JP2013164124A - 膨張弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】弁ハウジング内で副弁を移動させることにより、冷媒の第1の流れ方向に対して該冷媒を絞る機能を果たすとともに、第2の流れ方向に対して圧力損失を極力小さくして大流量を流せるようにした膨張弁において、継手管のろう付け工程で、第2ポートから副弁座に溶融したろう材が流れ出さないようにし、弁漏れ等を防止する。
【解決手段】弁ハウジング1の筒状部1b内に弁座リング3を圧入する。継手管12を筒状部1b内に取り付ける。弁座リング3の継手管12側の端部に溶融したろう材を溜める溝33を形成する。弁座リング3の第2ポート3aの継手管12側の内周面の全周に溶融したろう材を溜める溝32を形成する。溝は3本以上でもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒートポンプ式冷凍サイクル中に設けられ、冷媒の第1の流れ方向に対して該冷媒を絞る機能を果たすとともに、圧力損失を極力小さくして大流量を流せるようにした膨張弁に関する。
従来、ヒートポンプ式冷凍サイクルの多くは、室外熱交換器側(室外ユニット)に膨張弁が設けられており、この場合、膨張弁で膨張された冷媒は長い管路を介して室内熱交換器に流入される。このため、膨張された冷媒に圧力損失が生じやすく、膨張弁における流量制御がしにくいという問題がある。このことは膨張弁を室内熱交換器側に設けた場合も同様である。
これに対して、特開2009−287913号公報(特許文献1)に、ヒートポンプ式冷凍サイクルにおいて、冷房モード時には室内熱交換器側で流量制御を含む絞り機能を発揮し、暖房モード時には室外熱交換器側で絞り機能を発揮できるようにした膨張弁が提案されている。
また、特許文献1の膨張弁は、冷媒の第1の流れ方向に対して該冷媒を絞る機能を果たすとともに、第2の流れ方向に対して圧力損失を極力小さくして大流量を流すために、副弁としての弁座部材(2,8)を有しており、この弁座部材(2,8)を弁ハウジング(1,7)内で軸線方向に摺動させる構造とされ、さらに、弁座部材(2)が開放する第2ポート(12)は継手管(12a)の内径と略同径であり、弁座部材(8)が開放する弁座リング(721)の第2ポート(71)は継手管(722)の内径と同径になっている。
ところで、継手管(12a,722)は弁ハウジング(1,7)に対してろう付けにより取り付けられる。このろう付けは、継手管にろう材を嵌め込んだ状態で弁ハウジングに本体部1aに挿通される。そして、組み付けたアセンブリを、ろう付け装置のフラックス無炉中にて加熱する。このフラックス無炉中にて加熱するろう付けの技術は、例えば特開2002−139169号公報(特許文献2)に開示されている。
特開2009−287913号公報 特開2002−139169号公報
前記特許文献1の膨張弁では、第2ポートの内径とこの第2ポートに連通する継手管の内径が同径(実質的に同じ径)としているため、次のような問題がある。ろう付けの工程では継手管の弁ハウジング側の付け根にろう材が嵌め込まれ、これが溶融する。この溶融したろう材は、毛細管現象により弁ハウジングの挿通孔と継手管の外周との間に流れ込むようになる。
この弁ハウジングの挿通孔と継手管の外周との間のクリアランスは、使用するろう材の体積に応じて設定される。しかしながら、ろう付け装置の雰囲気条件によっては、溶け出したろう材の流れる量を制御するのが困難な場合があり、ろう材が第2ポートを通って副弁座に流れ出すと、副弁座と副弁との当接面にろう材が付着して形状を不均一にするので弁漏れが生じる虞がある。
本発明は、ヒートポンプ式冷凍サイクルにおいて、弁ハウジング内で副弁を移動させることにより、冷媒の第1の流れ方向に対して該冷媒を絞る機能を果たすとともに、第2の流れ方向に対して圧力損失を極力小さくして大流量を流せるようにした膨張弁において、副弁が着座する第2ポートの周囲の副弁座にろう材が流れないようにし、該副弁座の精度を確保して、弁漏れ等を防止することを課題とする。
