JP2013172361A - 通信制限制御システム、携帯通信端末装置、通信制限制御方法および通信制限制御プログラム - Google Patents

通信制限制御システム、携帯通信端末装置、通信制限制御方法および通信制限制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】携帯電話端末等の携帯通信端末の使用が可能なエリアと使用が禁止されるエリアとを適切に設定し、携帯通信端末の使用制限を適切かつ確実に制御する。
【解決手段】通信制限エリアAR1には、近距離無線通信により通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号LTを送出する発信装置1(1)を配置し、通信許可エリアAR2には、近距離無線通信により通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号PTを送出する発信装置1(2)を配置する。携帯通信端末装置2は、受信した信号の内容を解析し、解析結果が受信した信号が前記信号LTであることを示しているときには、通信手段を通じての通信を制限する。解析結果が受信した信号が前記信号PTであることを示しており、かつ、通信手段を通じての通信を制限しているときには、これを解除する。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば、電車やバスなどの優先席及びその周辺や病院内などにおいて、携帯電話端末などの携帯通信端末装置の使用制限を適切に行うためのシステム、装置、方法およびプログラムに関する。
電車やバスなどの優先席及びその周辺や病院内などにおいては、携帯電話端末からの電波が心臓ペースメーカー等の医療機器に影響を及ぼす可能性があることを考慮して、携帯電話端末の使用が禁止されている場合が多い。このような場所で携帯電話端末の使用をしないことのお願いが、車内放送や掲示物等で行われているものの、守られていないのが現状である。また、携帯電話端末の使用が禁止されている場所で、携帯電話端末を使用したとしても記録が残らず取り締まられない。
このため、使用が禁止された場所で携帯電話端末を使用するか否かは携帯電話端末の使用者のモラルに依存している。このような状況を打開するための1つの方策として、後に記す特許文献1には、携帯電話端末の使用を禁止するエリアに、通話をできないようにするための信号(フックダウン信号)を送出し、これを受信した携帯電話端末においては通話を不能にする発明が開示されている。
特開平10−107876号公報
上述した特許文献1に記載の発明の場合には、携帯電話端末の使用を禁止するエリアの周囲にフックダウン信号を流すための電線を敷設する必要がある。また、特許文献1に記載の発明の場合には、携帯電話端末に当該電線からのフックダウン信号(電磁界)を受信するためのアンテナや受信回路を設ける必要もある。このように、特許文献1に記載の発明の場合には、設備の敷設や携帯電話端末の改良を伴うため簡単に実施することができない。また、特許文献1に記載の発明の場合には、携帯電話端末の使用を禁止するエリアを柔軟に変更することもできない。
以上のことに鑑み、この発明は、携帯電話端末等の携帯通信端末の使用が可能なエリアと使用が禁止されるエリアとを適切に設定し、携帯通信端末の使用制限を適切かつ確実に制御することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の通信制限制御システムは、
通信制限を行うエリアに配置され、近距離無線通信により通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号を送出する第1の発信装置と、通信制限を行わないエリアに配置され、近距離無線通信により通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号を送出する第2の発信装置と、携帯通信端末装置とからなる通信制限制御システムであって、
前記携帯通信端末装置は、
広域ネットワークを通じて通信を行う通信手段と、
前記第1、第2の発信装置からの信号を受信する近距離無線通信手段と、
前記近距離無線通信手段を通じて受信した信号の種別を判別する信号種別判別手段と、
前記信号種別判別手段の判別結果が、受信した信号が前記通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号であることを示している場合には、前記通信手段を通じての通信を制限し、前記信号種別判別手段の判別結果が、受信した信号が前記通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号であることを示している場合であって、前記通信手段を通じての通信を制限している場合には、通信の制限を解除する通信制限制御手段と
を備えることを特徴とする。
この請求項1に記載の発明の通信制限制御システムによれば、通信制限を行うエリアには、近距離無線通信により通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号を送出する第1の発信装置を配置し、通信制限を行わないエリアには、近距離無線通信により通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号を送出する第2の発信装置を配置する。そして、携帯通信端末装置は、近距離無線通信手段を通じて第1、第2の発信装置からの信号を受信し、信号種別判別手段が受信した信号の種別を判別する。そして、通信制限制御手段は、信号種別判別手段の判別結果が、近距離無線通信手段を通じて受信した信号が通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号であることを示しているときには、通信手段を通じての通信を制限する。また、通信制限制御手段は、信号種別判別手段の判別結果が、近距離無線通信手段を通じて受信した信号が通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号であることを示しており、かつ、通信手段を通じて通信を制限しているときには、これを解除し、通信手段を通じての通信を可能にする。
これにより、通信制限を行うエリアと通信制限を行わないエリアとを柔軟かつ適切に設定し、通信制限を行うエリアでは携帯通信端末装置の通信処理を不能にし、通信制限を行わないエリアでは携帯通信端末装置の通信処理を可能にするという制御を適切に行うことができる。しかも、通信制限制御のために用いる信号は、通信距離が例えば数メートル程度の信号レベルの低い近距離無線通信を用いており、医療機器等の電子機器に対して影響を及ぼすこともない。
携帯電話端末等の携帯通信端末の使用が可能なエリアと使用が禁止されるエリアとを適切に設定し、携帯通信端末の使用制限を適切かつ確実に制御することができる。
