JP2013147442A - グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
少なくとも1種の脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、及び
温度20℃における表面張力が29.5mN/m以下である、又は
前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油(100g)に対するグリチルレチン酸ステアリルの温度25℃における溶解度が1〜4gである
ことを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤である。
【選択図】なし
Description
一方、グリチルレチン酸ステアリル(Glycyrrhetinic Acid)は、グリチルレチン酸にステアリン酸を付加した化合物であり、安全性が高く且つ抗炎症作用に優れる有効成分として、皮膚外用剤及び化粧料に広く用いられている(例えば、特許文献3参照)が、グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透性に関してはほとんど報告されていない。
即ち、本発明は、少なくとも1種の脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、
前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、及び
温度20℃における表面張力が29.5mN/m以下、好ましくは28.5mN/m以下、であることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤に関する。
また、本発明は、少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、
前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、及び
前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油(100g)に対するグリチルレチン酸ステアリルの温度25℃における溶解度が1〜4g、好ましくは溶解度が1.5〜3gであることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤にも関する。
前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、
温度20℃における表面張力が29.5mN/m以下、好ましくは28.5mN/m以下であり、及び
前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油(100g)に対するグリチルレチン酸ステアリルの温度25℃における溶解度が1〜4g、好ましくは溶解度が1.5〜3gであることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤にも関する。
前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油が、炭素原子数8〜22の脂肪酸と、アルコールとのエステルであるのが好ましい。
前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油が、分岐構造を有する脂肪酸と、分岐構造を有するアルコールとのエステルであるのが好ましい。
前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油が、イソノナン酸及び2−エチルヘキサン酸から選ばれる脂肪酸と、イソプロピルアルコール、イソノニルアルコール、イソトリデシルアルコールから選ばれるアルコールとのエステルであるのが好ましい。
本発明は、グリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤に関する。グリチルレチン酸ステアリル(Glycyrrhetinic Acid)は、甘草等に含まれるグリチルリチン酸の加水分解によって得られるグリチルレチン酸のヒドロキシル基にステアリン酸をエステル結合させることにより得られる化合物である。グリチルレチン酸の分子構造は平面性を有し、3位及び11位がコルチゾン類似であることから抗炎症作用を有する。グリチルレチン酸ステアリルは、ステアリン酸の付加により安全性が高められているので、安全性が要求される皮膚外用剤や化粧料等の技術分野において、抗炎症成分として広く使用されている。
なお、本明細書では、表面張力とは、ペンダント・ドロップ法により測定される表面張力の値をいうものとする。
ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸メチルヘプチル、リンゴ酸ジイソステアリル等の直鎖脂肪酸と分岐構造を有するアルコールとのエステル;
イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸メチルヘプチル、等の分構造を有する分枝脂肪酸とアルコールとのエステル;
ネオペンタン酸オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、等の分岐構造を有する脂肪酸と分岐構造を有するアルコールとのエステル;
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジイソステアリン酸エチレングリコール、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、モノイソステアリン酸グリセリン、ジイソステアリン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ2−エチルへキサン酸ネオペンチルグリコール等の分岐構造を有する脂肪酸と多価アルコールとのエステル;
等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
なお、IOB値とは無機性(inorganic)と有機性(organic)のバランスを示す指標であり、IOBは、「Inorganic Organic Balance」の略である。IOB値は、いわばその油分(広義の油分を意味し、油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類などの狭義の油分は勿論のこと、一般のアルコールや脂肪酸などもその範疇に含まれる。)の極性の度合いを示す指標で、無機性の有機性に対する比率を表す値〔その油分の分子中の炭素原子1個について「有機性値」を20とし,同水酸基1個について「無機性値」を100として、これを基準とした他の置換基(無機性基)の無機性値に基づいて算出される値:〔(1)藤田著「有機分析」(1930年)カニヤ書店,(2)同著「有機化合物の予測と有機概念図(化学の領域11−10)」(1957年)719〜725頁,(3)藤田および赤塚著「系統的有機定性分析(純粋物篇)」487頁(1970年)風間書店,(4)甲田著「有機概念図−基礎と応用」227頁(1984年)三共出版,(5)矢口著「有機概念図による乳化処方設計」98頁(1985年)日本エマルジョン株式会社,(6)R.H.Ewell,J.M.Harrison,L.Berg:Ind Eng Chem 36,871(1944) 〕であり、具体的には、IOB値=その油分の無機性値/その油分の有機性値で表される。
(1)各試料液の準備
下記表に記載の種々の油剤に対して、グリチルレチン酸ステアリルを1(質量/質量)%溶解して、各試料液を準備した。
香粧会誌,31(1),1−7(2007)記載の藤井らの方法に従い、Yucatan micropig (YMP)皮膚(日本チャールズリバー社)の皮下組織及び皮下脂肪を取り除いた後、この皮膚をフランツ型セルにセットし、真皮側(レセプター相)にPBS、角層側(ドナー相)に上記各試料液の10μL/cm2を適用した。一定時間適用後、表皮と真皮とに分離し、HPLC(Jasco LC-2000plus PDA検出器)を用いて各部位に含まれるグリチルレチン酸ステアリル(GS)をそれぞれ定量した。
その他、上記実験については、「OECD In vitro 経皮吸収試験法」、「局所皮膚適用製剤の後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドライン」を参考にして実施した。
美容オイル
以下の組成の美容オイルを、以下の製造方法に従って調製した。
(成分) (質量%)
1.グリチルレチン酸ステアリル 0.5
2.イソノナン酸イソトリデシル 5.0
3.重質流動イソパラフィン 15.0
4.ジメチルポリシロキサン 5.0
5.天然ビタミンE 0.1
6.ホホバ油 残量
A:成分2に成分1を溶解する
B:成分3〜6を均一溶解後、成分Aを加え、美容オイルを得た。
Claims (8)
- 少なくとも1種の脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、
前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、及び
温度20℃における表面張力が29.5mN/m以下であることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤。 - 少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、
前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、及び
前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油(100g)に対するグリチルレチン酸ステアリルの温度25℃における溶解度が1〜4gであることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤。 - 少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油からなるグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤であって、
前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸残基及びアルコール残基の少なくとも一方に分岐構造を有し、但し、アルコール残基が多価アルコール残基である場合は、少なくとも脂肪酸残基が分岐構造を有し、
温度20℃における表面張力が29.5mN/m以下であり、及び
前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油(100g)に対するグリチルレチン酸ステアリルの温度25℃における溶解度が1〜4gであることを特徴とするグリチルレチン酸ステアリルの皮膚浸透促進剤。 - 温度20℃における表面張力が28.5mN/m以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚浸透促進剤。
- 前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油が、分岐構造を有する脂肪酸と、アルコールとのエステルである請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚浸透促進剤。
- 前記少なくとも1種の分岐構造を有する脂肪酸エステル油が、炭素原子数8〜22の脂肪酸と、アルコールとのエステルである請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚浸透促進剤。
- 前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油が、分岐構造を有する脂肪酸と、分岐構造を有するアルコールとのエステルである請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮膚浸透促進剤。
- 前記少なくとも1種の脂肪酸エステル油が、イソノナン酸及び2−エチルヘキサン酸から選ばれる脂肪酸と、イソプロピルアルコール、イソノニルアルコール、イソトリデシルアルコールから選ばれるアルコールとのエステルである請求項1〜7のいずれか1項に記載の皮膚浸透促進剤。
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