JP2013161862A - Led装置、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、高い演色性を示し、さらに部材にクラック等が生じない耐久性の高いLED装置、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】LEDチップと、前記LEDチップを被覆するように形成された透光性層と
を有するLED装置であって、前記透光性層は、発する蛍光の波長が異なる2種以上の半導体ナノ粒子が被覆部材に内包された半導体内包粒子、及び透明セラミックバインダを含み、前記半導体内包粒子の粒径の変動係数が10%以下である、LED装置とする。
【選択図】図1

Description

本発明はLEDチップの表面に半導体ナノ粒子が配置されたLED装置、及びその製造方法に関する。
近年、LEDチップを有するLED装置の進歩が目覚ましく、例えば液晶のバックライトや、大型ディスプレイ、自動車のヘッドライト、室内外の照明器具等にLED装置が採用されている。LED装置は、蛍光体を含む封止樹脂層でLEDチップを封止した構造が一般的である。例えば窒化ガリウム(GaN)系の青色LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)チップを、YAG蛍光体等を含む封止樹脂層で封止した白色LED装置が普及している。当該白色LED装置では、青色LEDチップが出射する青色光と、青色光を受けて蛍光体が出射する黄色光(蛍光)とを混色し、白色光とする。
また青色LEDチップの近傍に、複数種類の蛍光体を配置したLED装置も開発されている。当該装置では、青色LEDチップが出射する光と、青色光を受けて蛍光体が出射する蛍光(例えば赤色光や緑色光)とを混色し、白色光を得る。
近年、量子閉じ込め効果を示す半導体ナノ粒子が注目されている。半導体ナノ粒子は、数ナノメートルの大きさの結晶構造を有する半導体物質であり、数百から数千個程度の原子で構成されている。半導体ナノ粒子は、粒径の調整により、発光波長を調整できる。さらに、半導体ナノ粒子は、優れた色純度及び高い発光効率を有する。そこで、この半導体ナノ粒子をLED装置に適用することが提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
例えば特許文献1には、粒径の異なる半導体ナノ粒子を、封止樹脂に分散したLED装置が記載されている。特許文献2には、半導体ナノ粒子と無機蛍光体粒子または色素とを含む複合発光材料を、封止樹脂中に分散したLED装置が記載されている。特許文献3には、シリカビーズ中に1種類の半導体ナノ粒子を内包する半導体内包粒子を、封止樹脂に分散したLED装置が記載されている。
米国特許第2008173886号明細書 特開2008−50603号公報 特開2003−321226号公報
しかし、特許文献1の技術では、粒径の相違する半導体ナノ粒子を樹脂に分散させており、半導体ナノ粒子が封止樹脂層内で不均一に分散する。これは、半導体ナノ粒子の粒径の違いにより沈降速度が相違することに起因する。封止樹脂層内で、半導体ナノ粒子の分散が不均一であると、LED装置からの発光色にムラが生じやすい。さらに熱負荷等によって封止樹脂層にクラックが生じやすい。したがって、特許文献1のLED装置では、このような問題が生じやすかった。
また、特許文献2の技術でも、複合発光材料のサイズが均一ではないため、複合発光材料が、封止樹脂層内で不均一に分散する。したがって、特許文献2のLED装置でも、発光色の演色性が十分でなく、さらに封止樹脂層にクラックが生じやすかった。
また、特許文献3の技術でも、半導体ナノ粒子を内包するシリカビーズの粒径が均一でないため、シリカビーズが封止樹脂層内で不均一に分散する。したがって、LED装置の発光色の演色性が十分でなく、さらに封止樹脂層にクラックが生じやすかった。さらに特許文献3の技術では、各シリカビーズが1種のみの半導体ナノ粒子を内包するため、各シリカビーズから出射する光が単色である。したがって、見かけ上、各シリカビーズが一つの大きなドットとなり、ドット数が少なくなるため、演色性が低いとの問題もあった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、高い演色性を有し、かつ半導体ナノ粒子を含有する層にクラック等が生じない、耐久性に優れたLED装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、2種以上の半導体ナノ粒子を内包し、かつその粒径の変動係数が小さい半導体内包粒子を透明セラミックバインダに分散することで、LED装置が高い演色性を示し、かつ耐久性にも優れることを見出した。
即ち、本発明によれば、以下に示すLED装置、及びその製造方法が提供される。
[1]LEDチップと、前記LEDチップを被覆するように形成された透光性層とを有するLED装置であって、前記透光性層は、発する蛍光の波長が異なる2種以上の半導体ナノ粒子が被覆部材に内包された半導体内包粒子、及び透明セラミックバインダを含み、前記半導体内包粒子の粒径の変動係数が10%以下である、LED装置。
[2]前記被覆部材が、透明セラミックからなる、[1]に記載のLED装置。
[3]前記被覆部材が透明セラミックからなり、前記半導体内包粒子の平均粒径が20〜200nmである、[2]に記載のLED装置。
[4]前記透明セラミックバインダが、ケイ素酸化物、チタン酸化物、及びジルコニウム酸化物からなる群から選択される1種を含む、[1]に記載のLED装置。
[5]前記半導体ナノ粒子が、InP、CdSe、ZnSeからなる群より選択される1種以上を含む、[1]に記載のLED装置。
[6]前記透光性層上に、封止樹脂層を含有する、[1]に記載のLED装置。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載のLED装置の製造方法であって、LEDチップを準備する工程と、前記半導体内包粒子及び透明セラミックバインダ前駆体を含む透光性層用組成物を前記LEDチップ上に塗布し、ゾルゲル法で透光性を形成する工程とを有する、LED装置の製造方法。
本発明では、半導体内包粒子の粒径の変動係数が小さいため、透明セラミックバインダに半導体ナノ粒子が均一に分散する。したがって、透光性層にクラックが生じ難く、さらにLED装置の発光色に色ムラが生じにくい。また、半導体内包粒子が、発する蛍光の波長が異なる2種以上の半導体ナノ粒子を内包するため、ドット数が多く、LED装置の発光色の演色性が非常に良好となる。
本発明のLED装置の一例を示す概略断面図である。 本発明のLED装置の他の例を示す概略断面図である。 本発明のLED装置の他の例を示す概略断面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
図1は、本発明のLED装置100の一例を示す断面図である。本発明のLED装置100は、LEDチップ1、及びLEDチップ1を被覆する透光性層2を有する。
1.LEDチップについて
LEDチップ1は、パッケージ(LED基板)3上に配設され、パッケージ3上に配設されたメタル部(メタル配線)4と、突起電極5等を介して接続される。
LEDチップ1は、例えば青色LEDである。青色LEDの構成は、例えばLED基板3に積層されたn−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、InGaN系化合物半導体層(発光層)と、p−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、透明電極層との積層体とすることができる。LEDチップ1は、例えば200〜300μm×200〜300μmの発光面を有する。またLEDチップ1の高さは、通常50〜200μm程度である。
LEDチップ1の発光面上には、LEDチップ1を保護するためのガラス基板6を有してもよい。ガラス基板6の厚みは、通常200〜2000μmである。
パッケージ3は、例えば液晶ポリマーやセラミックであるが、絶縁性と耐熱性を有していれば、その材質は特に限定されない。またその形状も特に制限はなく、例えば図1に示すように、平板状であってもよく、また図2に示すように凹部を有する形状であってもよい。
メタル部4は、銀等の金属からなる配線であり、LEDチップ1からの出射光を反射する反射板としての機能を有する場合もある。メタル部4は、図1に示すように、突起電極5等を介して、LEDチップ1と接続してもよく、また配線等を介して、LEDチップ1と接続してもよい。突起電極5を介してメタル部4とLEDチップ1とを接続する態様を、フリップチップ型という。
図1に示されるLED装置100には、パッケージ3に、1つのLEDチップ1のみが配置されているが;パッケージ3に、複数のLEDチップ1が配置されていてもよい。
2.透光性層について
透光性層2は、LEDチップ1を被覆するように形成され、半導体内包粒子、及び透明セラミックバインダを含む。透光性層2は、LEDチップ1が出射する特定の波長の光の一部を、他の特定波長の光に変換する。
(半導体内包粒子)
半導体内包粒子は、被覆部材に、発する蛍光の波長が異なる2種以上の半導体ナノ粒子が内包された粒子である。発する蛍光の波長が異なるとは、蛍光の波長のピークトップが30nm以上異なることを意味する。例えば、1つの半導体内包粒子は、蛍光の波長のピークトップが470nmの半導体ナノ粒子と、ピークトップが510nmで緑色に発光する半導体ナノ粒子と、ピークトップが700nmで赤色に発光する半導体ナノ粒子とを含み得る。2種以上の半導体ナノ粒子の混合割合は、これらの蛍光の混合色に応じて、適宜選択する。
・半導体ナノ粒子
半導体内包粒子中の半導体ナノ粒子には、例えばII族−VI族化合物半導体のナノ結晶、III族−V族化合物半導体のナノ結晶、IV族−VI族化合物半導体のナノ結晶、VI族単元素半導体またはVI族化合物半導体のナノ結晶、I族−III族−VI族化合物半導体のナノ結晶等が含まれる。
II−VI族化合物半導体の具体例には、CdSe、CdS、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、及びHgTe等の2元素化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、及びHgZnSe等の3元素化合物;ならびにCdHgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、及びHgZnSTe等の4元素化合物が含まれる。
