JP2013172262A - 通信機および通信方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】OFDM方式の通信において、PAPRを低減し、さらにPAPRの低減の程度を制御する。
【解決手段】変調部11が入力信号から生成した変調信号から、直並列変換部12はサブキャリア変調信号を生成する。IFFT部13はサブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行い、分割部14は演算結果を分割して第1サブデータを生成し、分散部15は第1サブデータに分散係数を加算する。ソート部16は分散後第1サブデータから第2サブデータを生成し、演算部17は分散後第1サブデータと第2サブデータの同じ行の要素を用い、分散後第1サブデータを振幅係数で除算して第2サブデータを加算して2で除算、または分散後第1サブデータを2で除算する。補正部18は平均後第1サブデータから補正係数を減算し、合成部19は分割時の位置に並べて合成して、ベースバンド信号を生成する。送信部20は送信信号を生成して送信する。
【選択図】図1

Description

本発明は、通信機および通信方法に関する。
OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式の通信では、入力信号をサブキャリア変調し、IFFT(Inverse Fast Fourier Transformation:逆高速フーリエ変換)を行い、ベースバンド信号を生成する。そのため、サブキャリアの数が増え、FFT(Fast Fourier Transformation:高速フーリエ変換)サイズが大きくなると、大きなピークを持つベースバンド信号が生成され、PAPR(Peak-to-Average Power Ratio:ピーク対平均電力比)が高くなるという性質を持っている。PAPRが高くなると、信号を歪みなく伝送するために広範囲において線形性を有する増幅器が必要となる。そこでPAPRを低減するための技術が開発されている。
特許文献1では、PAPRを低減するため、IFFTを行う前に逐次決定法により算出した最適位相に基づきサブキャリア変調信号の位相を制御する。
特開2006−165781号公報
OFDM方式の通信では、PAPRを低減することが課題となっている。特許文献1では、PAPRを低減する最適位相を算出するために繰り返し計算処理を行い、サブキャリアごとに位相を制御する必要がある。また特許文献1に開示されている技術では、PAPRの低減の程度を制御することはできない。
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、OFDM方式の通信において、PAPRを低減し、さらにPAPRの低減の程度を制御することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る通信機は、
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機であって、
入力信号を所定の変調方式で変調し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する変調手段と、
前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行うIFFT手段と、
前記IFFT手段の演算結果を所定の数に分割して複数の第1サブデータを生成する分割手段と、
前記第1サブデータごとに定めた複素数であって、少なくともいずれか1つは0以外の複素数である分散係数を前記第1サブデータの各要素の値に加算して分散後第1サブデータを生成する分散手段と、
前記分散後第1サブデータの各要素を該分散後第1サブデータにおける該要素の位置とは異なる位置に並べ、少なくとも1つの所定の要素の値を0に置き換えて生成した第2サブデータであって、該分散後第1サブデータおよび前記第2サブデータの同じ行の要素の組み合わせが互いに異なるような前記第2サブデータを生成するソート手段と、
前記分散後第1サブデータおよび前記第2サブデータの同じ行の要素を用いて、前記第2サブデータの該要素が前記ソート手段で値を0に置き換えた前記所定の要素でない場合には、該分散後第1サブデータの該要素の値を所定の振幅係数で除算し、前記第2サブデータの該要素の値を加算して、2で除算し、前記第2サブデータの該要素が前記ソート手段で値を0に置き換えた前記所定の要素である場合には、該分散後第1サブデータの該要素の値を2で除算して平均後第1サブデータを生成する演算手段と、
前記平均後第1サブデータの各要素の値から、前記第1サブデータごとに定めた複素数である補正係数を減算して補正後第1サブデータを生成する補正手段と、
前記補正後第1サブデータを前記分割手段で分割したときの位置に並べて合成したデータに基づきベースバンド信号を生成する合成手段と、
前記ベースバンド信号から送信信号を生成して送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする。
好ましくは、前記分割手段は、前記IFFT手段の演算結果を高速フーリエ変換サイズの約数に等分割する。
好ましくは、前記分割手段は、前記IFFT手段の演算結果を4等分し、前記第1サブデータごとに定めた前記分散係数として、複素平面上で複素平面の原点から離れる方向を示す、実部の絶対値と虚部の絶対値とが同じ複素数であって、互いに異なる複素数を用い、前記補正係数として前記分散係数に所定の実数を乗算した値を用いる。
好ましくは、前記ソート手段は、前記分散後第1サブデータを所定の方向に所定の回数だけシフトしたデータの内、少なくとも1つの要素の値を0に置き換えて前記第2サブデータを生成する。
好ましくは、前記ソート手段は、前記分散後第1サブデータを上方向に1回シフトしたデータの内、最後の行の要素の値を0に置き換えて前記第2サブデータを生成する。
好ましくは、前記ソート手段は、前記分散後第1サブデータを上方向に1回シフトしたデータの内、偶数行の要素の値を0に置き換えて前記第2サブデータを生成する。
本発明の第2の観点に係る通信機は、
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機であって、
送信信号を受信してベースバンド信号を生成する受信手段と、
前記ベースバンド信号を直並列変換し、並列信号を生成する直並列手段と、
前記並列信号を所定の数に分割して複数のサブデータを生成する受信側分割手段と、
