩耗性および低ロス性のバランスが改良され、かつそれぞれの性能が向上したポリブタジエンゴムおよびその製造方法に関する。
1,3−ブタジエンの重合触媒については、従来から数多くの提案がなされており、特にハイシス−1,4−ポリブタジエン、すなわち、シス−1,4結合含量の高いポリブタジエンは、熱的、機械的に優れた特性を有する、多くの重合触媒が開発されてきた。
例えば、特許文献1には、コバルト化合物、酸性金属ハライド、アルキルアルミニウム化合物及び水からなる触媒を用い、1,3−ブタジエンを重合させる高シス−1,4−ポリブタジエンの製造法が開示されている。
また、特許文献2には、ジエチルアルミニウムクロライド、水、及びコバルトオクトエ−トよりなる触媒を用い、1,3−ブタジエンを直鎖状または分岐状脂肪族炭化水素よりなる溶媒中で重合させる方法が開示されている。
ハイシス−1,4−ポリブタジエンにおいては、ポリマー鎖の分岐度が小さいもの、すなわち、リニアタイプのハイシス−1,4−ポリブタジエンは耐摩耗性、耐発熱性、反発弾性等に優れた特性を有している。しかし、分岐度の高いブランチタイプのハイシス−1,4−ポリブタジエンと比較して、ゴムにカーボンブラックなどを配合して得られる配合物を製造する際に加工性が低下するため、高い耐摩耗性を保持しつつ、加工性を改良する方法が求められていた。
ポリブタジエンの加工性を改良する方法として、特許文献3には、ポリブタジエンの重合溶液を有機アルミニウム化合物及びハロゲン化アルキル化合物で処理する方法が開示されている。また、特許文献4には、不飽和結合を有するゴムを溶媒に溶解し、ルイス酸の存在下、有機酸ハライドを反応させてゴムを変性する方法が記載されている。これらの方法はいずれも、重合工程の後に、重合物を変性する工程が必要となり、煩雑な操作を省力した方法の開発が望まれていた。
一方、ゴム組成物の発熱性を改良する方策として、近年補強材としてカーボンブラックの代わりにシリカを使用するケースが増えてきている。しかしながら、シリカの表面には極性のあるシラノール基があるため、シリカはポリブタジエンなどの炭化水素構造との親和性が悪く、これによりシリカが配合されたゴム中においてシリカ粒子が凝集し易くなり、分散性が悪くなるといった問題が生じていた。その結果、シリカ凝集体の分裂、すなわちペイン効果が起こると、シリカ凝集体の内部では強いシリカ−シリカ相互作用が観測され、シリカ−ゴム間で大きなヒステリシスロスが生じて発熱性悪化の原因となっていた。
極性シリカ表面と非極性ゴムマトリックス間の親和性や相互作用を改良する方策としては、二元機能を持ったシランカップリング剤の使用やゴムの化学変性が鋭意研究されている。ゴムの化学変性技術として、ハイシス-1,4-ポリブタジエンを化学変性したものの多くは、希土類触媒を使って1,3-ブタジエンをリビング重合した後、各種の効果的なアルコキシシランカップリング剤を使用して、分子末端を機能化する方法が報告されている。
特許文献5には、コバルト化合物でポリブタジエンゴムを重合した後、必要に応じて、更に酸ハロゲン化物、ハロゲン含有硫黄化合物、メルカプト基含有アルコキシシラン化合物などを反応させてコールドフロー性を改良する方法が記載されている。
その後、加工性と低ロス性、耐摩耗性とのバランス改良を目的として、コバルト化合物でポリブタジエンゴムを重合した後、所定量の有機ハロゲン化合物で変性する方法が開示されている(特許文献6および7)。
しかし、昨今の環境・省エネルギーの観点から、加工性と低ロス性および耐摩耗性とのバランスを保持しつつ、更に全体の性能を上げる要望がなされている。
特公昭38−1243号公報 特公昭61−54808号公報 特開昭51−63891号公報 特開昭61−225202号公報 特開平2001−114817号公報 特許第4123019号 特開2011−79954号公報
本発明は、加工性、耐摩耗性および低ロス性のバランスが改良され、かつそれぞれの性能が向上したポリブタジエンゴムおよびその製造方法を提供するものである。
遷移金属重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを製造する工程において、該1,3−ブタジエンの重合後に添加剤(A)芳香族系ビニル化合物が存在している中に(B)有機ハロゲン化合物を添加することにより得られるシス−1,4−ポリブタジエンに関する。
該遷移金属重合触媒が(a)コバルトオクトエート、(b)R 3−nAlX(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、Xはハロゲンを示し、nは1〜2の数である。)で表されるハロゲン含有アルミニウム化合物および(c)水からなる触媒であることを特徴とする前記のポリブタジエンゴム。
該(A)芳香族系ビニル化合物が、アネトール化合物であることを特徴とする前記のシス−1,4−ポリブタジエン。
該(B)有機ハロゲン化合物が、t-ブチルクロライドあるいはt-ブチルブロマイドであることを特徴とする前記のシス−1,4−ポリブタジエンに関する。
