JP2013159760A - 熱伝導性粘着シート - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導性のほか、発熱体や放熱体等の表面形状に追従する柔軟性を有しながら、取扱いが容易な熱伝導性粘着シートとする。
【解決手段】バインダー成分と熱伝導性粒子10xとを含有する熱伝導性粘着シート10であって、分散剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸のエステル、高級脂肪酸のエーテル、高級アルコール、高級アルコールのエステル及び高級アルコールのエーテルからなる群から選択された少なくとも1種の成分を含む流動点が−20〜30℃の化合物を含有し、当該化合物の含有量が0.01〜10質量%、前記熱伝導性粒子の含有量が40〜92質量%とされている。
【選択図】図2
【解決手段】バインダー成分と熱伝導性粒子10xとを含有する熱伝導性粘着シート10であって、分散剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸のエステル、高級脂肪酸のエーテル、高級アルコール、高級アルコールのエステル及び高級アルコールのエーテルからなる群から選択された少なくとも1種の成分を含む流動点が−20〜30℃の化合物を含有し、当該化合物の含有量が0.01〜10質量%、前記熱伝導性粒子の含有量が40〜92質量%とされている。
【選択図】図2
Description
本発明は、熱伝導性を有する粘着シートに関するものである。
LEDや基板等からなる電気・電子部品等の発熱体とヒートシンクやグラファイトシート等からなる放熱体とを接着する粘着シートとしては、発熱体が発生する熱をより効果的に放散させる目的で、熱伝導性を有する粘着剤で形成された熱伝導性粘着シートが存在する。しかしながら、発熱体や放熱体の表面が平滑であるとは限らず、発熱体や放熱体と粘着シートとの間に空気が入り込むおそれがある。したがって、発熱体から放熱体への熱伝導性が低下し、放熱体が本来有する放熱効果が十分に発揮されていないとの問題が指摘されている。そこで、熱伝導性粘着シートには、熱伝導性のほか、発熱体や放熱体の表面形状に追従する柔軟性が要求される。
従来、このような熱伝導性かつ柔軟性を有する熱伝導性粘着シートとしては、特許文献1に開示された接着(粘着)シートが存在する。同文献が開示する接着シートは、炭素数が2〜18のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルを含有する共重合体50〜97重量部と、この共重合体と非相溶かつ融点が40〜80℃である化合物3〜50重量部と、熱伝導性微粒子10〜500重量部とを含有する。この提案は、「非相溶かつ融点が40〜80℃である化合物を添加することにより、その温度領域で樹脂の柔軟性を大幅に向上できる」(段落[0020])とし、「融点が、40℃未満では、輸送・保管中に軟化・流動してシート形状が崩れることがある」(段落[0021])とする。つまり、同提案は、融点が40℃以上の化合物を含有することで、輸送・保管中にシート形状が崩れるのを防止しつつ、発熱体が発する熱を利用してシートを軟化させ、もって当該シートを発熱体や放熱体の表面形状に追従させるとするものである。このことは、同提案が「40℃と80℃における貯蔵弾性率の比(40℃貯蔵弾性率/80℃貯蔵弾性率)が100以上であることが好ましい」としていることからも理解することができる。
しかるに、温度に応じて物性が著しく変化する材料は、取扱いが難しいとされている。このことは、熱伝導性粘着シートの場合も同様である。具体的には、例えば、熱伝導性粘着シートの温度変化は発熱体から熱を受けることのみによって生じるものではなく、気温の変化等によって生じる。したがって、特許文献1が開示するような物性が著しく変化する熱伝導性粘着シートは、輸送・保管中はもちろん、使用中(発熱体や放熱体に粘着された状態)においても、気温変化、受熱・放熱等によって物性が大きく変化し、この大きな物性の変化を繰り返すことになるため、使用中においては、浸み出し等が生じるおそれや(シートの偏在化)、発熱体や放熱体から剥がれてしまうおそれ等がある。
本発明が解決しようとする主たる課題は、熱伝導性のほか、発熱体や放熱体等の表面形状に追従する柔軟性を有しながら、常温環境下と高温環境下とで物性の変化が少なく取扱いが容易な熱伝導性粘着シートを提供することにある。
この課題を解決するための本発明は、次の通りである。
〔請求項1記載の発明〕
バインダー成分と、熱伝導性粒子と、を含有する熱伝導性粘着シートであって、
分散剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸のエステル、高級脂肪酸のエーテル、高級アルコール、高級アルコールのエステル及び高級アルコールのエーテルからなる群から選択された少なくとも1種の成分を含む流動点が−20〜30℃の化合物を含有し、
当該化合物の含有量が0.01〜10質量%、前記熱伝導性粒子の含有量が40〜92質量%とされている、
ことを特徴とする熱伝導性粘着シート。
〔請求項1記載の発明〕
バインダー成分と、熱伝導性粒子と、を含有する熱伝導性粘着シートであって、
分散剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸のエステル、高級脂肪酸のエーテル、高級アルコール、高級アルコールのエステル及び高級アルコールのエーテルからなる群から選択された少なくとも1種の成分を含む流動点が−20〜30℃の化合物を含有し、
当該化合物の含有量が0.01〜10質量%、前記熱伝導性粒子の含有量が40〜92質量%とされている、
ことを特徴とする熱伝導性粘着シート。
(主な作用効果)
