JP2013163185A - 金属フィラー、はんだペースト、及び接続構造体 - Google Patents

金属フィラー、はんだペースト、及び接続構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】鉛フリーはんだのリフロー熱処理条件で溶融接合でき、接合後は、後工程で複数回の熱処理を受けても再溶融せず、3216サイズより大型のチップ部品の実装性にも優れた金属フィラー、これを含むはんだペースト及び導電性接着剤の提供。
【解決手段】第1の金属粒子と第2の金属粒子との混合体を含む金属フィラーであって、該混合体は、該第1の金属粒子100質量部に対し、第2の金属粒子を54〜567質量部で含み、該第1の金属粒子はCu粒子又はCu合金粒子であり、該第2の金属粒子はSn粒子又はSn合金粒子であり、そして該金属フィラー中の粒径5μm以下の微粒子含有率が5.5%未満であることを特徴とする金属フィラー。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属フィラー、鉛フリーはんだペースト、及び接続構造体等に関する。より詳しくは、本発明は、粒径5μm以下の微粒子含有率を特定範囲とした金属フィラーであって、鉛フリーはんだのリフロー熱処理条件で溶融接合でき、接合後は、後工程で複数回の熱処理を受けても再溶融せず、3216サイズより大型のチップ部品の実装性にも優れたものに関する。
近年の情報化社会の発達に伴い、携帯電話を中心とした電子機器では、高機能化、軽薄、短小化が求められ、それに伴い高密度実装技術も急速な進歩を遂げている。
部品を基板に内蔵したり、複数のLSIを1パッケージ化したり、限られた容積を有効利用するため、多様な実装技術が開発されているが、一方で、高密度化が進めば進むほど、基板内部やパッケージ内部に組込まれた部品のはんだ接続部は、後工程で熱処理を受ける回数が多くなり、部品と封止樹脂の隙間で起こる、はんだ再溶融によるショート問題が顕在化してきている。
その為、基板内部やパッケージ内部に組込まれた部品の接続において、後工程で複数回の熱処理を受けても、再溶融しない耐熱性を有する鉛フリーはんだ材料の開発が望まれている。
本発明者等は、鉛フリーはんだのリフロー熱処理条件で溶融接合でき、接合後は、同じ熱処理条件では再溶融しない鉛フリーはんだ材料を提案した(特許文献1参照)。
鉛フリーはんだのリフロー熱処理条件とは、代表的なSn−3.0Ag−0.5Cu(融点217℃)で、はんだ接続する場合の一般的なリフロー熱処理条件であり、ピーク温度240〜260℃の範囲のことである。
該はんだ材料の導電性フィラーは、Cu主成分の第1の金属粒子とリフロー熱処理において溶融する第2の金属粒子との混合体からなり、リフロー熱処理において、新たな安定合金相を形成することで、再度のリフロー熱処理においても、再溶融しない特徴を有するものであった。
一方で、Cu粒子とSn粒子の混合体を導電性フィラーとするはんだ材料が提案されている(特許文献2参照)。該はんだ材料は、熱処理により、Cu6Sn5を含むCuSn化合物とCu粒子を有する接続部により接続され、且つCu粒子同士は、該CuSn化合物で連結されていることを特徴としている。
国際公開第2006/109573号パンフレット 特開2002−261105号公報
しかしながら、特許文献1に記載される技術においては、該はんだ材料は、再度のリフロー熱処理において再溶融しない優れた特徴を有しているが、3216サイズより大型のチップ部品の実装性において改善の余地があった。
また、特許文献2に記載のはんだ材料に関しても同様に、3216サイズより大型のチップ部品の実装性において改善の余地を有するものであった。
本発明は、上記問題を鑑みて成されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、鉛フリーはんだのリフロー熱処理条件で溶融接合でき、接合後は、後工程で複数回の熱処理を受けても再溶融せず、3216サイズより大型のチップ部品の実装性にも優れた金属フィラーを提供することである。また、本発明が解決しようとする課題は、該金属フィラーを含む鉛フリーはんだ又は導電性接着剤、該鉛フリーはんだ又は導電性接着剤を用いて得られる接続構造体、並びに基板及び該接続構造体を含む部品搭載基板を提供することでもある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、金属フィラー中の粒径5μm以下の微粒子含有率を特定範囲にすることより、上記課題を解決することができることを予想外に発見し、かかる発見に基づき、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]第1の金属粒子と第2の金属粒子との混合体を含む金属フィラーであって、該混合体は、該第1の金属粒子100質量部に対し、第2の金属粒子を54〜567質量部で含み、該第1の金属粒子はCu粒子又はCu合金粒子であり、該第2の金属粒子はSn粒子又はSn合金粒子であり、そして該金属フィラー中の粒径5μm以下の微粒子含有率が5.5%未満であることを特徴とする金属フィラー。
