本発明に基づいた実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
[アンテナ装置1000]
図1および図2を参照して、実施の形態におけるアンテナ装置1000の全体構成について説明する。アンテナ装置1000は、取付装置30およびアンテナ本体200(取付対象物)を含む。実施の形態における取付装置30は、第1取付具10および第2取付具20を備える。図1においては、第1取付具10に第2取付具20が取り付けられた状態が図示されている。図2においては、第1取付具10と第2取付具20とが互いに分離された状態が図示されている。
図2に示すように、取付装置30の第1取付具10は、壁面100等の被取付対象物に取り付けられる。第1取付具10は、延在部11、延在部12、中間部材13、締結部材16、および、取付面19などを有する(詳細は後述する)。取付面19に設けられた開口部にボルト(図示せず)などが差し込まれることによって、第1取付具10は壁面100に取り付けられる。
取付装置30の第2取付具20は、アンテナ本体200に取り付けられる。第2取付具20は、切欠部23Mを有する延在部21、切欠部23Nを有する延在部22、および、取付面29などを有する(詳細は後述する)。第1取付具10および第2取付具20を備えた取付装置30を用いることによって、アンテナ本体200は、壁面100等の被取付対象物にアンテナ装置1000として容易に取り付けられることができる。
実施の形態におけるアンテナ本体200は、いわゆる平面型のアンテナであり、全体として略直方体状に形成される。アンテナ本体200の正面側には、電波受信面210が設けられる。電波受信面210とは反対側のアンテナ本体200の背面側には、アンテナ本体200の長手方向に沿って延びる取付面220が設けられる。
取付面220の両側には、アンテナ本体200の長手方向に沿って延びる突出部260がそれぞれ設けられる。突出部260は、略三角柱状に形成され、取付面220から遠ざかる方向に突出している。取付面220の中央よりもやや上方の部分には、出力端子接続部230が設けられる。取付面220の出力端子接続部230よりも上方の部分には、ケーブル固定部240が設けられる。出力端子接続部230およびケーブル固定部240も、取付面220から遠ざかる方向に突出している。
取付面220の下方には、取付用凹部250が設けられる。取付用凹部250は、取付面220からアンテナ本体200の内部に向かって凹むように設けられる。取付用凹部250の大きさは、第2取付具20の取付面29の大きさに対応している。詳細は後述されるが、取付用凹部250の上部には、第2取付具20の保持部形成領域25Eを受け入れ可能とするための収容部252が設けられる。取付用凹部250の下部には、第2取付具20の保持部形成領域25Fを受け入れ可能とするための収容部254が設けられる。
図3に示すように、第2取付具20の取付面29には、4つの開口部29Hが設けられる。4つの開口部29Hの位置は、アンテナ本体200の取付用凹部250に設けられた4つの雌ネジ部250Hの位置にそれぞれ対応している。4つの開口部29Hには、雄ネジ29Bがそれぞれ挿通される。開口部29Hに挿通された雄ネジ29Bが雌ネジ部250Hに螺合することによって、第2取付具20は、アンテナ本体200の取付用凹部250に取り付けられる(図1および図2参照)。
図2においては、壁面100に設けられた第1取付具10とアンテナ本体200に設けられた第2取付具20とを用いて、アンテナ本体200が平坦な壁面100に取り付けられるという態様が図示される。本実施の形態における取付装置30を用いることによって、アンテナ本体200は、壁面100以外の被取付対象物にも取り付けられることができる。
図4は、第1取付具10が円柱状のマスト部材110に取り付けられた状態を示す斜視図である。第1取付具10がマスト部材110等の被取付対象物に取り付けられる場合には、取付面19の両側に設けられた長穴19H(図5も参照)と、たとえばステンレス製のバンド部材19Cとが用いられる。
長穴19Hに、バンド部材19Cが挿通される。この状態で、バンド部材19Cは、マスト部材110の表面に巻回および締結される。バンド部材19Cが取付面19をマスト部材110の表面に押し付けることによって、第1取付具10はマスト部材110に取り付けられる。図4に示す場合のように、アンテナ本体200は、取付装置30を用いて円柱状のマスト部材110にも取り付けられることができる。
図5は、第1取付具10が円柱状のマスト部材120に取り付けられた状態を示す斜視図である。マスト部材120はマスト部材110よりも細く、マスト部材120の外径はマスト部材110(図4参照)の外径に比べて小さい。第1取付具10がマスト部材120等の外径が小さい被取付対象物に取り付けられる場合には、取付面19に設けられた雌ネジ部19W(図4参照)と、押付具130と、ボルト130Bとが用いられる。
取付面19と押付具130との間にマスト部材120を配置した状態で、ボルト130Bは押付具130に設けられた開口部130Hを通して雌ネジ部19Wに螺合する。取付面19と押付具130との間でマスト部材120を挟み込むことによって、第1取付具10はマスト部材120に取り付けられる。図5に示す場合のように、アンテナ本体200は、取付装置30を用いて円柱状のマスト部材120にも取り付けられることができる。
本実施の形態における第1取付具10は、U字状に湾曲する湾曲部19Uが取付面19の中央に設けられている。湾曲部19Uは、延在部11側から延在部12側に向かって延在している。図4および図5に示す場合のように、第1取付具10が円柱状の被取付対象物の表面に取り付けられる場合には、取付面19の湾曲部19Uが活用されることによって、第1取付具10は被取付対象物に対して安定して取り付けられることができる。
[取付装置30]
図6〜図12を参照して、本実施の形態における取付装置30について詳細に説明する。図6は、取付装置30の上面側を示す第1斜視図である。図7は、取付装置30の上面側を示す第2斜視図である。図8は、取付装置30の底面側を示す第1斜視図である。図9は、取付装置30の底面側を示す第2斜視図である。図10は、取付装置30を示す側面図である。図11は、取付装置30の上面側を示す平面図である。図12は、取付装置30の上面側を示す第3斜視図である。
上述のとおり、取付装置30は、第1取付具10および第2取付具20を備える。以下、壁面100(図2参照)等に設けられる第1取付具10について説明し、その後、アンテナ本体200(図1参照)に設けられる第2取付具20について説明する。
(第1取付具10)
図13は、第1取付具10の分解した状態を示す第1斜視図である。図14は、第1取付具10の分解した状態を示す第2斜視図である。図15は、第1取付具10の分解した状態を示す側面図である。図16は、第1取付具10の分解した状態を示す断面図である。
図6〜図10を主として参照して、第1取付具10は、延在部11(第1延在部)、延在部12(第2延在部)、中間部材13、締結部材16、および、取付面19を含む。
(取付面19・延在部11・延在部12)
取付面19は、略平板状の金属部材から構成される。上述のとおり、取付面19は、長穴19H、湾曲部19U、および雌ネジ部19Wを有する。取付面19の上部に、取付面19から折れ曲がるように延在部11が設けられる。取付面19の下部に、取付面19から折れ曲がるように延在部12が設けられる。延在部11および延在部12は、間隔を空けて互いに対向しており、取付面19に対して直交する方向にそれぞれ延在している(図10、図15、および図16参照)。
