JP2013153715A - 釣糸巻回用スプールと、このスプールを搭載した魚釣用リール - Google Patents

釣糸巻回用スプールと、このスプールを搭載した魚釣用リール Download PDF

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Abstract

【課題】軽量化により慣性力を低減し、高い回転効率が図られたスプールを搭載する魚釣用リールが要望されている。
【解決手段】魚釣用リールに用いられるスプールは、釣糸を巻回収納する糸巻胴部が中空な円筒形状を成し、内部中央で円筒内面と直交する方向で全周に亘り接合するリブ部が、スプール軸を嵌装する軸挿入部から糸巻胴部に向かい、厚みが狭まるテーパー形状を成し、テーパー面の両端が糸巻胴部及び糸巻胴部のそれぞれに曲面状に繋がり、前記軸挿入部側の曲面状から糸巻胴部側の曲面状まで、軸挿入部から糸巻胴部に向かい、開口面積が大きくなる形状の貫通孔がリブ部上に均等配置される構成である。
【選択図】図2

Description

本発明は、剛性を有し軽量化されたスプールを有する両軸受型の魚釣用リールに関する。
一般に、両軸受型の魚釣用リールとして、例えば、ルアー等の疑似餌をキャストするために用いられるベイトキャスティングリール(以下、ベイトリールと称する)が知られている。このベイトリールにおいて、道糸となる釣糸は、円筒形状のスプールに巻回されて、収納されている。疑似餌をキャストする場合には、クラッチ機構によりスプールをフリー状態に切り換えて、釣竿を素早く振り抜くことにより、スプールから釣糸が引き出されながら、疑似餌が飛翔し所望するポイントに着水する。
疑似餌は、その重さが数gから数十g程度の軽量であるが、ユーザは、その飛距離がより長距離となり、着水ポイントに対してコントロールできるように要望している。さらに、着水等により釣糸の引き出しが停止した時点でスプールの回転も停止し、スプールに巻回された釣糸に緩み(バックラッシュ)が生じないように要求されている。
従って、スプールの慣性力を低減するための軽量化と、スプールの回転初速を高めるための回転効率(回転抵抗の低減)を図るために種々の技術が提案されている。勿論、ベイトリール以外のタイプのリールにおいても、スプールの軽量化は、高性能化に多くの利点をもたらすため、広く求められている。
例えば、特許文献1には、スプールの軽量化を図るために、パイプ形状のスプール軸が設けられたスプールが提案されている。このスプールにおける円盤形状のリブ部は、均一な厚さで糸巻胴部とスプール軸を連結している。
また、特許文献2には、スプールの軽量化を図るために、均一な厚さのボス部(リブ部)に複数の貫通孔を形成したスプールが提案されている。このスプールにおける貫通孔は、異なる径の貫通孔が外周に沿って2列に配置された構成である。
特開2001−028983号公報 特開2006−006190号公報
前述したスプールのうちで、中空な糸巻胴部の内周面中央に一体的に接合する円盤形状のリブ部が設けられ、そのリブ部の中心にスプール軸が装嵌された構成のスプールがある。この構成においては、負荷が糸巻胴部に掛かると、スプール軸近傍のリブ部分に大きな割合で、その負荷が掛かっている。
釣行時において、スプールは、糸巻胴部上の何れかの位置で釣糸が引き出された状態で停止している。この時に、魚等が掛かり巻上げを行うと、その停止位置で糸巻胴部の巻回面の接線方向(径方向と直交する方向)に引っ張られる負荷が生じる。例えば、糸巻胴部の端位置に停止していた場合、その端位置に負荷が掛かることにより、スプールにねじれが生じる。
このねじれにより、糸巻胴部、リブ部及びスプール軸嵌装部に偏りや変形が生じると、スプールが適正に回転できなくなる。これを防止するため、通常のスプールは、特許文献1のように嵌装されるスプール軸の近傍のリブ部分に掛かる負荷に対する強度を基準として、同じ厚みのリブ部が設けられている。
