JP2013170940A - 温度補償型てんぷ、時計用ムーブメント及び機械式時計 - Google Patents

温度補償型てんぷ、時計用ムーブメント及び機械式時計 Download PDF

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Abstract

【課題】温度変化に伴う慣性モーメントの変化率を容易且つ無段階で調整することができ、慣性モーメントの温度補正の調整精度を向上して、温度補償性能が高めること。
【解決手段】軸中心に回動するてん真50と、てん真の径方向に沿って延びるアーム部51を介しててん真に取り付けられ、該アーム部の熱膨張率とは異なる熱膨張率を有する環状のてん輪52と、てん輪に設けられた重量部61と、アーム部と重量部とをてん真の周方向に相対移動可能とさせる調整機構65と、を備えている温度補償型てんぷ40を提供する。
【選択図】図5

Description

本発明は、温度補償型てんぷ、これを具備する時計用ムーブメント及び機械式時計に関するものである。
機械式時計の調速機としては、一般的にてんぷ及びひげぜんまいで構成されている。このうちてんぷは、軸中心に回動するてん真、及び該てん真にアーム部を介して固定されたてん輪を備え、周期的に正逆回動して振動する部材とされている。ひげぜんまいは、てん輪を一定の周期で正逆回動させるための動力を伝える部材とされている。
ところで、てんぷの振動周期は、時計の歩度を決める要因となるため、予め決められた規定値内に設定されていることが重要とされている。仮に、振動周期が規定値からずれてしまうと、上述したように機械式時計の歩度(時計の遅れ、進みの度合い)が変化してしまう。ところが、上記振動周期は各種の原因によって変化し易く、例えば温度変化によっても変化してしまう。
ここで、上記振動周期Tは、次式(1)で表される。
Figure 2013170940
上記式(1)において、Iは「てんぷの慣性モーメント」、Kは「ひげぜんまいのばね定数」を示す。従って、てんぷの慣性モーメント、又はひげぜんまいのばね定数が変化すると、振動周期も変化してしまう。
具体的には、ひげぜんまいのばね定数が大きくなれば、てんぷの振動周期は短くなり、ひげぜんまいのばね定数が小さくなれば、てんぷの振動周期は長くなる。つまり、ひげぜんまいのばね定数が大きくなれば、てんぷの振動の位相が進み、ひげぜんまいのばね定数が小さくなれば、てんぷの振動の位相が遅れることとなる。
一方、てんぷの慣性モーメントが大きくなれば、てんぷの振動周期が長くなり、位相が遅れる。また、てんぷの慣性モーメントが小さくなれば、てんぷの振動周期が短くなり、位相が進むこととなる。
ここで、てんぷに用いられる金属材料としては、一般的に線膨張係数が正の材料とされており、温度上昇によって膨張する。そのため、てん輪が拡径し、慣性モーメントを増加させてしまう。また、ひげぜんまいに一般的に用いられる鋼材料のヤング率は負の温度係数を有しているため、温度上昇によってばね定数を低下させてしまう。
以上のことにより、周囲環境が温度上昇すると、これに伴って慣性モーメントが増加し且つひげぜんまいのばね定数が低下することとなる。従って、上記式(1)から明らかなように、てんぷの振動周期は、低温で短く、高温で長くなる特性となってしまう。そのため、時計の温度特性としては、低温で進み、高温で遅れるという特性になってしまうものであった。
そこで、てんぷの持つ温度特性を補正し、てんぷの振動周期の温度依存性を改善するため、てんぷの慣性モーメントの温度特性を調整する方法が知られている。その方法の1つとして、てん真とてん輪とを連結するアーム部を、てん輪とは熱膨張係数が異なる材料で形成したてんぷが知られている(非特許文献1参照)。
このてんぷは、Ovalising Balance タイプのバイメタルてんぷであり、図13に示すように、熱膨張係数が小さい材料(例えばニッケル鋼等)によっててん輪100が形成され、アーム部110がてん輪100の熱膨張係数よりも大きい材料(例えば黄銅等)で形成されている。そして、てん輪100には、重り部となる複数のチラねじ120がアーム部110を挟んで径方向に向かい合う位置を中心に取り付けられている。
従って、温度上昇時、図14に示すように、熱膨張係数が高いアーム部110が自身の変形によっててん輪100を径方向の外側に変形させるので、てん輪100がその長軸をアーム部110の延在方向に一致させるように楕円状に変形する。なお、図14では、複数のチラねじ120の図示を省略している。
これにより、てん輪100における短軸方向側に固定されたチラねじ120を径方向の内側に移動させることができる。従って、てん輪100の慣性モーメントを低下させることができ、この慣性モーメントの温度特性に負の傾きを持たせることができる。その結果、てんぷの振動周期の温度依存性を低く抑えることが可能となる。
Hans Jendritzki 著、「Watch Adjustment」、2006年再版(1970年初版)、p10
