JP2013170995A - クロマトグラフ質量分析用データ処理装置 - Google Patents

クロマトグラフ質量分析用データ処理装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013170995A
JP2013170995A JP2012036535A JP2012036535A JP2013170995A JP 2013170995 A JP2013170995 A JP 2013170995A JP 2012036535 A JP2012036535 A JP 2012036535A JP 2012036535 A JP2012036535 A JP 2012036535A JP 2013170995 A JP2013170995 A JP 2013170995A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
data
mass spectrum
mass
saturation
measurement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012036535A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5747839B2 (ja
Inventor
Takashi Sumiyoshi
崇史 住吉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Priority to JP2012036535A priority Critical patent/JP5747839B2/ja
Publication of JP2013170995A publication Critical patent/JP2013170995A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5747839B2 publication Critical patent/JP5747839B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)

Abstract

【課題】検出器ゲインが高くデータ飽和が生じ得るような場合でも正確な平均マススペクトルの算出を可能とし、定性の正確性を確保する。
【解決手段】スキャン測定によるデータ収集時にデータ飽和の有無を判定し、飽和している可能性があるデータを含むマススペクトルデータに対し飽和識別フラグF=1を記憶する。マススペクトル平均化処理時に処理対象の測定点範囲が指定されると、飽和識別フラグFを読み出し、F=1が付与されたマススペクトルデータを処理対象から除外して、残りのマススペクトルデータのみから平均マススペクトルを求める。これにより、データ飽和の影響のない平均マススペクトルが得られる。
【選択図】図4