流動点が30℃以下の化合物を含有する粘着シートは、発熱体や放熱体等の表面形状に追従する柔軟性を有するものの、輸送・保管中に軟化・流動してシート形状が崩れるとして、従来の粘着シートには当該化合物が含有されていなかった。しかるに、本発明者が数々の試験を行ったところ、当該化合物が含有されていたとしても、シート形状が崩れるのを防止できることを知見した。
すなわち、まず、当該化合物の含有量を10質量%以下にして常温環境下において粘着シートが著しく軟化するのを防止し、加えて熱伝導性粒子の含有量を40質量%以上にして粘着シートの柔軟性を低下させることで、加工時や輸送・保管中等においてシートの寸法が崩れるのを防止する。もっとも、このように熱伝導性粒子の含有量を40質量%以上にすると、通常であれば当該熱伝導性粒子の分散性が低下し、柔軟性や熱伝導性が不均一になるが、当該分散剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸のエステル、高級脂肪酸のエーテル、高級アルコール、高級アルコールのエステル及び高級アルコールのエーテルからなる群から選択された少なくとも1種の成分を含む流動点が−20〜30℃の化合物を使用することで、熱伝導性粒子とバインダー成分との親和性が高まり、熱伝導性粒子同士の分散性が向上するため、柔軟性や熱伝導性が不均一になるとの問題が解消される。また、上記化合物は、バインダー成分との相溶性を有するため、軟化した当該化合物が他の成分と分離する等の不具合が生じるおそれもない。しかも、この形態によると、粘着シートは、常温環境下と高温環境下とで物性の変化が少なくなるため取扱いが極めて容易である。
流動点が30℃以下の化合物を含有する粘着シートは、発熱体や放熱体等の表面形状に追従する柔軟性を有するものの、輸送・保管中に軟化・流動してシート形状が崩れるとして、従来の粘着シートには当該化合物が含有されていなかった。しかるに、本発明者が数々の試験を行ったところ、当該化合物が含有されていたとしても、シート形状が崩れるのを防止できることを知見した。
すなわち、まず、当該化合物の含有量を10質量%以下にして常温環境下において粘着シートが著しく軟化するのを防止し、加えて熱伝導性粒子の含有量を40質量%以上にして粘着シートの柔軟性を低下させることで、加工時や輸送・保管中等においてシートの寸法が崩れるのを防止する。もっとも、このように熱伝導性粒子の含有量を40質量%以上にすると、通常であれば当該熱伝導性粒子の分散性が低下し、柔軟性や熱伝導性が不均一になるが、当該分散剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸のエステル、高級脂肪酸のエーテル、高級アルコール、高級アルコールのエステル及び高級アルコールのエーテルからなる群から選択された少なくとも1種の成分を含む流動点が−20〜30℃の化合物を使用することで、熱伝導性粒子とバインダー成分との親和性が高まり、熱伝導性粒子同士の分散性が向上するため、柔軟性や熱伝導性が不均一になるとの問題が解消される。また、上記化合物は、バインダー成分との相溶性を有するため、軟化した当該化合物が他の成分と分離する等の不具合が生じるおそれもない。しかも、この形態によると、粘着シートは、常温環境下と高温環境下とで物性の変化が少なくなるため取扱いが極めて容易である。
〔請求項2記載の発明〕
前記熱伝導性粒子が平均粒子径0.1〜30μmの球状粒子である、
請求項1記載の熱伝導性粘着シート。
前記熱伝導性粒子が平均粒子径0.1〜30μmの球状粒子である、
請求項1記載の熱伝導性粘着シート。
(主な作用効果)
特許文献1が開示するような従来の接着(粘着)シートにおいては、「熱伝導性粒子の形状が鱗片形状又は扁平形状であるため単位重量当たりの表面積が大きく、樹脂に充填する場合に粒子同士が接触しやすく、熱の通り道となるパスを形成しやすいため、少ない充填量で高い熱伝導性が得られ、かつ、柔軟性を確保しやすい」とされていた。これに対し、本発明は、上記化合物を使用することで、熱伝導性粒子とバインダー成分との親和性を高め、熱伝導性粒子同士の分散性を向上させるものであるため、熱伝導性粒子は球状である方が好ましい。もっとも、当該粒子の平均粒子径が30μmを超えると、粒子間に空隙が形成された状態で当該粒子が並ぶことになるため、熱伝導性が低下する。他方、平均粒子径が0.1μm未満であると、所望する熱伝導性を実現するために含有する粒子の量が多くなり過ぎるため、バインダー成分や分散剤(非イオン界面活性剤)とのバランスがとれなくなり、柔軟性や粘着性等の点で満足な粘着シートが得られなくなる。
特許文献1が開示するような従来の接着(粘着)シートにおいては、「熱伝導性粒子の形状が鱗片形状又は扁平形状であるため単位重量当たりの表面積が大きく、樹脂に充填する場合に粒子同士が接触しやすく、熱の通り道となるパスを形成しやすいため、少ない充填量で高い熱伝導性が得られ、かつ、柔軟性を確保しやすい」とされていた。これに対し、本発明は、上記化合物を使用することで、熱伝導性粒子とバインダー成分との親和性を高め、熱伝導性粒子同士の分散性を向上させるものであるため、熱伝導性粒子は球状である方が好ましい。もっとも、当該粒子の平均粒子径が30μmを超えると、粒子間に空隙が形成された状態で当該粒子が並ぶことになるため、熱伝導性が低下する。他方、平均粒子径が0.1μm未満であると、所望する熱伝導性を実現するために含有する粒子の量が多くなり過ぎるため、バインダー成分や分散剤(非イオン界面活性剤)とのバランスがとれなくなり、柔軟性や粘着性等の点で満足な粘着シートが得られなくなる。
〔請求項3記載の発明〕
前記化合物が非イオン界面活性剤である、
請求項1又は請求項2記載の熱伝導性粘着シート。
前記化合物が非イオン界面活性剤である、