しかしながら、上記した従来の方法であっても、温度変化に伴う慣性モーメントの変化率を微調整する必要があり、実際にはてん輪100に取付けられている複数のチラねじ120の取付位置を変更する作業が必要とされる。ところが、これらチラねじ120は、てん輪100に対して周方向に等間隔で形成された図示しないねじ孔に取付けられているので、チラねじ120の取付位置がねじ孔によって制限されてしまう。
従って、慣性モーメントの変化率を段階的にしか調整することができず、その調整精度には限界があった。更に、チラねじ120を各ねじ孔に付け替える作業等が必要になるので、手間及び時間がかかり、作業性が悪かった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、温度変化に伴う慣性モーメントの変化率を容易且つ無段階で調整することができ、慣性モーメントの温度補正の調整精度を向上して、温度補償性能が高まった温度補償型てんぷ、これを具備する時計用ムーブメント及び機械式時計を提供することである。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係る温度補償型てんぷは、軸中心に回動するてん真と、前記てん真の径方向に沿って延びるアーム部を介して前記てん真に取り付けられ、該アーム部の熱膨張率とは異なる熱膨張率を有する環状のてん輪と、前記てん輪に設けられた重量部と、前記アーム部と前記重量部とを、前記てん真の周方向に相対移動可能とさせる調整機構と、を備えていることを特徴とする。
本発明に係る温度補償型てんぷによれば、温度変化が生じると、アーム部及びてん輪の熱膨張率の差異によって環状のてん輪が楕円状、より詳細にはアーム部の延在方向に沿って長軸又は短軸が向くように楕円状に変形する。これにより、てん輪に設けられた重量部を径方向の内側又は外側に向けて移動させることができ、その位置を径方向に変化させることができる。よって、てんぷ全体の慣性モーメントを変化させることができ、その慣性モーメントの温度特性の傾きを変化させて、温度補正を行うことができる。
この際、調整機構によって、アーム部に対する重量部の位置を周方向に移動させることができるので、てん輪の変形に伴って径方向に位置が変化する重量部の変化量を調整することが可能である。これにより、温度変化に対する慣性モーメントの変化率を調整でき、温度補正を精密に行うことができる。
特に、従来のチラねじを用いた方法とは異なり、アーム部と重量部とを周方向に自由に相対移動させることができるので、重量部の径方向への変化量を無段階且つ連続的に調整できる。その結果、温度変化に対する慣性モーメントの変化率についても無段階且つ連続的に調整でき、慣性モーメントの調整精度を向上することができる。よって、てんぷの振動周期の温度依存性を抑制でき、温度変化によって歩度が変化し難い、温度補償性能に優れたてんぷとすることができる。
しかも、従来のようにチラねじを付け替える作業が不要であるうえ、慣性モーメントの温度補正作業を連続的に行えるので、手間がかかり難く容易に行い易い。
(2)上記本発明に係る温度補償型てんぷにおいて、前記アーム部は、前記てん輪よりも熱膨張率が大きいことが好ましい。
この場合には、温度上昇時、アーム部がてん輪を径方向の外側に変形させるので、アーム部の延在方向に長軸が向くようにてん輪を楕円形に変形させることができる。よって、重量部を径方向の内側に向けて移動させ易く、慣性モーメントを低下させる方向に調整できる。従って、温度上昇に伴ってばね定数が小さくなる一般的なてんぷばねと組み合わせて使用することができ、てんぷとして汎用性を高め易い。
(3)上記本発明に係る温度補償型てんぷにおいて、前記調整機構は、前記アーム部及び前記てん輪のうちの一方に設けられた凸部と、前記アーム部及び前記てん輪のうちの他方に設けられ、前記周方向に沿って延びる凹部と、を備え、前記凸部が前記凹部に対して移動可能に係合することで、前記アーム部と前記重量部との前記周方向への相対移動を可能とさせていることが好ましい。
この場合には、凸部及び凹部を介して、アーム部及びてん輪が周方向に相対移動可能に連結されるので、アーム部とてん輪とを周方向に相対移動させるだけの簡便な作業で、アーム部と重量部とを周方向に相対移動させることができる。従って、簡便に慣性モーメントの温度補正作業を行うことができると共に、調整精度をより向上させ易い。また、凸部及び凹部で調整機構を構成できるので、構成の簡略化を図り易い。
(4)上記本発明に係る温度補償型てんぷにおいて、前記調整機構は、前記てん輪に形成され、周方向に沿って延びる凹部と、前記凹部に対して移動可能に係合する凸部と、を備え、前記重量部は、前記凸部に対して固定されていることが好ましい。
この場合には、周方向に延びる凹部に沿って凸部を移動させるだけの簡便な作業で、アーム部と重量部とを周方向に相対移動させることができる。従って、簡便に慣性モーメントの温度補正作業を行うことができると共に、調整精度をより向上させ易い。また、凸部及び凹部で調整機構を構成できるので、構成の簡略化を図り易い。
特に、てん輪とアーム部とを一体的に連結することが可能であるので、てん輪とアーム部との連結部分にガタツキ等が生じ難い。従って、てん真とてん輪とを同軸上に精度良く配置でき、回動バランスをさらに向上させ易い。