図11〜図16に示すように、延在部11の延在方向の先端は、円弧状に形成される。延在部11の円弧状に形成された部分の外周には、外側に向かうにつれて徐々に起立するように傾斜する傾斜部11J(第1傾斜部)が設けられる。第1取付具10が組み立てられた状態(図6〜図12に示す状態)においては、傾斜部11Jは、外側に向かうにつれてリングワッシャー14(詳細は後述する)から徐々に遠ざかるように傾斜している。
延在部11の延在方向のやや先端寄りの部分には、挿通孔11H(第1挿通孔)(図16参照)が設けられる。本実施の形態における挿通孔11Hの内周は、雌ネジ状に形成されている。延在部11には、挿通孔11Hの周囲において等間隔で環状に並ぶように配置された複数の係合部11Kが設けられる。
本実施の形態における係合部11Kは、略平板状に形成された延在部11をその表面側から裏面側に向かって貫通するように設けられている。係合部11Kとしては、延在部11を貫通するように設けられていなくてもよく、延在部11のリングワッシャー14が配置される側の面(裏面)に露出していれば、凹状に設けられていてもよい。
詳細は後述されるが、第1取付具10に第2取付具20が取り付けられた状態においては、延在部11のリングワッシャー14が配置される側の面(裏面)は、第2取付具20の延在部21の表面と対向する(図24〜図31参照)。この状態で、係合部11Kは、第2取付具20の延在部21の表面に設けられた複数の被係合部25K,26K,27K(図6および図7参照)に係合することができる。
第1取付具10に第2取付具20が取り付けられた状態で第1取付具10および第2取付具20を相対的に回動させた際には、複数の係合部11Kおよび複数の被係合部25K,26K,27K同士は互いに断続的に係合することができる。断続的な係合によって、作業者は、第1取付具10および第2取付具20を相対的に回動させた際に、その回動量を調節し易く、かつ、所定の回動量で位置決めし易くなる。取付作業時に突風が吹いた場合であっても、アンテナ本体200(図1等参照)が不意に回転してしまうことは効果的に抑制されている。
延在部12は、延在部11と略同一の形状を有している。具体的には、延在部12の延在方向の先端は、円弧状に形成される。延在部12の円弧状に形成された部分の外周には、外側に向かうにつれて徐々に起立するように傾斜する傾斜部12Jが設けられる。第1取付具10が組み立てられた状態(図6〜図12に示す状態)においては、傾斜部12Jは、リングワッシャー18(詳細は後述する)から徐々に遠ざかるように傾斜している。
延在部12の延在方向のやや先端寄りの部分には、挿通孔12H(第2挿通孔)(図14および図16参照)が設けられる。本実施の形態における挿通孔12Hの内周は、挿通孔11Hとは異なり、雌ネジ状には形成されていない。延在部12には、挿通孔12Hの周囲において等間隔で環状に並ぶように配置された複数の係合部12Kが設けられる。
本実施の形態における係合部12Kは、略平板状に形成された延在部12をその表面側から裏面側に向かって貫通するように設けられている。係合部12Kとしては、延在部12を貫通するように設けられていなくてもよく、延在部12のリングワッシャー18が配置される側の面(裏面)に露出していれば、凹状に設けられていてもよい。
詳細は後述されるが、第1取付具10に第2取付具20が取り付けられた状態においては、延在部12のリングワッシャー18が配置される側の面(裏面)は、第2取付具20の延在部22の表面と対向する(図24〜図31参照)。この状態で、係合部12Kは、第2取付具20の延在部22の表面に設けられた複数の被係合部25L,26L,27L(図6および図7参照)に係合することができる。
第1取付具10に第2取付具20が取り付けられた状態で第1取付具10および第2取付具20を相対的に回動させた際には、複数の係合部12Kおよび複数の被係合部25L,26L,27L同士は互いに断続的に係合することができる。断続的な係合によって、作業者は、第1取付具10および第2取付具20を相対的に回動させた際に、その回動量を調節し易く、かつ、所定の回動量で位置決めし易くなる。取付作業時に突風が吹いた場合であっても、アンテナ本体200(図1等参照)が不意に回転してしまうことは効果的に抑制されている。
係合部12Kおよび被係合部25L,26L,27L同士を効果的に係合させるためには、ボルト17(詳細は後述する)は、挿通孔11Hおよび挿通孔12Hにある程度入り込んでいる必要がある。係合部12Kおよび被係合部25L,26L,27L同士の係合は、取付作業の容易化を図りつつ、必要に応じて用いられるとよい。
(中間部材13)
図13〜図16を主として参照して、中間部材13は、延在部11および延在部12の間に配置される。中間部材13は、互いに同軸状に配置されるリングワッシャー14(第1挟持部)およびパイプ部材15を含む。リングワッシャー14は、中間部材13としての上端部13A側に位置し、パイプ部材15は、中間部材13としての下端部13B側に位置する。
第1取付具10が組み立てられた状態(図6〜図12に示す状態)においては、リングワッシャー14は第1取付具10の延在部11側に位置し、パイプ部材15は第1取付具10の延在部12側に位置する。本実施の形態における中間部材13は、リングワッシャー14およびパイプ部材15の2つの部材から構成されるが、これらは1つの部材として一体的に形成されていてもよい。
リングワッシャー14は、円錐台状の部材から形成される。リングワッシャー14の表面14Sは、平坦に形成される。リングワッシャー14の表面14Sの中央には、環状のテーパー部14T(第1テーパー部)が設けられる。テーパー部14Tは、表面14Sから上方向(延在部11が配置される側)に向かって突出しつつ、徐々に縮径するように形成される。
環状に形成されたテーパー部14Tの内側には、リングワッシャー14を回転軸方向に貫通する挿通孔14Hが設けられる。挿通孔14Hには、後述するボルト17が差し込まれる。挿通孔14Hの内周面には、ネジ加工が施されていない。挿通孔14Hにボルト17が差し込まれたとしても、ボルト17は挿通孔14Hに螺合しない。挿通孔14Hにボルト17が差し込まれた状態において、リングワッシャー14は、パイプ部材15とともに上下方向に移動することができる。
リングワッシャー14の外周には、外側に向かうにつれて徐々に拡径するように傾斜する傾斜部14J(第2傾斜部)が設けられる。第1取付具10が組み立てられた状態(図6〜図12に示す状態)においては、傾斜部14Jは、外側に向かうにつれて第1取付具10の延在部11から徐々に遠ざかるように傾斜している。
パイプ部材15は、円筒状の部材から形成され、内部に挿通孔15Hを有する。挿通孔15Hには、後述するボルト17が差し込まれる。挿通孔15Hの内周面には、ネジ加工が施されていない。挿通孔15Hにボルト17が差し込まれたとしても、ボルト17は挿通孔15Hに螺合しない。挿通孔15Hにボルト17が差し込まれた状態において、パイプ部材15は、リングワッシャー14とともに上下方向に移動することができる。
パイプ部材15は、リングワッシャー14の裏面に当接するように、リングワッシャー14と同軸状に配置される。パイプ部材15は、リングワッシャー14に当接した状態で、第1取付具10の延在部11および延在部12の間に中間部材13として配置される。
