JP2013166857A - 架橋ゴム、それを用いたゴムケーブル、及び架橋ゴムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】架橋前のゴム分子中に、高温状態で互いに乖離し冷却状態で互いに結合する高温乖離・冷却結合型架橋基と、シラン架橋基とを含有させ、成形後、前記高温乖離・冷却結合型架橋基が互いに結合した状態で、前記シラン架橋基を水分とともにシラノール縮合反応させることによって、シラン架橋が施された架橋ゴムとなるように構成する。
【選択図】図1
Description
本実施の形態の架橋ゴム及びそれを用いたゴムケーブルは、架橋前のゴム分子中に、シラン架橋基を含有し、成形後、シラン架橋が施されてなる架橋ゴムにおいて、架橋前のゴム分子中に、シラン架橋基に加えて、高温状態で互いに乖離し冷却状態で互いに結合する高温乖離・冷却結合型架橋基を含有し、成形後、高温乖離・冷却結合型架橋基が互いに結合した状態で、シラン架橋基が水分とともにシラノール縮合反応することによって、シラン架橋が施されてなる架橋ゴム及びそれを用いたゴムケーブルである。
本実施の形態の架橋ゴムの製造方法は、架橋前のゴム分子中に、シラン架橋基を導入し、成形後、シラン架橋基を水分とともにシラノール縮合反応させて、シラン架橋を施す架橋ゴムの製造方法において、架橋前のゴム分子中に、シラン架橋基に加えて、高温状態で互いに乖離し冷却状態で互いに結合する高温乖離・冷却結合型架橋基を導入し、高温乖離・冷却結合型架橋基及びシラン架橋基が導入されたゴム分子を成形し、高温乖離・冷却結合型架橋基が互いに結合した状態で、シラン架橋基を水分とともにシラノール縮合反応させて、シラン架橋を施す、ことを含む架橋ゴムの製造方法である。
本実施の形態に係る架橋ゴムは、架橋前のゴム分子中に、高温状態で互いに乖離し冷却状態で互いに結合する高温乖離・冷却結合型架橋基と、シラン架橋基とを含有し、成形後、高温乖離・冷却結合型架橋基が互いに結合した状態で、シラン架橋基が水分とともにシラノール縮合反応することによって、シラン架橋が施されてなる架橋ゴムである。以下、構成要素ごとに説明する。
本実施の形態に用いられるゴム分子としては、例えば、EPゴム、CRゴム、天然ゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、塩素化ポリエチレン等を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
本実施の形態に用いられる高温状態で互いに乖離し冷却状態で互いに結合する高温乖離・冷却結合型架橋基としては、水素結合基又はイオン結合基又は、動的共有結合基等を好適例として挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
本実施の形態に用いられるシラン架橋基を含む化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン等を挙げることができるが、特にこれに限定されるものではない。
図2に示すように、本実施の形態に係るゴムケーブル10は、上述の架橋ゴムを用いたものであり、芯線13の上に、上述の架橋ゴムを用いて形成された絶縁被覆14が配設された構成を有している。図2に示すように、ゴムケーブル10の断面形状が潰れて、長軸11及び短軸12を有する場合、後述する数1で示す扁平率が80%以上であるのが好ましい。
本実施の形態に係る架橋ゴムの製造方法は、架橋前のゴム分子中に、シラン架橋基を導入し、成形後、シラン架橋基を水分とともにシラノール縮合反応させて、シラン架橋を施す架橋ゴムの製造方法において、架橋前のゴム分子中に、シラン架橋基に加えて、高温状態で互いに乖離し冷却状態で互いに結合する高温乖離・冷却結合型架橋基を導入し、高温乖離・冷却結合型架橋基及びシラン架橋基が導入されたゴム分子を成形し、高温乖離・冷却結合型架橋基が互いに結合した状態で、シラン架橋基を水分とともにシラノール縮合反応させて、シラン架橋を施す、ことを含む架橋ゴムの製造方法である。具体的には、実施例において説明する。
以下に、本発明の架橋ゴム、それを用いたゴムケーブル及び架橋ゴムの製造方法を、実施例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって、いかなる制限を受けるものではない。
[化2]に示すように、下記の配合を、40mm単軸押出機(回転数30rpm)、で、160℃で混練することで、EPゴムへの無水マレイン酸のグラフトによる無水マレイン酸グラフトEPゴムを得た。
EPゴム(JSR社製:商品名:EP21) 100質量部
無水マレイン酸(日油社製:商品名:CRYSTAL MAN) 3質量部
DCP(化薬アクゾ社製) 0.1質量部
[化3]に示すように、(1)で作製した無水マレイン酸グラフトEPゴムに、ATAを下記配合の通り添加し、ニーダ(回転数30rpm)で180℃×30分混練することで、下記構造式のATA付加マレイン酸グラフトEPゴムを得た。ATA付加マレイン酸基は、カルボキシル基、アミノ基を多数有し、多くの水素結合を行う箇所を有する。
無水マレイン酸グラフトEPゴム 100質量部
3−アミノ−1,2,4−トリアゾール(ATA)(日本カーバイド工業社製) 2質量部
[化4]に示すように、下記の配合を40mm単軸押出機(回転数30rpm)で、160℃で混練することで、シラン架橋基のグラフトを行い、下記構造のシラングラフト・ATA付加マレイン酸グラフトEPゴムを得た。
ATA付加マレイン酸グラフトEPゴム 100質量部
ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製:商品名:KBM1003) 3質量部