(5)上記本発明に係る温度補償型てんぷにおいて、前記てん輪は、前記アーム部に取り付けられる第1てん輪と、前記重量部が設けられると共に、前記第1てん輪に対して相対回転可能に取り付けられる第2てん輪と、を備え、前記調整機構は、前記第1てん輪と前記第2てん輪とを相対回転させることで、前記アーム部と前記重量部との前記周方向への相対移動を可能とさせていることが好ましい。
この場合には、第1てん輪と第2てん輪とを相対回転させるだけの簡便な作業で、アーム部と重量部とを周方向に相対移動させることができる。従って、簡便に慣性モーメントの温度補正作業を行うことができると共に、調整精度をより向上させ易い。
特に、第1てん輪とアーム部とを一体的に連結することが可能であるので、第1てん輪とアーム部との連結部分にガタツキ等が生じ難い。従って、第1てん輪及び第2てん輪からなるてん輪と、てん真と、を同軸上に精度良く配置でき、回動バランスをさらに向上させ易い。
(6)上記本発明に係る温度補償型てんぷにおいて、前記第1てん輪は、前記第2てん輪よりも径方向の外側に配置され、前記第1てん輪には、周方向に沿って延びる凹部が形成され、前記重量部は、前記第1てん輪の径方向の外側から前記凹部を通じて前記第2てん輪に固定されるねじ部材とされていることが好ましい。
この場合には、第1てん輪と第2てん輪とを相対回転させることで、第2てん輪に固定されている重量部を周方向に移動させることができ、これにより重量部とアーム部とを周方向に相対移動させることができる。
特に、重量部が、第1てん輪の径方向の外側から凹部を通じて第2てん輪に固定されるねじ部材であるので、その締め付けによって、第1てん輪と第2てん輪との相対回転を容易に規制及び解除することができる。よって、この点においても温度補正を簡便に行える。
(7)上記本発明に係る温度補償型てんぷにおいて、前記第1てん輪は、前記第2てん輪よりも径方向の内側に配置され、前記重量部は、前記第2てん輪に固定されると共に、前記第1てん輪を径方向の外側から押圧するねじ部材とされていることが好ましい。
この場合には、第1てん輪と第2てん輪とを相対回転させることで、第2てん輪に固定されている重量部を周方向に移動させることができ、これにより重量部とアーム部とを周方向に相対移動させることができる。
特に、重量部が、第2てん輪よりも径方向の内側に位置している第1てん輪を、径方向の外側から押圧するねじ部材であるので、その締め付けによる押圧力を変化させることで、第1てん輪と第2てん輪との相対回転を容易に規制及び解除することができる。よって、この点においても温度補正を簡便に行える。
(8)上記本発明に係る温度補償型てんぷにおいて、前記てん輪に対して、該てん輪が一定の振動周期で回動するための動力を伝えるてんぷばね備え、前記てんぷばねは、ばね定数が温度上昇に伴って小さくなる材料で形成されていることが好ましい。
この場合には、ばね定数が温度上昇に伴って小さくなる一般的な材料からなるてんぷばねを利用することができるので、低コスト化を図り易い。
なお、温度上昇に伴っててんぷの振動周期が大きくなるようにてんぷばねが作用するので、温度上昇に伴う慣性モーメントの低減によりてんぷの振動周期が小さくなる作用と相互に作用し合うことで、温度変化に対するてんぷの振動周期を維持することが可能となる。
(9)本発明に係る時計用ムーブメントは、動力源を有する香箱車と、前記香箱車の回転力を伝達する輪列と、前記輪列の回転を制御する脱進機構と、前記脱進機構を調速する上記本発明に係る温度補償型てんぷと、を備えていることを特徴とする。
本発明に係る時計用ムーブメントによれば、上述したように慣性モーメントの調整精度が向上されて、温度補償性能が高いてんぷを具備しているので、歩度の誤差の少ない高品質な時計用ムーブメントとすることができる。
(10)本発明に係る機械式時計は、上記本発明に係る時計用ムーブメントを備えることを特徴とする。
本発明に係る機械式時計によれば、上記本発明に係る時計用ムーブメントを具備しているので、歩度の誤差の少ない高品質な機械式時計とすることができる。
本発明によれば、温度変化に伴う慣性モーメントの変化率を容易に無段階且つ連続的に調整することができ、慣性モーメントの調整精度を向上して、温度補償性能が高まった温度補償型てんぷを得ることができる。
本発明に係る第1実施形態を示す図であって、機械式時計のムーブメントの構成図である。 図1に示すムーブメントを構成するてんぷの上面図である。 図2に示すD−D断面図である。 図2に示す状態からひげぜんまいを外した状態を示す上面図である。 図3に示すてんぷの斜視図である。 図4に示すてんぷが温度変化によって変形する状態を示す上面図である。 本発明に係る第2実施形態を示す図であって、てんぷの斜視図である。 図7に示す係合片の斜視図である。 本発明に係る第3実施形態を示す図であって、てんぷの斜視図である。 本発明に係る第4実施形態を示す図であって、てんぷの斜視図である。 図10に示すてんぷの部分断面図である。 図11に示すE−E断面図である。 従来のてんぷ(Ovalising Balance タイプ)の一例を示す上面図である。 図13に示すてんぷが温度上昇によって変形した状態を示す図である。
<第1実施形態>
