JP2013167175A - 燃料タンクシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料タンクとキャニスタとを連通する配管の電磁弁を小型化できる燃料タンクシステムを得る。
【解決手段】燃料タンク14とキャニスタ34とを連通するベント配管36にダイヤフラム弁46を設ける。ダイヤフラム弁46の背圧室58とキャニスタ側ベント配管36Cとの間にキャニスタ側バイパス通路66を設ける。キャニスタ側バイパス通路66には電磁弁68を設ける。背圧室58には筒状部材86を設け、弁部材本体54が開弁方向に移動して筒状部材86に接触すると、背圧室58の容積が減少されるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料タンクシステムに関する。
特許文献1には、燃料タンクからキャニスタに至るエバポラインに電磁式の封鎖弁(開閉弁)を配設した蒸発燃料排出抑制装置が記載されている。この文献に記載された構成では、封鎖弁によりエバポラインを完全に閉じることで、密閉式の燃料タンクシステムを構成できるようになっている。
上記した構造の燃料タンクシステムでは、封鎖弁の弁体が開弁位置へ移動するとき、弁体の裏面(移動方向の前側の面)に燃料タンクのタンク内圧(正圧)が作用するため、開弁に必要な駆動力が大きくなり、封鎖弁(電磁弁)の大型化につながる。
特開2005−104394号公報
本発明は上記事実を考慮し、燃料タンクとキャニスタとを連通する配管の電磁弁を小型化できる燃料タンクシステムを得ることを課題とする。
請求項1に記載の発明では、内部に燃料を収容可能な燃料タンクと、前記燃料タンク内で生じた蒸発燃料を吸着剤によって吸着及び脱離するキャニスタと、前記キャニスタの内部を大気開放するための大気開放管と、前記燃料タンクと前記キャニスタとを連通し燃料タンク内の蒸発燃料をキャニスタに送るためのベント配管と、前記ベント配管において前記燃料タンクのタンク内圧が作用するように設けられた主室と該主室に対し弁部材本体を挟んで反対側の背圧室とに区画され、背圧室の圧力に対し主室の圧力が高くなって圧力差が開弁圧を超えると該圧力差で弁部材本体が開弁位置へ移動することでベント配管を連通する弁部材と、前記ベント配管における前記燃料タンクから前記弁部材までのタンク側ベント配管と前記背圧室とを連通可能なタンク側バイパス通路と、前記ベント配管における前記弁部材から前記キャニスタまでのキャニスタ側ベント配管と前記背圧室とを連通可能なキャニスタ側バイパス通路と、前記キャニスタ側バイパス通路に設けられてキャニスタ側バイパス通路を開閉するように制御される電磁弁と、前記圧力差が前記開弁圧よりも高い規定圧力を超えて前記弁部材本体が前記開弁位置から前記開弁方向にさらに移動すると前記背圧室の容積を減少させる容積減少手段と、を有する。
この燃料タンクシステムでは、燃料タンクとキャニスタとがベント配管によって連通可能とされている。また、ベント配管には、タンク側バイパス通路から背圧室を経てキャニスタ側バイパス通路に至るバイパス径路が構成されている。弁部材によってベント配管が連通不能に閉塞されると共に、キャニスタ側バイパス通路に設けられた電磁弁が閉弁されることで、燃料タンク内の蒸発燃料がキャニスタに移動しないように密閉することができる。
燃料タンク内の蒸発燃料を大量にキャニスタに送るときには、制御装置が電磁弁を開弁すると、キャニスタ側バイパス通路が開放されるので、背圧室が大気開放される。これに対し、主室にはタンク内圧(正圧)が作用しているので、主室の圧力が背圧室の圧力よりも相対的に高くなる。そして、背圧室と主室との圧力差が弁部材の開弁圧を超えると弁部材本体が開弁位置へ移動し、ベント配管を連通する。これにより、背圧室を大気開放することになるので、背圧室を大気開放しない構成と比較して、ベント配管を開放させるための弁部材の動作に必要な力は小さくて済み、弁部材の開弁圧が小さくなる。
この燃料タンクシステムは、容積減少手段を有している。容積減少手段は、背圧室と主室との圧力差が、弁部材の開弁圧よりも高い所定の規定圧力を超え、弁部材本体が開弁位置から開弁方向にさらに移動すると、背圧室の容積を減少させる。このように背圧室の容積が減少した状態では、燃料タンクのタンク内圧がタンク側ベント配管及びタンク側バイパス通路を通じて背圧室に作用した場合に、背圧室の容積が減少していない状態と比較して、背圧室の圧力が上昇しやすくなる。すなわち、背圧室と主室との圧力差が解消され、弁部材本体が開弁方向と反対方向すなわち閉弁位置へ移動しやすくなるので、弁部材の応答性が高くなる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記容積減少手段が、前記キャニスタ側バイパス通路との連通部分を取り囲むと共に前記弁部材本体と開口部が対向するように前記背圧室内で筒状に延出され、前記圧力差が前記規定圧力を超えて前記開弁方向に移動した前記弁部材本体が接触することで前記開口部が密閉される筒状部材である。
したがって、背圧室と主室との圧力差が規定圧力を超えて弁部材本体が開弁方向に移動し、筒状部材の開口部に接触すると、筒状部材の内側と外側とで気体が移動不能となり、実質的に、筒状部材の外側が背圧室として作用する。筒状部材の内側の容積分だけ、確実に背圧室の容積を減少させることができる。しかも、背圧室に筒状部材を設けるだけの簡単な構造で、容積減少手段を構成できる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記圧力差が前記規定圧力以下の状態では前記開弁方向に移動した前記弁部材本体が前記筒状部材の前記開口部に接触しないように該開口部の位置が設定されている。
