JP2013174102A - 地山補強構造および地山補強方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】地山表面からロックボルトの頭部が突出しないようにして地山表面の景観性を向上させることができると共に、施工性も向上させることができる地山補強構造および地山補強方法を提供すること。
【課題手段】地山2に形成した穿孔21にグラウト3を介して埋設するロックボルト13の先端部13aに、雌ネジ部を有するカプラー12がその先端部12a側の端面を地山2の表面22近傍に位置するように後端部側から螺合され、頭部付きボルト11の雄ネジ部11bをカプラー12の先端部12a側からその雌ネジ部に螺合して地山2を補強する。
【選択図】図3
【課題手段】地山2に形成した穿孔21にグラウト3を介して埋設するロックボルト13の先端部13aに、雌ネジ部を有するカプラー12がその先端部12a側の端面を地山2の表面22近傍に位置するように後端部側から螺合され、頭部付きボルト11の雄ネジ部11bをカプラー12の先端部12a側からその雌ネジ部に螺合して地山2を補強する。
【選択図】図3
Description
本発明は、自然斜面や法面などの地山を安定化させる地山補強構造および地山補強方法に関する。
従来の地山補強構造として、例えば、地山に穿設した穿孔(ボーリング孔)内にロックボルトを挿入し、ロックボルト頭部を地山表面から突出させた状態で穿孔内にグラウトを充填し、グラウトの硬化後、ロックボルト頭部に筒状ナットを装着して地山を補強する構造がある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1の構造の場合、地山の表面からロックボルト頭部やそれを保護する筒状ナットの突出量が必然的に大きくなり、地山表面の景観性が低下する。この点を防止するため、雌ネジ部が設けられた螺合部と、法面反力体を上側から押さえる押え部と、螺合部と押え部とを連結する連結部からなる定着金具により、地山表面からロックボルト頭部を突出させずに地中で螺合する地山補強構造もある(例えば、特許文献2参照。)。また、別の従来技術として、法面反力体を上側から押える押え板と、押え板を介して法面反力体を法面に定着させる第1締結部材とからなる定着金物により、地山表面からロックボルト頭部を突出させずに地中で螺合する地山補強構造もある(例えば、特許文献3参照。)。
しかし、上述の特許文献1に記載された従来の地山補強構造では、前述のようにロックボルト頭部を地山表面から突出させて筒状ナット等により締め付けるため、地山表面からの突出量が必然的に大きくなり、地山表面の景観性が低下するという問題がある。
また、上述の特許文献2,3に記載された従来の地山補強構造では、地山表面からグラウンドアンカーやアンカーボルト等のロックボルト頭部を突出させずに地中で螺合させているため、上述の特許文献1のような景観性が低下するという問題は生じないものの、定着金具には雌ネジ部が設けられており、ロックボルト頭部の雄ネジ部に螺合させるようにしているため、施工上の問題がある。つまり、穿孔内において地山表面までグラウトを注入すると、ロックボルト頭部の雄ネジ部にまでグラウトが充填されることになるため、ロックボルト頭部に定着金具を装着できず、無理に定着金具を装着させると、定着金具周辺の品質が劣化するおそれがある。しかも、穿孔内においてロックボルト頭部を地表面より下に位置固定させることは、施工上、非常に困難である。また、グラウト養生前に定着金具を装着させてしまうことも考えられるが、この場合には、定着金具を締め込むにつれて、ロックボルトが穿孔から徐々に抜け出すおそれがあり、ロックボルトとして構造的な欠陥となる。さらに、グラウトの注入においては、通常、注入ホースを穿孔内に挿入してグラウトを注入し、穿孔からグラウトが溢れ出すことで穿孔内にグラウトが完全に充填されたことを確認するが、これら先願技術では、穿孔内の地表面より下の位置でグラウト注入を止める必要がある。しかし、地山に削孔する穿孔は、一般的にφ50〜φ115mmと小さいため、穿孔内におけるグラウトの注入状況を確認しながら止めることは困難であると共に、グラウトの充填性も懸念される。