また、スプールの軽量化を図る際に、フリー状態で回転するスプールの慣性モーメントを考慮すると、同じ重量の部材であれば、回転中心(スプール軸側)から距離が離れたフランジ部側の位置になるほど、慣性モーメントが大きくなる。つまり、スプール軸側よりは、糸巻胴部側の重量を軽量化した方が有効である。従って、リブ部に貫通孔を形成する場合においても、糸巻胴部側の重量を軽量化する必要がある。
そこで本発明は、強度を保持しながら軽量化を実現するスプールと、そのスプールを備える魚釣用リールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に従う実施形態は、釣糸を糸巻胴部に巻回保持するスプールであって、中空な円筒形状を成す糸巻胴部と、前記糸巻胴部の円筒内部中央で中空を塞ぎ、円筒内面と直交する方向で全周に亘り一体的に接合し、スプール軸を嵌装する軸挿入部を有する円盤状を成すリブ部と、具備し、前記リブ部は、両面の両端が前記軸挿入部及び前記糸巻胴部のそれぞれに曲面状に繋がり、前記軸挿入部に隣接する前記曲面状に接する位置から前記糸巻胴部に隣接する前記曲面状に接する位置まで至り、且つ、前記軸挿入部側に比べて前記糸巻胴部側が開口面積が大きくなる形状に形成され、前記リブ部に均等配置された複数の貫通孔を有する釣糸巻回用スプールを提供する。
さらに、実施形態は、対向する一対の側壁部を有するリール本体と、釣糸を糸巻胴部に巻回保持するスプールと、前記スプールに嵌装され、両端を前記側壁部に取り付けて、前記スプールを回転自在に支持するスプール軸と、前記スプール軸と機械的に連結され、前記スプールを回転させる駆動機構と、を具備し、前記スプールは、中空な円筒形状を成す糸巻胴部と、前記糸巻胴部の円筒内部中央で中空を塞ぎ、円筒内面と直交する方向で全周に亘り一体的に接合し、スプール軸を嵌装する軸挿入部を有する円盤状を成すリブ部と、具備し、前記リブ部は、断面形状が前記軸挿入部から前記糸巻胴部に向かい、厚みが直線的に狭まるテーパー形状を成し、テーパー面の両端が前記糸巻胴部及び前記糸巻胴部のそれぞれに曲面状に繋がり、前記軸挿入部に隣接する前記曲面状に接する位置から前記糸巻胴部に隣接する前記曲面状に接する位置まで至り、且つ、前記軸挿入部側に比べて前記糸巻胴部側が開口面積が大きくなる形状に形成され、前記リブ部に均等配置された複数の貫通孔を有する魚釣用リールを提供する。
本発明によれば、強度を保持しながら軽量化を実現するスプールと、そのスプールを備える魚釣用リールを提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る魚釣用リールの全体的な外観構成を示す図である。 図2(a)は、第1の実施形態に係るスプールの外観構成を示す図、図2(b)は、図2(a)の線分A−Aにおけるスプール軸を含むスプールの断面構成を示す図である。 図3(a)は、図2(a)の矢印m側からみた側面の構成を示す図、図3(b)は、図3(a)の線分B−Bにおけるスプールの断面構成を示す図、図3(c)は、図3(a)の線分C−Cにおけるスプールの断面構成を示す図である。 図4(a)は、第2の実施形態に係るスプールを側面からみた構成を示す図、図4(b)は、図4(a)の線分D−Dにおけるスプールの断面構成を示す図、図4(c)は、図4(a)の線分E−Eにおけるスプールの断面構成を示す図である。 図5(a)は、第3の実施形態に係るスプールを側面からみた構成を示す図、図5(b)は、図5(a)の線分F−Fにおけるスプールの断面構成を示す図、図5(c)は、図5(a)の線分G−Gにおけるスプールの断面構成を示す図である。 図6(a)は、第4の実施形態に係るスプールを側面からみた構成を示す図、図6(b)は、図6(a)の線分H−Hにおけるスプールの断面構成を示す図、図6(c)は、図6(a)の線分J−Jにおけるスプールの断面構成を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る魚釣用リールの全体的な外観構成を示す図である。