背圧室と主室との圧力差が規定圧力以下の状態では、弁部材本体が筒状部材の開口部に接触せず、背圧室の容積が減少されない。したがって、電磁弁の開弁によって背圧室を大気開放した状態で、背圧室の圧力が低い状態を維持しやすくなり、ベント配管が連通された状態も維持しやすくなる。
請求項4に記載の発明では、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記背圧室に設けられ前記弁部材本体を前記開弁方向と反対方向に付勢するコイルバネを有し、前記筒状部材が前記コイルバネの内側に配置されている。
コイルバネにより、弁部材本体を開弁方向と反対方向に付勢することで、閉弁位置に安定的に維持可能となる。
筒状部材がコイルバネの内側に配置されているので、コイルバネの内側を有効に利用して、筒状部材を配置することができる。また、筒状部材によってコイルバネをその変形方向に案内することも可能であり、コイルバネの変形時の横ズレを抑制できる。
本発明は上記構成としたので、燃料タンクとキャニスタとを連通する配管の電磁弁を小型化できる。
本発明の第1実施形態の燃料タンクシステムの全体構成を示す概略図である。 本発明の第1実施形態の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁及び電磁弁が閉弁した状態で部分的に拡大して示す断面図である。 本発明の第1実施形態の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁が閉弁し電磁弁が開弁した状態で部分的に拡大して示す断面図である。 本発明の第1実施形態の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁及び電磁弁が開弁した状態で示す断面図である。 本発明の第1実施形態の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁の弁部材本体が開弁位置からさらに開弁方向に移動した状態で示す断面図である。 比較例の第1実施形態の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁及び電磁弁が閉弁した状態で部分的に拡大して示す断面図である。 ダイヤフラム弁及び電磁弁の開閉状態と、主室及び背圧室の圧力の時間変化を示すグラフであり、(A)が比較例の燃料タンクシステムの場合、(B)が第1実施形態の燃料タンクシステムの場合である。 本発明の第1実施形態の燃料タンクシステムにおいて燃料タンクの負圧を開放している状態で示す断面図である。 本発明の第2実施形態の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁及び電磁弁が閉弁した状態で部分的に拡大して示す断面図である。 本発明の第3実施形態の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁及び電磁弁が閉弁した状態で部分的に拡大して示す断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁及び電磁弁が閉弁した状態で部分的に拡大して示す断面図である。
図1には、本発明の第1実施形態の燃料タンクシステム12が示されている。この燃料タンクシステム12は、内部に燃料を収容可能な燃料タンク14を有している。
燃料タンク14には給油配管82の下部が接続されている。給油配管82の上端は給油口16とされており、この給油口16に給油ガンを差し入れて、燃料タンク14に給油することができる。給油時以外は、給油口16はたとえば給油口用キャップ18等で閉塞されている。
自動車のボデーパネルには、給油口16及び給油口用キャップ18を車体の外側から覆うリッド20が設けられている。リッド20は、リッドオープナースイッチ22を操作することで、制御装置32によって矢印R1方向に回転される。リッド20がこのように矢印R1方向に回転した状態では、給油口用キャップ18を給油口16から脱着すると共に、給油口16に給油ガンを差し入れることが可能となる。
リッド20の開閉状態は、リッド開閉センサ20Sで検出されて、制御装置32に送られる。本実施形態では、リッド20が開放された状態を「燃料タンクへの給油状態」とみなしており、リッド開閉センサ20Sは給油状態センサの一例となっている。給油状態センサとしては、リッド開閉センサ20Sに代えて、給油口用キャップ18の着脱状態を検出するセンサ等を用いることも可能である。
燃料タンク14内には、燃料ポンプ24が備えられている。燃料ポンプ24とエンジン26とは燃料供給配管28で接続されている。燃料ポンプ24の駆動により、燃料タンク14内の燃料を、燃料供給配管28を通じてエンジン26に送ることができる。
燃料タンク14には、タンク内圧センサ30が備えられている。タンク内圧センサ30は、燃料タンク14のタンク内圧を検出し、その情報を制御装置32に送る。
燃料タンクシステム12には、キャニスタ34が備えられている。キャニスタ34の内部には、蒸発燃料を吸着可能な吸着剤(活性炭等)が収容されている。キャニスタ34と燃料タンク14の上部とは、ベント配管36で接続されている。燃料タンク14内で生じた蒸発燃料は、このベント配管36を通じてキャニスタ34に送られる。
