JP2013175641A - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板を保持しているボートを処理室に対して搬入または搬出する際に、ボートの破損を防止することのできる技術を提供する。
【解決手段】本発明によれば、ボート90の上板91aまたは下板91bは、その中央部にそれぞれ開口93aまたは93bが形成されているので、ボート90の上板91aまたは下板91bが急速加熱または急速冷却された場合でも、上板91aまたは下板91bにおいて、外周部と中央部との温度差を低減することができる。このため、処理室の内部の温度が処理室の外部の温度よりも高い状態で、ボート90を処理室に対して搬入または搬出する際に、ボート90の上板91aまたは下板91bの破損を防止することができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関し、特に、基板上に膜を成膜するための基板処理装置および基板処理方法に適用して有効な技術に関する。
SiCは、Si(シリコン)に比して、絶縁耐圧や熱伝導性が高いこと等から、特にパワーデバイス用素子材料として注目されている。その一方でSiCは、不純物拡散係数が小さいこと等から、Siに比して結晶基板や半導体装置(半導体デバイス)の製造が難しいことが知られている。例えば、Siのエピタキシャル膜の成膜温度が900〜1200℃程度であるのに対し、SiCのエピタキシャル膜の成膜温度は1500〜1800℃程度となっており、成膜を行うための基板処理装置の耐熱構造や材料の分解抑制等に技術的な工夫が必要となる。
このようなSiCのエピタキシャル膜を成膜するために複数の基板を効率的に処理し得るバッチ式の基板処理装置として、例えば、複数の基板を垂直方向(縦方向)に積層した状態で保持するボートを備えた、所謂バッチ式縦型基板処理装置が知られている。このバッチ式縦型基板処理装置は、複数の基板を保持しているボートを処理炉内の処理室に搬入し、その後、処理室に搬入されたボートに保持されている基板を所定温度に加熱しつつ、処理室内に設けたガスノズルから各基板に向けて反応ガスを供給する。これにより、各基板の成膜面が反応ガスに曝されて、各基板を一度に効率よく成膜処理することができる。
特開2011−29597号公報(特許文献1)には、上記したバッチ式縦型基板処理装置において、Si(シリコン)原子含有ガスとCl(塩素)原子含有ガスとC(炭素)原子含有ガスと還元ガスとを供給して、SiC等の基板上にSiCエピタキシャル膜を成膜する気相エピタキシャル成長技術が記載されている。
特開2011−29597号公報
SiCエピタキシャル膜を成膜するための基板処理装置では、成膜温度が1500〜1800℃と高温である。そのため、単位時間に処理される基板の枚数(スループット)の観点で有利なように、処理室の内部の温度が処理室の外部の温度よりも高い状態で、ボートを処理室に搬入するか、あるいは、ボートを処理室から搬出する場合がある。このように、処理室の内部の温度が処理室の外部の温度よりも高い状態で、ボートを処理室に対して搬入または搬出する際には、処理室の内部の温度と処理室の外部の温度との温度差により、ボートにかかる熱負荷が大きくなる。すなわち、ボートを処理室に対して搬入または搬出する際に、ボートが急速加熱または急速冷却される。
ボートには、ボートの上下両端に、上板(天板)および下板(底板)が設けられている。ボートが急速加熱または急速冷却されると、上板および下板において、外周部と中央部との間に大きな温度差が発生することがある。そして、発生した温度差および例えば熱膨張率などの材質によっては、上板および下板に大きな応力が加えられ、上板および下板が破損するおそれがある。
本発明の目的は、基板を保持しているボートを処理室に対して搬入または搬出する際に、ボートの破損を防止することのできる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明における基板処理装置は、基板を処理するための処理室と、前記基板を保持する保持部と、前記基板を保持している前記保持部を前記処理室に対して搬入または搬出する搬入搬出部と、前記保持部が前記搬入搬出部により前記処理室に搬入された状態で、前記保持部に保持されている前記基板を加熱する加熱部と、を有する。ここで、前記保持部は、前記保持部が前記処理室に対して搬入または搬出される方向に沿って、前記保持部の両端に設けられた、第1の板部材および第2の板部材を有するものである。そして、前記第1の板部材および前記第2の板部材のうち一方の板部材は、前記処理室の内部の温度が前記処理室の外部の温度よりも高い状態で、前記搬入搬出部が前記保持部を前記処理室に対して搬入または搬出する際に、前記一方の板部材の外周部と中央部との温度差を低減するように、前記中央部が開口されたことを特徴とするものである。
また、本発明における基板処理方法は、(a)保持部により基板を保持する工程、(b)前記(a)工程の後、基板を処理するための処理室の内部の温度が前記処理室の外部の温度よりも高い状態で、前記基板を保持している前記保持部を前記処理室に搬入する工程、を有する。また、本発明における基板処理方法は、(c)前記(b)工程の後、前記保持部に保持されている前記基板を加熱部により加熱しつつ処理する工程、(d)前記(c)工程の後、前記処理室の内部の温度が前記処理室の外部の温度よりも高い状態で、前記保持部を前記処理室から搬出する工程、を有する。ここで、前記保持部は、前記保持部が前記処理室に対して搬入または搬出される方向に沿って、前記保持部の両端に設けられた、第1の板部材および第2の板部材を有するものである。そして、前記第1の板部材および前記第2の板部材のうち一方の板部材は、前記(b)工程または前記(d)工程において、前記一方の板部材の外周部と中央部との温度差を低減するように、前記中央部が開口されたことを特徴とするものである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
基板を保持しているボートを処理室に対して搬入または搬出する際に、ボートの破損を防止することができる。
実施の形態における基板処理装置の概略構成を示す斜視図である。 実施の形態における処理炉の概略構成を示す縦断面図である。 実施の形態における処理炉の概略構成を示す水平断面図である。 実施の形態における処理炉周辺の構成を示す図である。 実施の形態における処理炉周辺の構成を示す図である。 実施の形態における基板処理装置を制御するコントローラの構成を示すブロック図である。 実施の形態におけるボートの詳細構造を示す斜視図である。 比較例におけるボートの詳細構造を示す斜視図である。 比較例におけるボートの上板付近の詳細構造を示す断面図である。 図9に示す構造について、ボートを処理室から搬出する際の上板の各点における温度および温度差を計算した結果を示すグラフである。 実施の形態におけるボートの上板付近の詳細構造を示す断面図である。 図11に示す構造について、ボートを処理室から搬出する際の上板の各点における温度および温度差を計算した結果を示すグラフである。 実施の形態の変形例におけるボートの詳細構造を示す斜視図である。 実施の形態の変形例におけるボートの上板付近の詳細構造を示す断面図である。 実施の形態の基板処理装置を使用した基板処理工程の一部を示すプロセスフロー図である。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施の形態)
<実施の形態における基板処理装置の概略構成>
本発明を実施するための実施の形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置の製造方法に含まれる基板処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。以下の説明では、例えば、SiCからなる半導体基板としての基板(ウェハ)にCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いたエピタキシャル成長法による成膜処理を行う縦型の基板処理装置に、本発明の技術的思想を適用した場合について述べる。特に、本実施の形態では、複数の基板を一度に処理するバッチ方式の基板処理装置を対象にして説明する。
まず、本実施の形態における基板処理装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施の形態における基板処理装置の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態における基板処理装置10は、SiCからなる複数のウェハ(基板)を収納したウェハキャリアとしてのカセット11を使用するように構成されており、筐体12を備えている。筐体12の正面壁12aの下方には、メンテナンス可能なように、正面メンテナンス口13が開設され、この正面メンテナンス口13を開閉する正面メンテナンス扉14が筐体12の正面壁12aに設けられている。