この魚釣用リール(以下、リールと称する)1は、スプール5を貫通するスプール軸(図2(a)の符号7)で両側から回転可能に軸支する両軸受型の手巻きリールである。
リール本体2内には、両側が支持されたスプール軸7と嵌装するスプール5が回転可能に配置される。スプール軸7は、駆動機構、即ちギヤ機構(図示せず)及びドラグ機構(図示せず)を介在して、リール本体側面に配置されるスプール5を回転駆動させるためのハンドル3のハンドル軸3aに機械的に連結されている。
[第1の実施形態]
図2(a)は、第1の実施形態のスプールの外観構成を示す図、図2(b)は、スプール軸を含むスプールの断面構成を示す図である。図3(a)は、第1の実施形態のスプールを側面(矢印m)からみた構成を示す図、図3(b)は、線分B−Bにおけるスプールの断面構成を示す図、図3(c)は、線分C−Cにおけるスプールの断面構成を示す図である。
スプール5から延出したスプール軸7の両側は、それぞれに図示しないベアリング等を介して、リール本体2の間隔を空けて対向する一対の側壁部の間に取り付けられ、スプール5が回転自在に支持されている。尚、側壁部へのスプール軸7の取り付けは、回転可能ならベアリングは必ずしも必要でなく、側壁部へ直接でも間接(例えば、セットプレートやバックラッシュ防止機構等を介して)であってもよい。スプール軸7の一端は、同軸上に配置されたギヤにギヤ機構が歯合し、ハンドル3の回転力が伝達される。
ドラグ機構は、ギヤ機構とハンドル軸の間に配置され、ギヤ機構へのハンドル3による回転動力の伝達及びスプール5の制動力を調整する。このドラグ機構では、ドラグ調整体(例えば、スタードラグ)4の締め込み具合により、スプール5から釣糸が引き出される制動力及びハンドル3の回転動力の伝達が調整される。
また、リール本体2の前方側には、往復移動して、釣糸をスプール5に均一に巻回させるレベルワインド機構6が配置されている。さらに、リール本体2の後方には、スプール5をギヤ機構と連結させる図示しないクラッチ機構が設けられている。このクラッチ機構は、リール本体2に後側に設けられたクラッチレバー8により、フリー状態(非連結状態)又は、巻上げ可能状態(連結状態)に切り換えられる。ここでは、クラッチレバー8の押し下げにより、クラッチ機構が解除されてフリー状態となり、またハンドル3の巻上げ操作により、解除から復帰し、クラッチ機構が連結する。
スプール5は、少なくとも糸巻胴部12とリブ部11とが削り出しにより、一体的に形成される。即ち、図2(b)に示すように、中空な円筒形状の糸巻胴部12で内部中央に、円盤状のリブ部11が一体的に設けられている。リブ部11は、糸巻胴部12内の中空を塞ぐように、糸巻胴部12の内面と直交する方向で全周に亘り接合して支持する。
さらに、スプール削り出し工程の中で、図2(b)に示すように、リブ部11の中央には、円筒形状の軸挿入部(スプール軸支持部)14が設けられ、その周辺には、図3(b)に示す、後述する複数の貫通孔23が形成される。軸挿入部14には、スプール軸7を嵌装して固着するための嵌装孔14aが形成されている。
スプール5の糸巻胴部12の両側の外周端には、糸巻面から湾曲して張り出したつば状のフランジ部13が設けられている。尚、図2(b)に示すフランジ部13の張り出し量(縁の高さ)は、釣糸の巻回容量を規定する。つまり、フランジ部13が糸巻胴部12の面より高いほど、巻回容量が増加する。
スプール5のリブ部11は、軸挿入部14側と糸巻胴部12側に対する応力等による力学的にみると、図3(b)に示すように、糸巻胴部12の端に外力Fが働いた場合に、リブ周方向に一定の曲げモーメント(負荷)Ftが掛かる。ここで、径が大きい糸巻胴部12と径が小さい軸挿入部14に働く曲げモーメントは、同じ数値であっても、実際は周方向に作用するため、糸巻胴部12においては、周の長さが長くなるので単位長さ当たりの負荷は小さくなり、軸挿入部14においては、周の長さが短いので、単位長さ当たりの負荷は大きくなる。従って、スプールに必要な強度においても、これらの負荷に準じることとなる。つまり、内側になる軸挿入部14の厚さよりも外側になる糸巻胴部12を薄くしても強度を維持させることができる。従って、軸挿入部14に必要な強度を糸巻胴部12まで維持させる、即ち同じ厚さで繋ぐ、必要はない。