キャニスタ34には、エンジン26と連通するパージ配管38と、キャニスタ34内を大気開放する大気開放配管40とが接続されている。エンジン26の駆動時等において、エンジン26の負圧を作用させて、キャニスタ34内の吸着剤に吸着された蒸発燃料を脱離させ、エンジン26に送ることができる。このとき、大気開放配管40を通じてキャニスタ34に大気が導入される。
大気開放配管40には、診断用ポンプ42が備えられている。診断用ポンプ42は、制御装置32によって制御される。診断用ポンプ42は、キャニスタ34を通じて燃料タンクシステム12に所定の圧力を作用させることで、燃料タンクシステム12の故障等を診断するときに用いられる。
ベント配管36の一端(燃料タンク14内の端部)には、満タン規制バルブ44が取り付けられている。燃料タンク14内の燃料液面が所定の満タン液面以下では、満タン規制バルブ44は開弁されており、燃料タンク14内の蒸発燃料を含む気体をキャニスタ34に送ることができる。燃料タンク14内の燃料液面が所定の液面(満タン液面)を超えると、満タン規制バルブ44は閉弁される。これにより、燃料タンク14内の気体がキャニスタ34に流れなくなる。この状態で、さらに燃料タンク14内に給油されると、燃料が給油配管82を上昇して給油ガンに達する。給油ガンのオートストップ機能が働くと、給油が停止される。
ベント配管36の中間部分(燃料タンク14とキャニスタ34の間の部分)には、ダイヤフラム弁46が設けられている。ダイヤフラム弁46は、本発明の弁部材の一例である。以下、必要に応じて、このダイヤフラム弁46よりも燃料タンク側のベント配管36をタンク側ベント配管36Tといいい、ダイヤフラム弁46よりもキャニスタ34側のベント配管36をキャニスタ側ベント配管36Cという。
図2に詳細に示すように、ダイヤフラム弁46は、タンク側ベント配管36Tの他端側を偏平な円筒状に拡径した弁ハウジング48を有している。弁ハウジング48の内部には、キャニスタ側ベント配管36Cの一端側が弁ハウジング48と同軸となるように収容されており、弁座50が構成されている。この弁座50と弁ハウジング48の間の部分が主室52となっている。図1から分かるように、主室52はタンク側ベント配管36Tを通じて燃料タンク14の内部と連通可能になる。
弁座50の上端の開口部分は、弁部材本体54によって閉塞可能とされている。弁部材本体54の周囲は、ダイヤフラム56によって弁ハウジング48の内周面に固着されている。そして、弁部材本体54及びダイヤフラム56よりも図2において上側の空間が、背圧室58となっている。したがって、主室52と背圧室58とが、ダイヤフラム56によって区画されている。
弁部材本体54及びダイヤフラム56が圧力を受ける面積(受圧面積)は、背圧室58側の受圧面積の方が、主室52側の受圧面積よりも、弁座50の断面積の分だけ、広くなっている。
背圧室58には、弁ハウジング48の対向壁84(弁部材本体54と対向する壁)と弁部材本体54の間に圧縮コイルスプリング60が収容されている。圧縮コイルスプリング60は、弁部材本体54に対し、弁座50に向かう方向(矢印S1方向)の所定のバネ力を作用させている。さらに、ダイヤフラム56も、弁部材本体54に対し矢印S1方向への所定のバネ力を作用させている。これにより、弁部材本体54は、弁座50の開口部分を閉塞する方向に付勢されている。たとえば、主室52の内圧と背圧室58の内圧とが同程度である場合には、弁部材本体54は弁座50の開口部分に密着する。これにより、ダイヤフラム弁46は閉弁状態となり、ベント配管36における気体の移動が阻止される。
これに対し、たとえば、背圧室58が主室52よりも所定以上の負圧(内圧が低い状態)になると、圧縮コイルスプリング60及びダイヤフラム56のバネ力に抗して弁部材本体54が背圧室58側へ移動し、弁座50の開口部分を開放する。これにより、ダイヤフラム弁46は開弁状態となり、ベント配管36において、気体の移動が可能になる。
タンク側ベント配管36Tと背圧室58との間には、タンク側バイパス通路62が設けられている。このタンク側バイパス通路62を通じて、燃料タンク14と背圧室58との間で気体が移動可能となる。
タンク側バイパス通路62には、内径を局所的に小さくした縮径部64が設けられている。この縮径部64により、燃料タンク14と背圧室58との間の気体に移動に所定の抵抗が生じる。
なお、このように、燃料タンク14と背圧室58との間の気体に移動に所定の抵抗を生じさせる手段としては、タンク側バイパス通路62を局所的に縮径した構造に限定されない。たとえば、タンク側バイパス通路62の内径を全体的に小さくして、気体の移動に所定の抵抗を生じさせてもよい。さらに、タンク側バイパス通路62を所定位置で曲げて(屈曲でも湾曲でもよい)、気体の移動に所定の抵抗を生じさせてもよい。
キャニスタ側ベント配管36Cと背圧室58の対向壁84との間には、キャニスタ側バイパス通路66が設けられている。キャニスタ側バイパス通路66の中間部分には、制御装置32によって開閉制御される電磁弁68が設けられている。
電磁弁68は、電磁弁ハウジング70を有している。電磁弁ハウジング70内には、制御装置32によって通電制御されるコイル部72と、このコイル部72からの駆動力を受けて、矢印S2方向及びその反対方向に移動するプランジャ部74、及びプランジャ部74の先端に設けられた円板状の電磁弁本体76を有している。さらに、キャニスタ側バイパス通路66の一部(中間部分)が電磁弁ハウジング70内を通っている。