第1取付具10が組み立てられた状態(図6〜図12に示す状態)においては、リングワッシャー14の挿通孔14Hおよびパイプ部材15の挿通孔15Hは、第1取付具10の延在部11側に位置する中間部材13の上端部13A(テーパー部14Tの内側)から、第1取付具10の延在部12側に位置する中間部材13の下端部13Bに向かって、中間部材13の内部を貫通するように構成される。
図10を参照して、中間部材13としての上端部13Aから下端部13Bまでの長さの寸法L1(リングワッシャー14のテーパー部14Tの上端部からパイプ部材15の下端部までの長さ寸法)は、第1取付具10の延在部11の裏面と延在部12の表面との間の寸法L2に比べてわずかに(1mm〜2mm程度だけ)短くなるように構成されている。当該構成によって、中間部材13の下端部13Bが延在部12の表面に当接した状態においては、リングワッシャー14の表面14Sと延在部11の裏面との間に、隙間Sが形成される。
(締結部材16)
図13〜図16を主として参照して、締結部材16は、ボルト17(軸部)およびリングワッシャー18(第2挟持部)を含む。第1取付具10が組み立てられた状態(図6〜図12に示す状態)においては、リングワッシャー18は、第1取付具10の延在部12を挟んで中間部材13の反対側に位置する。
ボルト17は、リングワッシャー18に設けられた挿通孔18H、第1取付具10の延在部12に設けられた挿通孔12H、中間部材13における挿通孔15H,14H、および、第1取付具10の延在部11に設けられた挿通孔11Hに、順に挿通される。
ボルト17は、第1取付具10の延在部11に設けられた挿通孔11Hにのみ螺合する。ボルト17は、リングワッシャー18に設けられた挿通孔18H、第1取付具10の延在部12に設けられた挿通孔12H、パイプ部材15の挿通孔15H、および、リングワッシャー14に設けられた挿通孔14Hには螺合しない。第1取付具10が組み立てられた状態(図6〜図12に示す状態)において、リングワッシャー18、パイプ部材15、および、リングワッシャー14は、ボルト17に対して回動することができる。第1取付具10が組み立てられた状態(図6〜図12に示す状態)において、第1取付具10の延在部12は、ボルト17の軸方向に沿って板バネ状に弾性変形することができる。
リングワッシャー18は、リングワッシャー14と略同一の形状を有している。具体的には、リングワッシャー18は、円錐台状の部材から形成される。リングワッシャー18の表面18Sは、平坦に形成される。リングワッシャー18の表面18Sの中央には、環状のテーパー部18T(第2テーパー部)が設けられる。テーパー部18Tは、表面18Sから上方向(延在部12が配置される側)に向かって突出しつつ、徐々に縮径するように形成される。
環状に形成されたテーパー部18Tの内側には、リングワッシャー18を回転軸方向に貫通する挿通孔18Hが設けられる。上述のとおり、挿通孔18Hにはボルト17が差し込まれる。挿通孔18Hの内周面にはネジ加工が施されておらず、挿通孔18Hにボルト17が差し込まれたとしてもボルト17は挿通孔18Hに螺合しない。
延在部11、延在部12、中間部材13、締結部材16、および、取付面19を含む第1取付具10としては、以上のように構成される。
(第2取付具20)
図6〜図10を主として参照して、第2取付具20は、延在部21(第3延在部)、延在部22(第4延在部)、および、取付面29を含む。取付面29は、略平板状の金属部材から構成される。取付面29の上部に、取付面29から折れ曲がるように平板状の延在部21が設けられる。取付面29の下部に、取付面29から折れ曲がるように平板状の延在部22が設けられる。延在部21および延在部22は、間隔を空けて互いに対向しており、取付面29に対して直交する方向にそれぞれ延在している(図10参照)。
(延在部21)
図6〜図10を主として参照して、延在部21は、同一平面上に位置する保持部形成領域25E〜27Eを有し、保持部形成領域25E〜27Eの内周面に、切欠部23M(第1切欠部)が形成される。切欠部23Mは、受入部24M、スライド移動部28P,28Q、突起部25T,26T,27T、および、保持部25M,26M,27Mを含む。
保持部形成領域25E(主保持部形成領域)は、円弧状に形成される。保持部形成領域25Eは、取付面29から遠ざかる方向に向かって開口している。保持部形成領域25Eの円弧状に形成された外周面の一部は、強度確保などの観点から、取付面29が配置される平面(仮想平面)からさらに取付面29の裏面側に向かって飛び出している(図10および図11参照)。
保持部形成領域25Eの円弧状に形成された内周面によって、保持部25M(主保持部)が形成される。保持部形成領域25Eの表面には、保持部形成領域25Eの表面からわずかに突出し、保持部25Mの周囲において等間隔で環状に並ぶように配置された複数の被係合部25Kが設けられる。
保持部形成領域26Eは、U字状に形成され、保持部形成領域25Eの一端に連続する。保持部形成領域26Eは、延在部21の一方の側部から延在部21の中央部に向かって開口している。保持部形成領域26Eの円弧状に形成された内周面によって、保持部26Mが形成される。保持部形成領域26Eの互いに平行に形成された内周面によって、スライド移動部28Qが形成される(図11参照)。保持部形成領域26Eの表面には、保持部形成領域26Eの表面からわずかに突出し、保持部26Mの周囲において等間隔で環状に並ぶように配置された複数の被係合部26Kが設けられる。
保持部形成領域27Eは、U字状に形成され、保持部形成領域25Eの他端に連続する。保持部形成領域27Eは、延在部21の他方の側部から延在部21の中央部に向かって開口している。保持部形成領域27Eの円弧状に形成された内周面によって、保持部27Mが形成される。保持部形成領域27Eの互いに平行に形成された内周面によって、スライド移動部28Pが形成される(図11参照)。保持部形成領域27Eの表面には、保持部形成領域27Eの表面からわずかに突出し、保持部27Mの周囲において等間隔で環状に並ぶように配置された複数の被係合部27Kが設けられる。
本実施の形態における取付装置30においては、保持部25Mは、他の保持部26M,27Mに比べて取付面29寄り(アンテナ本体200が取り付けられる側)に位置している。
本実施の形態におけるスライド移動部28Qおよびスライド移動部28Pは、これらの内側に略一直線状の空間を形成している。詳細は後述されるが、当該空間内に第1取付具10のボルト17を配置した状態で、第1取付具10および第2取付具20は相対的に移動することができる。
図11を主として参照して、スライド移動部28Qと保持部25Mとの間、および、スライド移動部28Pと保持部25Mとの間には、相互に対向する2つの突起部25Tが設けられる。保持部26Mとスライド移動部28Qとの間にも、相互に対向する2つの突起部26Tが設けられる。保持部27Mとスライド移動部28Pとの間にも、相互に対向する2つの突起部27Tが設けられる。突起部25T,26T,27T(第1突起部)は、切欠部23Mの内側に向かって(上記の空間側に向かって)突出している。
スライド移動部28P,28Qのうちの保持部25Mが設けられている側の反対側に、受入部24Mが設けられる。受入部24Mは、スライド移動部28P,28Qに連設され、スライド移動部28P,28Qから遠ざかるにつれて幅が広がるように形成されている。スライド移動部28Qと受入部24Mとの間、および、スライド移動部28Pと受入部24Mとの間には、相互に対向する2つの突起部24T(第2突起部)が設けられる。
