JP2013169761A - ノズル面清掃装置および画像記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズル面を所望のワイピングをすることで、吐出安定性の向上、ノズル面の劣化を防止する。
【解決手段】液滴吐出ヘッド32のノズル面33を清掃するノズル面清掃装置80において、吸収性を有する払拭部材112を走行させる払拭部材走行手段110と、払拭部材112に洗浄液を付与する洗浄液付与手段142と、払拭部材112に対する光の反射量を検知する検知手段153と、払拭部材112を挟んで、検知手段153と対向する位置に設けられた反射防止部材154と、洗浄液が付与された払拭部材112を押圧当接させ、払拭部材112で払拭する押圧手段122と、を備えるノズル面清掃装置80および画像記録装置である。
【選択図】図5

Description

本発明は、ノズル面清掃装置および画像記録装置に係り、特に、洗浄液が付与されたワイピングシートをノズル面に当接させて、ノズル面を払拭するノズル面払拭装置および画像記録装置に関する。
画像記録装置、例えば、インクジェット記録装置で用いられるインクジェットヘッドのノズル面には、使用によりインクの残渣、紙粉などのさまざまな異物が付着する。ノズル面に異物が付着していると、ノズルから吐出されるインク液滴が影響を受けてインク液滴の吐出方向にバラツキが生じ、記録媒体上の所定の位置にインク液滴を着弾させることが困難となり、画像品質が劣化する原因となる。そこで、インクジェット記録装置では、異物を定期的にワイピングなどのメンテナンス方法で除去することが重要となっている。
例えば下記の特許文献1には、ワイピングシートによりノズル面のクリーニングを行なうワイピングユニットにおいて、洗浄液を含浸させた状態でノズル面を払拭するウエットワイピングを行なう動作と、乾燥状態で払拭するドライワイピングを行なう動作を順次実行することが記載されている。
特開2005−22251号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているワイピングユニットでは、ワイピングシートに洗浄液が塗布されたことを確認する手段については特に記載されておらず、また、乾燥状態になっていることを確認する手段も記載されていない。洗浄液が塗布されたことを確認する手段がない場合、ウエットワイピングを実行しているにも関わらず、トラブルにより洗浄液が塗布されていない場合は、実質的にドライワイピングの状態となり、所望のクリーニングを実行することができていなかった。そのため、ノズル面に汚れが堆積することに起因する不吐出、ノズル内部のメニスカス破壊に起因する吐出方向性劣化、ノズル面の撥液膜の損傷、という問題が生じる可能性があった。
また、乾燥状態を確認する手段がない場合についても、洗浄液の拭き残りが発生し、吐出不良を引き起こす可能性があった。また、ウエットワイピング後に確実にドライワイピングを行なう方法として、十分な量のワイピングシートを空送りすることもできるが、必要以上のワイピングシートを使用することになるため、コストが大きくなるという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、確実にワイピングシートに洗浄液が付与された状態でノズル面の払拭を行なうことができるノズル面清掃装置および画像記録装置を提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、液滴吐出ヘッドのノズル面を清掃するノズル面清掃装置において、吸収性を有する払拭部材を走行させる払拭部材走行手段と、払拭部材に洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、払拭部材に対する光の反射量を検知する検知手段と、払拭部材を挟んで、検知手段と対向する位置に設けられた反射防止部材と、洗浄液が付与された払拭部材を押圧当接させ、払拭部材で払拭する押圧手段と、を備えるノズル面清掃装置を提供する。
本発明によれば、払拭部材に対する光の反射量を検知する検知手段を備えているので、ノズル面を清掃する払拭部材に洗浄液が付与されていることを検知することができる。また、払拭部材を挟んで、検知手段と対向する位置に反射防止部材を備えているので、払拭部材を通過した光が検出手段に反射することを防止することができ、検出手段の誤検知を防止することができる。
本発明の他の態様に係るノズル面清掃装置は、検知手段は、払拭部材の搬送方向と直交する幅方向の少なくとも両端に設けられていることが好ましい。