前記III−V族化合物半導体の具体例には、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、及びInSb等の2元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InGaP、及びInPSb等の3元素化合物;ならびにGaAlNAs、GaAlNSb、GaAlNP、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、及びInAlPSb等の4元素化合物が含まれる。
前記IV−VI族化合物半導体の具体例には、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、及びPbTe等の2元素化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、及びSnPbTe等の3元素化合物;ならびにSnPbSSe、SnPbSeTe、及びSnPbSTe等の4元素化合物が含まれる。
前記IV族単元素半導体またはIV族化合物半導体には、Si、及びGe等の単元素半導体;ならびにSiC、及びSiGe等の2元素化合物が含まれる。
前記I族−III族−VI族化合物半導体の具体例には、CuInS、CuInSe等の3元素化合物;CuInGaS、CuInGaSe等の4元素化合物等が含まれる。
半導体内包粒子は、上述のいずれか1種のみの結晶からなるものであってもよく、また2種以上の合金の結晶であってもよい。
半導体ナノ粒子を混晶とする場合、その結晶構造は特に限定されない。半導体ナノ粒子の結晶構造の例として、半導体ナノ粒子をコアとし、これを被覆するシェルを有するコアシェル(core−shell)結晶構造;コアシェルの境が明確でなくグラジエント(gradient)に組成が変化する結晶構造;同一の結晶内に各化合物の結晶が部分的に分けられて存在する混合結晶構造等が挙げられる。
上記の中でも、コアシェル結晶構造を有する半導体が、その発光輝度が優れるため好ましい。本明細書中において、コアシェル結晶構造を有する半導体ナノ粒子はコアとシェルとを「/」で区切り表記する。例えばコアがCdSe、シェルがZnSの場合、CdSe/ZnSと表記する。コアシェル型の半導体の例には、CdSe/ZnS、CdS/ZnS、InP/ZnS、InGaP/ZnS、Si/SiO、Si/ZnS、Ge/GeO、Ge/ZnS等が含まれる。
また、半導体ナノ粒子は、必要に応じて他の元素でドープされてもよい。本明細書中、ドープする元素とドープされる半導体とを、「:」で区切り表記する。例えば銅でドープされたInPはCu:InPと表記する。他の元素でドープされた半導体ナノ粒子の例には、Cu:InP、Cu:ZnSe,Mn:ZnSe等が含まれる。
また半導体ナノ粒子は、有機ポリマー等で表面処理されてもよい。表面処理が施された半導体ナノ粒子の例には、表面にカルボキシ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)、表面にアミノ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)等が含まれる。
前述の半導体ナノ粒子の中でも、特にInP、CdSe、またはZnSeを含む半導体ナノ粒子が、発光輝度等の面から好ましい。
半導体ナノ粒子の平均粒径は0.5〜20nmが好ましく、より好ましくは1〜10nm、さらに好ましくは2〜5nmである。平均粒径が0.5nmより小さな半導体ナノ粒子は、製造が難しい。一方で半導体ナノ粒子の平均粒径を20nmより大きくした場合には、各ドットが大きくなり、LED装置の発光色の演色性が十分とならない可能性がある。また、半導体ナノ粒子の平均粒径を20nmより大きくした場合、量子ドットの発光原理である量子サイズ効果が発現せず、十分な発光が得られなくなる。上記平均粒径は、TEM(透過型電子顕微鏡)での観察により確認される値である。具体的には、200個以上の粒子像から各粒径を求め、これらを算術平均した値とする。また、半導体ナノ粒子の形状は特に制限されないが、球状もしくは略球状であることが好ましい。
半導体ナノ粒子の調製方法は、特に制限はなく、公知の方法;例えば、CVD法、レーザーアブレーション法、シラン分解法、Si電極蒸発法などの気相法や、電気分解法、逆ミセル法、化学的湿式法などの液相法が挙げられる。
これらの中でも、化学的湿式法によれば、半導体ナノ粒子の結晶の大きさを制御しやすい。化学的湿式法は、有機溶媒に、半導体ナノ粒子の前駆体物質を添加し、有機溶媒内で結晶を成長させる方法である。この際、半導体ナノ粒子とともに分散剤を添加してもよい。化学的湿式法では、前駆体の濃度、分散剤の種類、有機溶媒の種類、合成の温度及び時間等を変化させることで、半導体ナノ粒子の結晶の大きさを制御できる。
・被覆部材
被覆部材は、前述の半導体ナノ粒子を内包可能であれば、種類に制限はなく、例えば透明セラミックであってもよく、透明樹脂であってもよい。
(i)被覆部材が透明セラミックである場合
被覆部材が透明セラミックである半導体内包粒子は、基本的にガラスの性質を示し、機械的特性、耐熱性、化学的安定性などの諸特性に優れる。さらに、内包された半導体ナノ粒子が透明セラミックで保護されるため、耐光性に優れ、経時安定性にも優れる。
被覆部材が透明セラミックである場合、被覆部材は例えばシリカ単独からなるガラス、シリカ−アルミナ系ガラス、シリカ−チタニア系ガラス、シリカ−チタニア−アルミナ系ガラス等であり得る。
被覆部材がガラスである半導体内包粒子は、ゾルゲル法で調製できる。ゾル−ゲル法の中でも、「ゾル−ゲルサイエンス」(ブリンカー著、アカデミックプレス、1990年)に記載されている“ストーバー法”と呼ばれる方法が好ましい。
具体的には、前述した2種以上の半導体ナノ粒子を添加したアルカリ性水溶液中でガラス前駆体と反応溶媒とを反応させる。この際、ガラス前駆体、反応溶媒(エタノール)、水、及びアルカリ性化合物(アンモニア)のそれぞれの添加量(モル%)を、それぞれ1:a:r:b(モル%比;20≦a≦400、10≦r≦200、10≦b≦40)とする。
ガラス前駆体と、半導体ナノ粒子との混合比に制限はないが、最終的に得られる半導体内包粒子中の半導体ナノ粒子の濃度は、2×10−4mol/L以上5×10−3mol/L未満が好ましい。濃度をこの範囲とすると、最終的に得られる半導体内包粒子の直径を80nmとした場合に、半導体内包粒子1個当りに半導体ナノ粒子が平均10〜80個内包され、各半導体内包粒子から十分な発光が得られる。半導体内包粒子中の半導体ナノ粒子の濃度は、TEM(透過型電子顕微鏡)で半導体内包粒子を観察することにより確認できる。また、半導体内包粒子がLED装置の透光性層内に包摂されている場合、共焦点顕微鏡で透光性層と半導体内包粒子の界面を確認し、続いて半導体内包粒子部をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察することにより確認できる。
上記反応の反応時間、及びアルコキシドに対する水の割合(rの値)によって、半導体内包粒子の平均粒径を調整できる。一般的な反応時間は、1分〜60分程度であるが、反応時間を短くすると半導体内包粒子の平均粒径が小さくなり、長くすると半導体内包粒子の平均粒径が大きくなる。また、アルコキシドに対する水の割合(rの値)と平均粒径との関係は複雑であるが、通常、r=20程度で最も大きな粒径となり、r=100程度で最も小さな粒径となる。rの値と粒径との関係については、ジャーナル オブ コロイドサイエンス、26巻、62ページ(1968年)に記載の条件を適用することができる。
反応温度は、一般的なアルコキシシランの加水分解反応と同様の温度とすることができ、室温から50℃とすることが好ましい。
上記反応後、半導体内包粒子を遠心分離により分取し、乾燥させる。乾燥後、波長約340〜410nmの紫外線照射処理を行ってもよい。紫外線照射により、被覆部材に生じる格子欠陥や表面欠陥を除去できる。また、40〜100℃程度で熱処理してもよい。加熱処理によりアルコールなどの有機物が除去され、被覆部材の網目構造がより発達する。
上記ガラス前駆体は、4官能のアルコキシシランが好ましく、中でもテトラエトキシシランがその反応性等の面からより好ましい。また、ガラス前駆体の一部を、3官能や2官能のアルコキシシランや、アルミニウムイソプロポキシド等の3官能のアルミニウムアルコキシド、チタンイソプロポキシド等の4官能チタンアルコキシド等としてもよい。
反応溶媒は、上記エタノールをメタノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等に替えてもよい。またアルカリ性化合物は、上記アンモニアを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、もしくはこれらの水溶液に替えてもよい。
上述の方法により被覆部材を形成すると、半導体内包粒子の形成過程において、前述の半導体ナノ粒子が触媒となる。その結果、反応が半導体ナノ粒子の周囲から始まり、ガラス層(被覆部材)が均一に成長する。したがって、半導体ナノ粒子は、半導体内包粒子の中心部のみに配置される。具体的には、半導体内包粒子の中心からの半径10%以内の空間領域に、通常半導体ナノ粒子の80%以上が分布する。これは、電子線照射による特性X線検出により確認される。
(ii)被覆部材が透明樹脂である場合
被覆部材が透明樹脂である場合、透明樹脂の例には、ポリスチレン、臭素化ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクロレイン、ポリブタジエン、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシロキサン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロライド、ポリビニルピリジン、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルトルエン、ポリビニリデンクロライド、ポリジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−共−グリコリド)、ポリアンハイドライド、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリスルホン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルクロライド− ビニルアセテート共重合体、ポリビニルアルコール、修飾ポリビニルアルコール、ポリビニルブチリル(ブチリル樹脂)、ポリビニルピロリジン、塩素化ポリプロピレン、エポキシ樹脂、硬化ロジン、エステルゴムおよび他のロジンエステル、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ダイマーロジン、ポリマーロジン、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、ケトン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、アルキル樹脂、ポリアミド樹脂等が含まれる。透明樹脂は、これらのうち、1種のみからなるものであってもよく、2種以上からなるものであってもよい。これらの中でも、ポリスチレン、ポリジビニルベンゼン、ポリアクリル酸、もしくはこれらの共重合体を含むことが好ましく、特にこれらの架橋ポリマーが好ましい。
