JP5783052B2 - 燃料タンクシステム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料タンクシステムに関する。
特許文献1には、燃料タンクからキャニスタに至るエバポラインに電磁式の封鎖弁(開閉弁)を配設した蒸発燃料排出抑制装置が記載されている。この文献に記載された構成では、封鎖弁によりエバポラインを完全に閉じることで、密閉式の燃料タンクシステムを構成できるようになっている。
上記した構造の燃料タンクシステムでは、給油時以外で、燃料タンクのタンク内圧が高くなったときに燃料タンク内の気体をキャニスタ等に逃がす場合に、封鎖弁を開弁する必要がある。しかし、タンク内圧が高い状態で封鎖弁を開弁すると、大量の蒸発燃料を含む気体がキャニスタに移動してしまう。
特開2005−104394号公報
本発明は上記事実を考慮し、燃料タンクとキャニスタとを連通する配管における気体の流れを適切に制御可能な燃料タンクシステムを得ることを課題とする。
請求項1に記載の発明では、内部に燃料を収容可能な燃料タンクと、前記燃料タンク内で生じた蒸発燃料を吸着剤によって吸着及び脱離するキャニスタと、前記キャニスタの内部を大気開放するための大気開放管と、前記燃料タンクと前記キャニスタとを連通し燃料タンク内の蒸発燃料をキャニスタに送るためのベント配管と、前記ベント配管において前記燃料タンクのタンク内圧が作用するように設けられた主室と該主室に対し弁部材本体を挟んで反対側の背圧室とに区画され、背圧室の圧力に対し主室の圧力が高くなって弁部材本体が移動すると開弁してベント配管を連通可能とする弁部材と、前記ベント配管における前記燃料タンクから前記弁部材までのタンク側ベント配管と前記背圧室とを連通させ気体の移動に抵抗を生じさせるタンク側バイパス流路と、前記ベント配管における前記弁部材から前記キャニスタまでのキャニスタ側ベント配管と前記背圧室とを連通可能なキャニスタ側バイパス流路と、前記キャニスタ側バイパス流路に設けられてキャニスタ側バイパス流路を開閉するように制御される第1電磁弁と、前記タンク側ベント配管と前記キャニスタ側ベント配管とを前記弁部材をバイパスして連通可能な弁部材バイパス流路と、前記弁部材バイパス流路に設けられて弁部材バイパス流路を開閉するように制御される第2電磁弁と、前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁を開閉制御する制御装置と、を有する。
この燃料タンクシステムでは、燃料タンクとキャニスタとがベント配管によって連通可能とされている。また、ベント配管には、タンク側バイパス流路から背圧室を経てキャニスタ側バイパス流路に至るバイパス径路が構成されている。弁部材によってベント配管が連通不能に閉塞されると共に、キャニスタ側バイパス流路に設けられた1電磁弁が閉弁されることで、燃料タンク内の蒸発燃料がキャニスタに移動しないように密閉することができる。
燃料タンク内の蒸発燃料を大量にキャニスタに送るときには、制御装置が第1電磁弁を開弁すると、キャニスタ側バイパス流路が開放されるので、背圧室が大気開放される。これに対し、主室にはタンク内圧(正圧)が作用しているので、主室の圧力が背圧室の圧力よりも相対的に高くなる。背圧室を大気開放しない構成と比較して、ベント配管を開放させるための弁部材の動作に必要な力は小さくて済む。弁部材の開弁圧が小さくなる。
また、タンク側ベント配管とキャニスタ側ベント配管とは、弁部材バイパス流路によって連通可能とされている。燃料タンク内の気体を少量のみキャニスタに送るときは、弁部材が開弁状態を維持しつつ、制御装置が第2電磁弁を開閉制御する。これにより、燃料タンクの気体を少量のみキャニスタに送ることが可能になる。
このように、弁部材に加えて、第1電磁弁及び第2電磁弁を有する構成とすることで、燃料タンクからキャニスタへのベント配管における気体の流れを適切に制御することが可能になる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記燃料タンクへの給油状態を検知する給油状態センサを備え、前記制御装置が、前記給油状態センサで前記燃料タンクへの給油状態を検出すると第1電磁弁が開弁する。