遷移金属重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを製造する工程において、該1,3−ブタジエンの重合後に添加剤(A)芳香族系ビニル化合物が存在している中に(B)有機ハロゲン化合物を添加することにより得られるシス−1,4−ポリブタジエンの製造方法に関する。
本願発明で得られるポリブタジエンゴムは、z+1平均分子量と数平均分子量の比から規定される超高分子量成分を有することで、耐摩耗性と加工性、低ロス性をバランスよく改良できることを見出した。
当該製造方法を用いて特徴的なポリブタジエンゴムを効果的に得ることができることを見出して、本発明を完成するに至った。
その結果、加工性、耐摩耗性および低ロス性のバランスが改良されたポリブタジエンゴムおよびその製造方法、さらにポリブタジエンゴムを含んだゴム組成物を提供することが出来る。
(最終ポリブタジエンゴム)
最終ポリブタジエンゴムとは、遷移金属重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを製造する工程において、該1,3−ブタジエンの重合直後に添加剤として(A)芳香族系ビニル化合物を添加し、その直後に(B)有機ハロゲン化合物を添加することにより得られるシス−1,4−ポリブタジエンのことである。
すなわち、当該発明では、(1)遷移金属重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを得た後、(2)その重合直後に添加剤として(A)芳香族系ビニル化合物を添加し、さらに(3)その直後に(B)有機ハロゲン化合物を添加することにより、z+1平均分子量と数平均分子量の比から規定される超高分子量成分を有する、耐摩耗性と加工性、低ロス性をバランスよく改良した、シス−1,4−ポリブタジエンを得ることが出来る。
(ムーニー粘度)
本発明のポリブタジエンゴムのムーニー粘度は30〜120、好ましくは35〜110、より好ましくは、40〜105である。
ムーニー粘度が上記範囲より大きいと加工性が著しく悪化し、上記範囲より小さいと耐摩耗性や低ロス性が低下するので好ましくない。
(Tcp/ML)
5%トルエン溶液(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/MLと略記する)は1.8〜6.0で、好ましくは2.0〜5.0である。Tcp/ML比が上記範囲より小さいと分子鎖の分岐度が大きくなり、耐摩耗性や低ロス性が低下し、上記範囲より大きいと加工性が悪化するので好ましくない。
(Mz+1/Mn)
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算のz+1平均分子量と数平均分子量の比(Mz+1/Mnと略記)は高分子量成分の影響を受ける値である理由から、9以上が好ましく、10以上が特に好ましい。
Mz+1/Mnの値が9より小さいと、低ロス性改善が少ないため、好ましくない。
数平均分子量、質量平均分子量、z平均分子量、z+1平均分子量は
Figure 2013177521
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Figure 2013177521
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それぞれ式1〜4で表される。MnよりMw、MwよりMzさらにMz+1のほうが高分子量側を表しており、Mz+1/Mnによって高分子量側への分子の広がりを表す。
すなわち、Mz+1/Mnの値が大きくなるほど、高分子量領域での分子量分布の広がりを示す。
本願発明で得られるポリブタジエンは、この高分子量領域での分子量分布の広がりを示す特徴を有している。
(変性前のポリブタジエン)
変性前のポリブタジエンは、変性剤を投入する前の状態を指す。
変性前のポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML)が30から55が好ましく、40から50が特に好ましい。
また、T−cp/MLは2.0〜4.0、特に2.4〜3.2が好ましい。
また、Mw/Mnは1.8〜3.4が好ましく、特に好ましくは2.0〜3.0である。
(変性前のポリブタジエンゴムの重合触媒)
前記原料ポリブタジエンゴムの重合触媒としては、コバルト系触媒を用いるのが好ましい。
コバルト系触媒のコバルト化合物としては、コバルトの塩や錯体が好ましく用いられる。特に好ましいものは、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト、マロン酸コバルト等のコバルト塩や、コバルトのビスアセチルアセトネ−トやトリスアセチルアセトネ−ト、アセト酢酸エチルエステルコバルト、ハロゲン化コバルトのトリアリ−ルフォスフィン錯体、トリアルキルフォスフィン錯体、ピリジン錯体やピコリン錯体等の有機塩基錯体、もしくはエチルアルコ−ル錯体等が挙げられる。