[2]前記Cu合金粒子が、Cuを50〜99質量%含む、前記[1]に記載の金属フィラー。
[3]前記Cu合金粒子が、Cu50〜99質量%と、Sn、Ag、Bi、In、及びGeからなる群より選ばれる少なくとも1つ以上の元素1〜50質量%とからなる、前記[2]に記載の金属フィラー。
[4]前記Cu合金粒子が、Sn13.5〜16.5質量%、Ag9〜11質量%、Bi4.5〜5.5質量%、In0.1〜5質量%、残部にCuを含むCu合金粒子、又はAg1〜25質量%、残部にCuを含むCu合金粒子、又はSn1〜10質量%、残部にCuを含むCu合金粒子である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の金属フィラー。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の金属フィラーを含むはんだペースト。
[6]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の金属フィラーを含む導電性接着剤。
[7]第1の電子部品、第2の電子部品、及び該第1の電子部品と該第2の電子部品とを接合するはんだ接合部を有する接続構造体であって、該はんだ接合部が、前記[5]に記載のはんだペースト又は前記[6]に記載の導電性接着剤を、リフロー熱処理することによって形成されたものである前記接続構造体。
[8]前記第1の電子部品が、3216サイズより大型のチップ部品である、前記[7]に記載の接続構造体。
[9]基板と、前記基板の上に搭載された前記[7]又は[8]に記載の接続構造体とを有する、部品搭載基板。
[10]基板と、前記基板の上に搭載された前記[7]又は[8]に記載の接続構造体とを有する、部品内蔵モジュール。
本発明の金属フィラー、及びそれを含むはんだ材料は、鉛フリーはんだのリフロー熱処理条件で溶融接合でき、接合後は、後工程で複数回の熱処理を受けても、はんだ接続部が再溶融しない耐熱性を有する。また、3216サイズより大型のチップ部品の実装性にも優れる。
上から見た3225C部品実装の良好なモデル平面図。 上から見た3225C部品実装の部品下ショートモデル平面図。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態と略記する)を詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で変形して実施することができる。
<金属フィラー>
本実施の形態の金属フィラーは、第1の金属粒子と第2の金属粒子との混合体を主成分として含む金属フィラーであって、該混合体は、第1の金属粒子100質量部に対し、第2の金属粒子が54〜567質量部を含み、該第1の金属粒子はCu粒子又はCu合金粒子であり、該第2の金属粒子はSn粒子又はSn合金粒子であり、該金属フィラー中の5μm以下の微粒子含有率が5.5%未満であることを特徴とする。
金属フィラーの好適組成を例示すると、第1の金属粒子と第2の金属粒子の混合比は、耐熱性の観点から、第1の金属粒子100質量部に対し第2の金属粒子が567質量部以下であり、より好ましくは400質量部以下であり、さらに好ましくは300質量部以下である。一方、初期の接合状態が向上するという観点から、下限は、第1の金属粒子100質量部に対し第2の金属粒子が54質量部以上であり、より好ましくは82質量部以上である。
また、前記第1の金属粒子の成分としては、Cu、又は第2の金属粒子との熱拡散による合金化の観点から、Cuを50〜99質量%含むCu合金が好ましく、Cu50〜99質量%とSn、Ag、Bi、In、及びGeからなる群より選ばれる少なくとも1つ以上の元素1〜50質量%とからなるCu合金がより好ましい。
