JP2013159296A - 自動車の車体前部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フロントサイドフレーム7,7と、車体フロアの前部とに渡って、サスペンション部品や電動パワーステアリング装置を支持するサブフレーム22が、少なくとも前端部と後端部で支持され、サブフレーム22は、軽合金の鋳物で形成されたサブフレーム本体23と、このサブフレーム本体に固定され前記サブフレーム本体23の前方に延出し、軽合金または鋼でプレス成形された左右一対の延長アーム24,24とを備え、延長アーム24の後部であってサブフレーム本体23の近傍に、車両前面衝突時の入力荷重によりサブフレーム22の前後方向中途部で下方に向かって折れ曲がる起点となる凹み形状部32を備えている。
【選択図】図20
Description
また、サブフレームを剛性の高いアルミニウム合金で形成し、このサブフレームに支持されるサスペンションアームに前突荷重が作用すると、サブフレーム後端のサスペンションアーム後端締結部の前の脆弱部が破壊して衝突エネルギーを吸収するものがある(特許文献2参照)。
後者の技術においては、サブフレームの上に固定する電動パワーステアリング装置などがエンジン、トランスミッションに押圧されて後方に移動すると、ダッシュボードパネルを押圧して変形させてしまうという課題がある。
また、軽合金の鋳物で形成されたサブフレーム本体を備えているため、サスペンション部品の支持剛性を高め走行安定性を高めながら、軽量化を図ることができる。
そして、軽合金または鋼でプレス成形された左右一対の延長アームを備えているため、車両前面衝突時における延長アームの折れ変形によって車両前面衝突時におけるエネルギー吸収を行なうことができる。
請求項2に記載した発明によれば、車両前面衝突時においてサブフレームの延長アームが脆弱起点部を起点にして下側に屈曲しようとすると、サブフレームのサブフレーム本体の中間締結部が下側に力を受け、サブフレーム本体の中間締結部とフロントサイドフレームとを締結している締結具のフロントサイドフレーム側の中間締結部挿通孔、あるいはサブフレーム本体側の中間締結部の挿通孔の何れか一方の離脱用切欠きが破断して、締結具とフロントサイドフレームあるいは締結具と中間締結部とを分離させる。これにより、サブフレーム本体の中間締結部がフロントサイドフレームから離脱して、サブフレームの延長アームの脆弱起点部を起点とする屈曲変形を許容する。
請求項3に記載した発明によれば、サブフレーム本体に設けられたサスペンション部品であるスタビライザの挿通凹部の開口部を、パワーステアリング装置のステアリングギヤボックスで閉塞するようにして、パワーステアリング装置がサブフレーム本体の上部に取付けられているため、剛性は高いが軽金属の鋳物で成型されて割れ易いサブフレーム本体の挿通凹部を起点とする割れを、ステアリングギヤボックスにより挿通凹部が閉じる方向への変形を阻止することで防止できる。
請求項4に記載した発明によれば、車両前面衝突時の衝撃荷重を延長アーム及びサブフレーム本体を経てフロアセンタフレームを介して車体フロアに分散させることができる。
請求項5に記載した発明によれば、車両前面衝突時の衝撃荷重が延長アームの後端部とサブフレーム本体との結合部分に作用しても、サブフレーム本体に対して3本の締結具により回り止めされた延長アームは水平方向に回動することはなく、延長アームの脆弱起点部を起点とした下側への屈曲変形を促すことができる。
請求項6に記載した発明によれば、車両前面衝突時に作用する衝撃荷重を強固な部位であるロアアーム後端支持部に作用させることができると共に、サブフレーム本体の重心が延長アームの重心よりも高い位置となるため、車両前面衝突時においてサブフレーム本体によって延長アームの脆弱起点部よりも後方部分を上方向に回動させるモーメントを作用させることができ、延長アームを確実に下向きに屈曲させることができる。また、サブフレームの延長アームの上方にエンジンの配置スペースを十分に確保できる。
請求項7に記載した発明によれば、サブフレームによりフロントバルクヘッドの剛性を高めることができる。
図1は、自動車の車体の前部を下側から見た斜視図である。図1に車体前部構造を示すように、フロントフロアパネル1の前端部にはダッシュボードパネル2の後端部が接続されている。ダッシュボードパネル2は後端部がフロントフロアパネル1と同様に平坦に形成され、前側が斜め前方に向かって立ち上がり、車室とエンジンルームとを隔成している。尚、ダッシュボードパネル2の平坦な部分及び前方で立ち上がり始める部分もフロントフロアパネル1と共に車体フロアとして構成される。