実施の形態の通信制限制御システムの概要を説明するための図である。 実施の形態の携帯電話端末2の構成例を説明するためのブロック図である。 携帯電話端末2で行われる通信制限制御を説明するためのフローチャートである。 異なる場所に通信制限エリアと通信許可エリアとを設ける場合を説明するための図である。 同じエリアを、場合によって通信制限エリアにしたり通信許可エリアとしたりする場合を説明するための図である。 RFID機能を備えた携帯電話端末2Aの構成例を説明するためのブロック図である。 携帯電話端末2Aにおいて行われるRFIDを用いたマナーモードのオン/オフの切り替え制御と、近距離無線通信を用いた通信制限制御について説明するための図である。 携帯電話端末2Aにおいて実行されるマナーモードのオン/オフの切り替え制御処理を説明するためのフローチャートである。
以下、図を参照しながら、この発明のシステム、装置、方法、プログラムの一実施の形態について説明する。この発明は、例えば電車やバスなどの優先席やその周辺のエリア、病院内の所定のエリア(待合室や診察室等)などの、携帯電話端末の使用が禁止(制限)されているエリアでは携帯電話端末の使用を適切に制限し、それ以外のエリアでは、携帯電話端末の使用を制限しないように適切に制御するものである。
そして、この発明は、スマートフォンなどと呼ばれる高機能携帯電話端末をも含む種々の携帯電話端末やタブレット型端末装置などと呼ばれる携帯通信端末などの種々の携帯通信端末装置の使用制限の制御を行うことが可能なのもある。しかし、以下においては説明を簡単にするため、現在広く普及している携帯電話端末の使用制限を行う場合を例にして説明する。
[通信制限制御システムの概要]
図1は、この実施の形態の通信制限制御システムの概要を説明するための図である。図1において、点線の円で示した通信制限エリアAR1は、携帯電話端末による通信が禁止(制限)されたエリアである。また、実線の円で示した通信可能エリアAR2は、携帯電話端末による通信が許可されたエリアである。そして、通信制限エリアAR1の中心には、通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号LT(以下、単に通信制限信号LTという。)を送出する発信装置1(1)を配置し、通信可能エリアAR2の中心には、通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号PT(以下、単に通信許可信号PTという。)を送出する発信装置1(2)を配置する。
発信装置1(1)、1(2)は、近距離無線通信技術が適用され、例えば最大でも半径10m以下の範囲に到達可能な近距離無線信号を送出するものである。なお、発信装置1(1)、1(2)は、目的に応じた通信制限エリア、通信可能エリアを設定するため、信号の出力レベル(信号強度)を制御することにより、例えば、発信装置1(1)、1(2)を中心にして、半径1.5mの範囲に信号を送出したり、半径2mの範囲に信号を送出したりするといった、信号送出エリアの調整が可能なものである。そして、この実施の形態の発信装置1(1)、1(2)は、Wi−Fi(Wireless Fidelity)などと呼ばれるIEEE802.11シリーズに準拠した無線LAN用のAP(Access Point)装置である。
そして、この実施の形態において、発信装置1(1)、1(2)から送出される近距離無線信号が、通信制限信号LTか通信許可信号PTかは、SSID(Service Set Identifier)によって区別できるようにする。SSIDはAP装置等の通信機器に設定する識別子である。具体的には、発信装置1(1)から送出する通信制限信号LTには、SSIDとして例えば「LimitXXXXXX」という情報を用いる。この場合、SSIDの「Limit」部分が、当該信号が通信制限信号LTであることを示す情報であり、「XXXXXX」が発信装置1(1)の実質的な識別子である。また、発信装置1(2)から送出する通信許可信号PTには、SSIDとして例えば「PermitYYYYYY」という情報を用いる。この場合、SSIDの「Permit」部分が、当該信号が通信許可信号PTであることを示す情報であり、「YYYYYY」が発信装置1(2)の実質的な識別子である。
すなわち、SSIDは、英数字32文字の範囲内で任意に設定することができるものである。このため、上述したように、「Limit」、「Permit」の意味を含ませるようにして、発信装置1(1)、1(2)のSSIDを設定する。そして、発信装置1(1)、1(2)からは、SSIDを含めた信号を通常通り送出するようにすればよい。したがって、発信装置1(1)、1(2)のそれぞれは、通信制限エリアAR1や通信可能エリアAR2を形成するために例えば特別な周波数の信号を形成するなど、特別な信号として通信制限信号LTや通信許可信号PTを形成する必要はない。
発信装置1(1)、1(2)のそれぞれは、Wi−Fiに合致した近距離無線通信規格における接続シーケンス(接続手順)等において通常出力する信号を通常通り形成して出力すればよい。但し、発信装置1(1)、1(2)は、その配置される位置に応じて、SSIDが「Limit」を含むものになるか、「Permit」を含むものになるのかが決められる。
なお、SSIDに含ませる情報である「Limit」、「Permit」は一例であり、「Limit」に替えて「seigen」を用い、「Permit」に替えて「kyoka」を用いるなどしてもよい。すなわち、携帯電話端末の使用を制限するエリアに配置するAP装置と携帯電話端末の使用を許可するエリアに配置するAP装置とについて、SSIDの付け方を全国的に統一すればよい。
このため、発信装置1(1)、1(2)のそれぞれは、従来から用いられているWi−Fi用のAP装置をそのまま用いることができる。具体的には、発信装置1(1)、1(2)のそれぞれは、SSIDの記憶部と、近距離無線通信規格に合致したSSIDを含む信号を形成する信号形成部と、形成した信号を近距離無線通信により送出する送出部とを備えたものとなる。さらに、発信装置1(1)、1(2)のそれぞれは、近隣の通信端末からの信号を受信する受信機能、接続されているLANとの間でデータを送受するLANとの間の接続機能を備えることにより、従来どおりのWi−FiのAP装置としても利用可能になる。しかし、通信制限エリアと通信許可エリアとを設けるだけでよいのであれば、発信装置1(1)、1(2)は、LANに接続されている必要も無い。
そして、図1に示すように、携帯電話端末2が、通信制限エリアAR1内に位置していたとする。この場合、携帯電話端末2は発信装置1(1)からの通信制限信号LTを受信するので、自機の通信機能を不能にする。つまり、電波の送受をできないようにする。また、図1に示すように、携帯電話端末2が、通信制限エリアAR1内から通信許可エリアAR2内に移動したとする。この場合、携帯電話端末2は発信装置1(2)からの通信許可信号PTを受信するので、自機の通信機能を有効にして通常通り通信できるようにする。このように、この実施の形態の通信制限制御システムは、通信制限エリアAR1、通信可能エリアAR2を形成するための発信装置1(1)、1(2)と、携帯電話端末2とが協働することによって、携帯電話端末2の使用制限を適切に行える。
なお、この実施の形態において、発信装置1(1)と発信装置1(2)とは、送出する信号が異なるだけで、その構成は同じものである。このため、以下においても、通信制限信号LTを送出する発信装置を発信装置1(1)とし、通信許可信号PTを送出する発信装置を発信装置1(2)とする。また、発信装置1(1)と発信装置1(2)とを総称して、発信装置1と記載する場合もある。