給油状態センサによって給油状態が検出されたときに、制御装置が第1電磁弁を開弁すると、キャニスタ側バイパス流路が開放され、背圧室は大気開放される。これに対し、主室にはタンク内圧(正圧)が作用しているので、主室の圧力が背圧室の圧力よりも相対的に高くなる。このため、背圧室を大気開放しない構成と比較して、弁部材の開弁圧が小さくなる。そして、第1電磁弁としてはキャニスタ側バイパス流路を開閉できる大きさであれば十分である。このため、弁部材の大きさと比較して第1電磁弁の大きさを小さくできる。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記燃料タンクのタンク内圧を検出するタンク内圧センサを備え、前記制御装置が、前記タンク内圧センサで検出された前記タンク内圧が所定の内圧閾値以下の状態では前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁を閉弁する。
すなわち、タンク内圧センサで検出されたタンク内圧が所定の内圧閾値以下の状態では、制御装置は、第1電磁弁及び第2電磁弁の双方を閉弁する。第1電磁弁が閉弁されるので、背圧室は大気開放されず、燃料タンクのタンク内圧が作用しており、弁部材は開弁状態に移動しない。
このように、背圧室、第1電磁弁及び第2電磁弁がいずれも閉弁状態を維持するので、燃料タンク内の蒸発燃料がキャニスタに移動しないように、燃料タンクを密閉することができる。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記燃料タンクのタンク内圧を検出するタンク内圧センサを備え、前記制御装置が、前記タンク内圧センサで検出された前記タンク内圧が所定の内圧閾値を超えた状態では前記第2電磁弁を開弁する。
すなわち、タンク内圧センサで検出されたタンク内圧が所定の内圧閾値を超えた状態では、制御装置は、第2電磁弁を開弁する。これにより、燃料タンク内の気体が、タンク側ベント配管、弁部材バイパス流路及びキャニスタ側ベント配管を経てキャニスタに移動するため、たとえば車両走行中におけるタンク内圧の過度の上昇を抑制できる。なお、第2電磁弁の開度調整等により開弁制御してもよく、この開弁制御により、タンク内圧と、キャニスタに移動する蒸発燃料の量を調整することが可能となる。
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記制御装置が前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁を開閉制御していない状態では、第1電磁弁及び第2電磁弁が閉弁されている。
第1電磁弁及び第2電磁弁は、制御装置によって制御されていない状態では閉弁状態を維持可能なので、効率的に燃料タンクを密閉した状態を保つことができる。
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記第2電磁弁が、前記燃料タンクから所定の正圧閾値を超える圧力が作用すると前記制御装置の制御によらず開弁する開弁圧に設定されている。
第2電磁弁に、燃料タンクから所定の正圧閾値を超える圧力が作用すると、第2電磁弁は、制御装置の制御によらず開弁する。これにより、たとえば車両駐車中であっても弁部材バイパス流路が開放されるので、タンク内圧の過度の上昇を抑制できる。
そして、第2電磁弁が、タンク内圧の過度の上昇を抑制するための弁を兼ねているので、あららにこの作用を奏する弁を設ける必要がない。
本発明は上記構成としたので、燃料タンクとキャニスタとを連通する配管における気体の流れを適切に制御可能となる。
本発明の第1実施形態の燃料タンクシステムの全体構成を示す概略図である。 本発明の第1実施形態の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁、第1電磁弁及び第2電磁弁が閉弁した状態で部分的に拡大して示す断面図である。 本発明の第1実施形態の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁が閉弁し電磁弁が開弁した状態で部分的に拡大して示す断面図である。 本発明の第1実施形態の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁及び電磁弁が開弁した状態で示す断面図である。 