正面メンテナンス扉14には、カセット搬入搬出口15が筐体12の内外を連通するように開設されており、カセット搬入搬出口15はフロントシャッタ16によって開閉されるようになっている。カセット搬入搬出口15の筐体12内側にはカセットステージ17が設置されている。カセット11は、カセットステージ17上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつ、カセットステージ17上から搬出されるようになっている。カセットステージ17は、工程内搬送装置によって、カセット11内のウェハが垂直姿勢となり、かつ、カセット11のウェハ出し入れ口が例えば上方を向いた状態で載置されるように構成されている。
筐体12内の前後方向の略中央下部には、カセット棚18が設置されており、カセット棚18は複数段および複数列で複数個のカセット11を保管し、カセット11内のウェハを出し入れすることが可能なように配置されている。また、カセット棚18に加えてバッファ棚19が設置されており、このバッファ棚19にもカセット11が保管されるようになっている。
カセットステージ17とカセット棚18との間には、カセット搬送装置20が設置されている。カセット搬送装置20は、カセット11を保持したまま昇降することができるカセットエレベータ20aと、搬送機構としてのカセット搬送機構20bから構成されている。このカセットエレベータ20aとカセット搬送機構20bとの連続動作により、カセットステージ17、カセット棚18およびバッファ棚19との間で、カセット11を搬送することができるようになっている。
カセット棚18の後方には、ウェハ移載機構21が設置されており、ウェハ移載機構21は、ウェハを水平方向に回転ないし直動可能なウェハ移載装置21aおよびウェハ移載装置21aを昇降させるためのウェハ移載装置エレベータ21bで構成されている。これら、ウェハ移載装置エレベータ21bおよびウェハ移載装置21aの連続動作により、ウェハ移載装置21aのツイーザ21cがボート90に対してウェハWを装填(チャージ)および脱装(ディスチャージ)するように構成されている。
カセット棚18およびバッファ棚19の上方には、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを基板処理装置10内へ供給するために、供給ファンおよび防塵フィルタで構成されたクリーンユニット22が設けられている。このクリーンユニット22は、クリーンエアを筐体12の内部に流通させるように構成されている。すなわち、このクリーンユニット22から吹き出されたクリーンエアは、筐体12の内部を流通した後に、図示しない排気装置に吸い込まれて、筐体12の外部へ排気されるようになっている。
ウェハ移載装置21aの後側には、基板保持具としてのボート90を収容可能な容積を有するロードロック方式の待機室であるロードロック室(移載室)23が形成されている。
ロードロック室23上方には、処理炉(反応炉)30が設けられている。処理炉30の下端部は炉口シャッタ25により開閉されるように構成されている。なお、処理炉30の構成については後述する。
ロードロック室23には、ボート90を昇降させるためのボートエレベータ24が設置されている。ボートエレベータ24は、ボート90を垂直方向(縦方向)に移動(昇降)させることで、ボート90を、後述する処理室34に対して搬入または搬出する搬入搬出部として機能する。ボートエレベータ24に連結された連結具としてのアーム26(図4を用いて後述する駆動部収納ケース74)には蓋体としてのシールキャップ27が水平に据え付けられており、シールキャップ27はボート90を垂直に支持し、処理炉30の下端部を閉塞可能なように構成されている。
基板処理装置10を構成する各部は、コントローラ80と電気的に接続されており、コントローラ80は、基板処理装置10を構成する各部の動作を制御するように構成されている。
<処理炉の構成>
次に、本実施の形態における処理炉の構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、実施の形態における処理炉30の概略構成を示す縦断面図である。図3は、実施の形態における処理炉30の概略構成を示す水平断面図である。
図2および図3において、本実施の形態における処理炉30は、最も外側に筐体31を有しており、この筐体31の内部に反応管32が配置されている。反応管32は、例えば、石英などから構成されている。
反応管32の開口側(図2下方側)には、マニホールド33が設けられている。このマニホールド33は、例えば、ステンレス材料などからなり、上方側および下方側が開口した形状に形成されている。また、マニホールド33の内周側面の一部には、石英からなるウォール33aが設けられている。マニホールド33は、反応管32を支持し、マニホールド33と反応管32との間には、シール部材としてのOリング(図示せず)が設けられている。これにより、反応管32、およびマニホールド33の内部に充填された反応ガスが外部に漏洩するのを防止している。マニホールド33は、その下方側に設けられた保持体(図示せず)に支持されており、これにより反応管32は、地面(図示せず)に対して垂直に据え付けられた状態となっている。ここで、反応管32、およびマニホールド33により、処理室(反応室)34を形成している。
処理室34の内部には、ウェハWを保持しているボート90が搬入され、処理室34において、ボート90に保持されているウェハWへの成膜処理が行われるようになっている。ボート90はシールキャップ27上に配置され、このシールキャップ27によって処理室34が密閉されるように構成されている。また、図4を用いて後述するように、シールキャップ27には、回転機構61が設けられており、この回転機構61の回転軸62はシールキャップ27を貫通してボート90に接続されている。
ボート90は、図7を用いて後述するように、ウェハWまたはウェハホルダ(図示せず)に搭載されたウェハWを、各々のウェハの主面が水平になるように、かつ、各々のウェハの中心が平面視で一致するように、垂直方向(縦方向)に積層した状態で保持するようになっている。すなわち、ボート90は、ウェハWを保持する保持部として機能する。なお、ボート90の下方側には、たとえば、石英やSiC等の耐熱性材料により円柱形状に形成された断熱部材としてのボート断熱部60が設けられ、後述する加熱体35からの熱が、処理室34の下方側に伝達し難くなっている。
処理室34の内部には、加熱体(被誘導体)35が形成されている。加熱体35は、上方側が閉塞されて下方側が開口された円筒形状に形成されている。これにより、加熱体35内に供給される反応ガスを封止でき、かつ処理室34の上方側への放熱を抑制できる。加熱体35は、例えば、SiCをコートとしたグラファイトから形成されている。この加熱体35は、ボート90を囲むように設けられている。
また、反応管32の外側には、円筒形状の支持部材36の内周側に誘導コイル37が巻かれている。誘導コイル37は高周波電源(図示せず)に接続されており、この高周波電源により、誘導コイル37には例えば30kHzの高周波電流が流れるようになっている。つまり、本実施の形態では、誘導コイル37に高周波電流を流すと、処理炉30の内部に高周波電磁界が発生し、この高周波電磁界により被誘導体である加熱体35に渦電流が流れる。この加熱体35は、渦電流が流れることで発生するジュール熱による加熱、すなわち誘導加熱が起こり昇温され、その後、加熱体35からの輻射熱により、処理室34の内部が加熱され、結果的に、処理室34内でボート90に垂直方向(縦方向)に積層された状態で保持されているウェハWが周囲から加熱されるように構成されている。すなわち、ボート90がボートエレベータ24により処理室34に搬入された状態で、ボート90に保持されているウェハWは、加熱部として機能する誘導コイル37および加熱体35により周囲から加熱される。
例えば加熱体35と反応管32との間など、加熱体35の近傍には、処理室34内の温度を検出する温度検出体としての熱電対38が設けられている。また、シールキャップ27には、処理室34内の温度を検出する温度検出体としての放射温度計39が設けられている。この放射温度計39は、図2に示すように、例えば加熱体35と一体に設けられた被測定部40の温度をマニホールド33に設けられたビューポート41を通して測定することで、処理室34内の温度を検出することができる。
誘導コイル37、熱電対38および放射温度計39には、コントローラ80(図1参照)の温度制御部82(後述する図6参照)が電気的に接続されており、熱電対38または放射温度計39により検出された温度情報に基づいて、誘導コイル37への通電状態を調節することができるようになっている。そして、温度制御部82によって、処理室34内の温度が所望の温度分布となるよう所望のタイミングにて制御されるようになっている。