[携帯電話端末2の構成例]
次に、この実施の形態の携帯電話端末2の構成例と動作等について説明する。図2は、この実施の形態の携帯電話端末2の構成例を説明するためのブロック図である。図2に示すように、この実施の形態の携帯電話端末2は、携帯電話端末網を通じて通話を可能にする部分として、送受信アンテナ201、携帯電話通信部202、受話器としてのスピーカ203、送話器としてのマイクロフォン204を備えている。また、携帯電話端末2は、Wi−Fiに準拠した近距離無線通信を行うために、近距離無線用アンテナ205、近距離無線通信部206を備える。さらに、通信制限制御を実現する部分として、信号種別判別部207、通信制限制御部208を備える。
また、携帯電話端末2は、携帯電話端末2の各部を制御する制御部210、記憶装置221、操作部222、表示部223、時間制御部224、バイブレータ225、リンガ226、音声出力部227、音声出力端子228を備える。制御部210は、CPU(Central Processing Unit)211、ROM(Read Only Memory)212、RAM(Random Access Memory)213がCPUバス214を通じて接続されて形成されたコンピュータ装置である。記憶装置221は、記録媒体として不揮発性メモリを備え、種々のアプリケーションプログラムや種々の処理により得られたデータ等の当該不揮発性メモリへの書込み/記録保持/読み出し/削除を行う。
操作部222は、後述の表示部223の表示画面に貼付されたタッチパネルや携帯電話端末2に設けられたハードウェアキーからなり、ユーザーからの操作入力を受け付けて、受け付けた情報を制御部210に供給する。表示部223は、表示処理部を含み、制御部210からの映像データの供給を受けて、これから映像信号を形成し、この映像信号に応じた画像を自己の表示画面に表示する。また、時間制御部224は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を管理すると共に、制御部210の制御に応じて所定の時点からの時間期間の計測機能(カウント機能)をも有する。
また、バイブレータ225は、制御部210により制御され、着信時や警告時等において振動を発生させ、着信や警告の発生を振動によりユーザーに通知する。また、リンガ226は、制御部210により制御され、着信時や警告時等において所定の音声を放音し、着信や警告の発生を音声によりユーザーに通知する。また、音声出力部227は、例えば記憶装置221に記憶保持されている音楽コンテンツを再生して音声出力端子228を通じて出力する。
近距離無線通信部206は、受信した近距離無線信号を自機で処理可能な形式のデータに変換し、これを制御部210に供給する。なお、近距離無線通信部206は、受信信号の受信強度を検出する機能をも有し、近距離無線通信部206から制御部210に供給する受信データには当該受信データの元になった受信信号の受信強度を示す情報も含められる。
信号種別判別部207は、制御部210を通じて供給される近距離無線通信部206からの受信データのSSIDを参照し、当該近距離無線信号が通信制限信号LTか通信許可信号PTかを判別する。そして、信号種別判別部207は、当該判別結果を、制御部210を通じて通信制限制御部208に通知する。なお、近距離無線通信部206は、上述したように、受信信号の受信強度の検出機能を備えている。このため、近距離無線通信部206が、近隣の複数の発信装置1からの近距離無線信号を受信している場合には、信号種別判別部207は、それら複数の近距離無線信号についての信号種別の判別結果を、それら複数の近距離無線信号の受信強度と対応付けて通信制限制御部208に通知する。
通信制限制御部208は、信号種別判別部207の判別結果に基づいて、携帯電話通信部202の動作/非動作を制御する。すなわち、通信制限制御部208は、信号種別判別部207の判別結果が通信制限信号LTを受信したことを示している場合には、携帯電話通信部202の動作を停止させ、通信処理を不能にする。但し、携帯電話通信部202を通じての信号の送受を停止させるだけで、例えば、音声出力部227を通じての音楽コンテンツの再生や表示部223を通じての映像コンテンツの再生等は可能にする。このように、携帯電話通信部202を通じての電波の送受を禁止し、携帯電話通信部202を通じての電波の送受を伴わない処理が可能な携帯電話端末の動作モードを、この実施の形態ではスリープモードという。したがって、通信制限制御部208は、信号種別判別部207の判別結果が通信制限信号LTを受信したことを示している場合には、制御部210を通じて携帯電話通信部202等を制御し、自機をスリープモードに遷移させる機能を有する。
また、通信制限制御部208は、信号種別判別部207の判別結果が通信許可信号PTを受信したことを示している場合であって、携帯電話通信部202の動作が停止している状態にあるときには、携帯電話通信部202を動作させて通信処理を可能にする。また、この場合、通信制限制御部208は、自機に電話の着信や電子メールの受信が発生しても、着信音は放音させず、バイブレータ225の振動だけで着信を通知する。この実施の形態においては、携帯電話通信部202を動作させて通信処理をできる状態にあるときの動作モードを待ちうけモードという。また、待ちうけモード時において、着信通知をリンガ226の着信音を用いずにバイブレータ225の振動のみによって通知するモードをマナーモードという。すなわち、通信制限制御部208は、信号種別判別部207の判別結果が通信許可信号PTを受信したことを示している場合であって、携帯電話通信部202の動作が停止している状態(スリープモード)にあるときには、自機をスリープモードから待ち受けモードに復帰させると共に、マナーモードをオンにする機能を有する。
なお、信号種別判別部207からの判別結果には、受信した近距離無線信号毎に受信強度を示す情報も付加さている。このため、通信制限制御部208は、通信制限信号LTと通信許可信号PTとを受信しているときには、受信強度の強い近距離無線信号から形成された受信データを採用する。
このような構成を有することにより、この実施の形態の携帯電話端末2は、発信装置1(1)、1(2)等からの近距離無線信号のSSIDと、それらからの近距離無線信号の受信強度とに応じて、通信制限制御を適切に行う。
[携帯電話端末2の処理]
次に、この実施の形態の携帯電話端末2で行われる通信制限制御の詳細について説明する。図3は、当該通信制限制御を説明するためのフローチャートである。この図3に示す処理は、携帯電話端末2の制御部210において常時実行される。
まず、制御部210は、近距離無線通信部206を制御して、近距離無線信号を受信し(ステップS101)、認識可能な信号レベルの近距離無線信号を受信したか否かを判別する(ステップS102)。ステップS101において近距離無線通信部206は、近隣の複数の発信装置1(1)、1(2)、…からの近距離無線信号を受信する場合もある。ステップS102の判別処理において、認識可能な信号レベルの近距離無線信号を受信したと判別したとする。この場合、制御部210は、近距離無線通信部206からの受信信号のそれぞれに応じた受信データを信号種別判別部207に供給し、当該受信信号のSSIDに基づいて、受信信号のそれぞれが通信制限信号LTか、通信許可信号PTかを判別する(ステップS103)。
