JP2013160716A - 流量計および流量計の診断方法 - Google Patents

流量計および流量計の診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】機器を取り外すことなく、流量計の変換器、検出器に故障を生じているか否かの診断を行うことを目的とする。
【解決手段】本発明の流量計1は、流路を流れる流量を検出し、検出した流量をセンサ信号として出力する検出器2と、センサ信号に対して信号処理を行って流量を演算する演算部14を有する変換器3と、変換器3の診断を行うための基準信号の波形を発生して出力する波形発生部17と、基準信号が演算部14に入力されたときに、演算部14が演算した演算結果に基づいて、変換器3が故障しているか否かを診断する診断部19と、を備えたことを特徴としている。これにより、機器の取り外しを行うことなく、故障診断を行うことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は流路を流れる流体の流量を測定する流量計およびその診断方法に関するものである。
流量計は、流路を流れる流体の流量を測定するために用いられる。流量計としては、コリオリ質量流量計や渦流量計、電磁流量計等がある。一般的に、流量計は検出器と変換器とを有して構成している。検出器は流体の流量を検出してセンサ信号を出力し、変換器にセンサ信号が入力される。変換器はセンサ信号に基づいて、所定の演算を行うことにより流量演算を行う。
この種の流量計としてコリオリ質量流量計が特許文献1に開示されている。図4は、コリオリ質量流量計の一例を示している。コリオリ質量流量計101は検出器102と変換器103とを有して構成している。検出器102は駆動部104と検出部105とを備えて構成している。駆動部104は流体が流れる流路(チューブ等)を加振する。
検出部105は流路の上流側に配置された第1コイルおよび下流側に配置された第2コイルを設けており、流路の振動を検出する。第1コイルが検出した信号は第1センサ信号S1として、第2コイルが検出した信号は第2センサ信号S2として出力される。また、検出部105は、測温抵抗体(RTD:Resistance Temperature Detector)を有しており、流体の温度を検出する。そして、検出した温度を温度信号TEMPとして出力する。
変換器103は検出器102と種々の信号を授受可能に接続している。この変換器103は検出器駆動部106と増幅部107と位相差ADC108と演算部109と温度ADC110とを備えて構成している。検出器駆動部106は検出器102の駆動部104に対して駆動信号DRVを出力する。この駆動信号DRVに基づいて、駆動部104は流路を加振する。
増幅部107は所定の増幅率で第1センサ信号S1および第2センサ信号S2を増幅する。位相差ADC108は増幅された第1センサ信号S1および第2センサ信号S2をアナログ信号からデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された第1センサ信号S1および第2センサ信号S2は演算部109に入力される。
演算部109はデジタル信号の第1センサ信号S1と第2センサ信号とに対して所定の演算を行う。第1センサ信号S1と第2センサ信号S2とは位相を示しており、両信号から位相差を演算する。この位相差に基づいて、流路を流れる流体の流量を演算することができる。従って、演算部109はこれらの流量演算を行って、流体の流量を得る。
温度ADC110は検出器102の検出部105から温度信号TEMPを入力して、温度信号TEMPをアナログ信号からデジタル信号に変換する。変換後の温度信号TEMPは演算部109に入力される。この温度信号TEMPは、演算部109が流量演算を行うときに、温度変動の測定誤差を補正するために用いられる。
特開2011−137771号公報
ところで、コリオリ質量流量計101は過酷な環境下で運用されていることが多く、不具合(故障)を発生することがある。コリオリ質量流量計101に故障が発生すると、正確な流量測定を行うことができない。例えば、コリオリ質量流量計101に故障が発生すると、流路を流れる流量の値とは異なる異常な値が演算結果として得られる場合がある。
コリオリ質量流量計101は検出器102と変換器103とを有して構成しており、検出器102を構成するコイルや変換器103を構成する電気回路や電子部品等に故障を生じることがある。そこで、検出器102や変換器103の健全性、つまり故障を生じているか否かの診断を行うことは重要である。ただし、故障を生じたときに、検出器102と変換器103との何れに故障を生じたかを特定することは難しい。