請求項1の膨張弁は、シリンダ状の主弁室を構成する弁ハウジングと、該主弁室に連通する第1ポート及び該主弁室の軸方向端部に連通する第2ポートと、前記主弁室内に該主弁室の軸方向に移動可能に配置されて、主弁室と前記第2ポートとの間に弁ポートを有する副弁と、前記副弁に対する前記軸方向の移動により前記弁ポートを開閉する弁体とを備え、冷媒を前記第1ポートから前記第2ポートへ流すとき、該第1ポートと第2ポートの差圧により前記副弁を前記第2ポートの周囲の副弁座に着座させて該第2ポートを閉状態とするとともに、前記弁体により前記弁ポートへ流れる冷媒を絞り、冷媒を逆方向に流すとき、前記第2ポートと第1ポートの差圧により前記副弁を前記第2ポートから離間して該第2ポートを全開状態とするようにした膨張弁において、前記第2ポートと該第2ポートに連通する継手管の内径が同径であり、該第2ポートの内周面の前記継手管に隣接する箇所で該内周面の全周に溶融したろう材を溜める溝を形成したことを特徴とする。なお、請求項及び明細書において「内径が同径」とは正に同径である場合、略同径(実質的に同径)である場合も含む概念である。
請求項2の膨張弁は、請求項1に記載の膨張弁であって、前記第2ポートの前記継手管側の開口端と、該第2ポートの内部とに、複数の前記溝を形成したことを特徴とする。
請求項2の膨張弁は、請求項1に記載の膨張弁であって、前記継手管と同径の弁座リングの内側が前記第2ポートとされ、該弁座リングと該継手管とが突き併せて取り付けられていることを特徴とする。
請求項1の膨張弁によれば、弁ハウジングへの継手管の取り付け時のろう付け工程で、溶け出したろう材の量が多い場合でも、継手管から第2ポートに流れたろう材は、この継手管側の溝にたまり、ろう材が副弁が着座する副弁座に達するのを防止でき、副弁座の精度を確保して、弁漏れ等を防止することができる。
請求項2の膨張弁によれば、請求項1の効果に加えて、溝が複数あることで、副弁座へのろう材の付着を確実に防止できる。
請求項3の膨張弁によれば、請求項1または2の効果に加えて、第2ポートを弁ハウジングと別体の弁座リングによって形成するので、ろう材を溜める前記溝を形成するのも容易になる。
本発明の実施形態の膨張弁の絞り状態の縦断面図である。 同膨張弁の全開状態の縦断面図である。 本発明の実施形態における膨張弁の組立工程の一部を示す図である。 本発明の実施形態における膨張弁のろう材を溜める溝の作用を説明する図である。 本発明の実施形態における副弁の平面図及び縦断面図である。 本発明の実施形態の膨張弁を備えたヒートポンプ式冷凍サイクルを示す図である。
次に、本発明の膨張弁の実施形態を図面を参照して説明する。図6は実施形態の膨張弁を設けたヒートポンプ式冷凍サイクルを示す図であり、先ず、図6に基づいて実施形態に係るヒートポンプ式冷凍サイクルについて説明ずる。図6において、符号101 ,102 は本発明の実施形態の第1の膨張弁及び第2の膨張弁であり、第1の膨張弁101 は室外ユニット100に搭載され、第2の膨張弁102 は室内ユニット200に搭載されている。膨張弁101 ,102 、室外熱交換器20、室内熱交換器30、流路切換弁40、及び圧縮機50は、それぞれ導管によって図示のように接続され、ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。