そして、制御部210の制御の下、通信制限制御部208が、信号種別判別部207からの受信信号についての判別結果に基づいて、通信制限信号LTと通信許可信号PTの少なくとも一方を受信したか否かを判別する(ステップS104)。ステップS104の判別処理において、通信制限信号LTと通信許可信号PTの少なくとも一方を受信したと判別したとする。この場合、制御部210の制御の下、通信制限制御部208が、信号種別判別部207からの受信信号についての信号種別の判別結果と、当該受信信号の受信強度とに基づいて、通信許可信号PTよりも受信強度の大きな通信制限信号LTを受信したか否かを判別する(ステップS105)。
ステップS105の判別処理において、通信許可信号PTよりも受信強度の大きな通信制限信号LTが存在すると判別したとする。この場合、通信制限制御部208は、自機の現在の動作状況に基づいて、通信制限を行っているか否かを判別する(ステップS106)。ステップS106の判別処理において、通信制限を行っていないと判別したときには、通信制限制御部208は、制御部210を通じて携帯電話通信部202を制御し、通信処理を不能にする(ステップS107)。すなわち、ステップS107では、携帯電話端末2をスリープモードに遷移させ、通信制限を開始する。ステップS107の処理の後には、ステップS101からの処理を繰り返す。また、ステップS106の判別処理において、通信制限を行っていると判別したときには、通信制限制御部208は、現在の通信制限状態(スリープモード)を維持し、ステップS101からの処理を繰り返す。
また、ステップS105において、通信制限制御部208が通信許可信号PTよりも信号レベルの大きな通信制限信号LTは存在しないと判別したとする。この場合、通信制限制御部208は、自機の現在の動作状況に基づいて、通信制限を行っているか否かを判別する(ステップS108)。ステップS108の判別処理において、通信制限を行っていると判別したときには、通信制限制御部208は、制御部210を通じて携帯電話通信部202を制御し、通信制限を解除する(ステップS109)。すなわち、携帯電話通信部202を動作させ、待ち受けモードに復帰させる。また、この実施の形態において、ステップS109においては、マナーモードをオンにする。ステップS109の処理の後には、ステップS101からの処理を繰り返す。また、ステップS108の判別処理において、通信制限を行っていないと判別したときには、通信制限制御部208は、現在の通信処理を制限していない状態を維持し、ステップS101からの処理を繰り返す。
また、ステップS102の判別処理で認識可能な信号レベルの近距離無線信号を受信していないと判別した場合と、ステップS104の判別処理で通信制限信号LTも通信許可信号PTも受信していないと判別した場合は、ステップS110の処理に進む。この場合、制御部210は、自機の現在の動作状況に基づいて、通信制限を行っているか否かを判別する(ステップS110)。ステップS110の判別処理において、通信制限を行っていると判別したときには、通信制限制御部208は、通信制限を解除するか否かの確認処理を行う(ステップS111)。通信制限エリアAR1内や通信可能エリアAR2内に位置していても、遮蔽物などの影響を受けてたまたま通信制限信号LTや通信許可信号PTが受信できないといった状況が発生する可能性があるためである。
ステップS111では、例えば、一定時間以上、通信制限信号LTを受信していない場合には、通信制限状態を解除してもよい(解除OK)とする。この場合、携帯電話端末2が有する時間制御部224のカウント機能を用い、通信制限信号LTを受信しなくなってからの時間を計測しておけばよい。また、通信制限信号LTや通信許可信号PTを受信せず、いわゆる外部のAP装置からの近距離無線信号を受信した場合には、通信制限エリアAR1内や通信可能エリアAR2内にはいないと判別し、通信制限状態を解除してもよい(解除OK)とする。
また、携帯電話端末2がGPS機能(現在位置の測位機能)を備えるものである場合には、自機が電車やバスの軌道上や病院の敷地内に位置していないことが確認できた場合に、通信制限状態を解除してもよい(解除OK)と判別してもよい。この場合には、GPS部からの自機の現在位置を、インターネット上の地図サーバ装置などから提供を受けるなどして自機が保持する地図上において確認することにより判別可能となる。
そして、通信制限制御部208は、ステップS111の確認処理の結果に基づいて、通信制限の解除が可能か否かを判別する(ステップS112)。ステップS112の判別処理において、通信制限の解除が可能であると判別したときには、通信制限制御部208は、制御部210を通じて携帯電話通信部202を制御し、通信制限を解除する(ステップS113)。すなわち、スリープモードから待ち受けモードに復帰させる。なお、この場合に、マナーモードがオンになっている場合には、自動的にマナーモードをオフにしてもよい。ステップS113の処理の後には、ステップS101からの処理を繰り返す。また、ステップS110の判別処理において、通信制限を行っていないと判別したときと、ステップS112の判別処理において、通信制限の解除は可能でない(解除NG)と判別したときには、現在の状態を維持し、ステップS101からの処理を繰り返す。
これにより、携帯電話端末2は、通信制限エリアでは自機を通じての通信を禁止することができ、また、通信可能エリアでは自機を通じての通信を行うことができる。すなわち、ユーザーの手を全く煩わせることなく、携帯電話端末2は自機の通信制限制御を適切に行うことができる。
なお、図3では、動作モードの切り替えやマナーモードのオン/オフの切り替えを行う場合に、ユーザーに通知することなく行うようにしたが、これに限るものではない。動作モードの切り替えやマナーモードのオン/オフの切り替えを行う場合に、バイブレータ225による信号や表示部223へのメッセージの表示等により、ユーザーに対して報知してから切り替えを行うこともできる。この場合には、モードの切り替えをユーザーが認識することができるので、必要に応じて、通信制限エリアから通信可能エリアに移動したり、マナーモードをオフにする警告を受けた場合に、マナーモードをオンのままにする操作を行ったりすることが可能となる。
[具体的な適用例]
この実施の形態の通信制限制御システムの具体的な適用例について説明する。
図4は、異なる場所に通信制限エリアと通信許可エリアとを設ける場合を説明するための図であり、路線バスの優先席付近を通信制限エリアとする場合の一例を概念的に説明するための図である。路線バスの優先席は、バスの車種や座席の配置などにより種々の位置に設けられる場合があるが、この例においては、図4に示すように、バスの中央付近に設けられた乗車口近傍に、優先席が設けられているとする。