好ましい一つの態様としては、Sn13.5〜16.5質量%、Ag9〜11質量%、Bi4.5〜5.5質量%、In0.1〜5質量%、残部にCuを主成分として含むCu合金が挙げられる。また、他の好ましい態様として、Ag1〜25質量%、残部にCuを主成分として含むCu合金、又はSn1〜10質量%、残部にCuを主成分として含むCu合金が挙げられる。なお、本実施の形態において主成分とは、特定成分を含むマトリックス成分中に占める当該特定成分の割合が、好ましくは50質量%であり、より好ましくは80質量%であり、さらに好ましくは100質量%である当該特定成分をいう。
尚、第1の金属粒子は、内部に準安定合金相を有することが好ましい。準安定合金相は、反応性が高いので、熱処理において溶融したはんだ粒子との合金化を迅速に行うことができる。尚、準安定合金相は、示差走査熱量測定(DSC)において発熱ピークとして確認することができる。示差走査熱量測定における発熱は、新たな合金相が形成される際に発生する潜熱の検出であり、粒子に準安定合金相が存在することを示す。
第1の金属粒子の形状とサイズは、用途に応じて定めることができる。例えば、はんだペースト用途では、印刷性を重視して、平均粒径で10〜40μmの比較的真球度の高い粒子を使うことが好ましい。また、導電性接着剤用途では、粒子の接触面積を増やすため、異形粒子を使うことが好ましい。
前記第2の金属粒子の成分としては、Sn又はSn合金を用いることができるが、第1の金属粒子や基板電極表面との濡れ性や第1の金属粒子との熱拡散による合金化促進の観点から、Sn合金が好ましく、Snを90〜99.5質量部を含むSn合金がより好ましい。これらはSnよりも融点が低いため、熱処理における第1の金属粒子との合金化反応が早くなる傾向がある。
具体的には、Sn合金粒子としては、Sn−Cu共晶系はんだ、Sn−Ag共晶系はんだ、Sn−Ag−Cu共晶系はんだが好ましく、又はこれらにIn、Zn、Bi等のいずれか1つ以上を添加したはんだ粒子を用いることもできる。Inは、その添加により合金の金属特性をあまり低下させないで融点を低下させることができる。ZnやBiも、In同様にその添加により融点を低下させる効果がある。Sn合金粒子の組成としては、例えば、Sn−0.3Ag−0.7Cu、Sn−0.7Cu、Sn−3.0Ag−0.5Cu、Sn−3.5Ag、Sn−4.0Ag−0.5Cu、Sn−2.5Ag−0.5Cu−1Bi等が挙げられる。また、これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。Sn単体が価格面で優れるが、Sn−Ag系合金、Sn−Ag−Cu系合金であれば、Sn単体より融点が10℃以上低いので、熱処理温度を低く設定できる。
本実施の形態においては、金属フィラーは、粒径5μm以下の微粒子含有率が5.5%未満であることを特徴とする。部品実装において、ペースト中に5μm以下の微粒子が多く含まれていると、熱処理において軟化したフラックス成分と一緒に粒子が流動し易い。
更に搭載部品サイズが比較的小さい0402、0603、1608、2012サイズ程度であれば影響も少ないが、3216サイズよりも大型の部品になると自重も大きくなり、ペーストを上から押す力の影響も大きくなるので、ペースト中に5μm以下の微粒子が多く含まれていると、実装部品の下で流動したはんだによるショートが発生し易くなる傾向にある。
本実施の形態の金属フィラーは、後述するように、例えば、フラックスと組合されることによって、ペースト状の鉛フリーはんだを形成できる。このはんだペーストを用いて部品実装を行なう場合、リフロー熱処理によって形成されるはんだ接合部表面(特にフィレット部分)に、薄いフラックス残渣層が形成される場合がある。第2の金属粒子の平均粒径が10μm以上であることで、部品実装時に該フラックス残渣層中に第2の金属粒子の微粒子が同伴され難く、フラックス残渣層中の浮遊粒子の発生を抑制できるため、洗浄液中に流れ出す粒子の数を低減でき好ましい。一方、平均粒径が40μm以下である場合、はんだペーストの粘着力が損なわれ難くなるので好ましい。
第1の金属粒子、及び第2の金属粒子の粒度分布は、ペースト用途に応じて定めることができる。例えば、スクリーン印刷用途では、版抜け性を重視して、粒度分布はブロードにするのが好ましく、ディスペンス用途及びビア充填用途では、吐出流動性及び穴埋め性を重視して、粒度分布はシャープにするのが好ましい。