電磁弁本体76は、キャニスタ側バイパス通路66に設けられた弁座78に接触した状態では、キャニスタ側バイパス通路66を閉塞する。これに対し、図3に示すように、電磁弁本体76が弁座78から離れると、キャニスタ側バイパス通路66を通じて気体が移動可能となる。本実施形態では、電磁弁本体76が弁座78から離れる方向、すなわち、キャニスタ側バイパス通路66を開放するときの電磁弁本体76の移動方向が、背圧室58からの正圧を受ける方向と一致するように、電磁弁本体76の向きが設定されている。
プランジャ部74には、圧縮コイルスプリング80が装着されている。圧縮コイルスプリング80は、電磁弁本体76に対し所定のバネ力を矢印S2方向に作用させることで、制御装置32で制御されていない状態では、電磁弁本体76が不用意に弁座78から離れないようにしている。
背圧室58には、キャニスタ側バイパス通路66の開口部分を取り囲む筒状の筒状部材86が、対向壁84から弁部材本体54に向かって延出されており、その先端が弁部材本体54と対向する対向部86Fとされている。換言すれば、キャニスタ側バイパス通路66が、弁ハウジング48内で弁部材本体54の近傍まで、筒状部材86により延長されていることになる。そして、対向部86Fでは、筒状部材86が開口されており、本発明における開口部となっている。
特に、第1実施形態では、筒状部材86は、圧縮コイルスプリング60の内側に配置されている。圧縮コイルスプリング60が伸縮するとき、その内側の筒状部材86によって、圧縮コイルスプリング60が伸縮方向に案内され、横ズレ(伸縮方向と交差する方向に変形すること)が抑制される。
また、筒状部材86の先端(下端)には、径方向内側へ向かって環状のフランジ環88が延出されている。これにより、弁部材本体54が接触するときの接触面積が、フランジ環88が形成されていない構成と比較して広くなっており、弁部材本体54が筒状部材86の対向部86Fに安定的に接触する。また、接触面積が広いため、接触面の圧力は小さくなり、弁部材本体54の耐久性向上に寄与できる。
主室52と背圧室58との圧力が同程度(これらの圧力差が、ダイヤフラム弁46の開弁圧よりも小さい)の状態では、図2に示すように、弁部材本体54は下方に移動した閉弁位置にあり、ダイヤフラム弁46は閉弁状態になっている。閉弁状態では、弁座50と弁部材本体54とのとの間を気体が移動不能である。すなわち、燃料タンク14内の気体がベント配管36を通じてキャニスタ34に移動することはない。また、このとき、筒状部材86の先端(対向部86F)は、弁部材本体54との間に所定の隙間を構成して対向している。
これに対し、背圧室58の圧力が主室52の圧力に対して低下し、これらの圧力差がダイヤフラム弁46の開弁圧を超えると、弁部材本体54が閉弁位置から上方向(開弁方向)へ移動する。図4に示すように、弁部材本体54は、弁座50から離間するが、対向部86Fとも非接触となる。この状態では、弁部材本体54は開弁位置にあり、ダイヤフラム弁46は開弁状態になっている。開弁状態では、燃料タンク14内の気体がベント配管36を通じてキャニスタ34に移動可能になっている。
さらに、主室52と背圧室58との圧力差が大きくなって、ダイヤフラム弁46の開弁圧よりも高い所定の規定圧力を超えると、図5に示すように、弁部材本体54が開弁位置から上方向(開弁方向)へとさらに移動し、対向部86Fに下側から接触する。この状態では、弁部材本体54が筒状部材86の対向部86Fを密閉する。
このように弁部材本体54によって対向部86Fが密閉されると、燃料タンク14のタンク内圧がタンク側バイパス通路62を通じて作用する部分(実質的な背圧室58)として作用する領域は、筒状部材86の外側部分となる。すなわち、弁部材本体54が対向部86Fと非接触になっている状態(図2及び図3参照)と比較して、背圧室58の容積が、筒状部材86の内側の分だけ少なくなっている。
次に、本実施形態の燃料タンクシステム12の作用を説明する。
本実施形態の燃料タンクシステム12では、通常状態、すなわち、燃料タンク14に給油していない状態(車両は走行中であっても駐車中であってもよい)では、図2に示すように、電磁弁68の電磁弁本体76は閉弁されている。また、ダイヤフラム弁46の弁部材本体54も閉弁されている。このため、燃料タンク14のタンク内圧が、ダイヤフラム弁46の主室52及び背圧室58の双方に作用している。ダイヤフラム弁46は、圧縮コイルスプリング60及びダイヤフラム56のバネ力により閉弁状態を維持しており、不用意に開弁されることはない。
燃料の給油時には、リッドオープナースイッチ22が操作されると、制御装置32は、リッド20を開放する。さらに制御装置32は、図3に示すように、電磁弁68を開弁する。これにより、ダイヤフラム弁46の背圧室58は、大気開放配管40からキャニスタ34、キャニスタ側ベント配管36C及びキャニスタ側バイパス通路66を通じて大気開放される。すなわち、背圧室58の圧力が低下し大気圧に近づく。
