JP2013158830A - 超合金部材の曲げ加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げ加工によって、Ni基合金系又はFe−Ni基合金系からなる超合金部材の表層に粒界割れが発生することを防止可能な超合金部材の曲げ加工方法を提供することができる。
【解決手段】本発明に係る曲げ加工方法は、管A〜管Cに対して加工硬化層消失工程を実施した後に、曲げ加工工程を実施する。加工硬化層消失工程では、管A〜管Cを加熱炉内で加熱する。加工硬化層消失工程においては、まず、管A〜管Cを曲げ加工可能な軟化温度よりも高く、且つ管A〜管Cの結晶粒界が溶融する溶融温度未満の温度領域(加工硬化層消失温度領域という)まで加熱する。本実施形態では、加工硬化層消失温度領域を1175℃以上、且つ1250℃未満とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、Ni基合金系又はFe−Ni基合金系からなる超合金部材を曲げ加工可能な温度まで加熱して曲げ加工する超合金部材の曲げ加工方法に関する。
近年、A−USC(Advanced Ultra Super Critical:先進超々臨界圧)発電の更なる高効率化のために、主蒸気温度が700℃に対応したタービンロータやボイラ部材等の開発が進められている。700℃を超える高温の蒸気に晒されるタービンロータやボイラ部材等に使用される耐熱材料は、従来の炭素鋼、低合金鋼、9〜12Cr系鋼では耐用温度の観点から使用することができない。そこで、Ni基合金系又はFe−Ni基合金系からなる超合金部材が用いられる。
ボイラ部材等に使用されるためには、超合金部材の厚肉大径管を曲げて加工する必要がある。ところが、超合金部材の厚肉大径管の曲げ加工の実績は無く、また参考となる文献も無い。
ところで、曲げ加工技術として、例えば、特許文献1には、鋼管の熱間曲げ加工方法が開示されている。この加工方法は、9%Cr系鋼管用合金をオーステナイト単相温度にて熱間曲げ加工後、200℃/h以上の冷却速度で空冷するものである。この加工方法により、曲げ加工後の鋼管の曲げ背側(引張応力が作用する側)の外周側表層に発生する引張残留応力を軽減して、鋼管の割れを防止することができる。
また、特許文献2には、鋼管の内周にNi基合金から形成された内層を有する複合管の曲げ加工方法が開示されている。この加工方法は、高周波誘導加熱により複合管の曲げ背側の内周側表面温度を750〜800℃に加熱するとともに、0.5mm/sec以下の速度で高周波コイル内を通過させるものである。この加工方法により、曲げ加工後の複合管の曲げ背側の内周側表層にクラックが発生することを防止できる。
特開平11−92827号公報 特開平6−218437号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、Ni基合金系又はFe−Ni基合金系からなる超合金部材の曲げ加工方法についての記載は全く無い。
そこで、Fe−Ni基合金系からなる厚肉大径管を高周波誘導加熱方法で加熱しながら曲げ加工すると(図6参照)、曲げ背側の外周側表層及び内周側表層に微細な粒界割れが発生した(図7参照)。この粒界割れが発生した原因について以下に述べる。
一般的に、固溶化処理等の熱処理工程を経た肉厚大径管の表層は、酸化スケール除去及び寸法精度合わせのため、工場出荷前に機械加工される。すると、機械加工によって肉厚大径管の表層に加工硬化層が形成される。そして、高周波誘導加熱による曲げ加工時に、肉厚大径管の曲げ背側の外周側表層及び内周側表層の加工硬化層に粒界割れが発生する。この加工硬化層は延性が低くて、曲げ加工時に加熱される温度では除去できない。
そこで本発明は、上述したような従来技術の状況の下になされた発明であって、曲げ加工によって、Ni基合金系又はFe−Ni基合金系からなる超合金部材の表層に粒界割れが発生することを防止可能な超合金部材の曲げ加工方法を提供することを目的としている。
本発明は、上述したような従来技術における課題を解決するために発明されたものであって、本発明の超合金部材の曲げ加工方法は、表層に加工硬化層を有するとともに、Ni基合金系又はFe−Ni基合金系からなる超合金部材を曲げ加工可能な第1温度まで加熱して曲げ加工する超合金部材の曲げ加工方法であって
前記第1温度よりも高く、且つ前記超合金部材の結晶粒界が溶融する第2温度未満に前記超合金部材を加熱して所定時間保持した後、前記第1温度未満まで徐冷して前記加工硬化層を消失させる加工硬化層消失工程と、