第1の金属粒子及び第2の金属粒子の製造法としては、微粉末の製造方法として公知の方法を採用できるが、急冷凝固法が好ましい。急冷凝固法による微粉末の製造法としては、水噴霧法、ガス噴霧法、遠心噴霧法等が挙げられ、粒子の酸素含有量を抑えることができる点から、ガス噴霧法、遠心噴霧法がより好ましい。ガス噴霧法では、通常、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用することができるが、ガス噴霧時の線速を高くし、冷却速度を速くするため、比重の軽いヘリウムガスを用いることが好ましい。冷却速度は、500〜5000℃/秒の範囲であることが好ましい。遠心噴霧法では、回転ディスク上面に均一な溶融膜を形成する観点から、材質は、サイアロンであることが好ましく、ディスク回転速度は、6万〜12万rpmの範囲であることが好ましい。
<はんだペースト>
本実施の形態は、上述した本実施の形態の金属フィラーを含むはんだペーストも提供する。当該はんだペーストは、鉛フリーとすることができる。本実施の形態において、鉛フリーとは、EUの環境規制(RoHS)に準じ、鉛の含有量が0.1質量%以下であることを意味する。前記はんだペーストは、金属フィラー成分及びフラックス成分を含むことが好ましく、典型的には、金属フィラー成分及びフラックス成分から成る。金属フィラー成分は、上述した金属フィラーであるが、効果を損なわない範囲で、他の金属フィラーを少量含んでもよい。また、必要に応じて熱硬化性樹脂を加えることで、接着強度を補完することができる。
前記はんだペースト中の金属フィラー成分の含有量は、ペースト特性の観点から、はんだペーストの全質量(即ち、100質量%)を基準として、84〜94質量%の範囲であることが好ましい。はんだペースト中の金属フィラー成分の含有量のより好ましい範囲は、ペーストの用途に応じて定めることができる。例えば、スクリーン印刷用途では、版抜け性が重視されるので、はんだペースト中の金属フィラー成分の含有量は、はんだペーストの全質量を基準として、好ましくは、87〜92質量%の範囲であり、より好ましくは、88〜91質量%の範囲である。例えば、ディスペンス用途では、吐出流動性が重視されるので、はんだペースト中の金属フィラー成分の含有量は、はんだペーストの全質量を基準として、好ましくは85〜89質量%の範囲であり、より好ましくは86〜88質量%の範囲である。
一般に、フラックスとは、はんだより速く溶融して、金属表面を洗浄する材料をいう。本実施の形態で使用されるフラックス成分は、ロジン、溶剤、活性剤及びチクソ剤を含むことが好ましい。そのようなフラックス成分は、金属フィラーの表面処理に好適である。即ち、フラックス成分は、リフロー熱処理時にはんだペースト中の金属フィラー成分の酸化膜を除去し、再酸化を抑制することで、金属の溶融及び熱拡散による合金化を促進する。フラックス成分としては、既知の材料を使用することができる。
<導電性接着剤>
本実施の形態は、上述した本実施の形態の金属フィラーを含む導電性接着剤も提供する。一般に、導電性接着剤とは、銀、銅、カーボンファイバー等の導電性の良い材料を含む接着剤をいう。前記導電性接着剤中の金属フィラー成分の含有量は、特性の観点から、導電性接着剤の全質量(即ち、100質量%)を基準として、70〜90質量%の範囲であることが好ましく、75〜85質量%の範囲であることがより好ましい。
一般に、導電性接着剤は、鉛フリー、揮発性有機化合物(VOC)フリー、フラックスレス、容易な低温実装等の特徴を有するので、本実施の形態の導電性接着剤は、電気接続したいが、はんだ付けできない部品(例えば、半導体チップ、液晶、有機EL、LED等に関連するデバイス)に適している。また、本実施の形態の導電性接着剤は、上記鉛フリーはんだと同じ組成を有することができる。但し、本実施の形態の導電性接着剤は、フラックス成分を含んでもよいし、含まなくてもよい。
<接続構造体>
本実施の形態は、第1の電子部品、第2の電子部品、及び該第1の電子部品と該第2の電子部品を接合しているはんだ接合部又は該第1の電子部品及び該第2の電子部品を接着している接着部を含む接続構造体も提供する。前記はんだペーストにおいて、電子デバイス等の搭載部品電極と基板電極とを接続する場合、鉛フリーはんだのリフロー熱処理条件において、前記第2の金属粒子の融点以上の熱履歴が与えられると、該第2の金属粒子は溶融し、前記第1の金属粒子を介して搭載部品電極と基板電極とを接合する。これにより金属間の熱拡散反応が加速的に進み、該第2の金属粒子の融点よりも高融点の新たな安定合金相が形成され、該第1の金属粒子を介して搭載部品電極と基板電極とを接続する接続構造体を形成する。
この新たな安定合金相の融点は、鉛フリーはんだのリフロー熱処理温度より高く、後工程で複数回の熱処理を受けても溶融しないので、はんだ再溶融によるショートを抑制することができる。