これに対し、主室52も、背圧室58からさらにタンク側バイパス通路62及びタンク側ベント配管36Tを通じて大気開放される。しかし、本実施形態では、タンク側バイパス通路62に縮径部64が設けられており、主室52と背圧室58との間の気体の移動に所定の抵抗が生じるため、主室52の圧力が背圧室58の圧力と同程度になるには長い時間を要する。すなわち、背圧室58と主室52との間に圧力差が生じた状態(背圧室58の方が主室52よりも圧力が低い状態)となる。したがって、背圧室58と主室52との間に、このような圧力差が生じない構成と比較して、ダイヤフラム弁46をより小さな開弁圧で開弁させることができる。これにより、背圧室58と主室52と圧力差がダイヤフラム弁46の開弁圧を超えると、図4に示すように、弁部材本体54が背圧室58側(上側)へ移動し、ダイヤフラム弁46が開弁される。ただし、給油時には、ダイヤフラム弁46が開弁されることでキャニスタ側ベント配管36Cを通じて気体をキャニスタ34側に逃がすことができる等の理由で、背圧室58と主室52との圧力差が、規定圧力には達しにくい。このため、弁部材本体54は筒状部材86の対向部86Fには接触しない、
ここで、ダイヤフラム弁46を小さな開弁圧で開弁させるためには、弁部材本体54を小型化することが考えられる。しかし、弁部材本体54は、弁座50を閉塞する部材であるため、弁部材本体54を小型化すると、弁座50、すなわち、キャニスタ側ベント配管36Cの一部の内径も小さくする必要が生じる。したがって、ダイヤフラム弁46の開弁時に、ベント配管36の流量を確保する観点からは、弁座50を大径化することが望まれる。これに伴い、弁部材本体54も大型になるが、このように大型化された弁部材本体54であっても、小さな開弁圧で開弁可能となる。
本実施形態では、ダイヤフラム弁46の弁部材本体54は上記したように大型化できるのに対し、電磁弁68の電磁弁本体76は、ベント配管36(弁座50)を開閉する作用を奏する必要がなく、キャニスタ側バイパス通路66を開閉できればよいため、小型化できる。電磁弁本体76において、燃料タンク14のタンク内圧を受ける面積も小さくなるので、電磁弁68の閉弁に必要な押し付け荷重(図2における矢印S2方向の荷重)も小さくできる。これにより、電磁弁68として小型化及び省電力化を図り、低コストで且つ燃費に優れた燃料タンクシステム12を得ることができる。
特に、本実施形態では、電磁弁68の電磁弁本体76の開弁方向と、背圧室58から電磁弁本体76に正圧が作用する方向とが一致している(図2における矢印S2と反対の方向)。このため、電磁弁本体76を開弁方向に移動させるためのコイル部72からの駆動力も小さくて済み、より省電力化を測ることができる。
なお、本実施形態では、上記したように、弁座50の内径を大きくしても、ダイヤフラム弁46の開弁圧、すなわち弁部材本体54の動作に必要な力は少なくて済む。弁座50すなわちベント配管36の内径を大きくすることで、ベント配管36の通気抵抗を低減することができる。これにより、給油時に燃料タンク14内で発生する蒸発燃料が、ベント配管36を通じてキャニスタ34へ流れやすくなり、給油を行いやすい燃料タンクシステム12となる。
また、給油前には、ダイヤフラム弁46が開弁されることで、燃料タンク14のタンク内圧が低下される。本実施形態では、ベント配管36の通気抵抗を小さくすることで、タンク内圧を低下させるために必要な時間も短縮され、より短時間での給油が可能になる。
車両の走行中は、図1に示すように、タンク内圧センサ30によって燃料タンク14のタンク内圧が検出されている。このタンク内圧が、あらかじめ設定された所定値を超えていない場合は、図2に示すように、制御装置32は電磁弁68を閉弁している。ダイヤフラム弁46も閉弁されているので、燃料タンク14は密閉されている。燃料タンク14内で発生した蒸発燃料がキャニスタ34に移動することはない。
タンク内圧が所定値を超えると、制御装置32は電磁弁68を開閉制御する(ここでいう「開閉制御」には電磁弁68を開弁状態に維持することも含まれる)。電磁弁68の開弁時(図3に示した状態と同様の状態)には、タンク側ベント配管36Tからタンク側バイパス通路62、背圧室58、キャニスタ側バイパス通路66、キャニスタ側ベント配管36Cを経てキャニスタ34へ蒸発燃料が移動可能となる。
そして、たとえば電磁弁68を適切に開閉制御することで、ベント配管36を流れる蒸発燃料の流量とタンク内圧とを制御することが可能になる。この場合、電磁弁68の開閉制御は、電磁弁本体76の矢印S2方向又は反対方向への移動量を調整することで流路の断面積を調整するようにしてもよい。また、デューティー制御(弁部材本体54の開弁位置と閉弁位置とを切り替える時間の制御)で行ってもよい。
電磁弁68の開弁時には背圧室58が大気開放されるのに対し、主室52にはタンク内圧が直接的に作用している。このとき、上記した給油時と同様に、タンク側バイパス通路62の縮径部64によって、主室52と背圧室58との間の気体の移動に所定の抵抗が生じるため、主室52と背圧室58との圧力差が大きくなる。そして、この圧力差が、ダイヤフラム弁46の開弁圧よりも大きい規定圧力を超えると、弁部材本体54は、開弁方向(矢印S1と反対の方向)にさらに移動する。
図5に示すように、弁部材本体54が対向部86Fに接触すると、背圧室58の容積が減少する。また、筒状部材86の内側からキャニスタ側バイパス通路66の内部までの部分には、タンク内圧が作用しなくなる。これにより、燃料タンク14のタンク内圧が作用する領域(背圧室58)が狭くなっているため、電磁弁68を閉弁したとき、背圧室58の圧力が上昇しやすくなる。そして、背圧室58と主室52との圧力差が解消され、弁部材本体54が閉弁位置へ移動しやすくなる。すなわち、ダイヤフラム弁46が開弁状態から閉弁状態に移るときの応答性が高くなる。