故障発生時、例えば演算結果が異常な値となったときに、故障診断を行う。この診断は正常な機器を接続して行う。つまり、検出器102と変換器103とを物理的に切り離して、正常に動作を行う検出器や変換器を用いて診断を行う。検出器102の診断を行うときには、正常に動作を行う変換器を接続する。従って、検出器102と正常な変換器とが接続された状態になる。この状態で診断を行ったときにも異常な演算結果が得られれば、検出器102に故障を生じていると診断される。
一方、故障発生時に、変換器103の診断を行うときには、正常に動作を行う検出器を接続する。従って、正常に動作を行う検出器と変換器103とが接続された状態になる。この状態で診断を行ったときにも異常な演算結果が得られれば、変換器103に故障を生じていると診断される。
従って、前記の故障診断を行うときには、正常に動作を行う変換器や検出器(機器)を持ち込んで行う必要がある。このときには、変換器103と検出器102とを物理的に切り離して、正常に動作を行う機器に接続することから、この診断を行っている間は稼働中のラインを停止しなければならず、流量測定を行うことができない。
また、機器の取り外しおよび接続といった作業を要することから、煩雑な作業が発生し、これが損失コストとなる。また、正常に動作をする機器をコリオリ質量流量計101が設置されている現場に持ち込んで、接続を行う必要があることから、その作業は困難になる。例えば、コリオリ質量流量計101が高所に取り付けられているような場合には、非常に困難な作業を要することになる。さらには、このような現場において電源を供給することも難しい。
そこで、本発明は、機器を取り外すことなく、流量計の変換器、検出器に故障を生じているか否かの診断を行うことを目的とする。
以上の課題を解決するため、本発明の流量計は、流路を流れる流量を検出し、検出した流量をセンサ信号として出力する検出器と、前記センサ信号に対して信号処理を行って前記流量を演算する演算部を有する変換器と、この変換器の診断を行うための基準信号の波形を発生して出力する波形発生部と、前記基準信号が前記演算部に入力されたときに、前記演算部が演算した演算結果に基づいて、前記変換器が故障しているか否かを診断する診断部と、を備えたことを特徴とする。
この流量計によれば、波形発生部を内蔵しており、この波形発生部からの基準信号を診断部に入力させることで、機器の取り外しを行うことなく、流量測定を行うことおよび変換器が故障しているか否かを診断することができる。
また、前記変換器は、前記センサ信号と前記基準信号との何れかを選択的に切り替える切替部を備えていることを特徴とする。
変換器に切替部を設けて、センサ信号と基準信号とのうち何れかを選択して診断部に入力させることで、機器の取り外しを行うことなく、変換器が故障しているか否かを診断することができる。
また、前記切替部は、一定時間ごとに微小時間だけ前記基準信号が選択されるように切り替えを行い、その他の時間は前記センサ信号が選択されるように切り替えを行うことを特徴とする。
切替部が一定時間ごとに基準信号を選択するように制御することで、定期的に変換器の故障診断を行うことができる。診断時間は微小時間であるため、流量測定を中断する時間を短くして、定期的な故障診断を行うことができる。
また、前記切替部は、前記変換器に備えられる回路の前段に設けられる第1切替部と前記回路の後段に設けられる第2切替部とを有し、前記診断部は、前記第1切替部が前記基準信号を選択して、この基準信号が前記回路に入力されたときの前記演算部の演算結果が異常であり、且つ前記第2切替部が前記基準信号を選択して、この基準信号が前記回路に入力されないときの前記演算部の演算結果が正常であるときに、前記回路が故障していると診断することを特徴とする。
変換器には各種の回路が設けられており、このうちの1つの回路に故障を生じたときに変換器が故障となる。このときに、第1切替部と第2切替部とを回路の前後に設けることで、変換器が故障しているということだけでなく、変換器の中の回路について個別的に故障診断を行うことができる。
また、前記検出器からの前記センサ信号に対して前記波形発生部からの前記基準信号を重畳させる重畳部と、前記センサ信号に重畳された前記基準信号を復元する復元部と、を備え、前記演算部には前記センサ信号が入力され、前記診断部には復元された前記基準信号が入力されることを特徴とする。
センサ信号に基準信号を重畳させて、重畳した基準信号を復元させることで、演算部にセンサ信号を入力させ、診断部に基準信号を入力させることができる。これにより、流量測定を中断することなく、変換器に故障を生じているか否かの診断を行うことができる。