詳細は後述されるが、第1取付具10に第2取付具20が取り付けられる際、第2取付具20の延在部21は、第1取付具10のボルト17を受入部24Mから切欠部23Mの内周側に受け入れるように、第1取付具10の延在部11とリングワッシャー14との間に差し込まれる(図10、図21、および図22参照)。その後、第2取付具20の保持部25M,26M,27Mには、スライド移動部28Pまたはスライド移動部28Qを通して、第1取付具10のボルト17が差し込まれる。
第1取付具10に第2取付具20が取り付けられた状態においては、第1取付具10の延在部11の裏面は、第2取付具20の延在部21の表面と対向する(図24〜図31参照)。この状態で、第2取付具20の延在部21の表面に設けられた複数の被係合部25K,26K,27Kは、第1取付具10に設けられた係合部11K(図6および図7参照)に係合されることができる。
上述のとおり、第1取付具10に第2取付具20が取り付けられた状態で第1取付具10および第2取付具20を相対的に回動させた際には、複数の係合部11Kおよび複数の被係合部25K,26K,27K同士は互いに断続的に係合することができる。断続的な係合によって、作業者は、第1取付具10および第2取付具20を相対的に回動させた際に、その回動量を調節し易く、かつ、所定の回動量で位置決めし易くなる。取付作業時に突風が吹いた場合であっても、アンテナ本体200(図1等参照)が不意に回転してしまうことは効果的に抑制されている。
(延在部22)
図6〜図10を主として参照して、延在部22は、同一平面上に位置する保持部形成領域25F〜27Fを有し、保持部形成領域25F〜27Fの内周面に、切欠部23N(第2切欠部)が形成される。切欠部23Nは、受入部24N、スライド移動部28R,28S、および、保持部25N,26N,27Nを含む。
保持部形成領域25Fは、円弧状に形成される。保持部形成領域25Fは、取付面29から遠ざかる方向に向かって開口している。保持部形成領域25Fの円弧状に形成された外周面の一部は、強度確保などの観点から、取付面29が配置される平面(仮想平面)からさらに取付面29の裏面側に向かって飛び出している(図10参照)。
保持部形成領域25Fの円弧状に形成された内周面によって、保持部25Nが形成される。保持部25Mと保持部25Nとは、同軸状に配置され、保持部25Mと保持部25Nとによって保持されたボルト17を回動軸として、第1取付具10および第2取付具20は相対的に回動されることができる。保持部形成領域25Fの表面には、保持部形成領域25Fの表面からわずかに突出し、保持部25Nの周囲において等間隔で環状に並ぶように配置された複数の被係合部25Lが設けられる。
保持部形成領域26Fは、U字状に形成され、保持部形成領域25Fの一端に連続する。保持部形成領域26Fは、延在部22の一方の側部から延在部22の中央部に向かって開口している。保持部形成領域26Fの円弧状に形成された内周面によって、保持部26Nが形成される。保持部26Mと保持部26Nとは、同軸状に配置され、保持部26Mと保持部26Nとによって保持されたボルト17を回動軸として、第1取付具10および第2取付具20は相対的に回動されることができる。保持部形成領域26Fの互いに平行に形成された内周面によって、スライド移動部28Sが形成される(図11参照)。保持部形成領域26Fの表面には、保持部形成領域26Fの表面からわずかに突出し、保持部26Mの周囲において等間隔で環状に並ぶように配置された複数の被係合部26Lが設けられる。
保持部形成領域27Fは、U字状に形成され、保持部形成領域25Fの他端に連続する。保持部形成領域27Fは、延在部22の他方の側部から延在部22の中央部に向かって開口している。保持部形成領域27Fの円弧状に形成された内周面によって、保持部27Nが形成される。保持部27Mと保持部27Nとは、同軸状に配置され、保持部27Mと保持部27Nとによって保持されたボルト17を回動軸として、第1取付具10および第2取付具20は相対的に回動されることができる。保持部形成領域27Fの互いに平行に形成された内周面によって、スライド移動部28Rが形成される(図11参照)。保持部形成領域27Fの表面には、保持部形成領域27Fの表面からわずかに突出し、保持部27Nの周囲において等間隔で環状に並ぶように配置された複数の被係合部27Lが設けられる。
本実施の形態における取付装置30においては、保持部25Nは、他の保持部26N,27Nに比べて取付面29寄り(アンテナ本体200が取り付けられる側)に位置している。
本実施の形態におけるスライド移動部28Sおよびスライド移動部28Rは、これらの内側に略一直線状の空間を形成している。詳細は後述されるが、当該空間内に第1取付具10のボルト17を配置した状態で、第1取付具10および第2取付具20は相対的に移動することができる。
スライド移動部28R,28Sのうちの保持部25Nが設けられている側の反対側に、受入部24Nが設けられる。受入部24Nは、スライド移動部28R,28Sに連設され、スライド移動部28R,28Sから遠ざかるにつれて幅が広がるように形成されている。
詳細は後述されるが、第1取付具10に第2取付具20が取り付けられる際、第2取付具20の延在部22は、第1取付具10のボルト17を受入部24Nから切欠部23Nの内周側に受け入れるように、第1取付具10の延在部12とリングワッシャー18との間に差し込まれる(図10、図21、および図22参照)。その後、第2取付具20の保持部25N,26N,27Nには、スライド移動部28Rまたはスライド移動部28Sを通して、第1取付具10のボルト17が差し込まれる。
第1取付具10に第2取付具20が取り付けられた状態においては、第1取付具10の延在部12の裏面は、第2取付具20の延在部22の表面と対向する(図24〜図31参照)。この状態で、第2取付具20の延在部22の表面に設けられた複数の被係合部25L,26L,27Lは、第1取付具10に設けられた係合部12K(図6および図7参照)に係合されることができる。
上述のとおり、第1取付具10に第2取付具20が取り付けられた状態で第1取付具10および第2取付具20を相対的に回動させた際には、複数の係合部12Kおよび複数の被係合部25L,26L,27L同士は互いに断続的に係合することができる。断続的な係合によって、作業者は、第1取付具10および第2取付具20を相対的に回動させた際に、その回動量を調節し易く、かつ、所定の回動量で位置決めし易くなる。取付作業時に突風が吹いた場合であっても、アンテナ本体200(図1等参照)が不意に回転してしまうことは効果的に抑制されている。
上述のとおり、係合部12Kおよび被係合部25L,26L,27L同士を係合させるためには、ボルト17は、挿通孔11Hおよび挿通孔12Hにある程度入り込んでいる必要がある。係合部12Kおよび被係合部25L,26L,27L同士の係合は、作業の容易化を図りつつ、必要に応じて用いられるとよい。
延在部21、延在部22、および、取付面19を含む第2取付具20としては、以上のように構成される。
図17〜図19を参照して、上述のとおり、第2取付具20は、雄ネジ29B(図19参照)を用いて、アンテナ本体200の取付用凹部250に取り付けられる。取付用凹部250は、取付面220からアンテナ本体200の内部に向かって凹むように設けられる。取付用凹部250の大きさは、第2取付具20の取付面29の大きさに対応している。
本実施の形態におけるアンテナ本体200の取付用凹部250の中央上部には、第2取付具20の保持部形成領域25Eを受け入れ可能とするために、取付用凹部250からアンテナ本体200の内部側に向かってさらに凹むように形成された収容部252が設けられる。同様に、取付用凹部250の中央下部には、第2取付具20の保持部形成領域25Fを受け入れ可能とするために、取付用凹部250からアンテナ本体200の内部側に向かってさらに凹むように形成された収容部254が設けられる。
