JP2013167571A - 赤外線センサおよび赤外線センサの製造方法 - Google Patents

赤外線センサおよび赤外線センサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】赤外線の検出感度および検出時の応答速度の向上を図る。
【解決手段】平板状の強誘電体層31における一方の面に導体層32が形成され、かつ強誘電体層31の他方の面に導体層33および赤外線吸収層34がこの順で形成されたセンサ本体3を備えると共に、導体層32が接続用電極部27に接続され、かつ導体層33がリードピン23aに接続された赤外線センサ1であって、センサ本体3を接続用電極部27から離間させた状態で支持すると共に導体層32および接続用電極部27を相互に接続するバンプ4と、一端部が導体層33における赤外線吸収層34の形成面に接続されると共に他端部がリードピン23aに接続されて導体層33およびリードピン23aを相互に接続するワイヤ5aとを備え、赤外線吸収層34は、赤外線吸収層34を構成する吸収層形成材料によってワイヤ5aの一端部が覆われるように形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線吸収層を有するセンサ本体を備えて構成された赤外線センサ、およびその製造方法に関するものである。
この種の赤外線センサとして、温度に応じて電気抵抗値が変化するセンシングエレメント、温度に応じて誘電率が変化するセンシングエレメント、サーモパイル型のセンシングエレメント、および焦電型のセンシングエレメントなど(以下、「エレメント」ともいう)を備えて構成された温度検知部がベース基板の上に形成されている赤外線センサが特開2007−51915号公報に開示されている。この場合、この赤外線センサでは、上記のエレメント(センサ素子:例えば、温度に応じて電気抵抗値が変化するエレメントにおいては抵抗体層で、焦電型のエレメントにおいては焦電体層)における一方の面に下部電極が設けられると共に、エレメントにおける他方の面に上部電極が設けられている。また、この赤外線センサでは、赤外線の受光によって発熱して温度検知部を温度上昇させるための赤外線吸収層が上部電極の上に形成されている。
さらに、この赤外線センサでは、温度検知部による検出信号(センサ信号)を外部装置に出力するための2つのパッドのうちの一方と下部電極とが、公知の半導体製造プロセス(スパッタ法によって成膜したクロム膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術によってパターニングすることによって所望の配線パターンを形成する方法)に従って形成された金属配線によって相互に接続されている。また、この赤外線センサでは、上記の2つのパッドのうちの他方と上部電極とが、半導体製造プロセスに従って形成された金属配線によって相互に接続されている。さらに、この赤外線センサでは、ベース基板の一面側に設けられた断熱部の上に温度検知部が形成されている。この場合、断熱部は、温度検知部からベース基板への伝熱を阻止する目的で設けられた層であって、一例として、多孔質シリコン層で構成されている。これにより、この赤外線センサでは、赤外線の受光時における温度検知部からベース基板への伝熱に起因して感度や応答速度が低下することを回避しようとしている。
特開2007−51915号公報(第3−8頁、第1−3図)
ところが、従来の赤外線センサ、およびその製造方法には、以下の解決すべき問題点が存在する。すなわち、従来の赤外線センサでは、一方のパッドと下部電極とを相互に接続する金属配線や、他方のパッドと上部電極とを相互に接続する金属配線が、半導体製造プロセスに従って成膜されたクロムの層で構成されている。具体的には、従来の赤外線センサの製造に際しては、断熱部が形成された状態のベース基板を成膜対象とするスパッタ処理によって金属配線の基となるクロム膜が成膜される。したがって、従来の赤外線センサにおける上記の金属配線は、ベース基板や断熱部の表面に接してこれらと一体化した状態となっている。このため、従来の赤外線センサでは、赤外線の受光によってベース基板や断熱部が温度上昇しているときに、ベース基板や断熱部の熱が金属配線に伝熱して、この熱が下部電極や上部電極を介してエレメントに伝熱する結果、感度や応答速度が低下するという問題点がある。
