JP5400669B2 - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents
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Description
一方、連通路(ベーパ通路)に高い流速の蒸発燃料(ベーパ)を流通させると流速音が発生し、給油作業者や搭乗者に不快感を与えるため、音商品性も考慮した蒸発燃料処理装置が求められている。
燃料タンクの蒸発燃料を吸着するキャニスタと、前記燃料タンクと前記キャニスタとを連通するベーパ通路に設けられた制御バルブと、前記燃料タンクの内圧を検出するタンク内圧検出手段と、を備えた蒸発燃料処理装置であって、前記タンク内圧検出手段で予め検出された検出値に基づき前記制御バルブを開き、前記燃料タンクの内圧が所定値以下になった場合は、前記制御バルブの開度の変化量を前記燃料タンクの内圧が所定値以上の時よりも大きくすることを特徴とする。
図1は、本実施形態に係る蒸発燃料処理装置(密閉保持時)1の構成図である。
車両に設けられる蒸発燃料処理装置1は、燃料を貯留する燃料タンク3と、蒸発燃料(ベーパ)を吸着するキャニスタ13と、一端が燃料タンク3に接続され他端がキャニスタ13に接続される蒸発燃料が流通するベーパ通路9と、ベーパ通路9上に接続される制御バルブ11と、制御バルブ11と並列にベーパ通路9上に接続される高圧2ウェイバルブ10と、制御バルブ11の開度を検出する開度検出手段12と、一端がキャニスタ13に接続され他端が内燃機関の吸気通路(図示省略)に接続されるパージ通路18と、パージ通路18上に接続されるパージコントロールバルブ14と、キャニスタ13内の圧力を検出する圧力センサ15と、三方弁17と、三方弁17で通気する方向を切り替えることでベーパ通路9内の制御バルブ11に対して燃料タンク3側の圧力とキャニスタ13側の圧力を検出する圧力センサ(タンク内圧検出手段)16と、制御手段2とを有している。
制御バルブ11は、制御手段2の開指令信号により任意の開度に開制御され、閉指令信号により任意の開度に閉制御される。また、制御バルブ11の開度は、開度検出手段12によって検出され、検出された開度は、制御手段2に送信される。
これにより、後述する「駐車時」「CD MODE走行時」に密閉保持される燃料タンク3が高圧または低圧になりすぎた際に高圧2ウェイバルブ10が開弁されることにより、燃料タンク3の内圧が調整される。
圧力センサ16とベーパ通路9の制御バルブ11よりキャニスタ13側とが連通するように三方弁17を切り替えることにより、圧力センサ16は、ベーパ通路9内の制御バルブ11よりキャニスタ13側の圧力、更には、キャニスタ13内の圧力を検出することができる。このとき検出される圧力は、圧力センサ15に検出される圧力と、同じ箇所を計測し一致するはずなので、圧力センサ15、16の較正や故障診断を行うことができる。
一方、圧力センサ16とベーパ通路9の制御バルブ11より燃料タンク3側とが連通するように三方弁17を切り替えることにより、圧力センサ16は、ベーパ通路9内の制御バルブ11より燃料タンク3側の圧力、さらには、燃料タンク3内の圧力を検出することができる。圧力センサ16で検出された圧力は制御手段2に送信される。
次に、図1から図3を用いて本実施形態に係る蒸発燃料処理装置1の制御について説明する。なお、本実施形態に係る蒸発燃料処理装置1はプラグインハイブリッド車に搭載されているものとして以下説明する。
図1は、「駐車時」および「CD MODE走行時」(密閉保持時)の状態を示し、図2は「給油時」の状態を示し、図3は「CS MODE走行時」(パージ時)の状態を示している。ここで、「CD MODE走行時」とはエンジン(内燃機関)を駆動せず電気走行している状態であり、「CS MODE走行時」とはハイブリッド(HEV)走行でエンジン(内燃機関)が駆動して走行している状態である。
また、図3に示すように、制御手段2は「CS MODE走行時」(パージ時)において、パージコントロールバルブ14および制御バルブ11を開弁することにより、燃料タンク3の蒸発燃料やキャニスタ13に吸着された蒸発燃料がパージ通路18から内燃機関の吸気通路(図示省略)へと流れ、エンジン(内燃機関)の燃焼に用いられる。
図4に、制御バルブ11のボール(弁体)11bの回動軸を法線とする平面で切断した断面図を示す。図4(a)は、制御バルブ11の開度がゼロ度(全閉)の場合を示している。
開度がゼロ度(全閉)の場合、弁座11a内の流路の方向に対して、ボール(弁体)11b内の流路の方向が、90度傾き、弁座11a内の流路を、ボール(弁体)11bで塞いでいる。弁座11aには、全閉ストッパ11dと全開ストッパ11eが取り付けられ、ボール(弁体)11bには、ステム11cが取り付けられている。ステム11cは、ボール(弁体)11bの回動に伴って回動する。開度がゼロ度(全閉)の場合において、ステム11cは、全閉ストッパ11dに当接し、図4(a)に示す以上に反時計回りに回らないようになっている。制御手段2は、ボール(弁体)11b及びステム11cが反時計回りに回らなくなるまで回動させる閉制御を行い、回らなくなった状態の開度を、ゼロ度(ゼロ点)と記憶することで、開度のゼロ点補正を行うことができる。また、開度aが90度(全開)の場合において、ステム11cは、全開ストッパ11eに当接し、図4(e)に示す以上に時計回りにボール(弁体)11b回らないようになっている。なお、図4では、ボール(弁体)11bを時計回りに回動させて開弁しているが、これに限らず、反時計回りに回動させて開弁してもよく、この場合、ボール(弁体)11bとステム11cの回動の範囲に合わせて全閉ストッパ11dと全開ストッパ11eの取り付け位置を変更すればよい。