前記加工硬化層消失工程の後に、前記超合金部材を前記第1温度まで加熱して曲げ加工する曲げ加工工程と、を備えることを特徴とする。
上記曲げ加工方法によれば、加工硬化層消失工程を曲げ加工工程の前に実施することで、加工硬化層を消失させることができるので、加工硬化層に生じていた粒界割れの発生を防止することができる。これにより、超合金部材を曲げ加工した際に、粒界割れが発生することを防止できる。
また、上記発明において、前記所定時間は、前記加工硬化層消失工程で前記超合金部材を加熱した際に、許容厚さの酸化スケールが前記超合金部の表層に形成される時間よりも短く設定されることとしてもよい。
このように、加工硬化層消失工程で超合金部材を加熱した際に、予め設定された許容厚さの酸化スケールが超合金部の表層に形成される時間よりも短く所定時間を設定することで、許容厚さよりも厚い酸化スケールが形成されることを防止できる。
また、上記発明において、前記超合金部材は筒状に形成されており、
前記筒状の前記超合金部材は、外周側表層及び内周側表層にそれぞれ前記加工硬化層を有しており、
前記加工硬化層消失工程において、前記筒状の前記超合金部材を加熱炉内で加熱して、前記筒状の前記超合金部材の前記外周側表層及び前記内周側表層の加工硬化層を共に消失させることとしてもよい。
このように、筒状の超合金部材を加熱炉内で加熱するため、超合金部材全体を均一に加熱することができる。これにより、超合金部材の外周側表層及び内周側表層の加工硬化層を確実に消失させることができる。
また、上記発明において、前記超合金部材は筒状に形成されており、
前記筒状の前記超合金部材は、外周側表層及び内周側表層にそれぞれ前記加工硬化層を有しており、
前記加工硬化層消失工程において、前記筒状の前記超合金部材の前記外周側表層を高周波誘導加熱により加熱して、前記外周側表層及び前記内周側表層の加工硬化層のうち少なくとも前記外周側表層の加工硬化層を消失させることとしてもよい。
このように、高周波誘導加熱により筒状の超合金部材の外周側表層を加熱するため、外周側表層及び内周側表層の加工硬化層のうち少なくとも外周側表層の加工硬化層を消失させることができる。
また、高周波誘導加熱により超合金部材を加熱するため、昇温時間、保持時間及び徐冷時間が短くてすむので、加工硬化層消失工程を短時間で実施することができる。そして、加工硬化層消失工程が短時間で実施できるので、超合金部材の表層に形成される酸化スケールも薄くなる。これにより、許容厚さよりも厚い酸化スケールが形成されることを防止できる。
本発明によれば、曲げ加工によって、Ni基合金系又はFe−Ni基合金系からなる超合金部材の表層に粒界割れが発生することを防止可能な超合金部材の曲げ加工方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る加熱炉による熱処理のパターンを示す図である。 従来の熱処理のパターンを示す図である。 本発明の実施形態に係る高周波誘導加熱による熱処理のパターンを示す図である。 加工硬化層の消失及び酸化スケール成長に及ぼす保持時間と温度との関係を示す概念図である。 高周波誘導加熱による加工硬化層消失工程を管Aに実施した場合の温度と粒界割れとの関係を示す図である。 高周波誘導加熱による加工硬化層消失工程を管Bに実施した場合の温度と粒界割れとの関係を示す図である。 高周波誘導加熱による加工硬化層消失工程を管Cに実施した場合の温度と粒界割れとの関係を示す図である。 Fe−Ni基合金系からなる厚肉大径管の曲げ加工部を示す斜視図である。 曲げ背側の外周側表層の加工硬化層に発生した粒界割れを示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいてより詳細に説明する。
ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限り、本発明の範囲をそれにのみ限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
Ni基合金系又はFe−Ni基合金系からなる超合金部材である肉厚大径管(以下、単に管という)の曲げ加工方法について以下で説明する。なお、本実施形態では、3種類の管A〜管Cを用いて本発明に係る曲げ加工方法を実施した。各管に含まれる合金及び配合割合はそれぞれ異なっている。