Description

本発明は、ガスクロマトグラフ(GC)や液体クロマトグラフ(LC)等のクロマトグラフと、MSn型質量分析装置を含む質量分析装置とを組み合わせた、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)、液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)などのクロマトグラフ質量分析装置で収集されるデータを処理するデータ処理装置に関する。
複数の成分(化合物)を含む試料中の各成分の定性分析や定量分析を行う際には、GC/MSやLC/MSがよく利用される。GC/MSやLC/MSを用いた定性分析では、一般に質量分析装置においてスキャン測定が行われ、所定の質量電荷比範囲に亘るマススペクトルが繰り返し取得される。このマススペクトルのパターンを予めスペクトルデータベース(ライブラリ)に格納されているマススペクトルパターンと照合することによって、パターンの類似度が高い化合物を抽出し、クロマトグラム上のピークに対応する化合物を特定する。クロマトグラム上に時間幅の狭い鋭いピークが現れる場合には、そのピークトップを与える測定点(測定時刻)のマススペクトルを利用して定性を行えばよい。
しかしながら、クロマトグラムのピークは様々な要因によって鈍ったり変形したりするため、厳密にピークトップを与える測定点を決めるのが困難である場合も多い。このような場合に備えて、従来のGC/MS、LC/MS用のデータ処理装置は、クロマトグラムのピークトップ付近の複数の測定点(一般的には3点から5点程度)のマススペクトルを平均した平均マススペクトルを算出する機能を有している(非特許文献1参照)。
ところで、質量分析装置としてタンデム四重極型質量分析装置などを用いたGC/MS/MSやLC/MS/MSでは、目的化合物の定量分析を行うために多重反応モニタリング(MRM=Multiple Reaction Monitoring)測定モードによる分析がよく用いられる。MRM測定モードは、前段四重極マスフィルタと後段四重極マスフィルタとでそれぞれ特定の質量電荷比を有するイオンのみを通過させて最終的に検出器に到達するイオンを検出するモードであり、クロマトグラフでは分離できなかった夾雑物由来のイオンと目的成分由来のイオンとを分離して後者のみを検出できるという利点を有する。その反面、MRM測定モードでは保持時間以外に定性情報が得られないため、未知の成分が試料に含まれていてもこれを同定することは難しい。そこで、従来のGC/MS/MSやLC/MS/MSでは、MRM測定とスキャン測定とを実質的に同時であるとみなせるような短い時間間隔で交互に繰り返すことにより、MRM測定による定量情報とスキャン測定による定性情報とを並行して取得できるようになっている。
しかしながら、MRM測定とスキャン測定とを短い時間間隔で交互に繰り返す場合には、次のような問題がある。
即ち、MRM測定では2段の四重極マスフィルタでイオン選択が行われるため、一方の四重極マスフィルタをイオンが素通りする単純スキャン測定に比べて検出器に到達するイオン量が相対的にかなり少なくなる。一方で、定量分析を行うMRM測定では高い感度が要求される。そこで、一般に、MRM測定とスキャン測定とが同時に(厳密には上述したように時分割であるが長い時間でみれば実質的に同時である)実施される場合には、MRM測定で得られる相対的に少量のイオンでも充分な検出信号が得られるように、検出器のゲインは高く設定される。ところが、このように検出器のゲインが高いと、スキャン測定で得られる検出信号はA/D変換器の入力レンジを超えてしまい、しばしばデータの飽和が生じることになる。
スキャン測定において或る質量電荷比の信号強度データが飽和すると、そのときのマススペクトルのパターンは崩れてしまう。クロマトグラムピークのトップ付近の所定の時間範囲で上記のように平均マススペクトルを算出する際にパターンが崩れたマススペクトルが含まれると、得られる平均マススペクトルも目的化合物の特徴を的確に表さないものとなるおそれがある。そうなると、データベース検索の際に誤った化合物がヒットして誤同定を引き起こしたり、正解の化合物がヒットせずに同定漏れを引き起こしたりすることになる。
「GCMSsolution 操作Q&A Q:マススペクトルの平均化処理をしたい(お問い合せ番号0620)」、株式会社島津製作所、[平成24年2月6日検索]、インターネット<URL: http://www.an.shimadzu.co.jp/gcms/support/faq/gcmssol/faq6.htm#0620>
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、目的化合物の特徴を的確に表した平均マススペクトルを求めることにより、定性分析の正確性を向上させることができるクロマトグラフ質量分析用データ処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた第1発明は、クロマトグラフで時間的に分離された試料中の成分を質量分析装置により分析するクロマトグラフ質量分析装置で得られたデータを処理するデータ処理装置であって、前記質量分析装置においてスキャン測定を実施することで繰り返し得られたマススペクトルデータを処理するクロマトグラフ質量分析データ処理装置において、
