JP2013154808A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤの耐久性を高度に維持しながら接地圧分布を均一化して偏摩耗の発生を抑制することを可能にした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】
ベルト層7のエッジ部とカーカス層4との間に内側クッションゴム層10Aと外側クッションゴム層10Bからなる2層構造のクッションゴム層10を配置し、内側クッションゴム層10Aと外側クッションゴム層10Bとの境界の上端位置P1を2番ベルト層72の最大幅WB2の95%の位置よりタイヤ幅方向外側かつ1番ベルト層71の端部よりタイヤ幅方向内側に配置すると共に、内側クッションゴムの硬度H10A を外側クッションゴムの硬度H10B よりも大きく且つベルトコートゴムの硬度H7 より小さくする。
【選択図】図2
【解決手段】
ベルト層7のエッジ部とカーカス層4との間に内側クッションゴム層10Aと外側クッションゴム層10Bからなる2層構造のクッションゴム層10を配置し、内側クッションゴム層10Aと外側クッションゴム層10Bとの境界の上端位置P1を2番ベルト層72の最大幅WB2の95%の位置よりタイヤ幅方向外側かつ1番ベルト層71の端部よりタイヤ幅方向内側に配置すると共に、内側クッションゴムの硬度H10A を外側クッションゴムの硬度H10B よりも大きく且つベルトコートゴムの硬度H7 より小さくする。
【選択図】図2
Description
本発明は、空気入りラジアルタイヤに関し、更に詳しくは、タイヤの耐久性を高度に維持しながら偏摩耗の発生を抑制することを可能にした空気入りタイヤに関する。
一般に、空気入りタイヤにおいては、ベルト層の外周側にベルト層のエッジ部を覆うようにベルト補強層を設けることで、ベルト層の耐セパレーション性を高めてタイヤの耐久性を向上することが為されている。
ところで、これらベルト層及びベルト補強層の張力分布はタイヤ幅方向で異なっており、具体的にはベルトのエッジ部からセンター部に向かって大きくなっている。そのためトレッド面における接地圧についても、トレッドショルダー部からトレッドセンター部に向かって高くなる傾向がある。その結果、接地圧の高い部分と低い部分とで摩耗の度合いが異なり偏摩耗が誘発され易くなると云う問題がある。
そこで、ベルト層のエッジ部とカーカス層との間に、ベルト層を構成するベルトコートゴムと同等以上の硬度を有するベルトクッションゴムを配置することで、トレッドショルダー部の接地圧を高めて、トレッド面の接地圧分布を均一化して偏摩耗を抑制することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記の方法では、偏摩耗を抑制することは出来るものの、ベルトクッションゴムが高硬度であるため、ベルト層のエッジ部における応力を効率的に分散・緩和させる緩衝作用が得られず、タイヤの耐久性(ベルト層の耐セパレーション性)が低下すると云う問題がある。
本発明の目的は、上述する問題点を解決するもので、タイヤの耐久性を高度に維持しながら接地圧分布を均一化して偏摩耗の発生を抑制することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りラジアルタイヤは、一対のビード部間にカーカス層を装架し、トレッド部における前記カーカス層の外周側に少なくとも2層のベルト層を配置した空気入りタイヤにおいて、前記ベルト層のエッジ部と前記カーカス層との間にクッションゴム層を配置し、該クッションゴム層をタイヤ幅方向内側に位置する内側クッションゴム層とタイヤ幅方向外側に位置する外側クッションゴム層との2層構造にし、前記内側クッションゴム層と前記外側クッションゴム層との境界の上端位置を前記ベルト層のうち内側から2番目に位置する2番ベルト層の最大幅の95%の位置よりタイヤ幅方向外側かつ前記ベルト層のうち内側から1番目に位置する1番ベルト層の端部よりタイヤ幅方向内側に配置すると共に、前記内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度を前記外側クッションゴムを構成する外側クッションゴムの硬度よりも大きく且つ前記ベルト層を構成するベルトコートゴムの硬度より小さくしたことを特徴とする。