そこで、本実施形態では、リブ部断面が図2(b)、図3(b)に示すように、スプール5のリブ部11における糸巻胴部12側を厚みt1及び、軸挿入部14側を厚みt2(t2>t1)を有するテーパー形状に形成している。このリブ部11を全体的にみれば、そろばん玉に近似する形状である。即ち、本実施形態では、糸巻胴部12側のリブ部材料が削除されるため、軽量化も成されて慣性モーメントも効率よく小さくなる。
また、図2(b)に示すように、糸巻胴部12とリブ部11との接続箇所、及びリブ部11と軸挿入部14との接続箇所は、それぞれの面が交差する箇所を角付けるのではなく、角を丸めるように面と面を曲面で繋ぐ、所謂、R(アール)を付けることにより、掛かる負荷を分散させて強度を高めている。尚、R(アール)の大きさは、0.2mm〜2mm程度が特に好ましい。
さらに、本実施形態のリブ部11は、図3(a)に示すように、それぞれに等間隔に配置された複数のスポーク部22と、これらと交互に配置された複数の貫通孔23とで構成される。この例では、8本のスポーク部22と、8個の貫通孔23を例として示しているが、これらの個数や貫通孔の大きさは、設計事項により適宜設定され、限定されるものではない。
貫通孔23は、例えば、柑橘系の果実の房の水平断面のように、軸挿入部14から糸巻胴部12に向かって広がる略扇形状(三角形状)を成すように形成される。また、スポーク部22は、軸挿入部14から糸巻胴部12に向かって幅が狭まるようなテーパー形状を成している。即ち、このリブ部11は、中央側の軸挿入部14から外周側の糸巻胴部12に近づくに従い、貫通孔23の空間を拡げて開口面積が大きくなるように、リブ部11の肉抜きの量を多くしている。
本実施形態では、貫通孔23は、軸挿入部14と隣接するスポーク部22(リブ部11)のR部分(曲面状)に接する位置から、糸巻胴部12と隣接するスポーク部22のR部分(曲面状)に接する位置までの間で開口されている。これは、R部分を残すことにより、スプールに掛かる応力をR部分に分散させるためである。これらの貫通孔23を設けることにより、スポーク部22は、外周に向かって重量をより軽減できるため、スポーク部22の中央側に比べて、外周側を軽量化することができる。
以上のように本実施形態によれば、スプール5のリブ部の厚み形状を軸挿入部14側から糸巻胴部12側に狭まるテーパー形状とすることにより、スプールに外部から力が加わった際に、リブ部11の斜めのテーパー面で効率よく応力を作用させることで、強度の低下を防止し、且つスプールの全体的な軽量化が実現できる。
さらに、リブ部断面をテーパー形状としたことから、スプールの外周側になる糸巻胴部12側におけるリブ部11を部分的により削除することができ、軽量化が図れる。また、リブ部11の外周に向かい、開口面積が大きくなる扇型形状の貫通孔23を等間隔で形成することにより、さらに外周近傍の重量を軽量化することができる。これらの軽量化によって、スプールの慣性力を低減する効果が得られる。
また、力学的に影響の少ないリブ部材を削除したテーパー形状及び、外周側をより軽量化する扇形貫通孔を形成したリブ部を有するスプールは、強度的には現状の強度を維持することができる。
さらに、第1の実施形態の変形例として、リブ部11に対して扇形の貫通孔23を開口したが、貫通孔に限定されるものではなく、例えば、貫通孔に底部を設けた有底孔、即ち凹形状に溝形成してもよい。この溝形成しても、前述した第1の実施形態と同等の作用効果を得ることができる。また、この凹形溝は、リブ部11の片面から切削して底部を残すように形成してもよいし、両面から凹形溝を切削して、底部を壁として残すように形成してもよい。
[第2の実施形態]
