JP2013156156A - 装飾部品の製造方法、時計用針、時計 - Google Patents

装飾部品の製造方法、時計用針、時計 Download PDF

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聖志 菊池
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Toshikazu Nakayashiki
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Abstract

【課題】疵や汚損の発生を抑制して良好な装飾面を形成でき、製造不良の発生を防止できる装飾部品の製造方法、装飾部品の製造方法により形成された時計用針および時計を提供する。
【解決手段】表面にメッキ層が形成された装飾面を有する時計用の時針(装飾部品)の製造方法であって、母材40の表面のうち、装飾面が形成される装飾施工面以外の面を取付治具60に当接させ、取付治具60に母材40を取り付ける母材取付工程S20と、母材取付工程S20の後、メッキ層のうち最下層の下地メッキ層(第一メッキ層)を装飾施工面に形成する第一メッキ工程S40と、を備え、第一メッキ工程S40は、取付治具60に母材40を取り付けた状態で取付治具60ごと行うことを特徴としている。
【選択図】図9

Description

この発明は、装飾部品の製造方法、装飾部品の製造方法により形成された時計用針および時計に関するものである。
時計やブローチ、ネクタイピン、メガネフレーム等は、装飾品としての機能を有しており、金属光沢による高級感を付与するため、部品の表面にメッキ層が形成されることがある(特許文献1参照)。
例えば、特許文献1に記載の時計用外装部品(本願請求項の「装飾部品」に相当。)は、部品を構成する素地と、素地の上に設けられた少なくとも1層からなる下地層と、さらにその下地層の上にPd−Zn系合金からなる被覆層とを有している。
特許文献1に記載の時計用外装部品は、具体的には以下のように形成されている。
まず、時計用外装部品の材料表面に鏡面仕上げ加工を施す。次に、材料表面に4層からなる下地層を電解メッキにより形成する。最後に、下地層の上に、Pd−Znからなる被覆層を電解メッキにより形成する。
ここで、一般に、装飾部品の鏡面仕上げ加工工程(本願請求項の「鏡面仕上げ工程」に相当。)は、複数の装飾部品母材を取付治具に取り付けた状態で、ダイヤモンドバイト等の切削工具等を用いて、装飾部品母材の表面を鏡面仕上げ加工している。
また、一般に、電解メッキによるメッキ工程は、電極を構成するハンガーに装飾部品母材を吊るした状態でメッキ浴槽に浸漬し、電流を流して金属イオンを装飾部品母材に付着させることにより行われる。
特開平11−106988号公報
しかし、従来技術の装飾部品の製造方法には、以下の問題がある。
鏡面仕上げ工程を行った後、メッキ工程を行う前に、取付治具から装飾部品母材を取り外し、ハンガーに装飾部品母材を吊るす必要がある。このとき、装飾部品母材に作業者の手が触れたり、装飾部品母材がハンガーや他の部材等と接触したりするなどして、装飾部品母材表面に汚損や疵を発生させるおそれがある。
また、ニス等の接着剤を用いて装飾部品母材を取付治具に取り付けた場合には、シンナー等の溶剤に装飾部品母材を取付治具ごと長時間浸漬し、接着剤を溶解して取付治具から装飾部品母材を取り外す必要がある。このとき、取付治具から外れた装飾部品母材同士が溶剤中で接触し、装飾部品母材表面に疵を発生させるおそれがある。
装飾部品母材表面の汚損や疵は、メッキ層の色調のくもりや凹凸の原因となる。これにより、良好な装飾面が形成できず、装飾部品の製造不良が発生するおそれがある。
そこで本発明は、疵や汚損の発生を抑制して良好な装飾面を形成でき、製造不良の発生を防止できる装飾部品の製造方法、装飾部品の製造方法により形成された時計用針および時計の提供を課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明の装飾部品の製造方法は、表面に少なくとも一層のメッキ層が形成された装飾面を有する装飾部品の製造方法であって、装飾部品母材の表面のうち、前記装飾面が形成される装飾施工面以外の面を取付治具に当接させ、前記取付治具に前記装飾部品母材を取り付ける母材取付工程と、前記母材取付工程の後、前記メッキ層のうち最下層の第一メッキ層を前記装飾施工面に形成する第一メッキ工程と、を備え、前記第一メッキ工程は、前記取付治具に前記装飾部品母材を取り付けた状態で前記取付治具ごと行うことを特徴としている。
本発明によれば、取付治具に装飾部品母材を取り付けたままの状態で取付治具ごと第一メッキ工程を行うので、装飾部品母材を取付治具から外すことなく、第一メッキ工程を行うことができる。したがって、母材取付工程の後、第一メッキ工程の前に、装飾部品母材に作業者の手が触れたり、装飾部品母材が取付治具以外の他の部品と接触したりするのを防止できる。これにより、装飾部品母材の装飾施工面の汚損や疵の発生を抑制できるので、良好な装飾面を形成でき、装飾部品の製造不良の発生を防止できる。
また、第一メッキ工程を行う際、取付治具ごとハンガーに吊るしてメッキ浴槽に浸漬できる。これにより、従来技術のように複数の装飾部品母材を個々にハンガーに吊るす作業が必要ないので、第一メッキ工程が容易となり、装飾部品の製造効率を向上できる。