本発明は、上述のように、ベルト層のエッジ部とカーカス層との間にクッションゴム層を配置し、このクッションゴム層をタイヤ幅方向内側に位置する内側クッションゴム層とタイヤ幅方向外側に位置する外側クッションゴム層との2層構造にし、内側クッションゴム層と外側クッションゴム層との境界の上端位置を2番ベルト層の最大幅の95%の位置よりタイヤ幅方向外側かつ1番ベルト層の端部よりタイヤ幅方向内側に配置すると共に、内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度を外側クッションゴムを構成する外側クッションゴムの硬度よりも大きく且つベルト層を構成するベルトコートゴムの硬度より小さくすることで、耐セパレーション性を高度に維持しながら、耐偏摩耗性を向上することが出来る。即ち、実接地面の幅方向端部に相当する領域に配置される内側クッションゴム層が相対的に高硬度であるため、当該領域の接地圧を向上させて、トレッド面全体の接地圧を均一化し、耐偏摩耗性を向上することが出来る。一方、1番ベルト層の端部に相当する領域に配置される外側クッションゴム層が相対的に低硬度でクッション性を有するため、ベルト層のエッジ部における応力を効率的に分散・緩和して、耐セパレーション性を高度に維持することが出来る。
本発明においては、内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度と外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの硬度とが55以上75以下であることが好ましい。このように各クッションゴム層を構成するクッションゴムの硬度を規定することで、耐セパレーション性と耐偏摩耗性とをより高度に両立することが出来る。
本発明においては、内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度を、ベルト層を構成するベルトコートゴムの硬度の85%超95%以下にすることが好ましい。このように内側クッションゴムの硬度を規定することで、クッション性を著しく損なうことなく実接地面の幅方向端部付近の接地圧を向上して、より耐偏摩耗性を向上することが出来る。
本発明においては、外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの硬度を、ベルト層を構成するベルトコートゴムの硬度の75%以上85%以下にすることが好ましい。このように外側クッションゴムの硬度を規定することで、ベルト層の端部付近の剛性を著しく損なうことなく、1番ベルト層の端部付近でのクッション性を高めて、より耐セパレーション性を向上することが出来る。
本発明においては、外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの60℃におけるtanδが0.08以下であることが好ましい。このように外側クッションゴムのtanδを規定することで、応力の大きい外側クッションゴム層の発熱を抑制することが出来るのでタイヤの耐久性をより向上することが出来る。
本発明においては、車両装着時に車両内側に位置する外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの硬度を車両装着時に車両外側に位置する外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの硬度よりも相対的に小さくすると共に、車両装着時に車両内側に位置する内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度を車両装着時に車両外側に位置する内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度よりも相対的に小さくすることが好ましい。このように車両内側及び車両外側の各クッションゴムの硬度の大小関係を規定することで、高荷重コーナリング時における車両装着外側と内側との接地圧分布を均一化すると共に、キャンバー付加時における直進時の耐久性を向上することが出来る。
このとき、更に、車両装着時に車両内側に位置する外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの硬度を車両装着時に車両外側に位置する外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの硬度の75%〜95%の範囲にすると共に、車両装着時に車両内側に位置する内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度を車両装着時に車両外側に位置する内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度の75%〜95%の範囲にすることが好ましい。これにより、高荷重コーナリング時における車両装着外側と内側との接地圧分布の均一化と、キャンバー付加時における直進時の耐久性の向上とを、より高度に両立することが出来る。