図4(a)は、第2の実施形態に係るスプールを側面からみた構成を示す図、図4(b)は、図4(a)の線分D−Dにおけるスプールの断面構成を示す図、図4(c)は、図4(a)の線分E−Eにおけるスプールの断面構成を示す図である。本実施形態について、前述した第1の実施形態と同等の構成部位には、同じ参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
本実施形態のリブ部11は、スポーク部32と、貫通孔33とで構成される。スポーク部32は、前述したスポーク部22と同じ形状を成し、ここでは均等に4本が配置されている。
これらのスポーク部32の間に等間隔で形成された貫通孔33は、2つの台形の斜面どうしを合わせた1つの菱形に近い形状となっている。つまり、貫通孔33は、図3(a)に示した、隣接する2つの貫通孔23の間の1本のスポーク部22を削除して併せた形状である。
また、貫通孔33は、軸挿入部14の近傍でスポーク部32(リブ部11)のR部分に接する位置から、糸巻胴部12の近傍でスポーク部32のR部分に接する位置までの間を開口している。これは、第1の実施形態と同じ理由であり、R部分を残すことにより、スプールに掛かる応力をR部分に分散させるためである。尚、テーパー形状を成すスポーク部32の幅は、設計された強度に基づき、適宜設定される。
本実施形態によれば、スプール5のリブ部の厚み形状をテーパー形状とすることにより、スプールに外部から力が加わった際に、リブ部11のテーパー形状により効率よく応力を受けて強度の低下を防止し、且つスプールの全体的な軽量化が実現できる。
さらに、リブ部断面をテーパー形状としたことから、スプールの外周側になる糸巻胴部12側におけるリブ部11をリブ部材に削除することができ、軽量化を実現している。さらに、リブ部11の外周に向かい、開口面積が大きくなる形状に貫通孔33を形成したことから、さらに外周近傍の重量を軽量化することができる。これらの軽量化によって、スプールの慣性力を低減する効果が得られる。また、力学的に影響の少ないリブ部材を削除したテーパー形状及び、外周側をより軽量化する貫通孔を形成したリブ部を有するスプールは、強度的には現状の強度を維持することができる。
さらに、第2の実施形態の変形例として、リブ部11に対して扇形の貫通孔33を開口したが、貫通孔に限定されるものではなく、例えば、貫通孔に底部を設けた有底孔、即ち、凹形状に溝形成してもよい。この凹形溝は、リブ部11の片面から切削して底部を残すように形成してもよいし、両面から凹形溝を切削して、底部を壁として残すように形成してもよい。この溝形成においても、前述した第1の実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
[第3の実施形態]
図5(a)は、第3の実施形態に係るスプールを側面からみた構成を示す図、図5(b)は、図5(a)の線分F−Fにおけるスプールの断面構成を示す図、図5(c)は、図5(a)の線分G−Gにおけるスプールの断面構成を示す図である。本実施形態について、前述した第1の実施形態と同等の構成部位には、同じ参照符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施形態のテーパー形状を成すリブ部11は、部分リブ部42と、大小の径が異なる貫通孔43,44とで構成される。貫通孔43,44の径及び個数は、設計事項に従って設定される。本実施形態では、それぞれ4個の貫通孔43,44が交互に配置されている。図5(a)においては、貫通孔44の径は、貫通孔43の径の2倍から3倍程度に設定されている。
この例では、貫通孔43は、軸挿入部14の近傍、部分リブ部42のR部分に接する位置から、設定された径までの位置に配置される。また、貫通孔44は、軸挿入部14の近傍で、部分リブ部42のR部分に接する位置から、糸巻胴部12の近傍でリブ部42のR部分に接する位置までの間に開口されている。これは、第1の実施形態と同じ理由であり、R部分を残すことにより、スプールに掛かる応力をR部分に分散させるためである。