また、本発明の装飾部品の製造方法は、前記母材取付工程の後、前記第一メッキ工程の前に、前記装飾施工面を鏡面仕上げする鏡面仕上げ工程を備え、前記鏡面仕上げ工程は、前記取付治具に前記装飾部品母材を取り付けた状態で行うことを特徴としている。
本発明によれば、取付治具に装飾部品母材を取り付けた状態で鏡面仕上げ工程を行い、その後、その取付治具に装飾部品母材を取り付けたままの状態で取付治具ごと第一メッキ工程を行うので、鏡面仕上げ工程により鏡面仕上げされた装飾施工面の汚損や疵の発生を抑制できる。したがって、外観品質に優れた良好な装飾面を製造不良なく形成できる。
また、本発明の装飾部品の製造方法は、前記第一メッキ工程の後、前記取付治具から前記装飾部品母材を取り外す母材取り外し工程と、前記母材取り外し工程の後、前記第一メッキ層に重ねて第二メッキ層を形成する第二メッキ工程を備え、前記第二メッキ工程は、前記取付治具から前記装飾部品母材を取り外した状態で行うことを特徴としている。
本発明によれば、下地層に相当する第一メッキ層に重ねて、仕上げ層に相当する第二メッキ層を形成しているので、より外観品質が良好で、かつ耐腐食性に優れた装飾面を形成できる。また、第一メッキ工程で形成された第一メッキ層により、装飾施工面を保護できるので、母材取り外し工程および第二メッキ工程における装飾部品母材の装飾施工面の汚損や疵の発生を抑制できる。したがって、第二メッキ層を形成した場合であっても、良好な装飾面を形成でき、装飾部品の製造不良の発生を防止できる。
また、本発明の装飾部品の製造方法は、前記第一メッキ工程の後、前記第一メッキ層に重ねて第二メッキ層を形成する第二メッキ工程を備え、前記第二メッキ工程は、前記取付治具に前記装飾部品母材を取り付けた状態で前記取付治具ごと行うことを特徴としている。
本発明によれば、第二メッキ工程は、第一メッキ工程と同様に装飾部品母材を取り付けたままの状態で取付治具ごと行うので、第二メッキ工程における装飾部品母材の装飾施工面の汚損や疵の発生を確実に防止できる。したがって、第二メッキ層を形成した場合であっても、良好な装飾面を形成でき、装飾部品の製造不良の発生を確実に防止できる。また、第二メッキ工程においても、第一メッキ工程と同様に、取付治具ごとハンガーに吊るしてメッキ浴槽に浸漬できる。これにより、従来技術のように複数の装飾部品母材を個々にハンガーに吊るす作業が必要ないので、第二メッキ工程が容易となり、装飾部品の製造効率を向上できる。
また、本発明の時計用針は、上述した装飾部品の製造方法により、前記装飾部品として形成されたことを特徴としている。
本発明によれば、装飾面に対応する装飾施工面以外の非装飾施工面が取付治具に当接した状態で第一メッキ工程が行われるため、装飾施工面に第一メッキ層が形成され、非装飾施工面には第一メッキ層が形成されない。このため、本発明は、装飾面が外側に配置されて視認され、非装飾面が内側(すなわち文字板側)に配置されて視認されない、時計用針の製造に特に好適である。したがって、時計用針の装飾面を良好に形成できる。さらに、時計用針の製造不良の発生を防止できるとともに製造効率を向上できるので、低コストな時計用針を提供できる。
また、本発明の時計は、上述した装飾部品の製造方法により形成された時計用針を備えたことを特徴としている。
本発明によれば、良好な装飾面を有する時計用針を備え、外観品質に優れた時計を、低コストに提供できる。
本発明によれば、取付治具に装飾部品母材を取り付けたままの状態で取付治具ごと第一メッキ工程を行うので、装飾部品母材を取付治具から外すことなく、第一メッキ工程を行うことができる。したがって、母材取付工程の後、第一メッキ工程の前に、装飾部品母材に作業者の手が触れたり、装飾部品母材が取付治具以外の他の部品と接触したりするのを防止できる。これにより、装飾部品母材の装飾施工面の汚損や疵の発生を抑制できるので、良好な装飾面を形成でき、装飾部品の製造不良の発生を防止できる。
また、第一メッキ工程を行う際、取付治具ごとハンガーに吊るしてメッキ浴槽に浸漬できる。これにより、従来技術のように複数の装飾部品母材を個々にハンガーに吊るす作業が必要ないので、第一メッキ工程が容易となり、装飾部品の製造効率を向上できる。
コンプリート裏側の平面図である。 ムーブメント表側の平面図である。 時針の平面図である。 図3のA−A線に沿った断面図である。 時針の製造工程のフローチャートである。 プレス工程の説明図である。 母材取付工程の説明図である。 鏡面仕上げ工程の説明図である。 第一メッキ工程の説明図である。 第一メッキ工程後の母材および取付治具の側面断面図である。 第二メッキ工程の説明図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明をする。以下では、まず本発明に係る装飾部品の製造方法により形成された時計用針(装飾部品)を備えた時計について説明をした後、本発明に係る装飾部品の製造方法により形成された時計用針および時計用針の製造方法について説明をする。
(時計)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」又は「ガラス側」又は「文字板側」と称する。地板の両側のうち、時計ケースの裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」又は「裏蓋側」と称する。
図1は、コンプリート裏側の平面図である。