コバルト系触媒組成物におけるハロゲン含有アルミニウム化合物としては、R2 3-nAlXn (式中、R2 は炭素数 1〜10の炭化水素基、Xはハロゲンを示し、n は 1〜2 の数である。)で表されるものが好ましい。ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイドなどのジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジクロライド、アルキルアルミニウムジブロマイド等のアルキルアルミニウムジハライド等が挙げられる。具体的化合物としては、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノブロマイド、ジブチルアルミニウムモノクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジシクロヘキシルアルミニウムモノクロライド、ジフェニルアルミニウムモノクロライド等が挙げられる。
また、コバルト系触媒組成物における有機アルミニウム化合物としては、R3 3Al(式中、R3は炭素数 1〜10の炭化水素基を示す。)で表さるものが好ましい。例えば、トリアルキルアルミニウム化合物、例えば、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等が挙げられる。
また、アルミノキサンを用いてもよい。アルミノキサンとしては、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであって、一般式(−Al(R’)O−)nで示される鎖状アルミノキサン、あるいは環状アルミノキサンが挙げられる。(R’は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)。R’としてはメチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基及びエチル基が好ましい。アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられる。
中でも、コバルト化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、及び水からなる触媒系、若しくはコバルト化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、水、及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系が好ましい。
コバルト化合物、ハロゲン含有有機アルミニウム化合物、水、及び有機アルミニウム化合物からなるコバルト系触媒組成物を用いる場合は、全て1,3−ブタジエンの1モルに対して、コバルト化合物については1×10−7〜1×10−3モルの範囲あることが好ましい。また、ハロゲン含有有機アルミニウム化合物については1×10−5〜1×10−1モルの範囲の範囲にあることが好ましい。また、水については1×10−5〜1×10−1モルの範囲にあることが好ましい。また、有機アルミニウム化合物については1×10−5〜1×10−1モルの範囲の範囲にあることが好ましい。
当該発明のポイントとして、有機ハロゲン化合物による変性の前のポリブタジエンの重合条件が、最終生成するポリブタジエンの低燃費性などの効果を創出するのに重要となる。
特に、以下に示す該重合段階で使用する「アルミニウム化合物と水の比」および「ハロゲン含有有機アルミニウム化合物と有機アルミニウム化合物の比」は、大きな要因となる。
ポリブタジエンの優れた物性を創出するためには、重合段階でこれら2つの要因を同時に満たすことが必須であり、一方の条件を満たしただけでは、最終生成するポリブタジエンの低燃費性などの効果を創出することは困難である。
(アルミニウム化合物と水の比)
該コバルト系触媒組成物に用いられるハロゲン含有有機アルミニウム化合物と有機アルミニウム化合物を足した添加量は、添加する水に対して0.95〜1.30倍、中でも0.98〜1.25倍、特に1.0〜1.15倍であることが好ましい。この範囲より大きいと希望の物性が得られず、この範囲より小さいと加工性が悪くなる。
当該ハロゲン含有有機アルミニウム化合物と有機アルミニウム化合物を足した添加量と添加する水の割合は、とりわけポリブタジエンのリニアリティーを規定する上で重要である。
(ハロゲン含有有機アルミニウム化合物と有機アルミニウム化合物の比)
該コバルト系触媒組成物に用いられるハロゲン含有有機アルミニウム化合物は、有機アルミニウムに対して1〜6倍、特に2〜4倍が好ましい。この範囲より大きいとゲルが問題となり、小さいと重合活性が低下する。
触媒成分の添加順序としては、不活性溶媒中に水を添加して均一に混合して、ハロゲン含有有機アルミニウム化合物を添加し、コバルト化合物を添加して重合を開始することが好ましい。ハロゲン含有有機アルミニウム化合物を添加した後、所定時間、熟成した後、コバルト化合物を加えることが好ましい。熟成時間は0.1〜24時間が好ましい。熟成温度は0〜80℃が好ましい。
(重合溶媒)
重合溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のC4留分などのオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン等の炭化水素系溶媒や、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。また、1,3−ブタジエンそのものを重合溶媒としてもよい。