第1の電子部品及び第2の電子部品の組合せとしては、基板電極と搭載部品電極との組合せ等が挙げられる。本実施の形態の接続構造体を形成するための第1の電子部品と第2の電子部品との接合方法としては、基板電極にはんだペーストを塗布した後に搭載部品電極を載せてリフロー熱処理により接合する方法、搭載部品電極又は基板電極にはんだペーストを塗布し、リフロー熱処理によるバンプ形成後、搭載部品電極と基板電極とを重ね合せて再度リフロー熱処理で接合する方法等が挙げられる。上記の場合、電極間のはんだ接合により該電極間を接続できる。
リフロー時の熱処理ピーク温度は、好ましくは240〜260℃の範囲であり、より好ましくは250〜260℃の範囲である。この熱処理時のピーク温度は、典型的には、第2の金属粒子の融点以上に設定される。本実施の形態に係る鉛フリーはんだを用いて、電子デバイス等の搭載部品電極と基板電極とを接続する場合、第2の金属粒子の融点以上の熱履歴が与えられると、第2の金属粒子は溶融し、第1の金属粒子と第2の金属粒子との間で熱拡散による合金化反応が進み、第2の金属粒子の融点よりも高い融点を有する安定合金相が形成される。この新たな安定合金相の融点は、Sn−3.0Ag−0.5Cuから成る鉛フリーはんだの一般的なリフロー熱処理温度(例えば260℃程度)より高く、後工程で複数回の熱処理を受けてもはんだが溶融しない。従って、本実施の形態によれば、はんだの再溶融によって部品電極間で発生するショートを防止することできる。
<部品搭載基板>
本実施の形態は、基板上に搭載された本実施の形態の接続構造体を含む部品搭載基板も提供する。上記の部品搭載基板は、好ましくは、電子部品が搭載されている基板であり、そして各種の電子機器の製造に使用することができる。
<部品内蔵モジュール>
本実施の形態は、樹脂封止された本実施の形態の接続構造体を含む部品内蔵モジュールも提供する。上記の部品内蔵モジュールは、好ましくは、電子部品が内蔵されているモジュールであり、そして各種の電子機器の製造に使用することができる。
尚、上述した各種パラメータについては特段の記載のない限り、後述する実施例における測定方法に準じて測定される。
次に実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体例に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
各金属粒子及び金属フィラー、はんだペーストの物性は、下記に示す方法で評価した。
(a)示差走査熱量測定(DSC)
島津製作所株式会社製「DSC−60」を用い、窒素雰囲気下、昇温温度10℃/分の条件で、温度範囲30〜600℃の範囲で行った。発熱量又は吸熱量が±1.5J/g以上あるものを測定対象物由来のピークとして定量し、それ未満のピークは分析精度の観点から除外した。
(b)平均粒径
Sympatec社(ドイツ)製レーザー回折式粒子径分布測定装置「HELOS&RODOS」により体積積算平均値を測定し、平均粒径値とした。
(c)粒度分布
Sympatec社(ドイツ)製レーザー回折式粒子径分布測定装置「HELOS&RODOS」を用いて測定した。測定レンジは、累積分布を0.9μmから175μmの範囲で測定できる[R3:0.5/0.9...175μm]を選択し、トリガー条件を乾式標準に設定した後、分散器をRODOSに設定し、分散圧力を3.0barとした。また、計算モードをLDとし、形状係数を1.0とした。HELOS検出器のエレメントが10%以上であることを確認し、測定濃度5〜10%になるようにして行った。
[実施例1]
(1)第1の金属粒子であるCu合金粒子の製造
Cu6.5kg(純度99質量%以上)、Sn1.5kg(純度99質量%以上)、Ag1.0kg(純度99質量%以上)、Bi0.5kg(純度99質量%以上)、及びIn0.5kg(純度99質量%以上)を黒鉛坩堝に入れ、99体積%以上のヘリウム雰囲気で、高周波誘導加熱装置により1400℃まで加熱、融解した。
次に、この溶融金属を坩堝の先端より、ヘリウムガス雰囲気の噴霧槽内に導入した後、坩堝先端付近に設けられたガスノズルから、ヘリウムガス(純度99体積%以上、酸素濃度0.1体積%未満、圧力2.5MPa)を噴出してガスアトマイズを行い、Cu合金粒子を作製した。この時の冷却速度は、2650℃/秒であった。
得られたCu合金粒子を株式会社日立製作所製走査型電子顕微鏡「S−3400N」で観察したところ球状であった。
このCu合金粒子を日清エンジニアリング株式会社製気流式分級機「TC−15N」を用いて、20μm設定で分級し、大粒子側を回収後、再度30μm設定で分級し、小粒子側を回収した。回収したCu合金粒子の平均粒径を測定したところ、14.4μmであった。
