JP2013151984A - 係合装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】迅速な係合を行うことができる係合装置を提供する。
【解決手段】係合装置1は、回転軸まわりに配置された係合体2と被係合体3とを軸方向で係合させる係合装置1あって、係合体2に軸方向へ推力を与えるフォーク4と、フォーク4による推力の一部を被係合体3との差回転を減少する方向の回転力に変換する変換手段(係合体2のガイド部材5及びガイド部材5のガイドスプライン6)と、係合体2と被係合体3との差回転に基づきフォーク4により発生する推力を制御する制御手段(ECU8)と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】係合装置1は、回転軸まわりに配置された係合体2と被係合体3とを軸方向で係合させる係合装置1あって、係合体2に軸方向へ推力を与えるフォーク4と、フォーク4による推力の一部を被係合体3との差回転を減少する方向の回転力に変換する変換手段(係合体2のガイド部材5及びガイド部材5のガイドスプライン6)と、係合体2と被係合体3との差回転に基づきフォーク4により発生する推力を制御する制御手段(ECU8)と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、係合装置に関する。
回転軸まわりに配置された係合体と被係合体とを係合させる係合装置として、例えば特許文献1には、入力軸とヘリカルスプラインを介して噛み合うスリーブ(係合体)と、スリーブを軸方向に移動させるシフタと、スリーブを介して入力軸との噛み合い/離脱を行うことができる歯車体(被係合体)とを備え、シフタがスリーブを軸方向に移動することで、スリーブがヘリカルスプラインにより周方向に回転されて、スリーブと歯車体との位相が合った位置で係合する構成が開示されている。
しかしながら、特許文献1には、スリーブ(係合体)の軸方向移動量の制御については開示されておらず、スリーブ(係合体)と歯車体(被係合体)の位相差によっては両者を迅速に係合することができない虞がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、迅速な係合を行うことができる係合装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る係合装置は、回転軸まわりに配置された係合体と被係合体とを軸方向で係合させる係合装置であって、前記係合体に軸方向へ推力を与えるアクチュエータと、前記アクチュエータによる推力の一部を前記被係合体との差回転を減少する方向の回転力に変換する変換手段と、前記係合体と前記被係合体との差回転に基づき前記アクチュエータにより発生する推力を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
また、上記の係合装置は、前記係合体が前記被係合体と係合したときに、前記被係合体から入力されるトルクの一部を前記係合体から外部へ伝達するトルク伝達手段を備えることが好ましい。
また、上記の係合装置において、前記変換手段及び前記トルク伝達手段は、回転軸まわりの周方向に沿って別位相に設けられることが好ましい。
本発明に係る係合装置は、係合体と被係合体の差回転に基づきアクチュエータの推力を制御するため、係合体と被係合体の差回転を減少する方向へ適切に係合体の回転力を制御することができる。これにより、係合体を被係合体と回転同期させて両者を容易に係合させることが可能となり、この結果、迅速に係合を行うことができるという効果を奏する。
以下に、本発明に係る係合装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
[第1実施形態]
図1〜4を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。まず図1,2を参照して本実施形態に係る係合装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る係合装置の開放状態のときの概略構成を示す断面模式図であり、図2は、図1に示すガイド部材をA方向から見たときのガイドスプラインの形状を示す概略図である。
図1〜4を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。まず図1,2を参照して本実施形態に係る係合装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る係合装置の開放状態のときの概略構成を示す断面模式図であり、図2は、図1に示すガイド部材をA方向から見たときのガイドスプラインの形状を示す概略図である。
