JP2013177521A - ポリブタジエンゴムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 遷移金属重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを製造する工程において、該1,3−ブタジエンの重合後に添加剤(A)芳香族系ビニル化合物が存在している中に(B)有機ハロゲン化合物を添加することにより得られるシス−1,4−ポリブタジエンに関する。
【選択図】 なし
Description
しかし、昨今の環境・省エネルギーの観点から、加工性と低ロス性および耐摩耗性とのバランスを保持しつつ、更に全体の性能を上げる要望がなされている。
当該製造方法を用いて特徴的なポリブタジエンゴムを効果的に得ることができることを見出して、本発明を完成するに至った。
その結果、加工性、耐摩耗性および低ロス性のバランスが改良されたポリブタジエンゴムおよびその製造方法、さらにポリブタジエンゴムを含んだゴム組成物を提供することが出来る。
最終ポリブタジエンゴムとは、遷移金属重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを製造する工程において、該1,3−ブタジエンの重合直後に添加剤として(A)芳香族系ビニル化合物を添加し、その直後に(B)有機ハロゲン化合物を添加することにより得られるシス−1,4−ポリブタジエンのことである。
本発明のポリブタジエンゴムのムーニー粘度は30〜120、好ましくは35〜110、より好ましくは、40〜105である。
ムーニー粘度が上記範囲より大きいと加工性が著しく悪化し、上記範囲より小さいと耐摩耗性や低ロス性が低下するので好ましくない。
5%トルエン溶液(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/MLと略記する)は1.8〜6.0で、好ましくは2.0〜5.0である。Tcp/ML比が上記範囲より小さいと分子鎖の分岐度が大きくなり、耐摩耗性や低ロス性が低下し、上記範囲より大きいと加工性が悪化するので好ましくない。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算のz+1平均分子量と数平均分子量の比(Mz+1/Mnと略記)は高分子量成分の影響を受ける値である理由から、9以上が好ましく、10以上が特に好ましい。
Mz+1/Mnの値が9より小さいと、低ロス性改善が少ないため、好ましくない。
すなわち、Mz+1/Mnの値が大きくなるほど、高分子量領域での分子量分布の広がりを示す。
本願発明で得られるポリブタジエンは、この高分子量領域での分子量分布の広がりを示す特徴を有している。
変性前のポリブタジエンは、変性剤を投入する前の状態を指す。
変性前のポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML)が30から55が好ましく、40から50が特に好ましい。
また、T−cp/MLは2.0〜4.0、特に2.4〜3.2が好ましい。
また、Mw/Mnは1.8〜3.4が好ましく、特に好ましくは2.0〜3.0である。
前記原料ポリブタジエンゴムの重合触媒としては、コバルト系触媒を用いるのが好ましい。
特に、以下に示す該重合段階で使用する「アルミニウム化合物と水の比」および「ハロゲン含有有機アルミニウム化合物と有機アルミニウム化合物の比」は、大きな要因となる。
ポリブタジエンの優れた物性を創出するためには、重合段階でこれら2つの要因を同時に満たすことが必須であり、一方の条件を満たしただけでは、最終生成するポリブタジエンの低燃費性などの効果を創出することは困難である。
該コバルト系触媒組成物に用いられるハロゲン含有有機アルミニウム化合物と有機アルミニウム化合物を足した添加量は、添加する水に対して0.95〜1.30倍、中でも0.98〜1.25倍、特に1.0〜1.15倍であることが好ましい。この範囲より大きいと希望の物性が得られず、この範囲より小さいと加工性が悪くなる。
当該ハロゲン含有有機アルミニウム化合物と有機アルミニウム化合物を足した添加量と添加する水の割合は、とりわけポリブタジエンのリニアリティーを規定する上で重要である。
該コバルト系触媒組成物に用いられるハロゲン含有有機アルミニウム化合物は、有機アルミニウムに対して1〜6倍、特に2〜4倍が好ましい。この範囲より大きいとゲルが問題となり、小さいと重合活性が低下する。
重合溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のC4留分などのオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン等の炭化水素系溶媒や、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。また、1,3−ブタジエンそのものを重合溶媒としてもよい。
