JP2013170880A - X線分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高効率のX線分析を行うことができるX線分析装置を提供する。
【解決手段】X線分析装置1は、X線源10、スリット20、集光部30、保持部40、検出部50、走査部60、シンチレータ70、撮像部80および制御部90を備え、保持部40により保持された試料Sの含有成分を分析する。集光部30は、X線源10から出力されスリット20の開口を通過してX線入射端に入射されたX線をX線出射端から出射して、x方向に長くy方向に短い線状に集光する。試料Sが線状のものである場合、集光部30のX線出射端から出射されるX線が線状に集光される際の長手方向(x方向)が試料Sの長手方向と一致するように、保持部40は試料Sを保持する。
【選択図】図1
【解決手段】X線分析装置1は、X線源10、スリット20、集光部30、保持部40、検出部50、走査部60、シンチレータ70、撮像部80および制御部90を備え、保持部40により保持された試料Sの含有成分を分析する。集光部30は、X線源10から出力されスリット20の開口を通過してX線入射端に入射されたX線をX線出射端から出射して、x方向に長くy方向に短い線状に集光する。試料Sが線状のものである場合、集光部30のX線出射端から出射されるX線が線状に集光される際の長手方向(x方向)が試料Sの長手方向と一致するように、保持部40は試料Sを保持する。
【選択図】図1
Description
本発明は、X線分析装置に関するものである。
試料に対してX線を照射した際に該試料で発生する蛍光X線を検出することで、該試料の含有成分を分析することができる(特許文献1,2を参照)。高効率のX線分析を行うためには、X線源から出力されるX線を試料の狭い領域に集光する必要がある。
しかしながら、従来のX線分析装置では、高効率のX線分析を行うことができない。特許文献2に開示されたX線分析装置は、X線源から出力されたX線をマルチコリメータにより試料の微小領域に照射するものであるが、X線利用効率が悪い。本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、高効率のX線分析を行うことができるX線分析装置を提供することを目的とする。
本発明のX線分析装置は、(1) X線を出力するX線源と、(2) 空間を挟んで互いに対向する第1平面および第2平面を有し、第1平面と第2平面との間隔がX線入射端と比べてX線出射端において等しいか又は狭く、X線源から出力されてX線入射端に入射されたX線を第1平面と第2平面との間を経てX線出射端から出射して、そのX線を線状に集光する集光部と、(3) 集光部のX線出射端から出射されて線状に集光されたX線が試料に照射された際に該試料で発生するX線を検出する検出部と、(4) 検出部による検出結果に基づいて試料の含有成分を分析する分析部と、を備えることを特徴とする。
本発明のX線分析装置は、試料を保持する保持部を更に備えるのが好適である。本発明のX線分析装置は、試料におけるX線照射位置を走査する走査部を更に備えるのが好適である。本発明のX線分析装置は、試料が線状のものであって、集光部のX線出射端から出射されるX線が線状に集光される際の長手方向が試料の長手方向と一致し、走査部が試料におけるX線照射位置を長手方向に走査するのが好適である。また、本発明のX線分析装置は、X線入射によりシンチレーション光を発生させるシンチレータと、シンチレータで発生したシンチレーション光を撮像する撮像部と、撮像部による撮像結果に基づいて試料の位置を調整する調整部と、を更に備えるのも好適である。
本発明のX線分析方法は、上記の本発明のX線分析装置を用いて試料としての毛髪の含有成分を分析することを特徴とする。本発明のX線分析方法は、試料としての毛髪の長手方向に沿った含有成分の量の分布を測定するのが好適であり、特に、試料としての毛髪の長手方向に沿ったカルシウム含有量の分布を測定するのが好適である。
本発明によれば、高効率のX線分析を行うことができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図には説明の便宜の為にxyz直交座標系が示されている。
図1は、本実施形態のX線分析装置1の構成を示す図である。X線分析装置1は、X線源10、スリット20、集光部30、保持部40、検出部50、走査部60、シンチレータ70、撮像部80および制御部90を備え、保持部40により保持された試料Sの含有成分を分析することができる。
X線源10は、z方向にX線を出力する。X線源10は、数keV以上のエネルギーを有するX線を出力するのが好ましい。また、X線源10は、ターゲット上の微小領域でX線を発生させるマイクロフォーカスX線源であるのが好ましい。
スリット20は、X線源10から出力されるX線の光軸上に設けられ、x方向幅よりy方向幅が長い開口を有する。スリット20は、X線源10から出力されたX線のうち開口に到達したX線を選択的に通過させることができる。スリット20は、通過するX線ビームの幅をx方向について制限することができる。
集光部30は、X線源10から出力されスリット20の開口を通過してX線入射端に入射されたX線をX線出射端から出射して、x方向に長くy方向に短い線状に集光する。