a)目的成分が質量分析装置に導入されている期間に得られたマススペクトルデータであって所定の時間範囲又は測定点範囲に含まれる複数の測定点のマススペクトルデータの中で、測定時に信号飽和が生じた又はその可能性があるデータを含むマススペクトルデータを識別する飽和データ識別手段と、
b)前記複数の測定点のマススペクトルデータの中で、前記飽和データ識別手段により信号飽和が生じた又はその可能性があるデータを含むと判定されなかったマススペクトルデータのみを利用して、平均マススペクトルを作成する平均マススペクトル作成手段と、
を備えることを特徴としている。
第1発明に係るクロマトグラフ質量分析用データ処理装置の一態様として、
測定時にマススペクトルデータ毎に信号飽和が生じた又はその可能性があるデータが含まれるか否かを判定してその判定結果を示す飽和識別フラグをデータに対応付けて記憶するフラグ記憶手段をさらに備え、
前記飽和データ識別手段は、マススペクトルデータに対応付けて記憶されている飽和識別フラグに基づいて、測定時に信号飽和が生じた又はその可能性があるデータを含むマススペクトルデータを識別する構成とすることができる。
ここでいうクロマトグラフはガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフのいずれも含む。また、質量分析装置は一般的な質量分析装置のほか、タンデム四重極型質量分析装置のようなMSn型の質量分析装置も含む。したがって、ここでいうスキャン測定とは単純なスキャン測定のほか、MS/MS分析におけるプリカーサイオンスキャン測定、プロダクトイオンスキャン測定、ニュートラルロススキャン測定を含み、マススペクトルデータとはこれら各種スキャン測定で得られるMS2スペクトルデータを含む。
第1発明に係るクロマトグラフ質量分析用データ処理装置では、例えば、解析対象の目的成分がユーザにより指定され、該目的成分に対応するクロマトグラム上でその平均化処理を行う時間範囲又は測定点範囲がユーザにより指定されると、飽和データ識別手段は、指定された時間範囲又は測定点範囲に含まれる複数の測定点のマススペクトルデータの中で、測定時に信号飽和が生じた又はその可能性があるデータを含むマススペクトルデータを識別する。平均マススペクトル作成手段は、信号飽和が生じた又はその可能性があるデータを含むと判定されたマススペクトルデータを除外し、残りのマススペクトルデータを利用して、質量電荷比毎に時間方向に信号強度データを平均化することで平均マススペクトルを作成する。したがって、目的成分の特徴を的確に示さないマススペクトルは平均マススペクトルに反映されないので、検出器のゲインが高い場合でも正確な平均マススペクトルを算出することが可能である。
上記第1発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理装置では、マススペクトルデータ単位で該データを除外又は採用するようにしているが、通常、マススペクトルデータの中で信号強度が飽和するのはごく一部の質量電荷比に対するデータだけである。したがって、マススペクトルデータ単位ではなく、マススペクトルデータの中で信号飽和した又はその可能性があるデータのみを選択的に平均化処理から除外すれば、当初の目的は達成し得る。
そこで、上記課題を解決するためになされた第2発明は、クロマトグラフで時間的に分離された試料中の成分を質量分析装置により分析するクロマトグラフ質量分析装置で得られたデータを処理するデータ処理装置であって、前記質量分析装置においてスキャン測定を実施することで繰り返し得られたマススペクトルデータを処理するクロマトグラフ質量分析データ処理装置において、
a)目的成分が質量分析装置に導入されている期間に得られたマススペクトルデータであって所定の時間範囲又は測定点範囲に含まれる複数の測定点のマススペクトルデータの中で、測定時に信号飽和が生じた又はその可能性があるデータを識別する飽和データ識別手段と、
b)前記複数の測定点のマススペクトルデータの中で、前記飽和データ識別手段により信号飽和が生じた又はその可能性があると判定されなかったデータのみを利用して、平均マススペクトルを作成する平均マススペクトル作成手段と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理装置によれば、例えば質量分析装置の検出器のゲインが過大であってデータ飽和が生じるような場合であっても、クロマトグラムピークトップ付近の複数の測定点から、正確な、即ち、目的成分の特徴を的確に表すパターンを呈する平均マススペクトルを作成し表示することができる。それによって、平均マススペクトルを利用した定性分析の正確性を確保することができる。
