JP2013159250A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】操縦安定性、耐摩耗性および耐久性を低下させることなく軽量性に優れた空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】カーカスと、トレッド部と、少なくとも2枚のベルト層からなるベルトと、を備える空気入りラジアルタイヤである。第1ベルト層と第2ベルト層の補強材が2本の無撚りのコードの束であり、全フィラメント径をa(mm)としたとき、隣接する束同士の間隔が、外接円の間隔よりも期待値としてa/4(mm)以上増加し、束の少なくとも一部が、隣接する束との間隔がa/4以上増加する束間を有し、第1ベルト層と第2ベルト層の間隔をA、第1ベルト層のコードのタイヤ径方向内面端と第1ベルト層内面の距離をB、第2ベルト層のコードタイヤ径方向外面端と第2ベルト層の外面の距離をCとしたき、
A/2<B、かつ、A/2<C
を満たし、第2ベルト層端に厚みが1.0mm未満のベルト間ゴムが配置されている。
【選択図】図2
【解決手段】カーカスと、トレッド部と、少なくとも2枚のベルト層からなるベルトと、を備える空気入りラジアルタイヤである。第1ベルト層と第2ベルト層の補強材が2本の無撚りのコードの束であり、全フィラメント径をa(mm)としたとき、隣接する束同士の間隔が、外接円の間隔よりも期待値としてa/4(mm)以上増加し、束の少なくとも一部が、隣接する束との間隔がa/4以上増加する束間を有し、第1ベルト層と第2ベルト層の間隔をA、第1ベルト層のコードのタイヤ径方向内面端と第1ベルト層内面の距離をB、第2ベルト層のコードタイヤ径方向外面端と第2ベルト層の外面の距離をCとしたき、
A/2<B、かつ、A/2<C
を満たし、第2ベルト層端に厚みが1.0mm未満のベルト間ゴムが配置されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、空気入りラジアルタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、操縦安定性、耐摩耗性および耐久性を低下させることなく軽量性に優れた空気入りラジアルタイヤに関する。
現在、乗用車用ラジアルタイヤの骨格をなすカーカスの補強部材、特にカーカスのクラウン部の補強部材として一般に用いられているベルトは、主としてタイヤの赤道面に対し傾斜配列されたスチールコードのゴム引き層からなるスチールベルト層を2枚以上用い、これらベルト層中のスチールコードが互いに交差するようにして構成されている。
従来より、ベルト層の改良に関して、種々の検討がなされてきている。例えば、特許文献1には、補強素子を数本以内の束とし、その束を一定の分散で打ち込むことにより、ベルトの耐久性を向上させる技術が開示されている。また、特許文献2には、ベルトの補強材として(1×2)構造のスチールコードを用いることにより、ベルト端で発生するセパレーション(BES)を抑制することができること、およびタイヤの軽量化が図れること、が開示されている。
近年、自動車の高性能化に伴い、タイヤの耐久性のみならず、操縦安定性や耐摩耗性等についても高い性能が求められるようになってきている。また、自動車の燃費向上のために、タイヤの軽量化はさらに重要な課題となってきている。このような現状においては、特許文献1および2記載のベルト構造では、必ずしも十分なものとは言えなくなってきており、新たな技術の開発が望まれている。
そこで、本発明の目的は、操縦安定性、耐摩耗性および耐久性を低下させることなく軽量性に優れた空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、ベルトを所定の構造とすることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、左右一対のビードコア間にわたりトロイド状をなして跨る少なくとも1枚のカーカス層からなるカーカスと、該カーカスのクラウン領域のタイヤ径方向外側に配設されて接地部を形成するトレッド部と、該トレッド部と前記カーカスのクラウン領域との間に配置されて補強部を形成する、少なくとも2枚のベルト層からなるベルトを備える空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記ベルトの1層目の第1ベルト層と2層目の第2ベルト層の補強材が2本のコードを撚らずに揃えた束であり、かつ、前記コードを構成する全てのフィラメントの径が同径であり、その径をa(mm)としたとき、隣り合う前記束同士の間隔が、前記コードの外接円を用いて表した間隔よりも期待値としてa/4(mm)以上増加し、かつ、前記束の少なくとも一部におけるコード2本が、外接円を用いて表した幅よりもa/4(mm)以上接近して配置されることにより、隣り合う束との間隔がa/4以上増加する束間を有し、