図1に示す係合装置1は、例えば、ハイブリッド車両において、エンジンやモータなどの駆動源からの動力を出力軸に伝達する動力伝達装置に組み込まれる。係合装置1は、たとえば、動力伝達装置から出力軸に伝達する動力を制御するために、動力伝達装置の回転要素の一部の回転を規制するブレーキ装置として使用される。なお、動力伝達装置の全体構成等の詳細な構造は本発明の要旨と直接関係しないため説明を省略する。
係合装置1は、図1に示すように、係合体2、被係合体3、フォーク4(アクチュエータ)、ガイド部材5、及びECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)8(制御手段)を備えて構成される。
係合体2及び被係合体3は、上記の回転要素に係る回転軸(図1では図示しない下方にあるものとする)の周囲に配置されている。回転軸は動力伝達装置の構成要素を内包するケース(図示せず)に支持されている。なお、回転軸は図1の左右方向に延在しているものとし、以下の説明では特に断りのない限り、図面の左右方向を回転軸の「軸方向」、上下方向を回転軸の「径方向」と表現する。
被係合体3は、回転軸と連動して回転軸まわりに回転可能に連結されている。また、被係合体3は、軸方向および径方向の移動が規制されている。
係合体2は、軸方向に沿って移動可能に構成されている。係合体2と被係合体3は、係合体2の軸方向の移動によって、係合体2の内周面と被係合体3の外周面とを係合/開放することができる。係合体2の内周面のうち被係合体3と近い方の端部には、径方向内側に向けて、回転軸まわりの周方向に沿ってドグ歯2aが配設され、被係合体3の外周面には、径方向外側に向けて周方向に沿ってドグ歯3aが配設されている。これらのドグ歯2a,3aは、噛み合いドグクラッチになっており、両者が噛み合うことにより、係合体2と被係合体3とを係合させることができる。
係合体2の外周面のうち被係合体3から遠い方の端部には、径方向外側からフォーク4が嵌合されている。フォーク4は、ECU8からの制御指令に応じて軸方向に駆動力を発生することができるアクチュエータである。すなわち、係合体2は、フォーク4により軸方向の推力が与えられる。
係合体2の外周面のうち被係合体3と近い方の端部には、径方向外側にガイド部材5が配置されている。ガイド部材5は、たとえばケースに固設され、軸方向、径方向、及び回転軸まわりの周方向の移動が規制されている。
ガイド部材5の係合体2との当接面のうち被係合体3と近い方の端部には、係合体2の移動を誘導するためのガイドスプライン6が形成されている。係合体2のガイド部材5との当接面にはガイドピン2bが設けられ、このガイドピン2bがガイド部材5のガイドスプライン6に沿って移動可能に嵌合されている。ガイドスプライン6は、図2に示すように、被係合体3から遠い方から順に開放部6a及び係合部6bから成る。なお、図2は、ガイド部材5を図1に示すA方向から見たときのガイドスプライン6の形状を示す概略図であり、図2の左右方向は回転軸の「軸方向」であり、上下方向は回転軸まわりの「周方向」である。
ガイドスプライン6の開放部6aは、係合部6bとの境界では周方向に広がっており、係合部6bから離れるにつれてガイドピン2bの幅まで狭まり、その幅を維持したままらせん状に形成されている。係合体2と被係合体3とが開放されている状態では、係合体2のガイドピン2bは、このらせん形状の部分、好ましくは図2に符号aで示す端部の位置に配置される。なお、ガイドスプライン6の開放部6aのらせん形状の方向は、係合体2が被係合体3と係合する際に、両者の差回転を減少すべく、被係合体3の回転方向と同一の回転力を係合体2に付与できる方向である。
一方、ガイドスプライン6の係合部6bは、開放部6aとの境界では開放部6aと同様に周方向に広がっており、開放部6aから離れるにつれてガイドピン2bの幅まで狭まり、その幅を維持したまま軸方向に沿って直線形状に形成されている。係合体2と被係合体3とが完全に係合されている状態では、係合体2のガイドピン2bは、この直線形状の部分、好ましくは図2に符号bで示す端部の位置に配置される。
本実施形態の係合装置1では、係合体2のガイド部材5と、ガイド部材5のガイドスプライン6とが、フォーク4による推力の一部を被係合体3との差回転を減少する方向の回転力に変換するための変換手段として機能するものである。