被覆部材を樹脂とする場合、被覆樹脂と、半導体ナノ粒子との混合比に制限はないが、最終的に得られる半導体内包粒子中の半導体ナノ粒子の濃度は、2×10−4mol/L以上5×10−3mol/L未満が好ましい。濃度をこの範囲とすると、最終的に得られる半導体内包粒子の直径を1μmとした場合に、半導体内包粒子1個当りに半導体ナノ粒子が平均100〜1000個内包され、各半導体内包粒子から十分な発光が得られる。半導体内包粒子中の半導体ナノ粒子の濃度は、TEM(透過型電子顕微鏡)で半導体内包粒子を観察することにより確認できる。
被覆部材を樹脂とする場合、半導体ナノ粒子は、例えば(1)透明樹脂からなる多孔性ビーズを作製し、この多孔性ビーズに半導体ナノ粒子を挿入する方法、もしくは(2)透明樹脂前駆体と半導体ナノ粒子とを含む樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物をビーズ状に成形する方法、により調製できる。
(1)透明樹脂からなる多孔性ビーズを作製し、この多孔性ビーズに半導体ナノ粒子を挿入する場合、多孔性の樹脂ビーズは、半導体ナノ粒子が通過可能な孔を有する。孔の直径は1〜20nmであることが好ましく、2〜10nmであることがより好ましい。多孔性ビーズは、公知の乳化重合、懸濁重合、シード重合によって調製できる。また、孔を有さないビーズを、膨潤剤等で膨潤させて、孔を作製してもよい。膨潤剤は、例えばクロロホルム、ブタノール等とできる。
半導体ナノ粒子と多孔性ビーズとを溶媒中に分散し、この溶液を攪拌、もしくは超音波処理して、半導体ナノ粒子を多孔性ビーズ内に挿入する。挿入する半導体ナノ粒子の量は、分散液中の半導体ナノ粒子の濃度で調整し得る。
溶媒は、半導体内包粒子及び多孔性ビーズを分散可能な溶媒であれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、リグロイン、メチルイソブチルケトン、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、分岐鎖ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチルヘキシルアルコール)、アセトン、ジメチルスルホキシド、メチレンクロリド、クロロホルム等とし得る。上記溶媒は混合してもよい。上記の中でも、アルコールが好ましく、より好ましくは炭素数が3〜6の直鎖または分岐鎖アルコールである。
多孔性ビーズに半導体ナノ粒子を挿入後、半導体ナノ粒子を結着する処理等を行ってもよい。例えば半導体ナノ粒子を挿入後、半導体ナノ粒子をアルコキシシランで修飾し、微量の水を添加して、多孔性ビーズの孔内に半導体ナノ粒子を結着させること等ができる。
(2)透明樹脂前駆体と半導体ナノ粒子とを含む樹脂組成物を調製し、これをビーズ状に成形する場合、ビーズ状に成形する方法は、特に制限はなく、公知の方法とできる。例えば透明樹脂前駆体、半導体ナノ粒子を含む樹脂組成物を、集束流体と共にノズルから押し出すこと等で、所望の粒径のビーズ状に成形できる(例えば特表2010−530912号公報参照)。上記樹脂組成物には、必要に応じて溶媒や硬化剤を添加してもよく、その種類は特に制限はされない。また半導体内包粒子が内包する半導体ナノ粒子の量は、樹脂組成物中の半導体ナノ粒子の量で調整し得る。
ビーズ状に成形後、透明樹脂前駆体の種類に応じて、適宜硬化処理を行う。
・半導体内包粒子の平均粒径及び粒径の変動係数
半導体内包粒子の平均粒径は、被覆部材の種類によって相違する。被覆部材が透明セラミックである場合、平均粒径は20〜800nmが好ましく、より好ましくは20〜100nm、さらに好ましくは30〜80nmである。半導体内包粒子の平均粒径が20nm以下であると、半導体ナノ粒子を透明セラミックバインダで十分に内包できない可能性がある。
一方、被覆部材が透明樹脂である場合、10nm〜20μmが好ましく、0.1μm〜10μmがより好ましい。さらに好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.5μm〜1μmである。半導体内包粒子の平均粒径が10nm以下であると、被覆部材が透明樹脂である半導体内包粒子の調製が難しい。
上記平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により、1000個以上の半導体内包粒子を電子顕微鏡写真で撮影し、その断面積から算出される値である。具体的には、半導体内包粒子の断面は、全て円形であると仮定し、この断面積から円の直径を求める。この直径を粒径とし、これを算術平均した値を平均粒径とする。
半導体内包粒子は、例えば2個の球形粒子が互いに結合して、くびれた結合部を有する“8の字型”になることがある。この場合、2つの球形の粒径を、それぞれ半導体ナノ粒子の粒径とする。
また、半導体内包粒子の集合体に圧力を加えると、個々の粒子が少し変形して、その形状は、オブレート型やプロレート型に近づく。このような場合には、同体積の球体を想定して、その粒径を算出する。
半導体内包粒子は、その粒径の変動係数が10%以下であり、好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下とする。変動係数が10%を超えると、透光性層内で半導体内包粒子が均一に分散されない。変動係数(CV値)とは、統計学におけるばらつきを表す変動係数を意味し、下記式で定義される。
CV[%]=(σ/D)×100
上記式中、σは標準偏差を表し、Dは平均粒径を表す。この数値が小さい程、粒径の均一性が高いことを示す。
変動係数を10%以下にする手段として、半導体内包粒子を分級装置で分級する方法が挙げられる。分級装置とは、粒子に外向きに働く遠心力と内向きに働く抗力を与え、粒径毎に落下位置を相違させ、粒径の異なる粒子群を分類する装置である。また被覆部材がシリカ系ガラスの場合、被覆部材形成時の反応温度を、低温から多段階で昇温することで、変動係数を小さくできる。
(透明セラミックバインダ)
透明セラミックバインダは、透光性層内部で、半導体内包粒子を保持する。透明セラミックバインダは、可視光に対して透明であればその種類は特に制限されない。例えば、ケイ素酸化物、チタン酸化物、ニオブ酸化物、ハフニウム酸化物、インジウム酸化物、タングステン酸化物、スズ酸化物、亜鉛酸化物、ジルコニウム酸化物、及びチタン酸化合物等とし得る。透明セラミックバインダは、これらのうち1種のみからなるものであってもよく、2種以上からなるものであってもよい。
上記化合物の中でも、ケイ素酸化物、チタン酸化物、またはジルコニウム酸化物が好ましく、ケイ素酸化物とチタン酸化物との複合物、ケイ素酸化物とジルコニア酸化物との複合物、もしくはケイ素酸化物とチタン酸化物とジルコニウム酸化物との複合物が好ましい。ケイ素酸化物は、透明性や成膜が容易であるとの面から好ましい。またチタン酸化物またはジルコニウム酸化物を含むと、透光性層の屈折率が、LEDチップ表面の屈折率と近くなる。これにより、透光性層とLEDチップとの界面の屈折率差を小さくでき、界面反射を抑制できる。特にジルコニウム酸化物は、可視光域に光の吸収を有さないため、ケイ素酸化物及びジルコニウム酸化物の複合物が特に好ましい。
ケイ素酸化物は、例えばポリシロキサンとし得る。ポリシロキサンは、例えば下記一般式(I)で表されるアルコキシシランから選択される少なくとも1種を、水または有機溶媒の存在下で加水分解し、縮合反応させた化合物である。
Si(OR)4−n (I)
一般式(I)中、nはアルコキシド(OR)の数を表し、2以上4以下の整数である。また、Rは、それぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。加水分解速度の観点から、メチル基またはエチル基が特に好ましい。
上記一般式(I)式中、Yは、水素原子またはアルキル基またはフェニル基を表す。アルキル基は、炭素数が1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、より好ましくは炭素数が1〜4の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。
上記一般式(I)で表されるアルコキシシランは、例えば以下の4官能のアルコキシシラン、3官能のアルコキシシラン、2官能のアルコキシシラン等とすることができる。
4官能のアルコキシシランの例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラペンチルオキシシラン、テトラフェニルオキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシトリブトキシシラン、モノメトキシトリペンチルオキシシラン、モノメトキシトリフェニルオキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン、トリプロポキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノブトキシシラン、ジメトキシジブトキシシラン、トリエトキシモノプロポキシシラン、ジエトキシジプロポキシシラン、トリブトキシモノプロポキシシラン、ジメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノプロポキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジブトキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジブトキシモノエトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシモノエトキシモノプロポキシモノブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン等が含まれる。これらの中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