反応管32と加熱体35との間には、たとえば、誘導加熱され難いカーボンフェルトなどで形成された断熱材42が設けられている。断熱材42は、反応管32および加熱体35と同様に、上方側が閉塞され下方側が開口された円筒形状に形成されている。断熱材42は、例えば1500〜1800℃に加熱された加熱体35からの熱が、断熱材42の外側に配置された部材に熱伝達されることを抑制するためのものである。このように、断熱材42を設けることで、加熱体35が例えば1500〜1800℃に加熱されている場合に、反応管32の温度を1000℃以下に下げることができる。
誘導コイル37の外周側には、処理室34内の熱が外部に伝達されるのを抑制するために、例えば水冷構造の外側断熱壁43が設けられている。外側断熱壁43は円筒形状に形成され、処理室34および支持部材36を包囲するよう配置されている。さらに、外側断熱壁43の外周側には、誘導コイル37へ通電することで発生する磁場が、外部に漏洩するのを防止するための磁気シール44が設けられている。磁気シール44においても、上方側が閉塞され下方側が開口された円筒形状に形成されている。図2に示す例では、筐体31が磁気シール44を兼ねた構造としている。
加熱体35と各ウェハWとの間には、複数の第1ガス供給口45aを備えた第1ガス供給ノズル(ガスノズル)45が設けられている。また、反応管32と断熱材42の間には、第2ガス供給口46aを備えた第2ガス供給ノズル46が設けられている。
第1ガス供給ノズル45は、例えば、カーボングラファイト等で中空パイプ状に形成され、その先端側は加熱体35の上方側まで延在しており、第1ガス供給ノズル45の各第1ガス供給口45aは各ウェハWの側面に向けられている。第1ガス供給ノズル45の基端側は、マニホールド33を貫通しつつ、当該マニホールド33に溶接等により固定されている。第1ガス供給ノズル45は、少なくとも、Si原子含有ガスとして例えばモノシラン(SiH)ガス、Cl原子含有ガスとして例えば塩化水素(HCl)ガス、C原子含有ガスとして例えばプロパン(C)ガス、還元ガスとして例えば水素(H)ガスとをそれぞれ混合した状態とし、この反応ガスを各ウェハWに向けて供給するようになっている。
第1ガス供給ノズル45は、第1ガスライン47に接続されている。第1ガスライン47は、流量制御器(流量制御手段)としての各MFC(Mass Flow Controller)49a、49b、49c、49dおよび各バルブ50a、50b、50c、50dを介して、各ガス源51a、51b、51c、51dに接続されている。なお、各ガス源51a、51b、51c、51dには、例えば、SiHガス、HClガス、Cガス、Hガスがそれぞれ充填されている。
この構成により、例えば、SiHガス、HClガス、Cガス、Hガスのそれぞれの供給流量、濃度、分圧等を制御することができる。各バルブ50a〜50dおよび各MFC49a〜49dは、コントローラ80(図1参照)のガス流量制御部83(後述する図6参照)に電気的に接続されている。ガス流量制御部83は、供給すべきそれぞれの反応ガスの流量を所定流量とするよう、所定のタイミングで制御するようになっている。
ここで、第1ガス供給ノズル45は、Si原子含有ガスとC原子含有ガスを混合して供給するプレミックス方式によるものとして記載したが、これらのガスが独立したノズルによって供給されるセパレート方式によるものとしてもよい。具体的には、第1ガス供給ノズル45を複数本設け、ノズル内でのガス反応を防止するために、Si原子含有ガスを供給するガスラインと、C原子含有ガスを供給するガスラインとを異なるものとし、複数本設けた第1ガス供給ノズル45のそれぞれに、Si原子含有ガスとC原子含有ガスを分けて供給するようにしてもよい。
このとき、Si原子含有ガスを供給するガスラインと、C原子含有ガスを供給するガスラインについては、Cl原子含有ガスを、Si原子含有ガスを供給するガスラインから供給し、還元ガスを、C原子含有ガスを供給するガスラインから供給するように、設けてもよい。
また、第1ガス供給ノズル45については、不活性ガスとしてのArを供給するように設けてもよい。
反応管32と断熱材42との間に配置された第2ガス供給ノズル46の基端側は、マニホールド33を貫通して当該マニホールド33に溶接等により固定されている。第2ガス供給ノズル46は、第2ガスライン48に接続され、当該第2ガスライン48は、MFC49eおよびバルブ50eを介して、ガス源51eに接続されている。なお、ガス源51eには、例えば不活性ガスとして、希ガスのAr(アルゴン)ガスが充填されている。ガス源51eからの不活性ガスが第2ガス供給口46aから反応管32と断熱材42との間に供給されることにより、SiCエピタキシャル膜の成長に寄与する反応ガスが、反応管32と断熱材42との間に進入するのを防止し、反応管32の内壁や断熱材42の外壁に不要な生成物が付着するのを抑制できる。バルブ50eおよびMFC49eも、コントローラ80(図1参照)のガス流量制御部83(後述する図6参照)に電気的に接続されている。
なお、図2に示すように、第2ガス供給ノズル46は、2本に分岐され、1本目の第2ガス供給ノズル46が反応管32と断熱材42との間に配置され、2本目の第2ガス供給ノズル46bが断熱材42と加熱体35との間に配置されていてもよい。第2ガス供給ノズル46bには第2ガス供給口46cが形成されている。ガス源51eからの不活性ガスが第2ガス供給口46cから断熱材42と加熱体35との間に供給されることにより、SiCエピタキシャル膜の成長に寄与する反応ガスが、断熱材42と加熱体35との間に進入するのを防止し、断熱材42の内壁や加熱体35の外壁に不要な生成物が付着するのを抑制できる。
反応管32と断熱材42との間および処理室34内の雰囲気を排気するために、マニホールド33の下側には、ガス排気口52が設けられている。ガス排気口52は、ガス排気管53に接続されている。ガス排気管53の下流側には、圧力検出器としての圧力センサ(図示せず)および圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ54を介して、真空ポンプ等の真空排気装置55が接続されている。
圧力センサおよびAPCバルブ54には、コントローラ80(図1参照)の圧力制御部84(後述する図6参照)が電気的に接続されている。圧力制御部84は、圧力センサにより検出された圧力に基づき、所定のタイミングでAPCバルブ54の開度を調節(制御)するようになっている。これにより、処理室34内のガスを、ガス排気口52、ガス排気管53およびAPCバルブ54を介して真空排気装置55から外部に所定量排気することで、処理室34内の圧力が所定圧力に調整される。
<処理炉周辺の構成>
次に、本処理炉周辺の構成について、図面を参照しながら説明する。図4および図5は、実施の形態における処理炉30周辺の構成を示す図である。図4は、ボート90が処理室34に搬入されている状態を示し、図5は、ボート90が処理室34から搬出されている状態を示す。
図4に示すように、処理炉30の下方には、処理炉30の下端部を気密封止するための炉口蓋体としてシールキャップ27が設けられている。シールキャップ27の上面には、処理炉30の下端部と当接するシール材としてのOリング(図示せず)が設けられている。前述したように、シールキャップ27には、回転機構61が設けられており、この回転機構61の回転軸62はシールキャップ27を貫通してボート90に接続されている。これにより、回転機構61は、回転軸62を介してボート90を回転させることで、ボート90に保持されているウェハWを回転させるようになっている。
シールキャップ27は、ボートエレベータ24に設けられた昇降モータ63により、垂直方向(縦方向)に移動(昇降)されるように構成されており、シールキャップ27上に搭載されたボート90も、ボートエレベータ24に設けられた昇降モータ63により、処理室34に対して搬入または搬出されるようになっている。上述した回転機構61およびボートエレベータ24を動作させる昇降モータ63は、後述するコントローラ80(図1参照)の駆動制御部85(後述する図6参照)と電気的に接続されており、駆動制御部85は、回転機構61や昇降モータ63が所定動作をするように制御する。
ボートエレベータ24は、昇降モータ63の他、下基板64、昇降台65、ガイドシャフト66、ボール螺子67および上基板68を有する。
ロードロック室23の外面には、下基板64が設けられている。この下基板64には、昇降台65とスライド自在になっているガイドシャフト66および昇降台65と螺合するボール螺子67が設けられている。そして、下基板64に設けられたガイドシャフト66およびボール螺子67の上端には、上基板68が設けられている。ボール螺子67は、上基板68に設けられた昇降モータ63によって回転され、ボール螺子67が回転することにより、昇降台65が昇降するようになっている。
昇降台65には中空の昇降シャフト69が設けられ、昇降台65と昇降シャフト69の連結部は気密となっており、この昇降シャフト69は昇降台65とともに昇降するように構成されている。昇降シャフト69は、ロードロック室23の天板70を貫通している。ロードロック室23と昇降台65との間には、昇降シャフト69の周囲を覆うように伸縮性を有する中空伸縮体としてベローズ71が設けられており、このベローズ71によりロードロック室23が気密に保たれるようになっている。