本発明の他の態様に係るノズル面清掃装置は、検知手段は、払拭部材の走行方向と直交する幅方向に複数並べられて配置されている事が好ましい。
本発明の他の態様に係るノズル面清掃装置によれば、検知手段を払拭部材の走行方向と直交する幅方向の両端に、または、複数並べられて設けられているので、払拭部材への洗浄液の付与をより確実に検知することができる。
本発明の他の態様に係るノズル面清掃装置は、反射防止部材は黒色の部材であることが好ましい。
本発明の他の態様に係るノズル面清掃装置によれば、反射防止部材を黒色の部材とすることで、払拭部材を通過した光を吸収することができるので、誤検知を防止することができる。
本発明の他の態様に係るノズル面清掃装置は、押圧手段による払拭後の払拭部材に対する光の反射量を検知する汚れ検知手段と、を備えることが好ましい。
本発明の他の態様に係るノズル面清掃装置によれば、払拭後の払拭部材に対する光の反射量を検知する汚れ検知手段を設けているので、払拭後の払拭部材への光の反射量により汚れを検知することができるので、払拭部材により汚れを払拭することができたか検知することができる。
本発明の他の態様に係るノズル面清掃装置は、払拭部材走行手段は、逆方向に搬送可能であることが好ましい。
本発明の他の態様に係るノズル面清掃装置によれば、払拭部材走行手段を逆方向にも搬送可能としているので、払拭後の払拭部材を逆方向に搬送することで、検知手段により払拭後の払拭部材の汚れを検知することができる。したがって、装置構成を簡略化することができる。
本発明の他の態様に係るノズル面清掃装置は、検知手段は、払拭部材が搬送経路上を通過しているか検知する搬送異常検知手段を兼ねることが好ましい。
本発明の他の態様に係るノズル面清掃装置によれば、払拭部材が搬送経路から外れ、検出手段の下を通過していない場合は、光の反射量が減少するため、払拭部材が搬送経路上を通過しているか検知する搬送異常検知手段として用いることができる。
本発明の他の態様に係るノズル面清掃装置は、検知手段は、払拭部材が弛むことなく搬送しているか検知する搬送動作不良検知手段を兼ねることが好ましい。
本発明の他の態様に係るノズル面清掃装置によれば、搬送状態の払拭部材が弛むことにより、払拭部材と検知手段との距離が長くなり、反射量に変化が生じるため、払拭部材の弛みを検知する搬送動作不良検知手段として用いることができる。
本発明は前記目的を達成するために、記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される記録媒体に液滴を吐出して画像を記録する液滴吐出ヘッドと、液滴吐出ヘッドのノズル面を清掃する請求項1から8のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置と、を備える画像記録装置を提供する。
本発明によれば、ノズル面清掃装置を備えているので、吐出安定性を高めることができる。また、払拭部材に洗浄液を付与した状態で、ノズル面の払拭を確実に行なうことができるので、ノズル面を傷付けることを防止することができる。
本発明のノズル面清掃装置および画像記録装置によれば、払拭部材に洗浄液が付与されていることを確認した後、ノズル面の払拭を行なっているので、ノズル面を確実にウエットワイピングすることができる。したがって、所望のワイピングをすることができるので、ノズル面の清掃を確実に行なうことができる。
インクジェット記録装置の要部の構成を示す正面図である。 インクジェット記録装置の要部の構成を示す平面図である。 インクジェット記録装置の要部の構成を示す側面図である。 ヘッドのノズル面の平面透視図である。 ノズル面清掃装置の概略構成を示す模式図である。 払拭ウェブを光学センサにより測定した反射量のグラフである。 洗浄液付与部の平面図である。 ノズル面払拭装置の変形例を示す模式図である。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、下記では、画像記録装置の一例としてインクジェット記録装置について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<インクジェット記録装置の装置構成>
図1〜図3は、本実施の形態のインクジェット記録装置の要部の構成を示す正面図、平面図、側面図である。
同図に示すように、このインクジェット記録装置10は、シングルパス方式のラインプリンタであり、主として、記録媒体である用紙(枚葉紙)Pを搬送する用紙搬送機構20と、用紙搬送機構20によって搬送される用紙Pに向けてシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色インク滴を吐出するヘッドユニット30と、ヘッドユニット30に装着された各ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスユニット40と、ヘッドユニット30に装着された各ヘッドのノズル面を清掃するノズル面清掃装置80とで構成される。