ガイド部材5の係合体2との当接面のうち被係合体3と遠い方の端部には、径方向内側に向けて強度増強用スプライン7aが形成されている。同様に、係合体2のガイドピン2bが設けられている外周面上には、このスプライン7aと噛み合うことが可能な強度増強用スプライン7bが形成されている。これらの強度増強用スプライン7a,7b(トルク伝達手段)は、噛合いドグクラッチになっており、両者が噛合うことで、被係合体3から入力されるトルクの一部を係合体2からガイド部材5へ伝達することができる。強度増強用スプライン7a,7bは、係合体2のドグ歯2aと被係合体3のドグ歯3aとが噛み合った後に、互いが噛み合いはじめるように両者の配置が設定されている。図1,2の例では、図2に「強度増強用スプライン噛込」と示すように、ガイドピン2bがガイドスプライン6の係合部6bのうち直線形状の部分にて、強度増強用スプライン7a,7bが噛み込むよう設定されている。
なお、ガイド部材5のガイドスプライン6及び強度増強用スプライン7aは、図1では説明の便宜上、軸方向の同一位相上に配置されているが、ガイド部材5の内周面上の周方向の別位相(異なる位置)に配置され、軸方向ではオーバーラップして配置される。これに伴い、係合体2のガイドピン2bと強度増強用スプライン7bも、係合体2の外周面上の周方向の異なる位置に配置され、軸方向ではオーバーラップして(少なくとも一部を重複して)配置される。これにより、係合体2及びガイド部材5は、軸方向の全長の小型化が可能となるよう構成されている。
ECU8は、車両内の各種センサ類の情報に基づいて、車両各部の制御を行う制御装置である。特に本実施形態のECU8は、係合体2及び被係合体3の回転数の差分(差回転)に基づいて、フォーク4が出力する軸方向の推力を制御する。
ここで、ECU8は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びインターフェースなどを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路である。ECU8の各機能は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、CPUの制御のもとで車両内の各種装置を動作させると共に、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
次に、図1,2に加え図3,4を参照して、本実施形態に係る係合装置1の動作について説明する。図3は、本実施形態に係る係合装置の係合状態のときの概略構成を示す断面模式図であり、図4は、本実施形態に係る係合装置の係合動作時にECUにより実施される推力制御を示すフローチャートである。
まず図1〜3を参照して、係合装置1の係合動作について説明する。
係合装置1が開放状態のときには、図1に示すように係合体2と被係合体3とが離間しており、被係合体3は回転軸と連動して回転している。この状態では、図2に示すように、係合体2のガイドピン2bは、ガイドスプライン6の開放部6aのらせん形状の部分(符号aの位置)に配置されている。
次に、フォーク4がECU8から制御指令を受け駆動すると(ECU8による推力制御については図4を参照して後述する)、係合体2はフォーク4から推力を受けて被係合体3の方向(図1の右方向)へ移動を開始する。このとき、係合体2のガイドピン2bは、ガイドスプライン6の開放部6aのらせん形状の部分に沿って係合部6b側へ移動する。ガイドピン2b(係合体2)の移動方向と、ガイドスプライン6の方向は不一致のため、ガイドピン2bはガイドスプライン6から反力を受ける。この反力により、係合体2の軸方向への推力の一部が、周方向へ分配される。この周方向の力の向きは、被係合体3の回転方向と同一方向となるよう予めガイドスプライン6のらせん形状が設定されている。この結果、係合体2は、シンクロナイザやモータ等の同期装置を備えることなく、軸方向の推力とガイドスプライン6との作用とによって、被係合体3の回転方向と同一方向の回転力を得ることができ、被係合体3との同期回転を得ることができる。
フォーク4による係合体2の移動に伴い、係合体2のドグ歯2aが被係合体3のドグ歯3aと噛み合い始める。このとき、係合体2のガイドピン2bはガイドスプライン6の開放部6aのらせん形状から周方向へ広がった領域から係合部6bへ移行する。ガイドスプライン6は、図2に示すように噛合い時に幅を広げることで、ガイドピン2bとの間に十分なガタを持たせ、係合体2と被係合体3との間で確実な噛合いを可能にするよう構成されている。また、ガイドスプライン6は、図2に示すように係合部6bへ移行後は幅を徐々に狭めることで、係合後にはガタの少ない噛み合いを実現し、NV(騒音・振動)の改善を図れるよう構成されている。このとき、係合体2と被係合体3が噛合い始めることで、係合体2は被係合体3の回転によるトルクを受けるが、このトルクはガイドピン2bからガイドスプライン6を介してガイド部材5に伝達されている。