3官能のアルコキシシランの例には、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリペンチルオキシシラン、トリフェニルオキシシラン、ジメトキシモノエトキシシラン、ジエトキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシルモノメトキシシラン、ジペンチルオキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシモノプロポキシシラン、ジフェニルオキシルモノメトキシシラン、ジフェニルオキシモノエトキシシラン、ジフェニルオキシモノプロポキシシラン、メトキシエトキシプロポキシシラン、モノプロポキシジメトキシシラン、モノプロポキシジエトキシシラン、モノブトキシジメトキシシラン、モノペンチルオキシジエトキシシラン、モノフェニルオキシジエトキシシラン等のモノヒドロアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジエトキシシラン、メチルモノメトキシジプロポキシシラン、メチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、メチルメトキシエトキシプロポキシシラン、メチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノメチルアルコキシシラン;エチルトリメトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリペンチルオキシシラン、エチルトリフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシジエトキシシラン、エチルモノメトキシジプロポキシシラン、エチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、エチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノエチルアルコキシシラン;プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリペンチルオキシシラン、プロピルトリフェニルオキシシラン、プロピルモノメトキシジエトキシシラン、プロピルモノメトキシジプロポキシシラン、プロピルモノメトキシジペンチルオキシシラン、プロピルモノメトキシジフェニルオキシシラン、プロピルメトキシエトキシプロポキシシラン、プロピルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノプロピルアルコキシシラン;ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリペンチルオキシシラン、ブチルトリフェニルオキシシラン、ブチルモノメトキシジエトキシシラン、ブチルモノメトキシジプロポキシシラン、ブチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ブチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ブチルメトキシエトキシプロポキシシラン、ブチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノブチルアルコキシシランが含まれる。これらの中でも、メチルトリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシランがより好ましく、メチルトリメトキシシランがさらに好ましい。
2官能のアルコキシシランの具体例には、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジプロポキシシラン、ジペンチルオキシシラン、ジフェニルオキシシラン、メトキシエトキシシラン、メトキシプロポキシシラン、メトキシペンチルオキシシラン、メトキシフェニルオキシシラン、エトキシプロポキシシラン、エトキシペンチルオキシシラン、エトキシフェニルオキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルメトキシエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルメトキシプロポキシシラン、メチルメトキシペンチルオキシシラン、メチルメトキシフェニルオキシシラン、エチルジプロポキシシラン、エチルメトキシプロポキシシラン、エチルジペンチルオキシシラン、エチルジフェニルオキシシラン、プロピルジメトキシシラン、プロピルメトキシエトキシシラン、プロピルエトキシプロポキシシラン、プロピルジエトキシシラン、プロピルジペンチルオキシシラン、プロピルジフェニルオキシシラン、ブチルジメトキシシラン、ブチルメトキシエトキシシラン、ブチルジエトキシシラン、ブチルエトキシプロポキシシシラン、ブチルジプロポキシシラン、ブチルメチルジペンチルオキシシラン、ブチルメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジペンチルオキシシラン、ジメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルエトキシプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルメトキシプロポキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルエトキシプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジペンチルオキシシラン、ジプロピルジフェニルオキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルメトキシペンチルオキシシラン、ジブチルメトキシフェニルオキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン、メチルエチルジペンチルオキシシラン、メチルエチルジフェニルオキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルブチルジメトキシシラン、メチルブチルジエトキシシラン、メチルブチルジプロポキシシラン、メチルエチルエトキシプロポキシシラン、エチルプロピルジメトキシシラン、エチルプロピルメトキシエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルメトキシエトキシシラン、プロピルブチルジメトキシシラン、プロピルブチルジエトキシシラン、ジブチルメトキシエトキシシラン、ジブチルメトキシプロポキシシラン、ジブチルエトキシプロポキシシラン等が含まれる。中でもジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシランが好ましい。
透明セラミックバインダ中のポリシロキサンは、上記アルコキシシランから選ばれる1種のみの加水分解縮合物であってもよく、また2種以上のアルコキシシランの加水分解縮合物であってもよい。特に、ポリシロキサン全構成成分中に、3官能アルコキシシラン由来の成分を20〜60mol%含有するポリシロキサンが好ましく、30〜50mol%含有することがより好ましい。3官能アルコキシシラン由来の成分を上記範囲含むことで、ポリシロキサンの架橋密度を十分なものとでき、透光性層を耐光性やガスバリア性に優れる層とし得る。一方で、主鎖の一部に有機基が残存するため、ポリシロキサンの架橋密度が過剰とならず、透光性層にクラックが生じ難いものとし得る。
ジルコニウム酸化物またはチタン酸化物は、以下の一般式(II)で表される有機金属化合物に由来することが好ましい。
m+m−n (II)
一般式(II)中、Mはジルコニウム、チタンを表す。またmはMの価数を表し、3または4を表す。nはX基の数を表し、2以上4以下の整数である。但し、m≧nである。
また、上記一般式(II)において、Xは加水分解性基を表す。加水分解性基とは、水で加水分解されて水酸基を生成する基をいう。加水分解性基は、例えば炭素数が1〜5の低級アルコキシ基、アセトキシ基、ブタノキシム基、クロル基等とし得る。有機金属化合物は、1種類の加水分解性基のみを有してもよく、2種以上の加水分解性基を有してもよい。これらの中でも、反応後に遊離する成分が中性であることから、炭素数1〜5の低級アルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。これらは、反応性に富み、遊離する溶媒が軽沸であるため、容易に除去可能である。
また、上記一般式(II)において、Yは1価の有機基を表す。1価の有機基は、いわゆるシランカップリング剤の1価の有機基として公知の基である。具体的には、炭素数が1〜1000、好ましくは500以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下、特に好ましくは6以下の脂肪族基、脂環族基、芳香族基、脂環芳香族基を表す。これらは、連結基にO、N、S等の原子または原子団を有してもよい。上記の中でも特に、透光性層の硬化膜の耐光性及び耐熱性を良好にし得るとの観点から、メチル基が好ましい。
上記一般式(II)のYが表す有機基は、置換基を有してもよい。置換基の例には、F、Cl、Br、I等の原子;ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基、メルカプト基、エポキシ基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシ基、イミノ基、フェニル基等の有機官能基が含まれる。
ジルコニウム元素を含む有機金属化合物の例には、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトラi−プロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラi−ブトキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド、ジルコニウムジメタクリレートジブトキシド、ジブトキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)等が含まれる。