中でも、ベンゼン、シクロヘキサン、あるいは、シス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合物などが好適に用いられる。
(分子量調節剤)
分子量調節剤としては、重合時に公知の、例えば、シクロオクタジエン、アレンなどの非共役ジエン類、またはエチレン、プロピレン、ブテン−1などのα−オレフィン類を使用することができる。
特に好ましくはシクロオクタジエンであり、1,3−ブタジエン1モル当たり3〜30ミリモルが好ましく、特に好ましくは5〜18ミリモルである。この範囲以外の量を用いると、ML粘度のずれの問題が生ずるため好ましくない。
重合温度は−30〜100℃の範囲が好ましく、30〜80℃の範囲が特に好ましい。重合時間は10分〜12時間の範囲が好ましく、30分〜6時間が特に好ましい。また、重合圧は、常圧又は10気圧(ゲ−ジ圧)程度までの加圧下に行われる。
(変性剤)
変性剤としては、芳香族系ビニル化合物であることが好ましい。
芳香族系ビニル化合物としては、trans-p-アネトールや4-(1-フェニル)-1,2-ジメトキシベンゼン、クロロメチルスチレン、ビニルベンジルシアニド、アミノスチレン、アセトキシスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、4−クロロイソプロペニルベンゼン、4−ブロモイソプロペニルベンゼンクロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレン、フルオロメチルスチレン、ジクロロスチレン、ジメトキシスチルベン、2−エトキシ−5−(1−プロペニル)フェノール、4−ヒドロキシ−3−メトキシ−1−プロペニルベンゼン、メトキシスチレン、ニトロスチレン、ベンジリデンマロニトリル、1−ベンジルオキシ−2−メトキシ−4−(1−プロペニル)ベンゼン、trans−シンナムアルデヒド、3−フェニルメタクリロレイン、4,4‘−ジヨード−trans−スチルベン、4,4‘−ジメトキシ−trans−スチルベン、2−(4−フルオロフェニル)−1−プロペン、4−ビニルベンジルアミンがある。
上記芳香族系ビニル化合物の中でも特に、trans-p-アネトールが好ましい。
変性剤として使用する芳香族系ビニル化合物の量としては、ポリマー1モルに対して1×10−4〜1×10−1モルの量が好ましく、特に1×10−3〜1×10−2モルが好ましい。
この量より少ないと、変性剤としての効果が低く、所望のポリマーを得ることが出来ない。また、多すぎると、有機ハロゲン化合物との反応が起こらない問題が生ずる。
変性剤を入れるタイミングとしては、ポリブタジエンの重合前、同時あるいは重合直後いずれでも良いが、特に重合直後が望ましい。
ポリブタジエン重合後に十分時間が経った後や一度ポリマーを反応器から回収してしまった後に当該変性剤による変性をすると効果が得にくくなる。(理由付けはこれでよいですか。加筆修正願いします。)
変性剤をポリブタジエンに反応させる温度としては、30〜80℃が好ましい。この温度範囲より高いと、ゲルの点で好ましくない。一方、この温度範囲より低いと、変性が効果的に起こり難い。
(有機ハロゲン化合物)
上記の変性剤によって変性されたポリブタジエンゴムに所望の粘弾性特性を付与するために、有機ハロゲン化合物で反応させるのが好ましい。有機ハロゲン化合物で反応しない未反応変性ポリブタジエンは、ムーニー粘度、Tcp/ML比は所望特性を満足するが、Mz+1/Mnにおいて所望特性を満足させることが出来ない。
有機ハロゲン化合物としては、一般式 R CXを表される有機ハロゲン化合物を用いることができる。式中、 R は水素、アルキル基、アリール基、クロル置換アルキル基、アルコキシ基などであり、R は水素、アルキル基、アリール基、クロル、ブロムなどであり、R +R が酸素であってもよく、R はアルキル基、アリール基、ビニル基、クロル、ブロムなどであり、Xはクロル、ブロムなどのハロゲンである。R およびRが水素である場合は、Rはアリール基であることが好ましい。上記のアルキル基は、飽和あるいは不飽和であってもよく、また、直鎖状、分岐状または環状のものであってもよい。脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
具体的化合物としては、メチル、エチル、iso−プロピル、iso−ブチル、t−ブチル、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、ベンジリデンなどのクロル化物またはブロム化物などが挙げられる。また、メチルクロロホルメート、ブロモホルメート、クロロジフェニルメタンまたはクロロトリフェニルメタンなどが挙げられる。中でも、t−ブチルクロライドあるいはt−ブチルブロマイドが好ましい。
上記の有機ハロゲン化合物と共に、コバルト化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物及びコバルト化合物とハロゲン含有アルミニウム化合物を添加してもよい。コバルト化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物としては、上記の触媒成分として例示したコバルト化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物を用いることができる。