図1に示すように、時計1のコンプリート1aは、時に関する情報を示す目盛り3などをもつ文字板2を備えている。また、時を示す時針4a、分を示す分針4bおよび秒を示す秒針4cを含む針4(請求項の「時計用針」に相当。)を備えている。
図2は、ムーブメント表側の平面図である。なお図2では、図面を見やすくするため、ムーブメント100を構成する時計部品のうち一部の図示を省略している。
機械式時計のムーブメント100は、基板を構成する地板102を有している。地板102の巻真案内穴102aには、巻真110が回転可能に組み込まれている。この巻真110は、おしどり190、かんぬき192、かんぬきばね194および裏押さえ196を含む切換装置によって、軸線方向の位置が決められている。
そして巻真110を回転させると、つづみ車(不図示)の回転を介してきち車112が回転する。きち車112の回転により丸穴車114および角穴車116が順に回転し、香箱車120に収容されたぜんまい(不図示)が巻き上げられる。
香箱車120は、地板102と香箱受160との間で回転可能に支持されている。二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130は、地板102と輪列受162との間で回転可能に支持されている。アンクル142は、地板102とアンクル受164との間で回転可能に支持されている。
ぜんまいの復元力により香箱車120が回転し、香箱車120の回転により二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130が順に回転する。これら香箱車120、二番車124、三番車126および四番車128は、表輪列を構成する。この表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置は、がんぎ車130、アンクル142およびてんぷ140で構成されている。がんぎ車130の外周には歯130aが形成されている。
アンクル142は一対のつめ石142aを備えている。てんぷ140は、てん真140a、てん輪140bおよびひげぜんまい140cを備えている。
アンクル142の一方のつめ石142aが、がんぎ車130の歯130aに係合した状態で、がんぎ車130は一時的に停止している。この状態から、ひげぜんまい140cの伸縮によりてんぷ140が回転すると、てん真140aに固定された振り石がアンクル142を振り上げる。これにより、アンクル142一方のつめ石142aが、がんぎ車130から外れ、がんぎ車130はアンクル142の他方のつめ石142aに係合する位置まで進行する。てんぷ140は一定周期で往復回転するので、がんぎ車130を一定速度で脱進させることができる。
二番車124が回転すると、その回転に基づいて筒かな(不図示)が同時に回転し、この筒かなに取り付けられた分針4b(図1参照)が「分」を表示するようになっている。
また、筒かなの回転に基づいて日の裏車(不図示)の回転を介して筒車(不図示)が回転し、この筒車に取り付けられた時針4a(図1参照)が「時」を表示するようになっている。
(針)
続いて、時刻を指し示す機能とともに、時計1の装飾部品としての機能も有する針4(図1参照)について説明する。なお、時針4a、分針4bおよび秒針4cは、基本的な構成が同一である。したがって、以下では、時針4aについてのみ説明をし、分針4bおよび秒針4cについては説明を省略している。
図3は、時針4aの平面図である。
図4は、図3のA−A線に沿った断面図である。
図3に示すように、時針4aは平板状の部材であり、図4に示すように、例えば真鍮等からなる母材40(請求項の「装飾部品母材」に相当。)の表面にメッキ層30が形成されている。
図3に示すように、時針4aの長手方向の一方側(図3における左側)には、時針4aの厚み方向に貫通した貫通孔22aが形成されている。貫通孔22aには、筒車の軸が挿通されて固定される。貫通孔22aよりも一方側は、先細り形状に形成された基端部22となっており、貫通孔22a周辺の幅が最も広く形成されている。
時針4aの貫通孔22aよりも長手方向の他方側(図3における右側)は、コンプリート状態にしたとき、文字板2の目盛り3(図1参照)を指し示す先細り形状に形成された指示部21となっている。指示部21の長さは、基端部22の長さよりも長く形成されている。
図3に示すように、時針4aの両主面のうち一方側主面20a(図3における紙面表側の面)、および一方側主面20aの縁部26(26a〜26d)が面取りされて形成された傾斜部23(23a〜23d)が、装飾面25となっている。傾斜部23は、時針4aに立体感を付与してデザイン性を高め、時計1に高級感を付与している。
装飾面25は、時計1のコンプリート(図1参照)を形成したとき、時計ケースのガラス側に面して配置される。すなわち、装飾面25は、外側から視認できるように配置される。
装飾面25は、母材40の一方側主面40aおよび傾斜面43(図4参照)が、鏡面加工された後、下地メッキ層30a(請求項における「第一メッキ層」に相当。)および仕上げメッキ層30b(請求項における「第二メッキ層」に相当。)により覆われて形成されている。
下地メッキ層30aの材料としては、例えば、母材40を形成する真鍮との密着性に優れた、パラジウム(Pd)を主成分とする材料が採用される。下地メッキ層30aは、例えば0.2μm程度の厚さに形成されている。下地メッキ層30aは、仕上げメッキ層30bの外観品質を高めるとともに、母材40と仕上げメッキ層30bとの密着性を高めている。