請求項1又は請求項2記載の熱伝導性粘着シート。
(主な作用効果)
非イオン界面活性剤は、イオン解離する界面活性剤と異なり電荷をもっておらず、バインダー成分の電荷に依存することなく使用することができる。したがって、後述する実施例からも明らかなように、上記化合物が非イオン界面活性剤であると、特に高級脂肪酸等の酸を含む場合においても、熱伝導性粒子の分散性が高まり、凝集等が防止されるため、熱伝導性粒子の充填率をより向上させることができる。
非イオン界面活性剤は、イオン解離する界面活性剤と異なり電荷をもっておらず、バインダー成分の電荷に依存することなく使用することができる。したがって、後述する実施例からも明らかなように、上記化合物が非イオン界面活性剤であると、特に高級脂肪酸等の酸を含む場合においても、熱伝導性粒子の分散性が高まり、凝集等が防止されるため、熱伝導性粒子の充填率をより向上させることができる。
〔請求項4記載の発明〕
前記バインダー成分がアクリル酸アルキルエステル共重合物であり、
イソシアネート系及び/又はエポキシ系の架橋剤を含有し、
25℃における貯蔵弾性率と90℃における貯蔵弾性率との比(25℃貯蔵弾性率/90℃貯蔵弾性率)が1〜30とされている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導性粘着シート。
前記バインダー成分がアクリル酸アルキルエステル共重合物であり、
イソシアネート系及び/又はエポキシ系の架橋剤を含有し、
25℃における貯蔵弾性率と90℃における貯蔵弾性率との比(25℃貯蔵弾性率/90℃貯蔵弾性率)が1〜30とされている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導性粘着シート。
(主な作用効果)
バインダー成分がアクリル酸アルキルエステル共重合物であると、粘着性、耐熱性、耐酸化性が向上するとともに、上記化合物と熱伝導性粒子との親和性が特に向上するため、熱伝導性粒子の分散性や充填率がより向上する。また、バインダー成分としてアクリル酸アルキルエステル共重合物を含有しつつ、イソシアネート系及び/又はエポキシ系の架橋剤を含有すると、貯蔵弾性率の比(25℃貯蔵弾性率/90℃貯蔵弾性率)を容易に1〜30とすることができ、気温の変化や受熱・放熱等による物性の大きな変化を抑制することができる。
バインダー成分がアクリル酸アルキルエステル共重合物であると、粘着性、耐熱性、耐酸化性が向上するとともに、上記化合物と熱伝導性粒子との親和性が特に向上するため、熱伝導性粒子の分散性や充填率がより向上する。また、バインダー成分としてアクリル酸アルキルエステル共重合物を含有しつつ、イソシアネート系及び/又はエポキシ系の架橋剤を含有すると、貯蔵弾性率の比(25℃貯蔵弾性率/90℃貯蔵弾性率)を容易に1〜30とすることができ、気温の変化や受熱・放熱等による物性の大きな変化を抑制することができる。
本発明によると、熱伝導性のほか、発熱体や放熱体等の表面形状に追従する柔軟性を有しながら、取扱いが容易な熱伝導性粘着シートとなる。
次に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、前述特許文献1が「接着」シートとしているのに対して、本発明は「粘着」シートとしており、一般に、接着とは「くっつけること。くっつくこと。」とされているのに対し、粘着とは「ねばりけのあるものが他の物にぴったりくっつくこと。」とされており、両者には相違が存在する。しかしながら、本明細書等において「粘着」との用語を用いているのは、この種の技術分野においては、通常「粘着」との用語が用いられているためであり、この点で、先行文献に何らかの限定を加える趣旨ではない。
本形態の熱伝導性粘着シートは、バインダー成分及び熱伝導性粒子を含有し、更に分散剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸のエステル、高級脂肪酸のエーテル、高級アルコール、高級アルコールのエステル及び高級アルコールのエーテルからなる群から選択された少なくとも1種の成分を含む流動点が−20〜30℃の化合物を含有する熱伝導性粘着剤から形成されている。以下、順に説明する。
〔バインダー成分〕
本形態の熱伝導性粘着シート(熱伝導性粘着剤)に含有されるバインダー成分は、熱伝導性粒子を保持する機能を有し、かつ発熱体や放熱体等の表面形状に追従する柔軟性や当該発熱体や放熱体等の表面に粘着する粘着性を有する。したがって、バインダー成分の種類は、このような機能を有する成分であれば特に限定されず、例えば、ゴム系や樹脂系のポリマー等を使用することができる。
本形態の熱伝導性粘着シート(熱伝導性粘着剤)に含有されるバインダー成分は、熱伝導性粒子を保持する機能を有し、かつ発熱体や放熱体等の表面形状に追従する柔軟性や当該発熱体や放熱体等の表面に粘着する粘着性を有する。したがって、バインダー成分の種類は、このような機能を有する成分であれば特に限定されず、例えば、ゴム系や樹脂系のポリマー等を使用することができる。
具体的には、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブテンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム等のゴム系ポリマー、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリウレタン系等のエラストマー系ポリマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体や軟質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂ポリマー等の中から1種又は2種類以上を選択して使用することができる。