有機ハロゲン化合物の添加量は、ハロゲン含有有機アルミニウム化合物と有機アルミニウム化合物の添加量の合計に対して1〜10倍の添加が望ましく、ブタジエン1モルあたり、1×10−4〜1×10−1モル、特に1×10−3〜1×10−2モルが好ましい。上記範囲よりも多いと生成するポリブタジエンのゲル化が起こり易くなり、少なすぎると本検討の効果が得られない。
有機ハロゲン化合物の反応温度については、20〜100℃、好ましくは30〜80℃である。
有機ハロゲン化合物の反応時間は、10分〜150分間攪拌混合する。好ましくは、15分〜30分攪拌混合することが望ましい。
有機ハロゲン化合物とポリブタジエンの反応は、前述の変性剤による変性反応後に引き続いて行っても良いし、また変性後に変性反応停止させた後、反応生成物中に残留している溶媒や未反応モノマーをスチームストリッピング法や真空乾燥法などで除去した乾燥物をシクロヘキサンなどで再度溶解させた後に行っても良い。変性反応後は、反応槽内部を必要に応じて放圧し、洗浄、乾燥工程等の後処理を行う。
本願発明において、有機ハロゲン化合物を入れるタイミングとしては、前述の変性剤を投入後、約10秒〜15分の間に行うことが好ましく、約20秒〜5分の間に行うのがより好ましい。
ただし、本願発明の趣旨は、予め変性剤でポリブタジエンを変性して、シリカなどとの可能性基を付与した変性ポリブタジエンを調製した後に、有機ハロゲン化合物によって、当該変性ポリブタジエンの分子同士を反応させてより高分子量かつ高分子領域での分子量分布(Mz+1/Mn)の広いポリブタジエンを製造するというものである。
故に、所望のシス−1,4−ポリブタジエンを得る、より好ましい製造方法としては、以下の方法である。
遷移金属重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを製造する工程において、該1,3−ブタジエンの重合直後に添加剤として(A)芳香族系ビニル化合物を添加し、その直後に(B)有機ハロゲン化合物を添加することにより得られるシス−1,4−ポリブタジエンの製造方法である。
また、前記の製造方法に基づいて製造されたシス−1,4−ポリブタジエンは、本願発明の目的である加工性、耐摩耗性および低ロス性のバランスが改良され、かつそれぞれの性能が向上したものとなる。
(ゴム組成物)
本発明により得られるポリブタジエンゴムは、単独で、または他の合成ゴム若しくは天然ゴムとブレンドして配合し、必要ならばプロセス油で油展し、次いでカーボンブラックやシリカ等の充填剤、加硫剤、加硫促進剤その他の通常の配合剤を加えて加硫し、タイヤ・防振ゴム・ベルト・ホース・免震ゴムなどの工業用品や紳士靴、婦人靴、スポーツシューズなどの履物といった各種のゴム用途に使用される。その場合、ゴム成分中に少なくとも本発明のポリブタジエンを10重量%含有するように配合することが好ましい。
(他の合成ゴム)
ゴム組成物に含まれる他の合成ゴムとしては、加硫可能なゴムが好ましく、具体的にはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリイソプレン、ハイシスポリブタジエンゴム、ローシスポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等を挙げることができる。これらの中でもSBRが好ましい。
さらにSBRの中でも溶液重合スチレンブタジエン共重合体ゴム(S−SBR)が特に好ましい。これらのゴムは単独でも、二種以上組合せて用いても良い。
本発明において使用する溶液重合スチレンブタジエン共重合体ゴム(S−SBR)のミクロ構造としては、スチレン含量が15〜35重量%、好ましくは17〜30重量%、ブタジエン部分のビニル結合含量が30〜75%、好ましくは32〜72%のS−SBRを、ゴム成分100重量部の、30重量部以上90重量部未満、好ましくは50〜80重量部使用することにより、上記効果が発現される。S−SBRの配合量が少ないとウェット性能が低下するので好ましくなく、逆に多いと耐摩耗性や、低ロス性が悪化するので好ましくない。
かかるS−SBRは公知であり、例えば日本ゼオン Nipol NS110R、旭化成 アサプレン 1204などの市販品を用いることができる。
(シランカップリング剤)
他の添加剤成分であるシランカップリング剤としては、一般式RnSiX4-nで表される有機珪素化合物で、Rはビニル基、アシル基、アリル基、アリルオキシ基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、クロル基、アルキル基、フェニル基、水素、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、ウレイド基などから選ばれる反応基を有する炭素数1〜20の有機基であり、Xは、クロル基、アルコキシ基、アセトキシ基、イソプロペノキシ基、アミノ基などから選ばれる加水分解基であり、nは1〜3の整数を示す。
上記のシランカップリング剤のR成分において、ビニル基及び/またはクロル基を含有するものが好ましい。