図6には、比較例の燃料タンクシステム152が、ダイヤフラム弁156及びその近傍で拡大して示されている。比較例の燃料タンクシステム152では、第1実施形態に係る筒状部材86(図2参照)が設けられていないが、これ以外は、第1実施形態の燃料タンクシステム12と同一の構成とされている。
また、図7には、燃料タンクシステム12、152において、電磁弁68を開弁した時点からの、ダイヤフラム弁46及び電磁弁68の開閉状態と、主室52及び背圧室58の圧力変化とが定性的に示されている。図7(A)が比較例の燃料タンクシステム152に対応し、図7(B)が第1実施形態の燃料タンクシステム12に対応している。双方のグラフにおいて、主室52の圧力変化を点線L1で、背圧室58の圧力変化を実線L2で示している。
図7(A)から分かるように、比較例の燃料タンクシステム12では、電磁弁68の開弁により、背圧室58の圧力が低下している。ダイヤフラム弁46が閉弁状態であっても、主室52の気体がタンク側バイパス通路62を通じて背圧室58に移動するので、主室52の圧力は僅かに減少していくが、背圧室58と主室52との圧力差は徐々に大きくなる。
そして、この圧力差が開弁圧に達すると(時間T1)ダイヤフラム弁46が開弁される。主室52から、気体がキャニスタ側ベント配管36Cを通じてキャニスタ34に移動するので、その後は、主室52の圧力も、ダイヤフラム弁46の閉弁時と比較して、急激に低下する。
その後、電磁弁68を閉弁すると(時間T2)、背圧室58にはタンク側バイパス通路62を通じて燃料タンク14の内圧が作用するための圧力は徐々に上昇する。そして、背圧室58と主室52との圧力差が閉弁圧に達すると(時間T3)、ダイヤフラム弁46が閉弁される。比較例の燃料タンクシステム12では、電磁弁68の閉弁から、ダイヤフラム弁46の閉弁までに時間ΔT’を要している。
これに対し、第1実施形態の燃料タンクシステム12では、図7(B)から分かるように、電磁弁68が閉弁されている状態で、背圧室58と主室52との圧力差がダイヤフラム弁46の開弁圧に達する(時間T1)までは、ダイヤフラム弁46は開弁されず、主室52の圧力低下は僅かである。そして、背圧室58と主室52との圧力差がダイヤフラム弁46の開弁圧に達すると(時間T1)、ダイヤフラム弁46は開弁され、主室52の圧力が、より急激に低下する。ここまでは、比較例の燃料タンクシステム152と略同様の挙動である。
しかし、本実施形態の燃料タンクシステム12では、背圧室58に筒状部材86が設けられており、さらに背圧室58の圧力が低下して圧力差は規定圧力を超えると、弁部材本体54が筒状部材86の先端部に接触する。この状態では、弁部材本体54が筒状部材86の対向部86Fを密閉するため、背圧室58の容積が減少している。燃料タンク14のタンク内圧が作用する領域(背圧室58)が狭くなっているため、電磁弁68を閉弁したとき(時間T2)、背圧室58の圧力が、比較例の燃料タンクシステム152よりも上昇しやすくなっている。すなわち、本実施形態の燃料タンクシステム12では、背圧室58と主室52との圧力差が少なくなって弁部材本体54が閉弁位置となる(時間T3)ために必要な時間が、図7(B)に示す時間ΔTで済む。この時間ΔTは、比較例における同様の時間ΔT’よりも短い。
以上の説明から分かるように、本実施形態の燃料タンクシステム12では、電磁弁68を閉弁し、ダイヤフラム弁46が開弁状態から閉弁状態に移るときの応答性が、比較例の燃料タンクシステム12よりも高くなっている。
なお、このようにして電磁弁68が開閉制御され(ダイヤフラム弁46も開閉され)いわゆる「圧抜き」が行われると、燃料タンク14からベント配管36を通じて、燃料タンク14内の蒸発燃料を含む気体が排出される。排出された蒸発燃料は、キャニスタ34の吸着剤で吸着されてもよいが、エンジン26が駆動している場合には、さらにパージ配管38を通じてエンジン26に送り、エンジン26で燃焼させてもよい。
なお、本実施形態の燃料タンクシステム12では、このように、タンク内圧が所定値を超えたときのベント配管36における流量調整を行う部材を、給油時に背圧室58を大気開放するための電磁弁68が兼ねていることになる。したがって、これらの作用を奏する部材を別々に設けた構成と比較して、低コストで構成できると共に、軽量となる。
車両の駐車中においても、通常は、電磁弁68及びダイヤフラム弁46が閉弁されているので、燃料タンク14は密閉されている。燃料タンク14内で発生した蒸発燃料がキャニスタ34に移動することはない。
車両の駐車中に、燃料タンク14のタンク内圧が正圧(大気圧よりも高い状態)になったときには、タンク内圧は背圧室58を通じて、電磁弁68の電磁弁本体76を開弁する方向(図2に示す矢印S2と反対の方向)に作用する。駐車中は電磁弁68が制御装置32によって開閉制御されない。しかし、タンク内圧が所定の閾値(以下「正圧閾値」という)を超えた場合には、タンク内圧(正圧)を受けた電磁弁本体76が、圧縮コイルスプリング80のバネ力に抗して開弁方向に移動する(図3お同様の状態になる)。すなわち、電磁弁68は、燃料タンク14の正圧を開放する正圧開放弁として動作しており、正圧開放弁をあらたに設ける必要がない。したがって、正圧開放弁を別に設けた構成と比較して、低コストで構成できると共に、軽量となる。