前記サブデータの各要素の値に、前記サブデータごとに定めた複素数である補正係数を加算し、2を乗算して逆補正後サブデータを生成する逆補正手段と、
前記逆補正後サブデータの所定の要素の値から、該要素に対応づけられた、所定の要素の値を減算して所定の振幅係数を乗算する演算を行った後に、該演算を施した要素に対応づけられた所定の要素の値から、該演算を施した要素の値を減算して前記振幅係数を乗算する演算を所定の回数繰り返して逆演算後サブデータを生成する逆演算手段と、
前記逆演算後サブデータの各要素の値から、前記サブデータごとに定めた複素数であって、少なくともいずれか1つは0以外の複素数である分散係数を減算して逆分散後サブデータを生成する逆分散手段と、
前記逆分散後サブデータを前記受信側分割手段で分割したときの位置に並べて合成する受信側合成手段と、
前記受信側合成手段の演算結果の高速フーリエ変換を行ってサブキャリア変調信号を生成するFFT手段と、
前記サブキャリア変調信号を所定の復調方式で復調する復調手段と、
を備えることを特徴とする。
好ましくは、前記受信側分割手段は、前記並列信号を前記並列信号の要素の数の約数に等分割する。
好ましくは、前記受信側分割手段は、前記並列信号を4等分し、前記サブデータごとに定めた前記分散係数として、複素平面上で複素平面の原点から離れる方向を示す、実部の絶対値と虚部の絶対値とが同じ複素数であって、互いに異なる複素数を用い、前記補正係数として前記分散係数に所定の実数を乗算した値を用いる。
好ましくは、前記逆演算手段は、前記逆補正後サブデータの所定の要素の値から、該要素に対応付けられた、最後の行の要素の値または前記逆演算手段で演算を施した該要素の直後に位置する要素の値を減算し、前記振幅係数を乗算する。
好ましくは、前記逆演算手段は、前記逆補正後サブデータの奇数行の要素の値から、該要素の直後に位置する偶数行の要素の値を減算し、前記振幅係数を乗算する。
本発明の第3の観点に係る通信方法は、
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機が行う通信方法であって、
入力信号を所定の変調方式で変調し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する変調ステップと、
前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行うIFFTステップと、
前記IFFTステップの演算結果を所定の数に分割して複数の第1サブデータを生成する分割ステップと、
前記第1サブデータごとに定めた複素数であって、少なくともいずれか1つは0以外の複素数である分散係数を前記第1サブデータの各要素の値に加算して分散後第1サブデータを生成する分散ステップと、
前記分散後第1サブデータの各要素を該分散後第1サブデータにおける該要素の位置とは異なる位置に並べ、少なくとも1つの所定の要素の値を0に置き換えて生成した第2サブデータであって、該分散後第1サブデータおよび前記第2サブデータの同じ行の要素の組み合わせが互いに異なるような前記第2サブデータを生成するソートステップと、
前記分散後第1サブデータおよび前記第2サブデータの同じ行の要素を用いて、前記第2サブデータの該要素が前記ソートステップで値を0に置き換えた前記所定の要素でない場合には、該分散後第1サブデータの該要素の値を所定の振幅係数で除算し、前記第2サブデータの該要素の値を加算して、2で除算し、前記第2サブデータの該要素が前記ソートステップで値を0に置き換えた前記所定の要素である場合には、該分散後第1サブデータの該要素の値を2で除算して平均後第1サブデータを生成する演算ステップと、
前記平均後第1サブデータの各要素の値から、前記第1サブデータごとに定めた複素数である補正係数を減算して補正後第1サブデータを生成する補正ステップと、
前記補正後第1サブデータを前記分割ステップで分割したときの位置に並べて合成したデータに基づき前記ベースバンド信号を生成する合成ステップと、
前記ベースバンド信号から送信信号を生成して送信する送信ステップと、
を備えることを特徴とする。
本発明の第4の観点に係る通信方法は、
直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機が行う通信方法であって、
送信信号を受信してベースバンド信号を生成する受信ステップと、
前記ベースバンド信号を直並列変換し、並列信号を生成する直並列ステップと、
前記並列信号を所定の数に分割して複数のサブデータを生成する受信側分割ステップと、
前記サブデータの各要素の値に、前記サブデータごとに定めた複素数である補正係数を加算し、2を乗算して逆補正後サブデータを生成する逆補正ステップと、
前記逆補正後サブデータの所定の要素の値から、該要素に対応づけられた、所定の要素の値を減算して所定の振幅係数を乗算する演算を行った後に、該演算を施した要素に対応づけられた所定の要素の値から、該演算を施した要素の値を減算して前記振幅係数を乗算する演算を所定の回数繰り返して逆演算後サブデータを生成する逆演算ステップと、
前記逆演算後サブデータの各要素の値から、前記サブデータごとに定めた複素数であって、少なくともいずれか1つは0以外の複素数である分散係数を減算して逆分散後サブデータを生成する逆分散ステップと、
前記逆分散後サブデータを前記受信側分割ステップで分割したときの位置に並べて合成する受信側合成ステップと、
前記受信側合成ステップの演算結果の高速フーリエ変換を行ってサブキャリア変調信号を生成するFFTステップと、
前記サブキャリア変調信号を所定の復調方式で復調する復調ステップと、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、OFDM方式の通信において、PAPRを低減し、さらにPAPRの低減の程度を制御することが可能になる。