前記第1ベルト層と前記第2ベルト層のコード間隔をA、第1ベルト層のコードのタイヤ径方向内面端と第1ベルト層のタイヤ径方向内面の距離をB、第2ベルト層のコードタイヤ径方向外面端と第2ベルト層のタイヤ径方向外面の距離をCとしたき、
A/2<B、かつ、A/2<C
で表わされる関係を満足し、
前記第2ベルト層端における前記第1ベルト層と第2ベルト層に厚みが1.0mm未満のベルト間ゴムが配置されていることを特徴とするものである。
前記ベルトの1層目の第1ベルト層と2層目の第2ベルト層の補強材が2本のコードを撚らずに揃えた束であり、かつ、前記コードを構成する全てのフィラメントの径が同径であり、その径をa(mm)としたとき、隣り合う前記束同士の間隔が、前記コードの外接円を用いて表した間隔よりも期待値としてa/4(mm)以上増加し、かつ、前記束の少なくとも一部におけるコード2本が、外接円を用いて表した幅よりもa/4(mm)以上接近して配置されることにより、隣り合う束との間隔がa/4以上増加する束間を有し、
前記第1ベルト層と前記第2ベルト層のコード間隔をA、第1ベルト層のコードのタイヤ径方向内面端と第1ベルト層のタイヤ径方向内面の距離をB、第2ベルト層のコードタイヤ径方向外面端と第2ベルト層のタイヤ径方向外面の距離をCとしたき、
A/2<B、かつ、A/2<C
で表わされる関係を満足し、
前記第2ベルト層端における前記第1ベルト層と第2ベルト層に厚みが1.0mm未満のベルト間ゴムが配置されていることを特徴とするものである。
本発明においては、前記ベルト層の厚みは0.70mmより大きく1.05mm未満であることが好ましい。また、本発明においては、前記フィラメント径は0.23〜0.260mmであることが好ましい。さらに、本発明においては、前記コードは(1×2)構造または(1+1)構造であることが好ましい。
本発明によれば、操縦安定性、耐摩耗性および耐久性を低下させることなく軽量性に優れた空気入りラジアルタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施の形態に係る空気入りラジアルタイヤを示す。図示するタイヤは、カーカスのクラウン領域に配設されて接地部を形成するトレッド部1と、このトレッド部1の両側部に連続してタイヤ半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部2と、各サイドウォール部2の内周側に連続するビード部3とを備えている。
図1に、本発明の一実施の形態に係る空気入りラジアルタイヤを示す。図示するタイヤは、カーカスのクラウン領域に配設されて接地部を形成するトレッド部1と、このトレッド部1の両側部に連続してタイヤ半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部2と、各サイドウォール部2の内周側に連続するビード部3とを備えている。
トレッド部1、サイドウォール部2およびビード部3は、一方のビード部3から他方のビード部3にわたってトロイド状に延びる一枚のカーカス層からなるカーカス4により補強されている。また、トレッド部1は、以下で詳述する、カーカス4のクラウン領域のタイヤ径方向外側に配設した少なくとも2層、図示する例では2層の第1ベルト層5aと第2ベルト層5bとからなるベルトにより補強されている。ここで、カーカス4のカーカス層は複数枚としてもよく、タイヤ周方向に対してほぼ直交する方向、例えば、70〜90°の角度で延びる有機繊維コードを好適に用いることができる。