また、従来の赤外線センサでは、ベース基板の一面側に設けた断熱部の上に温度検知部が形成されている。この場合、多孔質シリコン層によって構成された断熱部が温度検知部とベース基板との間に介在しているこの構成では、例えば温度検知部とベース基板とが直接接している構成と比較して、赤外線の受光時における温度検知部からベース基板への伝導を抑制することが可能となる。しかしながら、たとえ断熱部を多孔質体で構成したとしても、断熱部が下部電極に接している面積が、下部電極の平面視における投影面積の数十%となり、断熱部がベース基板に接している面積が、断熱部の平面視における投影面積の数十%となる。このため、温度検知部(下部電極)から断熱部を介してベース基板に伝熱する事態を好適に回避するのが困難であるという現状があり、感度や応答速度を一層向上させるには、この点を解決する必要がある。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、赤外線の検出感度および検出時の応答速度の向上を図り得る赤外線センサ、およびその製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の赤外線センサは、平板状のセンサ素子における一方の面に第1電極層が形成され、かつ当該センサ素子の他方の面に第2電極層および赤外線吸収層がこの順で形成されたセンサ本体を備えると共に、前記第1電極層が第1接続用導体に接続され、かつ前記第2電極層が第2接続用導体に接続された赤外線センサであって、前記センサ本体を前記第1接続用導体から離間させた状態で支持すると共に前記第1電極層および当該第1接続用導体を相互に接続する接続用バンプと、一端部が前記第2電極層における前記赤外線吸収層の形成面に接続されると共に他端部が前記第2接続用導体に接続されて当該第2電極層および当該第2接続用導体を相互に接続する接続用ワイヤとを備え、前記赤外線吸収層は、当該赤外線吸収層を構成する吸収層形成材料によって前記接続用ワイヤの前記一端部が覆われるように形成されている。
また、請求項2記載の赤外線センサの製造方法は、平板状のセンサ素子における一方の面に第1電極層が形成され、かつ当該センサ素子の他方の面に第2電極層および赤外線吸収層がこの順で形成されたセンサ本体を備えると共に、前記第1電極層が第1接続用導体に接続され、かつ前記第2電極層が第2接続用導体に接続された赤外線センサを製造する際に、前記第1電極層および前記第1接続用導体を相互に接続する第1処理と、前記第2電極層および前記第2接続用導体を相互に接続する第2処理と、前記第2電極層の表面に前記赤外線吸収層を形成する第3処理とを予め規定された順序で実行する赤外線センサの製造方法であって、前記第1処理に際して前記第1電極層および前記第1接続用導体を接続用バンプによって相互に接続して前記センサ本体を当該第1接続用導体から離間させた状態で支持させ、かつ前記第2処理に際して前記第2電極層における前記赤外線吸収層の形成面に接続用ワイヤの一端部を接続する処理Aと前記第2接続用導体に前記接続用ワイヤの他端部を接続する処理Bとを実行して前記第2電極層および前記第2接続用導体を相互に接続すると共に、少なくとも前記処理Aを完了した後に前記第3の処理を実行して前記赤外線吸収層を構成する吸収層形成材料によって前記接続用ワイヤの前記一端部が覆われるように当該赤外線吸収層を形成する。
請求項1記載の赤外線センサでは、接続用バンプによってセンサ本体が第1接続用導体から離間させられた状態で支持されると共に第1電極層および第1接続用導体が相互に接続され、かつ、接続用ワイヤによって第2電極層および第2接続用導体が相互に接続されると共に、赤外線吸収層を構成する吸収層形成材料によって接続用ワイヤの一端部が覆われるように赤外線吸収層が形成されている。また、請求項2記載の赤外線センサの製造方法では、第1処理に際して第1電極層および第1接続用導体を接続用バンプによって相互に接続してセンサ本体を第1接続用導体から離間させた状態で支持させると共に、第2電極層における赤外線吸収層の形成面に接続用ワイヤの一端部を接続する処理Aを完了した後に第2電極層の表面に赤外線吸収層を形成する第3処理を実行して赤外線吸収層を構成する吸収層形成材料によって接続用ワイヤの一端部が覆われるように赤外線吸収層を形成する。