尚、本発明でいう硬度とは、JIS K6253に規定されるデュロメータ硬さであって、タイプAのデュロメータにより温度20℃において測定した硬さである。また、本発明でいう60℃におけるtanδとは、JIS K6394に準拠して、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所製)を使用し、温度60℃、周波数20Hz、静歪10%、動歪±2%の条件した値である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3間には2層のカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されている。また、ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部分と折り返し部分により包み込まれている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には異なる幅を有する複数層のベルト層7が埋設されている。図示の例では、ベルト層7として、内側から1番目に位置する1番ベルト層71と内側から2番目に位置する2番ベルト層72の2層が設けられ、1番ベルト層71の幅が2番ベルト層72の幅よりも大きくなっている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。更に、ベルト層7の外周側にはベルト補強層8が設けられている。ベルト補強層8のタイヤ周方向に対するコード角度は5°以下、より好ましくは、3°以下である。
尚、本発明において、タイヤの断面形状は図1の態様に限定されず、複数層のベルト層7が設けられていれば、どのような形態であっても構わない。
本発明では、図1,2に示すように、上述のように配置されたベルト層7のエッジ部とカーカス層4との間にクッションゴム層10が設けられている。このクッションゴム層10は、タイヤ幅方向内側に位置する内側クッションゴム層10Aとタイヤ幅方向外側に位置する外側クッションゴム層10Bとの2層から構成されている。これら内側クッションゴム層10Aと外側クッションゴム層10Bとの境界Lの上端位置P1は、2番ベルト層72の最大幅WB2の95%の位置よりタイヤ幅方向外側かつ1番ベルト層71の端部よりタイヤ幅方向内側に配置されている。言い換えれば、内側クッションゴム層10Aと外側クッションゴム層10Bとの境界Lの上端位置P1は、1番ベルト層71の最大幅をWB1とし、2番ベルト層72の最大幅をWB2としたとき、タイヤセンターCLからの距離が0.475WB2〜0.5WB1の範囲内に配置されている。
また、内側クッションゴム層10Aを構成する内側クッションゴムの硬度H10A を外側クッションゴム層10Bを構成する外側クッションゴムの硬度H10B よりも大きくすると共に、ベルト層7を構成するベルトコートゴムの硬度H7 より小さく設定している。即ち、内側クッションゴムの硬度H10A 、外側クッションゴムの硬度H10B 、ベルトコートゴムの硬度H7 の大小関係をH7 >H10A >H10B に設定している。
このように、内側クッションゴム層10Aと外側クッションゴム層10Bとの配置と硬度とを設定することで、実接地面の幅方向端部に相当する領域に配置される内側クッションゴム層10Aが相対的に高硬度になり、当該領域の接地圧を向上させて、トレッド面全体の接地圧を均一化し、耐偏摩耗性を向上することが出来る。一方、1番ベルト層71の端部に相当する領域に配置される外側クッションゴム層10Bが相対的に低硬度でクッション性を有するため、ベルト層7のエッジ部における応力を効率的に分散・緩和して、耐セパレーション性を高度に維持することが出来る。
このとき、境界Lの上端位置P1が2番ベルト層72の最大幅WB2の95%の位置よりタイヤ幅方向内側に位置すると、相対的に高硬度である内側クッションゴム層10Aが実接地面の幅方向端部に相当する領域を充分に覆うことが出来ず、当該領域の接地圧を充分に向上することが出来ない。即ち、耐偏摩耗性を向上する効果が充分に得られない。逆に、境界Lの上端位置P1が1番ベルト層71の最大幅WB1よりタイヤ幅方向外側に位置すると、相対的に低硬度でクッション性を有する外側クッションゴム層10Bが1番ベルト層71の端部に相当する領域を充分に覆うことが出来ず、ベルト層7のエッジ部における応力を効率的に分散・緩和することが出来ず、耐セパレーション性が低下する。
また、内側クッションゴムの硬度H10A と外側クッションゴムの硬度H10B とベルトコートゴムの硬度H7 とが上記の大小関係を満たさないと、耐偏摩耗性と耐セパレーション性を両立することが出来ない。具体的には、内側クッションゴムの硬度H10A 及び外側クッションゴムの硬度H10B がベルトコートゴムの硬度H7 より大きいと、偏摩耗を抑制することは出来るものの、ベルト層7のエッジ部における応力を効率的に分散・緩和させる緩衝作用が得られずタイヤの耐久性が低下する。また、外側クッションゴムの硬度H10B が内側クッションゴムの硬度H10A より大きいと、実接地面の幅方向端部に相当する領域の接地圧を向上する効果や、ベルト層7のエッジ部における応力を効率的に分散・緩和する効果が得られず、耐偏摩耗性及び耐セパレーション性を両立することが出来ない。