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、地山表面からロックボルトの頭部が突出しないようにして地山表面の景観性を向上させることができると共に、施工性も向上させることができる地山補強構造および地山補強方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る地山補強構造は、地山に形成した穿孔内にグラウトを介して埋設するロックボルトの先端部に、雌ネジ部を有するカプラーがその先端部側の端面を地山の表面近傍に位置するように後端部側から螺合され、頭部付きボルトの雄ネジ部をカプラーの先端部側からその雌ネジ部に螺合して地山を補強することを特徴とする。
また、本発明に係る地山補強方法は、ロックボルトの先端部をカプラーの後端部側からその雌ネジ部に螺合し、そのロックボルトを地山に形成した穿孔内にグラウトを介して埋設する際、カプラーの先端部側の端面を地山の表面近傍に位置させ、グラウト養生後、頭部付きボルトの雄ネジ部をカプラーの先端部側からその雌ネジ部に螺合して地山を補強することを特徴とする。
ここで、ロックボルトを地山に形成した穿孔内にグラウトを介して埋設する際、カプラーの先端部側の雌ネジ部にダミーボルトを装着しておき、グラウト養生後、該ダミーボルトを取り外して頭部付きボルトを螺合して地山を補強するようにしても良い。
また、本発明に係る地山補強方法は、ロックボルトの先端部をカプラーの後端部側からその雌ネジ部に螺合し、そのロックボルトを地山に形成した穿孔内にグラウトを介して埋設する際、カプラーの先端部側の端面を地山の表面近傍に位置させ、グラウト養生後、頭部付きボルトの雄ネジ部をカプラーの先端部側からその雌ネジ部に螺合して地山を補強することを特徴とする。
ここで、ロックボルトを地山に形成した穿孔内にグラウトを介して埋設する際、カプラーの先端部側の雌ネジ部にダミーボルトを装着しておき、グラウト養生後、該ダミーボルトを取り外して頭部付きボルトを螺合して地山を補強するようにしても良い。
本発明に係る地山補強構造および地山補強方法によれば、地山に形成した穿孔内にグラウトを介してロックボルトを埋設する際、ロックボルトの先端部はカプラーの後端部側からその雌ネジ部に螺合して、グラウト養生後に頭部付きボルトの雄ネジ部をカプラーの先端部側からその雌ネジ部に螺合するようにしたため、地山表面からは頭部付きボルトの頭部のみが突出し、ロックボルトの頭部(先端部)が突出することがなくなり、地山表面の景観性が向上する。また、カプラーの先端部側の端面を地山の表面近傍に位置させ、カプラーの先端側の雌ネジ部に頭部付きボルトの雄ネジ部を螺合するため、グラウトを穿孔内の地山表面近傍まで充填させても、頭部付きボルトとカプラーとの螺合に施工上の悪影響を与えることがなくなり、施工性も向上する。
次に、本発明に係る地山補強構造および地山補強方法の実施形態について図面を参照して説明する。
本発明に係る地山補強構造および地山補強方法では、図1に示すように、少なくとも頭部付きボルト11と、カプラー12と、ロックボルト13とからなる地山補強部材1を利用して、ロックボルト13の頭部13aが地山表面から突出しないよう、景観性を考慮して地山を補強する。頭部付きボルト11は、下面が湾曲した皿状である頭部11aと、ロックボルト13と同じネジ節棒鋼(鉄筋)形状の雄ネジ部11bとから構成されており、頭部11aの下面が湾曲した皿状であるので、ロックボルト13が穿孔の中心に対して多少傾斜して埋設されても角度調整が容易となると共に、ロックボルト13に作用する荷重を有効に地山の表面に伝達できる。カプラー12は、その中心に頭部付きボルト11の雄ネジ部11bとロックボルト13とがそれぞれ先端部12a側と後端部12b側から螺合できるように雌ネジ部121が形成されている。ここで、カプラー12の長さ、すなわち雌ネジ部121の長さは、ロックボルト13頭部の結合代と、頭部付きボルト11の雄ネジ部11bの結合代とを考慮した長さとする。