また、本発明の流量計は、流路を流れる流量を検出し、検出した流量をセンサ信号として出力する検出部および駆動部を備える検出器と、前記センサ信号に対して信号処理を行って前記流量を演算する演算部を有する変換器と、前記検出器の診断を行うために前記駆動部を駆動させるための駆動信号の基準となる基準信号の波形を発生して出力する波形発生部と、前記基準信号により前記駆動部が駆動されたときに前記検出部が検出する前記センサ信号が前記演算部に入力されたときに、この演算部が演算した演算結果に基づいて、前記検出器が故障しているか否かを診断する診断部と、を備えたことを特徴とする。
この流量計によれば、波形発生部から駆動部に対して基準信号を入力している。そして、検出部から出力されるセンサ信号に基づいて演算部が演算を行うことで、検出器が故障しているか否かを診断することができる。
また、本発明の流量計の診断方法は、流路を流れる流量を検出し、検出した流量をセンサ信号として出力する検出部および駆動部を有する検出器と、前記センサ信号に対して信号処理を行って前記流量を演算する演算部を有する変換器と、を備える流量計の故障を診断する流量計の診断方法であって、前記診断を行うための基準信号が前記演算部に入力されたときに、前記演算部が演算した演算結果に基づいて、前記変換器が故障しているか否かを診断し、前記基準信号を前記駆動部に入力したときに前記検出部が検出する前記センサ信号が前記演算部に入力されたときに、この演算部が演算した演算結果に基づいて、前記検出器が故障しているか否かを診断することを特徴とする。
この流量計の診断方法によれば、変換器の故障診断と検出器の故障診断とを行うことにより、変換器と検出器との何れに故障を生じているかを特定することができる。
本発明は、波形発生部からの基準信号を診断部に入力させることで、変換器が故障しているか否かを診断することができる。また、基準信号により駆動部を駆動させて、センサ信号を入力することで、検出器が故障しているか否かを診断することができる。これにより、機器の取り外しを要することがなくなり、ラインを停止させることなく、また正常な機器を必要とすることなく、変換器の故障診断を行うことが可能になる。
実施形態の流量計を示す構成図である。 第1変形例の流量計を示す構成図である。 第2変形例の流量計を示す構成図である。 従来の流量計を示す構成図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下において、流量計としてコリオリ質量流量計を例示して説明するが、コリオリ質量流量計以外の流量計に適用することもできる。例えば、渦流量計や電磁流量計に適用することもできる。また、各図で説明するコリオリ質量流量計は一例であり、他の構成を採用するコリオリ質量流量計を適用することもできる。
図1はコリオリ質量流量計1を示している。このコリオリ質量流量計1は検出器2と変換器3とを備えて構成している。検出器2は駆動部4と検出部5とを備えて構成している。検出器2は配管やチューブ等の流路を流れる流体の流量を検出するために設けられている。
駆動部4は流路を加振する。駆動部4が流路を加振することで、流路は振動する。駆動部4としては例えばコイル(ドライブコイル)を適用することができる。図1にも示すように、駆動部4には駆動信号DRVが入力されており、この駆動信号DRVに基づいて、流路(チューブ等)を加振して振動を誘起する。
検出部5は図示しない各種の検出センサを設けている。まず、流路の上流側に配置された第1センサが流路の振動を検出する。この検出した振動は第1センサ信号S1として出力される。そして、流路の下流側に配置された第2センサが流路の振動を検出する。この検出した信号は第2センサ信号S2として出力される。第1センサおよび第2センサとしては、通常はコイルが用いられる。
また、検出部5には温度センサが設けられている。この温度センサとしては、例えば測温抵抗体(RTD:Resistance Temperature Detector)を用いることができる。温度センサは流路を流れる流体の温度を検出しており、検出した温度を温度信号TEMPとして出力する。
検出器2と変換器3とは信号の授受が可能に接続されており、変換器3から検出器2に向けて駆動信号DRVが出力され、検出器2から変換器3に向けて第1センサ信号S1、第2センサ信号S2、温度信号TEMPが出力される。
次に、変換器3の構成について説明する。変換器3は検出器駆動部11と増幅部12と位相差ADC13と演算部14と温度ADC15とアラーム16と波形発生部17と切替部18とを備えて構成している。また、演算部14は診断部19を有して構成している。
検出器駆動部11は検出器2の駆動部4に駆動信号DRVを出力する。この駆動信号DRVは励振エネルギ信号であり、この駆動信号DRVに基づいて、駆動部4は流路の加振を行う。
増幅部12は所定の増幅率で増幅を行う。増幅部12には第1センサ信号S1および第2センサ信号S2が入力される。これらの信号は微小(例えば、数100ミリボルト)であり、S/N比の向上やダイナミックレンジの拡大のために、入力した信号を増幅する。