本発明の第1実施形態の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁及び第1電磁弁が閉弁し第2電磁弁が開弁した状態で部分的に拡大して示す断面図である。 本発明の第1実施形態の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁が開弁し第1電磁弁及び第2電磁弁が閉弁した状態で部分的に拡大して示す断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例の燃料タンクシステムにおいてダイヤフラム弁、第1電磁弁及び第2電磁弁が閉弁した状態で部分的に拡大して示す断面図である。
図1には、本発明の第1実施形態の燃料タンクシステム12が示されている。この燃料タンクシステム12は、内部に燃料を収容可能な燃料タンク14を有している。
燃料タンク14には給油配管82の下部が接続されている。給油配管82の上端は給油口16とされており、この給油口16に給油ガンを差し入れて、燃料タンク14に給油することができる。給油時以外は、給油口16はたとえば給油口用キャップ18等で閉塞されている。
自動車のボデーパネルには、給油口16及び給油口用キャップ18を車体の外側から覆うリッド20が設けられている。リッド20は、リッドオープナースイッチ22を操作することで、制御装置32によって矢印R1方向に回転される。リッド20がこのように矢印R1方向に回転した状態では、給油口用キャップ18を給油口16から脱着すると共に、給油口16に給油ガンを差し入れることが可能となる。
リッド20の開閉状態は、リッド開閉センサ20Sで検出されて、制御装置32に送られる。本実施形態では、リッド20が開放された状態を「燃料タンクへの給油状態」とみなしており、リッド開閉センサ20Sは給油状態センサの一例となっている。給油状態センサとしては、リッド開閉センサ20Sに代えて、給油口用キャップ18の着脱状態を検出するセンサ等を用いることも可能である。
燃料タンク14内には、燃料ポンプ24が備えられている。燃料ポンプ24とエンジン26とは燃料供給配管28で接続されている。燃料ポンプ24の駆動により、燃料タンク14内の燃料を、燃料供給配管28を通じてエンジン26に送ることができる。
燃料タンク14には、タンク内圧センサ30が備えられている。タンク内圧センサ30は、燃料タンク14のタンク内圧を検出し、その情報を制御装置32に送る。
燃料タンクシステム12には、キャニスタ34が備えられている。キャニスタ34の内部には、蒸発燃料を吸着可能な吸着剤(活性炭等)が収容されている。キャニスタ34と燃料タンク14の上部とは、ベント配管36で接続されている。燃料タンク14内で生じた蒸発燃料は、このベント配管36を通じてキャニスタ34に送られる。
キャニスタ34には、エンジン26と連通するパージ配管38と、キャニスタ34内を大気開放する大気開放配管40とが接続されている。エンジン26の駆動時等において、エンジン26の負圧を作用させて、キャニスタ34内の吸着剤に吸着された蒸発燃料を脱離させ、エンジン26に送ることができる。このとき、大気開放配管40を通じてキャニスタ34に大気が導入される。
大気開放配管40には、診断用ポンプ42が備えられている。診断用ポンプ42は、制御装置32によって制御される。診断用ポンプ42は、キャニスタ34を通じて燃料タンクシステム12に所定の圧力を作用させることで、燃料タンクシステム12の故障等を診断するときに用いられる。
ベント配管36の一端(燃料タンク14内の端部)には、満タン規制バルブ44が取り付けられている。燃料タンク14内の燃料液面が所定の満タン液面以下では、満タン規制バルブ44は開弁されており、燃料タンク14内の蒸発燃料をキャニスタ34に送ることができる。燃料タンク14内の燃料液面が所定の液面(満タン液面)を超えると、満タン規制バルブ44は閉弁される。これにより、燃料タンク14内の蒸発燃料がキャニスタ34に流れなくなる。この状態で、さらに燃料タンク14内に給油されると、燃料が給油配管82を上昇して給油ガンに達する。給油ガンのオートストップ機能が働くと、給油が停止される。