そして、図4において、優先席を囲む点線の円の内側を通信制限エリアとし、実線で示した円の内側を通信可能エリアとしたいとする。この場合には、各円内において、黒丸印で示した位置のバスの例えば内壁に、Wi−FiのAP装置である発信装置1を設ける。具体的には、優先席付近の通信制限エリアには、通信制限信号LTを送出する発信装置1(1)を設け、実線の円内の通信許可エリアには、通信許可信号PTを送出する発信装置1(2)を設ける。この場合、発信装置1(1)、1(2)は、信号の到達距離が例えば半径1.5m程度となる信号レベルの通信制限信号LT、通信許可信号PTを送出する。
これにより、図2、図3を用いて説明したこの実施の形態の携帯電話端末2を持ったユーザーは、点線の円内の通信制限エリアに位置しているときには、携帯電話通信部202を通じての通信処理が強制的に禁止される。つまり、電話を受けたり、かけたり、電子メールを受信したり、送信したりすることができない状態になる。しかし、携帯電話端末2を持ったユーザーが、実線の円内の通信可能エリアに位置しているときには、携帯電話通信部202を通じての通信処理ができる。したがって、携帯電話端末2を持ったユーザーは、通信制限エリアから通信可能エリアに移動すれば、携帯電話端末2を通じての通信処理ができる。
このように、この実施の形態の通信制限制御システムは、Wi−FiのAP装置であり発信装置1の配置位置と、当該発信装置1から送信する信号の信号強度とによって、バス車内に通信制限エリアと通信許可エリアとをきめ細かく設定することが可能となる。そして、携帯電話端末2において図3を用いて説明した処理を実行させるだけで、通信制限制御を適切に行うことができる。
なお、図4に示した通信制限エリアと通信許可エリアの設定位置はあくまでも一例である。発信装置1(1)、1(2)を設ける位置、発信装置1(1)、1(2)から出力する信号の信号強度などを種々に変えることによって、目的とする位置に、目的とする大きさの通信制限エリアや通信許可エリアを設けることができる。また、発信装置1(1)、1(2)毎に、出力する信号の信号強度を変えてもよい。また、発信装置1(1)、1(2)の信号を送出するアンテナに指向性を持たせることにより、扇形や楕円形の通信制限エリアや通信許可エリアを設けることもできる。これらのことにより、図4に存在する通信制限エリアにも通信許可エリアにも属さないエリアを極力少なくすることができる。また、大きな病院の待合エリア、診察室、病室、廊下や通路などを通信制限エリアとし、予め決められた所定のエリアだけを通信可能エリアとすることもできる。
図5は、同じエリアを通信制限エリアにしたり通信許可エリアとしたりする場合を概念的に説明するための図であり、例えば航空機内で携帯電話端末の通信制限制御を行う場合などに適用可能なものである。航空機の場合、2011年4月1日現在の航空法によれば、航空機のドアが開いている場合に限り、携帯電話端末等の通信機器の使用が可能とされ、それ以外の場合、すなわち、航空機のドアが閉まった状態にあるときには、携帯電話端末等の通信機器の使用が禁止される。このような場合に対処するため、図5に示すように、同一エリアに通信制限信号LTを送出する発信装置1(1)と通信許可信号PTを送出する発信装置1(2)を近接して設ける。
そして、通信制限を行う場合には、発信装置1(1)から通信制限信号LTを送出し、発信装置1(2)からは通信許可信号PTを送出しない。また、通信を許可する場合には、発信装置1(2)から通信許可信号PTを送出し、発信装置1(1)からは通信制限信号LTを送出しない。これにより、同一エリアを、通信制限エリアにも通信可能エリアにもすることができる。
なお、発信装置1(1)から通信制限信号LTを送出するのか、発信装置1(2)からは通信許可信号PTを送出するのかの切り替えは、航空機のドアの開閉に応じて自動的に行うことができる。もちろん、手動によって切り替えることも可能である。いずれの場合にも、発信装置1(1)と発信装置1(2)との前段に、これらに例えば駆動電流やイネーブル信号を供給するためのスイッチ回路を設け、当該スイッチ回路の切り替えを自動または手動で行えばよい。
また、発信装置1(1)と発信装置1(2)との両方を設けるのではなく、通信制限信号LTと通信許可信号PTとを切り替えて送出可能な発信装置を構成し、これを用いてもよい。当該発信装置は、通信制限信号LT用のSSIDと通信許可信号PT用のSSIDとを保持し、送出する信号を形成するに当たって、どちらのSSIDを用いるのかを自動または手動で切り替えればよい。
なお、この例の場合には、例えば、試験会場を試験中は通信制限エリアとし、試験終了後には通信可能エリアとするなどにように、種々の応用が可能である。
[RFID機能を用いたマナーモードのオン/オフの切り替え制御の併用]
携帯電話端末の中には、いわゆるRFID(Radio Frequency Identification)技術を用い、電子マネー機能や鉄道や路線バスなどの定期券機能を備えたものが提供されている。RFID技術は、電磁界や電波などを用いた通信距離が数cm〜数mの無線信号によって、識別情報等の情報を送受する技術である。そして、この例の携帯電話端末2Aでは、図3を用いて説明した通信制限制御に加えて、携帯電話端末2Aに搭載された電子マネー機能や定期券機能(以下、単にRFID機能と記載する。)を利用したマナーモードのオン/オフの切り替え制御をも行う。これにより、通信可能エリアにおける携帯電話端末の動作状態についても、ユーザーの手を煩わせることなく、適切な状態にすることができる。
図6は、RFID機能を備えた携帯電話端末2Aの構成例を説明するためのブロック図である。図6に示す携帯電話端末2Aは、図2に示した携帯電話端末2と比較すると分かるように、RFID部231と、RFID用アンテナ232と、マナーモード制御部209とを備えた点を除けば、図2に示した携帯電話端末2と同様に構成されたものである。このため、図6の携帯電話端末2Aにおいて、図2に示した携帯電話端末2と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、それらの部分の説明については重複するので省略する。
そして、携帯電話端末2AのRFID部231とRFID用アンテナ232とは、RFID技術を用い、鉄道の駅の改札機や路線バスのRFID機能を備えた料金収納機との間で識別情報等の送受を行う。例えば、鉄道の乗車駅において、駅構内に入場するために改札機のRFID送受信部に、当該携帯電話端末2Aを近接させたとする。この場合、改札機は携帯電話端末2AのRFID部231を通じて、RFID部231のメモリに登録された定期券情報(乗車区間やユーザーID等)や電子マネーの残高情報を読み取る。そして、改札機は、読み取った情報に基づき入場が可能なユーザーであることが確認できた場合には改札機のゲートを開けて携帯電話端末2Aのユーザーの入場を許可し、確認できない場合には改札機のゲートを閉じて入場を拒否する。一方、入場が許可された携帯電話端末2Aは、RFID部231を通じて入場する駅の駅IDや入場時間等の乗車駅情報を改札機から受信し、これをRFID部231のメモリに記録する。