具体的なシランカップリング剤として、市販で利用できるものは、例えば、以下のものが含まれるが、決してこれらに限定されるものではない。ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル テトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル テトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイル テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾール テトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾール テトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレート モノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート モノスルフィド、ビニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、クロロメチルジメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、ジアセトキシメチルジニルシラン、アリルオキシジメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、フェニルビニルジクロロシラン、トリアセトキシビニルシラン、3−クロロプロピルメチルジビニルシラン、ジエトキシジビニルシラン、ジメチルエチルメチルケトキムビニルシラン、ジメチルイソブトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、メチルフェニルビニルクロロシラン、メチルフェニルビニルシラン、ジメチルイソペンチルオキシビニルシラン、4−ブロモフェニルジメチルビニルシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、4−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、ジメチルピペリヂノメチルビニルシラン、ジメチル−2−[(2−エトキシエトキシ)エトキシ]ビニルシラン、ジビニルメチルフェノキシシラン、ジメチル−P−アニシルビニルシラン、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシラン、トリイソプロポキシビニルシラン、ジエトキシ−2−ピペリヂノエトキシビニルシラン、ジフェニルビニルクロロシラン、3−ジメチルビニルフェニル N,N−ジエチルカルボメイト、トリフェノキシビニルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1−(4−メチルピペリヂノメチル)−1,1,3,3−テトラメチル−3−ビニルジシロキサン、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルビニルシロキシ)ベンゼン、1,3−ビス(ジメチルビニルシロキシ)ベンゼン、1,1,3,3−テトラフェニルー、3−ジビニルジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルサイクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルサイクロテトラシロキサン、テトラキス(ジメチルビニルシロキシメチル)メタン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、などがある。
添加剤のシランカップリング剤の添加量としては、フィラー量に対して0.2%〜20%が良く、5%〜15%が特に好ましい。
上記の範囲よりも少ないと、スコーチの原因となるために好ましくない。また、上記の範囲よりも多いと引張り特性、延びの悪化の原因となるため好ましくない。
また、プラスチック、例えば、耐衝撃性ポリスチレンの改質剤として使用する、すなわち、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物を製造することもできる。
上記のゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物の製造法としては、ゴム状ポリマーの存在下にスチレン系モノマーの重合を行う方法が採用され、塊状重合法や塊状懸濁重合法が経済的に有利な方法である。スチレン系モノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンのようなアルキル置換スチレン、クロルスチレンのようなハロゲン置換スチレンなど、従来ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物製造用として知られているスチレン系モノマーの1種又は2種以上の混合物が用いられる。これらのなかで好ましいのはスチレンである。