本発明においては、第1ベルト層5a、第2ベルト層5bを構成する補強材は、2本のコードを撚らずに揃えた束である。コード2本の束とすることにより、コードを束としない場合と比べて、ベルト層中の補強材の間隔が広くなり、ベルト幅方向端部のコード端を起点としたゴム剥離が容易に隣り合うコード間に伝播する、BESを抑制することができる。これにより、ベルトの耐久性を向上させることができる。また、本発明においては、コードを構成する全てのフィラメントの径を同径とし、その径をa(mm)としたとき、隣り合う束同士の間隔が、コードの外接円を用いて表した間隔よりも期待値としてa/4(mm)以上、好ましくは4a/11(mm)以上増加する。図2(a)〜(c)は、ベルト層の補強材として、(1×2)構造のコード2本を束6とした場合、図3(a)〜(c)は、(1+1)構造のコード2本を束16とした場合のコード束の断面の変化の例を示す断面図であり、まず、図2および図3を用いてコード径の変化について説明する。
通常、コード径Dcは、図2(a)に示す様に、フィラメント7の外接円8の直径により表わされている。しかしながら、(1×2)構造のコードは2本のフィラメント7を撚り合わせたコードであるため、コード内(外接円8内)でフィラメント7の位置が連続的に変化している。例えば、フィラメント7の位置が図2(b)、(c)のように45°ずつ変化すると、水平方向における実際のコード径は、外接円8より減少することになる。(1+1)構造のコードについても同様であり、図3(a)〜(c)に示す様に、フィラメント17の位置が、図3(b)、(c)のように45°ずつ変化すると、水平方向における実際のコード16の径は、外接円18より減少することになる。
本発明のタイヤは、ベルトの補強材として、コードを2本束にして用いているが、上述のように、ベルト幅方向でコード径が変化すると、隣り合う束同士の間隔も、コード径の変化に合わせて、連続的に変化することになる。すなわち、隣り合う束同士の間隔に広い部分と狭い部分が現れることになる。この束同士の間隔が広い部分が存在することにより、BESを効果的に抑制することができる。その結果、ベルトの耐久性がさらに向上することになる。また、束同士の間隔が狭い部分が存在するため、ベルトの剛性が向上し、操縦安定性および耐摩耗性を確保することができる。
次に、束間隔の増加量の期待値の算出方法について説明する。図4および図5は、(1×2)構造のコード2本を束とした場合の、束間隔の増加量の期待値を算出するための説明図である。まず、図4(a)に示す様に、隣り合う束6同士の近接するコードの一方をコードX、他方をコードYとし、コードXとコードYのそれぞれの外接円間の距離をWとする。次に、水平方向において、コードXおよびコードYの外接円間の距離と、コードXおよびコードYのフィラメント間距離と、が等しい状態をコードXおよびコードYの基本状態(図4(a))とする。図4(a)〜(h)は、例として、コードXが1ピッチで360°回転する場合において、基本状態からコードXを45°ずつ回転させた場合の断面形状をそれぞれ示す。図4(b)を参照するに、基本状態からコードXを45°回転させることにより、コードXとコードYの実際の間隔は、Wよりxz2だけ増加する。さらに、コードXを45°ずつ回転させると(図4(c)〜(h))、コードXとコードYの実際の間隔の増加量は、xz3〜xz8だけ変化する。なお、基本状態(図4(a))および基本状態から180°回転した状態(図4(e))のxz1およびxz5は0である。
コードYについても同様に、コードYが1ピッチで360°回転する場合において、コードYを45°ずつ回転させた場合の断面形状を、図5(a)〜(h)としてそれぞれ示す。図示するように、基本状態(図5(a))からコードYを45°回転させることにより(図5(b))、コードXとコードYの実際の間隔は、Wよりyz2だけ増加する。さらに、45°ずつ回転させると(図5(c)〜(h))、コードXとコードYの実際の間隔の増加量は、yz3〜yz8だけ変化することになる。
ここまでは、束間隔の増加量の算出の方法として、コードXおよびコードYを45°ずつ回転させた場合を例に挙げて説明してきたが、本発明においては、同様の考え方に基づき、コードXおよびコードYが1ピッチで360°回転する場合において、コードXおよびコードYを基本状態から1°ずつ回転させ、xz1〜xz360およびyz1〜yz360を求める。得られた値を基に、下記式、
により、束間隔の増加量の期待値を算出する。なお、コード構造が(1×2)構造を例として説明したが、他の構造のコードについても同様の手順で算出することができる。
により、束間隔の増加量の期待値を算出する。なお、コード構造が(1×2)構造を例として説明したが、他の構造のコードについても同様の手順で算出することができる。