用紙搬送機構20は、ベルト搬送機構で構成され、走行するベルト22に用紙Pを吸着させて、用紙Pを水平に搬送する。
ヘッドユニット30は、主として、シアンのインク滴を吐出するヘッド32Cと、マゼンタのインク滴を吐出するヘッド32Mと、イエロのインク滴を吐出するヘッド32Yと、クロのインク滴を吐出するヘッド32Kと、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kが取り付けられるヘッド支持フレーム34と、ヘッド支持フレーム34を移動させるヘッド支持フレーム移動機構(不図示)とで構成される。
ヘッド(インクジェットヘッド)32C、32M、32Y、32Kは、印刷対象とする用紙Pの最大用紙幅に対応したラインヘッドで構成される。なお、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kの構成は同じなので、以下においては、特に区別する場合を除いて、ヘッド32と記載する。
ヘッド32(32C、32M、32Y、32K)は、矩形のブロック状に形成され、その底部にノズル面33(33C、33M、33Y、33K)が形成される。
図4は、ヘッドのノズル面の平面透視図である。
ノズル面33は、長方形状に形成され、その長手方向に沿ってノズル列が形成される。本実施の形態のヘッド32は、いわゆるマトリックスヘッドで構成され、ノズルNは、二次元マトリクス状に配置される。マトリックスヘッドでは、ヘッド32の長手方向に投影される実質的なノズルNの間隔を狭めることができ、ノズルNの高密度化を図ることができる。
また、本実施の形態のヘッド32は、いわゆるピエゾ方式でノズルNからインクの液滴を吐出させる。各ノズルNは、それぞれ圧力室に連通されており、この圧力室の壁面をピエゾ素子で振動させることにより、ノズルNからインクの液滴が吐出される。なお、インクの吐出方式は、これに限らずサーマル方式で吐出させる構成とすることもできる。
ヘッド支持フレーム34は、各ヘッド32を取り付けるためのヘッド取付部(不図示)を備えている。各ヘッド32は、このヘッド取付部に着脱自在に取り付けられる。
ヘッド支持フレーム34に取り付けられた各ヘッド32は、用紙Pの搬送方向に対して直交して配置される。また、用紙Pの搬送方向に沿って所定の順で一定の間隔をもって配置される(本例では、シアン、マゼンタ、イエロ、クロの順で配置される。)。
また、ヘッド取付部は、ヘッド支持フレーム34に昇降自在に設けられており、図示しない昇降機構によって昇降する。ヘッド取付部に取り付けられた各ヘッド32は、この昇降機構によって、用紙Pの搬送面に対して垂直に昇降する。
ヘッド支持フレーム移動機構は、用紙搬送機構20の上方位置でヘッド支持フレーム34を用紙Pの搬送方向に対して直交する方向に水平にスライド移動させる。
このヘッド支持フレーム移動機構は、例えば、用紙搬送機構20を跨いで水平に設置される天井フレームと、その天井フレームに敷設されるガイドレールと、ガイドレール上をスライド移動する走行体と、その走行体をガイドレールに沿って移動させる駆動手段(例えば、送りねじ機構など)で構成される。ヘッド支持フレーム34は、走行体に取り付けられて、水平にスライド移動する。
ヘッド支持フレーム34は、このヘッド支持フレーム移動機構に駆動されて、所定の「画像記録位置」と「メンテナンス位置」との間を移動可能に設けられる。
ヘッド支持フレーム34は、画像記録位置に位置すると、用紙搬送機構20の上方に配置される。これにより、用紙搬送機構20によって搬送される用紙Pに対して印刷可能になる。
一方、メンテナンス位置に位置すると、メンテナンスユニット40の設置位置に配置される。
メンテナンスユニット40には、各ヘッド32のノズル面33を覆うキャップ42(42C、42M、42Y、42K)が備えられる。装置を長時間停止する場合などは、このメンテナンスユニット40の設置位置(メンテナンス位置)にヘッド32を移動させ、ノズル面33をキャップ42で覆う。これにより、乾燥による不吐出が防止される。
このキャップ42には、ノズル内を加圧・吸引するための加圧・吸引機構(不図示)、及び、キャップ42内に洗浄液を供給するための洗浄液供給機構(不図示)が備えられる。また、キャップ42の下方位置には廃液トレイ44が配置される。キャップ42に供給された洗浄液は、この廃液トレイ44に廃棄され、廃液トレイ44から廃液回収配管46を介して廃液タンク48に回収される。