ただし、バインダー成分としては、アクリル酸アルキルエステル共重合体、特に炭素数が2〜18のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル共重合体を使用するのが柔軟性、粘着力を両立する点から好ましい。ここで、炭素数が2〜18のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(単量体)としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸イソミリスチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸イソステアリル、アクリル酸ステアリル等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
また、これらのアクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステル(単量体)以外の単量体(他の単量体)と共重合されていてもよく、特に、他の単量体として極性モノマーを用いると、凝集力及び粘着力が向上するため好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマー又はその無水物、(メタ)アクリルニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等の窒素含有モノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルカルボン酸アミド等の中から1種又は2種以上を選択して好適に使用することができる。
これらの極性モノマーの含有量は、アクリル酸アルキルエステル(単量体)100質量部に対して、0.1〜20質量部であるのが好ましく、0.5〜10質量であるのがより好ましい。極性モノマーの含有量が20質量部を超えると粘着シートの柔軟性が不十分になるおそれがある。0.1質量部未満では凝集力が足りず、耐久性、保持力の低下となるおそれがある。
また、極性モノマー以外の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、イソボロニル(メタ)アクリレート、オレフィン系重合体等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
また、バインダー成分としてアクリル酸アルキルエステル共重合体を使用する場合、当該共重合体の平均分子量は、20〜200万であるのが好ましく、30〜100万であるのがより好ましい。平均分子量が少な過ぎると凝集力が小さくなり過ぎて取扱い性が低下するおそれがある。他方、平均分子量が多過ぎると粘度が高く熱伝導性粒子等の他の成分の含有量を変化させたとしても分散性能が十分に得られなくなるおそれがある。
アクリル酸アルキルエステル共重合体の重合方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のラジカル重合法の中から適宜選択して重合することができる。
また、重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ系重合開始剤、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル(BPO)等のパーオキサイド化合物、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−メチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系重合開始剤等を使用することができる。これらの重合開始剤の中でも、重合性が良好になる等の観点からアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤を使用するのが好ましい。
以上の方法を適宜使用して製造した重合体を、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解させることによって、アクリル酸アルキルエステル共重合体溶液を調製することができる。
〔熱伝導性粒子〕
本形態の熱伝導性粘着シート(熱伝導性粘着剤)に含有される熱伝導性粒子は、通常粉末状であり、熱伝導性を高める機能を有する。この熱伝導性粒子としては、例えば、窒化ホウ素、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、金属アルミニウム、金属銅、シリカ等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
本形態の熱伝導性粘着シート(熱伝導性粘着剤)に含有される熱伝導性粒子は、通常粉末状であり、熱伝導性を高める機能を有する。この熱伝導性粒子としては、例えば、窒化ホウ素、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、金属アルミニウム、金属銅、シリカ等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
ただし、熱伝導性粒子としては、平均粒子径が0.05〜60μmの球状粒子を使用するのが好ましく、平均粒子径が0.10〜50μmの球状粒子を使用するのがより好ましく、平均粒子径が1.00〜15μmの球状粒子を使用するのが特に好ましい。本形態においては、分散剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸のエステル、高級脂肪酸のエーテル、高級アルコール、高級アルコールのエステル及び高級アルコールのエーテルからなる群から選択された少なくとも1種の成分を含む流動点が−20〜30℃の化合物を使用することで、熱伝導性粒子とバインダー成分との親和性を高め、熱伝導性粒子同士の分散性や充填率を向上させているため、球状の熱伝導性粒子が好適に使用される。