冷凍サイクルの流路は流路切換弁40により「冷房モード」および「暖房モード」の2通りの流路に切換えられる。冷房モードでは、圧縮機50で圧縮された冷媒は流路切換弁40から室外熱交換器20に流入され、第1の膨張弁101 を介して管路aを流れて第2の膨張弁102 に流入される。そして、この第2の膨張弁102 で冷媒が膨張され、室内熱交換機30に流入される。この室内熱交換器30に流入された冷媒は、流路切換弁40を介して圧縮機50に流入される。暖房モードでは、圧縮機50で圧縮された冷媒は流路切換弁40から室内熱交換器30に流入され、第2の膨張弁102 、管路aを通って第1の膨張弁101 に流入される。そして、この第1の膨張弁101 で冷媒が膨張され、室外熱交換器20、流路切換弁40、圧縮機50の順に循環される。
ここで、膨張弁101 ,102 は冷媒の流量を制御しない全開状態と、冷媒の流量を制御する絞り状態とをとり、全開状態では継手管12から冷媒が流入して継手管11から流出する。また、絞り状態では継手管11から冷媒が流入して継手管12から流出する。すなわち、冷房モードにおいては第1の膨張弁101 は全開状態で第2の膨張弁102 が絞り状態となり、また、暖房モードにおいては、第2の膨張弁102 が全開状態で第1の膨張弁101 が絞り状態となる。また、冷房モード及び暖房モードのいずれのモードでも、第1の膨張弁101 と第2の膨張弁102 を接続する管路aでは冷媒の流れは大流量となり、絞り機能を持つ膨張弁手前での圧力損失を低減することができ、運転能力が向上する。
次に、実施形態の膨張弁101 ,102 について説明する。図1は実施形態の膨張弁の絞り状態の縦断面図、図2は同膨張弁の全開状態の縦断面図、図3は実施形態における膨張弁の組立工程の一部を示す図、図4は実施形態における膨張弁のろう材を溜める溝の作用を説明する図、図5は実施形態における副弁の平面図(図5(A) )及び縦断面図(図5(B) )である。なお、膨張弁101 ,102 の符号の添え字は、第1の膨張弁と第2の膨張弁とを区別するものであるが、以下の説明において両者を区別しない場合など添え字は適宜省略する。
図1及び図2に示すように、膨張弁10は、弁ハウジング1を有し、弁ハウジング1には円筒シリンダ状の主弁室1Aを形成する本体部1aと、本体部1aの下端から下方に延びる筒状部1bを有している。弁ハウジング1には、主弁室1Aの片側内周面に継手管11が取り付けられ、この継手管11の端部は主弁室1Aに開口する第1ポート11aとなっている。また、筒状部1b内の主弁室1A側にはステンレス製の弁座リング3が圧入して取り付けられるとともに、この筒状部1bの下端部に継手管12が取り付けられている。弁座リング3の内側は第2ポート3aとなっている。そして、弁座リング3の継手管12側の端部には、溶融したろう材を溜めるための溝33が形成されている。また、第2ポート3aの内周面の継手管12に隣接する箇所で、この内周面の全周に亘って、溝32が溝33に加えて形成されている。
主弁室1A内には、副弁2が配設されている。図5に示すように、副弁2はガイド部材21と弁座部材22とで構成されている。ガイド部材21は円盤部21aと3つのガイド板211,212,213とで構成されている。また、弁座部材22は円盤部21aの中央に固着されており、この弁座部材22の中央には弁ポート22aが形成されている。
弁ハウジング1の上部には固定金具41によって支持部材4が固着されている。支持部材4には軸L方向に長いガイド孔42が形成され、ガイド孔42に連通する均圧孔43が形成されている。また、固定金具41には均圧孔44が形成されている。ガイド孔42には円筒状の弁ホルダ5が軸L方向に摺動可能に挿通されている。これにより、弁ホルダ5は支持部材4を介して弁ハウジング1に対して軸L方向に移動可能に支持されている。
弁ホルダ5は主弁室1Aと同軸に取り付けられ、この弁ホルダ5の下端部には端部がニードル状でステンレス製の弁体51が固着されている。弁体51は、弁ホルダ5と共に軸L方向に移動することにより、弁ポート22aの開口面積を増減し、第1ポート11aから第2ポート3aへ流れる流体の流量を制御して冷媒を絞る機能を果たす。なお、弁体51は、図1に示すように最降下した全閉位置と、図2に示すように最上昇した全開位置との間で移動可能になっている。