ベント配管36の中間部分(燃料タンク14とキャニスタ34の間の部分)には、ダイヤフラム弁46が設けられている。ダイヤフラム弁46は、本発明の弁部材の一例である。以下、必要に応じて、このダイヤフラム弁46よりも燃料タンク側のベント配管36をタンク側ベント配管36Tといいい、ダイヤフラム弁46よりもキャニスタ34側のベント配管36をキャニスタ側ベント配管36Cという。
図2に詳細に示すように、ダイヤフラム弁46は、タンク側ベント配管36Tの他端側を偏平な円筒状に拡径した弁ハウジング48を有している。弁ハウジング48の内部には、キャニスタ側ベント配管36Cの一端側が弁ハウジング48と同軸となるように収容されており、弁座50が構成されている。この弁座50と弁ハウジング48の間の部分が主室52となっている。図1から分かるように、主室52はタンク側ベント配管36Tを通じて燃料タンク14の内部と連通可能になる。
弁座50の上端の開口部分は、弁部材本体54によって閉塞可能とされている。弁部材本体54の周囲は、ダイヤフラム56によって弁ハウジング48の内周面に固着されている。そして、弁部材本体54及びダイヤフラム56よりも図2において上側の空間が、背圧室58となっている。したがって、主室52と背圧室58とが、ダイヤフラム56によって区画されている。
弁部材本体54及びダイヤフラム56が圧力を受ける面積(受圧面積)は、背圧室58側の受圧面積の方が、主室52側の受圧面積よりも、弁座50の断面積の分だけ、広くなっている。
背圧室58には、圧縮コイルスプリング60が収容されている。圧縮コイルスプリング60は、弁部材本体54に対し、弁座50に向かう方向(矢印S1方向)の所定のバネ力を作用させている。さらに、ダイヤフラム56も、弁部材本体54に対し矢印S1方向への所定のバネ力を作用させている。これにより、弁部材本体54は、弁座50の開口部分を閉塞する方向に付勢されている。たとえば、主室52の内圧と背圧室58の内圧とが同程度である場合には、弁部材本体54は弁座50の開口部分に密着する。これにより、ダイヤフラム弁46は閉弁状態となり、ベント配管36における気体の移動が阻止される。
これに対し、たとえば、背圧室58が主室52よりも所定以上の負圧(内圧が低い状態)になると、圧縮コイルスプリング60及びダイヤフラム56のバネ力に抗して弁部材本体54が背圧室58側へ移動し、弁座50の開口部分を開放する。これにより、ダイヤフラム弁46は開弁状態となり、ベント配管36において、気体の移動が可能になる。
タンク側ベント配管36Tと背圧室58との間には、タンク側バイパス流路62が設けられている。このタンク側バイパス流路62を通じて、燃料タンク14と背圧室58との間で気体が移動可能となる。
タンク側バイパス流路62には、内径を局所的に小さくした縮径部64が設けられている。この縮径部64により、燃料タンク14と背圧室58との間の気体の移動に所定の抵抗が生じる。縮径部64は、本発明の差圧維持手段の一例である。
なお、このように、燃料タンク14と背圧室58との間の気体に移動に所定の抵抗を生じさせる手段としては、タンク側バイパス流路62を局所的に縮径した構造に限定されない。たとえば、タンク側バイパス流路62の内径を全体的に小さくして、気体の移動に所定の抵抗を生じさせてもよい。さらに、タンク側バイパス流路62を所定位置で曲げて(屈曲でも湾曲でもよい)、気体の移動に所定の抵抗を生じさせてもよい。
キャニスタ側ベント配管36Cと背圧室58との間には、キャニスタ側バイパス流路66が設けられている。キャニスタ側バイパス流路66の中間部分には、制御装置32によって開閉制御される第1電磁弁68が設けられている。
第1電磁弁68は、電磁弁ハウジング70を有している。電磁弁ハウジング70内には、制御装置32によって通電制御されるコイル部72と、このコイル部72からの駆動力を受けて、矢印S2方向及びその反対方向に移動するプランジャ部74、及びプランジャ部74の先端に設けられた円板状の電磁弁本体76を有している。さらに、キャニスタ側バイパス流路66の一部(中間部分)が電磁弁ハウジング70内を通っている。
電磁弁本体76は、キャニスタ側バイパス流路66に設けられた弁座78に接触した状態では、キャニスタ側バイパス流路66を閉塞する。これに対し、図3に示すように、電磁弁本体76が弁座78から離れると、キャニスタ側バイパス流路66を通じて気体が移動可能となる。本実施形態では、電磁弁本体76が弁座78から離れる方向、すなわち、キャニスタ側バイパス流路66を開放するときの電磁弁本体76の移動方向が、背圧室58からの正圧を受ける方向と一致するように、電磁弁本体76の向きが設定されている。