本発明の実施の形態1に係る通信機の構成例を示すブロック図である。 実施の形態1に係る通信機の異なる構成例を示すブロック図である。 実施の形態1に係る通信機が行う演算処理を示す図である。 実施の形態1に係る通信機が行う送信制御の動作の一例を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る通信機が行う受信制御の動作の一例を示すフローチャートである。 シミュレーションしたベースバンド信号のPAPRのCCDF特性を示す図である。 シミュレーションしたBER特性を示す図である。 シミュレーションしたBERと振幅係数の関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。以下の説明において、IFFT(Inverse Fast Fourier Transformation:逆高速フーリエ変換)は、IFFTとIDFT(Inverse Discrete Fourier Transformation:逆離散フーリエ変換)を含む概念とする。したがって本発明の実施の形態においては、IFFTの代わりに、IDFTを行うよう構成してもよい。同様にFFT(Fast Fourier Transformation:高速フーリエ変換)は、FFTとDFT(Discrete Fourier Transformation:離散フーリエ変換)を含む概念とする。またIDFTおよびDFTを行う場合は、以下の説明におけるFFTサイズとは、DFTのサイズを意味する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る通信機の構成例を示すブロック図である。通信機1は、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式の無線通信により他の機器と通信を行う。通信機1は、アンテナ10、変調部11、直並列変換部12、IFFT部13、分割部14、分散部15、ソート部16、演算部17、補正部18、合成部19、送信部20、およびコントローラ30を備える。
コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)31、RAM(Random Access Memory)33、およびROM(Read-Only Memory)34を備える。複雑化を避け、理解を容易にするために、コントローラ30から各部への信号線が省略されているが、コントローラ30は通信機1の各部にI/O(Input/Output)32を介して接続しており、それらの処理の開始、終了、処理内容の制御を行う。
RAM33には、例えば送信フレームを生成するためのデータが記憶されている。ROM34は、コントローラ30が通信機1の動作を制御するための制御プログラムを格納する。コントローラ30は、制御プログラムに基づいて、通信機1を制御する。
図2は、実施の形態1に係る通信機の異なる構成例を示すブロック図である。上述の通信機1に受信機能をもたせるため、図2に示す通信機1はさらに復調部41、並直列変換部42、FFT部43、受信側合成部44、逆分散部45、逆演算部46、逆補正部47、受信側分割部48、受信部49、および送受信切替部50を備える。送信機能および受信機能を備える図2に示す通信機1を用いて、通信機1が行う通信方法について以下に説明する。
変調部11は、入力信号を所定の変調方式で変調し、変調信号を生成し、直並列変換部12に送る。変調方式として、例えばQPSK(Quadrature Phase-Shift Keying:四位相偏移変調)を用いる。直並列変換部12は、変調信号を直並列変換して並列信号を生成し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する。そして、サブキャリア変調信号をIFFT部13に送る。IFFT部13は、サブキャリア変調信号のIFFTを行い、演算結果を分割部14に送る。サブキャリア変調信号をdとすると、IFFT部13の演算結果uは下記(1)式で表される。
Figure 2013172262
分割部14は、IFFT部13の演算結果uを所定の数に分割して複数の第1サブデータを生成する。所定の数は、演算結果uを等分できる数でなくともよく、第1サブデータの要素の数は互いに異なってもよい。所定の数が、演算結果uを等分できる数、すなわちFFTサイズの約数である場合には、第1サブデータのそれぞれに含まれる要素の数が同じであるため、分割部14以降の処理の実装が容易である。ここで例えば所定の数を4とし、FFTサイズをNとすると、演算結果uは下記(2)式のように4つの第1サブデータに分割される。各第1サブデータは、下記(3)式のように表される。分割部14は、各第1サブデータを分散部15に送る。
Figure 2013172262
Figure 2013172262
分散部15は、第1サブデータごとに定めた複素数であって、少なくともいずれか1つは0以外の複素数である分散係数を第1サブデータの各要素の値に加算して分散後第1サブデータを生成する。上述の例において、第1サブデータごとに定めた複素数として、例えば複素平面上で複素平面の原点から離れる方向を示す、実部の絶対値と虚部の絶対値とが同じ複素数であって互いに異なる複素数を用いることで、後述するようにPAPR(Peak-to-Average Power Ratio:ピーク対平均電力比)を低減することができる。
ここで下記(4)式で表される、サイズがN/4であり、各要素の値が1である列ベクトルmを用意する。
Figure 2013172262
上述のような第1サブデータごとに定めた複素数を各第1サブデータの要素の値に加算して生成した、分散後第1サブデータv、v、v、vは、所定の実数tと列ベクトルmを用いて、下記(5)式で表される。ただし、iは虚数単位である。tは、後述するようにPAPRおよびBER(Bit Error Rate:符号誤り率)を考慮して予め定められた値である。分散部15は、分散後第1サブデータv、v、v、vをソート部16および演算部17に送る。
Figure 2013172262
ソート部16は、分散後第1サブデータの各要素を該分散後第1サブデータにおける該要素の位置とは異なる位置に並べ、少なくとも1つの要素の値を0に置き換えて生成した第2サブデータであって、分散後第1サブデータおよび第2サブデータの同じ行の要素の組み合わせが互いに異なるような第2サブデータを生成する。ソート部16は、分散後第1サブデータを所定の方向に所定の回数だけシフトしたデータの内、少なくとも1つの所定の要素の値を0に置き換えるよう構成してもよい。
ここで例えば分散後第1サブデータを上方向に1回シフトしたデータの内、最後の行の要素の値を0に置き換えて第2サブデータを生成するよう構成すると、下記(6)式で表される分散後第1サブデータvに基づき生成した第2サブデータv’は下記(7)式のように表される。
Figure 2013172262
Figure 2013172262