尚、境界Lの上端位置P1が上述の範囲に設定されていれば、境界Lはどのように配置しても構わないが、好ましくは、内側クッションゴム層10Aと外側クッションゴム層10Bとの境界Lの下端位置P2が2番ベルト層72のタイヤ幅方向外側端部よりタイヤ幅方向外側且つ1番ベルト層71のタイヤ幅方向外側端部よりタイヤ幅方向内側に位置すると良い。即ち、境界Lの下端位置Pが2番ベルト層72の最大幅WB2以上1番ベルト層71の最大幅WB1以下の範囲に位置すると良い。境界Lの下端位置P2が、2番ベルト層72のタイヤ幅方向外側端部よりもタイヤ幅方向内側に位置すると内側クッションゴム層10Aの量が減少して接地圧を向上する効果が低下し、1番ベルト層71のタイヤ幅方向外側端部よりもタイヤ幅方向外側に位置すると外側クッションゴム層10Bの量が減少して応力を分散・緩和する効果が低下する。
更に、外側クッションゴム層10Bのタイヤ幅方向外側端部P3の位置は特に限定されないが、好ましくは図2に示すようにパターン展開幅の端部E、即ちデザインエンドを通りカーカス層4に垂直な線と外側のカーカス層4との交点P4よりもタイヤ径方向外側(トレッド部1側)に位置すると良い。外側クッションゴム層10Bのタイヤ幅方向外側端部P3が交点P4よりもタイヤ径方向内側(ビード部3側)に位置すると、カーカスエッジとのマージン不足による歪集中が懸念される。尚、デザインエンドとは、トレッド部1において溝が存在する領域のタイヤ幅方向外側の境界(溝のタイヤ幅方向最外側の終端部)である。
本発明においては、内側クッションゴム層10Aを構成する内側クッションゴムの硬度H10A と外側クッションゴム層10Bを構成する外側クッションゴムの硬度H10B とが55以上75以下であることが好ましい。このように、各クッションゴム層を構成するクッションゴムの硬度を規定することで、耐セパレーション性と耐偏摩耗性とをより高度に両立することが出来る。
このとき、内側クッションゴムの硬度H10A 及び外側クッションゴムの硬度H10B が55より小さいと、特に内側クッションゴム層10Aによる接地圧向上の効果が充分に得られず、耐偏摩耗性を充分に向上することが出来ない。逆に、内側クッションゴムの硬度H10A 及び外側クッションゴムの硬度H10B が75より大きいと、特に外側クッションゴム層10Bによる応力緩和の効果が充分に得られず、耐セパレーション性を充分に向上することが出来ない。
このようにゴムの硬度の範囲に対して、更に、内側クッションゴム層10Aを構成する内側クッションゴムの硬度H10A を、ベルト層7を構成するベルトコートゴムの硬度H7 の85%超95%以下にすることが好ましい。このように内側クッションゴムの硬度を規定することで、クッション性を著しく損なうことなく実接地面の幅方向端部付近の接地圧を向上して、より耐偏摩耗性を向上することが出来る。
このとき、内側クッションゴムの硬度H10A がベルトコートゴムの硬度H7 の85%以下であると、硬度が低くなり過ぎて接地圧を向上する効果が充分に得られない。逆に、内側クッションゴムの硬度H10A がベルトコートゴムの硬度H7 の95%より大きいと、内側クッションゴム層10Aのクッション性が著しく損なわれて耐セパレーション性が低下する。
同様に、上述のゴムの硬度の範囲に対して、更に、外側クッションゴム層10Bを構成する外側クッションゴムの硬度H10Bを、ベルト層7を構成するベルトコートゴムの硬度H7 の75%以上85%以下にすることが好ましい。このように外側クッションゴム10Bの硬度H10B を規定することで、ベルト層7の端部付近の剛性を著しく損なうことなく、1番ベルト層71の端部付近でのクッション性を高めて、より耐セパレーション性を向上することが出来る。
このとき、外側クッションゴムの硬度H10B がベルトコートゴムの硬度H7 の75%より小さいと、硬度が低くなり過ぎてタイヤの耐久性が低下する。逆に、外側クッションゴムの硬度H10B がベルトコートゴムの硬度H7 の85%より大きいと、外側クッションゴム層10Bのクッション性が低下して耐セパレーション性を充分に向上することが出来ない。
内側クッションゴムの硬度H10A 及び外側クッションゴムの硬度H10B は、ベルトコートゴムの硬度H7 に対して上述の範囲内であれば良いが、更に好ましくは、外側クッションゴムの硬度H10B と内側クッションゴムの硬度H10A の硬度差が5〜10の範囲内であると良い。このように内側クッションゴムの硬度H10A と外側クッションゴムの硬度H10B との差を特定の範囲に設定することで、より効果的に耐偏摩耗性と耐セパレーション性とを両立することが出来る。