本発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理装置を適用したGC/MS/MSの一実施例の全体構成図。 本実施例のGC/MS/MSにおける測定データ収集時の制御及び処理動作を示すフローチャート。 本実施例のGC/MS/MSにおける平均マススペクトル作成時の制御及び処理動作を示すフローチャート。 本実施例のGC/MS/MSにおける平均マススペクトル作成動作を説明するための模式図。
以下、本発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理装置について一例を挙げて詳細に説明する。図1は本発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理装置を適用したGC/MS/MSの一実施例の全体構成図である。
このGC/MS/MSは、試料に対して分析を実行してデータを収集するために、ガスクロマトグラフ(GC)1とタンデム四重極型質量分析装置2とを備える。GC1においては、ヘリウム等のキャリアガスが一定流量で試料気化室10を経てカラム12に供給される。カラム12はカラムオーブン11に内装され、一定温度に維持されるように又は所定の温度プロファイルに従うように温調される。所定のタイミングで試料気化室10に微量の試料液が注入されると、該試料液は短時間で気化し、キャリアガス流に乗ってカラム12に導入される。そして、カラム12を通過する間に、試料に含まれる各種成分は分離され、時間的にずれてカラム12出口から流出する。
タンデム四重極型質量分析装置2は、電子イオン化(EI)法や化学イオン化(CI)法などによるイオン源21、前段四重極マスフィルタ22、多重極型イオンガイド24が内装されたコリジョンセル23、後段四重極マスフィルタ25、及び検出器26を、真空チャンバ20内に備える。検出器26としては、例えばコンバージョンダイノードと電子増倍管との組み合わせが利用される。
MS/MS分析を行う際には、コリジョンセル23内に衝突誘起解離(CID)ガスが供給される。GC1のカラム12出口から流出する試料ガスはイオン源21に導入され、試料ガス中の成分分子はイオン化される。発生した各種イオンのうち特定の質量電荷比を有するイオンのみが前段四重極マスフィルタ22を通り抜けコリジョンセル23内に導入される。イオンはコリジョンセル23内でCIDガスに接触して解離が促進され、各種のプロダクトイオンが生成される。特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンのみが後段四重極マスフィルタ25を通り抜け検出器26に到達して検出される。
タンデム四重極型質量分析装置2では、コリジョンセル23内にCIDガスを導入せずに、前段四重極マスフィルタ22と後段四重極マスフィルタ25のいずれかでイオンを素通りさせる(イオン選択を実行しない)ことにより、イオンの解離を伴わない通常の質量分析、即ち、選択イオンモニタリング(SIM)測定モードやスキャン測定モードによる測定を実行することも可能である。
検出器26は到達したイオンの量に応じた検出信号を出力し、検出信号はA/D変換器27でデジタルデータに変換されてデータ処理部30に入力される。データ処理部30は機能ブロックとしてデータ収集処理部31を含み、データ収集処理部31を通してデータ格納部33にデータを格納する。また、データ処理部30は本実施例に特徴的な動作を実施する平均マススペクトル作成処理部32を含む。GC1やタンデム四重極型質量分析装置2の各部は分析制御部40により制御され、さらに分析制御部40やデータ処理部30の動作は中央制御部41により統括的に制御される。中央制御部41には、ユーザインターフェイスとして入力部42や表示部43が接続されている。
なお、データ処理部30、分析制御部40、及び中央制御部41の全て又は一部は、パーソナルコンピュータをハードウエア資源とし、そのコンピュータに予めインストールされた専用の制御・処理ソフトウエアを実行することにより、それぞれの機能が実現されるものとすることができる。
タンデム四重極型質量分析装置2では様々なモードの測定が実行可能である。既知の目的成分の定量分析を行う際には前述のMRM測定モードが一般に使用される。MRM測定モードは、前段四重極マスフィルタ22及び後段四重極マスフィルタ25でそれぞれ所定の質量電荷比をもつイオンを選択するようにそれぞれへの印加電圧を設定することで、目的成分由来の特定のフラグメントイオンを検出する。この測定モードでは、目的成分と同時にイオン源21に導入される夾雑物由来のイオンを排除することができるため、こうした不所望のイオンに起因するノイズを除去することができる。ただし、単純なMRM測定モードでは試料に含まれる未知成分が検出されないので、試料中にどのような成分が含まれるのかを並行して知りたい場合には、MRM測定モードとスキャン測定モードとを短い時間間隔で交互に実行するような測定手法が採られることがよくある。
