JP2012117859A - 原子炉熱出力監視装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】原子炉熱出力監視装置について、原子炉熱出力計算に用いる給水流量計を切替える際に、熱出力演算に使用する信号の合理性を高めるほか、切替え操作の補助となる情報を提供することで、安全に給水流量計を切替えるようにする。
【解決手段】給水流量計を切替える際、給水流量だけではなく、質量流量を計算した際に使用した給水温度と給水圧力に関しても、給水流量計に対応した信号に切り替えるようにしている。また、流量計を手動で切替える操作手段をタッチパネル式操作手段31にし、画面内に切替え対象となる流量計に関連するパラメータを一括表示して、切替え後の原子炉熱出力の変動を予測しながら切替えられるようにしている。
【選択図】図1

Description

本発明は、原子炉熱出力監視装置に関する。
沸騰水型炉(BWR)における従来の原子炉熱出力監視装置の構成を図4に示す。原子炉に給水する給水配管9には、給水質量流量を計測するための流量計として、フローノズル流量計6、およびフローノズル流量計6を校正するための超音波流量計8が直列に併設されている。原子炉熱出力の計算は、給水流量22および給水温度3、さらに主蒸気流量および主蒸気温度などを入力して、原子炉熱出力28を出力する原子炉熱出力演算手段27により行われる。
それぞれの流量計のシステム構成を説明する。フローノズル流量計システムには、フローノズル前後の圧力差5、給水温度3および給水圧力2が入力され、フローノズル流量計給水質量流量17を出力するフローノズル流量計質量流量演算手段16が外部に設けられている。つまり、フローノズル流量計システムは、給水質量流量を計測するために、フローノズル流量計6の出力以外に、他の計測器によって計測された給水温度および給水圧力のそれぞれの計測値を必要としている。一方で、超音波流量計システムは、給水圧力の外部の計測器の計測値を入力することによって、給水質量流量ならびに給水温度を計測することが可能である。すなわち、超音波流量計システムは、給水中の超音波伝播時間情報7、および他の計測器から出力された給水圧力2を入力し、超音波流量計給水質量流量20、超音波流量計給水温度14、および自己診断結果18を出力する超音波流量計演算装置12を設けている。
超音波流量計流量演算装置12は、給水中の超音波伝播時間信号7を入力し、給水体積流量34を出力する超音波流量計体積流量演算手段33と、給水中の超音波伝播時間情報7と、他の計測器から出力された給水圧力2を入力し、超音波流量計給水温度14を出力する超音波流量計温度演算手段15と、給水の体積流量34と、超音波流量計給水温度14と、他の計測器から出力された給水圧力2を入力し、超音波流量計給水質量流量20を出力する超音波流量計質量演算手段13と、給水中の超音波伝播時間信号7を入力し、「正常」、「注意」、「故障」いずれかの自己診断結果18を出力する超音波流量計自己診断手段10を備えている。超音波流量計システムは、給水質量流量、給水温度についてどちらも、フローノズル流量計システムよりも高精度に計測することが可能である。
以上のように、フローノズル流量計と超音波流量計は、どちらも給水流量を計測するための計測器であるが、それぞれの計測原理の違いにより、入出力するパラメータや計測精度が異なる。
超音波流量計8は、高精度かつドリフトを生じない特徴を有しており、ドリフトを生じ易いフローノズル流量計6を校正するための基準流量計として使用されてきた。また、近年、原子炉熱出力の計算に従来のフローノズル流量計6ではなく、超音波流量計8にて計測された給水流量を使用することで、原子力プラントの安全性を損なうことなく、原子炉熱出力を向上させる例がある。すなわち、フローノズル流量計6を使用した原子炉熱出力の計算では、見込み誤差として約2%の余裕をもたせ、原子炉熱出力の上限値を100%とした場合、約98%の原子炉熱出力でのプラントの運転が必要となるが、より高精度な超音波流量計8を使用した場合の原子炉熱出力計算の見込み誤差を例えば0.3%と出来る場合、使用する流量計に対して適切な見込み誤差の余裕を確保しつつ、原子炉熱出力が100%により近い99.7%で、プラントを運転することが可能となる。原子炉熱出力計算に超音波流量計の計測値を使用する例としては、例えば特許文献1の例がある。