ノズル面清掃装置80は、ヘッド用洗浄液付与装置81とノズル面払拭装置83からなり、用紙搬送機構20とメンテナンスユニット40との間に配置される。ノズル面清掃装置80は、ヘッド支持フレーム34が、画像記録位置からメンテナンス位置に移動する際に、ヘッド用洗浄液付与装置81からヘッド32のノズル面33に洗浄液を付与し、かつ、ノズル面払拭装置83により、洗浄液が付与された払拭ウェブ(「払拭部材」に相当)でヘッド32のノズル面33を払拭することで、ノズル面33を清掃する。
<ノズル面清掃装置の装置構成>
図5は、ノズル面清掃装置80の概略構成を示す模式図である。ノズル面清掃装置80は、ヘッド用洗浄液付与装置81とノズル面払拭装置83からなる。ヘッド用洗浄液付与装置81は、洗浄液をヘッド32C、32M、32Y、32Kのノズル面33C、33M、33Y、33Kに付与するヘッド用洗浄液供給ノズル84C、84M、84Y、84Kと、洗浄液が保持される洗浄液保持面85C、85M、85Y、85Kを有する。ヘッド用洗浄液供給ノズル84C、84M、84Y、84K、洗浄液保持面85C、85M、85Y、85Kは、ヘッドの設置間隔に合わせて、洗浄液付与装置本体86に設置される。なお、各ヘッド用洗浄液供給ノズル84C、84M、84Y、84K、各洗浄液保持面85C、85M、85Y、85Kの構成は同じなので、以下、ヘッド用洗浄液供給ノズル84、洗浄液保持面85として、その構成を説明する。
洗浄液保持面85にヘッド用洗浄液供給ノズル84から供給された洗浄液を保持する。洗浄液が保持された洗浄液保持面85上を、ヘッド32を移動させることで、洗浄液保持面85とノズル面33との間の洗浄液が、ノズル面33の撥液性を利用して濡れ拡がり、ノズル面33に洗浄液を塗布することができる。また、ノズル面33に塗布されず、残った洗浄液保持面85に残った余剰の洗浄液は回収受け部87で回収される。
ノズル面払拭装置83は、払拭装置本体フレーム82に取り付けられる払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kと、払拭装置本体フレーム82を昇降させる払拭装置本体昇降機構(不図示)とから構成される。
払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kは、帯状に形成された払拭ウェブ(図5の112)を走行させながらヘッド32のノズル面33に当接させて、ノズル面33を払拭する。払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kは、ヘッドごとに設けられ、ヘッド32の設置間隔に合わせて、払拭装置本体フレーム82に設置される。なお、各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの構成は同じなので、ここでは払拭ユニット100として、その構成を説明する。
ノズル面払拭装置83を構成する払拭ユニット100は、払拭ウェブ112を搬送する搬送部110(「払拭部材走行手段」に相当)と、払拭ウェブ112に洗浄液を供給する洗浄液付与部140と、ヘッド用洗浄液付与装置81およびノズル面払拭装置83に洗浄液を供給する洗浄液供給部160と、を備えている。
<搬送部の構成>
搬送部110は、払拭前の払拭ウェブ112を送出する送出側ウェブコア114と、巻取モータ(不図示)により回転駆動されることで、払拭済みの払拭ウェブ112を巻き取る巻取側ウェブコア116と、送出側ウェブコア114から送出された払拭ウェブ112に当接して回転し、洗浄液付与部140、押圧ロール122(「押圧手段」に相当)へガイドする第1ガイドロール118と、払拭ウェブ112をヘッド32のノズル面33に所定の圧力で当接させる押圧ロール122と、払拭済みの払拭ウェブ112を巻取側ウェブコア116へガイドする第2ガイドロール120と、を備えて構成される。
第1ガイドロール118は、水平に設置された軸(不図示)に回転自在に支持され、送出側ウェブコア114から送出された払拭ウェブ112を洗浄液付与部140へ向けてガイドする。
押圧ロール122は、その軸部の一端が回転自在に支持されて水平に設置される。押圧ロール122は、払拭ウェブ112の幅に対応したゴムロールで構成され、払拭ウェブ112をヘッド32のノズル面33に所定の圧力で当接させる。
第2ガイドロール120は、水平に設置された軸(不図示)に回転自在に支持され、押圧ロール122から押圧ロール122から送出された払拭ウェブ112を巻取側ウェブコア116へ向けてガイドする。