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の機械式時計1は、例えば腕時計であって、ムーブメント(時計用ムーブメント)10と、このムーブメント10を収納する図示しないケーシングと、により構成されている。
(ムーブメントの構成)
このムーブメント10は、基板を構成する地板11を有している。この地板11の裏側には図示しない文字板が配されている。なお、ムーブメント10の表側に組み込まれる輪列を表輪列と称し、ムーブメント10の裏側に組み込まれる輪列を裏輪列と称する。
上記地板11には、巻真案内穴11aが形成されており、ここに巻真12が回転自在に組み込まれている。この巻真12は、おしどり13、かんぬき14、かんぬきばね15及び裏押さえ16を有する切換装置により、軸方向の位置が決められている。また、巻真12の案内軸部には、きち車17が回転自在に設けられている。
このような構成のもと、巻真12が、回転軸方向に沿ってムーブメント10の内側に一番近い方の第1の巻真位置(0段目)にある状態で巻真12を回転させると、図示しないつづみ車の回転を介してきち車17が回転する。そして、このきち車17が回転することにより、これと噛合う丸穴車20が回転する。そして、この丸穴車20が回転することにより、これと噛合う角穴車21が回転する。更に、この角穴車21が回転することにより、香箱車22に収容された図示しないぜんまい(動力源)を巻き上げる。
ムーブメント10の表輪列は、上記香箱車22の他に、二番車25、三番車26及び四番車27により構成されており、香箱車22の回転力を伝達する機能を果している。また、ムーブメント10の表側には、表輪列の回転を制御するための脱進機構30及び調速機構31が配置されている。
二番車25は、香箱車22に噛合う歯車とされている。三番車26は、二番車25に噛合う歯車とされている。四番車27は、三番車26に噛合う歯車とされている。
脱進機構30は、上記した表輪列の回転を制御する機構であって、四番車27と噛み合うがんぎ車35と、このがんぎ車35を脱進させて規則正しく回転させるアンクル36と、を備えている。
調速機構31は、上記脱進機構30を調速する機構であって、図1〜図3に示すように、てんぷ(温度補償型てんぷ)40を具備している。
(てんぷの構成)
てんぷ40は、軸線Oを中心に回動するてん真50と、アーム部51を介して該てん真50に取付けられたてん輪52と、ひげぜんまい(てんぷばね)41と、を備え、該ひげぜんまい41から伝えられた動力によって、軸線O回りに一定の振動周期で正逆回動させられる部材とされている。
なお、本実施形態では、上記軸線Oに直交する方向を径方向、軸線Oを周回する方向を周方向という。
てん真50は、軸線Oに沿って上下に延在した回転軸体であり、上端部及び下端部が上記したムーブメント10を構成する図示しない地板やてんぷ受等の部材によって軸支されている。
てん真50における上下方向の略中間部分は、径が最も大きい大径部50aとされている。また、このてん真50には、大径部50aの下方に位置する部分に筒状の振り座53が軸線Oと同軸に外装されている。この振り座53は、径方向の外側に向けて突設された環状の鍔部53aを有しており、該鍔部53aに上記アンクル36を揺動させるための振り石54が固定されている。
ひげぜんまい41は、例えば一平面内で渦巻状に巻かれた平ひげであって、図示しないひげ玉を介してその内端部がてん真50における大径部50aの上方に位置する部分に固定されている。そして、このひげぜんまい41は、四番車27からがんぎ車35に伝えられた動力を蓄え、上述したように該動力をてん輪52に伝える役割を果している。
なお、本実施形態のひげぜんまい41は、ヤング率が負の温度係数を有する一般的な鋼材料で形成されており、温度上昇によってばね定数が低下する特性を有している。
上記てん輪52は、図3〜図5に示すように、てん真50を径方向の外側から囲む環状に形成されており、該てん真50に対して同軸に配置された状態でアーム部51を介して該てん真50に取付けられている。
アーム部51は、径方向に沿って延びる帯状の板部材であり、径方向の中央部にはてん真50の大径部50aに対して嵌合された嵌合孔51aが形成されている。これにより、アーム部51はてん真50に固定され、該てん真50と共に回動可能とされている。
アーム部51における径方向の両端部には、てん輪52の内周面に対向する対向壁部51bが上方に向けてそれぞれ立設されている。これら対向壁部51bは、微小な隙間を開けててん輪52に対向しており、該てん輪52の曲率に倣った平面視円弧状に形成されている。各対向壁部51bにはねじ孔51cが形成されており、てん輪52の径方向の外側から該てん輪52を挟んでこのねじ孔51cに連結ねじ56が螺着されている。
また、てん輪52には、てん真50を挟んで径方向に向かい合うように、周方向に沿って延びる長穴状の凹部60が形成されている。そして、上記連結ねじ56は、この凹部60内を挿通した状態でねじ孔51cに螺着されている。そのため、本実施形態における連結ねじ56は、アーム部51に設けられ、凹部60に対して周方向に移動可能に係合する凸部として機能する。また、連結ねじ56の締め付けを緩めることで、アーム部51とてん輪52とを周方向に相対移動させることが可能とされている。