MRM測定モードでは、前段四重極マスフィルタ22及び後段四重極マスフィルタ25の両方でイオン選択を実施するため、最終的に検出器26に到達する目的成分由来のイオンの量はイオン源21で生成される同イオンの量に比べてかなり少ない。一方、イオン解離を伴わないスキャン測定では一方の四重極マスフィルタ22又は25のみでイオン選択が実施されるため、検出器26に到達する目的成分由来のイオンの量はMRM測定に比べて多くなる。そのため、MRM測定時にイオンを高い感度で検出できるように検出器26のゲインを上げておくと、スキャン測定時には検出信号が大き過ぎてA/D変換器27の入力レンジをオーバーし、出力されるデータがデジタル的に飽和してしまうおそれがある。そこで、本実施例のGC/MS/MSでは測定によって収集されるデータが飽和した場合であっても、そうしたデータを処理した結果に悪影響が及ぶのを回避するため、特徴的なデータ処理を実施するようにしている。
次に、本実施例のGC/MS/MSにおいて実行される特徴的なデータ処理動作について説明する。まず、スキャン測定モードによりマススペクトルデータを収集する際に、データ収集処理部31を中心に実行される処理動作について図2により説明する。図2はスキャン測定モードでのデータ収集時の制御及び処理動作を示すフローチャートである。なお、上述したようにMRM測定とスキャン測定とを交互に繰り返す場合には、スキャン測定期間中のみ図2に示した処理を実行し、MRM測定期間中には従来と同様にデータ収集を行えばよい。
測定が開始されると、分析制御部40は所定の質量電荷比範囲に亘る質量走査を繰り返すように前段又は後段四重極マスフィルタ22又は25に電圧を印加する。1回の質量走査の期間中に、検出器26で得られる検出信号はA/D変換器27によりデジタル値に変換されてデータ収集処理部31に送られる。1回の質量走査により得られるデータは或る1つの測定点(測定時刻)におけるマススペクトルデータである。データ収集処理部31は或る1測定点のマススペクトルデータが得られると(ステップS1)、そのデータ中に信号強度が閾値を超えるようなデータが存在するか否かを判定する(ステップS2)。
上述したように検出器26から出力される検出信号が過大であるとA/D変換器27の入力レンジを超えてしまう場合がある。入力レンジを超えて出力データが飽和した場合、データ値は所定値以上になるから、これに応じて、つまり飽和が生じたか或いはその可能性が高い状態を検出できるように上記閾値を決めておけばよい。マススペクトルデータ中に信号強度が閾値を超えたデータが存在する場合には、そのマススペクトルデータに対する飽和識別フラグFを「1」にセットし(ステップS3)、信号強度が閾値を超えたデータがなければ飽和識別フラグFを「0」にセットする(ステップS4)。そして、取得したマススペクトルデータと飽和識別フラグFとを対応付けてデータ格納部33に格納する(ステップS5)。なお、データ格納部33に格納されるマススペクトルデータは、所定質量電荷比に対応したプロファイルデータであってもよいし、これをセントロイド処理したマススペクトルデータであってもよい。
そして、例えば測定開始時から所定の測定時間が経過したことを判定するなどして測定終了か否かを判定し(ステップS6)、未だ測定終了でなければステップS1に戻りスキャン測定により得られたデータの収集を継続する。上記のステップS1〜S5の繰り返しにより、測定開始時点から測定終了時点までの質量走査毎に、マススペクトルデータが飽和識別フラグFとともにデータ格納部33に格納される。
なお、A/D変換器によっては入力レンジオーバーフロー検出機能を有しているものもあり、こうしたA/D変換器を利用可能である場合には、マススペクトルデータ中に信号強度の飽和が生じたデータが存在したか否かをオーバーフロー検出出力に基づいて判断することができる。また、A/D変換器27に入力されるアナログ検出信号のレベルを検出することで、A/D変換後のデータが飽和を生じるか否かを判定するようにしてもよい。
次に、上述したようにマススペクトルデータがデータ格納部33に格納されている状態で、平均マススペクトルを作成・表示する際の処理動作を図3、図4により説明する。図3は平均マススペクトル作成処理動作を示すフローチャート、図4は平均マススペクトル作成動作を説明するための模式図である。
ユーザは入力部42にて所定の操作を行うことにより、目的試料に対して実施されたスキャン測定モードにより収集されたデータに基づいて作成されたトータルイオンクロマトグラム(TIC)を表示部43の画面上に表示する。ユーザはこのトータルイオンクロマトグラム上で平均化処理を行いたいクロマトグラムピークを指定し、平均化処理のために必要なパラメータ(処理条件)を設定する(ステップS11)。このパラメータは、例えば平均化に使用される測定点の点数又は時間範囲などを含む。クロマトグラム上でドラッグ等のグラフィカルな操作を行うことで、平均化処理を行う時間範囲などを指定できるようにしてもよい。