なお、上記のように、払拭ウェブ112は、送出側ウェブコア114にロール状に巻かれた状態で提供されるので、払拭ユニット100への装着(交換)もこの状態で行われる。具体的には、送出側ウェブコア114を送出軸に嵌めて装着したのち、第1ガイドロール118、押圧ロール122、第2ガイドロール120に順に巻き掛け、巻取側ウェブコア116を巻取軸に嵌めて、装着を完了する。
<洗浄液付与部の構成>
洗浄液付与部140は、主として、ウェブ用洗浄液供給ノズル142(「払拭部材洗浄液付与手段」に相当)を備えて構成される。ウェブ用洗浄液供給ノズル142は、払拭ウェブ112の幅に対応した幅を有する噴出口を有しており、この噴出口から洗浄液を噴き出す。ウェブ用洗浄液供給ノズル142は下方に向けて洗浄液を噴射するように設置される。払拭ウェブ112は、このウェブ用洗浄液供給ノズル142の下を通過する際、噴出口から噴き出され洗浄液が付与される。これにより、払拭ウェブ112内に洗浄液が吸収される。なお、図5においては、ウェブ用洗浄液供給ノズル142が払拭ウェブ112の上側に設けられ、下方に向けて洗浄液を噴射するように設置されているが、ウェブ用洗浄液供給ノズル142を払拭ウェブ112の下側に設け、上方に向けて洗浄液を噴射するように設置することも可能である。
払拭ウェブ112に吸収された洗浄液は、払拭ウェブ112の搬送方向の下流側に設けられた光学センサ(「検知手段」に相当)153で、払拭ウェブ112に洗浄液が付与されているか確認を行なう。払拭ウェブ112に対して洗浄液の塗布状態を確認することで、所望のメンテナンス動作を確実に保障し、必要最小限のコストでノズル面33の払拭を実現している。
光学センサ153は、払拭ウェブ112からの光の反射量を検知することで、払拭ウェブ112の洗浄液の付与状態の確認を行う。光学センサ153としては、反射型の光学センサを使用する。反射型の光学センサは透過型の光学センサと比較し、コンパクトなので、装置を小型化することができる。また、光学センサの受光部が払拭ウェブと接触することで、受光部が濡れる可能性があるため、反射型の光学センサを使用することで、受光部が濡れた場合においても、精度よく測定を行なうことができる。
また、反射型の光学センサ153を使用した場合、払拭ウェブ112を通過した光が、払拭ウェブ112の裏側の物体に反射し、再度、光学センサ153の受光部に戻ってくる可能性がある。この場合、払拭ウェブ112が濡れている時の値と、乾いている時の値と、で差が小さくなり、誤検知を誘発する可能性がある。そのため、払拭ウェブ112の光学センサ153の反対側には、反射防止部材154を設ける。反射防止部材154としては、黒色の板状部材を設けることで、払拭ウェブ112を通過した光が黒い板状部材により吸収されるので、光学センサ153に戻ってくることを防止することができる。また、反射防止部材154として、鏡を使用し、この鏡により光を光学センサ153の受光部とは別方向に反射させることで、精度よく払拭ウェブ112への洗浄液の付与を確認することができる。
払拭ウェブ112と反射防止部材154との距離は、特に限定されず、払拭ウェブ112と接触していてもよく、払拭ウェブ112と離れていてもよい。いずれにしても、払拭ウェブ112を透過した光が反射防止部材154に当たっても光学センサ153まで届かないので、特に限定されない。また、払拭ウェブ112を2層構造とし、上層を吸収性を有する払拭部材、下層を黒色の部材とすることで、払拭部材を通過した光の反射を防止することができる。払拭ウェブ112に光を当てても、上層の払拭部材を通過した光は、下層の黒色の部材で吸収させることができるので、払拭部材を通過した光が光学センサ153に反射し、誤検知を防止することができる。
払拭ウェブ112の材料としては、洗浄液を付与する前後で、光の透過性に差が出る材料であることが好ましい。本実施形態においては、光の反射率により払拭ウェブ112への洗浄液の付与を確認しているので、洗浄液の付与前後で光透過性の出やすい材料とすることにより、洗浄液の付与を確実に確認することができる。払拭ウェブ112は、例えば、PET、PE、NY等の極微細繊維を用いた編み又は織りからなるシートで構成され、ヘッド32のノズル面33の幅に対応した幅を有する帯状に形成される。また、払拭ウェブ112の色は白色とすることが好ましい。払拭ウェブ112の色を白色とすることで、洗浄液が吹き付けられる前の払拭ウェブ112の反射率を高くすることができる。また、洗浄液が吹き付けられた後の濡れた払拭ウェブ112は、光の透過性が高くなる(透ける)ため、反射率を大幅に低下させることができるので、払拭ウェブ112への洗浄液の付与を確認することができる。また、払拭ウェブ112の厚みは、洗浄液付与前後で透過性に差が出るようにすればよく、具体的には、0.1mm以上2mm以下とすることが好ましい。払拭ウェブ112としては、例えば、材質はPET、厚さ0.27mm、朱子織りの払拭ウェブ112を用いることができる。