プランジャ部74には、圧縮コイルスプリング80が装着されている。圧縮コイルスプリング80は、電磁弁本体76に対し所定のバネ力を矢印S2方向に作用させることで、制御装置32で制御されていない状態では、電磁弁本体76が不用意に弁座78から離れないようにしている。
タンク側ベント配管36Tとキャニスタ側ベント配管36Cとの間には、ダイヤフラム弁46をバイパスして、タンク側ベント配管36Tとキャニスタ側ベント配管36Cとを連通可能なダイヤフラム弁バイパス流路84が設けられている。ダイヤフラム弁バイパス流路84の中間部分には、制御装置32によって開閉制御される第2電磁弁88が設けられている。
第2電磁弁88は、第1電磁弁68と同様に、電磁弁ハウジング90、コイル部92、プランジャ部94及び電磁弁本体96を有している。そして、ダイヤフラム弁バイパス流路84の一部が、電磁弁ハウジング90内を通っている。
電磁弁本体96は、ダイヤフラム弁バイパス流路84に設けられた弁座98に接触した状態では、ダイヤフラム弁バイパス流路84を閉塞する。これに対し、図5に示すように、電磁弁本体96が弁座98から離れると、ダイヤフラム弁バイパス流路84を通じて気体が移動可能となる。本実施形態では、電磁弁本体96が弁座98から離れる方向、すなわち、ダイヤフラム弁バイパス流路84を開放するときの電磁弁本体96の移動方向が、燃料タンク14からの正圧を受ける方向と一致するように、電磁弁本体96の向きが設定されている。
第2電磁弁88においても、プランジャ部94には、圧縮コイルスプリング100が装着されている。圧縮コイルスプリング100は、電磁弁本体96に対し所定のバネ力を矢印S3方向に作用させることで、制御装置32で制御されていない状態では、電磁弁本体96が不用意に弁座98から離れないようにしている。ただし、燃料タンク14から作用する正圧が所定値以上になると、コイル部92への通電によらずに電磁弁本体96が矢印S3と反対の方向へ移動するように、圧縮コイルスプリング100のバネ力は所定の値に設定されている。
次に、本実施形態の燃料タンクシステム12の作用を説明する。
本実施形態の燃料タンクシステム12では、通常状態、すなわち、燃料タンク14に給油していない状態(車両は走行中であっても駐車中であってもよい)では、図2に示すように、第1電磁弁68の電磁弁本体76は閉弁されている。また、ダイヤフラム弁46の弁部材本体54も閉弁されている。このため、燃料タンク14のタンク内圧が、ダイヤフラム弁46の主室52及び背圧室58の双方に作用している。ダイヤフラム弁46は、圧縮コイルスプリング60及びダイヤフラム56のバネ力により閉弁状態を維持しており、不用意に開弁されることはない。また、第2電磁弁88の電磁弁本体96も閉弁されている。すなわち、燃料タンク14は、内部の蒸発燃料がキャニスタ34に移動しないように密閉状態となっている。
燃料の給油時には、リッドオープナースイッチ22が操作されると、制御装置32は、リッド20を開放する。さらに制御装置32は、図3に示すように、第1電磁弁68を開弁する(第2電磁弁88の閉弁状態は維持する)。これにより、ダイヤフラム弁46の背圧室58は、大気開放配管40からキャニスタ34、キャニスタ側ベント配管36C及びキャニスタ側バイパス流路66を通じて大気開放される。すなわち、背圧室58の圧力が低下し大気圧に近づく。
これに対し、主室52も、背圧室58からさらにタンク側バイパス流路62及びタンク側ベント配管36Tを通じて大気開放される。しかし、本実施形態では、タンク側バイパス流路62に縮径部64が設けられており、主室52と背圧室58との間の気体の移動に所定の抵抗が生じるため、主室52が背圧室58と同程度の圧力になるには、背圧室58よりも長い時間を要する。特に、第2電磁弁88は閉弁状態を維持しているので、主室52がダイヤフラム弁バイパス流路84を通じて大気開放されることはない。すなわち、背圧室58と主室52との間に圧力差が生じた状態(背圧室58の方が主室52よりも圧力が低い状態)となる。したがって、背圧室58と主室52との間に、このような圧力差が生じない構成と比較して、ダイヤフラム弁46をより小さな開弁圧で開弁させることができる。これにより、図4に示すように、弁部材本体54が背圧室58側(上側)へ移動し、ダイヤフラム弁46が開弁される。