ところで、上記したアーム部51とてん輪52とは、互いに熱膨張率が異なる材料で形成されている。
本実施形態では、てん輪52がインバー等の低熱膨張材料で形成され、アーム部51がてん輪52の熱膨張率よりも大きい黄銅等の高熱膨張材料で形成されている。但し、上記した材料に限定されるものではなく、種々の材料を適宜選択して用いても構わない。この際、できるだけ熱膨張率に大きな差が生じるように、アーム部51及びてん輪52の材料を選択することが好ましい。
また、てん輪52の外周面側には、重量部として機能する一対の重り用ねじ61が螺着されている。この際、重り用ねじ61は、てん真50を挟んで径方向に向かい合うように固定されている。そして、上記したようにアーム部51とてん輪52とを周方向に相対移動させることで、アーム部51と重り用ねじ61とを周方向に相対移動させることが可能とされている。
従って、上記した凹部60及び連結ねじ56は、アーム部51と重り用ねじ61とを周方向に相対移動可能とさせる調整機構65として機能する。
(慣性モーメントの温度補正方法)
次に、上記したてんぷ40を利用した、慣性モーメントの温度補正方法について説明する。
本実施形態のてんぷ40によれば、温度変化が生じると、アーム部51及びてん輪52の熱膨張率の差異によって環状のてん輪52が楕円状、より詳細にはアーム部51の延在方向に沿って長軸又は短軸が向くように楕円状に変形する。これにより、てん輪52に固定された一対の重り用ねじ61を径方向の内側又は外側に向けて移動させることができ、その位置を径方向に変化させることができる。よって、てんぷ40全体の慣性モーメントを変化させることができ、その慣性モーメントの温度特性の傾きを変化させて、温度補正を行うことができる。
この際、調整機構65を構成する連結ねじ56を緩め、アーム部51とてん輪52とを周方向に相対移動させることで、アーム部51に対する重り用ねじ61の位置を周方向に移動させることができるので、てん輪52の変形に伴って径方向に位置が変化する重り用ねじ61の変化量を調整することが可能である。これにより、温度変化に対する慣性モーメントの変化率を調整でき、温度補正を精密に行うことができる。
上述した点をさらに詳細に説明する。
はじめに、重り用ねじ61の初期位置としては、例えば図6に示すように、アーム部51の延在方向に長軸が向いた状態でてん輪52が楕円形に変形した場合(仮想線Aに示す)と、アーム部51の延在方向に短軸が向いた状態でてん輪52が楕円形に変形した場合(仮想線Bに示す)と、を想定し、両変形時におけるてん輪52が交差する部分を初期位置とする。
なお、図6では、てん輪52の変形を強調して図示している。そのため、図示の例では、アーム部51の延在方向に沿った直線と、初期位置に配置された重り用ねじ61と軸線Oとを結んだ直線と、のなす角度θが略45度程度とされている。但し、この角度に限定されるものではない。また、図6以外の各図においても、重り用ねじ61が初期位置に位置している状態を一例として図示している。
そして、この状態のもと、例えば周囲環境温度が温度上昇した場合には、てん輪52よりもアーム部51の熱膨張率の方が大きいので、アーム部51がてん輪52を径方向の外側に向けて変形させる。これにより、アーム部51の延在方向に長軸が向いた状態でてん輪52を楕円形に変形(仮想線Aに示す)させることができる。
ここで、本実施形態のひげぜんまい41は、温度上昇に伴ってばね定数が低下し、てんぷ40の振動周期を大きくさせる傾向にあるので、これをキャンセルするために慣性モーメントを低下させる調整が必要とされる。そこで、連結ねじ56を緩めた後、アーム部51とてん輪52とを周方向に相対移動させることで、重り用ねじ61の位置を初期位置から図6に示す矢印C方向に(即ち、上記角度θが大きくなるように)移動させる。
これにより、てん輪52の変形に伴って重り用ねじ61を径方向の内側に向けて移動させることが可能となり、慣性モーメントを低下させることができる。この際、重り用ねじ61を初期位置から周方向にどの程度移動させたかで、てん輪52の変形に伴って径方向に位置が変化する重り用ねじ61の変化量を調整できるので、温度変化に対する慣性モーメントの変化率を調整でき、温度補正を精密に行うことができる。
特に、従来のチラねじを用いた方法とは異なり、アーム部51と重り用ねじ61とを周方向に制限を受けることなく自由に相対移動させることができるので、重り用ねじ61の径方向への変化量を無段階且つ連続的に調整できる。即ち、チラねじを固定するためのねじ孔が不要であるので、ねじ孔の間隔を慣性モーメントの調整精度の限界とすることがなくなり、温度補正の微調整を連続的に行うことができる。
その結果、温度変化に対する慣性モーメントの変化率についても無段階且つ連続的に調整でき、慣性モーメントの調整精度を向上することができる。よって、てんぷ40の振動周期の温度依存性を抑制でき、温度変化によって歩度が変化し難い、温度補償性能に優れたてんぷ40とすることができる。