したがって、請求項1記載の赤外線センサ、および請求項2記載の赤外線センサの製造方法によれば、第1電極層と接続用バンプとの接触面積、および接続用バンプと第1接続用導体との接触面積がセンサ本体の平面積に対して十分に小さいため、センサ本体(第1電極層)から第1接続用導体に短時間で多くの熱が伝熱するのを好適に回避することができる。これにより、センサ本体の感度や応答速度を十分に向上させることができる。また、第2電極層と第2接続用導体とを接続用ワイヤ(空中配線)によって相互に接続したことで、赤外線の受光に伴って、センサ本体を支持しているベース部等が温度上昇したとしても、この熱が接続用ワイヤを介して第2電極層に伝熱する事態を回避することができる。したがって、センサ本体の感度や応答速度を一層向上させることができる。さらに、接続用ワイヤにおける第2電極層への接続側端部(一端部)を、赤外線吸収層を構成する吸収層形成材料で覆うように赤外線吸収層を形成したことにより、不感帯が存在しないため、センサ本体の感度や応答速度をさらに向上させることができる。
赤外線センサ1の断面図である。 赤外線センサ1の平面図である。 赤外線センサ1の製造方法について説明するための図であって、各バンプ接続部26および接続用電極部27と導体層32とを相互に接続した状態の断面図である。 図3に示す状態の導体層33にワイヤ5aの一端部を接続すると共に接続用電極部27にワイヤ5bの一端部を接続した状態の断面図である。 図4に示す状態のワイヤ5aにおける一端部を覆うようにして導体層33の上に赤外線吸収層34を形成した状態の断面図である。 図5に示す状態のインターポーザ12をステム11の本体部21に固着させた状態の断面図である。 赤外線センサ1Aの断面図である。 赤外線センサ1xの断面図である。
以下、赤外線センサ、およびその製造方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1,2に示す赤外線センサ1は、一例として、図示しない赤外線シャッター機構(赤外線チョッピング機構)と共にパッケージングされて「赤外線測定器」を構成するセンサであって、ベース部2およびセンサ本体3を備えて構成されている。また、本例の赤外線センサ1では、一例として、ステム11およびインターポーザ12を備え、これらが、導電性接着剤やエポキシ系接着剤によって相互に固着されてベース部2が構成されている。
ステム11は、一例として、鉄などの金属材料を母材として周面に金をメッキ処理した平面視矩形状の本体部21と、リードピン22,22(図2参照)およびリードピン23a,23bとを備えて構成されている。この場合、本例のステム11では、両リードピン22が本体部21の対向する角部にそれぞれ立設されるようにして本体部21と一体的に形成されている。また、本例のステム11では、本体部21に形成された挿通孔21a,21bにリードピン23a,23bがそれぞれ挿通させられた状態でガラスやエポキシ樹脂等の絶縁性材料によって本体部21に固定されている。この場合、リードピン23aは、「第2接続用導体」に相当し、本体部21と同様にして、鉄などの金属材料を母材として周面に金をメッキ処理してピン状に形成されている。また、リードピン23bは、リードピン23aと同様に構成されている。
インターポーザ12は、センサ本体3を支持する支持基板として機能すると共に、電源回路や信号増幅回路を構成する電子デバイス(図示せず)が実装される基板であって、一例として、ガラス繊維入りのエポキシ樹脂によって平板状に形成された本体部25の一方の面(図1における上側の面)に、3つのバンプ接続部26、および1つの接続用電極部27が形成されて、全体として平面視矩形状に形成されている。なお、本例では、「赤外線センサ」の構成に関する理解を容易とするために、以下、電源回路や信号増幅回路に関する説明および図示を省略する。この場合、バンプ接続部26は、一例として、アルミニウムなどの導電性金属材料によって薄膜状に形成されている。また、接続用電極部27は、「第1接続用導体」に相当し、バンプ接続部26と同様にして、アルミニウムなどの導電性金属材料によって薄膜状に形成されている。
センサ本体3は、焦電型の赤外線検出用素子であって、図1に示すように、強誘電体層31における一方の面(図1における下側の面)に導体層32が形成されると共に、強誘電体層31における他方の面(図1における上側の面)に導体層33および赤外線吸収層34がこの順で形成されて、全体として平面視矩形状に形成されている。この場合、強誘電体層31は、一例として、チタン酸ジルコン酸鉛やタンタル酸リチウム等によって、物理的な厚みが数十nm〜数十μm程度の平板状に形成されている。また、導体層32,33は、アルミニウムによって、物理的な厚みが数nm〜数μm程度の薄膜状に形成されている。この場合、本例のセンサ本体3では、強誘電体層31が「センサ素子」に相当すると共に、導体層32が「第1電極層」に相当し、かつ、導体層33が「第2電極層」に相当する。赤外線吸収層34は、一例として、電解メッキ処理(「第3処理」の一例)によって、物理的な厚みが数十nm〜数十μm程度の薄膜状に形成されている。