また、弁ホルダ5は、ステッピングモータ6のロータ軸61に係合している。すなわち、ロータ軸61の下端部にはフランジ部61aが一体形成され、このフランジ部61aが弁ホルダ5の上端部と共にワッシャ52を挟み込み、このロータ軸61の下端部が弁ホルダ5の上端部で回転可能に係合している。この係合により、弁ホルダ5がロータ軸61によって回転可能に吊り下げた状態で支持されている。また、弁ホルダ5内には、バネ受け53が軸L方向に移動可能に設けられ、バネ受け53と弁体51との間には圧縮コイルバネ54が所定の荷重を与えられた状態で取り付けられている。これにより、バネ受け53は、上側に付勢され、ロータ軸61の下端部に当接係合している。
ロータ軸61には雄ねじ部61bが形成されており、この雄ねじ部61bは支持部材4に形成された雌ねじ部4aに螺合している。これにより、ロータ軸61は回転に伴って軸L線方向に移動する。
弁ハウジング1の上端には、ステッピングモータ6のケース62が溶接等によって気密に固定されている。ケース62内には、外周部を多極に着磁されたマグネットロータ63が回転可能に設けられ、このマグネットロータ63にはロータ軸61が固着されている。なお、ケース62の天井部にはマグネットロータ63の回転を規制する回転ストッパ機構64が設けられている。
また、ケース62の外周には、ステータコイル65が配設されており、ステッピングモータ6は、ステータコイル65にパルス信号が与えられることにより、そのパルス数に応じてマグネットロータ63を回転させる。そして、このマグネットロータ63の回転によってマグネットロータ63と一体のロータ軸61が回転し、この回転に伴うロータ軸61の軸L方向移動によって弁ホルダ5と共に弁体51が軸L方向に移動する。
以上の構成により、実施形態の膨張弁10は以下のように動作する。図1は継手管11(第1ポート11a)側から高圧冷媒が流入されて、冷媒流量が制御され、継手管12(弁座リング3の第2ポート3a)から膨張された冷媒が流出する状態を示している。この場合、第1ポート11a及び主弁室1A内が高圧で第2ポート3a側が低圧となるため、その冷媒圧力の差圧により、副弁2は第2ポート3aの周囲の副弁座31に着座して、この第2ポート3aを閉状態とする。そして、弁体51の軸L方向位置をステッピングモータ6で制御することにより、主弁室1Aから弁体51と弁ポート22aとの間を介して流れる冷媒流量が制御される。
一方、圧縮機50を停止するとともに流路切換弁40を切り換える。このとき、ステッピングモータ6で制御して、弁体51を副弁2から離間する方向(上方)に移動し、再び圧縮機50を駆動する。これにより、継手管12(第2ポート3a)側から高圧冷媒を流入して、継手管11(第1ポート11a)から冷媒を流出する状態とすると、第2ポート3aが高圧で主弁室1A及び第1ポート11a側が低圧となる。そして、冷媒圧力の差圧により副弁2は副弁座31から離間し、図2の状態になる。すなわち、第2ポート3aは全開状態となる。これにより、第2ポート3aと主弁室1Aを介して第1ポート11aに冷媒が解放されて流通するようになる。
次に、副弁2の詳細について説明する。図4に示すように、副弁2のガイド部材21は、ステンレス板のプレス加工により形成されており、主弁室1Aの軸Lに直角に交差する円盤部21aと、この円盤部21aの周囲3箇所に立設された3つのガイド板211,212,213とを一体にして構成されている。各ガイド板211,212,213は平板状(フラット)であり、円盤部21aに対して軸Lと平行な方向にL形に立設されている。また、円盤部21aの中央には略円形の嵌合孔21bが形成されている。