製造時に必要に応じて上記ゴム状ポリマーの他に、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン、エチレン−酢酸ビニル、アクリル系ゴムなどを上記ゴム状ポリマーに対して50重量%以内併用することができる。又、これらの方法によって製造された樹脂をブレンドしてよい。更に、これらの方法によって製造されたゴム変性ポリスチレン系樹脂組成物を含まないポリスチレン系樹脂を混合して製造してもよい。上記の塊状重合法として1例を挙げて説明すると、スチレンモノマー(99〜75重量%)にゴム状ポリマー(1〜25重量%)を溶解させ、場合によっては溶剤、分子量調節剤、重合開始剤などを添加して、10〜40%のスチレンモノマー転化率までゴム状ポリマーを分散した粒子に転化させる。このゴム粒子が生成するまではゴム相が連続相を形成している。更に重合を継続してゴム粒子として分散相になる相の転換(粒子化工程)を経て50〜99%の転化率まで重合してゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物が製造される。
ゴム状ポリマーの分散粒子(ゴム粒子)は、樹脂中に分散された粒子で、ゴム状ポリマーとポリスチレン系樹脂よりなり、ポリスチレン系樹脂はゴム状ポリマーにグラフト結合したり、或いはグラフト結合せずに吸蔵されている。この発明で言うゴム状ポリマーの分散粒子の径として0.5〜7.0μmの範囲、好ましくは1.0〜3.0μmの範囲のものが好適に製造できる。
グラフト率として、150〜350の範囲のものが好適に製造できる。バッチ式でも連続的製造方法でもよく特に限定されない。
上記のスチレン系モノマーとゴム状ポリマーとを主体とする原料溶液は完全混合型反応器において重合されるが、完全混合型反応器としては、原料溶液が反応器において均一な混合状態を維持するものであればよく、好ましいものとしてはヘリカルリボン、ダブルヘリカルリボン、アンカーなどの型の攪拌翼が挙げられる。ヘリカルリボンタイプの攪拌翼にはドラフトチューブを取り付けて、反応器内の上下循環を一層強化することが好ましい。
ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物には、製造時や製造後に適宜必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、滑剤、着色剤、各種充填剤及び各種の可塑剤、高級脂肪酸、有機ポリシロキサン、シリコーンオイル、難燃剤、帯電防止剤や発泡剤などの公知添加剤を添加してもよい。この発明のゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物は、公知の各種成形品に用いることはできるが、難燃性、耐衝撃強度、引張強度に優れるために電気・工業用途分野で使用される射出成形に好適である。例えばカラーテレビ、ラジカセ、ワープロ、タイプライター、ファクシミリ、VTRカセット、電話器などのハウジングの家電・工業用などの広範な用途に用いることができる。
ムーニー粘度(ML 1+4 、100℃):JIS-K6300に従い、株式会社島津製作所製のムーニー粘度計(SMV-200)を使用して、100℃で1分予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)として表示した。
トルエン溶液粘度(Tcp):ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計校正用標準液(JIS Z8809)を用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で測定した。
z+1平均分子量、数平均分子量:ポリスチレンを標準物質としてテトラヒドロフランを溶媒として温度40℃で、ゲルパーミエーション(透過)クロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製)を行ない、得られた分子量分布曲線から求めた検量線を用いて計算し、z+1平均分子量、数平均分子量を求めた。
加工性:未加硫物のムーニー粘度で評価した。JIS-K6300に従い、株式会社島津製作所製のムーニー粘度計(SMV-200)を使用して、100℃で1分予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)として表示した。数値の大きいものほど加工性は悪くなる。
加硫物の反発弾性:BS903に従い、ダンロップ・トリプソメーターを使用して室温で反発弾性を測定し、比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど低ロス性が良好である。
加硫物のtanδ:GABO社製EPLEXOR 100Nを用いて、温度50℃、周波数10Hz、動的歪み0.3%の条件で測定し、比較例1を100として指数表示した。指数が小さいほど低ロス性が良好である。
加硫物の耐摩耗性:ランボーン摩耗指数は、JIS K6264に規定されている測定法に従って、スリップ率60%で測定し、比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど良好である。
(試作品1)