しかも、本実施形態の燃料タンクシステム12における電磁弁68は、上記したように給油時や走行時等にも所定の条件で開閉制御される。換言すれば、タンク内圧が正圧閾値を超えた場合以外にも、電磁弁本体76は開弁位置と閉弁位置との間を移動している。このため、タンク内圧が正圧閾値を超えた場合にのみ開弁される正圧開放弁と比較して、電磁弁本体76が弁座78に不用意に固着する現象が発生しづらくなり、耐固着性が向上する。
車両の駐車中に、燃料タンク14のタンク内圧が負圧(大気圧よりも低い状態)になったときには、タンク内圧(負圧)は、背圧室58を通じて、ダイヤフラム弁46の弁部材本体54を開弁する方向(図2に示す矢印S1と反対の方向)に作用する。タンク内圧が所定の閾値(以下「負圧閾値」という)よりも低くなった場合には、図7に示すように、タンク内圧(負圧)を背圧室58側から受けた弁部材本体54が、圧縮コイルスプリング60及びダイヤフラム56のバネ力に抗して、開弁方向(矢印S1と反対の方向)に移動する。すなわち、ダイヤフラム弁46は、燃料タンク14の負圧を開放する負圧開放弁として動作しており、負圧開放弁をあらたに設ける必要がない。したがって、負圧開放弁を別に設けた構成と比較して、低コストで構成できると共に、軽量となる。
しかも、本実施形態の燃料タンクシステム12におけるダイヤフラム弁46は、上記したように、給油時等においても所定の条件で開閉される。換言すれば、タンク内圧が負圧閾値を下回った場合以外にも、弁部材本体54は開弁位置と閉弁位置との間を移動している。このため、タンク内圧が負圧閾値を下回った場合にのみ開弁される負圧開放弁と比較して、弁部材本体54が弁座50に不用意に固着する現象が発生しづらくなり、耐固着性が向上する。
図9には、本発明の第2実施形態の燃料タンクシステム112が、ダイヤフラム弁116及びその近傍で拡大して示されている。第2実施形態において、燃料タンクシステムの全体的構成は第1実施形態と同一であるので、図示を省略する。また、第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素、部材等については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
第2実施形態では、筒状部材118が圧縮コイルスプリング60の外側を取り囲むように円筒状に形成されている。また、第1実施形態に係るフランジ環88(図2参照)は形成されておらず、筒状部材118の先端部分のみが、弁座50と対向する対向部118Fとされている。これ以外は、第1実施形態と同様の構成とされている。
このような構成とされた第2実施形態の燃料タンクシステム112においても、第1実施形態の燃料タンクシステム12と略同様の作用効果を奏する。特に第2実施形態では、第1実施形態と比較して、筒状部材118が圧縮コイルスプリング60の外側に配置されているため、弁部材本体54が筒状部材118の先端に接触したときの実質的な背圧室58の容積は、さらに小さくなっている。このため、圧抜き時に電磁弁68が閉弁されたときの背圧室58の圧力上昇の程度も、第1実施形態よりも大きくなる。
なお、第2実施形態では、第1実施形態に係るフランジ環88は形成されていないが、筒状部材118自体が、第1実施形態の筒状部材86よりも大径化されているので、対向部118Fも大径化されており、弁部材本体54が接触するときの接触面積としても広く確保できる。
これに対し、第1実施形態では、筒状部材86が圧縮コイルスプリング60の内側に配置されているので、第2実施形態と比較して、圧縮コイルスプリング60の伸縮時に圧縮コイルスプリング60を案内して、横ズレを抑制する効果が高い。
また、第1実施形態では、第2実施形態と比較して、背圧室58が広いため、背圧室58からの圧力を弁部材本体54及びダイヤフラム56が受ける面積(受圧面積)を広く確保できる。
なお、このように、弁部材本体54及びダイヤフラム56の背圧室58からの受圧面積を広く確保する観点からは、第1実施形態において、筒状部材86の少なくとも先端部分(対向部86Fの近傍の部分)を小径化すればよい。
図10には、本発明の第3実施形態の燃料タンクシステム122が、ダイヤフラム弁126及びその近傍で拡大して示されている。第3実施形態においても、燃料タンクシステムの全体的構成は第1実施形態と同一であるので、図示を省略する。また、第3実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素、部材等については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
第3実施形態では、第2実施形態と同様の形状の筒状部材118を有しているが、ダイヤフラム弁126の弁ハウジング128の形状が、第1実施形態及び第2実施形態のダイヤフラム弁46の弁ハウジング48の形状と異なっている。
すなわち、第3実施形態に係る弁ハウジング128は、対向壁84が、キャニスタ側バイパス通路66の近傍の高位部84Hと、この高位部84Hの周辺の低位部84Lとで段差を有する形状とされている。高位部84Hは、第1実施形態及び第2実施形態に係る対向壁84と略同位置とされているが、低位部84Lは、ダイヤフラム56に近い位置に形成されている。これにより、第3実施形態では、第2実施形態と比較して、背圧室58の容積がさらに小さくなっている。そして、高位置部84Hと低位置部84Lとが、筒状部材118を介して連続している。