もっとも、図2に概念的に示すように、熱伝導性粘着シート10に含有される熱伝導性粒子10xはバインダー成分等の中において点々として存在するのではなく密集した状態で存在する。したがって、熱伝導性粒子10xの平均粒子径が30μmを超えると、粒子10x間の空隙が大きくなり、また、当該空隙が形成され易くなるため、熱伝導性が低下する。他方、熱伝導性粒子10xの平均粒子径が0.05μm未満であると、所望する熱伝導性を達するために含有する粒子の量が多くなり過ぎ、バインダー成分や分散剤とのバランスがとれなくなるため、柔軟性や粘着性等の点で満足な熱伝導性粘着シートが得られなくなるおそれがある。なお、仮に粘着シートの表面性のみを考慮するのであれば、熱伝導性粒子の平均粒子径を100μm程度まで大きくすることができる。なお、熱伝導性粒子の平均粒子径は、レーザー回折法にて測定した値である。
熱伝導性粒子の純度は、高い熱伝導性を得るために、95質量%以上であるのが好ましく、97質量%以上であるのがより好ましい。熱伝導性粒子の純度が95質量%未満であると、十分な熱伝導性が得られなくなるおそれがある。
熱伝導性粒子の含有量は、粘着シート全体の質量を基準として、40〜92質量%、好ましくは65〜90質量%、より好ましくは70〜89質量%である。熱伝導性粒子の含有量が40質量%未満であると、当該粒子の充填率が低く、熱伝導性能が十分に発揮されないおそれがある。熱伝導性粒子の含有量が95質量%を超えると熱伝導性粘着シートの強度、粘着性が不十分になる。
〔分散剤〕
本形態の熱伝導性粘着シートに分散剤として含有される高級脂肪酸、高級脂肪酸のエステル、高級脂肪酸のエーテル、高級アルコール、高級アルコールのエステル及び高級アルコールのエーテルからなる群から選択された少なくとも1種の成分を含む化合物としては、流動点が−20〜30℃のものが、好ましくは−15〜25℃のものが、より好ましくは−10〜20℃のものが使用される。また、当該化合物の含有量は、熱伝導性粘着シート全体の質量を基準として、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜8質量%、特に好ましくは0.08〜6質量%である。
本形態の熱伝導性粘着シートに分散剤として含有される高級脂肪酸、高級脂肪酸のエステル、高級脂肪酸のエーテル、高級アルコール、高級アルコールのエステル及び高級アルコールのエーテルからなる群から選択された少なくとも1種の成分を含む化合物としては、流動点が−20〜30℃のものが、好ましくは−15〜25℃のものが、より好ましくは−10〜20℃のものが使用される。また、当該化合物の含有量は、熱伝導性粘着シート全体の質量を基準として、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜8質量%、特に好ましくは0.08〜6質量%である。
本形態の上記化合物は、熱伝導性粒子の分散剤として機能するほか、発熱体や放熱体等の表面形状に追従する柔軟性を熱伝導性粘着シートに付与する機能を有する。また、特に流動点が30℃以下の上記化合物を使用することによって常温環境下における物性と高温環境下における物性との違い(物性変化)が小さなものとなり、熱伝導性粘着シートの取扱い性が向上する。さらに、本形態においては、非イオン界面活性剤の含有量を10質量%以下と少なくして熱伝導性粘着シートが著しく軟化するのを防止し、かつ熱伝導性粒子の含有量を40質量%以上と通常よりも多くして熱伝導性粘着シートの柔軟性を低下させることで輸送・保管中等においてシート形状が崩れるのも防止している。そして、熱伝導性粒子の含有量を40質量%以上にしても上記化合物が熱伝導性粒子のバインダー成分に対する親和性を向上するため、熱伝導性粒子が均一に分散し、柔軟性や熱伝導性の不均一化の問題が生じるおそれはない。
上記高級脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、エレオステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等を例示することができる。また、上記高級アルコールとしては、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、ラウリルアルコール等を例示することができる。さらに、上記エステルやエーテルとしては、以上の高級脂肪酸や高級アルコールのエステルやエーテルを例示することができる。
ただし、以上の中でも流動点が−20〜30℃の非イオン界面活性剤を使用すると、分散効果を発揮しながらもバインダー成分との親和性も高まり充填率があげられるため、作用効果がより確実に奏せられる。
〔架橋剤〕
バインダー成分としてアクリル酸アルキルエステル共重合物を使用する場合は、耐熱性やクリープ特性を向上させるために架橋剤を含有させるのが好ましい。この架橋剤としては、公知の架橋剤を使用することができ、例えば、m−キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート系化合物、エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレンジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンアミン等のアミン系化合物、アルミニウムに代表される多価金属や金属キレート化合物、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド等のアジリジン系化合物等の中から1種類又は2種類以上を適宜選択して使用することができる。ただし、反応の迅速化や凝集力の向上という観点からは、架橋剤として、イソシアネート系の架橋剤及びエポキシ系の架橋剤の少なくとも一方を使用するのが好ましい。