内部を充分窒素置換した1.5リットル容量のステンレス製のオートクレーブに、1,3−ブタジエンを43.0重量%含有するシクロヘキサン−C4留分混合溶液1リットル(シクロヘキサン25.5重量%、シス−2−ブテンを主成分とするC4留分を36.5重量%含有)とを仕込み、次に水2.00ミリモル、ジエチルアルミニウムモノクロライド2.27ミリモル、トリエチルアルミニウム0.76ミリモルを加えて攪拌を行ない、シクロオクタジエン13.84ミリモルを添加した。
オートクレーブを昇温し、49.5℃に内温が到達してから、コバルトオクトエート0.0013ミリモルを加えて、50℃で30分間重合反応を行なった。 そこに老化防止剤を添加して100℃で1時間真空乾燥した。得られたポリブタジエンゴムの物性を表1に示す。
(試作品2)
内部を充分窒素置換した1.5リットル容量のステンレス製のオートクレーブに、1,3−ブタジエンを43.0重量%含有するシクロヘキサン−C4留分混合溶液1リットル(シクロヘキサン25.5重量%、シス−2−ブテンを主成分とするC4留分を36.5重量%含有)とを仕込み、次に水2.00ミリモル、ジエチルアルミニウムモノクロライド2.27ミリモル、トリエチルアルミニウム0.76ミリモルを加えて攪拌を行ない、シクロオクタジエン13.84ミリモルを添加した。
オートクレーブを昇温し、49.5℃に内温が到達してから、コバルトオクトエート0.0013ミリモルを加えて、50℃で30分間重合反応後に、trans−p−アネトールを12ミリモル添加し、その30秒後にt−ブチルクロライド4.2ミリモルを添加して20分反応した。
そこに老化防止剤を添加して100℃で1時間真空乾燥した。得られたポリブタジエンゴムの物性を表1に示す。
(試作品3)
t−ブチルクロライドを4.5ミリモル添加した以外は試作品2と同様にポリブタジエンを製造した。得られたポリブタジエンゴムの物性を表1に示す。
(試作品4)
t−ブチルクロライドを4.8ミリモル添加した以外は試作品2と同様にポリブタジエンを製造した。得られたポリブタジエンゴムの物性を表1に示す。
(比較例1)
ブタジエンゴムとして試作品1を用い、表2に示す配合処方に従って250ccのラボプラストミルを使用しSBRとシリカ等と混練してから加硫剤をオープンロールで混合した。次いで温度160℃でプレス加硫し、得られた加硫試験片により物性を評価した。
(実施例1)
ブタジエンゴムとして試作品2を用いた以外は比較例1と同様に評価した。
(実施例2)
ブタジエンゴムとして試作品3を用いた以外は比較例1と同様に評価した。
(実施例3)
ブタジエンゴムとして試作品4を用いた以外は比較例1と同様に評価した。
得られた試作品の素ゴム物性を表2に示す。
Figure 2013177521
得られた配合物の評価結果を表2に示す。
Figure 2013177521

SBR :市販溶液重合SBR
シリカ:東ソー・シリカ(株)製、商品名 ニップシールAQ
シランカップリング剤:デグサ・ヒュルヌ製、商品名 Si69
オイル:サンセンオイル4240
酸化亜鉛:堺化学工業 Sazex 1号
ステアリン酸:花王ステアリン酸
老化防止剤:住友化学 アンチゲン6C
硫黄: 細井化学工業(株)製の硫黄
加硫促進剤1: 大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
加硫促進剤2: 大内新興化学工業(株)製のノクセラーD

Claims (5)

  1. 遷移金属重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを製造する工程において、該1,3−ブタジエンの重合後に添加剤(A)芳香族系ビニル化合物が存在している中に(B)有機ハロゲン化合物を添加することにより得られるシス−1,4−ポリブタジエン。
  2. 該遷移金属重合触媒が(a)コバルトオクトエート、(b)R 3−nAlX(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、Xはハロゲンを示し、nは1〜2の数である。)で表されるハロゲン含有アルミニウム化合物および(c)水からなる触媒であることを特徴とする請求項1に記載のポリブタジエンゴム。
  3. 該(A)芳香族系ビニル化合物が、アネトール化合物であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のシス−1,4−ポリブタジエン。
  4. 該(B)有機ハロゲン化合物が、t-ブチルクロライドあるいはt-ブチルブロマイドであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシス−1,4−ポリブタジエン。
  5. 遷移金属重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを製造する工程において、該1,3−ブタジエンの重合後に添加剤(A)芳香族系ビニル化合物が存在している中に(B)有機ハロゲン化合物を添加することにより得られるシス−1,4−ポリブタジエンの製造方法。
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