チタン元素を含む有機金属化合物の例には、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラi−ブトキシド、チタンメタクリレートトリイソプロポキシド、チタンテトラメトキシプロポキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトラエトキシド、チタンラクテート、チタニウムビス(エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンアセチルアセトネートなどが挙げられる。
ただし、上記で例示した化合物は、入手容易な市販の有機金属化合物の一部であり、科学技術総合研究所発行の「カップリング剤最適利用技術」9章のカップリング剤及び関連製品一覧表に示される化合物も、上記有機金属化合物として、本発明に適用し得る。
透明セラミックバインダ中に含むチタン原子の数とジルコニウム原子の数との合計量は、透明セラミックバインダ中に含むシラン原子の数に対して0.004〜0.5倍量であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1倍量である。シラン原子の数に対して、チタンまたはジルコニウムを上記範囲含むことで、透光性層の屈折率をLEDチップの屈折率と近似させることができる。またチタンやジルコニウムが、LEDチップ表面に存在する水酸基や、ポリシロキサンとメタロキサン結合を形成し、LEDチップと透光性層との密着性が高くなる。シラン原子の数、チタン原子の数、ジルコニウム原子の数の測定は、それぞれXPS(X線光電子分光分析法)で行う。
(透光性層の形成方法)
透光性層は、半導体内包粒子、透明セラミックバインダ前駆体及び溶媒等を含む透光性層用組成物を調製し、LEDチップ上に塗布し、これを加熱・硬化させて得られる。すなわち、ゾルゲル法で形成できる。
透光性層用組成物に含まれる、透明セラミックバインダであるケイ素酸化物前駆体は、前記一般式(I)で表されるアルコキシシラン、もしくは低分子量のポリシロキサンであり得る。低分子量のポリシロキサンは、前記一般式(I)で表されるアルコキシシランを公知の方法で加水分解し、縮合反応させた化合物である。低分子量ポリシロキサンの質量平均分子量は、1000〜3000が好ましく、より好ましくは1200〜2700、さらに好ましくは1500〜2000である。質量平均分子量が、1000未満であると粘度が低く、透光性層用組成物の粘度が低すぎる可能性がある。一方、質量平均分子量が3000を超えると、粘度が高くなり、均一な膜形成が困難となる場合や、LEDチップの埋め込み性が不良となる場合がある。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値(ポリスチレン換算)である。
また、透光性層用組成物に含まれる、透明セラミックバインダであるチタン酸化物前駆体またはジルコニウム酸化物前駆体は、前記一般式(II)で表される有機金属化合物であり得る。
半導体内包粒子の添加量は、透明セラミックバインダ前駆体全量に対して、0.5〜100質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。半導体内包粒子量が過剰であると、相対的に透明セラミックバインダの量が減少し、透光性層の強度が低下する場合がある。一方、半導体内包粒子量が少なすぎると、半導体ナノ粒子量が少なくなり、十分な蛍光が得られない。
透光性層用組成物に添加する溶媒は、特に制限されず、透明セラミックバインダ前駆体、及び半導体内包粒子を分散もしくは溶解可能なものであれば特に制限はない。例えば水との相溶性に優れた水性溶媒であってもよく、また、水との相溶性が低い非水性溶媒であってもよいが、水性溶媒がより好ましい。水との相溶性に優れた水性溶媒の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類が含まれる。溶媒は、水を含むことがより好ましい。水を添加すると、上記アルコキシシランまたは低分子量ポリシロキサンの加水分解を促進でき、より緻密な膜を形成できる。そのため、透光性層の強度がより高くなる。
添加する水の量は、透明セラミックバインダ前駆体100質量部に対して、10〜120質量部が好ましく、より好ましくは80〜100質量部である。水の添加量が少な過ぎると、透光性層の成膜時にシランアルコキシドや低分子量ポリシロキサンを十分に加水分解することが困難となる。一方、水の量が過剰であると、透光性層用組成物の保存中に加水分解等が生じ、ゲル化等が生じる可能性がある。
溶媒には、エチレングリコールや、プロピレングリコール等、沸点が150℃以上の有機溶媒を含むことも好ましい。沸点が150℃以上の有機溶媒を含むことで、透光性層用組成物の保存安定性を向上させたり、透光性層用組成物を塗布装置から安定して塗布できるという利点がある。一方、溶剤の沸点は250℃以下であることが好ましい。透光性層用組成物の乾燥性を高めることができるためである。
半導体内包粒子、透明セラミックバインダ前駆体及び溶媒等の混合順序は特に制限されない。透光性層用組成物の撹拌は、例えば、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機などを用いて行うことができる。撹拌条件を調整することで、半導体内包粒子の沈降等を抑制することができる。
透光性層用組成物の塗布方法は、特に制限はなく、ブレード塗布、スピンコート塗布、ディスペンサー塗布、スプレー塗布などが例示される。特に、スプレー塗布は薄い塗布膜を成膜しやすく、薄い透光性層を形成しやすいために好ましい。
また、透光性層用組成物の硬化方法や硬化条件は、バインダの種類により適宜選択する。例えば塗膜を100℃以上、好ましくは150〜300℃に加熱することで、ポリシロキサンもしくはアルコキシシランを乾燥・硬化させることが好ましい。加熱温度が100℃未満であると、アルコキシシラン等の脱水縮合時に生じる有機成分等を十分に除去できず、透光性層の耐光性等が低下する可能性がある。
透光性層の厚みは、透光性層の膜割れを防ぐ観点から20μm以下が好ましく、さらに15μm以下がさらに好ましい。透光性層の厚みは、透光性層をLEDチップ上に直接形成する場合には、LEDチップ上の透光性層の最大厚みを意味する。また透光性層をLEDチップ上に配置されたガラス上に成形する場合には、ガラス上の透光性層の最大厚みを意味する。層の厚みは、レーザホロゲージを用いて測定することができる。
3.封止樹脂層
例えば図3に示すように、透光性層2上に、封止樹脂層7を形成してもよい。
封止樹脂層7は、透明樹脂からなる層であり得る。透明樹脂は、例えば透明の熱硬化性樹脂とすることができる。具体的には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、特にシリコーン樹脂が好ましい。
封止樹脂層7の厚みは、通常25μm〜5mmとすることが好ましく、さらに1〜3mmとすることが好ましい。封止樹脂層7の厚みが上限値を超えると、放熱性が低下し、LED装置の発光効率低下を引き起こす。
4.その他
本発明のLED装置は、LEDチップ及び透光性層を有する装置であればよく、その他の構成は特に制限はない。例えばさらに他の光学部品(レンズなど)が設けられて各種光学部材として用いられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによって何ら制限を受けない。
<CdSe/ZnS半導体ナノ粒子(青色/緑色/赤色)の作製>
・CdSe/ZnS コア/シェル青色半導体ナノ粒子a−1の合成
Ar気流下、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)7.5gに、ステアリン酸2.9g、n−テトラデシルホスホン酸620mg、及び酸化カドミニウム250mgを加えた溶液を370℃まで加熱し、これらを混合した。この溶液を270℃まで放冷した後、トリブチルフォスフィン2.5mlにセレン200mgを溶解させた溶液を加え、20分間反応させた。その後、当該溶液を減圧乾燥し、TOPOで被覆したCdSeコア粒子を得た。
得られたCdSeコア粒子に、TOPO15gを加えて270℃まで加熱した。この溶液の温度を270℃に保持したまま、トリオクチルホスフィン10mlにジエチルジチオカルバミン酸亜鉛1.1gを溶解した溶液を加え、10分間反応させた。その後、室温まで冷却することで、発光ピーク波長が480nmである粒子a−1を含む溶液を得た。この溶液にアセトンを過剰量添加し、これを遠心分離して沈殿物を60℃30分乾燥し、粒子a−1を粉体として取り出した。
・CdSe/ZnS コア/シェル緑色半導体ナノ粒子a−2の合成
Ar気流下、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)7.5gに、ステアリン酸2.9g、n−テトラデシルホスホン酸620mg、及び酸化カドミニウム250mgを加えた溶液を370℃まで加熱し、これらを混合した。この溶液を270℃まで放冷した後、トリブチルフォスフィン2.5mlにセレン200mgを溶解させた溶液を加え、40分間反応させた。その後、当該溶液を減圧乾燥し、TOPOで被覆されたCdSeコア粒子を得た。
得られたCdSeコア粒子に、TOPO15gを加えて270℃まで加熱した。この溶液の温度を270℃に保持したまま、トリオクチルホスフィン10mlにジエチルジチオカルバミン酸亜鉛1.1gを溶解した溶液を加え、10分反応させた。その後、室温まで冷却することで、発光ピーク波長550nmの粒子a−2を含む溶液を得た。この溶液にアセトンを過剰量添加し、これを遠心分離して沈殿物を60℃30分乾燥し、粒子a−2を粉体として取り出した。
・CdSe/ZnS コア/シェル赤色半導体ナノ粒子a−3の合成
Ar気流下、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)7.5gに、ステアリン酸2.9g、n−テトラデシルホスホン酸620mg、及び酸化カドミニウム250mgを加えた溶液を、370℃まで加熱し、これらを混合した。この溶液を270℃まで放冷した後、トリブチルフォスフィン2.5mlにセレン200mgを溶解させた溶液を加え、60分反応させた。その後、当該溶液を減圧乾燥し、TOPOで被覆されたCdSeコア粒子を得た。