図17および図18に示すように、第2取付具20がアンテナ本体200に取り付けられた状態においては、保持部形成領域25Eの一部は収容部252内に配置され、保持部形成領域25Fの一部は収容部254内に配置される(図2および図3も参照)。
図20を参照して、ここで、第1取付具10に用いられるリングワッシャー14,18と、第2取付具20の切欠部23Mとに関する寸法関係について説明する。リングワッシャー14の表面14Sに設けられたテーパー部14Tは、頂部の外径が寸法D1であり、底部の外径は寸法D2である。寸法D1は、寸法D2よりも小さい。寸法D1および寸法D2については、リングワッシャー18についても同様である。
一方で、切欠部23Mの受入部24Mに連設された2つの突起部24T同士の間隔は、寸法W24である。切欠部23Mの保持部25Mに連設された2つの突起部25T同士の間隔は、寸法W25である。切欠部23Mの保持部26Mに連設された2つの突起部26T同士の間隔は、寸法W26である。切欠部23Mの保持部27Mに連設された2つの突起部27T同士の間隔は、寸法W27である。
本実施の形態においては、寸法W24、寸法W25、寸法W26、および寸法W27は略同一の値に設定され、この値は寸法D1よりも大きく、かつ、この値は寸法D2よりも小さい値に設定されている。
また、延在部21のスライド移動部28Qの幅および延在部21のスライド移動部28Pの幅は、それぞれ寸法W1である。延在部22のスライド移動部28Sの幅および延在部22のスライド移動部28Rの幅は、それぞれ寸法W2である。寸法W1は寸法W2よりも大きく、且つ、寸法W1は寸法D2よりも大きい値に設定されている。
以上のような寸法関係によれば、第2取付具20を第1取付具10に取り付けるためにボルト17が突起部24T同士の間を通過する際には、2つの突起部24Tは、リングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接することが可能となる。第2取付具20を第1取付具10に取り付けるためにボルト17がスライド移動部28Pから突起部25T同士の間を通過する際には、2つの突起部25Tは、リングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接することが可能となる。
第2取付具20を第1取付具10に取り付けるためにボルト17がスライド移動部28Qから突起部26T同士の間を通過する際には、2つの突起部26Tは、リングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接することが可能となる。第2取付具20を第1取付具10に取り付けるためにボルト17がスライド移動部28Pから突起部27T同士の間を通過する際には、2つの突起部27Tは、リングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接することが可能となる。
(取付装置30の動作)
図21〜図31を参照して、以上のように構成される取付装置30の動作について説明する。
(取付前状態S1)
図21は、取付装置30の取付前状態S1を示す斜視図である。図22は、取付装置30の取付前状態S1を示す平面図である。図23は、図22中のXXIII−XXIII線に沿った矢視断面図である。なお、図21においては、図示上の便宜のため、第1取付具10の延在部11の先端側が点線によって図示されている。これは、後述する図24および図27においても同様である。
図21〜図23を参照して、取付装置30を用いて壁面100(図22,図23参照)にアンテナ本体200(図22,図23参照)を取り付ける際には、予め、壁面100に第1取付具10が取り付けられ、アンテナ本体200に第2取付具20が取り付けられる。
次に、アンテナ本体200および第2取付具20は、壁面100および第1取付具10に対して図中の矢印DR方向に運ばれる。具体的には、第1取付具10の延在部11とリングワッシャー14との間に第2取付具20の延在部21が差し込まれ、第1取付具10の延在部12とリングワッシャー18との間に第2取付具20の延在部22が差し込まれる。この差し込みの際には、延在部22の肉厚T1(図23参照)よりも十分に広い間隔T2(図23参照)が延在部12とリングワッシャー18との間に設けられるように、ボルト17を挿通孔11H(図23参照)に対して浅めに差し込んでおくとよい。
本実施の形態においては、延在部11に傾斜部11Jが設けられ、リングワッシャー14に傾斜部14Jが設けられる。第2取付具20の延在部21は、延在部11とリングワッシャー14との間に差し込まれる際に、傾斜部11J,14Jによって案内される。第2取付具20の延在部21は、延在部11とリングワッシャー14との間に容易に差し込まれることができる。取付装置30によれば、アンテナ本体200を壁面100に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
同様に、本実施の形態においては、延在部12に傾斜部12Jが設けられ、リングワッシャー18に傾斜部18Jが設けられる。第2取付具20の延在部22は、延在部12とリングワッシャー18との間に差し込まれる際に、傾斜部12J,18Jによって案内される。第2取付具20の延在部22は、延在部12とリングワッシャー18との間に容易に差し込まれることができる。この点においても、取付装置30によれば、アンテナ本体200を壁面100に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
(第1差込状態S2)
図24は、取付装置30の第1差込状態S2を示す斜視図である。図25は、取付装置30の第1差込状態S2を示す平面図である。図26は、図25中のXXVI−XXVI線に沿った矢視断面図である。図24においては、第1取付具10の延在部11の先端側が点線によって図示されている。
図24〜図26を参照して、第1取付具10のボルト17を第2取付具20の受入部24Mから切欠部23Mの内周側に受け入れるように、第1取付具10の延在部11とリングワッシャー14との間に第2取付具20の延在部21が差し込まれる。
この動作に合わせて、第1取付具10のボルト17を第2取付具20の受入部24Nから切欠部23Nの内周側に受け入れるように、第1取付具10の延在部12とリングワッシャー18との間に第2取付具20の延在部22が差し込まれる。延在部12とリングワッシャー18との間に延在部22が差し込まれる際、ボルト17は、受入部24N(図21および図24参照)によって案内される。
延在部11とリングワッシャー14との間に延在部21が差し込まれる際、ボルト17は、受入部24Mによって案内される。その後、リングワッシャー14のテーパー部14Tの表面と、延在部21の受入部24M(図24参照)に連設された突起部24T(図24および図25参照)とは、相互に対向する。
(第2差込状態S3)
図27は、取付装置30の第2差込状態S3を示す斜視図である。図28は、取付装置30の第2差込状態S3を示す平面図である。図29は、図28中のXXIX−XXIX線に沿った矢視断面図である。図27においては、第1取付具10の延在部11の先端側が点線によって図示されている。
図27〜図29を参照して、第1取付具10のボルト17を第2取付具20の受入部24Mから切欠部23Mの内周側に受け入れるように、第1取付具10の延在部11とリングワッシャー14との間に、第2取付具20の延在部21がさらに差し込まれる。