ロックボルト13は、地山補強土工法で一般的に使用されているもので、適宜、地山に配列して斜面が変形しようとしたときに摩擦に起因して発生する引張力により斜面の地山の緩みを防止するものである。なお、図1では、ロックボルト13にはネジ節棒鋼を用いており、グラウトとの付着強度およびカプラー12への螺合性の向上を確保している。ただし、本発明では、頭部付きボルト11の雄ネジ部11bとロックボルト13は、ネジ節棒鋼に限定されるものではなく、カプラー12の雌ネジ部121に螺合できるものであれば、何でも良く、端部に雄ネジを形成した竹節状の異形棒鋼や丸鋼に並目ネジ等を形成したものでも勿論かまわない。また、頭部付きボルト11も、その下面が湾曲した皿状に形成されたものに限定されるわけではなく、下面が平坦に形成されたものでも良いことは言うまでもない。
次に、本発明に係る地山補強構造および地山補強方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
図2に示すように、まず、地山2に穿孔(ボアホール)21を形成し、その穿孔21内でグラウト3を注入し、その後、カプラー12の後端部12bを頭部13aに取り付けたロックボルト13を挿入する。なお、先にカプラー12を頭部13aに取り付けたロックボルト13を穿孔21内に挿入しておき、その後、穿孔21内でグラウト3を注入するようにしても良い。グラウトの注入は公知の方法によって行う。
ここで、ロックボルト13を穿孔21に埋設する際は、カプラー12の先端部12a側の端面が地山2の表面22近傍に位置するように埋設する。ここで、仮に、カプラー12を頭部13aに取り付けたロックボルト13が多少沈下して、カプラー12の先端部12a側の端面にその雌ネジ部121を塞ぐようにグラウト3が盛られて硬化したとしても、その厚さは薄いことから、作業者が簡単にそのグラウト3を剥がしたり、取り除くことが可能となり、確実に頭部付きボルト11をカプラー12に螺合させることができる。従って、カプラー12の先端部12a側の端面を位置させる地山2の表面22近傍とは、地山2の表面22と面一な状態だけではなく、ロックボルト13が沈下してカプラー12の先端部12a側の端面に回り込み硬化したグラウト3を作業者が簡単に剥がしたり、取り除くことができる程度の高さも意味するものとする。
なお、穿孔21内に注入したグラウト3が硬化していくに伴い、ロックボルト13の頭部13aに取り付けたカプラー12の先端部12a周辺では、グラウト3の表面がブリージング等により沈下して、地表面22とグラウト3の表面部との間に空隙23が生じることもある。その際には、空隙23に硬練りモルタル等を充填する。
穿孔21内に注入したグラウト3を養生した後、地山2の表面22近傍に位置させたカプラー12の先端部12aに、例えば、図3に示すように、頭部付きボルト11の雄ネジ部11bを地山2の表面22を押さえる座金等の支圧板4を介して螺合しながら取り付ける。そして、頭部付きボルト11をカプラー12の先端部12a側から所定長ねじ込むと、頭部付きボルト11の頭部11aの下面が支圧板4に接触して止まるので、支圧板4等を介して地山2の表面22を押さえ付けることができる。特に、頭部付きボルト11の頭部11aの下面を湾曲した皿状にすれば、ロックボルト13が穿孔21の中心に対して多少傾斜して設置されていても、ロックボルト13に作用する荷重を有効に地山2の表面22に伝達させることが可能となる。
以上のように、前述の特許文献1記載の従来技術のように一般的なボルト・ナットの組み合わせを用いて地山2を補強すると、ナットによる締め付けのためロックボルト13の頭部13aを地山2の表面22から突出させる必要があり、またその頭部13aの防錆保護のために袋ナット等を用いる必要があるので、地山2の表面22の景観を阻害していたが、この地山補強構造および地山補強方法によれば、図3に示すように、地山2の表面22からは支圧板4と頭部付きボルト11の頭部11aのみが突出し、ロックボルト13の頭部13aの突出が無くなるので、地山2の表面22の景観が向上する。