係合体2は、そのままドグ歯2aが噛み合う方向へ移動し続け、係合体2のガイドピン2bがガイドスプライン6の係合部6bのうち直線形状の部分へ進入する。このとき、係合体2の強度増強用スプライン7bが、ガイド部材5の強度増強用スプライン7aと噛み合い始める。このとき、被係合体3の回転により係合体2が受けるトルクは、ガイドピン2bからガイドスプライン6を介してガイド部材5に伝達されるのに加えて、係合体2の強度増強用スプライン7bから強度増強用スプライン7aを介してガイド部材5に伝達され始める。
そして、図3に示すように、係合体2のドグ歯2aが被係合体3のドグ歯3aと噛み合った状態となり、かつ、係合体2の強度増強用スプライン7bが、ガイド部材5の強度増強用スプライン7aと噛み合った状態となると、係合体2と被係合体3との係合が完了する。この係合状態のとき、図2に示すように、係合体2のガイドピン2bは、ガイドスプライン6の係合部6bの直線形状の部分(符号bの位置)に配置されている。このとき、被係合体3の回転により係合体2が受けるトルクは、ガイドピン2bからガイドスプライン6を介して、また、係合体2の強度増強用スプライン7bから強度増強用スプライン7aを介して、ガイド部材5に伝達されている。
次に、図4のフローチャートを参照して、係合装置1の係合動作時にECU8により実施される推力制御について説明する。
まず、係合体2と被係合体3の差回転が計測される(S1)。差回転は、例えば回転軸の回転数を検出する回転数センサなどを用いて計測することができる。
次に、ステップS1で計測された係合体2と被係合体3の差回転に基づき、フォーク4の推力が決定される(S2)。フォーク4の推力は、係合体2と被係合体3の差回転を0とするように制御することができる。具体的には、フォーク4の推力は、例えば差回転と推力とが関連付けられたマップを参照して、ステップS1で検出された差回転に基づき決定することができる。または、フォーク4の推力は、以下の(1)式を用いて、ステップS1で計測された差回転を代入して算出することで決定することができる。
ここで、Fは推力、Xは噛合いクラッチの噛合い距離(係合体2のドグ歯2aと被係合体3のドグ歯3aとの距離)、mは係合体2の質量、Aはガイドスプライン6の軸方向に対する角度、δωは係合体2と被係合体3との差回転、rは噛合いクラッチ半径(係合体2のドグ歯2aの軸心からの距離)、μは摩擦係数を表す。
次に、ステップS2において決定された推力を用いてフォーク4が駆動され、係合体2と被係合体3との係合制御が実施される(S3)。具体的には、上記のように、ステップS2により決定されたフォーク4の推力とガイドスプライン6とを利用して、係合体2と被係合体3との回転同期が行われ、係合体2と被係合体3との噛合が行われる。
次に、係合体2と被係合体3との係合が完了したか否かが確認される(S4)。係合完了の確認は、例えば、係合体2と被係合体3の差回転が0になることを判定基準として判定することができる。係合が完了していないものと判定された場合には、ステップS1に戻り、引き続き係合制御が実施される。係合が完了しているものと判定された場合には処理を終了する。
次に、本実施形態に係る係合装置1の効果について説明する。
本実施形態の係合装置1は、回転軸まわりに配置された係合体2と被係合体3とを軸方向で係合させる係合装置1である。この係合装置1は、係合体2に軸方向へ推力を与えるフォーク4と、フォーク4による推力の一部を被係合体3との差回転を減少する方向の回転力に変換する変換手段(係合体2のガイド部材5及びガイド部材5のガイドスプライン6)と、係合体2と被係合体3との差回転に基づきフォーク4により発生する推力を制御する制御手段(ECU8)と、を備える。
このような構成により、係合体2と被係合体3の差回転に基づきフォーク4の推力を制御するため、係合体2と被係合体3の差回転を減少する方向へ適切に係合体2の回転力を制御することができる。これにより、係合体2を被係合体3と回転同期させて両者を容易に係合させることが可能となり、この結果、迅速に係合を行うことができる。
また、本実施形態の係合装置1は、係合体2が被係合体3と係合したときに、被係合体3から入力されるトルクの一部を係合体2から外部のガイド部材5へ伝達する強度増強用スプライン7a,7bを係合体2及びガイド部材5に備える。