次にCu合金粒子の示差走査熱量測定をしたところ、500℃、519℃で吸熱ピークが検出され、複数の融点から、複数の合金相の存在を確認することができた。また、255℃、284℃では発熱ピークが検出され、準安定合金相の存在を確認することができた。
(2)第2の金属粒子
第2の金属粒子として山石金属株式会社製Sn粒子「Y−Sn100−Q2510」を用いた。このSn粒子の平均粒径を測定したところ、20.3μmであった。
次にSn粒子の示差走査熱量測定をしたところ、242℃で吸熱ピークが検出され、融点232℃(融解開始温度:固相線温度)を有することが確認できた。尚、特徴的な発熱ピークは検出されなかった。
(3)はんだペーストの製造
前記Cu合金粒子とSn粒子とを重量比100:186で混合し、金属フィラーとした。この金属フィラーの粒度分布を測定したところ、平均粒径は15μmであり、5μm以下の累積分布率は3.0%だった。
次に金属フィラー90.7質量%とロジン系フラックス9.3質量%とを混合し、株式会社マルコム製ソルダーソフナー「SPS−1」、松尾産業株式会社製脱泡混練機「SNB−350」に順次かけて、はんだペーストを作製した。
(4)260℃耐熱性の確認
前記はんだペーストをサイズ25mm×25mm、厚み0.25mmのCu基板上に印刷塗布し、サイズ2mm×2mm、厚み0.5mmのCuチップを搭載後、窒素雰囲気にて、ピーク温度250℃でリフロー熱処理してサンプルを作製した。
熱処理装置は、株式会社マルコム製リフローシミュレータ「SRS−1C」を使用した。温度プロファイルは、熱処理開始(常温)から140℃までを1.5℃/秒で昇温し、140℃から170℃までを110秒かけて徐々に昇温後、170℃から250℃までを2.0℃/秒で昇温し、ピーク温度250℃で15秒間保持する条件を採用した。
印刷パターン形成は、マイクロテック株式会社製スクリーン印刷機「MT−320TV」を用いた。印刷マスクはメタル製で、スキージはウレタン製である。印刷マスク開口サイズは2mm×3.5mmとし、厚みは0.1mmとした。印刷条件は、速度50mm/秒、印圧0.1MPa、スキージ圧0.2MPa、背圧0.1MPa、アタック角度20°、クリアランス0mm、及び印刷回数1回とした。
次に常温(25℃)環境下で、前記作製サンプルをホットプレート上で260℃に加熱し、1分間保持した後、剪断方向のチップ接合強度をプッシュ・プルゲージにより、押し速度10mm/分で測定し、単位面積換算した。30個の平均値は1.6MPaであり、260℃でも接合強度を保持できる耐熱性を確認した。
(5)部品実装性の確認
前記はんだペーストを高耐熱エポキシ樹脂ガラス布からなるプリント基板のCu電極上に印刷塗布し、3225サイズの積層セラミックコンデンサー部品(以下、3225Cと記載)500個を搭載後、実施例1(4)に前記したリフロー熱処理条件で3225C部品実装サンプルを作製した。
次に前記サンプルをX線解析し、500個全てにおいて実装時にはんだペーストが流れて部品下でショートしていないことを確認した。本実施例、及び以下の実施例、比較例において、500個全てが部品下でショートしていない場合に、ショート「無」、1個以上が部品下でショートしている場合に、シュート「有」として、部品実装性を評価した。尚、X線検査装置はデイジ・ジャパン株式会社製サブミクロンフォーカスX線検査装置「XD7600NT250」を使用した。
[実施例2]
実施例1記載の第2の金属粒子の代わりに、山石金属株式会社製Sn−3.5Ag粒子「Y−SnAg3.5−Q2510」を用いた。この粒子の平均粒径を測定したところ、22μmであった。この粒子を用いて実施例1(3)、(4)、(5)と同様にサンプル作製し、各評価を実施した結果を以下の表1に示す。
[実施例3]
実施例1に記載の第2の金属粒子の代わりに、山石金属株式会社製Sn−3.0Ag−0.5Cu粒子「Y−SnAg3Cu0.5−Q2510」を用いた。この粒子の平均粒径を測定したところ、20.2μmであった。この粒子を用いて実施例1(3)、(4)、(5)と同様にサンプル作製し、各評価を実施した結果を以下の表1に示す。
[実施例4]
実施例1に記載の第2の金属粒子の代わりに、山石金属株式会社製Sn−0.7Cu−0.3Ag粒子「Y−SnCu0.7Ag0.3−Q3820D」を用いた。この粒子の平均粒径を測定したところ、29.8μmであった。この粒子を用いて実施例1(3)、(4)、(5)と同様にサンプル作製し、各評価を実施した結果を以下の表1に示す。