この動作に合わせて、第1取付具10のボルト17を第2取付具20の受入部24N(図21および図24参照)から切欠部23Nの内周側に受け入れるように、第1取付具10の延在部12とリングワッシャー18との間に、第2取付具20の延在部22がさらに差し込まれる。
延在部21が延在部11とリングワッシャー14との間にさらに差し込まれる際、ボルト17が2つの突起部24T同士の間を通過する際には、2つの突起部24Tは、リングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接する。
ここで、2つの突起部24Tがテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接する際、2つの突起部24Tがリングワッシャー14を延在部12側に向かって押し下げる(図29中の矢印AR1参照)。上述のとおり、挿通孔14H,15Hにボルト17が差し込まれた状態において、リングワッシャー14およびパイプ部材15は、ボルト17に対して上下方向に一体的に移動することができる。
リングワッシャー14の裏面とパイプ部材15の上端とは互いに当接しているため、リングワッシャー14からの押圧力を受けて、パイプ部材15はリングワッシャー14と一体的に矢印AR1方向に移動する。パイプ部材15の下端(中間部材13としての下端部13B)は、延在部12の表面に当接しているため、パイプ部材15が矢印AR1方向に移動することによって、延在部12は矢印AR2方向(図29参照)に向かって板バネ状に弾性変形する。
(第3差込状態S4)
図30は、取付装置30の第3差込状態S4を示す平面図である。図31は、図30中のXXXI−XXXI線に沿った矢視断面図である。
図30および図31を参照して、第1取付具10の延在部11とリングワッシャー14との間に、第2取付具20の延在部21がさらに差し込まれる。この動作に合わせて、第1取付具10の延在部12とリングワッシャー18との間に、第2取付具20の延在部22がさらに差し込まれる。
2つの突起部24T(図27参照)のテーパー部14Tに対する摺接は完了し、2つの突起部24T(図27参照)は、リングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を完全に乗り越える。弾性変形していた第1取付具10の延在部12は、自身の剛性(自身が有する復元力の作用)によって元の状態に戻る。第1取付具10のボルト17は、第2取付具20の受入部24M(図27参照)から切欠部23M(図27参照)の内周側に受け入れられるとともに、第2取付具20の受入部24N(図21参照)から切欠部23N(図27参照)の内周側に受け入れられる。第1取付具10のボルト17は、スライド移動部28Q,28S(図6および図8等を参照)内に配置されることとなる。
本実施の形態の取付装置30においては、第2取付具20が第1取付具10に取り付けられる際、第2取付具20の延在部21に設けられた2つの突起部24Tはリングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接し、第1取付具10の延在部12は板バネ状に一時的に弾性変形する。
アンテナ本体200を把持する作業者は、第2取付具20を第1取付具10に取り付ける際、この一時的な弾性変形の作用によって、いわゆるスナップ感(第2取付具20が第1取付具10に対して嵌め込まれたことを認識可能な感触)を得ることが可能となる。取付装置30によれば、アンテナ本体200を壁面100に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
第2取付具20が第1取付具10から取り外される際には、嵌込時と同様に、第2取付具20の延在部21に設けられた2つの突起部24Tはリングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接し、第1取付具10の延在部12は板バネ状に一時的に弾性変形する。第2取付具20が第1取付具10から取り外されるためには、第2取付具20に対して所定の引き抜き力が付与される必要がある。取付作業時に突風が吹いた場合であっても、アンテナ本体200(図1等参照)が不意に第1取付具10から外れてしまうことは効果的に抑制されている。この点においても、取付装置30によれば、アンテナ本体200を壁面100に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
図32を参照して、第1取付具10のボルト17がスライド移動部28Q,28S(図6および図8等を参照)内に配置された後、作業者は、ボルト17がたとえば保持部25M,25N内に入り込むように、壁面100および第1取付具10に対してアンテナ本体200および第2取付具20を動かす。
ここで、スライド移動部28Q,28S(図6および図8等を参照)内でボルト17が移動するようにアンテナ本体200および第2取付具20を動かす際、リングワッシャー18(図29参照)に設けられたテーパー部18T(図29参照)は、延在部22の切欠部23Nに対して摺接し、延在部22の切欠部23N内で案内される。
テーパー部18Tが切欠部23N内で案内されることによって、第2取付具20の延在部21側の移動がある程度規制されるため、第1取付具10に対して第2取付具20をスライド移動させる際に、アンテナ本体200の揺動が抑制される。したがって、取付装置30によれば、アンテナ本体200を壁面100に取り付ける際の作業性を向上させることができる。第1取付具10に対する第2取付具20のスライド移動を可能としつつ、第2取付具20の延在部21側の移動を適度に規制するために、ボルト17の挿通孔11Hおよび挿通孔12Hに対する差し込み量は、作業者によって適度に調節されるとよい。
一方で、図20を参照して上述したとおり、延在部21に設けられたスライド移動部28Q,28Pの幅の寸法(図20におけるW1)は、リングワッシャー14,18に設けられたテーパー部14T,18Tの底部の外径の寸法D2よりも大きい。スライド移動部28Q,28P(図6および図8等を参照)内でボルト17が移動するようにアンテナ本体200および第2取付具20を動かす際、リングワッシャー18(図29参照)に設けられたテーパー部18T(図29参照)は、延在部22の切欠部23Nに対してわずかに摺接し、延在部22の切欠部23N内で案内される。
上述のとおり、スライド移動部28Qと保持部25Mとの間、および、スライド移動部28Pと保持部25Mとの間には、相互に対向する2つの突起部25Tが設けられる。ボルト17が保持部25M,25N内に入り込むようにアンテナ本体200および第2取付具20が動かされた際、2つの突起部25Tは、上記の突起部24Tの場合と同様に、リングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接する。第1取付具10の延在部12は、板バネ状に一時的に弾性変形する。
アンテナ本体200を把持する作業者は、ボルト17が保持部25M,25N内に入り込むようにアンテナ本体200および第2取付具20を動かす際、この一時的な弾性変形の作用によって、いわゆるスナップ感(ボルト17が保持部25M,25N内に嵌め込まれたことを認識可能な感触)を得ることが可能となる。取付装置30によれば、アンテナ本体200を壁面100に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