開度aが0(ゼロ)度で流量が0(ゼロ)になっている。また、開度aが0(ゼロ)度を超えて15度まで、流量が0(ゼロ)になっている。この流量が0(ゼロ)で、開度aが0(ゼロ)度を超えて15度までの範囲が、不感帯領域Bである。そして、開度aの15度が、不感帯領域Bの最大Bmaxである。
開度aが、不感帯領域Bの最大Bmaxの15度を超えると、流量は0(ゼロ)より大きくなり、90度まで、開度aが大きくなる程、流量も大きくなる。
制御手段2は、図5のグラフのような開度aに対する流量の関係を記憶しており、所定の時間内に燃料タンク3内の圧力を所定の圧力以下に下げるのに、どれだけの流量を確保しなければならないかを算出し、算出した流量と、記憶された開度aに対する流量の関係から、開度aを決定することができる。なお、圧力センサ15、16を用いて、制御バルブ11の上流と下流との差圧を考慮して流量を計算してもよい。
このように、制御手段2は、制御バルブ(ボールバルブ)11のボール(弁体)11bを回転させることにより開度制御可能であり、ベーパ通路9を流通する蒸発燃料の流量を制御することができる。
なお、制御バルブ11の不感帯領域Bの最大Bmaxは15度として説明したが、制御バルブ11のボール(弁体)11bの直径および流路径を適宜変更することにより変更可能である。
次に、図6および図7を用いて本実施形態に係る蒸発燃料処理装置1の給油作業開始時の制御バルブ11の開制御について説明する。
図6は、本実施形態に係る蒸発燃料処理装置1の燃料タンク3の内圧の時間変化を示すグラフ(図6上段)と、制御バルブ11の開度の時間変化を示すグラフ(図6下段)とを対応付けて示したものである。図7は、本実施形態に係る蒸発燃料処理装置1の制御バルブ11の開度制御を示すフローチャートである。
まず、図7を用いて、給油作業開始時に行われる制御バルブ11の開度制御(燃料タンク3の圧抜き制御)からフューエルリッド7の開放までを説明する。
ここで、開指令をする状態とは、給油作業時においては、給油作業者によってリッドスイッチ8が押され、その信号を制御手段2が受信した状態に相当する。
なお、制御手段2により三方弁17は、圧力センサ16と、ベーパ通路9の制御バルブ11より燃料タンク3側と、が連通する状態に切り替えられている。
なお、ステップS102で検出された制御バルブ11の開放される前の燃料タンク3の内圧を「検出値」と称する。また、「検出値」は、特許請求の範囲の「予め検出された検出値」に相当する。
ここで、「リッド開許可圧力」とは、給油作業者によるフィラーキャップ6の開動作を許可する圧力であり、例えばフィラーキャップ6を開けた際、燃料タンク3内の蒸発燃料(ベーパ)が放出されることはないように設定される。
ここで、「全開許可圧力」とは、制御バルブ11を全開にしても音商品性が確保される流速となる内圧から決定される値である。また、「全開許可圧力」は、キャニスタ13の吸着能力を超えない流速となる内圧から決定してもよい。
なお、「全開許可圧力」は、特許請求の範囲の「所定値」に相当する。
ここで、「閾値」とは、後述する開速度を設定するための閾値であり、「全開許可圧力」より大きな値で設定される。
ここで、開速度とは、制御バルブ11の開度の変化量、即ち、開度を時間微分したものであり、図6下段に示す制御バルブ11の開度の傾きに相当する。
制御手段2は、ステップS109で検出した内圧値が「全開許可圧力」より大きいか否かを判断する(ステップS110)。内圧値が「全開許可圧力」より大きい場合には(ステップS110でYes)、ステップS109に戻る。一方、内圧値が「全開許可圧力」以下の場合には(ステップS110でNo)、ステップS111に進む。
ここで、全開速度とは、制御バルブ11の開速度として設定可能な最大値もしくはそれに類する値であり、ステップS107で設定される開速度より大きな値で設定される。
制御手段2は、ステップS112で検出した内圧値が「リッド開許可圧力」以下か否かを判断する(ステップS113)。内圧値が「リッド開許可圧力」より大きい場合には(ステップS113でNo)、ステップS112に戻る。
一方、内圧値が「リッド開許可圧力」以下の場合には(ステップS113でYes)、ステップS114に進む。
また、フィラーキャップ6を開けた際、燃料タンク3内の蒸発燃料(ベーパ)が放出されることはない。
制御手段2は、ステップS103でYes、ステップS104でYes、および、ステップS105でYesと進み、小さい開速度(開度の傾き)が設定され(ステップS106)、時間t0 (図6参照)で制御バルブ11の開制御を開始する(ステップS108)。