ホイルハウス10の上側にはホイルハウスアッパメンバ11が接合され、ホイルハウスアッパメンバ11の前端部にホイルハウスロアエクステンション12の前端部が接合され、ホイルハウスロアエクステンション12の後端部がフロントサイドフレーム7の側部に接合されている。
尚、フロアフレーム5の前端部とフロントサイドフレームリヤエンド6の後端部はフロントフロアパネル1を挟んで互いに重なり合う部分が存在し、各々が他と重なり合う部分では、先端部に向かうほど徐々に断面積が小さくなるように形成されて、フロントフロアパネル1の表裏に接合されている。
ここで、フロントサイドフレーム7の後端部にはサブフレーム中間結合孔18が形成され、フロントサイドフレームリヤエンド6の前端部にはロアアームの後端支持ブラケット外側取付孔19が形成されている。尚、ダッシュボードパネル2には前端延長部14の前側にステアリングシャフト挿通孔20が形成されている。
図3〜図5に示すように、フロントサイドフレーム7,7と、フロントフロアパネル1の前部とに渡って、図示しないロアアーム、タイヤ等を含むサスペンション部品や電動パワーステアリング装置EPS(後述)を支持するサブフレーム22が、前端部と後端部と前後方向中央部で支持されている。具体的には、フロントサイドフレーム7,7に取付けられたフロントバルクヘッド8の下部両端コーナー部とフロントフロアパネル1に取付けられたフロアセンタフレーム13前端の前端延長部14とに渡って、サブフレーム22が固定されている。
後端取付部27は、サブフレーム本体23の前部コーナー部を下側から支持する取付板27lと上側の上取付片27uとこれら連続させる前壁27fとで構成されている。
延長アーム本体24aの後端部には、後端取付部27の前壁27fへの取付部からやや前側に凹み形状部32が形成されている。この凹み形状部32は側面から見てくびれている部位であって、通常は何ら折れ曲がるようなことはないが、車両前面衝突時の所定の入力荷重によりサブフレーム22の前後方向中途部で下方に向かって折れ曲がる起点となる。この凹み形状部32が、これを起点として延長アーム本体24a、つまり延長アーム24が下側に折れ曲がる脆弱起点部を構成している。
ここで、凹み形状部32は延長アーム24の前端取付部29よりも低い位置に形成されている。また、サブフレーム22は凹み形状部32の後方部分に上部取付アーム部25を備えることになる。凹み形状部32は上部材24auと下部材24alの双方が縮径して凹み形状部32を形成している。尚、上部材24auのみに凹み形状部32を設けてもよい。
具体的には、支持ブラケット39は図示しない軸受け部材をU字状態に取り囲むように構成されていて、外側の端部の挿通孔42に下方から挿入された支持ボルト40が後端支持ブラケット外側取付孔19(図2参照)に締付固定され、内側の端部がサブフレーム本体23の取り付け部に固定ボルト41により締結固定されている。
これにより、延長アーム24,24が凹み形状部32を起点として下側に折れた際に、支持ブラケット39が支持ボルト40を残して離脱してロアアーム38が下方へ変位するのを許容している。したがって、離脱用切欠き43の大きさは、サブフレーム22が折れ曲がる際に下向きに作用する荷重に対応して決められている。
図14は締結部44を車室内から見た一部切欠き斜視図である。図15は図14のB−B線に沿う(締結ボルト45を除いた)断面図である。図14、図15に示すように、締結部44に挿通された締結ボルト45は、サブフレーム後端取付座15の裏面に溶接されたウエルドナット46に締結されている。このウエルドナット46の周囲には、このウエルドナット46の外形よりも大きい直径でウエルドナット46を取り囲むように補強板47が重合して溶接固定されている。
図17はサブフレーム本体近傍の断面図、図18は電動パワーステアリング装置の配置状態を示す斜視図、図19は車体前部の側面説明図である。
図17〜図19に示すように、サブフレーム本体23の上部取付アーム部25と締結部44との間には、サスペンション部品であるスタビライザ52が車幅方向に挿通される挿通凹部53が形成されている。この挿通凹部53は下部が断面弧状に形成され上側に行くほど前後の壁が互いに開くように形成されている。挿通凹部53の上に、サブフレーム本体23の上面に取り付けられた電動パワーステアリング装置EPSのステアリングギヤボックスGが挿通凹部53の開口部54を閉塞する位置に設けられている。
そして、左右のロアアーム38に渡って取り付けられたスタビライザ52が、サブフレーム本体23の挿通凹部53の下部に挿通され、スタビライザ52の両端部はサブフレーム本体23のスタビライザ支持座59にブラケット60を介して回動可能に支持されている。
ここで、図20に示すように、一定以上の前突荷重(矢印F)が作用して、フロントバルクヘッド8の下部に後ろ向きの荷重が作用すると、サブフレーム22の延長アーム24,24が凹み形状部32を起点として下側(矢印U)に折れ曲がるため、サブフレーム22に支持されたサスペンション部品であるロアアーム38や車載部品である電動パワーステアリング装置EPSを下方(矢印D)に変位させることができる。