昇降シャフト69の下端には、昇降基板72が水平に固着され、この昇降基板72の下面にはOリングなどのシール部材を介して駆動部カバー73が気密に取り付けられている。昇降基板72と駆動部カバー73により駆動部収納ケース74が構成され、この構成により、駆動部収納ケース74の内部は、ロードロック室23内の雰囲気と隔離される。
駆動部収納ケース74の内部には、ボート90の回転機構61が設けられており、この回転機構61の周辺は、冷却機構75によって冷却されるようになっている。回転機構61には、回転機構61に電力を供給するための電力ケーブル76が、昇降シャフト69の上端から中空部を通り、回転機構61に導かれて接続されている。また、冷却機構75およびシールキャップ27には、冷却水流路77が形成されている。さらに、冷却水配管78が昇降シャフト69の上端から中空部を通り、冷却水流路77に導かれて接続されている。
処理炉周辺が上記したように構成されている場合において、ボートエレベータ24は、昇降モータ63が駆動されて、ボール螺子67が回転することにより、昇降台65および昇降シャフト69を介して駆動部収納ケース74を垂直方向(縦方向)に移動(昇降)させる。そして、ボートエレベータ24が、駆動部収納ケース74とともにボート90を上昇させることにより、図4に示すように、ボート90が処理室34に搬入(ロード)され、昇降基板72に気密に設けられているシールキャップ27が処理炉30の開口部である炉口79を閉塞し、搬入(ロード)されたボート90に搭載されているウェハWの成膜処理が可能な状態となる。一方、ボートエレベータ24が、駆動部収納ケース74とともにボート90を下降させることにより、図5に示すように、ボート90が処理室34から搬出(アンロード)され、搬出(アンロード)されたボート90に搭載されているウェハWを外部に搬出できる状態となる。
<本実施の形態における基板処理装置の制御部の構成>
続いて、本実施の形態における基板処理装置10の制御部であるコントローラ80の構成について、図面を参照しながら説明する。図6は、実施の形態における基板処理装置10を制御するコントローラ80の構成を示すブロック図である。
図6において、本実施の形態におけるコントローラ80は、主制御部81、温度制御部82、ガス流量制御部83、圧力制御部84、および、駆動制御部85を有している。そして、主制御部81は、温度制御部82、ガス流量制御部83、圧力制御部84、および、駆動制御部85と電気的に接続されており、主制御部81は、温度制御部82、ガス流量制御部83、圧力制御部84、および、駆動制御部85を制御するように構成されている。
温度制御部82は、例えば、図2に示す誘導コイル37、熱電対38および放射温度計39と電気的に接続されている。そして、温度制御部82は、熱電対38または放射温度計39によって検出された温度情報に基づき、誘導コイル37への通電具合を調節することで、処理室34内の温度が所望の温度分布となるように制御するように構成されている。
ガス流量制御部83は、例えば、図2に示すMFC49a〜49eおよびバルブ50a〜50eと電気的に接続されている。そして、ガス流量制御部83は、それぞれ供給するガスの流量が所定の流量となるよう、MFC49a〜49eおよびバルブ50a〜50eを制御可能に構成されている。
圧力制御部84は、例えば、APCバルブ54および圧力センサ(図示せず)と電気的に接続されている。そして、圧力制御部84は、圧力センサ(図示せず)によって検出された圧力に基づいて、APCバルブ54の開閉度を調節し、処理室34内の圧力が所定圧力となるように制御可能に構成されている。
駆動制御部85は、例えば、図4に示す回転機構61および昇降モータ63と電気的に接続されている。そして、駆動制御部85は、回転機構61および昇降モータ63が所定動作をするように制御可能に構成されている。
以上のようにして、本実施の形態における基板処理装置10がコントローラ80によって制御される。
<本実施の形態におけるボートの構成>
続いて、本実施の形態におけるボート90の構成について、図面を参照しながら説明する。図7は、実施の形態におけるボート90の詳細構造を示す斜視図である。
図7に示すように、ボート90は、上板(天板、第1の板部材)91aと、下板(底板、第2の板部材)91bと、上板91aと下板91bとの間に設けられ、両者を水平状態で支持する支柱としての第1ボート柱92a、第2ボート柱92bおよび第3ボート柱92cとを備えている。上板91a、下板91bおよび各ボート柱92a〜92cは、何れもカーボングラファイトやSiC等の耐熱材料により形成され、これらは互いに嵌め込みやネジ止め等の接続手段により一体に組み付けられている。
なお、以下では、ボート90がウェハを保持するものである例について説明するが、ウェハに代え、ウェハを搭載したウェハホルダ(図示せず)を保持するものでもよい。
各ボート柱92a〜92cは、何れも同じ形状に形成され、ボート90を組み立てた状態のもとで、各ボート柱92a〜92cが対向する側には、切り欠きよりなる複数の保持溝HSが設けられている。各保持溝HSは、ウェハを取り外し可能に保持するもので、各ボート柱92a〜92cの長手方向に沿って所定間隔で、例えば30段設けられている。ボート90は、30枚のウェハを、各々のウェハの主面が水平になるように、かつ、各々のウェハの中心が平面視で一致するように、垂直方向(縦方向)に積層した状態で保持するよう構成されている。そして、上板91aおよび下板91bは、ボート90が処理室34に対して搬入または搬出される方向である垂直方向(縦方向)に沿って、ボート90の両端に設けられている。すなわち、上板91aおよび下板91bは、ボート90の上下両端に設けられている。上板91aおよび下板91bは、その断熱効果によりボート90に保持されているウェハの温度を安定させるため、または、反応ガスの流れが乱れることを防止するために、設けられている。
第1ボート柱92aおよび第2ボート柱92bは、上板91aおよび下板91bの周方向に沿って90度間隔となるよう配置されている。また、第2ボート柱92bおよび第3ボート柱92cは、上板91aおよび下板91bの周方向に沿って180度間隔となるよう配置されている。つまり、第1ボート柱92aと第2ボート柱92bとの間隔は、第2ボート柱92bと第3ボート柱92cとの間隔よりも狭くなっている。なお、第1ボート柱92aおよび第3ボート柱92cは、第1ボート柱92aおよび第2ボート柱92bの関係と同様に、上板91aおよび下板91bの周方向に沿って90度間隔となっている。各ボート柱92a〜92cの間隔のうちの最も広く開口した開口部分、つまり第2ボート柱92bと第3ボート柱92cとの間の開口部分は、ウェハを移載するための開口部となっている。
後述する基板処理工程では、ウェハWの処理を開始する前に、処理室34の内部の温度が処理室34の外部の温度よりも高い状態で、ウェハWを保持しているボート90をボートエレベータ24により上方に移動させ、ボート90を処理室34に搬入する(図4参照)。一方、ウェハWの処理が終了した後は、処理室34の内部の温度が処理室34の外部の温度よりも高い状態で、ウェハWを保持しているボート90をボートエレベータ24により下方に移動させ、ボート90を処理室34から搬出する(図5参照)。このように、処理室34の内部の温度が処理室34の外部の温度よりも高い状態で、ボート90を処理室34に対して搬入または搬出する際には、処理室34の内部の温度と処理室34の外部の温度との温度差により、ボート90にかかる熱負荷が大きくなる。すなわち、ボート90を処理室34に対して搬入または搬出する際に、ボート90が急速加熱または急速冷却される。ボート90が急速加熱または急速冷却されると、上板91aおよび下板91bの例えば熱伝導率などの材質または形状によっては、上板91aおよび下板91bにおいて、外周部と中央部との間に温度差が発生する。
ここで、外周部と中央部との温度差が大きいと、例えば熱膨張率などの材質によっては、上板91aおよび下板91bに応力が加えられることで、上板91aおよび下板91bが、割れるか、または、欠けること、すなわち破損することがある。
しかし、本実施の形態では、処理室34の内部の温度が処理室34の外部の温度よりも高い状態で、ボート90を処理室34に対して搬入または搬出する際に、上板91aおよび下板91bにおける外周部と中央部との温度差を低減するように、上板91aの中央部および下板91bの中央部が開口されたことを特徴とする。すなわち、上板91aの中央部に開口93aが形成され、下板91bの中央部に開口93bが形成されることで、ボート90を処理室34に対して搬入または搬出する際に、ボート90が急速加熱または急速冷却された場合でも、上板91aおよび下板91bにおける外周部と中央部との温度差を低減させることができる。これにより、外周部と中央部との温度差により上板91aおよび下板91bに加えられる応力を低減させることができ、ボート90を処理室34に対して搬入または搬出する際に、上板91aおよび下板91bが破損することを防止できる。また、上板91aの中央部に開口93aが形成されたことにより、処理室34の上部における反応ガスの滞留も防止できる。