位相差ADC13はアナログデジタルコンバータである。位相差ADC13には増幅された第1センサ信号S1および第2センサ信号S2が入力され、これらの信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。変換後の第1センサ信号S1および第2センサ信号S2は演算部14に入力される。
なお、図1では、第1センサ信号S1と第2センサ信号S2とは別個の経路を伝送しているが、これを1つの経路(1チャネル)にしてもよい。その場合には、第1センサ信号S1と第2センサ信号S2とを時分割する等して、両信号の伝送を行うようにする。
演算部14は第1センサ信号S1および第2センサ信号S2を入力する。第1センサ信号S1は流路の上流側の振動信号であり、第2センサ信号S2は流路の下流側の振動信号である。演算部14は第1センサ信号S1と第2センサ信号S2との位相差の演算を行う。この演算結果により、流体の流量演算を行う。
温度ADC15はアナログデジタルコンバータである。温度ADC15は検出器2の検出部5から温度信号TEMPを入力している。この温度信号TEMPはアナログ信号からデジタル信号に変換される。変換後の温度信号TEMPは演算部14に入力される。これにより、演算部14が流体の温度を認識することができる。
演算部14が行う流量演算は流体の温度の変動によって、測定誤差を生じる。このため、演算部14に温度信号TEMPを入力させることで、演算部14が流量演算を行うときに、流体の温度による補正を行う。なお、演算部14に入力される温度信号TEMPは他の目的のために使用されてもよい。
アラーム16は演算部14の制御により、警報信号を出力する。演算部14が流量演算を行った演算結果が異常である場合に、演算部14はアラーム16を制御して、警報信号を出力する。これにより、異常を了知させることができる。なお、アラーム16は演算部14の1つの機能として持たせるようにしてもよい。
波形発生部17は任意の波形(矩形波や三角波、サイン波、或いはDC信号等)を発生することが可能な回路である。波形発生部17は4つの基準信号を発生する。基準駆動信号DRVBは駆動信号DRVの基準となる信号である。基準第1センサ信号S1Bは第1センサ信号S1の基準となる信号である。基準第2センサ信号S2Bは第2センサ信号S2の基準となる信号である。基準温度信号TEMPBは温度信号TEMPの基準となる信号である。
波形発生部17にはこれらの基準信号を発生させるために、位相差や周波数、振幅、オフセット等が設定される。このうち、位相差は流体の質量流量に関連し、周波数は密度に関連する。この設定は診断部19により行われる。
切替部18は4つのスイッチSW1〜SW4を有している。スイッチSW1は検出器駆動部11からの駆動信号DRVと波形発生部17からの基準駆動信号DRVBとの何れかに切り替えを行う。スイッチSW2は検出器2からの第1センサ信号S1と波形発生部17からの基準第1センサ信号S1Bとの何れかに切り替えを行う。スイッチSW3は検出器2からの第2センサ信号S2と波形発生部17からの基準第2センサ信号S2Bとの何れかに切り替えを行う。スイッチSW4は検出器2からの温度信号TEMPと波形発生部17からの基準温度信号TEMPBとの何れかに切り替えを行う。
診断部19は変換器3および検出器2の故障診断(診断)を行う。診断部19は演算部14に設けられており、演算部14の演算結果に基づいて、変換器3、検出器2に故障を生じているか否かの診断を行う。この診断を行うために、診断部19は波形発生部17に対して各種の設定(位相差や周波数、振幅、オフセット等の設定)を行う。また、切替部18の制御も行っている。
なお、図1では、診断部19は演算部14の内部に設けるようにしている。診断部19は演算部14の演算結果を使用して診断を行うために、演算部14の中に診断部19の機能を持たせている。従って、この場合は、演算部14が診断部19の機能を有していることになる。ただし、診断部19は演算部14とは別個独立に設けるようにしてもよい。
次に、動作について説明する。通常は、切替部18のスイッチSW1は検出器駆動部11に切り替えており、検出器駆動部11からの駆動信号DRVが駆動部4に入力される。また、スイッチSW2〜SW4は検出器2に切り替えられており、検出部5から出力される第1センサ信号S1、第2センサ信号S2および温度信号TEMPが変換器3に入力される。
これにより、増幅部12により増幅されて、位相差ADC13によりデジタル信号に変換された第1センサ信号S1および第2センサ信号S2が演算部14に入力される。演算部14は第1センサ信号S1と第2センサ信号S2との位相差を演算して、流体の流量を求める流量演算を行う。