特許4369861号公報
原子炉熱出力は、給水や主蒸気のエンタルピーの収支計算によって計算されるため、給水質量流量を計算するときに使用した給水温度と、原子炉熱出力を計算する給水温度とでは、本来同じ値を使用すべきであるが、従来技術では信号の統一性が図られていないため、異なる値を使用してしまっている、という課題があった。例えば、特許4369861号公報の図1に示されている原子炉熱出力監視装置は、原子炉熱出力の計算に使用する流量計を切り替える処理において、原子炉熱出力演算手段に入力する給水質量流量信号、給水温度信号のうち、給水質量流量信号のみを切り替える構成となっている。しかし、背景技術で述べたように、フローノズル流量計と超音波流量計では、入出力する信号が異なるため、給水質量流量信号のみの切替えでは、原子炉熱出力の計算に使用するパラメータに不整合が発生する。すなわち、本来はそれぞれの流量計が給水流量を計算する際に使用した給水温度と給水圧力の値を、原子炉熱出力の計算にも使うべきであるが、従来技術のように給水質量流量信号のみの切替えでは、給水温度と給水圧力についてはフローノズル流量計が使用しているものを常に使用してしまっていた。
また、例えば、特許4369861号公報のように、通常超音波流量計を原子炉熱出力計算に使用し、フローノズル流量計は超音波流量計が故障時に使用するためのバックアップとして運用するプラント運転において、例えば、従来の計測器であるフローノズル流量計を主で使用し、プラントの状態を見て超音波流量計に切替える場合や、プラント運転中の機器の保守のために、一時的に熱出力計算に使用する給水流量計を、超音波流量計からフローノズル流量計に切替える場合がある。
上記のような流量計を切替える状況を想定すると、フローノズル流量計と超音波流量計は、理論的には同じ給水流量を計測しているが、それぞれの計測不確かさの範囲内で異なる給水流量の計測値を出力している。そのため、原子炉熱出力の計算に使用する流量計を切り替えると、給水流量一定のプラント定格運転中においても、原子炉熱出力が瞬間的に変化する事象が発生する。プラントを安定して運転するためには、原子炉熱出力の変動が小さいことが重要であり、上述のような原子炉熱出力が急変する事象を防ぐためには、フローノズル流量計と超音波流量計の給水流量の計測値を比較し、お互いが計測不確かさの範囲で重なっていることを確認して、原子炉熱出力の計算に使用する流量計を切り替える操作が必要となる。
しかし、従来の原子炉熱出力監視装置では、図5に示すように、フローノズル流量計の流量計測値の表示装置100−aと、超音波流量計の流量計測値の表示装置100−eは、表示装置100の別画面内などの、離れた場所に存在しており、フローノズル流量計と超音波流量計の流量計測値を同時に目視する手段がない。そのため、原子炉熱出力の計算に使用する流量計を切り替えた後の、原子炉熱出力の変動を予測することが困難であった。また、流量計切替え操作においては、上記計測値の比較をするために画面の切替え操作が多く発生することに加え、給水流量切替スイッチ操作装置101が表示装置とは別の操作盤であり、現在どちらの流量計を熱出力計算に使用しているかを判断する表示もないため、操作ミスを起こしやすいという課題があった。
また、BWRでは、給水流量と給水温度と給水圧力の給水関連パラメータは、上述の原子炉熱出力演算手段と供に、タービン性能などを演算するプラント性能演算手段や、プラントのパラメータ監視手段や、運転日誌記録手段などにも使用されるため、上述の原子炉熱出力の計算に使用する流量計の切替時と同様に、給水流量と給水温度と給水圧力の信号を切り替える必要がある。
本発明は、上述のフローノズル流量計と超音波流量計の流量計測値を比較しながら、原子炉熱出力に使用する流量計を切り替える操作の操作性を向上し、熱出力演算手段が出力する原子炉熱出力の急変を防止することを可能とする原子炉熱出力監視装置の提供、およびプラント性能計算などに使用する給水流量関連パラメータの統一を可能とする原子炉熱出力監視装置の提供を目的としている。