このガイド部材21のプレス加工時にはプレスは2度に分けて行い、ガイド板211,212,213の部分は図5(A) に示す矢印P1の方向からプレスしている。また、ガイド板211,212,213以外の円盤部21aの端部の部分は、図5(B) に示す矢印P2の方向からプレスしている。
副弁2の弁座部材22は、ステンレスの切削加工により形成されており、下部に円錐台状の副弁部221と、この副弁部221の外周に形成された円盤状のフランジ部222と、上部に形成された円環状の環状ボス部223を一体にして構成されている。環状ボス部223は端部にいくに従って肉薄になるように形成されている。
以上の構成により、副弁2は以下のように組み付ける。弁座部材22の環状ボス部223をガイド部材21の嵌合孔21b内に挿通し、フランジ部222を円盤部21aの裏面に突き当てた状態で環状ボス部223の端部を外周側に広げるようにかしめる。これによりガイド部材21と弁座部材22が結合される。そして、ガイド部材21の円盤部21aの端部と、弁座部材22のフランジ部222の端部との接合部分(図5(A) に円弧状破線で示す接合部分)にスポット溶接を施す。
かしめのみでガイド部材21と弁座部材22を結合する場合、環状ボス部223のかしめが甘いと、ガイド部材21が弁座部材22から脱落してしまう。逆にかしめが強すぎるとガイド部材21が変形してしまい、弁ハウジングとの所定のクリアランスを確保できなくなる。その結果、最悪の場合、副弁2が弁ハウジング1内でロックしてしまう虞がある。また、スポット溶接のみでガイド部材21と弁座部材22を結合する場合、ガイド部材21と弁座部材22との間のクリアランスにより、ガイド部材21の中心に弁座部材22を保持することは困難である。そのため、前述のように環状ボス部223のかしめにより弁座部材22に対するガイド部材21の芯出しを行った後、スポット溶接を行うことにより、ガイド部材21と弁座部材22とを確実に固着することができるだけでなく、ガイド部材21の中心に弁座部材22を保持することができる。
なお、円盤部21aの端部にはプレス時のダレ面とバリが形成されているが、前記のように矢印P2の方向からプレスしているので、ダレ面は弁座部材22のフランジ部222と反対側にでき、バリはフランジ部222側にできる。円盤部21aはフランジ部222より径が僅かに大きくなるように形成されており、バリをフランジ部222の外に出すことにより、スポット溶接時に、このバリ部分が溶融する。これにより、円盤部21aとフランジ部222とを隙間無く密着させることができ、より確実にスポット溶接することができる。
副弁2のガイド板211,212,213は平板状(フラット)であり、各ガイド板211,212,213の軸Lと平行な両端の縁が本体部1aの内周面1a1(図5(A) 参照)に対して線接触で摺接し、主弁室1A内で軸L方向に摺動可能となっている。また、ガイド板211,212,213は平板状であるので、ガイド板211,212,213と内周面1a1との間には間隙ができ、このガイド板211,212,213と内周面1a1との間にゴミ等が噛むことがなく、副弁2の摺動動作を安定した動作とすることができる。
さらに、この副弁2のガイド部材21をプレス加工するとき、ガイド板211,212,213の部分は、図5(A) に示す矢印P1の方向からプレスするので、内側がバリ面となり、線接触する部分はダレ面となる。したがって、副弁2の摺動動作を安定した動作とすることができる。
また、副弁2において、ガイド部材21は薄板状のステンレス板で形成された軽量な部材であるので、例えば特許文献1の副弁(弁座部材2)の全体を切削加工で形成する従来に比べて、軽量化することができ、図1の状態から図2の状態に移行するとき、副弁2が容易に持ち上がり、安定した動作が得られる。さらに、弁座部材22は切削加工により形成されているので、弁ポート22aを精度高く形成することができ、弁漏れを防止して信頼性の高い膨張弁が得られる。