このような構成とされた第3実施形態の燃料タンクシステム122においても、第1実施形態の燃料タンクシステム12及び第2実施形態の燃料タンクシステム112と略同様の作用効果を奏する。特に第3実施形態では、第2実施形態と比較して、背圧室58の容積が本来的に(弁部材本体54の位置に関わらす)小さい。そして、弁部材本体54が対光学部品118Fに接触すると、背圧室58の容積がさらに減少されるので、圧抜き時に電磁弁68が閉弁されたときの背圧室58の圧力上昇の程度も、第2実施形態よりさらに大きくなる。
上記では、本発明の容積減少手段として、筒状部材86、118を挙げているが、容積減少手段はこれらの筒状部材に限定されない。要するに、弁部材本体が規定圧力で、開弁値からさらに開弁方向に移動したときに、背圧室の容積を減少させることができればよい。たとえば、このような作用を奏するように、背圧室58を構成している弁ハウジング48の外周壁を機械的に移動させるような構造であってもよい。
また、上記では、弁部材本体54が筒状部材86、118の対向部86F、118Fに接触することで、背圧室58の容積を減少させる例を挙げているが、弁部材本体54が対向部86F、118Fに接触していなくても、たとえば、他の開閉部材(たとえば開閉弁やシャッター等)によって筒状部材86、118の内部を閉塞すれば、背圧室58の容積を減少させることができる。この場合、開閉部材を設ける位置は、筒状部材86、118の開口部(対向部86F、118F)あるいはその近傍(筒状部材86、118の先端側)が好ましい。
上記では、電磁弁68の電磁弁本体76として、その開弁方向が背圧室58から正圧が作用する方向と一致する向きとされたものを挙げている。しかし、電磁弁本体76の開弁方向はこれに限定されず、図11に示すように、電磁弁本体76の開弁方向が、背圧室58からの正圧の作用方向と反対になっていてもよい。この構成では、電磁弁本体76を閉弁位置に維持するためのコイル部72からの駆動力が小さくて済む。
本発明の弁部材として、上記ではダイヤフラム弁46を挙げているが、弁部材はダイヤフラム弁46に限定されない。たとえば、ダイヤフラム56を無くすと共に、弁部材本体54をその外周が弁ハウジング48の内周に接触するように大径化した構成でもよい。この構成では、弁部材本体54が単独で主室52と背圧室58とを区画すると共に、弁座50に接触することでベント配管36を閉塞する位置と、弁座50から離れることでベント配管36を開放する位置とを移動する。
12 燃料タンクシステム
14 燃料タンク
34 キャニスタ
36 ベント配管
36T タンク側ベント配管
36C キャニスタ側ベント配管
40 大気開放配管
46 ダイヤフラム弁(弁部材)
52 主室
54 弁部材本体
58 背圧室
60 圧縮コイルスプリング
62 タンク側バイパス通路
66 キャニスタ側バイパス通路
68 電磁弁
86 筒状部材(容積減少手段)
86F 対向部(開口部)
112 燃料タンクシステム
118 筒状部材(容積減少手段)
118F 対向部(開口部)
122 燃料タンクシステム

Claims (4)

  1. 内部に燃料を収容可能な燃料タンクと、
    前記燃料タンク内で生じた蒸発燃料を吸着剤によって吸着及び脱離するキャニスタと、
    前記キャニスタの内部を大気開放するための大気開放管と、
    前記燃料タンクと前記キャニスタとを連通し燃料タンク内の蒸発燃料をキャニスタに送るためのベント配管と、
    前記ベント配管において前記燃料タンクのタンク内圧が作用するように設けられた主室と該主室に対し弁部材本体を挟んで反対側の背圧室とに区画され、背圧室の圧力に対し主室の圧力が高くなって圧力差が開弁圧を超えると該圧力差で弁部材本体が開弁位置へ移動することでベント配管を連通する弁部材と、
    前記ベント配管における前記燃料タンクから前記弁部材までのタンク側ベント配管と前記背圧室とを連通可能なタンク側バイパス通路と、
    前記ベント配管における前記弁部材から前記キャニスタまでのキャニスタ側ベント配管と前記背圧室とを連通可能なキャニスタ側バイパス通路と、
    前記キャニスタ側バイパス通路に設けられてキャニスタ側バイパス通路を開閉するように制御される電磁弁と、
    前記圧力差が前記開弁圧よりも高い規定圧力を超えて前記弁部材本体が前記開弁位置から前記開弁方向にさらに移動すると前記背圧室の容積を減少させる容積減少手段と、
    を有する燃料タンクシステム。
  2. 前記容積減少手段が、前記キャニスタ側バイパス通路との連通部分を取り囲むと共に前記弁部材本体と開口部が対向するように前記背圧室内で筒状に延出され、前記圧力差が前記規定圧力を超えて前記開弁方向に移動した前記弁部材本体が接触することで前記開口部が密閉される筒状部材である請求項1に記載の燃料タンクシステム。
  3. 前記圧力差が前記規定圧力以下の状態では前記開弁方向に移動した前記弁部材本体が前記筒状部材の前記開口部に接触しないように該開口部の位置が設定されている請求項2に記載の燃料タンクシステム。
  4. 前記背圧室に設けられ前記弁部材本体を前記開弁方向と反対方向に付勢するコイルバネを有し、
    前記筒状部材が前記コイルバネの内側に配置されている請求項2又は請求項3に記載の燃料タンクシステム。
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