仕上げメッキ層30bの材料としては、例えば、優美な金属光沢を有する、ロジウム(Rh)を主成分とする材料が採用される。仕上げメッキ層30bは、例えば0.1μm程度の厚さに形成されている。仕上げメッキ層30bは、時針4aの耐食性を高めるとともに、時針4aに高級感を付与している。
図4に示すように、時針4aの両主面のうち、他方側主面20b(図4における下側の面)は、非装飾面27となっている。非装飾面27は、時計1のコンプリート(図1参照)を形成したとき、文字板2(図1参照)側に面して配置される。すなわち、非装飾面27は、外側から視認できないように配置される。
非装飾面27は、母材40の他方側主面40bが、鏡面仕上げされていない状態で仕上げメッキ層30bのみに覆われて形成されている。なお、非装飾面27は、鏡面仕上げされず、さらに下地メッキ層30aに覆われていない。このため、非装飾面27の光沢度は、鏡面仕上げされた後、下地メッキ層30aおよび仕上げメッキ層30bにより覆われて形成された装飾面25の光沢度よりも若干低くなる。しかし、非装飾面27は、文字板2(図1参照)側に面しており、外側から視認できないように配置される。したがって、非装飾面27の光沢度が装飾面25の光沢度よりも若干低くなっても、時計1全体の高級感には全く影響がないため問題ない。
非装飾面27側の貫通孔22aの縁部には、非装飾面27から外側に突出したバーリング部22bが形成されている。バーリング部22bは、貫通孔22aに筒車の軸が挿通されて固定されたときの固定強度を高めている。また、バーリング部22bは、後述するように、針4(図1参照)の製造工程において、取付治具60(図7参照)と針4の母材40とを位置決めするために使用される。
(装飾部品の製造方法)
続いて、上述した装飾部品である時針4aの製造方法について、製造工程のフローチャートを参照しながら以下に説明する。
図5は、時針4aの製造工程のフローチャートである。
図5に示すように、時針4aの製造工程は、プレス工程S10と、母材取付工程S20と、鏡面仕上げ工程S30と、第一メッキ工程S40と、母材取り外し工程S50と、第二メッキ工程S60と、を備えている。以下に、各工程の詳細を説明する。
(プレス工程S10)
図6は、プレス工程S10の説明図である。
時針4a(図3参照)の製造工程では、まず、板部材15をプレス金型で打ち抜いて時針4aの母材40を形成するプレス工程S10を行う。なお、図6において、時針4aの一方側主面20a(図4参照)に対応する母材40の一方側主面40aは紙面表側に配置され、時針4aの他方側主面20b(図4参照)に対応する母材40の他方側主面40bは紙面裏側に配置される。
図6に示すように、プレス工程S10では、最初に、真鍮等の金属板材料をコイル状にしたフープ材(不図示)を切断して、時針4aの外形よりも大きな矩形状の板部材15を形成する。
続いて、板部材15を打ち抜いて貫通孔42aを形成し、貫通孔42aにバーリング加工を施して、時針4aの非装飾面27(図4参照)に対応する非装飾施工面47から外側に突出したバーリング部42bを形成する。
最後に、時針4aの外形に対応した形状となるように板部材15を打ち抜く。これにより、長手方向の一方側(図6における左側)に基端部42を有し、他方側(図6における右側)に指示部41を有する、時針4aの母材40を形成できる。板部材15から母材40を打ち抜いた時点でプレス工程S10が終了する。
(母材取付工程S20)
図7は、母材取付工程S20の説明図である。
次に、図7に示すように、母材40を取付治具60に取り付ける母材取付工程S20を行う。以下では、最初に、母材40を取り付ける取付治具60について説明をし、その後、母材取付工程S20について説明をする。
(取付治具)
取付治具60は、軸方向から見て略円盤状の部材であり、例えば、母材40と同じ真鍮により形成されている。
取付治具60の一方側(図7における上側)の主面60aには、母材40が載置される載置部61が、軸方向に突出して形成されている。載置部61は、軸方向から見て母材40の外形と略同一の形状に形成されており、長手方向が取付治具60の径方向に沿うように形成されている。載置部61は、取付治具60の軸方向から見て、周方向に略等ピッチ(本実施形態では約30°ピッチ)に、放射状に複数個(本実施形態では12個)形成されている。したがって、本実施形態の取付治具60には、12個の母材40が取付可能となっている。
載置部61における母材40のバーリング部42bに対応した位置には、位置決め孔62が形成されている。位置決め孔62は、取付治具60を軸方向に貫通して形成されている。位置決め孔62は、直径がバーリング部42bの外径と略同一か、バーリング部42bの外径よりも若干大きく形成されている。位置決め孔62にバーリング部42bを挿入して母材40を取付治具60に取り付けることにより、バーリング部42bが取付治具60の径方向および周方向に位置決めされる。
また、載置部61の径方向外側であって母材40の指示部41の側面46a,46bに対応した位置には、一対の規制壁63,63が形成されている。一対の規制壁63,63は、母材40が載置部61に載置されたときに、母材40の指示部41の側面46a,46bに沿うように形成されている。母材40の指示部41の側面46a,46bに、規制壁63,63を当接させて母材40を取付治具60に取り付けることにより、母材40全が位置決め孔62の周方向に位置決めされる。これにより、母材40全体が、載置部61に対して位置決めされる。