また、図1,2に示すように、本例の赤外線センサ1では、後述する製造工程における「第1処理」によって、ベース部2におけるインターポーザ12の各バンプ接続部26および接続用電極部27と、センサ本体3の導体層32とが、バンプ4(「接続用バンプ」の一例)によって接続されて、センサ本体3が接続用電極部27から離間させられた状態で各バンプ4によって支持されると共に、導体層32と各バンプ接続部26および接続用電極部27とが各バンプ4によって相互に電気的に接続されている。この場合、センサ本体3の導体層32に対する4つのバンプ4の合計接触面積は、導体層32の平面視における投影面積の数%程度となっている。
さらに、本例の赤外線センサ1では、後述する製造工程における「第2処理」の「処理A」および「処理B」によって、センサ本体3の導体層33とベース部2(ステム11)のリードピン23aとが、一例として、直径が数十μm程度のアルミニウムの細線(一例として、ボンディングワイヤ)で構成されたワイヤ5a(空中配線、「接続用ワイヤ」の一例)によって相互に電気的に接続されている。また、本例の赤外線センサ1では、一例として、上記のワイヤ5aと同様に構成されたワイヤ5bによってインターポーザ12の接続用電極部27とステム11のリードピン23bとが相互に電気的に接続されている。この場合、この赤外線センサ1では、後述するように、ワイヤ5aの一端部を導体層33に接続する「処理A」を実行した後に、導体層33の上に赤外線吸収層34を形成する「第3処理」を実行することにより、赤外線吸収層34を構成する吸収層形成材料(この例では、白金黒)によってワイヤ5aの一端部が覆われている。
この赤外線センサ1の製造に際しては、「第1処理」、「第2処理における処理A」、「第2処理における処理B」および「第3処理」の4つの工程に関し、一例として、「第1処理」、「第2処理における処理A」、「第3処理」および「第2処理における処理B」の順(「予め規定された順序」の一例)で実行する。具体的には、まず、一例として、強誘電体層31の一方の面、および他方の面にアルミニウムをそれぞれスパッタリングして導体層32,33を形成する。これにより、「第1電極層」としての導体層32、「センサ素子」としての強誘電体層31、および「第2電極層」としての導体層33からなる積層体3a(図3参照:センサ本体3における赤外線吸収層34を除いた要素)が形成される。次いで、一例として、マスクパターンを形成した本体部25にアルミニウムをスパッタリングした後にマスクパターンを除去することにより、本体部25の表面にバンプ接続部26および接続用電極部27を形成する。これにより、インターポーザ12が形成される。なお、積層体3aの形成処理、およびインターポーザ12の形成処理の実行順序については上記の例に限定されず、インターポーザ12の形成処理の後に積層体3aの形成処理を実行してもよい。
次いで、図3に示すように、積層体3aにおける導体層32と、インターポーザ12におけるバンプ接続部26および接続用電極部27とをバンプ4によってそれぞれ接続する(「第1処理」の一例)。これにより、後にセンサ本体3となる積層体3aが、ベース部2を構成するインターポーザ12(バンプ接続部26や接続用電極部27)から離間させられた状態で各バンプ4によって支持されると共に、導体層32と、各バンプ接続部26および接続用電極部27とが各バンプ4によってそれぞれ相互に電気的に接続される。以下、センサ本体3およびインターポーザ12がバンプ4によって一体化された状態の製品を中間体10ともいう。
続いて、図4に示すように、積層体3aにおける導体層33の表面にワイヤ5aの一端部を接続すると共に(「第2処理」における「処理A」の一例)、インターポーザ12における接続用電極部27の表面にワイヤ5bの一端部を接続する。この際には、一例として、ワイヤ5aの一端部を導体層33の表面に接触させた状態において超音波ホーンを押し付けることによって導体層33にワイヤ5aを超音波溶着すると共に、ワイヤ5bの一端部を接続用電極部27の表面に接触させた状態において超音波ホーンを押し付けることによって接続用電極部27にワイヤ5bを超音波溶着する。