また、鉄道の降車駅において、駅構内から出場するために改札機のRFID送受信部に、当該携帯電話端末2Aを近接させたとする。なお、この明細書において「出場」との文言は、改札口を通って駅構内から外へ出ることを意味している。この場合、改札機は携帯電話端末2AのRFID部231を通じて例えばRFID部231のメモリに登録された定期券情報(乗車区間やユーザーID等)、電子マネーの残高情報、乗車駅情報等を読み取る。そして、改札機は、読み取った情報に基づき出場が可能なユーザーであることが確認できた場合には改札機のゲートを開けて携帯電話端末2Aのユーザーの出場を許可し、確認できない場合には改札機のゲートを閉じて出場を拒否し、乗車料金の清算を求める。一方、出場が許可された携帯電話端末2Aには、RFID部231を通じて出場する駅の駅IDや出場時間等の情報を改札機から受信し、これをRFID部231のメモリに記録する。このようにして、鉄道の駅への入場および駅からの出場ができる。なお、路線バスの場合も同様にして、バスへの乗車、バスからの降車ができる。
そして、マナーモード制御部209は、RFIF部231を通じての通信の事実に基づいて、すなわち、駅に入場する(バスに乗車する)、駅から出場する(バスから降車する)といった既存の識別情報を用いて自機のマナーモードのオン/オフの切り替え制御を行う。図7は、携帯電話端末2Aにおいて行われるマナーモードのオン/オフの切り替え制御と、近距離無線通信を用いた通信制限制御について説明するための図である。ここでは、鉄道の駅を利用する場合を例にして説明する。
図7において実線矢印で示すように、携帯電話端末2AのRFID機能を用いた、駅の改札機を通じての駅構内への入場および駅構内からの出場に際しては、改札機からの情報がRFID部231のメモリに記録される。このため、RFID部231を通じて通信が行われた場合に、RFID部231のメモリへの記録情報を確認することによって、駅構内に入場した場合と、駅構内から出場した場合とを確実に判別できる。
そこで、携帯電話端末2Aにおいて、RFID機能を用いて駅構内に入場したことを検知したとする。この場合、携帯電話端末2Aは、マナーモードがオフにされ、着信時に呼び出し音を放音する状態(マナーモードがオフの状態)になっている場合には、自動的にマナーモードをオンにして、呼び出し音を放音しない状態にする。また、携帯電話端末2Aにおいて、RFID機能を用いて駅構内から出場したことを検知したとする。この場合、携帯電話端末2Aは、入場時に自動的にマナーモードをオンにしていた場合には、マナーモードをオフし、着信時に呼び出し音を放音する状態に戻す。
また、図7に示した電車の各車両においては、図4を用いて説明した場合と同様にして、優先席とその周辺のエリアを通信制限エリアとして通信制限信号LTを送出する発信装置1(1)を設置する。また、電車内の通信制限エリア以外の部分には通信可能エリアを形成して、通信許可信号PTを送出する発信装置1(2)を設置する。そして、携帯電話端末2Aにおいても、図3を用いて説明した通信制限制御も行う。但し、この例の場合には、マナーモードのオン/オフ制御はRFID機能に基づいて行うので、スリープモードと待ち受けモードとの切り替え制御を行えばよい。
これにより、携帯電話端末2Aのユーザーは、乗車時にマナーモードをオンにし、降車時にマナーモードをオフに戻すといった操作を一々行うことなく、携帯電話端末2Aのマナーモードのオン/オフを適切に制御することができる。すなわち、駅構内に入場した場合に、携帯電話端末2Aのマナーモードがオンでないときには、強制的にマナーモードをオンにすることができる。そして、図3に示した処理により、電車内の通信可能エリアでは、携帯電話端末2Aは通信が可能な状態にされるが、マナーモードがオンにされていることによって、仮に着信が発生した場合であっても、着信音が放音されることは無いので周囲の乗客に迷惑をかけることも無い。また、図3を用いて説明した処理により、携帯電話端末2Aが通信制限エリアに入った場合には、自動的に通信が制限されるので、医療機器等に影響を及ぼすことも無い。
[携帯電話端末2Aでのマナーモードのオン/オフの切り替え制御処理]
次に、この例の携帯電話端末2Aにおいて実行されるマナーモードのオン/オフの切り替え制御処理について具体的に説明する。図8は、当該マナーモードのオン/オフの切り替え制御処理を説明するためのフローチャートである。この図8に示すフローチャートの処理は、RFID部231を通じて情報の送受が行われた場合に、制御部210において実行される。
まず、制御部210の制御の下、マナーモード制御部209が、RFID部231を通じてRFID部231のメモリに記録された情報を確認することにより、自機が駅構内に入場したか否かを判別する(ステップS201)。ステップS201の判別処理において、駅構内に入場したと判別した場合には、マナーモード制御部209は、制御部210を通じて自機の現在のマナーモードのオン/オフ状態を示す情報を取得し、これを記憶装置221に記憶する(ステップS202)。
そして、マナーモード制御部209は、現在のマナーモードの状態は、オフ状態か否かを判別し(ステップS203)、オフ状態であると判別した時には、制御部210を通じて自機のマナーモードをオンにする(ステップS204)。これにより、自動的に自機のマナーモードをオンにし、着信音を放音しない状態とすることができる。そして、この図8に示す処理を終了する。なお、ステップS203の判別処理において、マナーモード制御部209が、現在、マナーモードはオフではないと判別したときには、マナーモードがオンの状態にあるので、これを維持し、この図8に示す処理を終了する。
また、ステップS201の判別処理において、駅構内に入場していないと判別した場合、マナーモード制御部209は、ステップS201で確認したRFID部231のメモリに記録された情報に基づいて、駅構内から出場したか否かを判別する(ステップS205)。ステップS205の判別処理において、駅構内から出場したと判別した場合には、マナーモード制御部209は、ステップS202で記憶装置221に記憶したマナーモードのオン/オフ状態を示す情報に基づいて、元からマナーモードがオンであったか否かを判別する(ステップS206)。
ステップS206の判別処理において、元からマナーモードがオンではなかったと判別した時には、マナーモード制御部209は、制御部210を通じて自機のマナーモードをオフの状態に戻す(ステップS207)。そして、この図8に示す処理を終了する。なお、ステップS205の判別処理において、駅構内から出場していないと判別した場合と、ステップS206の判別処理において、元からマナーモードがオンであったと判別したときには、マナーモードのオン状態を維持し、この図8に示す処理を終了する。
これにより、駅構内への入場および駅構内からの出場に応じて、携帯電話端末2Aのマナーモードのオン/オフの状態を適切に切り替えることができる。また、同様にして、路線バスへの乗車及び降車に応じて、携帯電話端末2Aのマナーモードのオン/オフの状態を適切に切り替えることができる。