具体的に、管Aは、重量%で、Ni:45%、Cr:23%、W:7%、残り実質的にFeを含むFe−Ni基超合金である。
また、管Bは、Ni:50%、Cr:30%、W:4%、Tiを含むNi基超合金である。
そして、管Cは、Ni:50%よりも多く、Cr:22%、Co:12%、Mo:9%、Ti、Alを含むNi基超合金である。
なお、管A〜管Cは、すべて外径350mm、肉厚50mmとした。
上述した管A〜管Cに対して、本発明に係る曲げ加工方法を実施する。なお、以下では、管Aに対して曲げ加工方法を適用した例について説明するが、管B及び管Cについても同様に適用可能である。
図1は、本発明の実施形態に係る加熱炉による熱処理のパターンを示す図である。そして、図2は、従来の熱処理のパターンを示す図である。
図1に示すように、本発明に係る曲げ加工方法は、加工硬化層消失工程を実施した後に、曲げ加工工程を実施する。
加工硬化層消失工程では、管Aを加熱炉内で加熱する。加工硬化層消失工程においては、まず、管Aを曲げ加工可能な軟化温度(例えば、1050℃〜1150℃)よりも高く、且つ管Aの結晶粒界が溶融する溶融温度(1250℃)未満の温度領域(以下、加工硬化層消失温度領域という)まで加熱する。
本実施形態では、加工硬化層消失温度領域を1175℃以上、1250℃未満とした。詳細は後述するが、管Aの加熱実験により、軟化温度である1050℃〜1150℃では加工硬化層は消失しないが、1175℃以上で加工硬化層が消失したため、1175℃以上とした。ところが、1250℃以上に加熱すると、管Aの一部の結晶粒界が溶融して、過熱(オーバーヒート)による割れが発生するおそれがあるため、1250℃未満とした。
管Aを加工硬化層消失温度領域まで加熱したら、加工硬化層消失温度領域を所定時間保持する。
加熱炉によって管Aを加熱する場合、管A全体を加工硬化層消失温度領域にするには時間がかかるため、所定時間においては、温度を保持する最小保持時間が設定される。この最小保持時間以上で保持することにより、管A全体を均等に加熱することができる。
しかし、保持時間が長くなると、加熱によって形成される酸化スケールの厚さが許容厚さを超えるおそれがあるため、所定時間においては、最大保持時間も設定される。したがって、加工硬化層消失温度領域を保持する所定時間は、最小保持時間以上で、且つ最大保持時間以下となるように設定される。なお、最小保持時間及び最大保持時間は、管の直径、肉厚等に基づいて設計等により決定される。
加工硬化層消失温度領域を所定時間保持したら軟化温度未満まで徐冷する。
そして、管Aが軟化温度未満になったら、加熱炉内から管Aを取り出して、曲げ加工装置に載置する。
次に、曲げ加工工程を実施する。曲げ加工工程で利用する曲げ加工装置は、高周波コイルを備えており、当該高周波コイル内に挿通された管Aの外周側表層を外方から局部的に加熱することにより曲げ加工する。本実施形態では、管Aの曲げ半径を4D(D:管の直径)とした。なお、曲げ半径はこの値に限定されるものではなく、管Aの直径及び肉厚等によって適宜、決定される。
曲げ加工は、図2に示す従来の曲げ加工工程と同様に、管Aを曲げ加工可能な1050℃〜1150℃の軟化温度まで加熱する。そして、軟化温度を所定時間保持し、その後、徐冷する。
上述した加工硬化層消失工程及び曲げ加工工程により、管Aは曲げ加工される。
上述した加熱炉により加熱する方法によれば、管A全体を加熱することができるため、管Aの外周側表層及び内周側表層の加工硬化層を消失させることができる。これにより、曲げ加工によって管Aの外周側表層及び内周側表層に微小割れが発生することを防止できる。したがって、加工硬化層消失工程を加熱炉内で実施することは、使用形態、応力の作用状態、損傷形態等から管Aの内周側表層の微小割れ発生が許容されない場合に好適である。
なお、加工硬化層消失工程を加熱炉内で実施する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、高周波誘導加熱方法による加工硬化層消失工程を実施してもよい。高周波誘導加熱によって加工硬化層消失工程を実施する場合について以下で説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る高周波誘導加熱による熱処理のパターンを示す図である。
図3に示すように、高周波誘導加熱方法を用いた場合でも、管Aに対して加工硬化層消失工程を実施した後に、曲げ加工工程を実施する。