バインダー成分としてアクリル酸アルキルエステル共重合物を使用する場合は、耐熱性やクリープ特性を向上させるために架橋剤を含有させるのが好ましい。この架橋剤としては、公知の架橋剤を使用することができ、例えば、m−キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート系化合物、エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレンジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンアミン等のアミン系化合物、アルミニウムに代表される多価金属や金属キレート化合物、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド等のアジリジン系化合物等の中から1種類又は2種類以上を適宜選択して使用することができる。ただし、反応の迅速化や凝集力の向上という観点からは、架橋剤として、イソシアネート系の架橋剤及びエポキシ系の架橋剤の少なくとも一方を使用するのが好ましい。
架橋剤の含有量は、アクリル酸アルキルエステル共重合物100質量部に対して0.01〜5質量部であるのが好ましく、0.03〜3質量部であるのがより好ましい。架橋剤の含有量が5質量部を超えると、熱伝導性粘着シートの柔軟性が不十分になるおそれがある。他方、架橋剤の含有量が0.03質量部未満であると凝集力が足りず、保持力が発現されないおそれがある。
〔添加剤等〕
本形態の熱伝導性粘着シートには、粘着性を向上するために粘着性向上剤(樹脂)を含有させることができる。粘着性向上剤を含有させることによって、使用時においては、例えば、図1に示すように、基板21やLED22等からなる発熱体20、あるいはヒートシンクやグラファイトシート等からなる放熱体30に対する粘着性が向上し、また、輸送・保管中においては、例えば、図2に示すように、粘着シート10を挟む剥離シート11,12等に対する粘着性が向上し、取扱い性が向上する。
本形態の熱伝導性粘着シートには、粘着性を向上するために粘着性向上剤(樹脂)を含有させることができる。粘着性向上剤を含有させることによって、使用時においては、例えば、図1に示すように、基板21やLED22等からなる発熱体20、あるいはヒートシンクやグラファイトシート等からなる放熱体30に対する粘着性が向上し、また、輸送・保管中においては、例えば、図2に示すように、粘着シート10を挟む剥離シート11,12等に対する粘着性が向上し、取扱い性が向上する。
粘着性向上剤としては、例えば、αピネン重合体、βピネン重合体、ジペンテン重合体、テルペン−フェノール、αピネン−フェノール共重合体等のポリテルペン樹脂、エスコレツ(エッソ化学社製)、タッキロール(住友化学社製)、タックエース(三井化学社製)等に代表されるC5系石油樹脂、ペトロジン(三井化学社製)、ハイレジン(東邦化学社製)、アルコン(荒川化学社製)等に代表されるC9系石油樹脂、ロジン、変性ロジン、重合ロジン、ロジンエステル、部分水添ロジン、完全水添ロジン等のロジン系樹脂、DCPD系石油樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、ポリブテン、ポリイソブチレン等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
粘着性向上剤の含有量は、粘着シート全体の質量を基準として、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜8質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%である。0.01質量%未満では十分な粘着性が得られず、他方、10質量%を超えると、柔軟性や熱伝導性が不十分になるおそれがある。
本形態の熱伝導性粘着シートには、本発明による作用効果を阻害しない範囲で、例えば、フィラー、増粘剤、顔料等の他の添加剤を含有することができる。
〔貯蔵弾性率〕
本形態の熱伝導性粘着シートは、25℃における貯蔵弾性率と90℃における貯蔵弾性率との比(25℃貯蔵弾性率/90℃貯蔵弾性率)が1〜30とされているのが好ましく、2〜25とされているのがより好ましく、3〜20とされているのが特に好ましい。本形態の熱伝導性粘着シートは貯蔵弾性率の比が30以下とされていることによって温度の変化に伴う物性の変化が小さく、取扱い性が向上する。
本形態の熱伝導性粘着シートは、25℃における貯蔵弾性率と90℃における貯蔵弾性率との比(25℃貯蔵弾性率/90℃貯蔵弾性率)が1〜30とされているのが好ましく、2〜25とされているのがより好ましく、3〜20とされているのが特に好ましい。本形態の熱伝導性粘着シートは貯蔵弾性率の比が30以下とされていることによって温度の変化に伴う物性の変化が小さく、取扱い性が向上する。
25℃における貯蔵弾性率は特に限定されないが、好ましくは1.0×104〜9.0×106、より好ましくは3.04×10〜3.0×106である。また、90℃における貯蔵弾性率も特に限定されないが、好ましくは1.0×103〜1.0×106、より好ましくは6.0×103〜0.8×105である。なお、貯蔵弾性率の測定方法は、下記実施例に示す通りである。
〔その他〕