次いで、図5に示すように、積層体3aにおける導体層33の表面に赤外線吸収層34を形成する(「第3処理」の一例)。具体的には、一例として、図4に示す状態の中間体10をメッキ処理用の電解液に浸漬すると共に、ワイヤ5aにおける導体層33に接続されている側の端部(上記の一端部)だけが電解液中に没するようにワイヤ5aにおける他方の端部側を電解液から露出させた状態において、電解メッキ処理を実行する。この際には、導体層33、および導体層33に接続されているワイヤ5aにおいて電解液中に没している部位(導体層33に接続されている側の端部:上記の「一端部」)に白金黒がメッキされる。これにより、導体層33の表面に白金黒の薄膜からなる赤外線吸収層34が形成されてセンサ本体3が完成すると共に、赤外線吸収層34を構成する白金黒(「吸収層形成材料」の一例)によってワイヤ5aの一端部が覆われた状態となる。
この場合、電解メッキ処理によって赤外線吸収層34を形成する処理を実行する前に、ワイヤ5aの他端部をリードピン23aに接続した場合には、カソードとしての導体層33にリードピン23aが電気的に接続された状態において電解メッキ処理が実行されることとなる。この際には、導体層33の表面、およびワイヤ5aの一端部だけでなく、導体層33と同電位となるワイヤ5aおよびリードピン23aの周囲に白金黒がメッキされてしまう。したがって、電解メッキ処理によって赤外線吸収層34を形成する際には、ワイヤ5aの他端部側をリードピン23aに接続せず、かつ、この他端部側を電解液から露出させた状態で処理するのが好ましい。
続いて、図6に示すように、中間体10とステム11とを一体化する。この際には、中間体10のインターポーザ12における裏面(バンプ接続部26や接続用電極部27の形成面とは反対側の面)がステム11における本体部21の表面に接するようにステム11の上に中間体10を載置した状態において、ステム11(本体部21)と中間体10(インターポーザ12の本体部25)との間に導電性接着剤やエポキシ系接着剤を注入して硬化させる。これにより、インターポーザ12とステム11とが相互に固着されてベース部2が完成する。
次いで、ステム11におけるリードピン23a,23bの上端部にワイヤ5a,5bの他端部をそれぞれ接続する。この際には、一例として、ワイヤ5aの一端部をリードピン23aの上端部に接触させた状態において超音波ホーンを押し付けることにより、ワイヤ5aをリードピン23aに超音波溶着すると共に(「第2処理」における「処理B」の一例)、ワイヤ5bの一端部をリードピン23bの上端部に接触させた状態において超音波ホーンを押し付けることにより、ワイヤ5bをリードピン23bに超音波溶着する。これにより、センサ本体3の導体層33がワイヤ5aを介してリードピン23aに接続されると共に、センサ本体3の導体層32がバンプ4、接続用電極部27およびワイヤ5bを介してリードピン23bに接続されて、図1,2に示すように、赤外線センサ1が完成する。
この場合、完成した赤外線センサ1では、センサ本体3がベース部2(バンプ接続部26や接続用電極部27)から離間させられた状態で各バンプ4によって支持されている。したがって、多孔質シリコン層によって構成された断熱部によって温度検知部が支持されている従来の赤外線センサとは異なり、赤外線の受光に伴って赤外線吸収層34が発熱して、この熱が導体層33および強誘電体層31を介して導体層33まで伝熱したときに、導体層33(センサ本体3)からベース部2に短時間で多くの熱が伝熱する事態が回避されている。これにより、この赤外線センサ1では、センサ本体3からベース部2への伝熱に起因する感度や応答速度の低下が回避される。
また、この赤外線センサ1では、センサ本体3の導体層33がワイヤ5a(空中配線)を介してリードピン23aに接続されている。したがって、ベース基板や断熱部に接してこれらと一体化した状態の金属配線によって上部電極がパッドに接続されている従来の赤外線センサとは異なり、赤外線の受光に伴ってベース部2(インターポーザ12)が温度上昇しているときに、ベース部2からセンサ本体3(導体層33)に短時間で多くの熱が伝熱する事態が回避されている。これにより、この赤外線センサ1では、ベース部2からセンサ本体3への伝熱に起因する感度や応答速度の低下が回避される。