加工硬化層消失工程では、管Aを高周波誘導加熱により加熱する。高周波誘導加熱は、曲げ加工装置の高周波コイルを用いてもよいし、専用の高周波誘導加熱装置を別途設けてもよい。本実施形態では、曲げ加工装置の高周波コイルを用いた場合について説明する。
加工硬化層消失工程においては、まず、曲げ加工装置の高周波コイル内に管Aを挿通させる。そして、高周波コイルで、管Aの周方向全体を加工硬化層消失温度領域まで加熱する。そして、加工硬化層消失温度領域を所定時間保持する。なお、管Aの周方向全体を加熱せずに、曲げ加工する際に曲げ背側となる部分を局部的に加熱してもよい。
高周波コイルによって管Aを加熱する場合、外方から管Aの外周側表層を加熱するため、外周側表層付近を短時間で加工硬化層消失温度領域にすることができる。これにより、加工硬化層消失温度領域で温度を保持する最小保持時間を短く設定することができる。
しかし、保持時間が長くなると、加熱によって形成される酸化スケールの厚さが許容厚さを超えるおそれがあるため、最大保持時間も設定される。なお、本実施形態では、加熱炉で加熱した際に設定した最大保持時間と同じ時間に設定した。
加工硬化層消失温度領域を所定時間保持したら軟化温度未満まで徐冷する。
そして、管Aが軟化温度未満になったら、次に、曲げ加工工程を実施する。曲げ加工工程では、管Aの外周側表層を局部的に加熱することにより曲げ加工する。曲げ加工工程は、加熱炉から出して曲げ加工工程を実施した場合と同様に、実施する。
上述した加工硬化層消失工程及び曲げ加工工程により、管Aは曲げ加工される。
上述したように、高周波コイルによって管Aを加熱する場合、外方から管Aの外周側表層を加熱するため、管Aの外周側表層と内周側表層との間に温度差が生じる。例えば、内周側表層付近の温度が1175℃に到達するよりも先に外周側表層の温度が1250℃以上となる場合がある。かかる場合には、外周側表層の温度が1250℃以上とならないように高周波コイルの加熱出力を低下させるため、内周側表層付近の温度が1175℃以上にならないおそれがある。即ち、管Aの外周側表層の加工硬化層を消失させることはできるが、内周側表層の加工硬化層を消失させることができない場合がある。したがって、加工硬化層消失工程を高周波誘導加熱方法で実施することは、使用形態、応力の作用状態、損傷形態等から管Aの内周側表層の微小割れ発生が許容される場合に好適である。
図4は、加工硬化層の消失及び酸化スケール成長に及ぼす保持時間と温度との関係を示す概念図である。
図4中の右下がり直線は、加工硬化層の消失線である。この消失線は、加工硬化層を消失させるためには、加熱温度が低くなるにつれて、長い保持時間を要することを示している。したがって、加工硬化層を消失させるためには、温度及び保持時間が、加工硬化層の消失線以上、即ち、加工硬化層の消失線よりも図中右側の領域内にあてはまるように、温度と保持時間との関係を調整する。
また、加工硬化層消失工程において、管Aを加熱すると酸化スケールが形成される。図4中の右下がり点線は、酸化スケール厚さの許容線である。この許容線は、予め設定されている許容厚さの酸化スケールが形成されるためには、加熱温度が低くなるにつれて、保持時間を長くすることが出来る事を示している。したがって、酸化スケールを許容厚さ以内とするためには、温度及び保持時間が、酸化スケール厚さの許容線以下、即ち酸化スケール厚さの許容線よりも図中左側の領域内にあてはまるように、温度と保持時間との関係を調整する。
したがって、加工硬化層を消失させ、且つ酸化スケールの厚さを許容厚さ以内にするためには、両範囲が重なる領域1(図4中の点ハッチング領域)内となるように、温度及び保持時間を調整する。この領域1の横軸の左端、右端は、それぞれ最小保持時間、最大保持時間を示している。
ところで、加熱炉によって管Aを加熱する場合、管A全体を加熱する必要があるため、最小保持時間が高周波誘導加熱方法よりも長く設定される。具体的には、図4で示すように、領域1の横軸の中央と右端との間に設定される。なお、最小保持時間は、上述したように予め設計等により決定される。したがって、加熱炉によって加熱する場合は、図4中の左下がり斜線で囲まれた領域2内となるように、温度及び保持時間を調整する。
一方、高周波誘導加熱方法によって管Aを加熱する場合は、図4中の領域1内となるように、温度及び保持時間を調整する。