図6は、キーエンス社のファイバーセンサにて計測した反射量のグラフである(反射量の単位については不明)。払拭ウェブと光学センサとの検出距離を10mm、反射防止部材154として、払拭ウェブ112の光学センサに対向する位置に黒い板状の物質を配置した。払拭ウェブ112としては、材質はPET、厚さ0.27mm、朱子織りの払拭ウェブ112を用いて測定を行なった。
図6に示すように、払拭ウェブ112に洗浄液が付与されていない乾き領域では、反射量が350と高い数値を示しているが、洗浄液を付与した場合は、180と数値が低かった。これにより、払拭ウェブ112の洗浄液の付与を確認することができる。
<洗浄液供給部の構成>
洗浄液供給部160は、洗浄液が貯留される洗浄液タンク161と、洗浄液タンク161とヘッド用洗浄液付与装置81とを繋ぐヘッド用洗浄液流路168、ヘッド用洗浄液流路168間で、洗浄液タンク161からヘッド用洗浄液付与装置81に洗浄液を送液するヘッド用洗浄液ポンプ162、洗浄液タンク161とウェブ用洗浄液供給ノズル142とを繋ぐウェブ用洗浄液流路169、ウェブ用洗浄液流路169間で、洗浄液タンク161からウェブ用洗浄液供給ノズル142に洗浄液を送液するウェブ用洗浄液ポンプ163と、を備えて構成される。
洗浄液は、ヘッド用洗浄液付与装置81に洗浄液を供給する場合は、ヘッド用洗浄液ポンプ162を駆動させることで、ヘッド用洗浄液流路168を洗浄液が通過し、ヘッド用洗浄液付与装置81に洗浄液を供給する。また、ウェブ用洗浄液供給ノズル142に洗浄液を供給する場合は、ウェブ用洗浄液ポンプ163を駆動させることで、ウェブ用洗浄液流路169を洗浄液が通過し、ウェブ用洗浄液供給ノズル142に洗浄液を供給する。
なお、ここでは、洗浄液タンク161をヘッド用洗浄液供給ノズル84ごと、払拭ユニット100ごとに設ける構成としているが、1つの洗浄液タンク161を、各ヘッド用洗浄液供給ノズル84C、84M、84Y、84K、各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kで共通して使用する構成としてもよい。この場合、1つの洗浄液タンク161から、各ヘッド用洗浄液流路168C、168M、168Y、168K、ウェブ用洗浄液流路169C、169M、169Y、169Kを介して、ヘッド用洗浄液供給ノズル84C、84M、84Y、84Kまたはウェブ用洗浄液供給ノズル142C、142M、142Y、142Kに供給され、それぞれのノズルから噴射される。
<ノズル面清掃装置の作用>
次に、以上のように構成されたノズル面清掃装置80の作用について説明する。ノズル面清掃装置80は、ヘッド32が画像記録装置からメンテナンス位置へ移動する過程において、ノズル面清掃装置80によってノズル面33を払拭する。
ノズル面清掃装置80を構成するヘッド用洗浄液付与装置81とノズル面払拭装置83は、昇降機構により全体が昇降自在に構成されている。ヘッド用洗浄液付与装置81、ノズル面払拭装置83は、清掃時以外においては所定の待機位置に位置しており、清掃時には待機位置から所定量上昇した位置である所定の作動位置に位置する。
ヘッド用洗浄液付与装置81が作動位置に位置した状態では、洗浄液保持面85に保持された洗浄液によって各ヘッド32のノズル面33に洗浄液を付与することが可能になる。すなわち、ヘッド32がヘッド用洗浄液付与装置81を通過する際、洗浄液保持面85に保持された洗浄液に触れることで、ノズル面に洗浄液を塗布することができる。また、ノズル面払拭装置83が作動位置に位置した状態では、払拭ユニット100によって、ノズル面33を払拭することが可能となる。すなわち、ヘッド32が、各払拭ユニット100を通過する際、そのノズル面33に押圧ロール122に巻き掛けられた払拭ウェブ112を押圧当接することが可能になる。
ヘッドのノズル面洗浄モードに入ると、ヘッド移動手段(不図示)により、ヘッド32を画像記録位置からメンテナンス位置に移動する。ヘッド32が所定の位置に到達すると、払拭ウェブ112は搬送部110によりヘッド32の進行方向と逆向きに搬送される。すなわち、巻取モータの駆動を開始し、これにより、払拭ウェブ112は、送出側ウェブコア114から繰り出されて走行し、巻取側ウェブコア116に巻き取られる。