分子量調節剤としては、重合時に公知の、例えば、シクロオクタジエン、アレンなどの非共役ジエン類、またはエチレン、プロピレン、ブテン−1などのα−オレフィン類を使用することができる。
特に好ましくはシクロオクタジエンであり、1,3−ブタジエン1モル当たり3〜30ミリモルが好ましく、特に好ましくは5〜18ミリモルである。この範囲以外の量を用いると、ML粘度のずれの問題が生ずるため好ましくない。
変性剤としては、芳香族系ビニル化合物であることが好ましい。
芳香族系ビニル化合物としては、trans-p-アネトールや4-(1-フェニル)-1,2-ジメトキシベンゼン、クロロメチルスチレン、ビニルベンジルシアニド、アミノスチレン、アセトキシスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、4−クロロイソプロペニルベンゼン、4−ブロモイソプロペニルベンゼンクロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレン、フルオロメチルスチレン、ジクロロスチレン、ジメトキシスチルベン、2−エトキシ−5−(1−プロペニル)フェノール、4−ヒドロキシ−3−メトキシ−1−プロペニルベンゼン、メトキシスチレン、ニトロスチレン、ベンジリデンマロニトリル、1−ベンジルオキシ−2−メトキシ−4−(1−プロペニル)ベンゼン、trans−シンナムアルデヒド、3−フェニルメタクリロレイン、4,4‘−ジヨード−trans−スチルベン、4,4‘−ジメトキシ−trans−スチルベン、2−(4−フルオロフェニル)−1−プロペン、4−ビニルベンジルアミンがある。
この量より少ないと、変性剤としての効果が低く、所望のポリマーを得ることが出来ない。また、多すぎると、有機ハロゲン化合物との反応が起こらない問題が生ずる。
ポリブタジエン重合後に十分時間が経った後や一度ポリマーを反応器から回収してしまった後に当該変性剤による変性をすると効果が得にくくなる。(理由付けはこれでよいですか。加筆修正願いします。)
上記の変性剤によって変性されたポリブタジエンゴムに所望の粘弾性特性を付与するために、有機ハロゲン化合物で反応させるのが好ましい。有機ハロゲン化合物で反応しない未反応変性ポリブタジエンは、ムーニー粘度、Tcp/ML比は所望特性を満足するが、Mz+1/Mnにおいて所望特性を満足させることが出来ない。
ただし、本願発明の趣旨は、予め変性剤でポリブタジエンを変性して、シリカなどとの可能性基を付与した変性ポリブタジエンを調製した後に、有機ハロゲン化合物によって、当該変性ポリブタジエンの分子同士を反応させてより高分子量かつ高分子領域での分子量分布(Mz+1/Mn)の広いポリブタジエンを製造するというものである。
遷移金属重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを製造する工程において、該1,3−ブタジエンの重合直後に添加剤として(A)芳香族系ビニル化合物を添加し、その直後に(B)有機ハロゲン化合物を添加することにより得られるシス−1,4−ポリブタジエンの製造方法である。
本発明により得られるポリブタジエンゴムは、単独で、または他の合成ゴム若しくは天然ゴムとブレンドして配合し、必要ならばプロセス油で油展し、次いでカーボンブラックやシリカ等の充填剤、加硫剤、加硫促進剤その他の通常の配合剤を加えて加硫し、タイヤ・防振ゴム・ベルト・ホース・免震ゴムなどの工業用品や紳士靴、婦人靴、スポーツシューズなどの履物といった各種のゴム用途に使用される。その場合、ゴム成分中に少なくとも本発明のポリブタジエンを10重量%含有するように配合することが好ましい。
ゴム組成物に含まれる他の合成ゴムとしては、加硫可能なゴムが好ましく、具体的にはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリイソプレン、ハイシスポリブタジエンゴム、ローシスポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等を挙げることができる。これらの中でもSBRが好ましい。
さらにSBRの中でも溶液重合スチレンブタジエン共重合体ゴム(S−SBR)が特に好ましい。これらのゴムは単独でも、二種以上組合せて用いても良い。
かかるS−SBRは公知であり、例えば日本ゼオン Nipol NS110R、旭化成 アサプレン 1204などの市販品を用いることができる。