[比較例1]
実施例1に記載の第2の金属粒子の代わりに、山石金属株式会社製Sn粒子「AT−SnNo.600」を日清エンジニアリング株式会社製気流式分級機「TC−15N」を用いて、5μm設定で分級し、大粒子側を回収後、再度40μm設定で分級し、小粒子側を回収した。回収したSn粒子の平均粒径を測定したところ、7.3μmであった。この粒子を用いて実施例1(3)、(4)、(5)と同様にサンプル作製し、各評価を実施した結果を以下の表1に示す。
[比較例2]
実施例1に記載の第2の金属粒子の代わりに、山石金属株式会社製Sn粒子「AT−SnNo.600」を日清エンジニアリング株式会社製気流式分級機「TC−15N」を用いて、10μm設定で分級し、大粒子側を回収後、再度40μm設定で分級し、小粒子側を回収した。回収したSn粒子の平均粒径を測定したところ、10.3μmであった。この粒子を用いて実施例1(3)、(4)、(5)と同様にサンプル作製し、各評価を実施した結果を以下の表1に示す。
Figure 2013163185
上記表1から分かるように、金属フィラー中に5μm以下の微粒子が5.5%以上含まれているペーストを使用した比較例1と2では、X線解析の結果、部品500個中の数個において、部品下でのショートが確認された。
[実施例5]
実施例1に記載の第2の金属粒子の代わりに、実施例1に記載の第2の金属粒子と比較2に記載の第2の金属粒子の代わりに用いた粒子とを重量比1:1で混合して用いた。この粒子の平均粒径を測定したところ、15.0μmであった。この粒子を用いて実施例1(3)、(4)、(5)と同様にサンプル作製し、各評価を実施した結果を上記表1に示す。
[実施例6]
実施例1に記載の第2の金属粒子の代わりに、実施例1に記載の第2の金属粒子と比較2に記載の第2の金属粒子の代わりに用いた粒子とを重量比1:2で混合して用いた。この粒子の平均粒径を測定したところ、13.9μmであった。この粒子を用いて実施例1(3)、(4)、(5)と同様にサンプル作製し、各評価を実施した結果を上記表1に示す。
[実施例7〜11、比較例3]
実施例1に記載の第1の金属粒子と第2の金属粒子の混合比を、以下の表2に示す混合比に変えて、実施例1(3)、(4)、(5)と同様にサンプル作製し、各評価を実施した結果を以下の表2に示す。
Figure 2013163185
上記表1と表2から分かるように、260℃に加熱した状態において、比較例3では、はんだ接続部が溶融して強度が得られないのに対し、実施例1〜11では、0.2MPa以上の接合強度があり、接続状態を保持する十分な耐熱性があることが確認された。
[実施例12]
実施例1に記載の第1の金属粒子の代わりに、福田金属箔粉工業株式会社製Cu粒子「Cu−HWQ 15μm」を用いた。このCu粒子の平均粒径を測定したところ、15.4μmであった。
この粒子を用いて実施例1(3)、(4)、(5)と同様にサンプル作製し、各評価を実施した結果を以下の表3に示す。
[実施例13]
Cu9.5kg(純度99質量%以上)、Ag0.5kg(純度99質量%以上)を黒鉛坩堝に入れ、99体積%以上のヘリウム雰囲気で、高周波誘導加熱装置により1650℃まで加熱、融解した。
次に、この溶融金属を坩堝の先端より、ヘリウムガス雰囲気の噴霧槽内に導入した後、坩堝先端付近に設けられたガスノズルから、ヘリウムガス(純度99体積%以上、酸素濃度0.1体積%未満、圧力2.8MPa)を噴出してガスアトマイズを行い、Cu−5Ag合金粒子を作製した。
得られたCu−5Ag合金粒子を株式会社日立製作所製走査型電子顕微鏡「S−3400N」で観察したところ球状であった。
このCu−5Ag合金粒子を日清エンジニアリング株式会社製気流式分級機「TC−15N」を用いて、20μm設定で分級し、大粒子側を回収後、再度30μm設定で分級し、小粒子側を回収した。回収したCu−5Ag合金粒子の平均粒径を測定したところ、15μmであった。
この粒子を実施例1に記載の第1の金属粒子の代わり用いて、実施例1(3)、(4)、(5)と同様にサンプル作製し、各評価を実施した結果を以下の表3に示す。
[実施例14]
Cu8.0kg(純度99質量%以上)、Ag2.0kg(純度99質量%以上)を黒鉛坩堝に入れ、99体積%以上のヘリウム雰囲気で、高周波誘導加熱装置により1650℃まで加熱、融解した。
次に、この溶融金属を坩堝の先端より、ヘリウムガス雰囲気の噴霧槽内に導入した後、坩堝先端付近に設けられたガスノズルから、ヘリウムガス(純度99体積%以上、酸素濃度0.1体積%未満、圧力2.8MPa)を噴出してガスアトマイズを行い、Cu−20Ag合金粒子を作製した。