取付治具60の略中央には、取付治具60を軸方向に貫通する治具貫通孔65が形成されている。治具貫通孔65は、後述する第一メッキ工程S40で、電極ハンガー75の鉤部75a(図9参照)が挿通されるようになっている。
母材取付工程S20では、上述のように構成された取付治具60に、母材40を取り付けている。具体的には、まず、載置部61の表面61aに、例えばニス等の接着剤(不図示)を塗布する。続いて、載置部61の表面61aに母材40の非装飾施工面47を当接させて、載置部61に母材40を載置する。このとき、取付治具60の位置決め孔62に母材40のバーリング部42b(図6参照)を挿入しつつ、取付治具60の規制壁63,63に母材40の指示部41の側面46a,46bを当接させて、載置部61に母材40を載置する。これにより、取付治具60の径方向および周方向に位置決めした状態で、取付治具60に母材40を装着固定できる。12個の母材40を取付治具60の載置部61に接着固定した時点で、母材取付工程S20が終了する。
(鏡面仕上げ工程S30)
図8は、鏡面仕上げ工程S30の説明図である。
続いて、母材40の装飾施工面45を鏡面仕上げ加工する鏡面仕上げ工程S30を行う。以下では、最初に、鏡面仕上げ装置70について説明をし、その後、鏡面仕上げ工程S30について説明をする。
図8に示すように、鏡面仕上げ装置70は、取付治具60を取付可能なターンテーブル71と、母材40の一方側主面40aおよび一方側主面40aと側面46との角部を研削して装飾施工面45を形成する切削工具72と、により構成されている。
ターンテーブル71は、取付治具60と同心に形成された円板状の部材であり、中心軸まわりに回転可能に形成されている。したがって、取付治具60をターンテーブル71の主面に、ターンテーブル71と同軸に取り付けることで、取付治具60が中心軸まわりに回転可能となっている。
切削工具72は、例えばダイヤモンドバイトが採用される。
切削工具72の刃先は、母材40の一方側主面40aに当接可能な第一切削刃と、母材40に形成される傾斜面43に対応した角度で第一切削面に対して傾斜した第二切削刃と、により形成されている。
切削工具72は、スライド治具72aに取り付けられており、取付治具60の径方向(図8における上下方向、以下「第一方向F」という。)に沿って、直線的にスライド移動可能に形成されている。さらに、スライド治具72aは、第一方向Fに直交する方向(図8における左右方向、以下「第二方向S」という。)に沿って、直線的にスライド移動可能に形成されている。
鏡面仕上げ工程S30は、取付治具60に12個の母材40を取り付けた状態で行う。具体的には、まず、第二方向Sに沿って切削工具72を移動させて切削工具72の位置を調整し、取付治具60上の12個の母材40のうち第一の母材40の一方側主面40aに、切削工具72の第一切削刃を当接させる。次に、第一方向Fに沿って切削工具72をスライド移動させ、第一の母材40の一方側主面40aを研削して、第一の母材40の一方側主面40aを鏡面仕上げする。
続いて、ターンテーブル71ごと取付治具60を微少回転させて、いずれかの側面46(例えば側面46b)を第一方向Fと平行に配置する。次に、切削工具72を第二方向Sに沿って、側面46bの位置まで微少距離スライド移動させる。次に、第一の母材40の一方側主面40aと側面46bとの角部に、切削工具72の第二切削刃を当接させる。次に、第一方向Fに沿って切削工具72をスライド移動させて、第一の母材40の一方側主面40aと側面46bとの角部を研削し、傾斜面43を形成して鏡面仕上げする。以上の工程を全ての角部に対して行い、母材40の一方側主面40aの縁部に、四箇所の傾斜面43を形成して鏡面仕上げする。
続いて、ターンテーブル71を回転させ、第一の母材40の隣に配置された第二の母材40の一方側主面40aに、切削工具72の第一切削刃を当接させる。そして、第一の母材40と同様に、第二の母材40の一方側主面40aを研削して、第二の母材40の一方側主面40aを鏡面仕上げする。さらに、第二の母材40の一方側主面40aと各側面46との角部に、第二切削刃を当接させて角部を研削し、四箇所の傾斜面43を形成して鏡面仕上げする。
以降、上記工程を繰り返し、12個の母材40全ての一方側主面40aおよび傾斜面43を鏡面仕上げし、装飾施工面45を形成した時点で、鏡面仕上げ工程S30が終了する。
なお、鏡面仕上げ工程S30では、一例として、ダイヤモンドバイト等の切削工具72により鏡面加工を施す場合について説明をしたが、この場合に限られることはない。例えば、バフ研磨により装飾施工面45に鏡面加工を行ったり、ラッピングにより装飾施工面45に鏡面加工を行ったりしてもよい。
(第一メッキ工程S40)
図9は、第一メッキ工程S40の説明図である。
続いて、母材40の表面にパラジウム(Pd)を主成分とする下地メッキ層30a(図4参照)を形成する第一メッキ工程S40を行う。