図7に示すように、上板91aおよび下板91bは、好適には、円環状に形成されている。すなわち、上板91aは、好適には、円板状の板部材の中央部に円形状の開口93aが形成されたものであり、下板91bは、好適には、円板状の板部材の中央部に円形状の開口93bが形成されたものである。これにより、後述する基板処理工程において、上板91aおよび下板91bの水平面内における温度分布を周方向に沿って均一にすることができ、ウェハに成膜される膜のウェハ面内における膜質の均一性の低下を抑制できる。
なお、図7に示すように、上板91aの上面側において、開口93aの内周面の全周にわたり段差部94aが設けられていてもよく、または、下板91bの上面側において、開口93bの内周面の全周にわたり段差部94bが設けられていてもよい。
次に、上板および下板の中央部が開口されたことで、ボートを処理室に対して搬入または搬出する際に、外周部と中央部との温度差を低減できる効果について、実施の形態の基板処理装置と比較例の基板処理装置とを比較しながら説明する。
まず、上板の中央部が開口されていないボートを有する基板処理装置を比較例の基板処理装置とし、この比較例について、ボートを処理室から搬出する際の上板の各点における温度、および、各点のうち最も外周部側の点における温度とそれ以外の点における温度との温度差を計算した。図8は、比較例におけるボート190の詳細構造を示す斜視図である。図9は、比較例におけるボート190の上板191a付近の詳細構造を示す断面図である。図10は、図9に示す構造について計算した結果を示すグラフである。
図8に示すように、比較例のボート190は、上板(板部材)191aと、下板(板部材)191bと、上板191aと下板191bとの間に設けられ、両者を水平状態で支持する支柱としての第1ボート柱192a、第2ボート柱192bおよび第3ボート柱192cとを備えている。上板191aの中央部が開口されていない点で、上板191aは、実施の形態のボート90の上板91aと異なる。また、下板191bの中央部が開口されていない点で、下板191bは、実施の形態のボート90の下板91bと異なる。その他、ボート柱192a〜192cは、実施の形態のボート90のボート柱92a〜92cのそれぞれと同一である。さらに、比較例では、基板処理装置のうちボート190以外の各部分については、実施の形態の基板処理装置の各部分と同一であるものとする。
図9に示すように、中心軸CAを中心とした円板状の上板191aを同心円状に6分割し、6分割した各部分の点として、外周部側から中央部側に向かって、径方向に沿って、各点にCP101〜CP106の番号を付している。図9に示す例では、各点CP101〜CP106の径方向に沿った間隔L101を15mmとし、最も中央部側の点CP106と中心軸CAとの距離L102を10mmとした。
図10では、ボート190を、内部の温度が800℃である処理室34から、温度が室温である処理室34の外部すなわちロードロック室23に搬出したときの、CP101〜CP106の各点における温度T101〜T106の時間変化を左側の縦軸と横軸のグラフで示し、CP102〜CP106の各点における温度と点CP101における温度との温度差D102〜D106の時間変化を右側の縦軸と横軸のグラフで示している。点CP101における温度をT101とし、点CP102における温度をT102とし、点CP103における温度をT103とし、点CP104における温度をT104とし、点CP105における温度をT105とし、点CP106における温度をT106とする。また、温度T102と温度T101との温度差をD102とし、温度T103と温度T101との温度差をD103とし、温度T104と温度T101との温度差をD104とし、温度T105と温度T101との温度差をD105とし、温度T106と温度T101との温度差をD106とする。
図10に示すように、温度T101〜T106は、冷却開始後、時間経過に伴って単調に減少する。しかし、温度差D102〜D106は0ではなく、冷却開始後、時間経過に伴っていったん増加して最大となり、その後、時間経過に伴って単調に減少する。また、同時間(同時刻)において、D102〜D106のうち最も大きい値を示すのはD106である。すなわち、最も外周部側の点CP101との温度差が最も大きくなる点は、最も中央部側の点CP106であり、このことは、外周部との温度差が最も大きい部分が中央部であることを意味する。また、D106が最も大きくなるときに、約32℃の値を示す。すなわち、外周部と中央部との温度差の最大値は、約32℃となる。
一方、上板の中央部が開口されたボートを有する実施の形態の基板処理装置について、ボートを処理室から搬出する際の上板の各点における温度、および、各点のうち最も外周部側の点における温度とそれ以外の点における温度との温度差を計算した。図11は、実施の形態におけるボート90の上板91a付近の詳細構造を示す断面図である。図12は、図11に示す構造について計算した結果を示すグラフである。
なお、図7では、上板91aの開口93aに段差部94aが設けられた例を示しているが、以下の計算では、計算を簡単にするために、上板91aの開口93aに段差部が設けられていない例を、計算用の構造(図11参照)として用いた。
図11に示すように、中心軸CAを中心とした円板状の上板91aの中央部に開口93aを形成し、円環状の形状とした例について、円環状の部分を同心円状に3分割し、3分割した各部分の点として、外周部側から中央部側に向かって、径方向に沿って、各点にCP1〜CP3の番号を付している。図11に示す例では、各点CP1〜CP3の径方向に沿った間隔L1を15mmとし、最も中央部側の点CP3と中心軸CAとの距離L2を55mmとした。
図12では、ボート90を、内部の温度が800℃である処理室34から、温度が室温である処理室34の外部すなわちロードロック室23に搬出したときの、CP1〜CP3の各点における温度T1〜T3の時間変化を左側の縦軸と横軸のグラフで示し、CP2およびCP3の各点における温度と点CP1における温度との温度差D2およびD3の時間変化を右側の縦軸と横軸のグラフに示している。点CP1における温度をT1とし、点CP2における温度をT2とし、点CP3における温度をT3とする。また、温度T2と温度T1との温度差をD2とし、温度T3と温度T1との温度差をD3とする。
図12に示すように、温度T1〜T3は、冷却開始後、時間経過に伴って単調に減少する。しかし、温度差D2およびD3は0ではなく、冷却開始後、時間経過に伴っていったん増加して最大となり、その後、時間経過に伴って単調に減少する。また、同時間(同時刻)において、D2およびD3のうちより大きい値を示すのはD3である。すなわち、最も外周部側の点CP1との温度差が最も大きくなる点は、最も中央部側の点CP3であり、このことは、外周部との温度差が最も大きい部分が最も中央部側の部分であることを意味する。しかし、D3が最も大きくなるときでも、その最大値は約8℃であり、中央部が開口されていない場合(比較例)の各点と外周部との温度差の最大値である32℃の略4分の1である。
上記した図10および図12の計算結果より、同一の温度条件では、本実施の形態の上板の方が、比較例の上板に比べ、外周部と中央部側の部分との温度差が小さくなることが分かった。また、ボートを処理室に搬入する際についても同様の計算結果が得られた。さらに、下板についても、上板についての計算結果と同様の計算結果が得られた。したがって、本実施の形態では、比較例に比べ、ボートを処理室に対して搬入または搬出する際に、ボートが急速加熱または急速冷却された場合でも、上板および下板における外周部と中央部との温度差を低減させることができる。これにより、外周部と中央部との温度差により上板および下板に加えられる応力を低減させることができ、上板および下板が破損することを防止できる。
なお、図9から図12を用いて説明した計算の条件は一例であり、例えば冷却開始時のボートの温度(設定温度)、または、例えば熱伝導率などの材質が異なる場合には、上板(または下板)の中央部が開口されていないとき、外周部と中央部との温度差がさらに大きくなる。あるいは、例えばボートの冷却速度を増加させるために、ボートまたはボートに保持されているウェハに冷却ガスを吹き付けて冷却する場合には、上板(または下板)の中央部が開口されていないとき、外周部と中央部との温度差がさらに大きくなる。これらの場合には、本実施の形態により上板および下板が破損することを防止する効果はさらに大きくなる。
また、上板および下板は、それらの一方のみの中央部が開口されたものでもよい。この場合、上板および下板のいずれの中央部も開口された場合よりは効果は少ないものの、上板および下板のいずれの中央部も開口されていない場合に比べ、ボートを処理室に対して搬入または搬出する際に、ボートが急速加熱または急速冷却された場合でも、上板または下板が破損することを防止できる。
<変形例>