この構成により、係合体2が被係合体3と係合したときに、係合体2に入力されるトルクを分散して外部へ伝達できるので、係合体2の被係合体3との係合箇所(ドグ歯2a)や、係合体2のガイド部材5との係合箇所(ガイドピン2b)に要求される強度を低く抑えることができ、強度を確保するためにドグ歯2aやガイドピン2bを大型化する必要がなくなり、係合装置1の小型化が可能となる。
また、本実施形態の係合装置1では、変換手段(係合体2のガイド部材5及びガイド部材5のガイドスプライン6)と、強度増強用スプライン7a,7bは、回転軸まわりの周方向に沿って別位相に設けられる。
この構成により、変換手段(係合体2のガイド部材5及びガイド部材5のガイドスプライン6)と、強度増強用スプライン7a,7bを軸方向にオーバーラップさせて配置することが可能となり、係合装置1の軸方向の全長を抑えることができ、係合装置1のより一層の小型化が可能となる。
[第2実施形態]
図5,6を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、本実施形態に係る係合装置の開放状態のときの概略構成を示す断面模式図であり、図6は、本実施形態に係る係合装置の係合状態のときの概略構成を示す断面模式図である。
図5,6を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、本実施形態に係る係合装置の開放状態のときの概略構成を示す断面模式図であり、図6は、本実施形態に係る係合装置の係合状態のときの概略構成を示す断面模式図である。
図5,6に示すように、本実施形態に係る係合装置1aは、係合体2を軸方向に移動するアクチュエータとして、ソレノイドタイプの電磁アクチュエータ14を用いた点で、第1実施形態の係合装置1と異なるものである。
係合装置1aも、第1実施形態の係合装置1と同様に、ハイブリッド車両の動力伝達装置に組み込まれ、動力伝達装置から出力軸に伝達する動力を制御するために、動力伝達装置の回転要素の一部の回転を規制するブレーキ装置として使用される。
係合体2、被係合体3、ガイドスプライン6、強度増強用スプライン7a,7bなど、係合装置1aの主要な構成要素は、第1実施形態の係合装置1と同様なので説明を省略し、ここでは電磁アクチュエータ14の構成について説明する。
電磁アクチュエータ14は、電磁コイル14aと、電磁コイル14aの内周側に嵌め合わされた駆動対象としてのアーマチュア14bと、アーマチュア14bの内周に嵌め合わされたスリーブ14cとを備えている。アーマチュア14bの一端部には、内周方向側にリング状に突出する形状で形成されたスリーブ受け14dが設けられている。スリーブ受け14dは、スリーブ14cの一端部と軸方向で当接している。
スリーブ14cの内周面は係合体2の外周面と当接しており、スリーブ14cと係合体2との間にはスナップリング14eが設けられている。このスナップリング14eにより、スリーブ14cと係合体2とは軸方向に一体移動可能、かつ周方向には相対回転可能に組み合わされている。
また、スリーブ14cには、アーマチュア14bのスリーブ受け14dと当接する一端部と反対側の端部から径方向外側に伸ばされたフランジ部14fが設けられている。このスリーブ14cのフランジ部14fと、ガイド部材5との間には、圧縮ばねからなるリターンスプリング14gが適度に圧縮された状態で保持されている。
本実施形態のECU8は、係合体2と被係合体3の差回転に基づいて、電磁アクチュエータ14に所望の軸方向の推力を出力させるために、電磁コイル14aに流す電流値を制御する。
次に、本実施形態の係合装置1aの動作について説明する。
係合装置1aが開放状態のときには、図5に示すように係合体2と被係合体3とが離間しており、被係合体3は回転軸と連動して回転している。
次に、ECU8からの制御指令に応じて電磁アクチュエータ14の電磁コイル14aに電流が流れると、図6に示すように、電磁コイル14aの周囲の磁路Mに磁束が流れ、アーマチュア14bを被係合体3の方向(図5,6の右方向)へ移動する力が発生する。アーマチュア14bの移動に伴い、スリーブ14cがアーマチュア14bのスリーブ受け14dにより押されて、被係合体3の方向(図5,6の右方向)へ移動する。
そして、スリーブ14cの移動に伴い、スナップリング14eによりスリーブ14cに連結されている係合体2が、被係合体3の方向(図5,6の右方向)へ移動する。このとき、第1実施形態の係合装置1と同様に、係合体2のガイドピン2bがガイドスプライン6に沿って進行し、軸方向の推力とガイドスプライン6との作用とによって、係合体2の軸方向への推力の一部が周方向へ分配され、被係合体3の回転方向と同一方向の回転力を得る。