保持部25M,25N内にボルト17が嵌め込まれた状態において、保持部25M,25N内からボルト17が引き抜かれる際には、嵌込時と同様に、第2取付具20の延在部21に設けられた2つの突起部25Tはリングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接し、第1取付具10の延在部12は板バネ状に一時的に弾性変形する。保持部25M,25N内からボルト17が引き抜かれるためには、第2取付具20に対して所定の引き抜き力が付与される必要がある。取付作業時に突風が吹いた場合であっても、ボルト17が不意に保持部25M,25N内から外れてしまうことは効果的に抑制されている。
保持部25M,25N内にボルト17が嵌め込まれた状態においては、第1取付具10は、第2取付具20およびアンテナ本体200を、角度θ1(たとえば15°)の範囲内で揺動可能に支持している。換言すると、保持部25Mと保持部25Nとによって保持されたボルト17を回動軸として、第1取付具10および第2取付具20は相対的に回動されることができる。
保持部25M,25N内にボルト17が嵌め込まれた状態において、作業者は、受信感度が許容範囲内となるように、アンテナ本体200の電波受信面210(図1および図2等参照)を所定の方向に向ける。角度調整の作業時に突風が吹いた場合であっても、ボルト17が不意に保持部25M,25N内から外れてしまうことは効果的に抑制されている。したがって、取付装置30によれば、アンテナ本体200を壁面100に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
上述のとおり、角度調整時には、複数の係合部11K(図6等参照)および複数の被係合部25K(図6等参照)同士は互いに断続的に係合し、複数の係合部12K(図6等参照)および複数の被係合部25L(図6等参照)同士も互いに断続的に係合する。断続的な係合によって、作業者は、角度調整時に、アンテナ本体200の回動量を調節し易く、かつ、所定の回動量で位置決めし易くなる。角度調整時に突風が吹いた場合であっても、アンテナ本体200が不意に回転してしまうことは効果的に抑制されている。
アンテナ本体200の設置角度が定められた後、ボルト17が挿通孔11Hに対して所定の締め付けトルクで螺合するように、ボルト17を用いて第2取付具20は第1取付具10に対して固定される。ボルト17の締結によって、延在部21が延在部11とリングワッシャー14との間で挟持されるとともに、延在部22が延在部12とリングワッシャー18との間で挟持される。アンテナ本体200に設けられた第2取付具20が壁面100に設けられた第1取付具10に取り付けられた状態は、ボルト17の締結によって保持されることとなる。
図17および図18を参照して上述したように、第2取付具20がアンテナ本体200に取り付けられた状態においては、保持部形成領域25Eの一部は収容部252内に配置され、保持部形成領域25Fの一部は収容部254内に配置される(図2および図3も参照)。したがって取付装置30によれば、アンテナ本体200が壁面100に取り付けられた状態においては取付装置30の回動軸がアンテナ本体200の重心位置(またはその近く)に配置されることになり、アンテナ本体200の壁面100からの突出寸法を小さくすることができ、意匠性の改善も図られている。また、アンテナ本体200を回動させてアンテナ本体200の設置角度を調節する際にも、アンテナ本体200の重心位置が保持部25M,25Nによって形成される回動軸に近いため、アンテナ本体200の設置角度を所望の値に設定するまでの作業効率を向上させることができる。なお、取付装置30の回動軸がアンテナ本体200の重心位置(またはその近く)に配置されることによってアンテナ特性に影響が生じないように、アンテナ本体200の内部に配置される基板等のレイアウトが最適化されているとよい。
図33を参照して、第1取付具10のボルト17がスライド移動部28Q,28S(図6および図8等を参照)内に配置された後、作業者は、ボルト17がたとえば保持部26M,26N内に入り込むように、壁面100および第1取付具10に対してアンテナ本体200および第2取付具20を動かしてもよい。
この場合も、スライド移動部28Q,28S(図6および図8等を参照)内でボルト17が移動するようにアンテナ本体200および第2取付具20を動かす際、リングワッシャー18(図29参照)に設けられたテーパー部18T(図29参照)は、延在部22の切欠部23Nに対して摺接し、延在部22の切欠部23N内で案内される。
テーパー部18Tが切欠部23N内で案内されることによって、第2取付具20の延在部21側の移動がある程度規制されるため、第1取付具10に対して第2取付具20をスライド移動させる際に、アンテナ本体200の揺動が抑制される。したがって、取付装置30によれば、アンテナ本体200を壁面100に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
上述のとおり、スライド移動部28Qと保持部26Mとの間には、相互に対向する2つの突起部26Tが設けられる。ボルト17が保持部26M,26N内に入り込むようにアンテナ本体200および第2取付具20が動かされた際、2つの突起部26Tは、上記の突起部24T,25Tの場合と同様に、リングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接する。第1取付具10の延在部12は、板バネ状に一時的に弾性変形する。
アンテナ本体200を把持する作業者は、ボルト17が保持部26M,26N内に入り込むようにアンテナ本体200および第2取付具20を動かす際、この一時的な弾性変形の作用によって、いわゆるスナップ感(ボルト17が保持部26M,26N内に嵌め込まれたことを認識可能な感触)を得ることが可能となる。取付装置30によれば、アンテナ本体200を壁面100に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
保持部26M,26N内にボルト17が嵌め込まれた状態において、保持部26M,26N内からボルト17が引き抜かれる際には、嵌込時と同様に、第2取付具20の延在部21に設けられた2つの突起部26Tはリングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接し、第1取付具10の延在部12は板バネ状に一時的に弾性変形する。保持部26M,26N内からボルト17が引き抜かれるためには、第2取付具20に対して所定の引き抜き力(横方向)が付与される必要がある。取付作業時に突風が吹いた場合であっても、ボルト17が不意に保持部26M,26N内から外れてしまうことは効果的に抑制されている。
保持部26M,26N内にボルト17が嵌め込まれた状態においては、第1取付具10は、第2取付具20およびアンテナ本体200を、角度θ2(たとえば60°)の範囲内で揺動可能に支持している。換言すると、保持部26Mと保持部26Nとによって保持されたボルト17を回動軸として、第1取付具10および第2取付具20は相対的に回動されることができる。
保持部26M,26N内にボルト17が嵌め込まれた状態において、作業者は、受信感度が許容範囲内となるように、アンテナ本体200の電波受信面210(図1および図2等参照)を所定の方向に向ける。角度調整の作業時に突風が吹いた場合であっても、ボルト17が不意に保持部26M,26N内から外れてしまうことは効果的に抑制されている。したがって、取付装置30によれば、アンテナ本体200を壁面100に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