本形態の熱伝導性粘着シートの製造方法は特に限定されず、例えば、上記バインダー成分に非イオン界面活性剤や熱伝導性粒子等を混合し、この混合液を剥離ライナー等の支持体面上に被覆し、硬化させることで熱伝導性粘着シートを製造することができる。被覆方法としては、例えば、グラビア印刷法、スプレー法、ディッピング法、ロールコータ法、ダイコーター法等の公知の方法を適宜使用することができる。
本形態の熱伝導性粘着シートの製造方法は特に限定されず、例えば、上記バインダー成分に非イオン界面活性剤や熱伝導性粒子等を混合し、この混合液を剥離ライナー等の支持体面上に被覆し、硬化させることで熱伝導性粘着シートを製造することができる。被覆方法としては、例えば、グラビア印刷法、スプレー法、ディッピング法、ロールコータ法、ダイコーター法等の公知の方法を適宜使用することができる。
本形態の熱伝導性粘着シートの厚みは、15〜200μmであるのが好ましく、25〜150μmであるのがより好ましい。粘着シートの厚みが200μm以上であると形状崩れが生じ易くなり、また、近年薄膜化が求められるようになっている粘着シートに対する要求に沿わなくなる。他方、粘着シートの厚みが15μm未満であると、発熱体や放熱体等の表面に十分密着せず、十分な熱伝導性が得られなくなるおそれがある。
次に、各種試験例を示し、本発明による作用効果を明らかにする。
(アクリル酸アルキルエステル共重合体溶液の調製)
アクリル酸アルキルエステルとして、n−ブチルアクリレート79質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)5質量部、メタクリル酸メチル(MMA)10質量部、カルボキシル酸基含有モノマーとして、アクリル酸(AA)1質量部、粘着性付与剤として酢酸ビニル(VAc)5質量部、を配合したモノマー100質量部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.6質量部を加えて共重合させ(質量平均分子量60万)、アクリル酸アルキルエステル共重合体溶液を得た。
(アクリル酸アルキルエステル共重合体溶液の調製)
アクリル酸アルキルエステルとして、n−ブチルアクリレート79質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)5質量部、メタクリル酸メチル(MMA)10質量部、カルボキシル酸基含有モノマーとして、アクリル酸(AA)1質量部、粘着性付与剤として酢酸ビニル(VAc)5質量部、を配合したモノマー100質量部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.6質量部を加えて共重合させ(質量平均分子量60万)、アクリル酸アルキルエステル共重合体溶液を得た。
(実施例1)
このようにして得たアクリル酸アルキルエステル共重合体(バインダー成分)、非イオン界面活性剤(分散剤。伊藤製油社製:商品名「XD−100」、流動点0℃)、熱伝導性粒子(昭和電工社製:商品名「CB−P05」、球状、粒子径5μm)、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業社製:商品名「コロネートL」)を表1に示す質量割合(固形分換算)で混合し、熱伝導性粘着剤を得た。次いで、この熱伝導性粘着剤を剥離シート(三菱樹脂社製、厚さ75μm)の上に、厚さが100μmとなるように塗工し、100℃に調整した乾燥機で3分間乾燥して試験片(熱伝導性粘着シート)を得た。
このようにして得たアクリル酸アルキルエステル共重合体(バインダー成分)、非イオン界面活性剤(分散剤。伊藤製油社製:商品名「XD−100」、流動点0℃)、熱伝導性粒子(昭和電工社製:商品名「CB−P05」、球状、粒子径5μm)、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業社製:商品名「コロネートL」)を表1に示す質量割合(固形分換算)で混合し、熱伝導性粘着剤を得た。次いで、この熱伝導性粘着剤を剥離シート(三菱樹脂社製、厚さ75μm)の上に、厚さが100μmとなるように塗工し、100℃に調整した乾燥機で3分間乾燥して試験片(熱伝導性粘着シート)を得た。
(実施例2〜11、比較例1〜6)
実施例1について、アクリル酸アルキルエステル共重合体、非イオン界面活性剤、熱伝導性粒子及び架橋剤の種類や質量割合を表1に示す通りに変化させて試験片(熱伝導性粘着シート)を得た。
実施例1について、アクリル酸アルキルエステル共重合体、非イオン界面活性剤、熱伝導性粒子及び架橋剤の種類や質量割合を表1に示す通りに変化させて試験片(熱伝導性粘着シート)を得た。
(実施例12)
実施例1について、バインダー成分をポリウレタン系の粘着剤(ハリマ化成社製:商品名:「PE−108P」)に変えて、試験片(熱伝導性粘着シート)を得た。
実施例1について、バインダー成分をポリウレタン系の粘着剤(ハリマ化成社製:商品名:「PE−108P」)に変えて、試験片(熱伝導性粘着シート)を得た。
(実施例13)
実施例1について、熱伝導性粒子を「昭和電工社製:商品名「AL-43-KT」、鱗片形状、粒子径5μm」に変えて、試験片(熱伝導性粘着シート)を得た。
実施例1について、熱伝導性粒子を「昭和電工社製:商品名「AL-43-KT」、鱗片形状、粒子径5μm」に変えて、試験片(熱伝導性粘着シート)を得た。
(分散性)
塗布前の熱伝導性粘着剤を100ml瓶内に静地保管し、6時間後の外観を観察して、熱伝導性粒子の沈降状況を確認すると伴に、塗布後の熱伝導性粒子の凝集状況を確認して、以下の基準により3段階評価した。
○:熱伝導性粒子の沈降がなく、凝集物の発生もない。
△:熱伝導性粒子が若干沈降したか、又は若干の凝集物が発生したが、実使用可能。
×:熱伝導性粒子が沈降したか、又は凝集物が発生し、実使用不可能。