上記目的のために、本発明では、原子炉に給水する給水配管に設けられた複数個の給水流量計測手段による給水流量計測値と、前記給水配管に設けられた複数個の圧力計測手段による給水圧力計測値と、前記給水配管に設けられた複数個の温度計測手段による給水温度計測値を入力し、原子炉熱出力を出力する原子炉熱出力演算手段を備えた原子炉熱出力監視装置において、複数個の給水流量計測手段と、複数個の圧力計測手段と、前記給水配管に設けられた複数個の温度計測手段の組合せを複数個用意し、前記熱出力演算手段が使用する組合せを切り替える、原子炉熱出力演算使用計器切替手段を備えていることを特徴としている。なお、前記複数個の計測手段とは、同一の計器から分配されたものでもよいとする。
また、前記原子炉熱出力監視装置は、前記熱出力演算使用計器切替手段の出力を、プラント性能演算手段などにも分配し、原子炉熱出力演算手段とプラント性能演算手段が使用する給水流量関連パラメータを統一していることを特徴としている。
また、前記原子炉熱出力監視装置は、前記原子炉熱出力演算使用計器切替手段を操作する手段を、前記複数個の給水流量計測手段による給水流量計測値の表示手段と同時に目視できる位置に配置していることを特徴としている。
本発明の原子炉熱出力監視装置によれば、原子炉熱出力の計算に使用する給水流量計の切替え操作において、切替える信号を給水質量を演算したもので統一できるほか、操作性を向上して操作ミスの原因を削減することで、より安全にプラントを運転することができる。
本発明の一実施形態における原子炉熱出力監視装置の構成図である。 本発明の一実施形態における流量計切替え操作画面を示す図である。 本発明の警報処理手段の処理のアルゴリズムを示す図である。 従来の原子炉熱出力監視装置の構成図である。 従来の流量計切替え操作で使用する表示装置と給水流量切替スイッチ操作装置の位置関係を示す図である。
本発明の実施例を以下に説明する。
以下、本発明の好適な一実施例である原子炉熱出力監視装置を、図1を用いて説明する。原子炉熱出力演算手段27は、給水質量流量22、給水温度23、および主蒸気流量などを入力し、これらの情報を用いて原子炉熱出力を算出して出力する。超音波流量計8およびフローノズル流量計6が質量流量を演算するシステム構成は、図4を用いて「背景技術」の欄で説明した構成と同じである。原子炉熱出力演算手段27、およびタービン性能などを演算するプラント性能演算手段29が使用する給水流量計は、給水流量計切替えスイッチ19を介して、フローノズル流量計6と、超音波流量計8が接続されている。
給水流量計切替えスイッチ19は、状態1、状態2の入出力の切替え状態を備えている。状態1は、図1の給水流量計切替えスイッチ19の中で実線で示しており、超音波流量計演算装置12から出力された超音波流量計給水質量流量20、超音波流量計給水温度14、圧力計給水圧力2をそれぞれ、給水質量流量22、給水温度23、給水圧力24に接続している。また、状態2は、図1の給水流量計切替えスイッチ19の中で破線で示しており、フローノズル流量計質量流量演算手段16から出力されたフローノズル流量計給水質量流量17、温度計給水温度3、圧力計給水圧力2をそれぞれ、給水質量流量22、給水温度23、給水圧力24に接続している。したがって、給水流量計切替えスイッチ19が状態1の場合は、原子炉熱出力演算手段27、プラント性能演算手段29は超音波流量計演算手段13が出力する給水質量流量、および超音波流量計演算手段13が給水質量流量を演算するのに使用した給水温度と給水圧力を使用し、状態2の場合は、フローノズル流量計質量流量演算手段16が出力する給水質量流量、およびフローノズル流量計質量流量演算手段16が給水質量流量を演算するのに使用した給水温度と給水圧力を使用することとなる。
流量計切替えスイッチ19の状態1、状態2の切替え操作は、タッチパネル式操作手段31によりなされる。タッチパネル式操作手段31は、流量計切替えスイッチ19に入力されている全ての信号を、出力元の流量計別にまとめた超音波流量計関連計測値40、フローノズル流量計関連計測値41と、流量計切替えスイッチ19が状態1、状態2のどちらの状態にあるかを示す、流量計切替えスイッチ状態21を入力して、タッチパネル式画面に表示する機能を備えている。また、タッチパネル上の操作を入力し、流量計切替えスイッチ19の状態を状態1から状態2、もしくは、状態2から状態1に切替える、流量計切替えスイッチ切替え信号30を出力する機能を備えている。