ユーザにより処理実行指示が行われると(ステップS12)、これを受けて平均マススペクトル作成処理部32は、上記パラメータ等で指示された測定点範囲のマススペクトルデータを飽和識別フラグとともにデータ格納部33から読み出す(ステップS13)。一例として、図4に示すようなクロマトグラムピークに対し平均化処理対象の測定点点数を「5」とする場合を考える。このとき、平均化処理対象である測定点はピークトップ付近のA1〜A5であるから、それら測定点A1〜A5において得られたマススペクトルデータが飽和識別フラグとともにデータ格納部33から読み出される。
次に平均マススペクトル作成処理部32は、変数nを1にセットしたあと(ステップS14)、n番目の測定点のマススペクトルデータを取得する(ステップS15)。図4の例ではまず1番目の測定点A1のマススペクトルデータが取得される。次に、このマススペクトルデータに対応付けられている飽和識別フラグFが0であるか否かを判定する(ステップS16)。飽和識別フラグFが0であれば、そのときのマススペクトルデータは信号飽和が生じたデータを含まないと判断できるので、取得したマススペクトルデータを平均化処理対象に設定し(ステップS17)てからステップS18へ進む。一方、飽和識別フラグFが1であれば、そのときのマススペクトルデータは信号飽和を生じたデータを含む可能性が高いので、ステップS17の処理を回避してステップS18へ進む。つまり、このときにはマススペクトルデータは平均化処理対象に設定されない。
ステップS18では変数nが測定点範囲内の最終点であるか否かが判定され、最終点でなければ変数nをインクリメントして(ステップS19)ステップS15へと戻る。図4の例では測定点A5が測定点範囲内の最終点であるから、ステップS15〜S19を4回繰り返し次にステップS18に達した時点で最終点であると判断されてステップS20へと進む。このステップS15〜S19の繰り返しにより、測定点A1〜A5のそれぞれのマススペクトルデータが取得されるが、いま測定実行時に付与された飽和識別フラグFが測定点A3、A4に対し1であったとすると、測定点A3、A4の2つのマススペクトルデータは平均化処理対象には設定されない。つまりは、測定点A1、A2、A5の3測定点のマススペクトルデータのみが平均化処理に供される。
平均マススペクトル作成処理部32は飽和識別フラグに応じて選択された測定点のマススペクトルデータのみを用いて、質量電荷比毎の強度データの平均値を計算し、平均マススペクトルを作成する(ステップS20)。そして、表示部43の画面上に、作成された平均マススペクトルを描画するとともに、平均化処理に利用された測定点(上記例ではA1、A2、A5)と平均化処理から除外された測定点(上記例ではA3、A4)とを識別可能に表示する(ステップS21)。後者の表示は図4中に示したようにテキスト情報で行ってもよいし、例えばクロマトグラムカーブ上の測定点を示すマークを異なる表示色で示す等、グラフィカルに表示してもよい。
以上のように本実施例のGC/MS/MSでは、或る成分に対する平均マススペクトルを作成・表示する際に、信号強度が飽和した可能性があるデータを含むマススペクトルデータが除外されるので、平均マススペクトルの正確性が向上する。
なお、上記実施例では、マススペクトル単位で飽和識別フラグを付与しており、マススペクトルの中で或る1つの質量電荷比に対する信号強度が飽和しただけで、該データを含むマススペクトルが平均化処理から外される。これに対し、例えば質量電荷比毎や狭い質量電荷比範囲毎に飽和識別フラグを設けるようにすれば、マススペクトルデータ全体ではなく信号飽和が生じたデータのみを平均化処理対象から除外することも可能である。図4の例でいえば、測定点A3、A4において信号飽和が生じたデータは1箇所だけであるから、このデータの質量電荷比においては測定点A3、A4のデータを平均化処理から除外し、それ以外の質量電荷比においては全ての測定点のデータを平均化処理に含めるようにすればよい。
また、上記実施例では単純なスキャン測定の際に得られたマススペクトルデータについて特徴的な処理を実施したが、マススペクトルデータを収集する測定モード、つまりは、MS/MS分析におけるプリカーサイオンスキャン測定モード、プロダクトイオンスキャン測定モード、ニュートラルロススキャン測定モードなどにおいても上述したような処理を適用することができる。
また、上記実施例はGC/MS/MSであるが、LC/MS/MSでもよく、GC/MSやLC/MSでもよいことは明らかである。さらに、上記実施例は本発明の一例であり、上記記載の変形例以外でも、本願発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…ガスクロマトグラフ(GC)
10…試料気化室
11…カラムオーブン
12…カラム
2…タンデム四重極型質量分析装置
20…真空チャンバ
21…イオン源
22…前段四重極マスフィルタ
23…コリジョンセル
24…多重極型イオンガイド
25…後段四重極マスフィルタ
26…検出器
27…A/D変換器
30…データ処理部
31…データ収集処理部
32…平均マススペクトル作成処理部
33…データ格納部
40…分析制御部
41…中央制御部
42…入力部
43…表示部