保持部40は試料Sを保持する。試料Sは、任意の形状のものであってよいが、毛髪等の線状のものであってもよい。試料Sが線状のものである場合、集光部30のX線出射端から出射されるX線が線状に集光される際の長手方向(x方向)が試料Sの長手方向と一致するように、保持部40は試料Sを保持する。試料Sが線状のものである場合、保持部40は試料Sを保持する際の位置決めをする為にV溝を有するのが好ましい。
検出部50は、集光部30のX線出射端から出射されて線状に集光されたX線が試料Sに照射された際に該試料Sで発生するX線を検出する。検出部50としてX線エネルギー分析器が用いられ得る。
走査部60は、試料SにおけるX線照射位置を走査する。試料Sが線状のものである場合、走査部60は、試料SにおけるX線照射位置を長手方向(x方向)に走査する。走査部60としてXYZステージが用いられ得る。
シンチレータ70は、X線入射によりシンチレーション光を発生させる。シンチレータ70は、集光部30のX線出射端から出射されるX線が到達する位置に挿入され、また、該X線が到達しない位置に待避され得る。撮像部80は、シンチレータ70で発生したシンチレーション光を撮像する。撮像部80としてCCDカメラが用いられ得る。
制御部90は、X線源10によるX線出力を制御し、走査部60による試料SにおけるX線照射位置の走査を制御し、検出部50による検出結果を取得し、撮像部80による撮像結果を取得する。制御部90は、検出部50による検出結果に基づいて試料Sの含有成分を分析する分析部として作用する。また、制御部90は、撮像部80による撮像結果に基づいて走査部60を制御して試料Sの位置を調整する調整部としても作用し、集光部30のX線出射端から出射されるX線が試料Sに照射されるようにする。制御部90としてパーソナルコンピュータが用いられ得る。
図2は、集光部30の全体構成を示す図である。図3は、集光部30の要部構成を示す図である。集光部30は、各々矩形平板形状を有する第1反射部材31、第2反射部材32、第1支持部材33および第2支持部材34を含む。第1反射部材31は、第1支持部材33のx方向幅より狭いx方向幅を有し、第1支持部材33のx方向中心部に固定されている。第2反射部材32は、第2支持部材34のx方向幅より狭いx方向幅を有し、第2支持部材34のx方向中心部に固定されている。第1反射部材31の第1平面31Aと第2反射部材32の第2平面32Aとは、空間を挟んで互いに対向している。
第1支持部材33および第2支持部材34は、4隅においてスプリング35により互いに接続され、また、4隅にマニピュレータ36が設けられている。集光部30のX線入射端における第1平面31Aと第2平面32Aとの間隔w1、および、集光部30のX線出射端における第1平面31Aと第2平面32Aとの間隔w2は、これらスプリング35およびマニピュレータ36により調整される。第1平面31Aおよび第2平面32Aそれぞれのz方向の長さをLとすると、X線入射端における間隔w1,X線出射端における間隔w2およびz方向長さLは、以下の関係式を満たすのが好ましい。
w1≧w2
w1/2L<0.01
w1≧w2
w1/2L<0.01
第1反射部材31および第2反射部材32それぞれは、ガラス板であってもよいし、表面が金属コーティングされたガラス板であってもよい。また、第1反射部材31および第2反射部材32それぞれは、第1平面31Aおよび第2平面32Aが滑らかであれば、金属板、半導体板、又は金属コーティングされたプラスチック板であってもよい。
図4は、集光部30の作用を説明する図である。X線源10から出力されて集光部30のX線入射端に入射されたX線の一部(xz平面に略平行に進むX線)は、第1平面31Aおよび第2平面32Aの何れにも当たることなく、第1平面31Aと第2平面32Aとの間の空間を通過して、X線出射端から出射され試料Sに照射される。X線入射端に入射されたX線のうち第1平面31Aまたは第2平面32Aに浅い角度で入射したX線は、第1平面31Aまたは第2平面32Aで全反射されて、X線出射端から出射され試料Sに照射される。集光部30のX線出射端から出射されたX線は線状に集光される。したがって、本実施形態のX線分析装置1は、高効率のX線分析を行うことができる。
集光部30によるX線集光の効率について実験を行ったところ以下のような結果が得られた。ここで用いたX線源10は、クロム(Cr)からなるターゲットを有し、ターゲット電圧10kVおよびターゲット電流200μAの条件とした。集光部30として2つのタイプA,Bを用いた。タイプA,Bの何れの集光部30も、X線入射端における間隔w1が200μmであり、X線出射端における間隔w2が100μmであり、z方向長さLが30mmであった。集光部30のX線出射端から出射されたX線を蛍光体(LYSO)に照射し、この蛍光体で発生した蛍光の強度を測定した。
タイプAの集光部30は、第1反射部材31および第2反射部材32の何れもガラス板からなり、第1平面31Aおよび第2平面32Aの何れもコーティング無しであった。タイプBの集光部30は、第1反射部材31および第2反射部材32の何れもガラス板からなり、第1平面31Aおよび第2平面32Aの何れも金(Au)でコーティングされたものであった。集光部30を用いた場合のX線照射量は、集光部30を用いない場合の同じ照射位置でのX線照射量に対して、タイプAでは1.52倍であり、タイプBでは3.46倍であった。
図5は、集光部30のX線出射端から出射されて線状に集光されたX線の強度分布の一例を示す図である。この例では、X線はx方向長さ2mmでy方向幅0.1mmの線状領域に集光されている。