図2に、タッチパネル式操作手段31の画面を示す。超音波流量計関連計測値表示グラフ51−a〜51−c、超音波流量計関連計測値表示52−a〜52−cは、超音波流量計関連計測値40として入力された値を、棒グラフおよび数値で表示している。同様に、フローノズル流量計関連計測値表示グラフ60−a〜60−c、フローノズル流量計関連計測値表示61−a〜61−cは、フローノズル流量計関連計測値41の値をそれぞれ表示する。また、流量計切替えスイッチ状態21が状態1の場合は、超音波流量計熱出力計算使用中56が点灯し、状態2の場合は、フローノズル流量計熱出力計算使用中63が点灯し、現在どちらの給水流量計を熱出力計算に使用しているのかの情報を提供する。熱出力計算に使用する流量計の切替え操作は、超音波流量計使用ボタン65−a、フローノズル流量計使用ボタン65−bを押下することで実行される。すなわち、超音波流量計使用ボタン65−aを押下すると、タッチパネル式操作手段31は、流量計切替えスイッチ19の状態を状態1に切替える流量計切替えスイッチ切替え信号30を出力し、フローノズル流量計使用ボタン65−aを押下すると、状態2に切替える流量計切替えスイッチ切替え信号30を出力する。
また、本実施例の原子炉熱出力監視装置は、超音波流量計関連計測値40を入力し、それぞれの値が例えば0〜5000などの、あらかじめ設定した上下限値を逸脱しているかを監視して、逸脱した場合は自動的に警報処理手段26へ超音波流量計上下限逸脱信号32を出力する、プラント異常検出手段31を備えている。
プラント異常検出手段31は、超音波流量計自己診断手段10から出力された「正常」、「注意」、「故障」いずれかの自己診断結果18と、プラント異常検出手段31から出力された超音波流量計上下限逸脱信号32を入力し、超音波流量計異常流量計切替え信号33を出力する。プラント異常検出手段31の処理のアルゴリズムを図3に示す。本発明は、超音波流量計を優先して使用する状況を想定しており、超音波流量計が故障した場合に、バックアップとして待機しているフローノズル流量計を使用するロジックとなっている。すなわち、自己診断結果18が「正常」以外の、「注意」もしくは「故障」である場合と、プラント異常検出手段31が超音波流量計上下限逸脱信号32を出力している場合に、超音波流量計異常流量計切替え信号33を出力する。給水流量計切替えスイッチ19は、超音波流量計異常流量計切替え信号33が入力されると、切替え状態が状態1である場合、切替え状態を状態2に変更し、切替え状態が状態2である場合はなにもしない。
1 給水圧力計測手段、3 給水温度計測手段、6 フローノズル流量計、8 超音波流量計、12 超音波流量計演算装置、16 フローノズル流量計質量流量演算手段、19 給水流量計切替えスイッチ、27 原子炉熱出力演算手段、31 タッチパネル式操作手段。

Claims (3)

  1. 原子炉に給水する給水配管に設けられた複数個の給水流量計測手段による給水流量計測値と、前記給水配管に設けられた複数個の温度計測手段による給水温度計測値を入力し、原子炉熱出力を出力する原子炉熱出力演算手段を備えた原子炉熱出力監視装置において、
    前記複数個の給水流量計測手段と、前記複数個の温度計測手段の組合せを複数個用意し、前記熱出力演算手段が使用する組合せを切り替える、原子炉熱出力演算使用計器切替手段を備えていることを特徴とする原子炉熱出力監視装置。
  2. 前記原子炉熱出力演算使用計器切替手段を操作する手段を、前記複数個の給水流量計測手段による給水流量計測値の表示手段と同時に目視できる位置に配置している請求項1に記載の原子炉熱出力監視装置。
  3. 前記複数個の給水流量計測手段が、超音波流量計とフローノズル流量計である請求項2に記載の原子炉熱出力監視装置。
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