得られたCdSeコア粒子に、TOPO15gを加えて270℃まで加熱した。この溶液の温度を270℃に保持したまま、トリオクチルホスフィン10mlにジエチルジチオカルバミン酸亜鉛1.1gを溶解した溶液を加え、10分間反応させた。その後、室温まで冷却することで、発光ピーク波長650nmの粒子a−3を含む溶液を得た。この溶液にアセトンを過剰量添加し、これを遠心分離して沈殿物を60℃30分乾燥し、粒子a−3を粉体として取り出した。
(半導体内包粒子A1の作製)
粒子a−1、a−2、及びa−3を特定の比率で混合した。各粒子の配合比率は、混合物を波長365nmで励起した際、色度のx座標およびy座標の値がともに0.33となる比率とした。色度の測定は、分光放射輝度計(CS−1000A、コニカミノルタセンシング社製)で行った。
当該粒子の混合物を、濃度が約10−9mol/cmとなるようにエタノールで希釈し、5分間超音波分散処理を行って、半導体ナノ粒子含有溶液を得た。この半導体ナノ粒子含有溶液中の半導体ナノ粒子を、以下のゾル−ゲル法(ストーバー法)にて、被覆部材中に内包させた。
半導体ナノ粒子含有溶液0.3mLを、水1mL及びエタノール9mLの混合液に加え、5分間攪拌した。その後、テトラエトキシシラン(Si(OC0.1mLをさらに加えた。これを10分間激しく攪拌した後、25%アンモニア水溶液約0.6mLをさらに加え、pHを9に調整した。
このとき、珪素原子に対するエタノール、水、およびアンモニアのモル比率(a、rおよびb)は、a=350、r=180およびb=20であり、ストーバー法の条件を満たしていた。反応開始時、当該反応溶液は透明であったが、攪拌開始から15分後、半導体内包粒子の成長によって当該反応溶液は濁りを生じた。この状態でさらに1時間攪拌を続けて、反応を進行させた。反応終了後、半導体内包粒子A1を遠心分離により取り出し、水で3回洗い、最後にエタノールで洗った。
遠心分離によって除去した上澄み液及び洗浄液の吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを測定し、上澄み液及び洗浄液には、半導体ナノ粒子a−1、a−2、及びa−3のいずれも含まれていないことを確認した。すなわち、半導体ナノ粒子が、全て半導体内包粒子A1中に取り込まれたことが確認された。
得られた半導体内包粒子A1について、電子線照射による特性X線検出を行った。これにより、半導体内包粒子A1の中心から10%以内の空間領域に粒子a−1、a−2、及びa−3の80%以上が分布していることがわかった。さらに、半導体内包粒子A1を窒素雰囲気下、80℃で2時間加熱し、ゾル−ゲル反応をさらに進行させて、アルコールと水を脱離させた。これにより、網目構造が発達した高品質の半導体内包粒子A1を得ることができた。
得られた半導体内包粒子A1中の粒子a−1、a−2、及びa−3の濃度は、3×10−5mol/Lと見積もられた。
また、得られた半導体内包粒子A1の平均粒径は、約200nmであった。続いて、分級装置ターボクラシファイア(日清エンジニアリング社製)にて分級を行い、粒径のCV値が5%の半導体内包粒子A1−1、CV値が10%の半導体内包粒子A1−2、CV値が15%の半導体内包粒子A1−3を得た。
(半導体内包粒子A2の作製)
粒子a−1、a−2、及びa−3を特定の比率で混合した。各粒子の配合比率は、混合物を波長365nmで励起した際、色度のx座標およびy座標の値がともに0.33となる比率とした。色度の測定は、分光放射輝度計(CS−1000A、コニカミノルタセンシング社製)で行った。当該粒子の混合物を、濃度が約10−9mol/cmとなるようにクロロホルムで希釈し、5分間超音波分散処理を行って、半導体ナノ粒子含有溶液を得た。
続いて、上記半導体ナノ粒子含有溶液中に、市販のポリ(スチレン−コ−無水マレイン酸)のクメン法終了粉末(Aldrich社製)(又はその誘導体)を、当該粉末の濃度が4質量%となるように添加し、ポリマー溶液を得た。
市販のノズル(Ingeniatrics社製のAvant−1)に、当該ポリマー溶液をシリンジポンプ(World Precision Instruments社製のSPlOOI)にて1mL/hrの流量で導入した。この際、ポリマー溶液と併せて、集束流体(水)をデジタルギヤポンプ(Cole Parmer Instrument Company社製)にて、180mL/hrの流量で導入し、ポリマー溶液をビーズ状とした。ビーズ状のポリマーを水中で一晩攪拌して硬化させ、半導体内包粒子A2とした。硬化後の半導体内包粒子A2を、遠心分離により取り出した。
得られた半導体内包粒子A2の平均粒径は、約500nmであった。続いて、分級装置ターボクラシファイア(日清エンジニアリング社製)にて分級を行い、粒径のCV値が5%の半導体内包粒子A2−1、CV値が10%の半導体内包粒子A2−2、CV値が15%の半導体内包粒子A2−3を得た。
<InP/ZnS半導体ナノ粒子(青色/緑色/赤色)の作製>
・InP/ZnS コア/シェル 青色半導体ナノ粒子b−1の合成
ミリスチン酸インジウム0.1mmol、ステアリン酸0.1mmol、トリメチルシリルフォスフィン0.1mmol、ドデカンチオール0.1mmol、ウンデシレン酸亜鉛0.1mmolを、オクタデセン8mlとともに三口フラスコに入れた。これを窒素雰囲気下で還流を行いながら300℃で0.2時間加熱し、発光ピーク波長が450nmである粒子b−1を含む溶液を得た。この溶液にアセトンを過剰量添加し、これを遠心分離して沈殿物を60℃30分乾燥し、粒子b−1を粉体として取り出した。
・InP/ZnS コア/シェル 緑色半導体ナノ粒子b−2の合成
ミリスチン酸インジウム0.1mmol、ステアリン酸0.1mmol、トリメチルシリルフォスフィン0.1mmol、ドデカンチオール0.1mmol、ウンデシレン酸亜鉛0.1mmolを、オクタデセン8mlとともに三口フラスコに入れた。これを窒素雰囲気下で還流を行いながら300℃で0.4時間加熱し、発光ピーク波長550nmである粒子b−2を含む溶液を得た。この溶液にアセトンを過剰量添加し、これを遠心分離して沈殿物を60℃30分乾燥し、粒子b−2を粉体として取り出した。
・InP/ZnS コア/シェル 赤色半導体ナノ粒子b−3の合成
ミリスチン酸インジウム0.1mmol、ステアリン酸0.1mmol、トリメチルシリルフォスフィン0.1mmol、ドデカンチオール0.1mmol、ウンデシレン酸亜鉛0.1mmolを、オクタデセン8mlとともに三口フラスコに入れた。これを窒素雰囲気下で還流を行いながら300℃で1時間加熱し、発光ピーク波長620nmである粒子b−3を含む溶液を得た。この溶液にアセトンを過剰量添加し、これを遠心分離して沈殿物を60℃30分乾燥し、粒子b−3を粉体として取り出した。
<半導体内包粒子Bの作製>
前述の半導体内包粒子A1の作製手順と同様に、半導体内包粒子Bを作製した。具体的には、粒子a−1、a−2、及びa−3を、粒子b−1、b−2、及びb−3に変更して半導体内包粒子Bを作製し、分級装置ターボクラシファイア(日清エンジニアリング社製)にて分級を行い、粒径のCV値が10%の半導体内包粒子Bを得た。
<PbSe/PbS半導体ナノ粒子(青色/緑色/赤色)の作製>
・PbSe/PbS コア/シェル 青色半導体ナノ粒子c−1の合成
以下の反応は、全てAr雰囲気下で行った。凝結器、磁気撹拌器、熱電対および加熱マントルを備える三つ口フラスコに、PbO 0.023g(0.1mmol)と、オレイン酸(OA) 300μLとを添加し、さらにこの溶液の総体積が1mLになるまで、オクタデセン(ODE)を添加した。この混合液が無色になるまで150℃で加熱した。さらに当該混合物を180℃まで加熱し、Pb前駆体溶液を調製した。
セレニウム 0.00789g(0.1mmol)を0.11mlのトリオクチルフォスフィン(TOP)と混合し、当該混合液を前記の180℃のPb前駆体溶液中に迅速に注入した。これを0.2時間撹拌し、コアとなるPbSeナノ粒子の結晶を成長させた。次いで、溶液の温度を150℃まで下げ、結晶成長を停止させることでPbSeナノ結晶を含む溶液を得た。
さらに、上述と同様に、Pb前駆体溶液を調製した。このPb前駆体と、0.0032gの硫黄と、0.11mlのトリオクチルフォスフィン(TOP)とを室温で混合し、PbSシェル原液を調製した。続いて、シェル原液を230℃に加熱したPbSeナノ結晶を含む溶液中に注入し、170℃まで温度を降下させて10分間撹拌した。その後、反応フラスコを、195〜210℃まで30分間再加熱し、発光ピーク波長450nmの粒子c−1を含む溶液を得た。この溶液にアセトンを過剰量添加し、これを遠心分離して沈殿物を60℃30分乾燥し、粒子c−1を粉体として取り出した。
・PbSe/PbS コア/シェル 緑色半導体ナノ粒子c−2の合成
以下の反応は、全てAr雰囲気下で行った。凝結器、磁気撹拌器、熱電対および加熱マントルを備える三つ口フラスコに、PbO 0.023g(0.1mmol)と、オレイン酸(OA)300μlとを添加し、さらにこの溶液の総体積が1mLになるまで、オクタデセン(ODE)を添加した。この混合液が無色になるまで150℃で加熱した。さらに当該混合物を180℃まで加熱し、Pb前駆体溶液を調製した。
セレニウム 0.00789g(0.1mmol)を0.11mlのトリオクチルフォスフィン(TOP)と混合し、当該混合液を前記の180℃のPb前駆体溶液中に迅速に注入した。これを0.4時間撹拌し、コアとなるPbSeナノ粒子の結晶を成長させた。次いで、溶液の温度を150℃まで下げ、結晶成長を停止させることでPbSeナノ結晶を含む溶液を得た。
さらに、上述と同様に、Pb前駆体溶液を調製した。このPb前駆体と、0.0032gの硫黄と、0.11mlのトリオクチルフォスフィン(TOP)とを室温で混合し、PbSシェル原液を調製した。続いて、シェル原液を230℃に加熱したPbSeナノ結晶を含む溶液中に注入し、170℃まで温度を降下させて10分間撹拌した。その後、反応フラスコを、195〜210℃まで30分間再加熱し、発光ピーク波長550nmの粒子c−2を含む溶液を得た。この溶液にアセトンを過剰量添加し、これを遠心分離して沈殿物を60℃30分乾燥し、粒子c−2を粉体として取り出した。
・PbSe/PbS コア/シェル 青色半導体ナノ粒子c−3の合成