続いて、本実施の形態の変形例におけるボート90aの構成について、図面を参照しながら説明する。図13は、実施の形態の変形例におけるボート90aの詳細構造を示す斜視図である。図14は、実施の形態の変形例におけるボート90aの上板91a付近の詳細構造を示す断面図である。
本変形例でも、実施の形態と同様に、処理室34の内部の温度が処理室34の外部の温度よりも高い状態で、ボート90aを処理室34に対して搬入または搬出する際に、上板91aおよび下板91bにおける外周部と中央部との温度差を低減するように、上板91aの中央部および下板91bの中央部が開口されたことを特徴とする。すなわち、上板91aの中央部には開口93aが形成され、下板91bの中央部には開口93bが形成されており、これにより、ボート90aを処理室34に対して搬入または搬出する際に、ボート90aが急速加熱または急速冷却された場合でも、上板91aおよび下板91bが破損することを防止できる。また、上板91aの中央部に開口93aが形成されたことにより、処理室34の上部における反応ガスの滞留も防止できる。
ただし、本変形例では、ボート90aは、実施の形態とは異なり、開口93aおよび93bの各々を塞ぐように設けられた、蓋部材95aおよび95bを有する。これにより、後述する基板処理工程において、上板91aおよび下板91bの中央部が開口されたことによる上板91aおよび下板91bの断熱効果の低減を補償することができ、ウェハ間およびウェハ面内におけるウェハの温度の均一性の低下を抑制することができる。また、後述する基板処理工程において、上板91aの開口93aを通って、反応ガスが、ウェハ周辺からボート90aの上方に流出、または、ボート90aの上方からウェハ周辺に流入するなどして、反応ガスの流れが乱れることを防止でき、ウェハに成膜される膜のウェハ間およびウェハ面内における膜質の均一性の低下を抑制できる。
蓋部材95aおよび95bの材質は、上板91aおよび下板91bの材質と同一でなくてもよい。蓋部材95aおよび95bの材質として、例えば上板91aおよび下板91bの材質よりも熱伝導率の高い材質が、好適に用いられる。蓋部材95aおよび95bの材質の熱伝導率が、上板91aおよび下板91bの材質の熱伝導率よりも高いときは、上板91aおよび下板91bにおいて、例えば周方向に沿った温度の均一性を向上させることができ、ボート90aを処理室34に対して搬入または搬出する際に、ボート90aが急速加熱または急速冷却された場合でも、上板91aおよび下板91bが破損することをより確実に防止できる。
また、蓋部材95aおよび95bの厚さは、上板91aおよび下板91bの厚さと同一でなくてもよい。蓋部材95aおよび95bの厚さとして、上板91aおよび下板91bの中央部が開口されたことによる上板91aおよび下板91bの断熱効果の低減を所望量補償するために必要な最低限の厚さを有しているものが、好適に用いられる。
実施の形態と同様に、図13および図14に示すように、上板91aおよび下板91bは、好適には、円環状に形成されている。すなわち、上板91aは、好適には、円板状の板部材の中央部に円形状の開口93aが形成されたものであり、下板91bは、好適には、円板状の板部材の中央部に円形状の開口93bが形成されたものである。これにより、後述する基板処理工程において、上板91aおよび下板91bの水平面内における温度分布を周方向に沿って均一にすることができ、ウェハに成膜される膜のウェハ面内における膜質の均一性の低下を抑制できる。
上記したように、上板91aが円環状に形成されているとき、好適には、図13に示すように、上板91aの上面側において、開口93aの内周面の全周にわたり段差部94aが設けられている。このような構造を有するとき、図14に示すように、上板91aの開口93aの径方向に沿った縦断面形状は、L字形状を有する。その結果、開口93aのうち上面側の部分93cの開口径DI1は、開口93aのうち下面側の部分93dの開口径DI2よりも大きくなる。そして、蓋部材95aの外径をDI3とするとき、DI3がDI2よりも大きく、かつ、DI1よりも小さくなるようにする。このような形状を有する蓋部材95aが段差部94aにより保持されることで、蓋部材95aは、開口93aを塞ぐとともに、開口93aに嵌め込まれる。これにより、ボート90aを処理室34に対して搬入または搬出する際、あるいは、ボート90aを回転させる際に、蓋部材95aが開口93aから外れることを防止できる。
さらに、好適には、図14に示すように、蓋部材95aの外周面のうち下面側の部分が全周にわたり切り欠かれることで、蓋部材95aの外周面に全周にわたり庇部96が設けられており、蓋部材95aの外周部の径方向に沿った縦断面形状も、上下反転したL字形状を有する。その結果、蓋部材95aのうち上面側の部分95cの外径DI3は、蓋部材95aのうち下面側の部分95dの外径DI4よりも大きくなる。そして、DI4がDI2よりも小さくなるようにする。このような形状を有する蓋部材95aについては、庇部96が段差部94aにより保持されることで、庇部96が開口93aを塞ぎ、蓋部材95aのうち上面側の部分95cが開口93aのうち上面側の部分93cに嵌め込まれるとともに、蓋部材95aのうち下面側の部分95dが開口93aのうち下面側の部分93dに嵌め込まれる。これにより、ボート90aを処理室34に対して搬入または搬出する際、あるいは、ボート90aを回転させる際に、蓋部材95aが開口93aから外れることをさらに確実に防止できる。また、上板91aおよび下板91bの断熱効果の低減をさらに確実に補償することができ、上板91aの開口93aを通って、反応ガスが、ウェハ周辺からボート90aの上方に流出、または、ボート90aの上方からウェハ周辺に流入するなどして、反応ガスの流れが乱れることをさらに確実に防止できる。
さらに、下板91bが円環状に形成されているときも、好適には、図13に示すように、下板91bの上面側において、開口93bの内周面の全周にわたり段差部94bが設けられており、このとき、上板91aの上面側において、開口93aの内周面の全周にわたり段差部94aが設けられている場合と同様の効果を有する。
なお、本変形例においても、実施の形態と同様に、上板および下板は、それらの一方のみの中央部が開口されたものでもよい。この場合、上板および下板のいずれの中央部も開口された場合よりは効果は少ないものの、上板および下板のいずれの中央部も開口されない場合に比べ、ボートを処理室に対して搬入または搬出する際に、ボートが急速加熱または急速冷却された場合でも、上板または下板が破損することを防止できる。
また、上板および下板のいずれの中央部にも開口が形成された場合には、上板および下板は、上板の開口および下板の開口のうち一方のみに蓋部材が設けられたものでもよい。この場合、上板の開口および下板の開口のいずれにも蓋部材が設けられた場合よりは効果は少ないものの、上板の開口および下板の開口のいずれにも蓋部材が設けられていない場合に比べ、断熱効果の低減を補償することができ、ウェハに成膜される膜のウェハ間およびウェハ面内における膜質の均一性の低下を抑制できる。
<本実施の形態における基板処理装置を使用した基板処理工程>
続いて、この基板処理装置10を使用した基板処理工程について、図面を参照しながら説明する。具体的に、本実施の形態では、基板処理工程の一工程として、SiC等で構成されるウェハ等の基板上に、例えば、SiCエピタキシャル膜を成膜する方法について説明する。図15は、実施の形態の基板処理装置10を使用した基板処理工程の一部を示すプロセスフロー図である。
図1に示すように、カセット搬入搬出口15がフロントシャッタ16によって開放される。その後、カセット11はカセット搬入搬出口15から搬入され、カセットステージ17上に載置される。このとき、カセットステージ17上に載置されるウェハWは垂直姿勢になっており、かつ、カセット11のウェハ出し入れ口が上方を向くように載置される。
次に、カセット11は、カセット搬送装置20によって、カセットステージ17から取り上げられるとともに、カセット11内のウェハが水平姿勢となり、かつ、カセット11のウェハ出し入れ口が筐体12の後方を向くように、筐体12の後方に右周り縦方向へ90°回転させられる。続いて、カセット11は、カセット搬送装置20によって、カセット棚18あるいはバッファ棚19の指定された位置へ自動的に搬送される。また、バッファ棚19へ搬送されたカセット11は、バッファ棚19で一時的に保管された後、カセット搬送装置20によってカセット棚18に移載される。
カセット11がカセット棚18に移載されると、ウェハWはカセット11からウェハ移載装置21aのツイーザ21cによりピックアップされる。ピックアップされたウェハWは、ロードロック室23に搬入され、ボート90へ移載されて装填(チャージ)される。すなわち、ボート90により、ウェハWを保持する(図15のステップS11)。