図9に示すように、第一メッキ工程S40は、取付治具60に12個の母材40を取り付けたままの状態で取付治具60ごと、例えば電解メッキ法により行っている。具体的には、まず、陰極となる電極ハンガー75の先端に形成された鉤部75aを取付治具60の治具貫通孔65に挿通して、取付治具60を電極ハンガー75に吊り下げる。次に、電極ハンガー75に取付治具60を吊り下げた状態でメッキ浴槽77に移動し、メッキ浴槽77内に貯留されたパラジウム(Pd)が主成分の下地メッキ液78に、取付治具60ごと12個の母材40を浸漬する。そして、電源79により、電極ハンガー75と下地メッキ液78との間に電圧を印加することで、12個の母材40の表面に下地メッキ層30aが形成される。なお、導電材料からなる取付治具60の表面にも下地メッキ層30a(パラジウムメッキ)が形成される。
ここで、第一メッキ工程S40は、鏡面仕上げ工程S30の後、取付治具60から母材40を取り外すことなく、取付治具60に母材40を取り付けたままの状態で取付治具60ごと行っている。このため、鏡面仕上げ工程S30の後、第一メッキ工程S40の前に、鏡面仕上げ工程S30で鏡面仕上げした装飾施工面45に作業者の手が触れたり、装飾施工面45が他の部品と接触したりすることがない。したがって、母材40の装飾施工面45の汚損や疵の発生が抑制される。
また、第一メッキ工程S40では、取付治具60ごと複数の母材40を電極ハンガー75に吊るしている。したがって、一回の作業で多くの母材40を電極ハンガー75に吊るすことができるので、従来技術と比較して第一メッキ工程S40が容易となり、時針4a(図1参照)の製造効率が向上する。
図10は、第一メッキ工程S40後の母材40および取付治具60の側面断面図である。なお、図10では、説明を分かり易くするために、母材40、取付治具60および下地メッキ層30aを模式的に表現しており、母材40および下地メッキ層30aの厚さを誇張して表現している。
ここで、図10に示すように、母材40の非装飾施工面47は、取付治具60の載置部61の表面61aに、接着剤66により接着固定されている。このため、第一メッキ工程S40では、下地メッキ液78は、母材40の非装飾施工面47と取付治具60の載置部61の表面61aとの間に浸入できない。したがって、下地メッキ層30aは、母材40の表面のうち非装飾施工面47以外の面、すなわち一方側主面40aおよび傾斜面43で構成される装飾施工面45に形成される。
また、前述のとおり、第一メッキ工程S40は、取付治具60に母材40を取り付けたままの状態で取付治具60ごと行っている。このため、下地メッキ層30aは、取付治具60の表面のうち、接着剤66を介して非装飾施工面47と当接している載置部61の表面61a以外の面にも形成される。なお、取付治具60の表面に付着した下地メッキ層30aは、後述する母材取り外し工程S50の後、溶剤等により剥離して除去する。これにより、時針4aの製造工程で、取付治具60を繰り返し使用することができる。
母材40の装飾施工面45に下地メッキ層30aを形成した時点で、第一メッキ工程S40が終了する。
(母材取り外し工程S50)
続いて、取付治具60から母材40を取り外す、母材取り外し工程S50を行う。
母材取り外し工程S50は、母材40が接着固定された取付治具60を、シンナー等の溶剤(不図示)に浸漬する。取付治具60を溶剤中に所定時間放置することで、溶剤が下地メッキ層30aを透過して接着剤66に到達し、接着剤66に浸透して溶解する。さらに、取付治具60に形成された位置決め孔62からも溶剤が浸入して接着剤66に到達し、接着剤66に浸透して溶解する。これにより、複数の母材40を取付治具60の載置部61から一度に剥離できる。
ここで、装飾施工面45は、第一メッキ工程S40で形成された下地メッキ層30aにより覆われて保護されている。したがって、母材取り外し工程S50では、母材40に作業者の手が触れたり、母材40が他の部品と接触したりしても、母材40の装飾施工面45の汚損や疵の発生が抑制される。また、非装飾施工面47は、下地メッキ層30aにより覆われておらず保護されていないため、作業者の手が触れたり、母材40が他の部品と接触したりすると、汚損や疵が発生するおそれがある。しかし、非装飾施工面47に対応する時針4aの非装飾面27(図4参照)は、時計1(図1参照)の状態では外部から視認されないため外観品質に問題ない。
全ての母材40が取付治具60から剥離した時点で、母材取り外し工程S50が終了する。
(第二メッキ工程S60)
図11は、第二メッキ工程S60の説明図である。
続いて、母材40の表面にロジウム(Rh)を主成分とする仕上げメッキ層30b(図4参照)を形成する第二メッキ工程S60を行う。
図11に示すように、第二メッキ工程S60は、取付治具60(図10参照)から母材40を取り外した状態で、例えば第一メッキ工程S40と同様に電解メッキ法により行っている。具体的には、取付治具60(図10参照)から取り外した母材40の貫通孔42aに、陰極となる母材用電極ハンガー85の先端に形成された鉤部85aを挿通して、母材40を母材用電極ハンガー85に吊り下げる。なお、母材用電極ハンガー85は複数設けられており、複数の母材40を吊り下げている。
ここで、装飾施工面45(図10参照)は、第一メッキ工程S40で形成された下地メッキ層30aにより保護されている。したがって、第二メッキ工程S60においても、母材取り外し工程S50と同様に、母材40に作業者の手が触れたり、母材40が他の部品と接触したりしても、母材40の装飾施工面45の汚損や疵の発生が抑制される。また、非装飾施工面47は、汚損や疵が発生するおそれがあるが、時計1(図1参照)の状態では外部から視認されないため外観品質に問題ない。