以下の反応は、全てAr雰囲気下で行った。凝結器、磁気撹拌器、熱電対および加熱マントルを備える三つ口フラスコに、PbO 0.023g(0.1mmol)と、オレイン酸(OA) 300μLとを添加し、さらにこの溶液の総体積が1mLになるまで、オクタデセン(ODE)を添加した。この混合液が無色になるまで150℃で加熱した。さらに当該混合物を180℃まで加熱し、Pb前駆体溶液を調製した。
セレニウム 0.00789g(0.1mmol)を0.11mlのトリオクチルフォスフィン(TOP)と混合し、当該混合液を前記の180℃のPb前駆体溶液中に迅速に注入した。これを1時間撹拌し、コアとなるPbSeナノ粒子の結晶を成長させた。次いで、溶液の温度を150℃まで下げ、結晶成長を停止させることでPbSeナノ結晶を含む溶液を得た。
さらに、上述と同様に、Pb前駆体溶液を調製した。このPb前駆体と、0.0032gの硫黄と、0.11mlのトリオクチルフォスフィン(TOP)とを室温で混合し、PbSシェル原液を調製した。続いて、シェル原液を230℃に加熱したPbSeナノ結晶を含む溶液中に注入し、170℃まで温度を降下させて10分間撹拌した。その後、反応フラスコを、195〜210℃まで30分間再加熱し、発光ピーク波長620nmの粒子c−3を含む溶液を得た。この溶液にアセトンを過剰量添加し、これを遠心分離して沈殿物を60℃30分乾燥し、粒子c−3を粉体として取り出した。
<半導体内包粒子Cの作製>
前述の半導体内包粒子A1の作製手順と同様に、半導体内包粒子Cを作製した。具体的には、粒子a−1、a−2、及びa−3を、粒子c−1、c−2、及びc−3に変更して半導体内包粒子Cを作製し、分級装置ターボクラシファイア(日清エンジニアリング社製)にて分級を行い、粒径のCV値が10%の半導体内包粒子Cを得た。
<Si/SiO半導体ナノ粒子(青色/緑色/赤色)の作製>
・Si/SiO コア/シェル 青色半導体ナノ粒子d−1の合成
真空チャンバー内にArガスを0.5Pa導入し、高周波コントローラ200Wによりイオン化されたArガスイオンをSiチップと石英ガラスからなるターゲット材料(Si/SiO=15%)に衝突させた。これらから放出された原子及び分子を半導体基板上に堆積し、酸化ケイ素膜内にSi原子が混ざった膜を形成した。
得られた膜(Si原子を含有する酸化ケイ素膜)をAr雰囲気中で1100℃まで急速に昇温して20分間熱処理し、膜中のSi原子を移動させて、ナノサイズのSi原子凝集体を形成した。続いて、前記ナノサイズのSi原子凝集体を含む酸化ケイ素膜をフッ化水素蒸気に5分間晒し、表面処理を行った。さらに、フッ化水素処理後のSi原子凝集体含有酸化ケイ素膜を300℃で1時間加熱した。当該Si原子凝集体含有酸化ケイ素膜をエタノール中に浸漬して10分間の超音波処理を行い、発光ピーク波長450nmのSi/SiO分散液を得た。この溶液にアセトンを過剰量添加し、これを遠心分離して沈殿物を60℃30分乾燥し、粒子d−1を粉体として取り出した。
・Si/SiO コア/シェル 緑色半導体ナノ粒子d−2の合成
真空チャンバー内にArガスを0.5Pa導入し、高周波コントローラ200Wによりイオン化されたArガスイオンをSiチップと石英ガラスからなるターゲット材料(Si/SiO=15%)に衝突させた。これらから放出された原子及び分子を半導体基板上に堆積し、酸化ケイ素膜内にSi原子が混ざった膜を形成した。
得られた膜(Si原子を含有する酸化ケイ素膜)をAr雰囲気中で1100℃まで急速に昇温して40分間熱処理し、膜中のSi原子を移動させて、ナノサイズのSi原子凝集体を形成した。続いて、前記ナノサイズのSi原子凝集体を含む酸化ケイ素膜をフッ化水素蒸気に5分間晒し、表面処理を行った。さらに、フッ化水素処理後のSi原子凝集体含有酸化ケイ素膜を300℃で1時間加熱した。当該Si原子凝集体含有酸化ケイ素膜をエタノール中に浸漬して10分間の超音波処理を行い、発光ピーク波長550nmのSi/SiO分散液を得た。この溶液にアセトンを過剰量添加し、これを遠心分離して沈殿物を60℃30分乾燥し、粒子d−2を粉体として取り出した。
・Si/SiO コア/シェル 赤色半導体ナノ粒子d−3の合成
真空チャンバー内にArガスを0.5Pa導入し、高周波コントローラ200Wによりイオン化されたArガスイオンをSiチップと石英ガラスからなるターゲット材料(Si/SiO=15%)に衝突させた。これらから放出された原子及び分子を半導体基板上に堆積し、酸化ケイ素膜内にSi原子が混ざった膜を形成した。
得られた膜(Si原子を含有する酸化ケイ素膜)をAr雰囲気中で1100℃まで急速に昇温して60分間熱処理し、膜中のSi原子を移動させて、ナノサイズのSi原子凝集体を形成した。続いて、前記ナノサイズのSi原子凝集体を含む酸化ケイ素膜をフッ化水素蒸気に5分間晒し、表面処理を行った。さらに、フッ化水素処理後のSi原子凝集体含有酸化ケイ素膜を300℃で1時間加熱した。当該Si原子凝集体含有酸化ケイ素膜をエタノール中に浸漬して10分間の超音波処理を行い、発光ピーク波長620nmのSi/SiO分散液を得た。この溶液にアセトンを過剰量添加し、これを遠心分離して沈殿物を60℃30分乾燥し、粒子d−3を粉体として取り出した。
<半導体内包粒子Dの作製>
前述の半導体内包粒子A1の作製手順と同様に、半導体内包粒子Dを作製した。具体的には、粒子a−1、a−2、及びa−3を、粒子d−1、d−2、及びd−3に変更して半導体内包粒子Dを作製し、分級装置ターボクラシファイア(日清エンジニアリング社製)にて分級を行い、粒径のCV値が10%の半導体内包粒子Dを得た。
<透明セラミックバインダ前駆体の調製>
・透明セラミックバインダ前駆体1の調製
ジメトキシジメチルシラン22.4g、メチルトリメトキシシラン50.0g、メタノール40.0g、及びアセトン40.0gを混合し、撹拌した。さらに、水54.6g、60%硝酸水溶液4.7μLを加え、さらに3時間撹拌した。その後、26℃で2日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサン固形分値が10%となるようにメタノールで希釈した。2官能アルコキシシランと、3官能アルコキシシランとの重合比が、4:6であり、かつpHが4の透明セラミックバインダ前駆体1を得た。
・透明セラミックバインダ前駆体2の調製
前述の透明セラミックバインダ前駆体1 20gに、Tiアルコキシド(TA25;松本ファインケミカル社製)を0.50g混合・撹拌して透明セラミックバインダ前駆体2とした。透明セラミックバインダ前駆体2中のシラン原子の数に対する、チタン原子の数は、0.05倍量であった。
・透明セラミックバインダ前駆体3の調製
前述の透明セラミックバインダ前駆体1 20gに、Zrキレート(ZC580;松本ファインケミカル社製)を0.57g混合・撹拌して、透明セラミックバインダ前駆体3とした。透明セラミックバインダ前駆体3中のシラン原子の数に対する、ジルコニウム原子の数は、0.05倍量であった。
[発光装置(LED装置1−1〜1−21)の製造方法]
下記に図1に示す構成を有する発光装置(LED装置1−1〜1−21)の製造方法を示す。
<実施例1>
平板状のパッケージの中央に、1つのLEDチップ(直方体状;200μm×300μm×100μm;発光波長 365nm)をフリップチップ実装し、そのLEDチップ上にガラス基板(200μm×300μm×500μm)を配置したLEDチップ実装パッケージを準備した。
透明セラミックバインダ前駆体1に、半導体内包粒子A1−1を0.05g添加し、スターラーで2時間攪拌し、透光性層用組成物とした。当該透光性層用組成物を、上記ガラス基板を覆うように塗布し、150℃で1時間焼成してLED装置1−1を得た。焼成後の透光性層の厚みは10μmとした。
<実施例2>
透明セラミックバインダ前駆体1を、透明セラミックバインダ前駆体2に変更した以外は、実施例1と同様にLED装置1−2を得た。
<実施例3>
透明セラミックバインダ前駆体1を、透明セラミックバインダ前駆体3に変更した以外は、実施例1と同様にLED装置1−3を得た。
<実施例4>
半導体内包粒子A1−1を、半導体内包粒子A2−1に変更した以外は、実施例1と同様にLED装置1−4を得た。
<実施例5>
透明セラミックバインダ前駆体1を、透明セラミックバインダ前駆体2に変更した以外は、実施例4と同様にLED装置1−5を得た。
<実施例6>
透明セラミックバインダ前駆体1を、透明セラミックバインダ前駆体3に変更した以外は、実施例4と同様にLED装置1−6を得た。
<実施例7>
半導体内包粒子A1−1を、半導体内包粒子A1−2に変更した以外は、実施例1と同様にLED装置1−7を得た。
<実施例8>
透明セラミックバインダ前駆体1を、透明セラミックバインダ前駆体2に変更した以外は、実施例7と同様にLED装置1−8を得た。
<実施例9>
透明セラミックバインダ前駆体1を、透明セラミックバインダ前駆体3に変更した以外は、実施例7と同様にLED装置1−9を得た。
<実施例10>
半導体内包粒子A1−2を、半導体内包粒子A2−2に変更した以外は、実施例1と同様にLED装置1−10を得た。
<実施例11>
透明セラミックバインダ前駆体1を、透明セラミックバインダ前駆体2に変更した以外は、実施例10と同様にLED装置1−11を得た。
<実施例12>
透明セラミックバインダ前駆体1を、透明セラミックバインダ前駆体3に変更した以外は、実施例10と同様にLED装置1−12を得た。
<比較例1>
半導体内包粒子A1−1を、半導体内包粒子A1−3に変更した以外は、実施例1と同様にLED装置1−13を得た。
<比較例2>
透明セラミックバインダ前駆体1を、透明セラミックバインダ前駆体2に変更した以外は、比較例1と同様にLED装置1−14を得た。
<比較例3>
透明セラミックバインダ前駆体1を、透明セラミックバインダ前駆体3に変更した以外は、比較例1と同様にLED装置1−15を得た。
<比較例4>
半導体内包粒子A1−3を、半導体内包粒子A2−3に変更した以外は、比較例1と同様にLED装置1−16を得た。
<比較例5>
透明セラミックバインダ前駆体1を、透明セラミックバインダ前駆体2に変更した以外は、比較例4と同様にLED装置1−17を得た。
<比較例6>
透明セラミックバインダ前駆体1を、透明セラミックバインダ前駆体3に変更した以外は、比較例4と同様にLED装置1−18を得た。
以下に、実施例1〜12、及び比較例1〜6のLED装置の演色性、クラック耐性、密着性、耐光性、及び光取り出し性の評価結果を示す。
各実施例及び比較例の評価は、以下のように行った。
<クラック耐性評価>
LED装置の透光性層を作製後、透光性をSEM(VE7800、Keyence社製)にて外観観察した。拡大倍率は1000倍とし、観察範囲は1mmとした。評価基準は、以下の通りとした。