このとき、送出側ウェブコア114の送出軸は、フリクション機構によってフリクションが付与される一方、巻取側ウェブコア116の巻取軸は、トルクリミッタによって一定の負荷が掛かると滑るので、払拭ウェブ112に一定の張力を付与して走行させることができる。
払拭ウェブ112の走行と同時に、洗浄液付与部140を制御し、払拭ウェブ112を洗浄液によって湿潤させる。ウェブ用洗浄液供給ノズル142は、ウェブ用洗浄液ポンプ163によりウェブ用洗浄液流路169を介して洗浄液タンク161から送液された洗浄液を払拭ウェブ112に向けて噴射する。払拭ウェブ112は、ウェブ用洗浄液供給ノズル142の下を通過する際に、この噴射された洗浄液が付与される。これにより、払拭ウェブ112内に洗浄液が吸収される。
洗浄液が付与された払拭ウェブ112は、光学センサ153により、洗浄液が付与されているか確認を行なう。払拭ウェブ112の洗浄液の付与を確認した上で、ノズル面33の払拭を行なうことで、ウエットワイピングを確実に行なうことができる。したがって、ノズル面の汚れを確実に除去することができ、インクの不吐出、吐出方向劣化を防止することができる。
また、ヘッド32がヘッド用洗浄液付与装置81の直前まで移動したら、ヘッド用洗浄液ポンプ162により、ヘッド用洗浄液流路168を介して洗浄液タンク161から、洗浄液をヘッド用洗浄液付与装置81に送液する。送液された洗浄液はヘッド用洗浄液供給ノズル84から吐出され、洗浄液保持面85に保持される。洗浄液が保持された洗浄液保持面85上をヘッドのノズル面33が通過することにより、ノズル面33と洗浄液保持面85の間に形成された洗浄液層がノズル面33と接触することにより、ノズル面33に洗浄液が塗布される。
洗浄液が塗布されたノズル面33は、次に、ノズル面払拭装置83の湿った払拭ウェブ112により拭き取られる。払拭ウェブ112は、巻取モータの駆動による走行により押圧ロール122においてノズル面33に押圧当接され、ノズル面33が払拭洗浄される。
この際、払拭ウェブ112は、ノズル面33の移動方向と逆方向に走行して、ノズル面33を払拭する。これにより、効率よくノズル面33を払拭することができる。また、常に払拭ウェブ112の新しい面(未使用領域)を使ってノズル面33を払拭することができる。
ノズル面33を払拭した払拭ウェブ112は、巻取側ウェブコア116に巻き取られる。また、ヘッド32は、メンテナンス位置に移動され、ノズル面33がキャップ42で覆われる。
<光学センサの構成>
図7は、洗浄液付与部140の平面図である。図7に示すように、ウェブ用洗浄液供給ノズル142は、払拭ウェブ112の幅に対応した幅を有して設けられている。図7(a)に示すように、払拭ウェブ112の幅が広くない(例えば、45mm程度)場合は、光学センサ153を設置する位置は、払拭ウェブ112の中央部1点とすることで、払拭ウェブ112の洗浄液の付与を確認することができる。
また、図7(b)、(c)に示すように、払拭ウェブ112の幅が広い場合は、光学センサ153を幅方向に複数設けることが好ましい。幅方向に複数設けることで、払拭ウェブ112の幅方向の全域にわたって洗浄液の付与を確認することができる。なお、反射防止部材154は、図7(a)、(b)に示すように、各光学センサ153のそれぞれに設けることもできるし、図7(c)に示すように、払拭ウェブ112の幅方向に1つの部材とすることもできる。
また、図7(b)に示すように、払拭ウェブ112の幅方向の両端に光学センサ153を設けることにより、この光学センサ153を払拭ウェブ112の幅方向の搬送異常検出センサとして使用することもできる。払拭ウェブ112が蛇行し、光学センサの下を払拭ウェブ112が外れた場合、反射量が更に減少するため、払拭ウェブ112が光学センサの下に無いことを確認することができる。したがって、搬送異常として検出することができる。
また、図7(c)に示すように、幅方向に複数の光学センサ153を配置することにより、搬送動作不良センサとして使用することもできる。払拭ウェブ112の送り方向に対する搬送不良により、払拭ウェブ112が弛んだ場合、この弛んでいる部分で払拭ウェブ112の反射量が減少するため、搬送動作不良として検知することが可能である。
図8は、ノズル面払拭装置の変形例である。図8に示すノズル面払拭装置283は、払拭ウェブ112の搬送方向の押圧ロール122の下流側にも光学センサ253、反射防止部材254を設けている点が図5に示すノズル面払拭装置83と異なっている。払拭ウェブ112の搬送方向の押圧ロール122の下流側に光学センサ253、反射防止部材254を設けることにより、払拭ウェブ112による払拭状態を確認することができる。なお、払拭ウェブ112の搬送方向の下流側の光学センサ253は、上流側の光学センサ253と同様の光学センサを使用することができる。