また、検出部5から温度信号TEMPが温度ADC15に入力されてデジタル信号に変換される。演算部14は流量演算を行うときに、温度信号TEMPを用いて補正を行って、流体の温度変動による測定誤差を補正する。これにより、正確な流量演算を行うことができる。
以上の動作が通常行われる流量測定を行うモードである。これを通常モードとする。通常モードにおいて、流路を流れる流量が異常な状態になることがある。例えば、流体が流れない、検出器内部が非満管の場合等である。
演算部14には流量の値の正常な範囲が予め設定されている。演算部14による演算結果がこの正常な範囲から外れたときには、流量の異常を検出する。このときには、演算部14はアラーム16を制御して、警報信号を出力する。これにより、流量の異常を了知させることができる。
ところで、流量の異常が検出されるのは、流路を流れる流体が異常状態になる場合もあるが、検出器2や変換器3に故障を生じた場合も、流量の異常が検出される。検出器2の駆動部4や検出部5はコイルやRTDを用いており、これらが故障したときに検出器2の故障に相当する。また、変換器3を構成する電気回路や電子部品が故障したときには変換器3の故障に相当する。
従って、演算部14が故障を検出したときには、検出器2や変換器3に故障を生じているか否かを診断する。まず、変換器3に故障を生じているか否かの診断について説明する。この診断は診断部19が行い、診断部19が変換器3の故障診断を行うときには、通常モードから診断モードに変更する。
このときには、診断部19は波形発生部17に対して各種の設定を行う。ここでは、一例として、基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bの周波数が150Hz、振幅が200ミリボルト、位相差はゼロの設定を行うものとする。また、温度は0℃として、これに相当する電圧が100ミリボルトのDC信号を基準温度信号TEMPBとして発生するように設定する。
また、診断部19は切替部18の各スイッチSW1〜SW4を制御して、波形発生部17が接続されるように制御する。これにより、検出器2と変換器3とは実質的に切り離された状態になる。ただし、検出器2と変換器3とは物理的に取り外しが行われるわけではない。
波形発生部17が出力した基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bは増幅部12により増幅されて、位相差ADC13でデジタル信号に変換される。そして、演算部14に基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bが入力され、演算部14では基準第1センサ信号S1Bと基準第2センサ信号S2Bとの位相差を演算する。
診断部19では、基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bの周波数が150Hzであるか否か、振幅が200ミリボルトであるか否かを判定する。また、基準第1センサ信号S1Bと基準第2センサ信号S2Bとの位相差がゼロであるか否かを判定する。
周波数、振幅および位相差が前記の値になっていれば、波形発生部17が出力した基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bは正常に演算部14に入力されて演算されたことが認識される。これにより、診断部19は変換器3が正常であると診断する。一方、周波数、振幅および位相差が前記の値にならない場合は、変換器3に故障(不具合)が発生していると診断する。なお、周波数、振幅、位相差の判定には、ある程度の許容誤差を持たせて、診断を行うようにしてもよい。これにより、診断部19は変換器3、特に増幅部12および位相差ADC13を診断する。
また、波形発生部17は100ミリボルトのDC信号の基準温度信号TEMPBを出力し、温度ADC15によりデジタル信号に変換されて、演算部14に入力される。診断部19は、演算部14に入力された基準温度信号TEMPBが100ミリボルトのDC信号であるか否かに基づいて、故障診断を行う。100ミリボルトのDC信号であれば、変換器3、特に温度ADC15に故障を生じていないと診断できる。一方、前記の値とならない場合は故障を生じていると診断する。なお、基準温度信号TEMPBの判定にもある程度の許容誤差を持たせてもよい。
以上により、変換器3に故障を生じているか否かが診断される。次に、検出器2に故障を生じているか否かを診断する場合について説明する。診断部19は切替部18のスイッチSW1を波形発生部17に切り替える。これにより、波形発生部17が出力する基準駆動信号DRVが駆動部4に入力される。