ここで、ダイヤフラム弁46を小さな開弁圧で開弁させるためには、弁部材本体54を小型化することが考えられる。しかし、弁部材本体54は、弁座50を閉塞する部材であるため、弁部材本体54を小型化すると、弁座50、すなわち、キャニスタ側ベント配管36Cの一部の内径も小さくする必要が生じる。したがって、ダイヤフラム弁46の開弁時に、ベント配管36の流量を確保する観点からは、弁座50を大径化することが望まれる。これに伴い、弁部材本体54も大型になるが、このように大型化された弁部材本体54であっても、小さな開弁圧で開弁可能となる。
本実施形態では、ダイヤフラム弁46の弁部材本体54は上記したように大型化できるのに対し、第1電磁弁68の電磁弁本体76は、ベント配管36(弁座50)を開閉する作用を奏する必要がなく、キャニスタ側バイパス流路66を開閉できればよいため、小型化できる。電磁弁本体76において、燃料タンク14のタンク内圧を受ける面積も小さくなるので、第1電磁弁68の閉弁に必要な押し付け荷重(図2における矢印S2方向の荷重)も小さくできる。これにより、第1電磁弁68として小型化及び省電力化を図り、低コストで且つ燃費に優れた燃料タンクシステム12を得ることができる。
特に、本実施形態では、第1電磁弁68の電磁弁本体76の開弁方向と、背圧室58から電磁弁本体76に正圧が作用する方向とが一致している(図2における矢印S2と反対の方向)。このため、電磁弁本体76を開弁方向に移動させるためのコイル部72からの駆動力も小さくて済み、より省電力化を測ることができる。
なお、本実施形態では、上記したように、弁座50の内径を大きくしても、ダイヤフラム弁46の開弁圧、すなわち弁部材本体54の動作に必要な力は少なくて済む。弁座50すなわちベント配管36の内径を大きくすることで、ベント配管36の通気抵抗を低減することができる。これにより、給油時に燃料タンク14内で発生する蒸発燃料が、ベント配管36を通じてキャニスタ34へ流れやすくなり、給油を行いやすい燃料タンクシステム12となる。
また、給油前には、ダイヤフラム弁46が開弁されることで、燃料タンク14のタンク内圧が低下される。本実施形態では、ベント配管36の通気抵抗を小さくすることで、タンク内圧を低下させるために必要な時間も短縮され、より短時間での給油が可能になる。
車両の走行中は、図1に示すように、タンク内圧センサ30によって燃料タンク14のタンク内圧が検出されている。このタンク内圧が、あらかじめ設定された内圧閾値以下の場合は、図2に示すように、制御装置32は第1電磁弁68及び第2電磁弁88の双方を閉弁している。ダイヤフラム弁46も閉弁されているので、燃料タンク14は密閉されている。燃料タンク14内で発生した蒸発燃料がキャニスタ34に移動することはない。
タンク内圧が内圧値を超えると、制御装置32は第2電磁弁88を開弁する。図5に示すように、第2電磁弁88の開弁時には、タンク側ベント配管36Tからダイヤフラム弁バイパス流路84、キャニスタ側ベント配管36Cを経てキャニスタ34へ蒸発燃料が移動可能となる。
ここで、たとえば、第2電磁弁88を適切に開閉制御することで、ベント配管36を流れる蒸発燃料の流量とタンク内圧とを制御することが可能になる。この場合、第2電磁弁88の開閉制御は、電磁弁本体96の矢印S3方向又は反対方向への移動量を調整することで流路の断面積を調整するようにしてもよい。また、デューティー制御(弁部材本体96の開弁位置と閉弁位置とを切り替える時間の制御)で行ってもよい。
なお、このようにして燃料タンク14からベント配管36を通じて排出された蒸発燃料は、キャニスタ34の吸着剤で吸着されてもよいが、エンジン26が駆動している場合には、さらにパージ配管38を通じてエンジン26に送り、エンジン26で燃焼させてもよい。
しかも、本実施形態の燃料タンクシステム12では、このように、タンク内圧が所定値を超えたときのベント配管36における流量調整を行う作用を、給油時に背圧室58を大気開放するための第1電磁弁68とは別体の第2電磁弁88が担っている。したがって、第2電磁弁88として、燃料タンク14のタンク内圧の調整に適した構成とすることか可能で、適切なタンク内圧調整が可能となる。