本実施形態によれば、テーパー形状を成すリブ部を備えたスプール5は、強度の低下を防止し、且つスプールの全体的な軽量化が実現できる。さらに、リブ部断面をテーパー形状としたことから、スプールの外周側の軽量化を実現し、且つリブ部11に貫通孔43,44を形成したことから、さらに外周近傍の重量を軽量化することができる。これらの軽量化によって、スプールの慣性力を低減する効果が得られる。
さらに、前述した第1,2の実施形態と同様に、力学的に影響の少ないリブ部分を削除したテーパー形状及び、外周側をより軽量化する貫通孔を形成したリブ部を有するスプールは、強度的には現状の強度を維持することができる。
また、第3の実施形態の変形例として、リブ部11に対して大小の径が異なる貫通孔扇形の貫通孔43,44を開口したが、貫通孔に限定されるものではなく、例えば、貫通孔に底部を設けた有底孔、即ち、凹形状に溝形成してもよい。この凹形溝は、リブ部11の片面から切削して底部を残すように形成してもよいし、両面から凹形溝を切削して、底部を壁として残すように形成してもよい。この溝形成においても、前述した第1の実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
[第4の実施形態]
図6(a)は、第4の実施形態に係るスプールを側面からみた構成を示す図、図6(b)は、図6(a)の線分H−Hにおけるスプールの断面構成を示す図、図6(c)は、図6(a)の線分J−Jにおけるスプールの断面構成を示す図である。本実施形態について、前述した第1の実施形態と同等の構成部位には、同じ参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
本実施形態のテーパー形状を成すリブ部11は、部分リブ部52と、釣り鐘形状(又はしずく形状)の貫通孔53とで構成される。貫通孔53は、大きさ(開口面積)及び個数は、設計事項に従って設定される。本実施形態では、それぞれ4個の貫通孔53が均等に配置されている。
貫通孔53は、軸挿入部14側は、曲率の大きい湾曲から広がるように伸び、糸巻胴部12近傍で丸められる、円形状であり、例えば、釣り鐘形状である。この例では、貫通孔53は、軸挿入部14の近傍で部分リブ部52のR部分に接する位置から、糸巻胴部12の近傍で、部分リブ部52のR部分に接する位置までの間に開口されている。これは、第1の実施形態と同じ理由であり、R部分を残すことにより、スプールに掛かる応力をR部分に分散させるためである。
本実施形態によれば、前述した第2の実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
また、第4の実施形態の変形例として、リブ部11に対して釣り鐘形状の貫通孔53を開口したが、貫通孔に限定されるものではなく、例えば、貫通孔に底部を設けた有底孔、即ち、凹型釣り鐘形の溝形成してもよい。この凹形溝は、リブ部11の片面から切削して底部を残すように形成してもよいし、両面から凹形溝を切削して、底部を壁として残すように形成してもよい。この溝形成においても、前述した第1の実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
以上説明した第1乃至第4の各実施形態のスプールは、材料として、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金等を採用することができる。これらの材料に対して、削り出し、プレス加工、又は鍛造により形成することかできる。これらのスプールは、露出表面が耐腐食処理されることが望ましく、例えば、公知な耐性膜の被膜処理又は、耐性塗料の塗装処理等を行う。スプールがアルミ系金属で形成されていたならば、酸化処理(例えば、アルマイト処理)を施してもよい。また、カーボン繊維等で強化された樹脂材料等で形成することも可能である。