Claims (3)

  1. クロマトグラフで時間的に分離された試料中の成分を質量分析装置により分析するクロマトグラフ質量分析装置で得られたデータを処理するデータ処理装置であって、前記質量分析装置においてスキャン測定を実施することで繰り返し得られたマススペクトルデータを処理するクロマトグラフ質量分析データ処理装置において、
    a)目的成分が質量分析装置に導入されている期間に得られたマススペクトルデータであって所定の時間範囲又は測定点範囲に含まれる複数の測定点のマススペクトルデータの中で、測定時に信号飽和が生じた又はその可能性があるデータを含むマススペクトルデータを識別する飽和データ識別手段と、
    b)前記複数の測定点のマススペクトルデータの中で、前記飽和データ識別手段により信号飽和が生じた又はその可能性があるデータを含むと判定されなかったマススペクトルデータのみを利用して、平均マススペクトルを作成する平均マススペクトル作成手段と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ処理装置。
  2. 請求項1に記載のクロマトグラフ質量分析データ処理装置であって、
    測定時にマススペクトルデータ毎に信号飽和が生じた又はその可能性があるデータが含まれるか否かを判定してその判定結果を示す飽和識別フラグをデータに対応付けて記憶するフラグ記憶手段をさらに備え、
    前記飽和データ識別手段は、マススペクトルデータに対応付けて記憶されている飽和識別フラグに基づいて、測定時に信号飽和が生じた又はその可能性があるデータを含むマススペクトルデータを識別することを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ処理装置。
  3. クロマトグラフで時間的に分離された試料中の成分を質量分析装置により分析するクロマトグラフ質量分析装置で得られたデータを処理するデータ処理装置であって、前記質量分析装置においてスキャン測定を実施することで繰り返し得られたマススペクトルデータを処理するクロマトグラフ質量分析データ処理装置において、
    a)目的成分が質量分析装置に導入されている期間に得られたマススペクトルデータであって所定の時間範囲又は測定点範囲に含まれる複数の測定点のマススペクトルデータの中で、測定時に信号飽和が生じた又はその可能性があるデータを識別する飽和データ識別手段と、
    b)前記複数の測定点のマススペクトルデータの中で、前記飽和データ識別手段により信号飽和が生じた又はその可能性があると判定されなかったデータのみを利用して、平均マススペクトルを作成する平均マススペクトル作成手段と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ処理装置。
JP2012036535A 2012-02-22 2012-02-22 クロマトグラフ質量分析用データ処理装置 Active JP5747839B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012036535A JP5747839B2 (ja) 2012-02-22 2012-02-22 クロマトグラフ質量分析用データ処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012036535A JP5747839B2 (ja) 2012-02-22 2012-02-22 クロマトグラフ質量分析用データ処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013170995A true JP2013170995A (ja) 2013-09-02
JP5747839B2 JP5747839B2 (ja) 2015-07-15