電磁アクチュエータ14による係合体2の移動に伴い、係合体2のドグ歯2aが被係合体3のドグ歯3aと噛み合い、その後に、係合体2の強度増強用スプライン7bが、ガイド部材5の強度増強用スプライン7aと噛み合う。
そして、図6に示すように、係合体2のドグ歯2aが被係合体3のドグ歯3aが噛み合った状態となり、かつ、係合体2の強度増強用スプライン7bが、ガイド部材5の強度増強用スプライン7aと噛み合った状態となると、係合体2と被係合体3との係合が完了する。
第1実施形態において図4を参照して説明した推力制御のフローチャートは、第2実施形態では、「フォーク」を「電磁アクチュエータ」に置き換え、ステップS2において、係合体2と被係合体3の差回転に基づき決定された推力を実現可能な電磁コイル14aの電流値を算出する処理を実行すれば、電磁アクチュエータ14の推力制御のフローチャートとして同様に実施することができる。
以上より、本実施形態の係合装置1aは、第1実施形態の係合装置1と同様の特徴を備えるものであり、第1実施形態の係合装置1と同様の効果を奏するものである。
[第3実施形態]
図7〜9を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。図7は、本実施形態に係る係合装置の開放状態のときの概略構成を示す断面模式図であり、図8は、本実施形態に係る係合装置の係合体と第一の被係合体との係合状態のときの概略構成を示す断面模式図であり、図9は、本実施形態に係る係合装置の係合体と第二の被係合体との係合状態のときの概略構成を示す断面模式図である。
図7〜9を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。図7は、本実施形態に係る係合装置の開放状態のときの概略構成を示す断面模式図であり、図8は、本実施形態に係る係合装置の係合体と第一の被係合体との係合状態のときの概略構成を示す断面模式図であり、図9は、本実施形態に係る係合装置の係合体と第二の被係合体との係合状態のときの概略構成を示す断面模式図である。
図7〜9に示すように、本実施形態に係る係合装置1bは、係合体2の軸方向両側に被係合体13,23を備える点で、第1実施形態の係合装置1と異なるものである。
上記の第1、第2実施形態は係合装置1,1aをブレーキ装置として実施したものであるが、本発明に係る係合装置は、本実施形態の係合装置1bのように2つの回転要素間の動力伝達を断続させるクラッチ装置として実施することもできる。
図7に示すように、係合体2の軸方向右側には第一の被係合体13が配置され、係合体2の軸方向左側には第二の被係合体23が配置されている。係合体2は、フォーク4により軸方向移動可能であり、図7の右方向に移動することでその内周面を第一の被係合体13の外周面と係合可能であり、図7の左方向に移動することでその内周面を第二の被係合体23の外周面と係合可能である。
係合体2の内周面のうち、第一の被係合体13の側の端部には、第一の被係合体13のドグ歯13aと噛合うための第一のドグ歯12aが径方向内側に向けて配設されている。係合体2の内周面のうち、第二の被係合体23の側の端部には、第二の被係合体23のドグ歯23aと噛合うための第二のドグ歯22aが径方向内側に向けて配設されている。さらに、係合体2の内周面のうち、第一のドグ歯12a及び第二のドグ歯22aの間の中間部には、ガイドピン2bが径方向内側に向けて配設されている。
係合体2の径方向内側には円筒状のガイド部材15が配設されており、ガイド部材15の外周面は係合体2の内周面と当接されている。このガイド部材15の外周面には、係合体2のガイドピン2bを誘導するガイドスプライン16が形成され、ガイドピン2bがガイドスプライン16に沿って移動可能に嵌合されている。
ガイドスプライン16は、フォーク4による係合体2の軸方向移動に伴い、係合体2と第一の被係合体13または第二の被係合体23との差回転が0となるように、係合体2に周方向の回転力を付与することができるよう構成されている。具体的には、ガイドスプライン16の形状は、例えば、図2に示した第1実施形態のガイドスプライン6の形状を、開放状態のガイドピン2bの位置(図2の符号aで示す位置)を中心として左右対称または点対称したものとすることができる。
ガイド部材15の外周面のうち、第一の被係合体13の側の端部には、係合体2が第一の被係合体13と係合した際に機能する第一の強度増強用スプライン17aが径方向外側に向けて形成されている。ガイド部材15の外周面のうち、第二の被係合体23の側の端部には、係合体2が第二の被係合体23と係合した際に機能する第二の強度増強用スプライン27aが径方向外側に向けて形成されている。