しかも、従来のようにチラねじを一旦取り外し、別の取付け位置に取り付け直すといった付け替え作業が不要であるうえ、慣性モーメントの温度補正作業を連続的に行えるので、手間がかかり難く容易に行い易い。
また、重り用ねじ61を取り付け直す必要がないので、捩じ込み量の変化等に起因する取付け誤差による慣性モーメントのバラツキを抑制することができる。よって、慣性モーメントの変化率の調整管理を容易にし、調整作業に要する工数を低減することができる。同時に、重り用ねじ61を取り付け直す場合には、てんぷ40全体のバランスを調整し直す作業が必要であるが、この作業も不要になるので、簡便で連続的な温度補正を行える。
しかも、一対の重り用ねじ61は、軸線Oを挟んで径方向に向かい合うようにてん輪52に固定されているので、この点においてもてんぷ40の回動バランスが崩れ難い。また、一対の重り用ねじ61を同時に同方向且つ同量だけ周方向に移動できるので、温度補正作業を非常に簡便に行える。
加えて、特殊な特性ではなく、ばね定数が温度上昇に伴って小さくなる一般的な材料からなるひげぜんまい41を利用することができるので、てんぷ40としての汎用性を高めることができると共に低コスト化を図り易い。
更に、アーム部51とてん輪52とを周方向に相対移動させるだけの簡便な作業で、アーム部51と重り用ねじ61とを周方向に相対移動できるので、この点においても容易に温度補正作業を行うことができると共に、調整精度をより向上させ易い。また、凹部60及び連結ねじ56で調整機構65を構成できるので、構成の簡略化を図り易い。
また、本実施形態のムーブメント10によれば、慣性モーメントの調整精度が向上されて、温度補償性能が高い上記したてんぷ40を具備しているので、歩度の誤差の少ない高品質なムーブメント10とすることができる。
更に、このムーブメント10を具備する本実施形態の機械式時計1によれば、同様に歩度の誤差の少ない高品質な時計となる。
なお、上記第1実施形態では、てん輪52に形成された凹部60内に移動可能に係合する凸部を連結ねじ56としたが、この場合に限定されず、例えばアーム部51の対向壁部51bから径方向の外側に向けて突設され、凹部60内に移動可能に係合される突起部を凸部としても構わない。この場合には、例えば凹部60と突起部との接触抵抗等によって、アーム部51とてん輪52とが不意に回転することがないように構成することが好ましい。
また、凹部60をてん輪52ではなくアーム部51の対向壁部51bに形成し、凸部を対向壁部51bではなくてん輪52に形成しても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏効することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、アーム部51とてん輪52とが周方向に相対移動可能とされていたが、第2実施形態ではアーム部51とてん輪52とが一体的に連結されている。
(てんぷの構成)
図7に示すように、本実施形態のてんぷ(温度補償型てんぷ)70は、アーム部51の対向壁部51bとてん輪52とが連結ねじ71によって一体的に連結されている。また、てん輪52には、アーム部51との連結部分から周方向に離間した位置において、周方向に延びる凹部72が軸線Oを挟んで径方向に向かい合うように形成されている。
そして、てん輪52の内周面側には、各凹部72に対して移動可能に係合する係合片(凸部)73がそれぞれ配置されている。この係合片73は、図7及び図8に示すように、てん輪52の曲率に倣った平面視円弧状に形成された板片であり、周方向の中央部にはねじ孔73aが形成されている。また、この係合片73には、凹部72内に係合する係合突起73bが突設され、例えばねじ孔73aを間に挟むように周方向に間隔を開けて配置されている。
そして、重り用ねじ61がてん輪52の径方向の外側から、該てん輪52を挟むように凹部72を通じて係合片73のねじ孔73aに螺着されている。この際、係合片73には、上記係合突起73bが一対設けられているので、係合片73が共回りして回転することが規制されている。なお、本実施形態の場合では、上記した凹部72及び係合片73が調整機構74として機能する。
(慣性モーメントの温度補正方法)
このように構成された本実施形態のてんぷ70によれば、重り用ねじ61を緩めることで、係合片73を凹部72に沿って周方向に移動させることができ、これによりアーム部51と重り用ねじ61とを周方向に相対移動させることができる。従って、第1実施形態と同様に、簡便に慣性モーメントの温度補正作業を行うことができると共に、無段階且つ連続的に行えるので調整精度を向上させることができる。また、凹部72及び係合片73で調整機構74を構成できるので、やはり構成の簡略化を図ることができる。
なお、重り用ねじ61を周方向に移動させる場合には、軸線Oを挟んで径方向に常時向かい合うように、同方向に同量だけ移動させれば良い。
特に、本実施形態の場合には、てん輪52とアーム部51との連結部分に隙間等のガタツキがなく、両者を一体的に連結することができるので、てん真50とてん輪52とを同軸上により精度良く配置でき、てんぷ70の回動バランスを向上させ易い。
<第3実施形態>