本発明においては、外側クッションゴム層10Bを構成する外側クッションゴムの60℃におけるtanδを0.08以下に設定することが好ましい。このように外側クッションゴムのtanδを規定することで、応力の大きい外側クッションゴム層10Bの発熱を抑制することが出来るのでタイヤの耐久性をより向上することが出来る。
このとき、外側クッションゴムの60℃におけるtanδが0.08より大きいと、発熱を充分に抑制することが出来ないため、タイヤの耐久性をより向上する効果が得られない。
上述の説明では、ベルト層7の一方の端部におけるクッションゴム層10について述べたが、車両装着時のタイヤ表裏の装着方向が指定された空気入りタイヤにおいては、車両内側(IN)のクッションゴム層10iと車両外側(OUT)のクッションゴム層10oとで、外側クッションゴム層10Ai,10Ao及び内側クッションゴム10Bi,10Boの配置や、各クッションゴム層10Ai,10Bi,10Ao,10Boを構成する外側クッションゴム及び内側クッションゴムの材質の設定を、同じにしても異ならせても良い。
車両装着時の車両内側と車両外側とで各クッションゴム層10Ai,10Bi,10Ao,10Boの設定を異ならせる場合、車両内側に位置する外側クッションゴム層10Aiを構成する外側クッションゴムの硬度H10Aiを車両外側に位置する外側クッションゴム層10Aoを構成する外側クッションゴムの硬度H10Aoよりも相対的に小さくすると共に、車両内側に位置する内側クッションゴム層10Biを構成する内側クッションゴムの硬度H10Biを車両外側に位置する内側クッションゴム層10Boを構成する内側クッションゴムの硬度H10Boよりも相対的に小さくすることが好ましい。即ち、各クッションゴムの硬度H10Ai,H10Ao,H10Bi,H10Boの大小関係を、H10Ai<H10AoかつH10Bi<H10Boに設定する。
このように、各クッションゴム層10Ai,10Bi,10Ao,10Boを構成するクッションゴムの硬度を設定し、車両装着時の車両内側と車両外側との間の各クッションゴムの硬度の大小関係を規定することで、高荷重コーナリング時における車両装着外側と内側との接地圧分布を均一化すると共に、キャンバー付加時における直進時の耐久性を向上することが出来る。即ち、高荷重コーナリング時やキャンバー付加時の直進時には、車両外側の接地圧が高くなるため、車両内側よりも車両外側を高硬度にすることで、接地圧分布の均一化を図ることが出来る。
このとき、車両内側と車両外側とでクッションゴムの硬度の大小関係が逆転すると、接地圧が高くなる領域を高硬度にすることが出来ず、接地圧分布の均一化による耐久性の向上効果が得られない。尚、相対的に高硬度である車両外側において硬度が低い外側クッションゴムの硬度H10Boと、相対的に低硬度である車両内側において硬度が高い内側クッションゴムの硬度H10Aiとの大小関係は特に限定されないが、好ましくは、H10Bo<H10Aiの関係であると良い。
更に、車両内側の外側クッションゴム層10Biを構成する外側クッションゴムの硬度H10Biを車両外側の外側クッションゴム層10Boを構成する外側クッションゴムの硬度H10Boの75%〜95%の範囲にすると共に、車両内側の内側クッションゴム層10Aiを構成する内側クッションゴムの硬度H10Aiを車両外側の内側クッションゴム層10Aoを構成する内側クッションゴムの硬度H10Aoの75%〜95%の範囲にすることが好ましい。
このように車両装着時に車両内側と車両外側とで各クッションゴム層10Ai,10Bi,10Ao,10Boの硬度を異ならせる場合の車両外側の各クッションゴムに対する車両内側の各クッションゴムの割合を規定することで、上述の高荷重コーナリング時における車両装着外側と内側との接地圧分布の均一化の効果とキャンバー付加時における直進時の耐久性の向上の効果とをより高度に両立することが出来る。
このとき、車両内側の外側クッションゴムの硬度H10Biが車両外側の外側クッションゴムの硬度H10Boの75%より小さい場合、或いは、車両内側の内側クッションゴムの硬度H10Aiが車両外側の内側クッションゴムの硬度H10Aoの75%より小さい場合、車両内側の外側クッションゴム層10Biが軟らかくなり過ぎてタイヤの耐久性が低下する。逆に、車両内側の外側クッションゴムの硬度H10Biが車両外側の外側クッションゴムの硬度H10Boの95%より大きい場合、或いは、車両内側の内側クッションゴムの硬度H10Aiが車両外側の内側クッションゴムの硬度H10Aoの95%より大きい場合、車両内側と車両外側との硬度差が小さ過ぎて、上述の高荷重コーナリング時において接地圧分布を均一化する効果とキャンバー付加時において直進時に耐久性を向上する効果とを効果的に両立することが出来ない。