また、必要とされる剛性に従うが、スプールは、ステンレス薄板又は、その合金の薄板により形成することも可能である。さらに、スプールは、必ずしも一体的に形成されている必要はなく、同じ材料又は異なる材料により形成されたパーツを組み付けて構成されていてもよい。例えば、アルミニウム合金からなる糸巻胴部と、樹脂材料からなるフランジ部とが組み付けられた構成であってもよい。
1…魚釣用リール、2…リール本体、3…ハンドル、4…ドラグ調整体、5…スプール、6…レベルワインド機構、7…スプール軸、8…クラッチレバー、11…リブ部、12…糸巻胴部、13…フランジ部、14…軸挿入部、14a…嵌装孔、22…スポーク部、23…貫通孔。

Claims (5)

  1. 釣糸を糸巻胴部に巻回保持するスプールであって、
    中空な円筒形状を成す糸巻胴部と、
    前記糸巻胴部の円筒内部中央で中空を塞ぎ、円筒内面と直交する方向で全周に亘り一体的に接合し、スプール軸を嵌装する軸挿入部を有する円盤状を成すリブ部と、具備し、
    前記リブ部は、両面の両端が前記軸挿入部及び前記糸巻胴部のそれぞれに曲面状に繋がり、前記軸挿入部に隣接する前記曲面状に接する位置から前記糸巻胴部に隣接する前記曲面状に接する位置まで至り、且つ、前記軸挿入部側に比べて前記糸巻胴部側が開口面積が大きくなる形状に形成され、前記リブ部に均等配置された複数の貫通孔を有することを特徴とする釣糸巻回用スプール。
  2. 釣糸を糸巻胴部に巻回保持するスプールであって、
    中空な円筒形状を成す糸巻胴部と、
    前記糸巻胴部の円筒内部中央で中空を塞ぎ、円筒内面と直交する方向で全周に亘り一体的に接合し、スプール軸を嵌装する軸挿入部を有する円盤状を成すリブ部と、具備し、
    前記リブ部は、断面形状が前記軸挿入部から前記糸巻胴部に向かい、厚みが狭まるテーパー形状を成し、テーパー面の両端が前記糸巻胴部及び前記糸巻胴部のそれぞれに曲面状に繋がり、前記軸挿入部に隣接する前記曲面状に接する位置から前記糸巻胴部に隣接する前記曲面状に接する位置まで至り、且つ、前記軸挿入部側に比べて前記糸巻胴部側が開口面積が大きくなる形状に形成され、前記リブ部に均等配置された複数の貫通孔を有することを特徴とする釣糸巻回用スプール。
  3. 前記リブ部に形成される前記貫通孔が、径が異なる複数の貫通孔として形成され、
    前記複数の貫通孔は、前記軸挿入部に隣接する前記曲面状に接する位置に円縁が重なり、且つ、順次それぞれが交互に均等配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の釣糸巻回用スプール。
  4. 前記リブ部に形成される前記貫通孔に底部を設けた有底孔の凹溝形状として形成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の釣糸巻回用スプール。
  5. 対向する一対の側壁部を有するリール本体と、
    釣糸を糸巻胴部に巻回保持するスプールと、
    前記スプールに嵌装され、両端を前記側壁部に取り付けて、前記スプールを回転自在に支持するスプール軸と、
    前記スプール軸と機械的に連結され、前記スプールを回転させる駆動機構と、を具備し、
    前記スプールは、
    中空な円筒形状を成す糸巻胴部と、
    前記糸巻胴部の円筒内部中央で中空を塞ぎ、円筒内面と直交する方向で全周に亘り一体的に接合し、スプール軸を嵌装する軸挿入部を有する円盤状を成すリブ部と、具備し、
    前記リブ部は、断面形状が前記軸挿入部から前記糸巻胴部に向かい、厚みが狭まるテーパー形状を成し、テーパー面の両端が前記糸巻胴部及び前記糸巻胴部のそれぞれに曲面状に繋がり、前記軸挿入部に隣接する前記曲面状に接する位置から前記糸巻胴部に隣接する前記曲面状に接する位置まで至り、且つ、前記軸挿入部側に比べて前記糸巻胴部側が開口面積が大きくなる形状に形成され、前記リブ部に均等配置された複数の貫通孔を有することを特徴とする魚釣用リール。
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