上記式により算出された束間隔の増加量の期待値が、a/4(mm)以上、好ましくは4a/11(mm)以上増加するコードを、2本束としてベルトの補強材として用いることにより、操縦安定性、耐摩耗性を低下させることなく軽量性に優れた空気入りラジアルタイヤを得ることができる。上記関係を満足するコード構造としては、(1×2)構造、(1+1)構造等が挙げられる。
また、コード径が変化すると、第1ベルト層5aと第2ベルト層5bのコード間距離が変動するように、隣り合う束同士の間隔も、コード径の変化に合わせて、連続的に変化することになる。すなわち、隣り合う束同士の間隔に広い部分と狭い部分が現れることになる。この束同士の間隔が広い部分が存在することにより、ベルト幅方向端部のコード端を起点としたゴム剥離が容易に隣り合うコード間に伝播するBESを、より効果的に抑制することができる。その結果、ベルトの耐久性がさらに向上することになる。また、束同士の間隔が狭い部分が存在するため、ベルトの剛性を維持することができる。
さらに、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいては、コード束の少なくとも一部におけるコード2本が外接円を用いて表した幅よりもa/4(mm)以上接近して配置されることにより、実際の束幅がその分だけ減少し、隣り合う束との間隔がa/4以上増加する束間を有している。図6(a)、(b)は、(1×2)構造のコード2本を束にした場合の束幅を説明するための概略断面図である。従来、2本のコードを撚らずに揃えた束36とした場合、束間隔は、2本のコードの外接円38の合計と考えられていた。(1×2)構造のコードの場合、図6(a)に示す様に、2本のフィラメント37が同一ピッチで撚り合わされたコード2本を、位相が一致するように束ねられた場合は、コード束の幅はコードの外接円38の合計になる。
しかしながら、図6(b)に示す様に、(1×2)構造のコードは凹凸が大きいため、2本のコードの位相をずらして束ねると、一方のコードの外接円38が他方のコードの外接円38に食い込むことが可能となる。そのため、コード束36の束幅は、外接円38が重なり合う領域wだけ、外接円38の合計よりも小さくなる。その結果、隣り合う束との間隔が広くなるため、同じ打込み本数であっても、束間隔を広くすることができ、ベルトの耐久性を向上させることができる。かかる効果を良好に得るためには、隣り合う束との間隔がa/4(mm)以上増加する束間が全体の束間の30%以上であることが好ましい。(1+1)構造のコードについても同様に考えることができる。
図7は、本発明の一好適例の空気入りラジアルタイヤのベルトの部分断面図である。図示するように、本発明の空気入りラジアルタイヤは、第1ベルト層5aと第2ベルト層55bのコード間隔をA、第1ベルト層5aのコードのタイヤ径方向内面端と第1ベルト層5aのタイヤ径方向内面の距離をB、第2ベルト層5bのコードのタイヤ径方向外面端と第2ベルト層5bのタイヤ径方向外端の距離をCとしたき、
A/2<B、かつ、A/2<C、好適には、
0.1mm<B、かつ、0.1mm<C
で表わされる関係を満足する。すなわち、第1ベルト層5aおよび第2ベルト層5bとして、表裏で被覆ゴム層の厚さが異なるベルトトリートを用い、かつ、それぞれの被覆ゴム層の薄い側同士を張り合わせる。これにより、第1ベルト層5aと第2ベルト層5bのコード間隔が小さくなり、ベルトの剛性が向上する。その結果、操縦安定性および耐摩耗性が向上する。また、第1ベルト層5aのタイヤ径方向内側および第2ベルト層5bのタイヤ径方向外側の被覆ゴム層が厚くなることで、タイヤ内外から到達する酸素によるベルト層間の被覆ゴム層の酸素劣化を低減することができる。
A/2<B、かつ、A/2<C、好適には、
0.1mm<B、かつ、0.1mm<C
で表わされる関係を満足する。すなわち、第1ベルト層5aおよび第2ベルト層5bとして、表裏で被覆ゴム層の厚さが異なるベルトトリートを用い、かつ、それぞれの被覆ゴム層の薄い側同士を張り合わせる。これにより、第1ベルト層5aと第2ベルト層5bのコード間隔が小さくなり、ベルトの剛性が向上する。その結果、操縦安定性および耐摩耗性が向上する。また、第1ベルト層5aのタイヤ径方向内側および第2ベルト層5bのタイヤ径方向外側の被覆ゴム層が厚くなることで、タイヤ内外から到達する酸素によるベルト層間の被覆ゴム層の酸素劣化を低減することができる。