一方、係合体2の内周面の軸方向中点近傍には、第一の強度増強用スプライン17a及び第二の強度増強用スプライン27aと噛み合い可能な強度増強用スプライン7bが径方向内側に向けて形成されている。
係合体2の第一のドグ歯12aと第一の被係合体13のドグ歯13aが噛み合った後に、係合体2の強度増強用スプライン7bが第一の強度増強用スプライン17aと噛み合いはじめるように、強度増強用スプライン7b及び第一の強度増強用スプライン17aの配置が設定されている。同様に、係合体2の第二のドグ歯22aと第二の被係合体23のドグ歯23aが噛み合った後に、係合体2の強度増強用スプライン7bと第二の強度増強用スプライン27aとが噛み合いはじめるように、両者の配置が設定されている。
ガイド部材15のガイドスプライン16及び第一、第二の強度増強用スプライン17a,27aは、ガイド部材15の外周面上の別位相(異なる位置)に配置され、軸方向ではオーバーラップして配置される。また、係合体2のガイドピン2bと強度増強用スプライン7bも、係合体2の内周面上の周方向の異なる位置に配置され、軸方向ではオーバーラップして配置される。これにより、係合体2及びガイド部材15は、軸方向の全長の小型化が可能となるよう構成されている。
次に、係合装置1bの係合動作について説明する。
まず、図7,8を参照して、係合体2が第一の被係合体13と係合する係合動作について説明する。
係合装置1bが開放状態のときには、図7に示すように係合体2と第一の被係合体13とが離間しており、係合体2は回転軸と連動して回転している。
次に、フォーク4がECU8から制御指令を受け駆動すると、図8に示すように、係合体2はフォーク4から推力を受けて第一の被係合体13の方向(図7,8の右方向)へ移動を開始する。このとき、第1実施形態の係合装置1と同様に、係合体2のガイドピン2bがガイドスプライン16に沿って進行し、軸方向の推力とガイドスプライン16との作用とによって、係合体2の軸方向への推力の一部が周方向へ分配され、第一の被係合体13との差回転を解消する方向の回転力を得る。
フォーク4による係合体2の移動に伴い、係合体2の第一のドグ歯12aが第一の被係合体13のドグ歯13aと噛み合い、その後に、係合体2の強度増強用スプライン7bが、ガイド部材15の第一の強度増強用スプライン17aと噛み合う。
そして、図8に示すように、係合体2の第一のドグ歯12aが第一の被係合体13のドグ歯13aと噛み合った状態となり、かつ、係合体2の強度増強用スプライン7bが、ガイド部材15の第一の強度増強用スプライン17aと噛み合った状態となると、係合体2と第一の被係合体13との係合が完了する。
次に、図7,9を参照して、係合体2が第二の被係合体23と係合する係合動作について説明する。
係合装置1bが開放状態のときには、図7に示すように係合体2と第二の被係合体23とが離間しており、係合体2は回転軸と連動して回転している。
次に、フォーク4がECU8から制御指令を受け駆動すると、図9に示すように、係合体2はフォーク4から推力を受けて第二の被係合体23の方向(図7,9の左方向)へ移動を開始する。このとき、第1実施形態の係合装置1と同様に、係合体2のガイドピン2bがガイドスプライン16に沿って進行し、軸方向の推力とガイドスプライン16との作用とによって、係合体2の軸方向への推力の一部が周方向へ分配され、第二の被係合体23との差回転を解消する方向の回転力を得る。
フォーク4による係合体2の移動に伴い、係合体2の第二のドグ歯22aが第二の被係合体23のドグ歯23aと噛み合い、その後に、係合体2の強度増強用スプライン7bが、ガイド部材15の第二の強度増強用スプライン27aと噛み合う。
そして、図9に示すように、係合体2の第二のドグ歯22aが第二の被係合体23のドグ歯23aと噛み合った状態となり、かつ、係合体2の強度増強用スプライン7bが、ガイド部材15の第二の強度増強用スプライン27aと噛み合った状態となると、係合体2と第二の被係合体23との係合が完了する。
第1実施形態において図4を参照して説明した推力制御のフローチャートは、本実施形態の係合装置1bでも同様に実施することができる。
以上より、本実施形態の係合装置1bは、第1実施形態の係合装置1と同様の特徴を備えるものであり、第1実施形態の係合装置1と同様の効果を奏するものである。
以上、本発明について好適な実施形態を示して説明したが、本発明はこれらの実施形態により限定されるものではない。本発明は、実施形態の各構成要素を、当業者が置換することが可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものに変更することが可能である。