次に、本発明に係る第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、てん輪52が一部品とされていたが、第3実施形態ではてん輪52が二部品によって形成されている。
(てんぷの構成)
図9に示すように、本実施形態のてんぷ(温度補償型てんぷ)80は、てん輪52が、アーム部51に取付けられる第1てん輪81と、重り用ねじ61が設けられると共に第1てん輪81に対して相対回転可能に取付けられる第2てん輪82と、で二重のリング状に構成されている。
第1てん輪81は、第2てん輪82よりも径方向の外側に配置されている。アーム部51は、第1てん輪81よりも径方向の外側に突出するように延びており、対向壁部51bが第1てん輪81の外周面側に対向配置されている。そして、対向壁部51bと第1てん輪81とは、対向壁部51bの径方向の外側から取付けられた連結ねじ83によって一体的に連結されている。
また、第1てん輪81には、アーム部51との連結部分から周方向に離間した位置において、周方向に延びる凹部84が軸線Oを挟んで径方向に向かい合うように形成されている。
そして、重り用ねじ61は、第1てん輪81の径方向の外側から、該第1てん輪81を挟むように凹部84を通じて第2てん輪82に螺着されている。この際、重り用ねじ61は、軸線Oを挟んで径方向に向かい合うように第2てん輪82に固定されている。
なお、本実施形態の場合には、第1てん輪81及び第2てん輪82が調整機構85としても機能する。
(慣性モーメントの温度補正方法)
このように構成された本実施形態のてんぷ80によれば、重り用ねじ61を緩めた後、第1てん輪81と第2てん輪82とを相対回転させるだけの簡便な作業で、第2てん輪82に固定されている重り用ねじ61を周方向に移動させることができ、これにより重り用ねじ61とアーム部51とを周方向に相対移動させることができる。従って、簡便に慣性モーメントの温度補正作業を行うことができると共に、無段階且つ連続的に行えるので調整精度を向上させることができる。
また、重り用ねじ61の締め付けによって、第1てん輪81と第2てん輪82との相対回転を容易に規制及び解除できるので、この点においても簡便に温度補正作業を行える。また、本実施形態の場合であっても、上記した第2実施形態のように、第1てん輪81とアーム部51との連結部分に隙間等のガタツキがなく、両者を一体的に連結することができるので、てん真50とてん輪52とを同軸上により精度良く配置でき、てんぷ80の回動バランスを向上させ易い。
更に、重り用ねじ61は、軸線Oを挟んで径方向に向かい合うように第2てん輪82に固定されているので、この点においてもてんぷ80の回動バランスが崩れ難い。しかも、一対の重り用ねじ61を同時に同方向且つ同量だけ周方向に移動できるので、温度補正を非常に簡便に行える。
<第4実施形態>
次に、本発明に係る第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第3実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第3実施形態では、第1てん輪81が第2てん輪82よりも径方向の外側に配置されていたが、第4実施形態では、第2てん輪82が第1てん輪81よりも径方向の外側に配置されている。
(てんぷの構成)
図10及び図11に示すように、本実施形態のてんぷ(温度補償型てんぷ)90は、第1てん輪81が第2てん輪82よりも径方向の内側に配置されており、アーム部51の下側から取付けられた連結ねじ91によって該アーム部51における径方向の両端部に一体的に連結されている。なお、アーム部51は、第1てん輪81よりも径方向の外側に向けて突出しており、第2てん輪82を下方から支持している。
また、第1てん輪81には、径方向の外側に向かって突出し、且つ下方に突出した第1爪部81aが全周に亘って環状に形成されている。これに対して、第2てん輪82には、径方向の内側に向かって突出し、且つ上方に突出した第2爪部82aが全周に亘って環状に形成されている。そして、第1てん輪81と第2てん輪82とは、第1爪部81a及び第2爪部82aを互いに係合させた状態で相対回転可能とされている。
また、重り用ねじ61は、図10〜図12に示すように、軸線Oを挟んで径方向に向かい合うように第2てん輪82に固定されていると共に、第2てん輪82を第1てん輪81との間で挟持している。
(慣性モーメントの温度補正方法)
このように構成された本実施形態のてんぷ90によれば、重り用ねじ61を緩めた後、第1てん輪81と第2てん輪82とを相対回転させるだけの簡便な作業で、第2てん輪82に固定されている重り用ねじ61を周方向に移動させることができ、これにより重り用ねじ61とアーム部51とを周方向に相対移動させることができる。
従って、第3実施形態と同様に、簡便に慣性モーメントの温度補正作業を行うことができると共に、無段階且つ連続的に行えるので調整精度を向上させることができる。
特に、第1てん輪81と第2てん輪82とが、第1爪部81a及び第2爪部82aを介して互いに全周に亘って係合し合っているので、第1てん輪81と第2てん輪82とを同調させながら変形させ易い。