タイヤサイズ235/45R18の空気入りタイヤにおいて、タイヤの断面構造を図1のようにし、クッションゴム層の分割の有無、2番ベルト層の最大幅WB2に対する内側クッションゴム層と外側クッションゴム層との境界の上端位置、ベルトコートゴムの硬度、各クッションゴム(車両外側の内側クッションゴム、車両外側の外側クッションゴム、車両内側の内側クッションゴム、車両内側の外側クッションゴム)の硬度、各クッションゴム(車両外側の内側クッションゴム、車両外側の外側クッションゴム、車両内側の内側クッションゴム、車両内側の外側クッションゴム)のtanδを、それぞれ表1,2のように異ならせた従来例1、比較例1〜5、実施例1〜10の16種類の試験タイヤを製作した。
尚、試験タイヤにおいて、1番ベルト層の最大幅WB1はWB2の105%と一致する。
これら16種類の試験タイヤについて、下記の評価方法により耐セパレーション性及び耐偏摩耗性を評価し、その結果を表1,2に併せて示した。
耐セパレーション性
各試験タイヤをリムサイズ18×8Jのアルミホイールに装着し、酸素圧350kPaを充填し、温度70℃の条件で14日間乾熱劣化させる。この乾熱劣化の後、充填酸素を空気に入れ換えて空気圧を170kPaに設定し、キャンバー角−2°、速度60km/hの条件で、ドラム試験機上をタイヤ故障(ベルト部におけるセパレーション)が発生するまで走行させ、タイヤ故障が起きるまでの走行距離を測定した。評価結果は、従来例1を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど、耐セパレーション性が優れることを意味する。
各試験タイヤをリムサイズ18×8Jのアルミホイールに装着し、酸素圧350kPaを充填し、温度70℃の条件で14日間乾熱劣化させる。この乾熱劣化の後、充填酸素を空気に入れ換えて空気圧を170kPaに設定し、キャンバー角−2°、速度60km/hの条件で、ドラム試験機上をタイヤ故障(ベルト部におけるセパレーション)が発生するまで走行させ、タイヤ故障が起きるまでの走行距離を測定した。評価結果は、従来例1を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど、耐セパレーション性が優れることを意味する。
耐偏摩耗性
各試験タイヤをリムサイズ18×8Jのアルミホイールに装着し、空気圧240kPaを充填して、排気量3500ccの乗用車に装着し、乾燥路面からなるテストコースにて20000km走行させた後のトレッドセンター部とトレッドショルダー部の最大摩耗量の差を計測した。評価結果は、従来例1の値の逆数を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど最大摩耗量の差が小さく耐偏摩耗性に優れていることを意味する。
各試験タイヤをリムサイズ18×8Jのアルミホイールに装着し、空気圧240kPaを充填して、排気量3500ccの乗用車に装着し、乾燥路面からなるテストコースにて20000km走行させた後のトレッドセンター部とトレッドショルダー部の最大摩耗量の差を計測した。評価結果は、従来例1の値の逆数を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど最大摩耗量の差が小さく耐偏摩耗性に優れていることを意味する。
表1,2から判るように、実施例1〜10はいずれもクッションゴム層を2層構造にしない従来例1に対して、優れた耐セパレーション性及び耐偏摩耗性を両立した。特に、各クッションゴムの硬度が好ましい範囲に含まれる実施例2〜6、外側クッションゴムのtanδを小さく設定した実施例7〜8、車両外側と車両内側とでクッションゴムの硬度を異ならせた実施例9〜10は、これら性能をより高度に両立した。
一方、クッションゴム層を2層構造にせずにクッションゴム層全体を高硬度にした比較例1は、耐偏摩耗性は向上するものの耐セパレーション性が悪化した。クッションゴム層を2層構造にしても、その硬度の大小関係が本発明を満たさない比較例2〜3は、耐セパレーション性及び耐偏摩耗性が共に悪化した。クッションゴム層を2層構造にしても、その分割位置が本発明を満たさない比較例4〜5は、耐セパレーション性又は耐偏摩耗性のいずれかが悪化し、これらタイヤ性能を両立することが出来なかった。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
71 1番ベルト層
72 2番ベルト層
8 ベルト補強層
10 クッションゴム層
10A 内側クッションゴム層
10B 外側クッションゴム層
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
71 1番ベルト層
72 2番ベルト層
8 ベルト補強層
10 クッションゴム層
10A 内側クッションゴム層
10B 外側クッションゴム層
Claims (7)
- 一対のビード部間にカーカス層を装架し、トレッド部における前記カーカス層の外周側に少なくとも2層のベルト層を配置した空気入りタイヤにおいて、