図8は、本発明の一好適例の空気入りラジアルタイヤに係るベルト端部近傍の断面図である。本発明のタイヤにおいては、ベルトの耐久性をさらに向上させるために、第2ベルト層端における第1ベルト層5aと第2ベルト層5bの間にベルト間ゴム9を配置する。ベルト間ゴム9の厚みは、タイヤの軽量効果と耐久性の確保の観点から、ベルト間ゴム9の厚みtは1.0mm未満とする。なお、ベルト間ゴム9の厚みtを1.0mm以上とすると、操縦安定性が低下してしまうおそれがある。
本発明においては、ベルトへの補強材の打込み数は35〜65本/50mmであることが好ましく、より好ましくは40〜59本/50mmである。打込み数が、上記範囲未満の場合は、引張強度を確保することができなくなる場合があり好ましくなく。一方、打込み数が上記範囲より多いと、束間隔を確保することが困難になり、有効にBESを抑制することが困難になり、耐久性が低下する場合があるため、やはり好ましくない。
本発明においては、タイヤの軽量化と耐久性の向上の観点から、ベルト層の厚みは0.70mmより大きく1.20mm未満であることが好ましい。ベルト層の厚みが0.70mm以下では、十分な耐久性を得ることができない場合がある。一方、ベルト層の厚みが1.20mm以上であると、十分な軽量効果を得ることができない場合がある。より好ましくは0.75〜1.00mmである。
本発明においては、コードを構成するフィラメントのフィラメント径は0.23〜0.30mmであることが好ましい。フィラメント径が0.23未満であると、十分な強力を発揮することができない場合がある。一方、フィラメント径が0.30より大きいと、ベルトが厚くなってしまい、十分な軽量効果を得ることができないことがある。
なお、本発明においては、各フィラメントの撚り方向、撚りピッチ等の条件については、特に制約されるものではなく、用途に応じて、常法に従い適宜構成することが可能である。また、フィラメントの材質等については特に制限はないが、スチールフィラメントが好適である。スチールフィラメントとしては、引張り強さは、好適には2700N/mm2以上のものを好適に用いることができる。高い抗張力を有するモノフィラメントコードとしては、少なくとも0.72質量%、特には少なくとも0.82質量%の炭素を含有するものを、好適に用いることができる。
本発明の空気入りラジアルタイヤは、ベルトの構造が上記要件を満足するものであれば、それ以外の具体的なタイヤ構造については、特に制限されるものではない。また、タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実施例1〜5>
下記表1に示す構造のスチールコードを2本束にしてベルト補強材とし、得られたベルト補強材を用いて図1に示すタイプのタイヤを、タイヤサイズ225/45R17にて作製した。ベルト補強材の打込み角度はタイヤ周方向に対して±26°とした。得られた各タイヤについて、下記の手順に従い、操縦安定性、耐摩耗性、耐久性およびタイヤ重量の評価を行った。
<実施例1〜5>
下記表1に示す構造のスチールコードを2本束にしてベルト補強材とし、得られたベルト補強材を用いて図1に示すタイプのタイヤを、タイヤサイズ225/45R17にて作製した。ベルト補強材の打込み角度はタイヤ周方向に対して±26°とした。得られた各タイヤについて、下記の手順に従い、操縦安定性、耐摩耗性、耐久性およびタイヤ重量の評価を行った。
<従来例>
下記表2に示す構造のスチールコードをベルト補強材とし、得られたベルト補強材を用いて図1に示すタイプのタイヤを、タイヤサイズ225/45R17にて作製した。ベルト補強材の打込み角度はタイヤ周方向に対して±26°とした。得られた各タイヤについて、下記の手順に従い、操縦安定性、耐摩耗性、耐久性およびタイヤ重量の評価を行った。
下記表2に示す構造のスチールコードをベルト補強材とし、得られたベルト補強材を用いて図1に示すタイプのタイヤを、タイヤサイズ225/45R17にて作製した。ベルト補強材の打込み角度はタイヤ周方向に対して±26°とした。得られた各タイヤについて、下記の手順に従い、操縦安定性、耐摩耗性、耐久性およびタイヤ重量の評価を行った。
<比較例1〜6>