車両の駐車中においても、通常は、第1電磁弁68、第2電磁弁88及びダイヤフラム弁46が閉弁されているので、燃料タンク14は密閉されている。燃料タンク14内で発生した蒸発燃料がキャニスタ34に移動することはない。そして、制御装置32によって制御されていない状態であっても、第1電磁弁68及び第2電磁弁88を閉弁状態とすることで、燃料タンク14を効率的に密閉した状態に維持できる。
車両の駐車中に、燃料タンク14のタンク内圧が正圧(大気圧よりも高い状態)になったときには、タンク内圧は第2電磁弁88の電磁弁本体96を開弁する方向(図2に示す矢印S3と反対の方向)に作用する。駐車中は第2電磁弁88が制御装置32によって開閉制御されない。しかし、タンク内圧が所定の閾値(以下「正圧閾値」という)を超えた場合には、タンク内圧(正圧)を受けた電磁弁本体96が、圧縮コイルスプリング100のバネ力に抗して開弁方向に移動し、図5に示した状態と同様の状態になる。すなわち、第2電磁弁88は、燃料タンク14の正圧を開放する正圧開放弁として動作しており、正圧開放弁をあらたに設ける必要がない。したがって、正圧開放弁を別に設けた構成と比較して、低コストで構成できると共に、軽量となる。
なお、本実施形態の燃料タンクシステム12における第1電磁弁68は、上記したように給油時や走行時等にも所定の条件で開閉制御される。すなわち、第1電磁弁68は高頻度で開閉されるので、電磁弁本体76が弁座78に不用意に固着する現象が発生しづらくなり、耐固着性が向上する。同様に、第2電磁弁88についても、走行時等に所定の条件で開閉制御される。このため、電磁弁本体96が弁座98に不用意に固着する現象が発生しづらくなり、耐固着性が向上する。
車両の駐車中に、燃料タンク14のタンク内圧が負圧(大気圧よりも低い状態)になったときには、タンク内圧(負圧)は、背圧室58を通じて、ダイヤフラム弁46の弁部材本体54を開弁する方向(図2に示す矢印S1と反対の方向)に作用する。タンク内圧が所定の閾値(以下「負圧閾値」という)よりも低くなった場合には、図6に示すように、タンク内圧(負圧)を背圧室58側から受けた弁部材本体54が、圧縮コイルスプリング60及びダイヤフラム56のバネ力に抗して、開弁方向に移動する。すなわち、ダイヤフラム弁46は、燃料タンク14の負圧を開放する負圧開放弁として動作しており、負圧開放弁をあらたに設ける必要がない。したがって、負圧開放弁を別に設けた構成と比較して、低コストで構成できると共に、軽量となる。
しかも、本実施形態の燃料タンクシステム12におけるダイヤフラム弁46は、上記したように、給油時等においても所定の条件で開閉される。換言すれば、タンク内圧が負圧閾値を下回った場合以外にも、弁部材本体54は開弁位置と閉弁位置との間を移動している。このため、タンク内圧が負圧閾値を下回った場合にのみ開弁される負圧開放弁と比較して、弁部材本体54が弁座50に不用意に固着する現象が発生しづらくなり、耐固着性が向上する。
上記では、第1電磁弁68の電磁弁本体76として、その開弁方向が背圧室58から正圧が作用する方向と一致する向きとされたものを挙げている。しかし、電磁弁本体76の開弁方向はこれに限定されず、図7に示すように、電磁弁本体76の開弁方向が、背圧室58からの正圧の作用方向と反対になっていてもよい。この構成では、電磁弁本体76を閉弁位置に維持するためのコイル部72からの駆動力が小さくて済む。
上記では、タンク側バイパス流路62に差圧維持手段を設けた例を挙げているが、タンク側バイパス流路62の流路抵抗が増大されていなくても、第1電磁弁68を開弁して背圧室58を大気圧に近づけたときに、背圧室58と主室52との間で圧力差を生じさせることは可能である。タンク側バイパス流路62に差圧維持手段を設けると、背圧室58と主室52とで圧力差が生じた状態(背圧室58の圧力が主室52の圧力よりも小さい状態)をより確実に維持できる。
特に、流路抵抗調整手段として、上記した縮径部64を用いると、簡単な構造で差圧維持手段を構成できる。縮径部64の内径や長さを適切に設定することで、流路抵抗を容易に調整することも可能である。