次に、第一メッキ工程S40と同様に、母材用電極ハンガー85に複数の母材40を吊り下げた状態で不図示のメッキ浴槽に移動し、メッキ浴槽内に貯留された、ロジウム(Rh)が主成分の仕上げメッキ液に母材40を浸漬する。そして、母材用電極ハンガー85と仕上げメッキ液との間に電圧を印加することにより、母材40の表面全体、すなわち母材40の装飾施工面45および非装飾施工面47に、仕上げメッキ層30b(図4参照)が形成される。
ここで、図10に示すように、母材40の表面のうち非装飾施工面47以外の表面、すなわち一方側主面40aおよび傾斜面43で構成される装飾施工面45は、鏡面仕上げ工程S30により鏡面仕上げされ、さらに第一メッキ工程S40により下地メッキ層30aが形成されている。このため、図4に示すように、第二メッキ工程S60において、仕上げメッキ層30bは、装飾施工面45に形成された下地メッキ層30aに重ねて形成される。すなわち、装飾面25には、鏡面仕上げされた装飾施工面45にメッキ層30が二層重ねて形成される。したがって、装飾施工面45には、仕上げメッキ層30bにより、優美な金属光沢が付与される。
これに対して、母材40の表面のうち非装飾施工面47には、鏡面仕上げ工程S30により鏡面仕上げされておらず、さらに第一メッキ工程S40によって下地メッキ層30aが形成されていない。このため、第二メッキ工程S60において、仕上げメッキ層30bは、非装飾施工面47の表面に直接形成される。すなわち、非装飾面27には、鏡面仕上げされていない非装飾施工面47にメッキ層が一層のみ形成される。これにより、非装飾面27の光沢度は、装飾面25の光沢度よりも若干低くなる。ここで、非装飾面27は、文字板2(図1参照)側に面して配置され、外側から視認できないように配置される。したがって、非装飾面27の光沢度が装飾面25の光沢度よりも若干低くなったとしても、時計1全体の高級感には全く影響を与えることがなく、外観品質に問題はない。
仕上げメッキ層30bを形成した時点で、第二メッキ工程S60が終了する。
(効果)
本実施形態によれば、取付治具60に母材40を取り付けたままの状態で取付治具60ごと第一メッキ工程S40を行うので、母材40を取付治具60から外すことなく、第一メッキ工程S40を行うことができる。したがって、母材取付工程S20の後、第一メッキ工程S40の前に、母材40に作業者の手が触れたり、母材40が取付治具60以外の他の部品と接触したりするのを防止できる。これにより、母材40の装飾施工面45の汚損や疵の発生を抑制できるので、良好な装飾面25を形成でき、時針4aの製造不良の発生を防止できる。
また、第一メッキ工程S40を行う際、取付治具60ごと電極ハンガー75に吊るしてメッキ浴槽77に浸漬できる。これにより、従来技術のように複数の母材40を個々にハンガーに吊るす作業が必要ないので、第一メッキ工程S40が容易となり、時針4aの製造効率を向上できる。
また、本実施形態によれば、装飾面25に対応する装飾施工面45以外の非装飾施工面47が取付治具に当接した状態で第一メッキ工程S40が行われるため、装飾施工面45に第一メッキ層30aが形成され、非装飾施工面47には第一メッキ層30aが形成されない。このため、本実施形態は、装飾面25が外側に配置されて視認され、非装飾面27が内側(すなわち文字板2側)に配置されて視認されない、時計用の針4の製造に特に好適である。したがって、時計用の針4の装飾面25を良好に形成できる。さらに、時計用の針4の製造不良の発生を防止できるとともに製造効率を向上できるので、低コストな時計用の針4を提供できる。
さらに、本実施形態によれば、良好な装飾面25を有する時計用の針4を備え、外観品質に優れた時計1を、低コストに提供できる。
なお、この発明の技術範囲は上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
本実施形態では、鏡面仕上げ工程S30において、ダイヤモンドバイト等の切削工具72により鏡面加工を施し、装飾施工面45を鏡面仕上げした。しかし、鏡面仕上げ工程S30による鏡面加工は、ダイヤモンドバイト等の切削工具72により行う場合に限られることはない。例えば、バフ研磨により装飾施工面45に鏡面加工を行ったり、ラッピングにより装飾施工面45に鏡面加工を行ったりしてもよい。
本実施形態では、時計1の装飾部品のうち、時計1用の針4(時針4a)の製造方法を例に説明をしたが、本発明の適用は、時計1用の針4の製造に限られることはない。例えば、時計ケースの裏蓋にガラス等の透明部材を採用して図2に示すムーブメント100を外側から視認可能とした、いわゆるシースルーバック仕様の時計では、輪列受162やてんぷ受等のムーブメント100を構成する時計部品に、本発明の装飾部品の製造方法を適用してもよい。
本実施形態では、非装飾施工面47が取付治具60に当接した状態で第一メッキ工程S40が行われるため、非装飾施工面47には下地メッキ層30aが形成されない。このため、時針4aの非装飾面27の光沢度は、装飾面25の光沢度よりも若干低くなる。しかし、外側から装飾面25のみが視認される装飾部品において、外側から視認されない非装飾面の光沢度は、装飾部品全体の高級感に全く影響を与えない。したがって、本発明の適用は、時計1の装飾部品に限られることはなく、例えば、ブローチやネクタイピン、イヤリング、ブレスレット、ボタン等、外側から装飾面のみが視認される装飾部品の製造に、本発明の装飾部品の製造方法を適用してもよい。