例えば、周波数が150Hz、振幅が2ボルトの基準駆動信号DRVを駆動部4に入力する。これにより、検出部5が第1センサ信号S1および第2センサ信号S2を出力する。検出器2の故障診断を行うときには、スイッチSW2およびSW3は検出器2に切り替えられている。従って、第1センサ信号S1および第2センサ信号S2が演算部14に入力される。
診断部19では、第1センサ信号S1および第2センサ信号S2の周波数が150Hz、振幅が2ボルトであるか否かを判定する。周波数および振幅が一致していれば、検出器2が正常であると診断する。一方、一致しなければ故障していると診断する。なお、一致しているか否かについてはある程度の許容誤差を持たせてもよい。これにより、検出器2に故障を生じているか否かを診断することができる。
従って、切替部18を設けて、通常モード時には検出器駆動部11からの駆動信号DRVに基づいて流路を加振して、検出部5からの第1センサ信号S1、第2センサ信号S2および温度信号TEMPに基づいて、流量測定を行う。一方、診断モードにおいては、波形発生部17からの基準信号を選択することにより、検出器2および変換器3に故障を生じているか否かの診断を行うことができる。
つまり、コリオリ質量流量計1に自己診断機能を持つ診断部19と波形発生部17と切替部18とを内蔵することで、検出器2、変換器3の故障診断を行うときに、検出器2と変換器3とを取り外すことなく、診断を行うことができる。この診断を行うことができることから、稼働中のラインの停止時間を短縮化することができ、正常な機器を持ち込んで接続する必要がなくなる。従って、メンテナンス性を向上させることが可能になる。
また、検出器2、変換器3の診断を行って、故障をしていることが診断されれば、機器の交換が必要になるが、故障をしていないことが確認されれば(健全性が確認されれば)、機器の交換は行わなくてよい。これにより、事前に機器の交換が必要であるか否かを認識することができる。
以上において、診断部19は、変換器3の故障診断を行うときには、スイッチSW2〜SW4を一括的に、また検出器2の故障診断を行うときには、スイッチSW1を波形発生部17からの基準信号に切り替えていたが、各スイッチSW1〜SW4は個別的に切り替えるようにしてもよい。例えば、スイッチSW2およびSW3のみを波形発生部17からの基準信号に切り替え、スイッチSW4は検出器2に切り替えるようにしてもよい。この場合でも、第1センサ信号S1および第2センサ信号S2に関わる回路(増幅部12や位相差ADC13等)の故障診断を行うことができる。
なお、第1センサ信号S1と第2センサ信号S2とが時分割で1つの経路により伝送される場合には、当該経路のスイッチのみを切り替えるようにする。この場合には、波形発生部17からも時分割で1つの経路により第1センサ信号S1と第2センサ信号S2とが伝送される。
また、診断部19は自己診断モード時に切替部18の各スイッチSW1〜SW4を制御していたが、切替部18は一定時間ごとに各スイッチSW1〜SW4の切り替えを行うようにしてもよい。診断部19による変換器3の診断は非常に短時間(微小時間)で行われる。従って、故障診断中は流量測定を行うことはできないが、診断時間が微小時間であるため、流量測定にそれほど影響を及ぼすことはない。一方、一定時間ごとに診断モードにすることで、定期的に検出器2や変換器3の故障診断を行うことができる。なお、例えば微小時間は流量計測時間に対して微小であり、この流量計測時間としては、バッチ処理システム等において、演算部14の演算周期ごとに算出された流量値を積算するための所定時間が挙げられる。
また、波形発生部17は変換器3に設けたが、検出器2に設けるようにしてもよい。つまり、任意の場所に波形発生部17を配置することが可能になる。ただし、基準信号の出力先は変換器3の切替部18になるため、変換器3の内部に波形発生部17を設けることが望ましい。
また、波形発生部17は故障診断の基準となる基準信号を出力し、この基準信号を用いて故障診断を行うため、基本的には基準信号は高精度に正確な信号が使用される。従って、波形発生部17が出力する信号の高精度化およびトレーサビリティを持たせることで、波形発生部17は故障診断を行うだけではなく、校正を行うキャリブレータとして使用することもできる。
次に、第1変形例について説明する。図2は第1変形例のコリオリ質量流量計1を示している。図2に示すように、第1切替部21と第2切替部22とを有して構成している。第1切替部21および第2切替部22は前述した切替部18と同じ機能を有している。すなわち、検出器2からのセンサ信号と波形発生部17からの基準信号との何れかを選択的に切り替えている。
第1変形例では、変換器3の中に設けられる回路を個別的に故障診断する。図2では、故障診断の対象の回路が増幅部12になる。従って、増幅部12の前段に第1切替部21を配置し、後段に第2切替部22を配置している。