この場合、上記の赤外線センサ1の製造方法とは異なり、積層体3aにおける導体層33の表面に赤外線吸収層34を形成した後に導体層33にワイヤ5aを接続する製造方法を採用したときには、図8に示す赤外線センサ1xのように、導体層33におけるワイヤ5aの接続部位を露出させるための開口部Xを赤外線吸収層34xに設ける必要が生じる。このため、このような製造方法で製造された赤外線センサ1xのセンサ本体3xでは、開口部Xを設けた部位に赤外線吸収層34xを構成する吸収層形成材料が存在しないことに起因して、この開口部Xの部位に不感帯(赤外線を受光しても発熱しない部位)が生じる結果、センサ本体3xの感度が低下することとなる。これに対して、ワイヤ5aにおける導体層33への接続部位(一端部)を含んで赤外線吸収層34が形成されている上記の赤外線センサ1では、導体層33の全域に赤外線吸収層34が形成されて、不感帯が生じる事態が回避されている。また、ワイヤ5aの一端部を覆うように赤外線吸収層34を形成したことで、ワイヤ5aが導体層33から外れ難くなっている。
このように、この赤外線センサ1では、バンプ4によってセンサ本体3が接続用電極部27(ベース部2)から離間させられた状態で支持されると共に導体層32および接続用電極部27が相互に接続され、かつ、ワイヤ5aによって導体層33およびリードピン23aが相互に接続されると共に、赤外線吸収層34を構成する吸収層形成材料(本例では、白金黒)によってワイヤ5aの一端部が覆われるように赤外線吸収層34が形成されている。また、この赤外線センサ1の製造方法では、「第1処理」に際して導体層32および接続用電極部27をバンプ4によって相互に接続してセンサ本体3を接続用電極部27(ベース部2のインターポーザ12)から離間させた状態で支持させると共に、導体層33における赤外線吸収層34の形成面にワイヤ5aの一端部を接続する「処理A」を完了した後に導体層33の表面に赤外線吸収層34を形成する「第3処理」を実行して赤外線吸収層34を構成する吸収層形成材料(この例では、白金黒)によってワイヤ5aの一端部が覆われるように赤外線吸収層34を形成する。
したがって、この赤外線センサ1、およびその製造方法によれば、導体層32とバンプ4との接触面積、およびバンプ4と接続用電極部27との接触面積がセンサ本体3の平面積に対して十分に小さいため、センサ本体3(導体層32)からベース部2(バンプ接続部26や接続用電極部27)に短時間で多くの熱が伝熱するのを好適に回避することができる。これにより、センサ本体3の感度や応答速度を十分に向上させることができる。また、導体層33とリードピン23aとをワイヤ5a(空中配線)によって相互に接続したことで、赤外線の受光に伴ってベース部2(本体部21など)が温度上昇したとしても、この熱がワイヤ5aを介して導体層33に伝熱する事態を回避することができる。したがって、センサ本体3の感度や応答速度を一層向上させることができる。さらに、ワイヤ5aにおける導体層33への接続側端部(一端部)を、赤外線吸収層34を構成する吸収層形成材料(この例では、白金黒)で覆うように赤外線吸収層34を形成したことにより、不感帯が存在しないため、センサ本体3の感度や応答速度をさらに向上させることができる。
なお、「赤外線センサ」の構成、および「赤外線センサの製造方法」の具体的な手順は、上記の赤外線センサ1の構成、およびその製造方法における上記の手順に限定されない。例えば、「第1処理」、「第2処理における処理A」、「第2処理における処理B」および「第3処理」の実行順序については、上記の赤外線センサ1の製造方法において例示した順序に限定されず、「第2処理における処理A」の後に「第3処理」を実行することを条件として、「第1の処理」および「第2処理における処理B」については、任意の時点で実行することができる。
また、「第2処理における処理A」として、「接続用ワイヤ(ワイヤ5a)」の一端部を超音波溶着によって「第2電極層(導体層33)」に接続する方法を例に挙げて説明したが、この「処理A」や、ワイヤ5aの他端部をリードピン23aに接続する処理、ワイヤ5bの一端部を接続用電極部27に接続する処理、およびワイヤ5bの他端部をリードピン23bに接続する処理については、熱圧着や導電ペーストによる接着等の各種の接続方法を採用することができる。さらに、「第3処理」として、電解メッキ処理によって赤外線吸収層34を形成する方法を例に挙げて説明したが、電解メッキ処理に代えて、一例として「吸収層形成材料」を含む塗液をインクジェット型印刷装置によって導体層33(第2電極層)の表面に塗布して「赤外線吸収層」を形成する処理(「第3処理」の他の一例)を採用することもできる。