図3(A) に示すように、当該膨張弁の組立時には以下の工程を経る。弁座リング3は弁ハウジング1の筒状部1b内に内側から圧入され、この筒状部1bに対して、リング状のろう材aを継手管12に嵌め込んだ状態で継手管12が挿通される。このとき継手管12の端部は弁座リング3に突き合わされる。継手管11も同様なろう材bを嵌め込んだ状態で本体部1aに挿通される。そして、図3(B) に示すように組み付けたアセンブリを、ろう付け装置のフラックス無炉中にて加熱することで、継手管11,12が弁ハウジング1に対してろう付けされる。
ここで、ろう付け装置の雰囲気条件によっては、溶け出したろう材の流れる量を制御するのが困難な場合があり、ろう材が弁座リング3の第2ポート3a側に流れ出す可能性がある。しかしながら、図4(B) に示すように、溶け出したろう材が第2ポート3a側に流れ出したとしても、弁座リング3の第2ポート3aには継手管12側内周に溝33が形成されているので、継手管12の周囲から弁座リング3側に流れ出したろう材は溝33に溜まり、弁座31に達することがない。なお、図4(A) は弁座リング3の周囲の拡大図、図4(C) は図4(B)の状態からさらに、第2ポート3a側にろう材が流れ出た場合であり、流れ出したろう材は第2ポート3a内に溝33に加えてさらに設けた溝32に溜まる。このように、溶融したろう材を溜めるための溝を複数設けておけば、溶け出したろう材が弁座31に達することをより確実に防止できる。
以上の実施形態では、第2ポートが弁座リングに形成されている場合について説明したが、弁座リングが無く、弁ハウジングに直接第2ポートが形成されている場合でも、その第2ポートに溝を形成すればよい。
また、実施形態では、溝32,33の2つの溝を形成した場合について説明したが、弁座リングの場合、弁ハウジングの場合のいずれの場合でも、溝は3本以上形成してもよいことはいうまでもない。
1 弁ハウジング
1A 主弁室
1a 本体部
1b 筒状部
11 継手管
11a 第1ポート
12 継手管
2 副弁
21 ガイド部材
22 弁座部材
211,212,213 ガイド板
22a 弁ポート22a
221 副弁部
3 弁座リング
3a 第2ポート
31 副弁座
32 溝
33 溝
5 弁ホルダ
51 弁体
6 ステッピングモータ
L 軸

Claims (3)

  1. シリンダ状の主弁室を構成する弁ハウジングと、該主弁室に連通する第1ポート及び該主弁室の軸方向端部に連通する第2ポートと、前記主弁室内に該主弁室の軸方向に移動可能に配置されて、主弁室と前記第2ポートとの間に弁ポートを有する副弁と、前記副弁に対する前記軸方向の移動により前記弁ポートを開閉する弁体とを備え、
    冷媒を前記第1ポートから前記第2ポートへ流すとき、該第1ポートと第2ポートの差圧により前記副弁を前記第2ポートの周囲の副弁座に着座させて該第2ポートを閉状態とするとともに、前記弁体により前記弁ポートへ流れる冷媒を絞り、冷媒を逆方向に流すとき、前記第2ポートと第1ポートの差圧により前記副弁を前記第2ポートから離間して該第2ポートを全開状態とするようにした膨張弁において、
    前記第2ポートと該第2ポートに連通する継手管の内径が同径であり、該第2ポートの内周面の前記継手管に隣接する箇所で該内周面の全周に溶融したろう材を溜める溝を形成したことを特徴とする膨張弁。
  2. 前記第2ポートの前記継手管側の開口端と、該第2ポートの内部とに、複数の前記溝を形成したことを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。
  3. 前記継手管と同径の弁座リングの内側が前記第2ポートとされ、該弁座リングと該継手管とが突き併せて取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の膨張弁。
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