塗布前の熱伝導性粘着剤を100ml瓶内に静地保管し、6時間後の外観を観察して、熱伝導性粒子の沈降状況を確認すると伴に、塗布後の熱伝導性粒子の凝集状況を確認して、以下の基準により3段階評価した。
○:熱伝導性粒子の沈降がなく、凝集物の発生もない。
△:熱伝導性粒子が若干沈降したか、又は若干の凝集物が発生したが、実使用可能。
×:熱伝導性粒子が沈降したか、又は凝集物が発生し、実使用不可能。
(貯蔵弾性率)
試験片(熱伝導性粘着シート)を10mm×10mm×0.6mmの大きさに加工し、動的粘弾性測定装置(日本シーベルヘグナー社製、型番:MCR301、測定温度範囲−40〜190℃、昇温速度3℃/mm、周波数1Hz)を使用して測定した。
試験片(熱伝導性粘着シート)を10mm×10mm×0.6mmの大きさに加工し、動的粘弾性測定装置(日本シーベルヘグナー社製、型番:MCR301、測定温度範囲−40〜190℃、昇温速度3℃/mm、周波数1Hz)を使用して測定した。
(ボールタック)
JIS Z 0237(J.Dow法)に準拠して測定した。詳細には、30°に傾斜させた傾斜板に試験片を貼り付け、この試験片の上でボールを転がし、測定部内で停止する最大のボールナンバーをボールタック値とした。
JIS Z 0237(J.Dow法)に準拠して測定した。詳細には、30°に傾斜させた傾斜板に試験片を貼り付け、この試験片の上でボールを転がし、測定部内で停止する最大のボールナンバーをボールタック値とした。
(保持力)
JIS Z 0237(1980年制定(2000改訂))の保持力試験に準拠して測定た。より詳細には、まず、片面に厚さ40μmのSUSシートを貼り合わせ、25mm×25mmの大きさに切り出した試験片を、SUS304板に圧着させた。次いで、温度130℃の環境下においてSUS304板と試験片が垂直に垂れ下がるようにし、試験片の端部に1kgの荷重をかけ、17時間後のずれた距離を測定し、又は試験片から落下するか否かを確認した。
JIS Z 0237(1980年制定(2000改訂))の保持力試験に準拠して測定た。より詳細には、まず、片面に厚さ40μmのSUSシートを貼り合わせ、25mm×25mmの大きさに切り出した試験片を、SUS304板に圧着させた。次いで、温度130℃の環境下においてSUS304板と試験片が垂直に垂れ下がるようにし、試験片の端部に1kgの荷重をかけ、17時間後のずれた距離を測定し、又は試験片から落下するか否かを確認した。
(寸法の変形)
10mm×10mm大きさに加工した試験片(熱伝導性粘着シート)に3kgの荷重をかけたものを、25℃から90℃まで3時間かけてほぼ一定速度で昇温し、90℃で1時間保持後、90℃から25℃まで3時間かけてほぼ一定速度で降温させ、寸法の変形を測定した。
10mm×10mm大きさに加工した試験片(熱伝導性粘着シート)に3kgの荷重をかけたものを、25℃から90℃まで3時間かけてほぼ一定速度で昇温し、90℃で1時間保持後、90℃から25℃まで3時間かけてほぼ一定速度で降温させ、寸法の変形を測定した。
(粘着力)
JIS Z 0237(1980年制定(2000改訂))180度引き剥がし粘着力試験に準拠して測定した。より詳細には、片面に40μm厚のSUSシートに貼りあわせ、25mm幅に切り出した試験片を、SUS304板に圧着させ、島津製作所社製の引張り試験機を使用して、24時間後の粘着力を測定した。
JIS Z 0237(1980年制定(2000改訂))180度引き剥がし粘着力試験に準拠して測定した。より詳細には、片面に40μm厚のSUSシートに貼りあわせ、25mm幅に切り出した試験片を、SUS304板に圧着させ、島津製作所社製の引張り試験機を使用して、24時間後の粘着力を測定した。
(熱伝導性)
ネッチ社製の「LFA457」を使用し、レーザーフラッシュ法にて常温時の熱伝導率を測定した。
ネッチ社製の「LFA457」を使用し、レーザーフラッシュ法にて常温時の熱伝導率を測定した。
(絶縁破壊電圧(強度))
JIS C 2110―1(1980年制定(2000改訂))の絶縁破壊電圧試験に準拠して測定した。電圧印加は短時間法を用い、空気中、23℃で、多摩電測社製の耐圧試験機を使用して測定した。
JIS C 2110―1(1980年制定(2000改訂))の絶縁破壊電圧試験に準拠して測定した。電圧印加は短時間法を用い、空気中、23℃で、多摩電測社製の耐圧試験機を使用して測定した。
本発明は、熱伝導性を有する粘着シートとして適用可能である。
10…熱伝導性粘着シート、10x…熱伝導性粒子、20…発熱体、30…放熱体。
Claims (4)
- バインダー成分と、熱伝導性粒子と、を含有する熱伝導性粘着シートであって、
分散剤として、高級脂肪酸、高級脂肪酸のエステル、高級脂肪酸のエーテル、高級アルコール、高級アルコールのエステル及び高級アルコールのエーテルからなる群から選択された少なくとも1種の成分を含む流動点が−20〜30℃の化合物を含有し、
当該化合物の含有量が0.01〜10質量%、前記熱伝導性粒子の含有量が40〜92質量%とされている、
ことを特徴とする熱伝導性粘着シート。 - 前記熱伝導性粒子が平均粒子径0.1〜30μmの球状粒子である、
請求項1記載の熱伝導性粘着シート。 - 前記化合物が非イオン界面活性剤である、
請求項1又は請求項2記載の熱伝導性粘着シート。 - 前記バインダー成分がアクリル酸アルキルエステル共重合物であり、
イソシアネート系及び/又はエポキシ系の架橋剤を含有し、
25℃における貯蔵弾性率と90℃における貯蔵弾性率との比(25℃貯蔵弾性率/90℃貯蔵弾性率)が1〜30とされている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導性粘着シート。
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