ソート部16は、同様に他の分散後第1サブデータに基づき第2サブデータを生成し、第2サブデータを演算部17に送る。演算部17は、分散後第1サブデータおよび該分散後第1サブデータに基づき生成した第2サブデータの同じ行の要素を用いて、第2サブデータの該要素がソート部16で値を0に置き換えた所定の要素でない場合には、分散後第1サブデータの該要素の値を所定の実数である振幅係数で除算し、第2サブデータの該要素の値を加算して、2で除算して平均後第1サブデータを生成する。演算部17は、第2サブデータの該要素がソート部16で値を0に置き換えた所定の要素である場合には、分散後第1サブデータの該要素の値を2で除算する。
すなわち、上記(6)式で表される分散後第1サブデータvに、上記(7)式で表される第2サブデータv’を用いて演算を施して生成した、平均後第1サブデータwは、下記(8)式で表される。下記(8)式中のaは振幅係数を表す。振幅係数aは、後述するようにPAPRおよびBERを考慮して予め定められた値である。
Figure 2013172262
演算部17は、他の分散後第1サブデータについても、第2サブデータを用いて同様の演算を行う。演算部17は、平均後第1サブデータを補正部18に送る。
補正部18は、平均後第1サブデータの各要素の値から、第1サブデータごとに定めた複素数である補正係数を減算して補正後第1サブデータを生成する。補正係数として、分散係数に所定の実数を乗算した値を用いるよう構成してもよい。例えば分散係数に所定の実数を乗算して算出した補正係数の実部と虚部の絶対値をcとすると、平均後第1サブデータw、w、w、wから補正係数を減算して生成した、補正後第1サブデータx、x、x、xは、下記(9)式で表される。cは、後述するようにPAPRおよびBERを考慮して予め定められた値である。分散係数と補正係数は同じ、すなわち上記(5)式中のtおよび下記(9)式中のcは同じ値でもよいし、分散係数と補正係数が異なる、すなわちtおよびcが異なる値でもよい。補正部18は、補正後第1サブデータx、x、x、xを合成部19に送る。
Figure 2013172262
合成部19は、下記(10)式で表されるように、補正後第1サブデータを分割部14で分割したときの位置に並べて合成したデータxに基づきベースバンド信号を生成する。合成部19は、ベースバンド信号を送信部20に送る。
Figure 2013172262
送信部20は、ベースバンド信号から送信信号を生成し、送受信切替部50およびアンテナ10を介して他の機器に送信信号を送る。
上述の演算によりPAPRを低減する原理を示す。図3は、実施の形態1に係る通信機が行う演算処理を示す図である。図3(a)において、IFFT部13の演算結果uの各要素に対応する複素平面上の点は、図中の円の中に位置するものとする。ここで分割部14はIFFT部13の演算結果uを4等分して第1サブデータを生成し、図中の矢印が第1サブデータごとに定めた複素数であるとする。分散部15において、第1サブデータの各要素の値に第1サブデータごとに定めた分散係数を加算して生成した、分散後第1サブデータの各要素に対応する複素平面上の点は、図3(b)中の各円の中に位置する。
演算部17は、分散後第1サブデータと該分散後第1サブデータから生成した第2サブデータを用いて上述の演算を施す。補正部18において、平均後第1サブデータの各要素から図中の矢印で表すように分散係数と同じ値である補正係数を減算して生成した、補正後第1サブデータの各要素に対応する複素平面上の点は、図3(a)の円の中に位置する。また分散係数と補正係数が異なる場合には、補正後第1サブデータの各要素に対応する複素平面上の点は、例えば図3(c)に示す各円の中に位置する。
例えば下記(11)式で表される第1サブデータに対し上述の演算を施した場合について考える。説明の簡易化のため各要素は実数とする。下記(11)式から生成したデータのPAPRは3.2906dBである。
Figure 2013172262
ここで分散係数=3とすると、分散後第1サブデータは、下記(12)式で表される。
Figure 2013172262
ソート部16において、上記(12)式で表される分散後第1サブデータを上方向に1回シフトして、最後の行の値を0として生成した第2サブデータは、下記(13)式で表される。
Figure 2013172262
説明の簡易化のため振幅係数を1とすると、演算部17において、上記(13)式で表される第2サブデータを用いて演算を施して生成した、平均後第1サブデータは、下記(14)式で表される。下記(14)式から生成したデータのPAPRは2.9662dBであり、上述の演算を施すことによりPAPRが低減されることがわかる。
Figure 2013172262
図4は、実施の形態1に係る通信機が行う送信制御の動作の一例を示すフローチャートである。変調部11は、入力信号を所定の変調方式で変調して変調信号を生成し、直並列変換部12は、変調信号を直並列変換して、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する(ステップS110)。IFFT部13は、サブキャリア変調信号のIFFTを行う(ステップS120)。
分割部14は、IFFT部13の演算結果を所定の数に分割して複数の第1サブデータを生成する(ステップS130)。分散部15は、第1サブデータごとに定めた分散係数を第1サブデータの各要素の値に加算する(ステップS140)。ソート部16は、例えば、分散後第1サブデータを上方向に1回シフトしたデータの内、最後の行の要素の値を0に置き換えて第2サブデータを生成する(ステップS150)。演算部17は、例えば、分散後第1サブデータの最後の行の値を2で除算し、該要素以外の分散後第1サブデータの要素の値を振幅係数で除算し、第2サブデータの要素の値を加算し、2で除算する演算を行う(ステップS160)。
補正部18は、平均後第1サブデータの各要素の値から、第1サブデータごとに定めた補正係数を減算する(ステップS170)。合成部19は、補正後第1サブデータを分割したときの位置に並べて合成したデータに基づきベースバンド信号を生成する(ステップS180)。送信部20は、ベースバンド信号から送信信号を生成し、送受信切替部50およびアンテナ10を介して他の機器に送信信号を送る(ステップS190)。ステップS190の送信処理が完了すると、処理を終了する。
受信側での処理を以下に説明する。受信部49は、アンテナ10および送受信切替部50を介して送信信号を受信し、ベースバンド信号を生成し、受信側分割部48に送る。受信側分割部48は、ベースバンド信号を直並列変換し、並列信号を生成する。上述の例においては並列信号は上記(10)式で表されるデータxに一致する。受信側分割部48は、並列信号を所定の数に分割してサブデータを生成し、サブデータを逆補正部47に送る。所定の数は送信側の分割部14で用いた数と同じであり、各サブデータに含まれる要素の数も送信側で生成した各第1サブデータに含まれる要素の数と同じである。受信側では送信側で用いた所定の数および各サブデータに含まれる要素の数についての情報を保持しているものとし、送信側で用いた分散係数、振幅係数、および補正係数についても情報を保持しているものとする。