デス-γ-カルボキシプロトロンビン(DCP) 0.1質量部
下記の配合をニーダにて(回転数30rpm)で150℃×15分混練することで、触媒マスターバッチを作製した。
EPゴム(JSR社製:商品名:EP21) 100質量部
ジブチルスズジラウレート 1質量部
下記の配合を40mm単軸押出機(回転数5rpm、100℃)で押出、芯線に被覆した。押出ラインの構成は図1に示す通りである。
シラングラフト・ATA付加マレイン酸グラフトEPゴム 95質量部
触媒マスターバッチ 5質量部
シラン架橋後、巻取りドラムよりケーブルを取り出し、図2に示すように、断面形状の潰れを評価した。潰れの評価は、下記式により、扁平率を求めた。
EPゴムにシラン架橋基のみをグラフトし、架橋ゴムとした例を示す。
[化7]に示すように、下記の配合を40mm単軸押出機(回転数30rpm)で、160℃で混練することで、シラン架橋基のグラフトを行い、下記構造のシラングラフトEPゴムを得た。
EPゴム(JSR社製EP21) 100質量部
ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製:商品名:KBM1003) 3質量部
DCP 0.1質量部
下記の配合をニーダにて(回転数30rpm)で150℃×15分混練することで、触媒マスターバッチを作製した。
EPゴム(JSR社製商品名:EP21) 100質量部
ジブチルスズジラウレート 1質量部
下記の配合を、実施例1と同様の押出機、押出条件で同様の形状に押出、芯線に被覆した。その後、ドラム巻き付き状態で、室温(23℃、湿度50%)に7日間放置して、シラン架橋を施した。
シラングラフトEPゴム 95質量部
触媒マスターバッチ 5質量部
シラン架橋後、巻取りドラムよりケーブルを取り出し、断面形状の潰れを評価した。潰れの評価は、実施例1に示した扁平率を求める式を用いた。扁平率は74%で、目標(80%以上)を達成することができなかった。
[化8]に示すように、下記の配合を6インチロールで、80℃×5分混練することで、グルコサミン・シラングラフトCRゴムを得た。反応式は[化8]に示すように、1,2結合CRゴムにアミノ基が付加する。
CRゴム(昭和電工社製:商品名:ショウプレンW) 100質量部
グルコサミン 1質量部
3−アミノプロピルトリエトキシシラン 2質量部
酸化マグネシウム 3質量部
下記の配合をニーダにて(回転数30rpm)で80℃×15分混練することで、触媒マスターバッチを作製した。
CRゴム(昭和電工社製:商品名:ショウプレンW) 100質量部
ジブチルスズジラウレート 1質量部
酸化マグネシウム 3質量部
下記の配合を40mm単軸押出機(回転数5rpm、80℃)で押出、芯線に被覆した。押出ラインの構成は実施例1の場合と同様である。
グルコサミン、シラングラフトCRゴム 95質量部
触媒マスターバッチ 5質量部
シラン架橋後、巻取りドラムよりケーブルを取り出し、断面形状の潰れを評価した。潰れの評価は、実施例1に示した扁平率を求める式を用いた。扁平率は、目標の80%以上である、86%と良好であった。
CRゴムにシラン架橋基のみをグラフト、架橋ゴムとした例を示す。
[化11]に示すように、下記の配合を6インチロールで、80℃×5分混練することで、シラングラフトCRゴムを得た。反応式は[化11]に示す通りとなり、1,2結合CRゴムにアミノ基が付加する。
CRゴム(昭和電工社製:商品名:ショウプレンW) 100質量部
3−アミノプロピルトリエトキシシラン 2質量部
酸化マグネシウム 3質量部
下記の配合をニーダにて(回転数30rpm)で80℃×15分混練することで、触媒マスターバッチを作製した。
CRゴム(昭和電工社製:商品名:ショウプレンW) 100質量部
ジブチルスズジラウレート 1質量部
酸化マグネシウム 3質量部
下記の配合を実施例2と同様の押出機、押出条件で同様の形状に押出、芯線に被覆した。その後、ドラム巻き付き状態で、室温(23℃、湿度50%)に7日間放置して、シラン架橋を施した。
シラングラフトCRゴム 95質量部
触媒マスターバッチ 5質量部
シラン架橋後、巻取りドラムよりケーブルを取り出し、断面形状の潰れを評価した。潰れの評価は、実施例1に示した扁平率を求める式を用いた。扁平率は70%で、目標(80%以上)を達成できなかった。
2 押出機
3 水槽
4 巻取りドラム
10 ゴムケーブル
11 長軸
12 単軸
13 芯線
14 絶縁被覆
Claims (5)
- 架橋前のゴム分子中に、高温状態で互いに乖離し冷却状態で互いに結合する高温乖離・冷却結合型架橋基と、シラン架橋基とを含有し、成形後、前記高温乖離・冷却結合型架橋基が互いに結合型架橋した状態で、前記シラン架橋基が水分とともにシラノール縮合反応することによって、シラン架橋が施されてなる架橋ゴム。
- 前記高温乖離・冷却結合型架橋基は、水素結合基、イオン結合基又は、動的共有結合基である請求項1に記載の架橋ゴム。
- 請求項1又は2に記載の架橋ゴムを用いたことを特徴とするゴムケーブル。
- 架橋前のゴム分子中に、高温状態で互いに乖離し冷却状態で互いに結合する高温乖離・冷却結合型架橋基を導入し、
前記高温乖離・冷却結合型架橋基が導入されたゴム分子中に、シラン架橋基を導入し、
前記高温乖離・冷却結合型架橋基及びシラン架橋基が導入されたゴム分子を成形し、及び
前記高温乖離・冷却結合型架橋基が互いに結合した状態で、前記シラン架橋基を水分とともにシラノール縮合反応させて、シラン架橋を施す、ことを含む架橋ゴムの製造方法。 - 前記高温乖離・冷却結合型架橋基は、水素結合基、イオン結合基又は、動的共有結合基である請求項4に記載の架橋ゴムの製造方法。
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