また、例えば、図7に示す赤外線センサ1Aのように、赤外線センサ1におけるベース部2に代えて、ステム11aをベース部2aとして採用して、このベース部2aの上にセンサ本体3を直接固定することができる。なお、この赤外線センサ1Aにおいて前述した赤外線センサ1と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。この場合、この赤外線センサ1Aでは、ステム11aの本体部21およびリードピン22が「第1接続用導体」に相当し、ステム11aの本体部21と、センサ本体3の導体層32とがバンプ4によって接続されて、センサ本体3がベース部2a(ステム11aの本体部21)から離間させられた状態で各バンプ4によって支持されると共に、導体層32と本体部21とが各バンプ4によって相互に電気的に接続されている。したがって、この赤外線センサ1Aにおいても、上記の赤外線センサ1と同様の効果を奏することができる。
さらに、焦電型赤外線センサの一例であるセンサ本体3を有する赤外線センサ1,1Aを備えた赤外線測定器を例に挙げて説明したが、「赤外線センサ」は、焦電型赤外線センサに限定されず、サーミスタ等の各種熱型センサ(温度に応じて電気抵抗値や誘電率が変化するセンサ素子を備えて構成されたセンサ本体を)を備えて構成することもできる。
1,1A 赤外線センサ
2,2a ベース部
3 センサ本体
3a 積層体
4 バンプ
5a,5b ワイヤ
10 中間体
11,11a ステム
12 インターポーザ
21,25 本体部
21a,21b 挿通孔
22,23a,23b リードピン
26 バンプ接続部
27 接続用電極部
31 強誘電体層
32,33 導体層
34 赤外線吸収層

Claims (2)

  1. 平板状のセンサ素子における一方の面に第1電極層が形成され、かつ当該センサ素子の他方の面に第2電極層および赤外線吸収層がこの順で形成されたセンサ本体を備えると共に、前記第1電極層が第1接続用導体に接続され、かつ前記第2電極層が第2接続用導体に接続された赤外線センサであって、
    前記センサ本体を前記第1接続用導体から離間させた状態で支持すると共に前記第1電極層および当該第1接続用導体を相互に接続する接続用バンプと、
    一端部が前記第2電極層における前記赤外線吸収層の形成面に接続されると共に他端部が前記第2接続用導体に接続されて当該第2電極層および当該第2接続用導体を相互に接続する接続用ワイヤとを備え、
    前記赤外線吸収層は、当該赤外線吸収層を構成する吸収層形成材料によって前記接続用ワイヤの前記一端部が覆われるように形成されている赤外線センサ。
  2. 平板状のセンサ素子における一方の面に第1電極層が形成され、かつ当該センサ素子の他方の面に第2電極層および赤外線吸収層がこの順で形成されたセンサ本体を備えると共に、前記第1電極層が第1接続用導体に接続され、かつ前記第2電極層が第2接続用導体に接続された赤外線センサを製造する際に、前記第1電極層および前記第1接続用導体を相互に接続する第1処理と、前記第2電極層および前記第2接続用導体を相互に接続する第2処理と、前記第2電極層の表面に前記赤外線吸収層を形成する第3処理とを予め規定された順序で実行する赤外線センサの製造方法であって、
    前記第1処理に際して前記第1電極層および前記第1接続用導体を接続用バンプによって相互に接続して前記センサ本体を当該第1接続用導体から離間させた状態で支持させ、かつ前記第2処理に際して前記第2電極層における前記赤外線吸収層の形成面に接続用ワイヤの一端部を接続する処理Aと前記第2接続用導体に前記接続用ワイヤの他端部を接続する処理Bとを実行して前記第2電極層および前記第2接続用導体を相互に接続すると共に、少なくとも前記処理Aを完了した後に前記第3の処理を実行して前記赤外線吸収層を構成する吸収層形成材料によって前記接続用ワイヤの前記一端部が覆われるように当該赤外線吸収層を形成する赤外線センサの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019020408A (ja) * 2017-07-19 2019-02-07 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター センサ保持基板及びセンサモジュール

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