そして、サブフレーム22は軽合金または鋼でプレス成形された左右一対の延長アーム24,24を備えているため、車両前面衝突時における延長アーム24,24の折れ変形によっても車両前面衝突時におけるエネルギー吸収を行なうことができる。
延長アーム24の先端がフロントバルクヘッド8の下部両端コーナー部に接続されているため、サブフレーム22によりフロントバルクヘッド8の剛性を高めることができる。
1 フロントフロアパネル(車体フロア)
2 ダッシュボードパネル(車体フロア)
38 ロアアーム(サスペンション部品)
52 スタビライザ(サスペンション部品)
EPS 電動パワーステアリング装置(車載部品、パワーステアリング装置)
22 サブフレーム
29 前端取付部(前端部)
44 締結部(後端部)
23 サブフレーム本体
24 延長アーム
32 凹み形状部(脆弱起点部)
25 上部取付アーム部(中間締結部)
33 連結ブラケット
34 固定ボルト(締結具)
36 ボルト挿入孔(中間締結部挿通孔)
37 離脱用切欠き
53 挿通凹部
G ステアリングギヤボックス
54 開口部
13 フロアセンタフレーム
26 締結ボルト(締結具)
38 ロアアーム
21 支持部(前端支持部)
8 フロントバルクヘッド
Claims (7)
- 車体前部の左右に車体前後方向に沿って配置されたフロントサイドフレームと、車体フロアの前部とに渡って、サスペンション部品や車載部品を支持するサブフレームが、少なくとも前端部と後端部で支持され、前記サブフレームは、後部で前記サスペンション部品や車載部品を支持する軽合金の鋳物で形成されたサブフレーム本体と、このサブフレーム本体に固定され前記サブフレーム本体の前方に延出し、軽合金または鋼でプレス成形された左右一対の延長アームとを備え、前記延長アームの後部であって前記サブフレーム本体の近傍に、車両前面衝突時の入力荷重により前記サブフレームの前後方向中途部で下方に向かって折れ曲がる起点となる脆弱起点部を備えていることを特徴とする自動車の車体前部構造。
- 前記サブフレーム本体は前端部にフロントサイドフレームに固定される中間締結部を備え、前記中間締結部と前記フロントサイドフレームとが締結具により締結され、前記フロントサイドフレームに設けられた前記締結具の中間締結部挿通孔あるいは前記中間締結部に設けられた前記締結具の挿通孔の何れか一方に、前記中間締結部が下方に荷重を受けた場合に破断して前記中間締結部の下方への移動を許容する前記締結具の離脱用切欠きが設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動車の車体前部構造。
- 前記サブフレーム本体の上面には、前記サブフレーム本体の前記中間締結部と、前記サブフレーム本体の前記後端部との間に、前記サスペンション部品であるスタビライザが車幅方向に挿通される挿通凹部が形成され、前記サブフレーム本体の上部にパワーステアリング装置が固定され、このパワーステアリング装置のステアリングギヤボックスが前記挿通凹部の開口部を閉塞する位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動車の車体前部構造。
- 前記サブフレーム本体は台形状に形成され、左右一対の前記延長アームは前方に行くほど幅が広くなる末広がり状に配置され、前記サブフレーム本体の後端部が車体フロアに取付けられたフロアセンタフレームに接続されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の自動車の車体前部構造。
- 前記延長アームの後端部は上下方向に挿通され三角形状に配置した3本の締結具により前記サブフレーム本体に固定されていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の自動車の車体前部構造。
- 前記延長アームの後端部は、前記サブフレーム本体の前端部に設けられたロアアームの前端支持部を上下から挟み込んで固定されて、前記延長アームは前記サブフレーム本体の底面に沿って前方に延出することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の自動車の車体前部構造。
- 前記各延長アームの先端は各々車体前部に配置されたフロントバルクヘッドの下部コーナー部に接続されることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の自動車の車体前部構造。
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