また、近年においては、携帯電話端末に搭載されたRFID機能や上述した近距離無線通信技術の1つであるNFC機能等を用いて、航空機への搭乗手続きをチケットレスで可能にすることも行われている。この場合にも、航空機への搭乗予約を行うことにより、予約番号、氏名、予約した航空機の便番号、座席番号などの予約情報の提供を受けて、これを携帯電話端末に登録しておく。そして、上述した定期券機能の場合と同様にして、搭乗受け付け器との間で近距離通信により情報の送受を行って認証を得ることにより、搭乗ゲートを通過し搭乗ロビーに入場できる。
このため、携帯電話端末に搭載されたRFID機能やNFC機能等を用いて、搭乗ゲートを通過し搭乗ロビーに入場した場合に、携帯電話端末のマナーモードをオンにすることができる。また、携帯電話端末に搭載されたRFID機能やNFC機能等を用いて、着陸空港の到着ゲートを通過した場合に、搭乗ゲート通過時に携帯電話端末のマナーモードをオンにしていた場合には、自動的にオフに戻すこともできる。
なお、マナーモードのオン/オフを自動で切り替える場合にも、まず、バイブレータ225の振動や表示部223へのメッセージ表示により、マナーモードのオン/オフを切り替えることをユーザーに通知する。そして、ユーザーの確認入力を得てから、マナーモードのオン/オフの切り替えを実行することもできる。
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の通信制限制御システムの場合には、通信制限エリアと通信可能エリアとを柔軟かつ適切に設定することができる。そして、通信制限エリアでは携帯電話端末の通信処理を禁止し、通信可能エリアでは携帯電話端末が通信処理を可能にするという制御を、ユーザーの手を介することなく適切に行うことができる。しかも、通信制限制御のために用いる信号は、通信距離が例えば数メートル程度の信号レベルの低い近距離無線通信を用いており、医療機器等の電子機器に対して影響を及ぼすこともない。
[変形例等]
なお、上述した実施の形態では、近距離無線通信部206はWi−Fiに準拠した信号の送受を行うものであり、心臓ペースメーカー等に影響を与えないものである。このため、通信制限エリアであっても、近距離無線通信部206を通じての例えばインターネット接続は利用可能にしておくことができる。また、通信制限エリアに位置している場合には、近距離無線通信部206を通じての信号の受信のみ可能し、信号の送信は不能にする制御を行うことも可能である。
また、近年においては、Wi−FiのAP装置は、駅構内、地下街、高速鉄道車内、通勤列車内などで整備が進んでおり、各AP装置のSSIDに基づいて、自機が受信している近距離無線信号が、どこに設置されたAP装置からのものかを把握することができる。このため、例えば、駅のプラットホームに設置されたAP装置からの近距離無線信号を最も良好に受信している状態から、高速鉄道車内や通勤列車内に設置されたAP装置からの近距離無線信号を最も良好に受信している状態に変わった場合には、プラットホームから高速鉄道車や通勤列車に乗車したことを認識することができる。
そこで、近距離無線通信部206を通じて受信する近距離無線信号を監視し、プラットホームから電車に乗車したことを認識した場合であって、携帯電話端末のマナーモードがオンになっていなかった場合に、当該携帯電話端末のマナーモードをオンにする。そして、電車内に位置しているときには、図3を用いて説明した通信制限制御を行う。そして、電車から降車し、プラットホームに位置することになったことを認識したときには、マナーモードをオフにする。という制御を行うこともできる。すなわち、電車についての乗車、降車をAP装置からの近距離無線信号に基づいて認識し、これに応じてマナーモードのオン/オフ制御を行うこともできる。
また、この発明は、携帯電話端末の通信制御を行うだけでなく、タブレット型の情報端末やノート型パーソナルコンピュータなどのいわゆるモバイル機器の通信制限を行う場合に適用可能である。
そして、この発明の通信制限制御の対象とする携帯通信機器には、工場出荷時点において、図3、図8を用いて説明した処理を行うための装置部やプログラムを搭載しておくことが望ましい。しかし、図2、図6に示した携帯電話端末2、2Aの信号種別判別部207、通信制限制御部208、マナーモード制御部209の機能は、制御部210で実行されるソフトウェアによって実現することも可能である。このため、近距離無線通信機能を備えた携帯通信機器に、図3を用いて説明した処理を行うプログラムを搭載することにより、上述した実施の形態の携帯電話端末2を実現することができる。また、近距離無線通信機能とRFID機能を備えた携帯通信機器に、図3、図8を用いて説明した処理を行うプログラムを搭載することにより、上述した実施の形態の携帯電話端末2Aを実現することができる。
[その他]
上述した実施の形態においては、第1、第2の発信装置の機能は、発信装置1(1)、1(2)が実現している。また、携帯通信端末装置の通信手段の機能は、携帯電話端末2、2Aの携帯電話通信部202が実現し、近距離無線通信手段の機能は、携帯電話端末2、2Aの近距離無線通信部206が実現している。また、携帯通信端末装置の信号種別判別手段としての機能は、携帯電話端末2、2Aの信号種別判別部207が実現し、携帯通信端末装置の通信制限制御手段の機能は、携帯電話端末2、2Aの通信制限制御部208が実現している。また、携帯通信端末装置のRFIDの送受信手段としての機能は、携帯電話端末2AのRFID部231が実現し、携帯通信端末装置のモード制御手段としての機能は、携帯電話端末2Aのマナーモード制御部209が実現している。
また、図3のフローチャートに示した処理は、この発明の通信制限制御方法に対応するものである。また、図3のフローチャートに応じた処理を実行するプログラムが、この発明の通信制限制御プログラムに対応するものである。
1…発信装置、2…携帯電話端末、201…送受信アンテナ、202…携帯電話通信部、203…受話器、204…送話器、205…近距離無線用アンテナ、206…近距離無線通信部、207…信号種別判別部、208…通信制限制御部、209…マナーモード制御部、210…制御部、221…記憶装置、222…操作部、223…表示部、224…時間制御部、225…バイブレータ、226…リンガ、227…音声出力部、228…音声出力端子、231…RFID部、232…RFID用アンテナ

Claims (8)

  1. 通信制限を行うエリアに配置され、近距離無線通信により通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号を送出する第1の発信装置と、通信制限を行わないエリアに配置され、近距離無線通信により通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号を送出する第2の発信装置と、携帯通信端末装置とからなる通信制限制御システムであって、
    前記携帯通信端末装置は、
    広域ネットワークを通じて通信を行う通信手段と、
    前記第1、第2の発信装置からの信号を受信する近距離無線通信手段と、
    前記近距離無線通信手段を通じて受信した信号の種別を判別する信号種別判別手段と、