図6は、本実施形態のX線分析装置1を用いて試料Sとしての毛髪の含有成分の分析を行って得られた結果を示すグラフである。図5に示されるように線状に集光されたX線が毛髪に照射されると、毛髪の長さ2mmの領域から蛍光X線が発せられる。その蛍光X線が検出部50により検出されて該蛍光X線のエネルギー分布(毛髪測定データ)が得られ、制御部90により毛髪の含有元素が分析された。
図6には、毛髪測定データ及びバックグラウンドデータが示されている。バックグラウンドデータは、試料Sが無い場合に検出部50により検出された蛍光X線のエネルギー分布である。バックグラウンドデータと対比して判るように、毛髪測定データでは、燐(P)、硫黄(S)、塩素(Cl)およびカルシウム(Ca)それぞれの蛍光X線が毛髪由来のものとして現れている。なお、アルゴン(Ar)の蛍光X線は空気中のArガスに由来し、クロム(Cr)の蛍光X線はX線源10のターゲット材に由来する。
ところで、毛髪は血液中のミネラル成分を吸収しながら伸びていく。また、血液中のミネラル量は、摂取量や体調により日々変化し、疾病と大きく関係していると言われている。したがって、毛髪の長手方向に沿った元素含有量の分布を測定することができれば、疾病の予兆を検知することができる。
本実施形態のX線分析装置1は、走査部60により毛髪におけるX線照射位置を長手方向(x方向)に走査することにより、毛髪の毛根から毛先までの長手方向に沿った元素含有量の分布を測定することができるので、日々の血中ミネラル濃度の変化を検出することができ、疾病の予兆の検知に貢献し得ると期待される。
特に、血中カルシウム濃度は、様々な疾病(癌、アルツハイマー病、糖尿病、動脈硬化、腎臓結石および白内障等の所謂Caパラドックス病)の発症と関係があるとされている。したがって、本実施形態のX線分析装置1は、毛髪の毛根から毛先までの長手方向に沿ったカルシウム含有量の分布を測定して、日々の血中カルシウム濃度の変化を検出することで、これらの疾病の予兆の検知に貢献し得ると期待される。
また、本実施形態のX線分析装置1による毛髪の含有成分分析は、血液,尿,生体組織等と比べて毛髪のサンプル採取が容易である点でも優位性を有し、また、有害金属の検査においても有用性が高い。
従来では毛髪の含有成分の分析にはICP発光分析装置が用いられていた。しかし、ICP発光分析装置は数百mgの毛髪の平均的な含有成分の分析しかできない。Spring-8等の高強度のX線源を用いれば、1本の毛髪を試料として含有成分の分析をすることができると考えられるが、この場合には構成が大型で高価なものとなる。これに対して、本実施形態のX線分析装置1は、簡易かつ安価な構成で、1本の毛髪を試料として含有成分の分析をすることができ、しかも、1本の毛髪の長手方向に沿った含有成分の量の分布を測定することができる。
1…X線分析装置、10…X線源、20…スリット、30…集光部、31…第1反射部材、31A…第1平面、32…第2反射部材、32A…第2平面、40…保持部、50…検出部、60…走査部、70…シンチレータ、80…撮像部、90…制御部、S…試料。
Claims (8)
- X線を出力するX線源と、
空間を挟んで互いに対向する第1平面および第2平面を有し、前記第1平面と前記第2平面との間隔がX線入射端と比べてX線出射端において等しいか又は狭く、前記X線源から出力されて前記X線入射端に入射されたX線を前記第1平面と前記第2平面との間を経て前記X線出射端から出射して、そのX線を線状に集光する集光部と、
前記集光部の前記X線出射端から出射されて線状に集光されたX線が試料に照射された際に該試料で発生するX線を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて前記試料の含有成分を分析する分析部と、
を備えることを特徴とするX線分析装置。 - 前記試料を保持する保持部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。
- 前記試料におけるX線照射位置を走査する走査部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。
- 前記試料が線状のものであって、前記集光部の前記X線出射端から出射されるX線が線状に集光される際の長手方向が前記試料の長手方向と一致し、前記走査部が前記試料におけるX線照射位置を長手方向に走査する、ことを特徴とする請求項3に記載のX線分析装置。
- X線入射によりシンチレーション光を発生させるシンチレータと、
前記シンチレータで発生したシンチレーション光を撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像結果に基づいて前記試料の位置を調整する調整部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載のX線分析装置を用いて前記試料としての毛髪の含有成分を分析することを特徴とするX線分析方法。
- 前記試料としての毛髪の長手方向に沿った含有成分の量の分布を測定することを特徴とする請求項6に記載のX線分析方法。
- 前記試料としての毛髪の長手方向に沿ったカルシウム含有量の分布を測定することを特徴とする請求項7に記載のX線分析方法。
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2012
- 2012-02-20 JP JP2012034030A patent/JP2013170880A/ja active Pending
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