光学センサ253で払拭ウェブ112の払拭の程度を確認する場合は、事前に払拭ウェブ112によりノズル面33の払拭を行なった払拭ウェブ112の光の反射量を測定しておく。そして、光学センサ253により測定したインクの光の反射量と比較することで、ヘッド32のノズル面33の払拭が正常に行なわれているか否かの判断を行なうことができる。
また、このようにノズル面33を払拭した後の払拭ウェブ112を用いて光学センサにより反射量を測定し、払拭状態を確認する場合、図7に示すように、払拭ウェブ112の搬送方向の押圧ロール122の下流側に光学センサ253を設けることに限定されず、搬送部に払拭ウェブ112を逆搬送可能な機構を設けることで対応することも可能である。この場合、拭き終わった後の払拭ウェブ112を光学センサ153の位置まで逆搬送し、光学センサ153で再度検出することで、払拭ウェブ112の汚れを光の反射量から検知することができる。逆搬送可能な機構を設けることにより、検出装置の構成を簡略化することができる。
10…インクジェット記録装置、20…用紙搬送機構、30…ヘッドユニット、32(32C、32M、32Y、32K)…ヘッド、33(33C、33M、33Y、33K)…ノズル面、40…メンテナンスユニット、80…ノズル面清掃装置、81…ヘッド用洗浄液付与装置、83、283…ノズル面払拭装置、84(84C、84M、84Y、84K)…ヘッド用洗浄液供給ノズル、85(85C、85M、85Y、85K)…洗浄液保持面、100(100C、100M、100Y、100K)…払拭ユニット、110…搬送部、112…払拭ウェブ、122…押圧ロール、140…洗浄液付与部、142…ウェブ用洗浄液供給ノズル、153、253…光学センサ、154、254…反射防止部材、160…洗浄液供給部

Claims (9)

  1. 液滴吐出ヘッドのノズル面を清掃するノズル面清掃装置において、
    吸収性を有する払拭部材を走行させる払拭部材走行手段と、
    前記払拭部材に洗浄液を付与する洗浄液付与手段と、
    前記払拭部材に対する光の反射量を検知する検知手段と、
    前記払拭部材を挟んで、前記検知手段と対向する位置に設けられた反射防止部材と、
    前記洗浄液が付与された前記払拭部材を押圧当接させ、前記払拭部材で払拭する押圧手段と、
    を備えるノズル面清掃装置。
  2. 前記検知手段は、前記払拭部材の走行方向と直交する幅方向の少なくとも両端に設けられている請求項1に記載のノズル面清掃装置。
  3. 前記検知手段は、前記払拭部材の走行方向と直交する幅方向に複数並べられて配置されている請求項1又は2に記載のノズル面清掃装置。
  4. 前記反射防止部材は黒色の部材である請求項1から3のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
  5. 前記押圧手段による払拭後の前記払拭部材に対する光の反射量を検知する汚れ検知手段と、を備える請求項1から4のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
  6. 前記払拭部材走行手段は、逆方向に搬送可能である請求項1から5のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
  7. 前記検知手段は、前記払拭部材が搬送経路上を通過しているか検知する搬送異常検知手段を兼ねる請求項2から6のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
  8. 前記検知手段は、前記払拭部材が弛むことなく搬送しているか検知する搬送動作不良検知手段を兼ねる請求項2から7のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
  9. 記録媒体を搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体に液滴を吐出して画像を記録する液滴吐出ヘッドと、
    前記液滴吐出ヘッドのノズル面を清掃する請求項1から8のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置と、
    を備える画像記録装置。
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