Family

ID=49265015

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012036535A Active JP5747839B2 (ja) 2012-02-22 2012-02-22 クロマトグラフ質量分析用データ処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5747839B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019070547A (ja) * 2017-10-06 2019-05-09 日本電子株式会社 質量分析データ処理装置及び質量分析データ処理方法
WO2023112156A1 (ja) * 2021-12-14 2023-06-22 株式会社島津製作所 飛行時間型質量分析装置

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04144051A (ja) * 1990-10-03 1992-05-18 Shimadzu Corp ガスクロマトグラフ質量分析計のデータ処理装置
JPH05266858A (ja) * 1992-03-16 1993-10-15 Jeol Ltd 電子増倍管の感度校正曲線の作成方法
JPH08334493A (ja) * 1995-06-07 1996-12-17 Shimadzu Corp 液体クロマトグラフ質量分析装置
JPH1019848A (ja) * 1996-07-05 1998-01-23 Shimadzu Corp データ処理装置
US20040084613A1 (en) * 2001-04-03 2004-05-06 Bateman Robert Harold Mass spectrometer and method of mass spectrometry
JP2006184275A (ja) * 2004-11-30 2006-07-13 Jeol Ltd 質量分析方法および質量分析装置
JP2009008570A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Shimadzu Corp クロマトグラフ質量分析データ処理装置

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04144051A (ja) * 1990-10-03 1992-05-18 Shimadzu Corp ガスクロマトグラフ質量分析計のデータ処理装置
JPH05266858A (ja) * 1992-03-16 1993-10-15 Jeol Ltd 電子増倍管の感度校正曲線の作成方法
JPH08334493A (ja) * 1995-06-07 1996-12-17 Shimadzu Corp 液体クロマトグラフ質量分析装置
JPH1019848A (ja) * 1996-07-05 1998-01-23 Shimadzu Corp データ処理装置
US20040084613A1 (en) * 2001-04-03 2004-05-06 Bateman Robert Harold Mass spectrometer and method of mass spectrometry
JP2006184275A (ja) * 2004-11-30 2006-07-13 Jeol Ltd 質量分析方法および質量分析装置
JP2009008570A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Shimadzu Corp クロマトグラフ質量分析データ処理装置

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013046699; 山下 博教: '「スペクトルデータ,クロマトグラムデータの取り扱い」' ぶんせき 2008年第12号, 20081205, p. 634-640, 社団法人日本分析化学会 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019070547A (ja) * 2017-10-06 2019-05-09 日本電子株式会社 質量分析データ処理装置及び質量分析データ処理方法
WO2023112156A1 (ja) * 2021-12-14 2023-06-22 株式会社島津製作所 飛行時間型質量分析装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5747839B2 (ja) 2015-07-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9514922B2 (en) Mass analysis data processing apparatus
US10121643B2 (en) Chromatography/mass spectrometry data processing device
JP4973628B2 (ja) クロマトグラフ質量分析データ解析方法及び装置
JP5821767B2 (ja) クロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置
JP6176049B2 (ja) タンデム四重極型質量分析装置
JP5757270B2 (ja) クロマトグラフ質量分析用データ処理装置
JP6176334B2 (ja) 質量分析方法、質量分析装置、及び質量分析データ処理プログラム
JP5737419B2 (ja) 質量分析装置を用いた定量分析方法及び質量分析装置
JP6065983B2 (ja) クロマトグラフ質量分析用データ処理装置
WO2017077618A1 (ja) クロマトグラフ質量分析データ処理方法及び処理装置
JP2009008582A (ja) クロマトグラムデータ処理装置
JP6737396B2 (ja) 質量分析装置及びクロマトグラフ質量分析装置
JP5757264B2 (ja) クロマトグラフ質量分析データ処理装置
JP7173293B2 (ja) クロマトグラフ質量分析装置
US7529630B2 (en) Method of analyzing mass analysis data and apparatus for the method
JP4470505B2 (ja) クロマトグラフ質量分析用データ処理装置
JP2016053500A (ja) クロマトグラフ質量分析装置
JP5747839B2 (ja) クロマトグラフ質量分析用データ処理装置
JPWO2018109895A1 (ja) 質量分析装置
WO2018163926A1 (ja) タンデム型質量分析装置及び該装置用プログラム
JP6528896B2 (ja) 質量分析装置
JP2008298517A (ja) 質量分析データ解析方法及び装置
JP6954143B2 (ja) クロマトグラフ質量分析装置
JP2013142581A (ja) クロマトグラフタンデム四重極型質量分析装置
JP7088306B2 (ja) クロマトグラフ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140501

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20141222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150120

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150323

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150414

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150427

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5747839

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151