得られたCu−20Ag合金粒子を株式会社日立製作所製走査型電子顕微鏡「S−3400N」で観察したところ球状であった。
このCu−20Ag合金粒子を日清エンジニアリング株式会社製気流式分級機「TC−15N」を用いて、20μm設定で分級し、大粒子側を回収後、再度30μm設定で分級し、小粒子側を回収した。回収したCu−20Ag合金粒子の平均粒径を測定したところ、14.8μmであった。
この粒子を実施例1に記載の第1の金属粒子の代わり用いて、実施例1(3)、(4)、(5)と同様にサンプル作製し、各評価を実施した結果を以下の表3に示す。
[実施例15]
Cu9.5kg(純度99質量%以上)、Sn0.5kg(純度99質量%以上)を黒鉛坩堝に入れ、99体積%以上のヘリウム雰囲気で、高周波誘導加熱装置により1650℃まで加熱、融解した。
次に、この溶融金属を坩堝の先端より、ヘリウムガス雰囲気の噴霧槽内に導入した後、坩堝先端付近に設けられたガスノズルから、ヘリウムガス(純度99体積%以上、酸素濃度0.1体積%未満、圧力2.8MPa)を噴出してガスアトマイズを行い、Cu−5Sn合金粒子を作製した。
得られたCu−5Sn合金粒子を株式会社日立製作所製走査型電子顕微鏡「S−3400N」で観察したところ球状であった。
このCu−5Sn合金粒子を日清エンジニアリング株式会社製気流式分級機「TC−15N」を用いて、20μm設定で分級し、大粒子側を回収後、再度30μm設定で分級し、小粒子側を回収した。回収したCu−5Sn合金粒子の平均粒径を測定したところ、14.5μmであった。
この粒子を実施例1に記載の第1の金属粒子の代わり用いて、実施例1(3)、(4)、(5)と同様にサンプル作製し、各評価を実施した結果を以下の表3に示す。
Figure 2013163185
上記表3から分かるように、本実施の形態において、第1の金属粒子として、Cu又はCu主成分の合金粒子を用いた場合に同様の効果が奏されることが確認された。
本発明の金属フィラー、及びそれを含むはんだペースト又は導電性接着剤は、後工程で複数回の熱処理を受ける用途(例えば、部品内蔵モジュール等の電子デバイスに用いられる接続材料)に好適に利用可能である。

Claims (10)

  1. 第1の金属粒子と第2の金属粒子との混合体を含む金属フィラーであって、該混合体は、該第1の金属粒子100質量部に対し、第2の金属粒子を54〜567質量部で含み、該第1の金属粒子はCu粒子又はCu合金粒子であり、該第2の金属粒子はSn粒子又はSn合金粒子であり、そして該金属フィラー中の粒径5μm以下の微粒子含有率が5.5%未満であることを特徴とする金属フィラー。
  2. 前記Cu合金粒子が、Cuを50〜99質量%含む、請求項1に記載の金属フィラー。
  3. 前記Cu合金粒子が、Cu50〜99質量%と、Sn、Ag、Bi、In、及びGeからなる群より選ばれる少なくとも1つ以上の元素1〜50質量%とからなる、請求項2に記載の金属フィラー。
  4. 前記Cu合金粒子が、Sn13.5〜16.5質量%、Ag9〜11質量%、Bi4.5〜5.5質量%、In0.1〜5質量%、残部にCuを含むCu合金粒子、又はAg1〜25質量%、残部にCuを含むCu合金粒子、又はSn1〜10質量%、残部にCuを含むCu合金粒子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属フィラー。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属フィラーを含むはんだペースト。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属フィラーを含む導電性接着剤。
  7. 第1の電子部品、第2の電子部品、及び該第1の電子部品と該第2の電子部品とを接合するはんだ接合部を有する接続構造体であって、該はんだ接合部が、請求項5に記載のはんだペースト又は請求項6に記載の導電性接着剤を、リフロー熱処理することによって形成されたものである前記接続構造体。
  8. 前記第1の電子部品が、3216サイズより大型のチップ部品である、請求項7に記載の接続構造体。
  9. 基板と、前記基板の上に搭載された請求項7又は請求項8に記載の接続構造体とを有する、部品搭載基板。
  10. 基板と、前記基板の上に搭載された請求項7又は請求項8に記載の接続構造体とを有する、部品内蔵モジュール。
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