予め指定された枚数のウェハWをボート90に装填(保持)した状態で、処理炉30(処理室34)の下端部を炉口シャッタ25により開放する。続いて、図4に示すように、シールキャップ27をボートエレベータ24により上昇させ、シールキャップ27に支持されたボート90を処理室34に搬入(ロード)する(図15のステップS12)。具体的には、ボートエレベータ24を構成する昇降モータ63を上昇方向に回転駆動(正転駆動)させることにより、昇降台65および昇降シャフト69を上昇させる。これにより、ボート90はロードロック室23から処理室34に向けて搬入(ロード)され、シールキャップ27はOリングを介して天板70をシールし、炉口79が閉じた状態となる。
本実施の形態では、ボート90の上板91aの中央部および下板91bの中央部が開口されている(図7参照)。したがって、スループットの観点で有利なように、あるバッチ処理の後、次のバッチ処理をすぐ行う場合など、処理室34の内部の温度が処理室34の外部の温度よりも高い状態で、ボート90を処理室34に搬入する際に、ボート90が急速加熱された場合でも、上板91aおよび下板91bにおいて、外周部と中央部側の部分との温度差を低減することができ、上板91aおよび下板91bが破損することを防止することができる。
また、実施の形態のボート90に代え、実施の形態の変形例のボート90aを用いる場合には、ボート90aには、上板91aの中央部に形成された開口93aおよび下板91bの中央部に形成された開口93bを塞ぐように、蓋部材95aおよび95bが設けられている(図13参照)。このときも、ボート90aを処理室34に搬入する際に、ボート90aが急速加熱された場合でも、上板91aおよび下板91bにおいて、外周部と中央部側の部分との温度差を低減することができ、上板91aおよび下板91bが破損することを防止することができる。また、蓋部材95aおよび95bの材質の熱伝導率が、上板91aおよび下板91bの材質の熱伝導率よりも高いときは、上板91aおよび下板91bにおいて、例えば周方向に沿った温度の均一性を向上させることができる。
一方、ボート90を処理室34に搬入した後、処理室34の内部圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気装置55が駆動され、処理室34が真空排気(真空引き)される。このとき、処理室34の内部圧力は、圧力センサによって測定され、測定された圧力に基づいてガス排気口52に連通するAPCバルブ54がフィードバック制御される。その結果、処理室34の内部圧力は、16000〜93310Paの範囲から選択される処理圧力のうち、一定の処理圧力に調整される。
そして、冷却水配管78に冷却水を流通させるなど冷却機構75を動作させた状態で、処理炉30内の少なくとも加熱体35を誘導加熱し、加熱体35からの輻射熱によって、処理室34内のボート90に保持された各ウェハWを加熱する。つまり、誘導コイル37に高周波電流を流すと、処理炉30内に高周波電磁界が発生し、この高周波電磁界により被誘導体である加熱体35に渦電流が発生する。そして、加熱体35は、渦電流によって誘導加熱が起こって昇温され、その後、加熱体35からの輻射熱により、処理室34に搬入されたボート90に保持されているウェハが加熱される。
加熱体35を誘導加熱する際、温度制御部82は、処理炉30(処理室34)内が所望の温度分布となるように熱電対38または放射温度計39により検出した温度情報を監視し、この温度情報に基づいて誘導コイル37への通電具合をフィードバック制御するようにしている。
このとき、回転機構61を回転駆動してボート90を回転させ、各ウェハWを処理室34内で回転させる。そして、MFC49a〜49dおよびバルブ50a〜50dを制御し、これにより、SiCエピタキシャル膜の成膜に寄与するSi原子含有ガス(SiHガス)、Cl原子含有ガス(HClガス)、C原子含有ガス(Cガス)および還元ガス(Hガス)を、各ガス源51a、51b、51c、51dから供給する。すると、これらのガスは第1ガスライン47内で混合されて、その後、反応ガスとして、第1ガスライン47を介して第1ガス供給ノズル45の各第1ガス供給口45aから、処理室34内の各ウェハWに向けて噴射される。各第1ガス供給口45aから噴射された反応ガスは、各ウェハWに接触する。これにより、各ウェハWの表面上等に、SiCエピタキシャル膜が成膜される。すなわち、ウェハWを加熱しつつ処理する(図15のステップS13)。各ウェハWに接触した後、反応ガスは、ガス排気口52からガス排気管53を介して外部に排気される。
このとき、MFC49eおよびバルブ50eが制御され、ガス源51eからの不活性ガスとしてのArガス(希ガス)が所定の流量となるように調整される。そして、Arガスは、第2ガスライン48、第2ガス供給口46aおよび46cを介して反応管32と断熱材42との間、および、断熱材42と加熱体35との間に供給される。第2ガス供給口46aおよび46cを介して供給された後、Arガスは、ガス排気口52からガス排気管53を介して外部に排気される。
なお、実施の形態のボート90に代え、実施の形態の変形例のボート90a(図13参照)を用いる場合には、ボート90aに蓋部材95aおよび95bが設けられたことで、上板91aおよび下板91bの中央部が開口されたことによる上板91aおよび下板91bの断熱効果の低減を補償することができ、ウェハ間およびウェハ面内におけるウェハの温度の均一性の低下を抑制することができる。また、上板91aの開口93aを通って、反応ガスが、ウェハ周辺からボート90aの上方に流出、または、ボート90aの上方からウェハ周辺に流入するなどして、反応ガスの流れが乱れることを防止でき、ウェハに成膜される膜のウェハ間およびウェハ面内における膜質の均一性の低下を抑制できる。
一方、成膜処理の後、予め設定された時間が経過すると、誘導コイル37への高周波電流の印加を停止させる等して、処理室34内の温度の下降を開始する。そして、処理室34内の圧力を所望の圧力とするため、真空排気装置55を作動させて、処理室34内の雰囲気をガス排気口52から外部へ排気(真空引き)しつつ、処理室34の内部圧力を減圧する。続いて、不活性ガス供給源(図示せず)から不活性ガスとして、例えば、Nガスを処理室34内に供給して処理室34内を不活性ガスに置換し、処理室34内の圧力を常圧に復帰させる。
続いて、図5に示すように、シールキャップ27をボートエレベータ24により下降させ、シールキャップ27に支持されたボート90を処理室34から搬出(アンロード)する(図15のステップS14)。具体的には、ボートエレベータ24を構成する昇降モータ63を下降方向に回転駆動(逆転駆動)させることにより、昇降台65および昇降シャフト69を下降させる。これにより、シールキャップ27が下降して炉口79が開くとともに、処理済の各ウェハWがボート90に保持された状態で、ボート90が処理室34からロードロック室23に向けて搬出(アンロード)される。
本実施の形態では、ボート90の上板91aの中央部および下板91bの中央部が開口されている(図7参照)。したがって、スループットの観点で有利なように、あるバッチ処理の後、処理室34の内部の温度が処理室34の外部の温度よりも高い状態で、ボート90を処理室34から搬出する際に、ボート90が急速冷却された場合でも、上板91aおよび下板91bにおいて、外周部と中央部側の部分との温度差を低減することができ、上板91aおよび下板91bが破損することを防止することができる。
また、実施の形態のボート90に代え、実施の形態の変形例のボート90aを用いる場合には、ボート90aには、上板91aの中央部に形成された開口93aおよび下板91bの中央部に形成された開口93bを塞ぐように、蓋部材95aおよび95bが設けられている(図13参照)。このときも、ボート90aを処理室34から搬出する際に、ボート90aが急速冷却された場合でも、上板91aおよび下板91bにおいて、外周部と中央部側の部分との温度差を低減することができ、上板91aおよび下板91bが破損することを防止することができる。また、蓋部材95aおよび95bの材質の熱伝導率が、上板91aおよび下板91bの材質の熱伝導率よりも高いときは、上板91aおよび下板91bにおいて、例えば周方向に沿った温度の均一性を向上させることができる。
一方、ボート90が処理室34から搬出された後は、概ね上述した動作と逆の動作により、処理済みのウェハおよびカセット11が筐体12の外部へ払い出される。
以上のようにして、基板処理装置10を動作させ、各ウェハの表面上にSiCエピタキシャル膜を形成することができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
前記実施の形態では、高周波誘導加熱方式によって加熱体を加熱する基板処理装置を例に挙げて説明したが、本発明の技術的思想は、これに限らず、例えば、抵抗加熱方式の基板処理装置や、ランプ加熱方式の基板処理装置などの他の加熱方式の基板処理装置にも幅広く適用することができる。
また、前記実施の形態では、ウェハにSiCエピタキシャル膜を形成する基板処理装置を例にして説明したが、本発明の技術的思想は、これに限らず、ウェハにSiC以外の膜を高温で成膜する基板処理装置およびウェハを高温で酸化処理する基板処理装置その他のウェハを高温で処理する基板処理装置にも幅広く適用することができる。