1,1a,1b 係合装置
2 係合体
2b ガイドピン(変換手段)
3 被係合体
4 フォーク(アクチュエータ)
6,16 ガイドスプライン(変換手段)
7a,7b 強度増強用スプライン(トルク伝達手段)
8 ECU(制御手段)
14 電磁アクチュエータ(アクチュエータ)
13 第一の被係合体
23 第二の被係合体
17a 第一の強度増強用スプライン(トルク伝達手段)
27a 第二の強度増強用スプライン(トルク伝達手段)
2 係合体
2b ガイドピン(変換手段)
3 被係合体
4 フォーク(アクチュエータ)
6,16 ガイドスプライン(変換手段)
7a,7b 強度増強用スプライン(トルク伝達手段)
8 ECU(制御手段)
14 電磁アクチュエータ(アクチュエータ)
13 第一の被係合体
23 第二の被係合体
17a 第一の強度増強用スプライン(トルク伝達手段)
27a 第二の強度増強用スプライン(トルク伝達手段)
Claims (3)
- 回転軸まわりに配置された係合体と被係合体とを軸方向で係合させる係合装置であって、
前記係合体に軸方向へ推力を与えるアクチュエータと、
前記アクチュエータによる推力の一部を前記被係合体との差回転を減少する方向の回転力に変換する変換手段と、
前記係合体と前記被係合体との差回転に基づき前記アクチュエータにより発生する推力を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする係合装置。 - 前記係合体が前記被係合体と係合したときに、前記被係合体から入力されるトルクの一部を前記係合体から外部へ伝達するトルク伝達手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の係合装置。
- 前記変換手段及び前記トルク伝達手段は、回転軸まわりの周方向に沿って別位相に設けられることを特徴とする、請求項2に記載の係合装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012013173A JP2013151984A (ja) | 2012-01-25 | 2012-01-25 | 係合装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012013173A JP2013151984A (ja) | 2012-01-25 | 2012-01-25 | 係合装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013151984A true JP2013151984A (ja) | 2013-08-08 |
Family
ID=49048478
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012013173A Pending JP2013151984A (ja) | 2012-01-25 | 2012-01-25 | 係合装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2013151984A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015152132A (ja) * | 2014-02-18 | 2015-08-24 | 株式会社ジェイテクト | 駆動力伝達装置の制御装置及び制御方法 |
JP2015224702A (ja) * | 2014-05-27 | 2015-12-14 | 株式会社ジェイテクト | 駆動力伝達装置 |
JP2015224703A (ja) * | 2014-05-27 | 2015-12-14 | 株式会社ジェイテクト | 駆動力伝達装置 |
-
2012
- 2012-01-25 JP JP2012013173A patent/JP2013151984A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015152132A (ja) * | 2014-02-18 | 2015-08-24 | 株式会社ジェイテクト | 駆動力伝達装置の制御装置及び制御方法 |
JP2015224702A (ja) * | 2014-05-27 | 2015-12-14 | 株式会社ジェイテクト | 駆動力伝達装置 |
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