他の添加剤成分であるシランカップリング剤としては、一般式R7nSiX4-nで表される有機珪素化合物で、R7はビニル基、アシル基、アリル基、アリルオキシ基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、クロル基、アルキル基、フェニル基、水素、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、ウレイド基などから選ばれる反応基を有する炭素数1〜20の有機基であり、Xは、クロル基、アルコキシ基、アセトキシ基、イソプロペノキシ基、アミノ基などから選ばれる加水分解基であり、nは1〜3の整数を示す。
上記の範囲よりも少ないと、スコーチの原因となるために好ましくない。また、上記の範囲よりも多いと引張り特性、延びの悪化の原因となるため好ましくない。
内部を充分窒素置換した1.5リットル容量のステンレス製のオートクレーブに、1,3−ブタジエンを43.0重量%含有するシクロヘキサン−C4留分混合溶液1リットル(シクロヘキサン25.5重量%、シス−2−ブテンを主成分とするC4留分を36.5重量%含有)とを仕込み、次に水2.00ミリモル、ジエチルアルミニウムモノクロライド2.27ミリモル、トリエチルアルミニウム0.76ミリモルを加えて攪拌を行ない、シクロオクタジエン13.84ミリモルを添加した。
オートクレーブを昇温し、49.5℃に内温が到達してから、コバルトオクトエート0.0013ミリモルを加えて、50℃で30分間重合反応を行なった。 そこに老化防止剤を添加して100℃で1時間真空乾燥した。得られたポリブタジエンゴムの物性を表1に示す。
内部を充分窒素置換した1.5リットル容量のステンレス製のオートクレーブに、1,3−ブタジエンを43.0重量%含有するシクロヘキサン−C4留分混合溶液1リットル(シクロヘキサン25.5重量%、シス−2−ブテンを主成分とするC4留分を36.5重量%含有)とを仕込み、次に水2.00ミリモル、ジエチルアルミニウムモノクロライド2.27ミリモル、トリエチルアルミニウム0.76ミリモルを加えて攪拌を行ない、シクロオクタジエン13.84ミリモルを添加した。
オートクレーブを昇温し、49.5℃に内温が到達してから、コバルトオクトエート0.0013ミリモルを加えて、50℃で30分間重合反応後に、trans−p−アネトールを12ミリモル添加し、その30秒後にt−ブチルクロライド4.2ミリモルを添加して20分反応した。
そこに老化防止剤を添加して100℃で1時間真空乾燥した。得られたポリブタジエンゴムの物性を表1に示す。
t−ブチルクロライドを4.5ミリモル添加した以外は試作品2と同様にポリブタジエンを製造した。得られたポリブタジエンゴムの物性を表1に示す。
t−ブチルクロライドを4.8ミリモル添加した以外は試作品2と同様にポリブタジエンを製造した。得られたポリブタジエンゴムの物性を表1に示す。
ブタジエンゴムとして試作品1を用い、表2に示す配合処方に従って250ccのラボプラストミルを使用しSBRとシリカ等と混練してから加硫剤をオープンロールで混合した。次いで温度160℃でプレス加硫し、得られた加硫試験片により物性を評価した。
ブタジエンゴムとして試作品2を用いた以外は比較例1と同様に評価した。
ブタジエンゴムとして試作品3を用いた以外は比較例1と同様に評価した。
ブタジエンゴムとして試作品4を用いた以外は比較例1と同様に評価した。
Claims (5)
- 遷移金属重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを製造する工程において、該1,3−ブタジエンの重合後に添加剤(A)芳香族系ビニル化合物が存在している中に(B)有機ハロゲン化合物を添加することにより得られるシス−1,4−ポリブタジエン。
- 該遷移金属重合触媒が(a)コバルトオクトエート、(b)R2 3−nAlXn(式中、R2は炭素数1〜10の炭化水素基、Xはハロゲンを示し、nは1〜2の数である。)で表されるハロゲン含有アルミニウム化合物および(c)水からなる触媒であることを特徴とする請求項1に記載のポリブタジエンゴム。
- 該(A)芳香族系ビニル化合物が、アネトール化合物であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のシス−1,4−ポリブタジエン。
- 該(B)有機ハロゲン化合物が、t-ブチルクロライドあるいはt-ブチルブロマイドであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシス−1,4−ポリブタジエン。
- 遷移金属重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを製造する工程において、該1,3−ブタジエンの重合後に添加剤(A)芳香族系ビニル化合物が存在している中に(B)有機ハロゲン化合物を添加することにより得られるシス−1,4−ポリブタジエンの製造方法。
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