本発明の弁部材としても、上記ではダイヤフラム弁46を挙げているが、弁部材はダイヤフラム弁46に限定されない。たとえば、ダイヤフラム56を無くすと共に、弁部材本体54をその外周が弁ハウジング48の内周に接触するように大径化した構成でもよい。この構成では、弁部材本体54が単独で主室52と背圧室58とを区画すると共に、弁座50に接触することでベント配管36を閉塞する位置と、弁座50から離れることでベント配管36を開放する位置とを移動する。
12 燃料タンクシステム
14 燃料タンク
20S リッド開閉センサ(給油状態センサ)
30 タンク内圧センサ
32 制御装置
34 キャニスタ
36C キャニスタ側ベント配管
36T タンク側ベント配管
40 大気開放配管
46 ダイヤフラム弁
52 主室
58 背圧室
62 タンク側バイパス流路
66 キャニスタ側バイパス流路
68 第1電磁弁
84 ダイヤフラム弁バイパス流路
88 第2電磁弁

Claims (6)

  1. 内部に燃料を収容可能な燃料タンクと、
    前記燃料タンク内で生じた蒸発燃料を吸着剤によって吸着及び脱離するキャニスタと、
    前記キャニスタの内部を大気開放するための大気開放管と、
    前記燃料タンクと前記キャニスタとを連通し燃料タンク内の蒸発燃料をキャニスタに送るためのベント配管と、
    前記ベント配管において前記燃料タンクのタンク内圧が作用するように設けられた主室と該主室に対し弁部材本体を挟んで反対側の背圧室とに区画され、背圧室の圧力に対し主室の圧力が高くなって弁部材本体が移動すると開弁してベント配管を連通可能とする弁部材と、
    前記ベント配管における前記燃料タンクから前記弁部材までのタンク側ベント配管と前記背圧室とを連通させ気体の移動に抵抗を生じさせるタンク側バイパス流路と、
    前記ベント配管における前記弁部材から前記キャニスタまでのキャニスタ側ベント配管と前記背圧室とを連通可能なキャニスタ側バイパス流路と、
    前記キャニスタ側バイパス流路に設けられてキャニスタ側バイパス流路を開閉するように制御される第1電磁弁と、
    前記タンク側ベント配管と前記キャニスタ側ベント配管とを前記弁部材をバイパスして連通可能な弁部材バイパス流路と、
    前記弁部材バイパス流路に設けられて弁部材バイパス流路を開閉するように制御される第2電磁弁と、
    前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁を開閉制御する制御装置と、
    を有する燃料タンクシステム。
  2. 前記燃料タンクへの給油状態を検知する給油状態センサを備え、
    前記制御装置が、前記給油状態センサで前記燃料タンクへの給油状態を検出すると第1電磁弁が開弁する請求項1に記載の燃料タンクシステム。
  3. 前記燃料タンクのタンク内圧を検出するタンク内圧センサを備え、
    前記制御装置が、前記タンク内圧センサで検出された前記タンク内圧が所定の内圧閾値以下の状態では前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁を閉弁する請求項1又は請求項2に記載の燃料タンクシステム。
  4. 前記燃料タンクのタンク内圧を検出するタンク内圧センサを備え、
    前記制御装置が、前記タンク内圧センサで検出された前記タンク内圧が所定の内圧閾値を超えた状態では前記第2電磁弁を開弁する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃料タンクシステム。
  5. 前記制御装置が前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁を開閉制御していない状態では、第1電磁弁及び第2電磁弁が閉弁されている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の燃料タンクシステム。
  6. 前記第2電磁弁が、前記燃料タンクから所定の正圧閾値を超える圧力が作用すると前記制御装置の制御によらず開弁する開弁圧に設定されている請求項5に記載の燃料タンクシステム。
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