時間t2 (図6参照)で内圧値が全開許可圧力以下となると(ステップS110でNo)、制御手段2は、制御バルブ11を全開速度で開制御し(ステップS111)、速やかに制御バルブ11を全開にする。
このように、検出値が閾値以上のため、小さな開速度を設定して制御バルブ11の開度量を制御することにより、音商品性を確保することができる。
加えて、内圧値が全開許可圧力以下となると、制御バルブ11を全開にしても音商品性を確保することができるため、制御バルブ11を全開速度で開制御し速やかに全開にすることにより、圧抜き時間を短縮することができる。
制御手段2は、ステップS103でYes、ステップS104でYes、および、ステップS105でNoと進み、大きい開速度(開度の傾き)が設定され(ステップS107)、時間t0 (図6参照)で制御バルブ11の開制御を開始する(ステップS108)。
時間t1 (図6参照)で内圧値が全開許可圧力以下となると(ステップS110でNo)、制御手段2は、制御バルブ11を全開速度で開制御し(ステップS111)、速やかに制御バルブ11を全開にする。
このように、検出値が閾値以下のため、制御バルブ11を(1)の場合よりも大きな開速度を設定して開度量を大きくしても音商品性を確保することができ、圧抜き時間を短縮することができる。
加えて、内圧値が全開許可圧力以下となると、制御バルブ11を全開にしても音商品性を確保することができるため、制御バルブ11を全開速度で開制御し速やかに全開にすることにより、圧抜き時間を短縮することができる。
制御手段2は、ステップS103でYes、ステップS104でNoと進み、時間t0 (図6参照)で制御バルブ11を全開速度で開制御を開始し(ステップS111)、速やかに制御バルブ11を全開にする。
このように、検出値が全開許可圧力以下のため、制御バルブ11を全開にしても音商品性を確保することができるため、初めから制御バルブ11を全開速度で開制御し速やかに全開にすることにより、圧抜き時間を短縮することができる。
以上、給油作業開始時における燃料タンク3の圧抜き制御について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
本実施形態では、検出値が全開許可圧力より大きい場合(図7のステップS104でYes)、1つの閾値を用いて開速度(開度の傾き)を設定する構成としたが(図7のステップS105〜ステップS107参照)、複数の閾値を用いて、検出値が大きくなるほど開速度(開度の傾き)が小さくなるように開速度を設定する構成としてもよい。
また、本実施形態では、圧力センサ16で検出される燃料タンク3の内圧(検出値/内圧値)を用いる構成として説明したが、圧力センサ16で検出される燃料タンク3の内圧と圧力センサ15で検出されるキャニスタ13側の圧力との差圧を用いる構成としてもよい。
2 制御手段2
3 燃料タンク3
3a ポンプ3a
3b フロート弁3b
3c カット弁3c
4 フィラーパイプ4
5 ブリーザパイプ5
6 フィラーキャップ6
7 フューエルリッド7
8 リッドスイッチ8
9 ベーパ通路9
10 高圧2ウェイバルブ10
11 制御バルブ11(ボールバルブ)
11a 弁座11a
11b ボール11b(弁体)
11c ステム11c
11d 全閉ストッパ
11e 全開ストッパ
12 開度検出手段12
13 キャニスタ13
14 パージコントロールバルブ14
15 圧力センサ15
16 圧力センサ16(タンク内圧検出手段)
圧力センサ(タンク内圧検出手段)16
17 三方弁17
18 パージ通路18
a 開度a
B 不感帯領域B
Bmax不感帯領域Bの最大Bmax
Claims (5)
- 燃料タンクの蒸発燃料を吸着するキャニスタと、
前記燃料タンクと前記キャニスタとを連通するベーパ通路に設けられた制御バルブと、
前記燃料タンクの内圧を検出するタンク内圧検出手段と、
を備えた蒸発燃料処理装置であって、
前記タンク内圧検出手段で予め検出された検出値に基づき前記制御バルブを開き、
前記燃料タンクの内圧が所定値以下になった場合は、前記制御バルブの開度の変化量を前記燃料タンクの内圧が所定値以上の時よりも大きくする
ことを特徴とする蒸発燃料処理装置。 - 前記所定値は、前記キャニスタに蒸発燃料が吸着される値である
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記予め検出された検出値が前記所定値以下の場合は、前記制御バルブを全開にする
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記タンク内圧検出手段で検出される前記予め検出された検出値は前記制御バルブが開く前に検出された値である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記燃料タンクの内圧が所定値以下になったら、前記制御バルブを全開にする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の蒸発燃料処理装置。
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