また、前記実施の形態では、ウェハを垂直方向(縦方向)に積層した状態で保持する基板処理装置を例にして説明したが、本発明の技術的思想は、これに限らず、例えば、ウェハを水平方向(横方向)に積層した状態で保持する基板処理装置にも適用することができる。本発明の技術的思想を、ウェハを水平方向(横方向)に積層した状態で保持する基板処理装置に適用するときは、ボートエレベータは、ボートを水平方向に移動させることで、ボートを処理室に対して搬入または搬出する搬入搬出部として機能する。また、ボートは、ボートが処理室に対して搬入または搬出される方向である水平方向(横方向)に沿って、ボートの両端に設けられた、第1の板部材および第2の板部材を有するものであり、第1の板部材または第2の板部材は、外周部と中央部との温度差を低減するように、中央部が開口されたものである。
最後に本発明の好ましい主な態様を以下に付記する。
〔付記1〕
基板を処理するための処理室と、
前記基板を保持する保持部と、
前記基板を保持している前記保持部を前記処理室に対して搬入または搬出する搬入搬出部と、
前記保持部が前記搬入搬出部により前記処理室に搬入された状態で、前記保持部に保持されている前記基板を加熱する加熱部と、
を有し、
前記保持部は、前記保持部が前記処理室に対して搬入または搬出される方向に沿って、前記保持部の両端に設けられた、第1の板部材および第2の板部材を有し、
前記第1の板部材および前記第2の板部材のうち一方の板部材は、中央部に開口が形成されており、
形成された前記開口を塞ぐように、蓋部材が設けられたことを特徴とする基板処理装置。
〔付記2〕
(a)保持部により基板を保持する工程、
(b)前記(a)工程の後、基板を処理するための処理室の内部の温度が前記処理室の外部の温度よりも高い状態で、前記基板を保持している前記保持部を前記処理室に搬入する工程、
(c)前記(b)工程の後、前記保持部に保持されている前記基板を加熱部により加熱しつつ処理する工程、
(d)前記(c)工程の後、前記処理室の内部の温度が前記処理室の外部の温度よりも高い状態で、前記保持部を前記処理室から搬出する工程、
を有する基板処理方法であって、
前記保持部は、前記保持部が前記処理室に対して搬入または搬出される方向に沿って、前記保持部の両端に設けられた、第1の板部材および第2の板部材を有し、
前記第1の板部材および前記第2の板部材のうち一方の板部材は、中央部に開口が形成されており、
形成された前記開口を塞ぐように、蓋部材が設けられたことを特徴とする基板処理方法。
〔付記3〕
基板を処理するための処理室を有する基板処理装置に備えられ、前記基板を保持し、前記処理室に対して搬入または搬出される基板保持具において、
前記基板保持具が前記処理室に対して搬入または搬出される方向に沿って、前記基板保持具の両端に設けられた、第1の板部材および第2の板部材を有し、
前記第1の板部材および前記第2の板部材のうち一方の板部材は、中央部に開口が形成されており、
形成された前記開口を塞ぐように、蓋部材が設けられており、
前記基板処理装置は、前記基板を保持している前記基板保持具が前記処理室に搬入された状態で、前記基板保持具に保持されている前記基板を加熱するものであることを特徴とする基板保持具。
〔付記4〕
(a)保持部により基板を保持する工程、
(b)前記(a)工程の後、基板を処理するための処理室の内部の温度が前記処理室の外部の温度よりも高い状態で、前記基板を保持している前記保持部を前記処理室に搬入する工程、
(c)前記(b)工程の後、前記保持部に保持されている前記基板を加熱部により加熱しつつ処理する工程、
(d)前記(c)工程の後、前記処理室の内部の温度が前記処理室の外部の温度よりも高い状態で、前記保持部を前記処理室から搬出する工程、
を有する半導体装置の製造方法であって、
前記保持部は、前記保持部が前記処理室に対して搬入または搬出される方向に沿って、前記保持部の両端に設けられた、第1の板部材および第2の板部材を有し、
前記第1の板部材および前記第2の板部材のうち一方の板部材は、中央部に開口が形成されており、
形成された前記開口を塞ぐように、蓋部材が設けられたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
10…基板処理装置、11…カセット、12…筐体、12a…正面壁、13…正面メンテナンス口、14…正面メンテナンス扉、15…カセット搬入搬出口、16…フロントシャッタ、17…カセットステージ、18…カセット棚、19…バッファ棚、20…カセット搬送装置、20a…カセットエレベータ、20b…カセット搬送機構、21…ウェハ移載機構、21a…ウェハ移載装置、21b…ウェハ移載装置エレベータ、21c…ツイーザ、22…クリーンユニット、23…ロードロック室(移載室)、24…ボートエレベータ、25…炉口シャッタ、26…アーム、27…シールキャップ、30…処理炉(反応炉)、31…筐体、32…反応管、33…マニホールド、33a…ウォール、34…処理室(反応室)、35…加熱体(被誘導体)、36…支持部材、37…誘導コイル、38…熱電対、39…放射温度計、40…被測定部、41…ビューポート、42…断熱材、43…外側断熱壁、44…磁気シール、45…第1ガス供給ノズル、45a…第1ガス供給口、46…第2ガス供給ノズル、46a…第2ガス供給口、46b…第2ガス供給ノズル、46c…第2ガス供給口、47…第1ガスライン、48…第2ガスライン、49a〜49e…MFC、50a〜50e…バルブ、51a〜51e…ガス源、52…ガス排気口、53…ガス排気管、54…APCバルブ、55…真空排気装置、60…ボート断熱部、61…回転機構、62…回転軸、63…昇降モータ、64…下基板、65…昇降台、66…ガイドシャフト、67…ボール螺子、68…上基板、69…昇降シャフト、70…天板、71…ベローズ、72…昇降基板、73…駆動部カバー、74…駆動部収納ケース、75…冷却機構、76…電力ケーブル、77…冷却水流路、78…冷却水配管、79…炉口、80…コントローラ、81…主制御部、82…温度制御部、83…ガス流量制御部、84…圧力制御部、85…駆動制御部、90…ボート、90a…ボート、91a…上板(板部材)、91b…下板(板部材)、92a…第1ボート柱、92b…第2ボート柱、92c…第3ボート柱、93a…開口、93b…開口、93c…部分、93d…部分、94a…段差部、94b…段差部、95a…蓋部材、95b…蓋部材、95c…部分、95d…部分、96…庇部、CA…中心軸、CP1〜CP3…点、HS…保持溝、W…ウェハ

Claims (2)

  1. 基板を処理するための処理室と、
    前記基板を保持する保持部と、
    前記基板を保持している前記保持部を前記処理室に対して搬入または搬出する搬入搬出部と、
    前記保持部が前記搬入搬出部により前記処理室に搬入された状態で、前記保持部に保持されている前記基板を加熱する加熱部と、
    を有し、
    前記保持部は、前記保持部が前記処理室に対して搬入または搬出される方向に沿って、前記保持部の両端に設けられた、第1の板部材および第2の板部材を有し、
    前記第1の板部材および前記第2の板部材のうち一方の板部材は、前記処理室の内部の温度が前記処理室の外部の温度よりも高い状態で、前記搬入搬出部が前記保持部を前記処理室に対して搬入または搬出する際に、前記一方の板部材の外周部と中央部との温度差を低減するように、前記中央部が開口されたことを特徴とする基板処理装置。
  2. (a)保持部により基板を保持する工程、
    (b)前記(a)工程の後、基板を処理するための処理室の内部の温度が前記処理室の外部の温度よりも高い状態で、前記基板を保持している前記保持部を前記処理室に搬入する工程、
    (c)前記(b)工程の後、前記保持部に保持されている前記基板を加熱部により加熱しつつ処理する工程、
    (d)前記(c)工程の後、前記処理室の内部の温度が前記処理室の外部の温度よりも高い状態で、前記保持部を前記処理室から搬出する工程、
    を有する基板処理方法であって、
    前記保持部は、前記保持部が前記処理室に対して搬入または搬出される方向に沿って、前記保持部の両端に設けられた、第1の板部材および第2の板部材を有し、
    前記第1の板部材および前記第2の板部材のうち一方の板部材は、前記(b)工程または前記(d)工程において、前記一方の板部材の外周部と中央部との温度差を低減するように、前記中央部が開口されたことを特徴とする基板処理方法。
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JP2018538691A (ja) * 2015-12-01 2018-12-27 ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフトSiltronic AG 堆積チャンバでエピタキシャル層を有する半導体ウエハを製造する方法、エピタキシャル層を有する半導体ウエハを製造する装置、およびエピタキシャル層を有する半導体ウエハ

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