上述のとおり、角度調整時には、複数の係合部11K(図6等参照)および複数の被係合部26K(図6等参照)同士は互いに断続的に係合し、複数の係合部12K(図6等参照)および複数の被係合部26L(図6等参照)同士も互いに断続的に係合する。断続的な係合によって、作業者は、角度調整時に、アンテナ本体200の回動量を調節し易く、かつ、所定の回動量で位置決めし易くなる。角度調整時に突風が吹いた場合であっても、アンテナ本体200が不意に回転してしまうことは効果的に抑制されている。
アンテナ本体200の設置角度が定められた後、ボルト17が挿通孔11Hに対して所定の締め付けトルクで螺合するように、ボルト17を用いて第2取付具20は第1取付具10に対して固定される。ボルト17の締結によって、延在部21が延在部11とリングワッシャー14との間で挟持されるとともに、延在部22が延在部12とリングワッシャー18との間で挟持される。アンテナ本体200に設けられた第2取付具20が壁面100に設けられた第1取付具10に取り付けられた状態は、ボルト17の締結によって保持されることとなる。
図34を参照して、第1取付具10のボルト17がスライド移動部28Q,28S(図6および図8等を参照)内に配置された後、作業者は、ボルト17がたとえば保持部27M,27N内に入り込むように、壁面100および第1取付具10に対してアンテナ本体200および第2取付具20を動かしてもよい。
この場合も、スライド移動部28R,28P(図6および図8等を参照)内でボルト17が移動するようにアンテナ本体200および第2取付具20を動かす際、リングワッシャー18(図29参照)に設けられたテーパー部18T(図29参照)は、延在部22の切欠部23Nに対して摺接し、延在部22の切欠部23N内で案内される。
テーパー部18Tが切欠部23N内で案内されることによって、第2取付具20の延在部21側の移動がある程度規制されるため、第1取付具10に対して第2取付具20をスライド移動させる際に、アンテナ本体200の揺動が抑制される。したがって、取付装置30によれば、アンテナ本体200を壁面100に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
上述のとおり、スライド移動部28Pと保持部27Mとの間には、相互に対向する2つの突起部27Tが設けられる。ボルト17が保持部27M,27N内に入り込むようにアンテナ本体200および第2取付具20が動かされた際、2つの突起部27Tは、上記の突起部24T,25T,26Tの場合と同様に、リングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接する。第1取付具10の延在部12は、板バネ状に一時的に弾性変形する。
アンテナ本体200を把持する作業者は、ボルト17が保持部27M,27N内に入り込むようにアンテナ本体200および第2取付具20を動かす際、この一時的な弾性変形の作用によって、いわゆるスナップ感(ボルト17が保持部27M,27N内に嵌め込まれたことを認識可能な感触)を得ることが可能となる。取付装置30によれば、アンテナ本体200を壁面100に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
保持部27M,27N内にボルト17が嵌め込まれた状態において、保持部27M,27N内からボルト17が引き抜かれる際には、嵌込時と同様に、第2取付具20の延在部21に設けられた2つの突起部27Tはリングワッシャー14のテーパー部14Tの表面を乗り越えるように摺接し、第1取付具10の延在部12は板バネ状に一時的に弾性変形する。保持部27M,27N内からボルト17が引き抜かれるためには、第2取付具20に対して所定の引き抜き力(横方向)が付与される必要がある。取付作業時に突風が吹いた場合であっても、ボルト17が不意に保持部27M,27N内から外れてしまうことは効果的に抑制されている。
保持部27M,27N内にボルト17が嵌め込まれた状態においては、第1取付具10は、第2取付具20およびアンテナ本体200を、角度θ2(たとえば60°)の範囲内で揺動可能に支持している。換言すると、保持部27Mと保持部27Nとによって保持されたボルト17を回動軸として、第1取付具10および第2取付具20は相対的に回動されることができる。
保持部27M,27N内にボルト17が嵌め込まれた状態において、作業者は、受信感度が許容範囲内となるように、アンテナ本体200の電波受信面210(図1および図2等参照)を所定の方向に向ける。角度調整の作業時に突風が吹いた場合であっても、ボルト17が不意に保持部27M,27N内から外れてしまうことは効果的に抑制されている。したがって、取付装置30によれば、アンテナ本体200を壁面100に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
上述のとおり、角度調整時には、複数の係合部11K(図6等参照)および複数の被係合部27K(図6等参照)同士は互いに断続的に係合し、複数の係合部12K(図6等参照)および複数の被係合部27L(図6等参照)同士も互いに断続的に係合する。断続的な係合によって、作業者は、角度調整時に、アンテナ本体200の回動量を調節し易く、かつ、所定の回動量で位置決めし易くなる。角度調整時に突風が吹いた場合であっても、アンテナ本体200が不意に回転してしまうことは効果的に抑制されている。
アンテナ本体200の設置角度が定められた後、ボルト17が挿通孔11Hに対して所定の締め付けトルクで螺合するように、ボルト17を用いて第2取付具20は第1取付具10に対して固定される。ボルト17の締結によって、延在部21が延在部11とリングワッシャー14との間で挟持されるとともに、延在部22が延在部12とリングワッシャー18との間で挟持される。アンテナ本体200に設けられた第2取付具20が壁面100に設けられた第1取付具10に取り付けられた状態は、ボルト17の締結によって保持されることとなる。
以上説明したように、壁面100にアンテナ本体200を取り付ける際、本実施の形態における取付装置30が用いられることによって、作業効率をさらに向上させることが可能となる。
図35を参照して、本実施の形態における取付装置30においては、保持部25Mが設けられている位置と受入部24Mが設けられている位置とは、スライド移動部28P,28Qの長手方向(図35の紙面左右方向)において互いにずれている。
ボルト17が、保持部25M,25N内に配置されているとする。この状態で壁面100に固定された第1取付具10から第2取付具20およびアンテナ本体200を引き抜く際、突起部25Tによる上記のスナップ感が発生した後、保持部25M,25Nはボルト17に対して引き抜かれる(矢印AR3参照)。
取付装置30においては、所定の勢いを持って保持部25M,25Nがボルト17に対して引き抜かれた場合であっても、壁面100側に固定された第1取付具10のボルト17にスライド移動部28Pが当接する(矢印AR4参照)。壁面100に取り付けられた第1取付具10から第2取付具20およびアンテナ本体200が勢い余って取り外されてしまうことが抑制されている。取付装置30によれば、ボルト17を保持部25M,25Nから保持部26M,26Nに移動させたり、ボルト17を保持部25M,25Nから保持部27M,27Nに移動させたりするさいの作業性の向上も図られている。
以上、本発明に基づいた実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。