したがって分割部14でIFFT部13の演算結果をFFTサイズの約数に分割した場合には、受信側分割部48は並列信号を該FFTサイズの約数と同じ値である並列信号の要素の数の約数に分割する。上述の例では、受信側分割部48は、並列信号xを上記(10)式のように4等分してサブデータを生成し、逆補正部47に送る。
逆補正部47は、サブデータの各要素の値に、サブデータごとに定めた複素数である補正係数を加算し、2を乗算して逆補正後サブデータを生成する。補正係数は送信側の補正部18で用いた補正係数と同じである。逆補正後サブデータは、下記(15)式で表され、逆補正後サブデータyの各要素は、下記(16)式のように表される。逆補正部47は、逆補正後サブデータを逆演算部46に送る。
Figure 2013172262
Figure 2013172262
逆演算部46は、逆補正後サブデータの所定の要素の値から、該要素に対応づけられた、所定の要素の値を減算し、所定の実数である振幅係数を乗算する演算を行った後に、該演算を施した要素に対応づけられた所定の要素の値から、該演算を施した要素の値を減算して振幅係数を乗算する演算を所定の回数繰り返して逆演算後サブデータを生成する。振幅係数は送信側の演算部17で用いた振幅係数と同じである。所定の回数は、送信側のソート部16で第2サブデータを生成する際に値を0に置き換えた要素の第2サブデータにおける位置によって決定される。
逆演算部46は、上述の例のように、送信側のソート部16で分散後第1サブデータを上方向に1回シフトして最後の行の要素の値を0として第2サブデータを生成した場合には、逆補正後サブデータの所定の要素の値から、該要素に対応づけられた、最後の行の要素の値または、逆演算部46で演算を施した該要素の直後に位置する要素の値を減算し、振幅係数を乗算する。
例えば上記(16)式の逆補正後サブデータについては、最後から2行目の要素の値から、最後の行の要素の値を減算し、振幅係数を乗算して逆演算後サブデータを生成する。そして、最後から3行目の要素の値から、上述の演算を施した最後から2行目の要素の値を減算し、振幅係数を乗算する。このように順に各要素に演算を施していき、下記(17)式で表される逆演算後サブデータzが得られる。逆演算後サブデータzは、送信側の分散部15で演算を施して生成した、分散後第1サブデータvに一致する。
Figure 2013172262
逆演算部46は、他の逆補正後サブデータについても同様に演算を施し、それぞれ分散後第1サブデータv、v、v、vに一致する逆演算後サブデータz、z、z、zを逆分散部45に送る。
逆分散部45は、逆演算後サブデータの各要素の値から、サブデータごとに定めた複素数であって、少なくともいずれか1つは0以外の複素数である分散係数を減算して逆分散後サブデータを生成する。分散係数は送信側の分散部15で用いた分散係数と同じである。逆演算後サブデータz、z、z、zに演算を施して生成した、逆分散後サブデータr、r、r、rは、下記(18)式で表される。逆分散部45は、逆分散後サブデータr、r、r、rを受信側合成部44に送る。上記(5)式より、逆分散後サブデータr、r、r、rは、分割部14で生成した第1サブデータu、u、u、uに一致する。逆分散部45は、逆分散後サブデータを受信側合成部44に送る。
Figure 2013172262
受信側合成部44は、下記(19)式で表されるように、逆分散後サブデータを受信側分割部48で分割したときの位置に並べて合成したデータrをFFT部43に送る。rは送信側のIFFT部13の演算結果uに一致する。
Figure 2013172262
FFT部43は、受信側合成部44の演算結果rのFFTを行ってサブキャリア変調信号を生成し、並直列変換部42に送る。並直列変換部42は、サブキャリア変調信号を並直列変換し、直列信号を生成して復調部41に送る。復調部41は、直列信号を所定の復調方式で復調する。例えば、復調部41は直列信号のQPSK復調を行う。これにより変調部11で変調した入力信号を復調部41で復調して出力することができる。
図5は、実施の形態1に係る通信機が行う受信制御の動作の一例を示すフローチャートである。受信部49は、アンテナ10および送受信切替部50を介して送信信号を受信し、ベースバンド信号を生成する(ステップS210)。受信側分割部48は、ベースバンド信号を直並列変換し、並列信号を生成する(ステップS220)。受信側分割部48は、並列信号を所定の数に分割してサブデータを生成する(ステップS230)。逆補正部47は、サブデータの各要素の値に、サブデータごとに定めた補正係数を加算し、2を乗算して補正後サブデータを生成する(ステップS240)。
逆演算部46は、pをサブデータの要素の数で初期化する(ステップS250)。逆演算部46は、ある逆補正後サブデータについて、p−1行目の要素の値からp行目の要素を減算し、振幅係数を乗算する(ステップS260)。すなわち、最後から2行目の要素の値から、最後の行の要素の値を減算し、振幅係数を乗算する。逆演算部46は、p=0であるか否かを検出し(ステップS270)、pが0でない場合には(ステップS270:N)、pから1を減算して(ステップS280)、ステップS260に戻り、上述の処理を繰り返す。
上述の処理を繰り返して、pが0になった場合には(ステップS270:Y)、全ての逆補正後サブデータについて上述の処理が完了しているか否かを検出する(ステップS290)。全ての逆補正後サブデータについて上述の処理が完了していない場合には(ステップS290:N)、ステップS250に戻り、上述の処理を繰り返す。全ての逆補正後サブデータについて上述の処理が完了している場合には(ステップS290:Y)、ステップS300に進む。なお逆補正後サブデータそれぞれに対する上述の処理は並行して行うよう構成してもよい。
逆分散部45は、逆演算後サブデータの各要素の値から、サブデータごとに定めた分散係数を減算する(ステップS300)。受信側合成部44は、逆演算後サブデータを分割したときの位置に並べて合成し、FFT部43は合成したデータのFFTを行ってサブキャリア変調信号を生成する(ステップS310)。並直列変換部42は、サブキャリア変調信号を並直列変換して直列信号を生成し、復調部41は、直列信号を所定の復調方式で復調する(ステップS320)。