また、本実施形態の場合であっても、重り用ねじ61の締め付けによって、第1てん輪81と第2てん輪82との相対回転を容易に規制及び解除できるので、この点においても簡便に温度補正作業を行える。
また、本実施形態の場合であっても、第1てん輪81とアーム部51とを一体的に連結することができるので、てん真50とてん輪52とを同軸上により精度良く配置でき、てんぷ90の回動バランスを向上させ易い。更に、重り用ねじ61は、軸線Oを挟んで径方向に向かい合うように第2てん輪82に固定されているので、この点においてもてんぷ90の回動バランスが崩れ難い。
しかも、一対の重り用ねじ61を同時に同方向且つ同量だけ周方向に移動できるので、温度補正を非常に簡便に行える。なお、本実施形態の場合には、重り用ねじ61を軸線O回りに360度自由に回転させることが可能である。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態では、てん輪52よりもアーム部51の熱膨張率の方が大きい場合を例にしたが、その逆でも構わない。この場合には、例えば温度上昇に伴ってばね定数が高くなる材料で形成されたひげぜんまい41を組み合わせて使用すれば良い。
O…軸線
1…機械式時計
10…ムーブメント(時計用ムーブメント)
22…香箱車
30…脱進機構
40、70、80、90…てんぷ(温度補償型てんぷ)
41…ひげぜんまい(てんぷばね)
50…てん真
51…アーム部
52…てん輪
56…連結ねじ(凸部)
60、72…凹部
61…重り用ねじ(重量部)
65、74、85…調整機構
73…係合片(凸部)
81…第1てん輪
82…第2てん輪

Claims (10)

  1. 軸中心に回動するてん真と、
    前記てん真の径方向に沿って延びるアーム部を介して前記てん真に取り付けられ、該アーム部の熱膨張率とは異なる熱膨張率を有する環状のてん輪と、
    前記てん輪に設けられた重量部と、
    前記アーム部と前記重量部とを、前記てん真の周方向に相対移動可能とさせる調整機構と、を備えていることを特徴とする温度補償型てんぷ。
  2. 請求項1に記載の温度補償型てんぷにおいて、
    前記アーム部は、前記てん輪よりも熱膨張率が大きいことを特徴とする温度補償型てんぷ。
  3. 請求項1又は2に記載の温度補償型てんぷにおいて、
    前記調整機構は、
    前記アーム部及び前記てん輪のうちの一方に設けられた凸部と、
    前記アーム部及び前記てん輪のうちの他方に設けられ、前記周方向に沿って延びる凹部と、を備え、
    前記凸部が前記凹部に対して移動可能に係合することで、前記アーム部と前記重量部との前記周方向への相対移動を可能とさせていることを特徴とする温度補償型てんぷ。
  4. 請求項1又は2に記載の温度補償型てんぷにおいて、
    前記調整機構は、
    前記てん輪に形成され、周方向に沿って延びる凹部と、
    前記凹部に対して移動可能に係合する凸部と、を備え、
    前記重量部は、前記凸部に対して固定されていることを特徴とする温度補償型てんぷ。
  5. 請求項1又は2に記載の温度補償型てんぷにおいて、
    前記てん輪は、
    前記アーム部に取り付けられる第1てん輪と、
    前記重量部が設けられると共に、前記第1てん輪に対して相対回転可能に取り付けられる第2てん輪と、を備え、
    前記調整機構は、
    前記第1てん輪と前記第2てん輪とを相対回転させることで、前記アーム部と前記重量部との前記周方向への相対移動を可能とさせていることを特徴とする温度補償型てんぷ。
  6. 請求項5に記載の温度補償型てんぷにおいて、
    前記第1てん輪は、前記第2てん輪よりも径方向の外側に配置され、
    前記第1てん輪には、周方向に沿って延びる凹部が形成され、
    前記重量部は、前記第1てん輪の径方向の外側から前記凹部を通じて前記第2てん輪に固定されるねじ部材とされていることを特徴とする温度補償型てんぷ。
  7. 請求項5に記載の温度補償型てんぷにおいて、
    前記第1てん輪は、前記第2てん輪よりも径方向の内側に配置され、
    前記重量部は、前記第2てん輪に固定されると共に、前記第1てん輪を径方向の外側から押圧するねじ部材とされていることを特徴とする温度補償型てんぷ。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の温度補償型てんぷにおいて、
    前記てん輪に対して、該てん輪が一定の振動周期で回動するための動力を伝えるてんぷばね備え、
    前記てんぷばねは、ばね定数が温度上昇に伴って小さくなる材料で形成されていることを特徴とする温度補償型てんぷ。
  9. 動力源を有する香箱車と、
    前記香箱車の回転力を伝達する輪列と、
    前記輪列の回転を制御する脱進機構と、
    前記脱進機構を調速する請求項1に記載の温度補償型てんぷと、を備えることを特徴とする時計用ムーブメント。
  10. 請求項9に記載の時計用ムーブメントを備えることを特徴とする機械式時計。
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