そして、診断部19は、まず第1切替部21は波形発生部17からの信号を選択し、第2切替部22は増幅部12からの信号を選択するようにスイッチ制御を行う。これにより、基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bが増幅部12に入力される。そして、増幅部12により増幅された基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bが位相差ADC13によりデジタル信号に変換されて、演算部14に入力される。
例えば、波形発生部17から、前述したように、基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bが周波数150Hz、振幅250ミリボルト、位相差ゼロとして出力している場合に、診断部19で同じ周波数、振幅、位相差が検出されたときには、増幅部12に故障が発生していていないと診断する。
一方、前記の周波数、振幅、位相差が検出されないときには、増幅部12に故障を生じている可能性があることを診断部19は認識する。そこで、診断部19は、次に第2切替部22が波形発生部17に接続されるように切り替えを行う。これにより、基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bは増幅部12に入力されない。
そして、位相差ADC13でデジタル信号に変換されて、演算部14に基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bが入力される。このときに、前記の周波数、振幅、位相差が検出されたときには、増幅部12に入力されていない基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bが正常に入力されていることになる。
従って、診断部19は、第1切替部21が基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bを選択したときに故障検出を行い、第2切替部22が基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bを選択したときに故障を検出しないときには、増幅部12に故障が生じていると診断する。
図2にも示すように、第1センサ信号S1および第2センサ信号S2の経路には増幅部12および位相差ADC13が設けられており、また他の回路が設けられていることもある。従って、変換器3の中の故障診断の対象となる回路の前後に切替部を設けて、前述の処理を行うことで、変換器3の中の特定の回路に限定して故障診断を行うことができる。
次に、第2変形例について説明する。第2変形例は、変換器3に重畳部30と位相差復元部31と温度復元部32とを設けている。また、重畳部30は第1重畳部33と第2重畳部34と第3重畳部35とを設けている。
重畳部30は信号の重畳を行う。重畳の方法としては、例えば周波数や振幅の重畳を適用することができる。ここでは、周波数を重畳するものとして説明する。第1重畳部33は検出部5から出力される第1センサ信号S1に対して波形発生部17が出力する基準第1センサ信号S1Bを周波数重畳する。
第2重畳部34は検出部5から出力される第2センサ信号S2に対して波形発生部17が出力する基準第2センサ信号S2Bを周波数重畳する。第3重畳部35は検出部から出力される温度信号TEMPに対して波形発生部17が出力する基準温度信号TEMPBを重畳する。
位相差復元部31は第1センサ信号S1および第2センサ信号S2から、重畳された基準第1センサ信号S1Bおよび基準第2センサ信号S2Bを復元する。温度復元部32は温度信号TEMPから、重畳された基準温度信号TEMPBを復元する。
従って、演算部14には第1センサ信号S1、第2センサ信号S2、温度信号TEMPだけでなく、復元された基準第1センサ信号S1B、基準第2センサ信号S2B、基準温度信号TEMPBが演算部14に入力される。つまり、基準第1センサ信号S1B、基準第2センサ信号S2B、基準温度信号TEMPBを診断部19に入力させることができる。なお、前述したように、演算部14と診断部19とを別個独立に設ける場合には、演算部14には第1センサ信号S1、第2センサ信号S2、温度信号TEMPを入力し、診断部19には復元された基準第1センサ信号S1B、基準第2センサ信号S2B、基準温度信号TEMPBを入力させるようにしてもよい。
次に、動作について説明する。第2変形例では通常モードと診断モードとは同時に行われる。つまり、通常の流量測定を行いながら、変換器3の故障診断を行う。これは、オンライン診断となる。従って、流量測定が中断されることなく、変換器3の故障診断が行われる。