以上説明したとおり、本発明の実施の形態1に係る通信機1によれば、OFDM通信方式において、サブキャリア変調信号のIFFTを行った演算結果に所定の演算を施してベースバンド信号を生成することでPAPRを低減することが可能となる。また後述するように、PAPRを低減し、PAPRの低減の程度および誤り率を制御することが可能となる。
(実施の形態2)
実施の形態2に係る通信機1の構成は、実施の形態1と同様である。実施の形態1と異なる、ソート部16における第2サブデータの生成方法について説明する。実施の形態2に係る通信機1は、ソート部16において上方向に1回シフトした分散後第1サブデータの要素を所定の間隔で選択し、該要素の値を0として第2サブデータを生成する。
ソート部16は、例えば下記(20)式で表されるように、分散後第1サブデータを上方向に1回シフトしたデータの内、偶数行の要素の値を0に置き換えて第2サブデータを生成する。
Figure 2013172262
演算部17において、上記(6)式で表される分散後第1サブデータvに上記(20)式で表される第2サブデータv’を用いて演算を施して生成した、平均後第1サブデータwは、下記(21)式で表される。
Figure 2013172262
この場合、受信側の逆演算部46は、逆補正後サブデータの奇数行の要素の値から、該要素の直後に位置する偶数行の要素の値を減算し、振幅係数を乗算する。図5のステップS250〜S280までの処理を、逆補正後サブデータの奇数行の要素の値から、該要素の直後に位置する偶数行の要素の値を減算し、振幅係数を乗算するという1ステップの処理に置き換えればよい。
また例えば、ソート部16は、分散後第1サブデータを上方向に1回シフトしたデータを4個の要素ごとに複数のグループに分け、該グループの最後の行の要素の値を0に置き換えて、下記(22)式で表される第2サブデータを生成する。
Figure 2013172262
演算部17において、上記(6)式で表される分散後第1サブデータvに上記(22)式で表される第2サブデータv’を用いて演算を施して生成した、平均後第1サブデータwは、下記(23)式で表される。
Figure 2013172262
この場合、受信側の逆演算部46は、逆補正後サブデータを4個の要素ごとに複数のグループに分け、該グループにおいて、所定の要素の値から、該要素に対応付けられた所定の要素の値を減算し、振幅係数を乗算する演算を行った後に、該演算を施した要素に対応付けられた所定の要素の値から、該演算を施した要素の値を減算して振幅係数を乗算する演算を2回繰り返す。すなわち、該グループの最後から2行目の要素の値から該グループの最後の行の要素の値を減算し、振幅係数を乗算する。そして、該グループの最後から3行目の要素の値から、上述の演算を施した該グループの最後から2行目の要素の値を減算し、振幅係数を乗算する。該グループの最初の行の要素の値についても同様に演算を施す。
図5のステップS250において、pを1グループに含まれる要素の数である4で初期化する。ステップS260において、pの自然数倍の行の要素の直前の行に位置する要素の値からそれぞれ、pの自然数倍の行の要素の値を減算し、振幅係数を乗算する。例えばサブデータの要素の数が8であれば、3行目の要素の値から4行目の要素の値を減算して振幅係数を乗算し、7行目の要素の値から8行目の要素の値を減算して振幅係数を乗算する。
ソート部16は、上述の方法に限られず、分散後第1サブデータにおいて所定の個数の要素ごとに要素の値を0として第2サブデータを生成することができる。この場合、受信側で所定の個数の要素ごとに基準となる要素があるため、逆演算部46での処理を高速化することができる。
以上説明したとおり、本発明の実施の形態2に係る通信機1によれば、OFDM通信方式において、実施の形態1に係る通信機1に比べ、受信側での復元処理を高速化することが可能となる。
(具体例)
次に、シミュレーションにより本実施の形態に係る発明の効果を説明する。所定の変調方式をQPSKとし、FFTサイズを2048として、PAPRのCCDF(Complementary Cumulative Distribution Function:相補累積分布関数)、すなわちPAPRの発生確率の特性を比較した。図6は、シミュレーションしたベースバンド信号のPAPRのCCDF特性を示す図である。横軸はPAPR(単位:dB)、縦軸はPAPRのCCDFである。従来技術のPAPRのCCDF特性が太い実線のグラフであり、実施の形態1に係る発明のPAPRのCCDF特性が細い実線のグラフであり、実施の形態2に係る発明のPAPRのCCDF特性が点線のグラフである。
実施の形態1においては、上述の例のようにIFFT部13の演算結果を4等分して第1サブデータを生成し、各第1サブデータに上述の演算を施した。実施の形態2においては、上述の例のようにIFFT部13の演算結果を4等分して第1サブデータを生成し、分散後第1サブデータを上方向に1回シフトしたデータの内、偶数行の要素の値を0に置き換えて生成した第2サブデータに基づき、分散後第1サブデータに上述の演算を施した。図6(a)は、上記(5)式中のt=0.06とし、上記(8)、(21)式中のa=0.5とし、上記(9)式中のc=0.06とした場合、図6(b)は、t=0.06、a=0.5、c=0.05とした場合、図6(c)は、t=0.06、a=0.4、c=0.06とした場合のPAPRのCCDF特性である。
いずれの場合においても、図に示す範囲において、実施の形態1、2に係る発明のPAPRは従来技術と比較して低減されており、実施の形態1の方がPAPRがより低減されている。また実施の形態1においては、tとcの値が異なる図6(b)の方が、tとcの値が同じである図6(a)、(c)に比べて、よりPAPRが低減されていることがわかる。なお図示していないが、cおよびtを0とした場合のPAPRのCCDF特性は、従来技術とほぼ変わらない。したがって、cおよびtが0である場合にはPAPRをほとんど低減することができないことがわかる。
同様にBERについてのシミュレーションを行った。図7は、シミュレーションしたBER特性を示す図である。横軸はEb/No(Energy per Bit to NOise power spectral density ratio:ビットエネルギー対雑音電力密度比)、縦軸はBERである。Eb/Noの単位はdBである。従来技術のBERはプロット点を四角で表した実線のグラフであり、実施の形態1に係る発明のBERはプロット点を三角で表した点線のグラフであり、実施の形態2に係る発明のBERはプロット点を丸で表した一点鎖線のグラフである。図7(a)は、t=0.06、a=0.5、c=0.06とした場合、図7(b)は、t=0.06、a=0.5、c=0.05とした場合、図7(c)は、t=0.06、a=0.4、c=0.06とした場合のBER特性である。