また、穿孔21内で地山2の表面22までグラウト3や硬練りモルタル等を充填した場合、前述の特許文献2,3記載の従来技術であれば、ロックボルト13の頭部13aにグラウト3が付着してナットの挿入が困難であった。しかし、この構造および方法によれば、頭部付きボルト11の軸部は雄ネジ部11bであり、ロックボルト13の頭部13aに装着されたカプラー12のネジ部は雌ネジ部121であるため、穿孔21内でグラウト3を地山2の表面22まで充填させても、頭部付きボルト11とカプラー12との螺合に施工上の悪影響を与えることがなく、施工性が向上する。また、グラウト3の硬化後でも、カプラー12への頭部付きボルト11の挿入に支障はないので、この点でも施工性が向上する。
特に、この構造および方法では、地山2の表面22近傍にカプラー12の先端部12a側の端面が設置するようにしているため、カプラー12の先端部12a側の端面でその雌ネジ部121を塞ぐようにグラウト3や硬練りモルタル等が盛られて硬化した場合でも、その厚さは薄くなるので、簡単に作業者が硬化したグラウト3や硬練りモルタル等を取り除くことが可能であり、この点でも、施工性が向上する。
なお、ロックボルト13の頭部13aに装着したカプラー12への頭部付きボルト11の螺合時に、カプラー12が供回りすることも考えられる。そこで、例えば、図4に示すように外周面に突状部122やイボ状の突起(図示せず。)等が設けられた突起付きカプラー12’や、外形が多角形状のカプラー(図示せず。)等を使用して、その供回りを防止するようにしても良い。
また、グラウト3の養生中にロックボルト13がその重量などにより沈み込むことで、地山2の表面22近傍にカプラー12の先端部12a側の端面を位置させることが困難な場合も想定される。そこで、図5に示すように、あらかじめダミーボルト14をカプラー12の先端部12a側に突出するように装着し、その状態で穿孔21内に埋設する。すると、地山2の表面22からダミーボルト14の頭部14aが突出するので、その頭部14aにナット(図示せず。)等を装着して仮固定することにより、ロックボルト13が沈むことを防止し、地山2の表面22近傍にカプラー12の先端部12a側の端面を確実に位置させることできる。そしてグラウト3の養生後に、カプラー12からダミーボルト14を取り外し、カプラー12の先端部12aに頭部付きボルト11を取り付ければよい。
1…地山補強部材、11…頭部付きボルト、11b…雄ネジ部、12、12’…カプラー、121…雌ネジ部、13…ロックボルト、14…ダミーボルト、2…地山、21…穿孔、22…表面、3…グラウト、4…支圧板。
Claims (3)
- 地山に形成した穿孔内にグラウトを介して埋設するロックボルトの先端部に、雌ネジ部を有するカプラーがその先端部側の端面を地山の表面近傍に位置するように後端部側から螺合され、頭部付きボルトの雄ネジ部をカプラーの先端部側からその雌ネジ部に螺合して地山を補強することを特徴とする地山補強構造。
- ロックボルトの先端部をカプラーの後端部側からその雌ネジ部に螺合し、そのロックボルトを地山に形成した穿孔内にグラウトを介して埋設する際、カプラーの先端部側の端面を地山の表面近傍に位置させ、グラウト養生後、頭部付きボルトの雄ネジ部をカプラーの先端部側からその雌ネジ部に螺合して地山を補強することを特徴とする地山補強方法。
- 請求項2記載の地山補強方法において、ロックボルトを地山に形成した穿孔内にグラウトを介して埋設する際、カプラーの先端部側の雌ネジ部にダミーボルトを装着しておき、グラウト養生後、該ダミーボルトを取り外して頭部付きボルトを螺合して地山を補強することを特徴とする地山補強方法。
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JP2019143404A (ja) * | 2018-02-22 | 2019-08-29 | 株式会社ケー・エフ・シー | ロックボルト用プレート及びロックボルト設置構造、ロックボルトの載荷試験方法 |
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