波形発生部17からは基準第1センサ信号S1B、基準第2信号S2B、基準温度信号TEMPBが定期的、不定期、或いは常に出力される。基準第1センサ信号S1Bは第1重畳部33で第1センサ信号S1に重畳されて、位相差復元部31で基準第1センサ信号S1Bが復元される。
基準第2センサ信号S2Bは第2重畳部34で第2センサ信号S2に重畳されて、位相差復元部31で基準第2センサ信号S2Bが復元される。基準温度信号TEMPBは第3重畳部35で温度信号TEMPに重畳されて、温度復元部32で基準温度信号TEMPBが復元される。
よって、演算部14に基準第1センサ信号S1B、基準第2センサ信号S2B、基準温度信号TEMPBが入力される。診断部19はこれらの信号に基づいて、変換器3の故障診断を行う。
このとき、切替部を設けるのではなく、重畳部30を用いて、波形発生部17からの信号を検出器2からの信号に重畳させているため、検出器2からの信号は常に演算部14に入力される。従って、変換器3の故障診断を行うとしても、流量測定を中断する必要がない。
1 コリオリ質量流量計
2 検出器
3 変換器
4 駆動部
5 検出部
11 検出器駆動部
12 増幅部
13 位相差ADC
14 演算部
15 温度ADC
16 アラーム
17 波形発生部
18 切替部
19 診断部
21 第1切替部
22 第2切替部
30 重畳部
31 位相差復元部
32 温度復元部
33 第1重畳部
34 第2重畳部
35 第3重畳部

Claims (7)

  1. 流路を流れる流量を検出し、検出した流量をセンサ信号として出力する検出器と、
    前記センサ信号に対して信号処理を行って前記流量を演算する演算部を有する変換器と、
    この変換器の診断を行うための基準信号の波形を発生して出力する波形発生部と、
    前記基準信号が前記演算部に入力されたときに、前記演算部が演算した演算結果に基づいて、前記変換器が故障しているか否かを診断する診断部と、
    を備えたことを特徴とする流量計。
  2. 前記変換器は、前記センサ信号と前記基準信号との何れかを選択的に切り替える切替部を備えていること
    を特徴とする請求項1記載の流量計。
  3. 前記切替部は、一定時間ごとに微小時間だけ前記基準信号が選択されるように切り替えを行い、その他の時間は前記センサ信号が選択されるように切り替えを行うこと
    を特徴とする請求項2記載の流量計。
  4. 前記切替部は、前記変換器に備えられる回路の前段に設けられる第1切替部と前記回路の後段に設けられる第2切替部とを有し、
    前記診断部は、前記第1切替部が前記基準信号を選択して、この基準信号が前記回路に入力されたときの前記演算部の演算結果が異常であり、且つ前記第2切替部が前記基準信号を選択して、この基準信号が前記回路に入力されないときの前記演算部の演算結果が正常であるときに、前記回路が故障していると診断すること
    を特徴とする請求項2または3記載の流量計。
  5. 前記検出器からの前記センサ信号に対して前記波形発生部からの前記基準信号を重畳させる重畳部と、
    前記センサ信号に重畳された前記基準信号を復元する復元部と、を備え、
    前記演算部には前記センサ信号が入力され、前記診断部には復元された前記基準信号が入力されること
    を特徴とする請求項1記載の流量計。
  6. 流路を流れる流量を検出し、検出した流量をセンサ信号として出力する検出部および駆動部を備える検出器と、
    前記センサ信号に対して信号処理を行って前記流量を演算する演算部を有する変換器と、
    前記検出器の診断を行うために前記駆動部を駆動させるための駆動信号の基準となる基準信号の波形を発生して出力する波形発生部と、
    前記基準信号により前記駆動部が駆動されたときに前記検出部が検出する前記センサ信号が前記演算部に入力されたときに、この演算部が演算した演算結果に基づいて、前記検出器が故障しているか否かを診断する診断部と、
    を備えたことを特徴とする流量計。
  7. 流路を流れる流量を検出し、検出した流量をセンサ信号として出力する検出部および駆動部を有する検出器と、前記センサ信号に対して信号処理を行って前記流量を演算する演算部を有する変換器と、を備える流量計の故障を診断する流量計の診断方法であって、
    前記診断を行うための基準信号が前記演算部に入力されたときに、前記演算部が演算した演算結果に基づいて、前記変換器が故障しているか否かを診断し、
    前記基準信号を前記駆動部に入力したときに前記検出部が検出する前記センサ信号が前記演算部に入力されたときに、この演算部が演算した演算結果に基づいて、前記検出器が故障しているか否かを診断すること
    を特徴とする流量計の診断方法。
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