図7(c)の実施の形態1に係る発明のBERは従来技術と同程度であるが、それ以外の場合のBERは従来技術と比較して劣化している。実施の形態1においては、振幅係数aの値により、BERが大きく変化することがわかる。
tおよびcを一定値とし、aの値を変えて同様にBERについてのシミュレーションを行った。図8は、シミュレーションしたBERと振幅係数の関係を示す図である。グラフの見方は図7と同様であり、図8(a)は、t=0、a=1.5、c=0とした場合、図8(b)は、t=0、a=1、c=0とした場合、図8(c)は、t=0、a=0.5、c=0とした場合のBER特性である。振幅係数aを1以上の値にすると、小さい値が雑音に埋もれてしまうため、図8(a)、(b)ではBERが劣化している。しかしBERは、送信電力を上げることで、改善することが可能である。またaの値を1より小さくすることで、BERの劣化を防ぐことができることがわかる。
上述のシミュレーションにより、サブキャリア変調信号のIFFT後のデータを所定の数に分割して生成した第1サブデータに所定の演算を施し、ベースバンド信号を生成することでPAPRを低減できることがわかった。また分散係数、振幅係数、および補正係数を変更することでPAPRの低減の程度およびBERを制御することができることがわかった。
本発明の実施の形態は上述の実施の形態に限られない。変調部11の変調方式は、QPSKに限られず、QPSK以外のPSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation:直角位相振幅変調)などを用いることができる。変調部11と直並列変換部12の順序を変えて、入力信号を直並列変換してサブキャリア信号に割り当て、並列信号の各データを所定の変調方式で変調するよう構成してもよい。その場合、受信側では復調部41と並直列変換部42の順序を変えて、復調処理を行う。
IFFT部13は、IFFTの代わりにIDFTを行うよう構成してもよいし、FFT部43は、FFTの代わりにDFTを行うよう構成してもよい。
1 通信機
10 アンテナ
11 変調部
12 直並列変換部
13 IFFT部
14 分割部
15 分散部
16 ソート部
17 演算部
18 補正部
19 合成部
20 送信部
30 コントローラ
31 CPU
32 I/O
33 RAM
34 ROM
41 復調部
42 並直列変換部
43 FFT部
44 受信側合成部
45 逆分散部
46 逆演算部
47 逆補正部
48 受信側分割部
49 受信部
50 送受信切替部

Claims (13)

  1. 直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機であって、
    入力信号を所定の変調方式で変調し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する変調手段と、
    前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行うIFFT手段と、
    前記IFFT手段の演算結果を所定の数に分割して複数の第1サブデータを生成する分割手段と、
    前記第1サブデータごとに定めた複素数であって、少なくともいずれか1つは0以外の複素数である分散係数を前記第1サブデータの各要素の値に加算して分散後第1サブデータを生成する分散手段と、
    前記分散後第1サブデータの各要素を該分散後第1サブデータにおける該要素の位置とは異なる位置に並べ、少なくとも1つの所定の要素の値を0に置き換えて生成した第2サブデータであって、該分散後第1サブデータおよび前記第2サブデータの同じ行の要素の組み合わせが互いに異なるような前記第2サブデータを生成するソート手段と、
    前記分散後第1サブデータおよび前記第2サブデータの同じ行の要素を用いて、前記第2サブデータの該要素が前記ソート手段で値を0に置き換えた前記所定の要素でない場合には、該分散後第1サブデータの該要素の値を所定の振幅係数で除算し、前記第2サブデータの該要素の値を加算して、2で除算し、前記第2サブデータの該要素が前記ソート手段で値を0に置き換えた前記所定の要素である場合には、該分散後第1サブデータの該要素の値を2で除算して平均後第1サブデータを生成する演算手段と、
    前記平均後第1サブデータの各要素の値から、前記第1サブデータごとに定めた複素数である補正係数を減算して補正後第1サブデータを生成する補正手段と、
    前記補正後第1サブデータを前記分割手段で分割したときの位置に並べて合成したデータに基づきベースバンド信号を生成する合成手段と、
    前記ベースバンド信号から送信信号を生成して送信する送信手段と、
    を備えることを特徴とする通信機。
  2. 前記分割手段は、前記IFFT手段の演算結果を高速フーリエ変換サイズの約数に等分割することを特徴とする請求項1に記載の通信機。
  3. 前記分割手段は、前記IFFT手段の演算結果を4等分し、前記第1サブデータごとに定めた前記分散係数として、複素平面上で複素平面の原点から離れる方向を示す、実部の絶対値と虚部の絶対値とが同じ複素数であって、互いに異なる複素数を用い、前記補正係数として前記分散係数に所定の実数を乗算した値を用いることを特徴とする請求項2に記載の通信機。
  4. 前記ソート手段は、前記分散後第1サブデータを所定の方向に所定の回数だけシフトしたデータの内、少なくとも1つの要素の値を0に置き換えて前記第2サブデータを生成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の通信機。
  5. 前記ソート手段は、前記分散後第1サブデータを上方向に1回シフトしたデータの内、最後の行の要素の値を0に置き換えて前記第2サブデータを生成することを特徴とする請求項4に記載の通信機。
  6. 前記ソート手段は、前記分散後第1サブデータを上方向に1回シフトしたデータの内、偶数行の要素の値を0に置き換えて前記第2サブデータを生成することを特徴とする請求項4に記載の通信機。