    前記信号種別判別手段の判別結果が、受信した信号が前記通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号であることを示している場合には、前記通信手段を通じての通信を制限し、前記信号種別判別手段の判別結果が、受信した信号が前記通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号であることを示している場合であって、前記通信手段を通じての通信を制限している場合には、通信の制限を解除する通信制限制御手段と
    を備えることを特徴とする通信制限制御システム。
  2. 請求項1に記載の通信制限制御システムであって、
    前記第1、第2の発信装置から送信する信号が含む前記通信制限を行うことを意味する設定内容と前記通信制限を行わないことを意味する設定内容とは、発信装置の識別情報に含ませることを特徴とする通信制限制御システム。
  3. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の通信制限制御システムであって、
    前記第1、第2の発信装置を同一エリアに配置することにより、あるいは、前記第1、第2の発信装置が前記通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号と前記通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号とのいずれをも送出可能にしておくことにより、当該エリアに前記通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号と前記通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号とのいずれを送出するかを、自動あるいは手動で切り替えることができることを特徴とする通信制限制御システム。
  4. 請求項1、請求項2または請求項3のいずれかに記載の通信制限制御システムであって、
    前記携帯通信端末の前記近距離無線通信手段は、近隣の発信装置からの複数の近距離無線信号を受信して、そのそれぞれの受信強度を検出することができるものであり、
    前記通信制限制御手段は受信強度が一番強い近距離無線信号を用いることを特徴とする通信制限制御システム。
  5. 請求項1、請求項2、請求項3または請求項4のいずれかに記載の通信制限制御システムであって、
    前記携帯通信端末は、
    RFID(Radio Frequency Identification)技術を用いた情報の送受信手段と、
    前記送受信手段を通じて情報の送受信を行うことにより、所定のエリアへの入場と所定のエリアからの出場とを判別し、当該判別結果に応じて、着信音を放音しないモードのオン/オフを切り替えるモード制御手段と
    を備えることを特徴とする通信制限制御システム。
  6. 広域ネットワークを通じて通信を行う通信手段と、
    通信制限を行うエリアに配置され、近距離無線通信により通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号を送出する第1の発信装置と、通信制限を行わないエリアに配置され、近距離無線通信により通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号を送出する第2の発信装置からの信号を受信する近距離無線通信手段と、
    前記近距離無線通信手段を通じて受信した信号の種別を判別する信号種別判別手段と、
    前記信号種別判別手段の判別結果が、受信した信号が前記通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号であることを示している場合には、前記通信手段を通じての通信を制限し、前記解析手段の解析結果が、受信した信号が前記通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号であることを示している場合であって、前記通信手段を通じての通信を制限している場合には、通信の制限を解除する通信制限制御手段と
    を備えることを特徴とする携帯通信端末装置。
  7. 近距離無線通信により通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号を送出する第1の発信装置を、通信制限を行うエリアに配置し、
    近距離無線通信により通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号を送出する第2の発信装置を、通信制限を行わないエリアに配置し、
    前記第1、第2の発信装置と近距離無線通信を行う携帯通信端末装置において、
    近距離無線通信手段を通じて、前記第1、第2の発信装置からの信号を受信する近距離無線通信工程と、
    信号種別判別手段が前記近距離無線通信手段を通じて受信した信号の種別を判別する信号種別判別工程と、
    通信制限制御手段が、前記信号種別判別工程においての判別結果が、受信した信号が前記通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号であることを示している場合には、広域ネットワークを通じて通信を行う通信手段を通じての通信を制限し、前記信号種別判別工程においての判別結果が、受信した信号が前記通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号であることを示している場合であって、前記通信手段を通じての通信を制限している場合には、通信の制限を解除する通信制限制御工程と
    を有することを特徴とする通信制限制御方法。
  8. 通信制限を行うエリアに配置され、近距離無線通信により通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号を送出する第1の発信装置と、通信制限を行わないエリアに配置され、近距離無線通信により通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号を送出する第2の発信装置と、携帯通信端末装置とからなる通信制限制御システムの前記携帯通信端末装置に搭載されたコンピュータで実行されるプログラムであって、
    近距離無線通信手段を通じて、前記第1、第2の発信装置からの信号を受信する近距離無線通信ステップと、
    解析手段が前記近距離無線通信手段を通じて受信した信号の種別を判別する信号種別判別ステップと、
    通信制限制御手段が、前記信号種別判別ステップにおいての判別結果が、受信した信号が前記通信制限を行うことを意味する設定内容を含む信号であることを示している場合には、広域ネットワークを通じて通信を行う通信手段を通じての通信を制限し、前記信号種別判別ステップにおいての解析結果が、受信した信号が前記通信制限を行わないことを意味する設定内容を含む信号であることを示している場合であって、前記通信手段を通じての通信を制限している場合には、通信の制限を解除する通信制限制御ステップと
    を実行することを特徴とする通信制限制御プログラム。
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