下記表2に示す構造のスチールコードをベルト補強材と、得られたベルト補強材を用いて図1に示すタイプのタイヤを、タイヤサイズ225/45R17にて作製した。ベルト補強材の打込み角度はタイヤ周方向に対して±26°とした。得られた各タイヤについて、下記の手順に従い、操縦安定性、耐摩耗性、耐久性およびタイヤ重量の評価を行った。
下記表2に示す構造のスチールコードをベルト補強材と、得られたベルト補強材を用いて図1に示すタイプのタイヤを、タイヤサイズ225/45R17にて作製した。ベルト補強材の打込み角度はタイヤ周方向に対して±26°とした。得られた各タイヤについて、下記の手順に従い、操縦安定性、耐摩耗性、耐久性およびタイヤ重量の評価を行った。
<操縦安定性>
各供試タイヤを実車に装着して、乾燥状態(ドライ)のサーキットにおけるドライバーのフィーリング走行により、操縦安定性の評価を行った。結果は、従来例を100として指数表示した。数値が大なるほど操縦安定性に優れ、良好である。この値が100±2の場合は従来品と同等として△、102より大きければ○、98より小さければ×とした。結果を表1および2に併記する。
各供試タイヤを実車に装着して、乾燥状態(ドライ)のサーキットにおけるドライバーのフィーリング走行により、操縦安定性の評価を行った。結果は、従来例を100として指数表示した。数値が大なるほど操縦安定性に優れ、良好である。この値が100±2の場合は従来品と同等として△、102より大きければ○、98より小さければ×とした。結果を表1および2に併記する。
<耐摩耗性>
各供試タイヤを実車に装着して、実車耐久走行(限界走行モードにて1周3.5kmの既設サーキットを20周走行)後のタイヤ残溝深さ(センターリブ溝)を測定し、従来例のタイヤを100として指数評価した。この値が100±2の場合は従来品と同等として△、102より大きければ○、98より小さければ×とした。結果を表1および2に併記する。なお、耐摩耗性が小さいということは、トレッド接地面積が小さいことを意味し、ベルトの剛性の判断基準となる。
各供試タイヤを実車に装着して、実車耐久走行(限界走行モードにて1周3.5kmの既設サーキットを20周走行)後のタイヤ残溝深さ(センターリブ溝)を測定し、従来例のタイヤを100として指数評価した。この値が100±2の場合は従来品と同等として△、102より大きければ○、98より小さければ×とした。結果を表1および2に併記する。なお、耐摩耗性が小さいということは、トレッド接地面積が小さいことを意味し、ベルトの剛性の判断基準となる。
<耐久性>
各供試タイヤを、JATMA規格に定める標準リムに装着後、JATMA YEAR BOOKにおける最大負荷能力に対応する内圧を充填し、乗用車に装着した。舗装路を40000km走行した後、タイヤを解剖して、ベルト端部のセパレーション長さを調査した。結果は値が小さいほど良好な結果を示す。また、従来例のタイヤと同等以上の場合を○、劣っている場合を×とした。結果を表1および2に併記する。
各供試タイヤを、JATMA規格に定める標準リムに装着後、JATMA YEAR BOOKにおける最大負荷能力に対応する内圧を充填し、乗用車に装着した。舗装路を40000km走行した後、タイヤを解剖して、ベルト端部のセパレーション長さを調査した。結果は値が小さいほど良好な結果を示す。また、従来例のタイヤと同等以上の場合を○、劣っている場合を×とした。結果を表1および2に併記する。
<タイヤ重量>
各供試タイヤ1本当たりの重量を測定し、従来例のタイヤを100として指数評価した。この値が100±2の場合は従来品と同等として△、102より大きければ×、98より小さければ○とした。結果を表1および2に併記する。
各供試タイヤ1本当たりの重量を測定し、従来例のタイヤを100として指数評価した。この値が100±2の場合は従来品と同等として△、102より大きければ×、98より小さければ○とした。結果を表1および2に併記する。
※2:第1ベルト層のコードのタイヤ径方向内端と第1ベルト層のタイヤ径方向内面の距離
※3:第2ベルト層のコードのタイヤ径方向外面端と第2ベルト層のタイヤ径方向外面の距離
※2:第1ベルト層のコードのタイヤ径方向内端と第1ベルト層のタイヤ径方向内面の距離
※3:第2ベルト層のコードのタイヤ径方向外面端と第2ベルト層のタイヤ径方向外面の距離
表1および2より本発明のタイヤは、操縦安定性、耐摩耗性および耐久性を低下させることなく軽量性に優れていることが確かめられた。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス
5a 第1ベルト層
5b 第2ベルト層
6,16 束
7,17 フィラメント
8,18 外接円
9 ベルト間ゴム
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス
5a 第1ベルト層
5b 第2ベルト層
6,16 束
7,17 フィラメント
8,18 外接円
9 ベルト間ゴム
Claims (4)
- 左右一対のビードコア間にわたりトロイド状をなして跨る少なくとも1枚のカーカス層からなるカーカスと、該カーカスのクラウン領域のタイヤ径方向外側に配設されて接地部を形成するトレッド部と、該トレッド部と前記カーカスのクラウン領域との間に配置されて補強部を形成する、少なくとも2枚のベルト層からなるベルトを備える空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記ベルトの1層目の第1ベルト層と2層目の第2ベルト層の補強材が2本のコードを撚らずに揃えた束であり、かつ、前記コードを構成する全てのフィラメントの径が同径であり、その径をa(mm)としたとき、隣り合う前記束同士の間隔が、前記コードの外接円を用いて表した間隔よりも期待値としてa/4(mm)以上増加し、かつ、前記束の少なくとも一部におけるコード2本が、外接円を用いて表した幅よりもa/4(mm)以上接近して配置されることにより、隣り合う束との間隔がa/4以上増加する束間を有し、
前記第1ベルト層と前記第2ベルト層のコード間隔をA、第1ベルト層のコードのタイヤ径方向内面端と第1ベルト層のタイヤ径方向内面の距離をB、第2ベルト層のコードタイヤ径方向外面端と第2ベルト層のタイヤ径方向外面の距離をCとしたき、
A/2<B、かつ、A/2<C
で表わされる関係を満足し、
前記第2ベルト層端における前記第1ベルト層と第2ベルト層との間に厚みが1.0mm未満のベルト間ゴムが配置されていることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。 - 前記ベルト層の厚みが0.70mmより大きく1.20mm未満である請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記フィラメント径が0.23〜0.30mmである請求項1または2記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記コードが(1×2)構造または(1+1)構造である請求項1〜3のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
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JP2012023690A JP2013159250A (ja) | 2012-02-07 | 2012-02-07 | 空気入りラジアルタイヤ |
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WO2018123685A1 (ja) * | 2016-12-27 | 2018-07-05 | 株式会社ブリヂストン | 自動二輪車用空気入りタイヤ |
CN113348097A (zh) * | 2019-02-07 | 2021-09-03 | 横滨橡胶株式会社 | 充气子午线轮胎 |
-
2012
- 2012-02-07 JP JP2012023690A patent/JP2013159250A/ja active Pending
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WO2018123685A1 (ja) * | 2016-12-27 | 2018-07-05 | 株式会社ブリヂストン | 自動二輪車用空気入りタイヤ |
JPWO2018123685A1 (ja) * | 2016-12-27 | 2019-10-31 | 株式会社ブリヂストン | 自動二輪車用空気入りタイヤ |
CN113348097A (zh) * | 2019-02-07 | 2021-09-03 | 横滨橡胶株式会社 | 充气子午线轮胎 |
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