本実施形態では、下地メッキ層30aとしてパラジウム(Pd)を主成分とする材料が採用され、仕上げメッキ層30bとしてロジウム(Rh)を主成分とする材料が採用されていたが、各メッキ層の材料は実施形態に限定されることはない。また、下地メッキ層30aの膜厚および仕上げメッキ層30bの膜厚についても、実施形態に限定されることはない。
さらに、装飾面25のメッキ層30の層数は、実施形態の二層に限定されることはない。例えば、一層のみで装飾面25に光沢を付与できるメッキ材料を採用する場合には、メッキ層30は一層であってもよい。また、メッキ層30は、必要に応じて三層以上であってもよい。
本実施形態では、第一メッキ工程S40により下地メッキ層30aを形成した後、母材取り外し工程S50により取付治具60から母材40を取り外した状態で、第二メッキ工程S60により仕上げメッキ層30bを形成していた。
ここで、仕上げメッキ層30bの材料として採用したロジウム(Rh)は、パラジウム(Pd)と比較して、溶剤等により剥離して除去し難い材料である。このため、第一メッキ工程S40と同様に、第二メッキ工程S60を行った場合、ロジウム(Rh)で形成された仕上げメッキ層30bを取付治具60から溶剤等により剥離して除去するのが困難であった。このため、母材取り外し工程S50により取付治具60から母材40を取り外した後、第二メッキ工程S60により母材40に仕上げメッキ層30bを形成する必要があった。
しかし、仕上げメッキ層30bを形成する材料に、溶剤等により剥離できる材質を採用した場合には、第一メッキ工程S40により下地メッキ層30aを形成した後、取付治具60に母材40を取り付けたままの状態で、第二メッキ工程S60により仕上げメッキ層30bを形成してもよい。
これにより、第二メッキ工程S60は、第一メッキ工程S40と同様に母材40を取り付けたままの状態で取付治具60ごと行うので、第二メッキ工程S60における母材40の装飾施工面45の汚損や疵の発生を確実に防止できる。したがって、仕上げメッキ層30bを形成した場合であっても、良好な装飾面25を形成でき、時針4aの製造不良の発生を確実に防止できる。また、第二メッキ工程S60においても、第一メッキ工程S40と同様に、取付治具60ごと電極ハンガー75に吊るしてメッキ浴槽77に浸漬できる。これにより、複数の母材40を、個々に母材用電極ハンガー85に吊るす作業が必要ないので、第二メッキ工程S60が容易となり、時針4aの製造効率を向上できる。
本実施形態では、第一メッキ工程S40および第二メッキ工程S60により、装飾施工面45に下地メッキ層30aおよび仕上げメッキ層30bからなる二層のメッキ層30を形成していた。しかし、母材40との密着性に優れ、かつ外観品質に優れた材料をメッキ層30に採用した場合には、第一メッキ工程S40のみにより装飾施工面45に一層のメッキ層30を形成してもよい。
1・・・時計 4・・・針(装飾部品) 25・・・装飾面 30・・・メッキ層 30a・・・下地メッキ層(第一メッキ層) 30b・・・仕上げメッキ層(第二メッキ層) 40・・・母材(装飾部品母材) 60・・・取付治具 S30・・・鏡面仕上げ工程 S40・・・第一メッキ工程 S50・・・母材取り外し工程 S60・・・第二メッキ工程

Claims (6)

  1. 表面に少なくとも一層のメッキ層が形成された装飾面を有する装飾部品の製造方法であって、
    装飾部品母材の表面のうち、前記装飾面が形成される装飾施工面以外の面を取付治具に当接させ、前記取付治具に前記装飾部品母材を取り付ける母材取付工程と、
    前記母材取付工程の後、前記メッキ層のうち最下層の第一メッキ層を前記装飾施工面に形成する第一メッキ工程と、
    を備え、
    前記第一メッキ工程は、前記取付治具に前記装飾部品母材を取り付けた状態で前記取付治具ごと行うことを特徴とする装飾部品の製造方法。
  2. 請求項1に記載の装飾部品の製造方法であって、
    前記母材取付工程の後、前記第一メッキ工程の前に、前記装飾施工面を鏡面仕上げする鏡面仕上げ工程を備え、
    前記鏡面仕上げ工程は、前記取付治具に前記装飾部品母材を取り付けた状態で行うことを特徴とする装飾部品の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の装飾部品の製造方法であって、
    前記第一メッキ工程の後、前記取付治具から前記装飾部品母材を取り外す母材取り外し工程と、
    前記母材取り外し工程の後、前記第一メッキ層に重ねて第二メッキ層を形成する第二メッキ工程を備え、
    前記第二メッキ工程は、前記取付治具から前記装飾部品母材を取り外した状態で行うことを特徴とする装飾部品の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の装飾部品の製造方法であって、
    前記第一メッキ工程の後、前記第一メッキ層に重ねて第二メッキ層を形成する第二メッキ工程を備え、
    前記第二メッキ工程は、前記取付治具に前記装飾部品母材を取り付けた状態で前記取付治具ごと行うことを特徴とする装飾部品の製造方法。
  5. 請求項1に記載の装飾部品の製造方法により、前記装飾部品として形成された時計用針。
  6. 請求項5に記載の時計用針を備えたことを特徴とする時計。
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