前記ベルト層のエッジ部と前記カーカス層との間にクッションゴム層を配置し、該クッションゴム層をタイヤ幅方向内側に位置する内側クッションゴム層とタイヤ幅方向外側に位置する外側クッションゴム層との2層構造にし、前記内側クッションゴム層と前記外側クッションゴム層との境界の上端位置を前記ベルト層のうち内側から2番目に位置する2番ベルト層の最大幅の95%の位置よりタイヤ幅方向外側かつ前記ベルト層のうち内側から1番目に位置する1番ベルト層の端部よりタイヤ幅方向内側に配置すると共に、前記内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度を前記外側クッションゴムを構成する外側クッションゴムの硬度よりも大きく且つ前記ベルト層を構成するベルトコートゴムの硬度より小さくしたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。 - 前記内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度と前記外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの硬度とが55以上75以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度を、前記ベルト層を構成するベルトコートゴムの硬度の85%超95%以下にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの硬度を、前記ベルト層を構成するベルトコートゴムの硬度の75%以上85%以下にしたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの60℃におけるtanδが0.08以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 車両装着時に車両内側に位置する外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの硬度を車両装着時に車両外側に位置する外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの硬度よりも相対的に小さくすると共に、車両装着時に車両内側に位置する内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度を車両装着時に車両外側に位置する内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度よりも相対的に小さくしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 車両装着時に車両内側に位置する外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの硬度を車両装着時に車両外側に位置する外側クッションゴム層を構成する外側クッションゴムの硬度の75%〜95%の範囲にすると共に、車両装着時に車両内側に位置する内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度を車両装着時に車両外側に位置する内側クッションゴム層を構成する内側クッションゴムの硬度の75%〜95%の範囲にしたことを特徴とする請求項6に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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JP2012017864A JP2013154808A (ja) | 2012-01-31 | 2012-01-31 | 空気入りラジアルタイヤ |
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Cited By (2)
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JP2016160360A (ja) * | 2015-03-03 | 2016-09-05 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
JP2017095056A (ja) * | 2015-11-27 | 2017-06-01 | 東洋ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ |
-
2012
- 2012-01-31 JP JP2012017864A patent/JP2013154808A/ja active Pending
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