次に、高周波誘導加熱による加工硬化層消失工程を管A〜管Cに実施した場合の温度と粒界割れとの関係について説明する。
図5A〜図5Cは、それぞれ高周波誘導加熱による加工硬化層消失工程を管A、管B、管Cに実施した場合の温度と粒界割れとの関係を示す図である。
図5(A)〜図5(C)に示すように、高周波誘導加熱方法で管A、管B、管Cをそれぞれ異なる温度で加熱して、各温度での粒界割れの発生の有無を確認した。
具体的に、800℃から1100℃までは100℃間隔で加熱し、1100℃から1200℃までは25℃間隔で加熱し、1200℃以上では1250℃、1260℃で加熱した。
まず、管Aは、1175℃、1200℃、1250℃では粒界割れは発生せず、これらの温度以外では、粒界割れが発生した。
次に、管Bは、1175℃、1200℃では粒界割れは発生せず、これらの温度以外では、粒界割れが発生した。
そして、管Cは、1150℃、1175℃、1200℃では粒界割れは発生せず、これらの温度以外では、粒界割れが発生した。
これらの結果より、1175℃以上1250℃未満で加熱した場合に、粒界割れが発生しないことが確認できた。
上述した本発明に係る超合金部材の曲げ加工方法によれば、加工硬化層消失工程を曲げ加工工程の前に実施することで、加工硬化層を消失させることができるので、加工硬化層に生じていた粒界割れの発生を防止することができる。これにより、管A〜管Cを曲げ加工した際に、曲げ背側に粒界割れが発生することを防止できる。
また、加工硬化層消失工程で管A〜管Cを加熱した際に、予め設定された許容厚さの酸化スケールが管A〜管Cの表層に形成される時間よりも短く保持時間を設定することで、許容厚さよりも厚い酸化スケールが形成されることを防止できる。
そして、管A〜管Cを加熱炉内で加熱した場合は、管A〜管C全体を均一に加熱することができる。これにより、管A〜管Cの外周側表層及び内周側表層の加工硬化層を確実に消失させることができる。
一方、高周波誘導加熱により管A〜管Cの外周側表層を加熱した場合は、外周側表層及び内周側表層の加工硬化層のうち少なくとも外周側表面の加工硬化層を消失させることができる。
さらに、高周波誘導加熱により管A〜管Cを加熱した場合は、昇温時間、保持時間及び徐冷時間が短くてすむので、加工硬化層消失工程を短時間で実施することができる。そして、加工硬化層消失工程が短時間で実施できるので、管A〜管Cの表層に形成される酸化スケールも薄くなる。これにより、許容厚さよりも厚い酸化スケールが形成されることを防止できる。
1 領域
2 領域

Claims (4)

  1. 表層に加工硬化層を有するとともに、Ni基合金系又はFe−Ni基合金系からなる超合金部材を曲げ加工可能な第1温度まで加熱して曲げ加工する超合金部材の曲げ加工方法であって
    前記第1温度よりも高く、且つ前記超合金部材の結晶粒界が溶融する第2温度未満に前記超合金部材を加熱して所定時間保持した後、前記第1温度未満まで徐冷して前記加工硬化層を消失させる加工硬化層消失工程と、
    前記加工硬化層消失工程の後に、前記超合金部材を前記第1温度まで加熱して曲げ加工する曲げ加工工程と、を備えることを特徴とする超合金部材の曲げ加工方法。
  2. 前記所定時間は、前記加工硬化層消失工程で前記超合金部材を加熱した際に、許容厚さの酸化スケールが前記超合金部の表層に形成される時間よりも短く設定されることを特徴とする請求項1に記載の超合金部材の曲げ加工方法。
  3. 前記超合金部材は筒状に形成されており、
    前記筒状の前記超合金部材は、外周側表層及び内周側表層にそれぞれ前記加工硬化層を有しており、
    前記加工硬化層消失工程において、前記筒状の前記超合金部材を加熱炉内で加熱して、前記筒状の前記超合金部材の前記外周側表層及び前記内周側表層の加工硬化層を共に消失させることを特徴とする請求項1又は2に記載の超合金部材の曲げ加工方法。
  4. 前記超合金部材は筒状に形成されており、
    前記筒状の前記超合金部材は、外周側表層及び内周側表層にそれぞれ前記加工硬化層を有しており、
    前記加工硬化層消失工程において、前記筒状の前記超合金部材の前記外周側表層を高周波誘導加熱により加熱して、前記外周側表層及び前記内周側表層の加工硬化層のうち少なくとも前記外周側表層の加工硬化層を消失させることを特徴とする請求項1又は2に記載の超合金部材の曲げ加工方法。
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