  7. 直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機であって、
    送信信号を受信してベースバンド信号を生成する受信手段と、
    前記ベースバンド信号を直並列変換し、並列信号を生成する直並列手段と、
    前記並列信号を所定の数に分割して複数のサブデータを生成する受信側分割手段と、
    前記サブデータの各要素の値に、前記サブデータごとに定めた複素数である補正係数を加算し、2を乗算して逆補正後サブデータを生成する逆補正手段と、
    前記逆補正後サブデータの所定の要素の値から、該要素に対応づけられた、所定の要素の値を減算して所定の振幅係数を乗算する演算を行った後に、該演算を施した要素に対応づけられた所定の要素の値から、該演算を施した要素の値を減算して前記振幅係数を乗算する演算を所定の回数繰り返して逆演算後サブデータを生成する逆演算手段と、
    前記逆演算後サブデータの各要素の値から、前記サブデータごとに定めた複素数であって、少なくともいずれか1つは0以外の複素数である分散係数を減算して逆分散後サブデータを生成する逆分散手段と、
    前記逆分散後サブデータを前記受信側分割手段で分割したときの位置に並べて合成する受信側合成手段と、
    前記受信側合成手段の演算結果の高速フーリエ変換を行ってサブキャリア変調信号を生成するFFT手段と、
    前記サブキャリア変調信号を所定の復調方式で復調する復調手段と、
    を備えることを特徴とする通信機。
  8. 前記受信側分割手段は、前記並列信号を前記並列信号の要素の数の約数に等分割することを特徴とする請求項7に記載の通信機。
  9. 前記受信側分割手段は、前記並列信号を4等分し、前記サブデータごとに定めた前記分散係数として、複素平面上で複素平面の原点から離れる方向を示す、実部の絶対値と虚部の絶対値とが同じ複素数であって、互いに異なる複素数を用い、前記補正係数として前記分散係数に所定の実数を乗算した値を用いることを特徴とする請求項8に記載の通信機。
  10. 前記逆演算手段は、前記逆補正後サブデータの所定の要素の値から、該要素に対応付けられた、最後の行の要素の値または前記逆演算手段で演算を施した該要素の直後に位置する要素の値を減算し、前記振幅係数を乗算することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の通信機。
  11. 前記逆演算手段は、前記逆補正後サブデータの奇数行の要素の値から、該要素の直後に位置する偶数行の要素の値を減算し、前記振幅係数を乗算することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の通信機。
  12. 直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機が行う通信方法であって、
    入力信号を所定の変調方式で変調し、周波数成分が互いに直交するサブキャリアに割り当て、サブキャリア変調信号を生成する変調ステップと、
    前記サブキャリア変調信号の逆高速フーリエ変換を行うIFFTステップと、
    前記IFFTステップの演算結果を所定の数に分割して複数の第1サブデータを生成する分割ステップと、
    前記第1サブデータごとに定めた複素数であって、少なくともいずれか1つは0以外の複素数である分散係数を前記第1サブデータの各要素の値に加算して分散後第1サブデータを生成する分散ステップと、
    前記分散後第1サブデータの各要素を該分散後第1サブデータにおける該要素の位置とは異なる位置に並べ、少なくとも1つの所定の要素の値を0に置き換えて生成した第2サブデータであって、該分散後第1サブデータおよび前記第2サブデータの同じ行の要素の組み合わせが互いに異なるような前記第2サブデータを生成するソートステップと、
    前記分散後第1サブデータおよび前記第2サブデータの同じ行の要素を用いて、前記第2サブデータの該要素が前記ソートステップで値を0に置き換えた前記所定の要素でない場合には、該分散後第1サブデータの該要素の値を所定の振幅係数で除算し、前記第2サブデータの該要素の値を加算して、2で除算し、前記第2サブデータの該要素が前記ソートステップで値を0に置き換えた前記所定の要素である場合には、該分散後第1サブデータの該要素の値を2で除算して平均後第1サブデータを生成する演算ステップと、
    前記平均後第1サブデータの各要素の値から、前記第1サブデータごとに定めた複素数である補正係数を減算して補正後第1サブデータを生成する補正ステップと、
    前記補正後第1サブデータを前記分割ステップで分割したときの位置に並べて合成したデータに基づき前記ベースバンド信号を生成する合成ステップと、
    前記ベースバンド信号から送信信号を生成して送信する送信ステップと、
    を備えることを特徴とする通信方法。
  13. 直交周波数分割多重通信方式の無線通信により他の機器と通信を行う通信機が行う通信方法であって、
    送信信号を受信してベースバンド信号を生成する受信ステップと、
    前記ベースバンド信号を直並列変換し、並列信号を生成する直並列ステップと、
    前記並列信号を所定の数に分割して複数のサブデータを生成する受信側分割ステップと、
    前記サブデータの各要素の値に、前記サブデータごとに定めた複素数である補正係数を加算し、2を乗算して逆補正後サブデータを生成する逆補正ステップと、
    前記逆補正後サブデータの所定の要素の値から、該要素に対応づけられた、所定の要素の値を減算して所定の振幅係数を乗算する演算を行った後に、該演算を施した要素に対応づけられた所定の要素の値から、該演算を施した要素の値を減算して前記振幅係数を乗算する演算を所定の回数繰り返して逆演算後サブデータを生成する逆演算ステップと、
    前記逆演算後サブデータの各要素の値から、前記サブデータごとに定めた複素数であって、少なくともいずれか1つは0以外の複素数である分散係数を減算して逆分散後サブデータを生成する逆分散ステップと、
    前記逆分散後サブデータを前記受信側分割ステップで分割したときの位置に並べて合成する受信側合成ステップと、
    前記受信側合成ステップの演算結果の高速フーリエ変換を行ってサブキャリア変調信号を生成するFFTステップと、
    前記サブキャリア変調信号を所定の復調方式で復調する復調ステップと、
    を備えることを特徴とする通信方法。
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