・塗膜に10μm以上の長さの亀裂が無い:○
・塗膜に10μm以上の長さの亀裂が1本以上5本以下有る:△
・塗膜に10μm以上の長さの亀裂が5本より多く有る:×
<演色性評価>
各実施例及び比較例のLED装置を、それぞれ5サンプルずつ作製した。これらのLED装置の発光色度を、分光放射輝度計(CS−1000A、コニカミノルタセンシング社製)にて測定し、5つの測定値から標準偏差を算出して、色度の均一性を評価した。評価は標準偏差の平均値で行った。また、評価の指標として、標準偏差が0.02以下であれば色度のバラツキにおいて実用上問題がないものとした。具体的には下記のように評価した。
・標準偏差の平均値が0.01以下である:○
・標準偏差の平均値が0.01より大きく、0.02以下である:△
・標準偏差の平均値が0.02より大きい:×
<ヒートショック(HS)試験後密着性評価>
実施例及び比較例で作製したLED装置について、ヒートショック試験器(TSA−42EL;エスペック社製)を用い、ヒートショック試験を行った。試験は、LED装置を100℃にて30分保存後、−40℃にて30分保存する工程を1サイクルとし、これを繰返し行った。試験後のサンプルに電流を流して、点灯するかを確認した。不点灯は、LEDチップと透光性層との界面剥離によって生じる。LEDチップと透光性層との密着性を、下記の基準で評価した。
・2500サイクル実施後にも点灯:◎
・2000サイクル実施後には点灯するが、2500サイクル未満で不点灯発生:○
・1500サイクル実施後には点灯するが、2000サイクル未満で不点灯発生:△
・1500サイクル未満で不点灯発生:×
<耐光性評価>
透光性層用組成物を、スライドガラス上に塗布し、150℃で1時間焼成し、透光性層を得た。焼成後の厚みは、10μmとした。この透光性層を、メタルハライドランプ耐光性試験機(M6T、スガ試験機社製)にて150mWで光を100時間照射した。耐光性試験器による処理前後の透光性層について、波長300nm〜500nmの光に対する透過率を測定し、処理前のサンプルの平均透過率に対する処理後のサンプルの平均透過率の低下率を、以下の基準で評価した。
・平均透過率の低下率が1.0%未満:○
・平均透過率の低下が1.0%以上、1.5%未満:△
・平均透過率の低下率が1.5%以上:×
<光取り出し性評価>
比較用LED装置を作製し、この比較用LED装置が発する全光束値と、各LED装置が発する全光束値とを比較し、評価した。
比較用LED装置は、透明セラミックバインダ前駆体を、シリコーン樹脂OE6630(東レダウ社製)に替えた以外は、実施例1のLED装置1−1と同様に作製した。評価は以下のように行った。
・全光束値が、比較用LED装置より5%以上高い:◎
・全光束値が、比較用LED装置より3%以上5%未満高い:○
・全光束値が、比較用LED装置より0%以上3%未満高い:△
・全光束値が、比較用LED装置より低い:×
Figure 2013161862
表1に示すように、半導体内包粒子のCV値が10%以下である場合(実施例1〜12)には、半導体内包粒子の被覆部材の種類や、透光性層の透明セラミックバインダの種類にかかわらず、演色性や耐クラック性が優れた。一方、半導体内包粒子のCV値が15%である場合(比較例1〜6)には、演色性や耐クラック性が低かった。これは、半導体内包粒子が、透光性層内で不均一に分散していることに起因すると推察される。
また、半導体内包粒子の被覆部材をケイ素酸化物とした場合(実施例1〜3、及び7〜9)には、被覆部材をスチレンとした場合(実施例4〜6、及び10〜12)と比較して耐光性が優れた。これは、半導体内包粒子の被覆部材をケイ素酸化物とすることで、被覆部材が光によって劣化しなかったためと推察される。
また、透明セラミックバインダが、チタン酸化物またはジルコニア酸化物を含む場合(実施例2、3、5、6等)には、LEDチップと透光性層との密着性が優れた。これは、チタンやジルコニアが、LEDチップ表面の水酸基や、透光性層中のポリシロキサンと強固なメタロキサン結合を形成したためと推察される。
さらに、透明セラミックバインダに、ジルコニア酸化物を含む場合(実施例3、6、9、及び12)では、光取り出し性が特に優れた。ジルコニウム酸化物は、LEDチップの発光波長域(波長365nm近傍)に吸収波長を有さない。したがって、LEDチップからの光を透光性層が十分に透過させたためと推察される。また、透光性層がジルコニウム酸化物を含むことで、透光性層の屈折率が、LEDチップ表面の屈折率と近くなる。これにより、透光性層とLEDチップとの界面での反射が抑制されたことも、一因として挙げられる。
<実施例13>
半導体内包粒子A−1を、半導体内包粒子Bに変更した以外は、実施例9と同様にLED装置1−19を得た。
<実施例14>
半導体内包粒子A−1を、半導体内包粒子Cに変更した以外は、実施例9と同様にLED装置1−20を得た。
<実施例15>
半導体内包粒子A−1を、半導体内包粒子Dに変更した以外は、実施例9と同様にLED装置1−21を得た。
以下に、実施例9、及び13〜15のLED装置の演色性、クラック耐性、密着性、耐光性、及び光取り出し性の評価結果を示す。
Figure 2013161862
表2に示すように、実施例9、及び13〜15では、半導体内包粒子が内包する半導体ナノ粒子の種類に関わらず、いずれも演色性に優れ、かつクラック耐性に優れた。また、その密着性及び光取り出し性は、非常に良好であった。
[発光装置(LED装置2−1〜2−21)の製造方法]
下記に図2に示す構成を有する発光装置(LED装置2−1〜2−21)の製造方法を示す。
<実施例16〜30、及び比較例7〜12>
図2に示す構成の、凹部を有するパッケージ3(LED基板)を有する発光素子(LEDチップ)を準備した。具体的には、円形パッケージ(開口径3mm,底面直径2mm、壁面角度60°)の収容部の中央に、1つの青色LEDチップ(直方体状;200μm×300μm×100μm)をフリップチップ実装した、LEDチップ実装パッケージを用意した。当該LEDチップ実装パッケージ上に、前述のLED装置1−1〜1−21とそれぞれ同様の透光性層を形成し、LED装置2−1〜2−21を得た。
以下の表3及び表4に、実施例16〜30、及び比較例7〜12のLED装置の演色性、クラック耐性、密着性、耐光性、及び光取り出し性の評価結果を示す。
Figure 2013161862
Figure 2013161862
上記表3及び表4に示すように、LED装置を図2に示す構成とした場合にも、図1に示す構成とした場合と同様の結果が得られた。
[発光装置(LED装置3−1〜3−21)の製造方法]
下記に図3に示す構成を有する発光装置(LED装置3−1〜3−21)の製造方法を示す。
<実施例31〜45、及び比較例13〜18>
図3に示す構成の、凹部を有するパッケージ(LED基板)を有する発光素子(LEDチップ)を準備した。具体的には、円形パッケージ(開口径3mm,底面直径2mm、壁面角度60°)の収容部の中央に、1つの青色LEDチップ(直方体状;200μm×300μm×100μm)をフリップチップ実装した、LEDチップ実装パッケージを用意した。
当該LEDチップ実装パッケージ上に、前述のLED装置1−1〜1−21とそれぞれ同様の透光性層を形成した。
その後、透光性層上にシリコーン樹脂(OE6630、東レダウ社製)をディスペンサーにより滴下し、150℃、1時間焼成することで封止樹脂層7を形成し、LED装置3−1〜3−21を作製した。封止樹脂層7の厚みは、2.5mmとした。
Figure 2013161862
Figure 2013161862
上記表5及び表6に示すように、LED装置を図3に示す構成とした場合にも、図1に示す構成とした場合と同様の結果が得られた。ただし、表5及び表6に示すように、封止樹脂層7を有することで、封止樹脂層7を有さないLED装置(実施例1〜30)と比較して、光取り出し性が向上した。これは透光性層2と封止樹脂層7との屈折率が、透光性層2と大気との屈折率より小さいことに起因する。すなわち、図2に示す構成のLED装置では、透光性層2と大気との屈折率差が大きいため、透光性層2と大気との界面で反射が生じやすい。一方、図3に示す封止樹脂層7を有するLED装置100では、透光性層2と封止樹脂層7との屈折率差が小さいため、透光性層2と封止樹脂層7との界面での反射が少ない。また透光性層7に光が斜めに入射したとしても、パッケージ3の側壁がリフレクタとして機能し、この光を外部に取り出すことができる。したがって、図3に示す構成のLED装置100では、光取り出し効率が向上した。
本発明のLED装置は、高い演色性を示し、かつ劣化が少ない。したがって、屋内、屋外の照明装置等にいずれも適用可能である。
1 LEDチップ
2 透光性層
3 パッケージ
4 メタル部
5 突起電極
6 ガラス基板
7 封止樹脂層
100 LED装置

Claims (7)

  1. LEDチップと、
    前記LEDチップを被覆するように形成された透光性層と
    を有するLED装置であって、
    前記透光性層は、発する蛍光の波長が異なる2種以上の半導体ナノ粒子が被覆部材に内包された半導体内包粒子、及び透明セラミックバインダを含み、
    前記半導体内包粒子の粒径の変動係数が10%以下である、LED装置。
  2. 前記被覆部材が、透明セラミックからなる、請求項1に記載のLED装置。
  3. 前記被覆部材が透明セラミックからなり、前記半導体内包粒子の平均粒径が20〜200nmである、請求項2に記載のLED装置。
  4. 前記透明セラミックバインダが、ケイ素酸化物、チタン酸化物、及びジルコニウム酸化物からなる群から選択される1種を含む、請求項1に記載のLED装置。
  5. 前記半導体ナノ粒子が、InP、CdSe、ZnSeからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載のLED装置。
  6. 前記透光性層上に、封止樹脂層を含有する、請求項1に記載のLED装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のLED装置の製造方法であって、
    LEDチップを準備する工程と、
    前記半導体内包粒子及び透明セラミックバインダ前駆体を含む透光性層用組成物を前記LEDチップ上に塗布し、ゾルゲル法で透光性を形成する工程と
    を有する、LED装置の製造方法。


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