JP2018199669A - ベシクル組成物およびこれを含有する皮膚外用剤又は化粧料 - Google Patents

ベシクル組成物およびこれを含有する皮膚外用剤又は化粧料 Download PDF

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【課題】本発明は、皮膚や毛髪への水溶性及び/又は油溶性の有効成分の経皮吸収性や浸透性を高くし、経時安定性に優れ、かつ簡便に調製することのできるベシクル組成物を提供する。【解決手段】1種以上のポリグリセリン脂肪酸エステル群とポリオールと水とを必須成分として含有するベシクル組成物であり、かつ皮膚や毛髪への有効成分の経皮吸収性や浸透性に優れるホモミキサーで調製可能なベシクル組成物を提供し、さらにこれを含有した皮膚外用剤又は化粧料を提供することにある。【選択図】図1

Description

本発明は、皮膚や毛髪への有効成分の浸透性が高く、経時安定性に優れるベシクル組成物及びこれを含有した皮膚外用剤又は化粧料に関する。
皮膚は外部からの有害成分を透過しないようにバリア機能を有しているが、この機能を有しているために、肌荒れや炎症等を改善するための有効成分(美白成分、シワ改善成分、抗炎症成分等)を皮膚内部へ浸透する量(経皮吸収性)が低いことが知られている。また、毛髪に関しては、毛髪の色を変化させるカラーリングや毛髪の形状を変化させるパーマ、縮毛矯正のような化学的なヘアアレンジ処理や日常的なブラッシングによる摩擦、ドライヤー、ヘアアイロンによる熱、太陽光による紫外線等によりダメージを受ける。このような毛髪へのダメージ要因が重なると、毛髪内部の成分が外部へ流出し、毛髪内部が空洞化することで、毛髪にうねりが発生したり、しなやかさ、ハリ、コシが失われる。
近年では、皮膚や毛髪への吸収性を向上させるためにリポソームやベシクル、ポリマーカプセルのようなドラッグデリバリーシステム(DDS)が構築されている。一般的にリン脂質を過剰な水に分散させ、脂質二分子膜から成る閉鎖小胞体のことをリポソームと呼び、リン脂質以外の界面活性剤から成る閉鎖小胞体のことをベシクルと呼ぶ。リン脂質から成るリポソームの調製法では、一般的にリン脂質を溶解するための有機溶媒(クロロホルムもしくはメタノール)が用いられ、その調製法は、リン脂質を有機溶媒中に均一溶解させた後、一度有機溶媒を揮発させて均一な膜を形成させ、さらにこの膜中に過剰な水を加えることでリポソームを得るというBhangham法が知られている。この他にも強力な機械力を用いた超音波処理法、高圧ホモジェナイザー、超臨界逆相蒸発法による調製法などがある。しかし、これらの方法は、煩雑であるために産業スケールにおいて、リポソームを調製することは困難であることや、クロロホルムやメタノール等の有機溶媒を使用することになるなどの問題点があった。さらにリポソームは、水への溶解性の低いリン脂質から構成されるため時間が経過すると平均粒子径が大きく変化してしまうことが知られているため、新しいドラッグデリバリーシステムの構築が求められている。
リポソームの経時安定性を改善する技術として、リン脂質、コレステロールなどの脂質類、カチオン界面活性剤、ポリペプチドを含有するベシクル組成物(特許文献1)、オレイン酸ポリグリセロールエステルとリン脂質を含有することを特徴とするベシクル組成物(特許文献2)、さらに高分子及びリポソームが複合されたナノサイズの複合体(特許文献3)が先行技術として存在する。もしくは、リン脂質を使用したリポソームではなくオレイン酸ポリグリセリルとショ糖脂肪酸エステルからなる徐放剤が先行技術として存在する(特許文献4)。しかしながら、これらの技術は有機溶剤を使用したベシクル組成物の調製方法であり、上記記載の問題点の解決には至っていないのが現状である。
再公表WO2014/069631 特開2014−88336号公報 特表2013−530128号公報 特開2016−88902号公報
本発明は、煩雑な作業や特殊な機械を用いることなく、ベシクルを調製でき、かつベシクルの平均粒子径が経時的に優れた安定性を示すベシクル組成物であり、さらに本発明のベシクル組成物を含有することで水溶性及び/又は油溶性の有効成分を皮膚や毛髪への浸透性を高く向上させた皮膚外用剤又は化粧料を提供することを課題とした。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)ポリオール及び(C)水を含み、平均粒子径が30〜300nmであることを特徴とするベシクル組成物およびこのベシクル組成物を含有した皮膚外用剤又は化粧料とすることで、水溶性及び/又は油溶性の有効成分を皮膚や毛髪に対して優れた経皮吸収性や浸透性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明により、煩雑な作業や特殊な機械を用いることなくホモミキサー撹拌という簡便な調製法でベシクル組成物を調製することができ、さらに皮膚や毛髪に対して水溶性及び/又は油溶性の有効成分を持続的な徐放する効果を発揮し、高い経皮吸収性や浸透性を示す皮膚外用剤又は化粧料を提供することができる。
本発明に係るベシクル組成物のクライオ電子顕微鏡で観察されるベシクル形成像である。
以下に、本発明のベシクル組成物およびこれを含有した皮膚外用剤又は化粧料について詳述する。
本発明に用いる成分(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素数6〜22の脂肪酸から選択される1種以上の脂肪酸と重合度5〜20であるポリグリセリンとをエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルからなる。(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル中の脂肪酸を構成する炭素数6〜22として、例えば、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられる。具体的には、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、イソステアリン酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル等が挙げられる。本発明においては、これらを1種以上用いることができる。これらのうち、より好ましいものは、モノラウリン酸デカグリセリル、イソステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル等が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、例えば、日光ケミカルズ社製のNIKKOL Hexaglyn 1−L、NIKKOL Hexaglyn 1−SV、NIKKOL Decaglyn 1−L、NIKKOL Decaglyn 2−ISV等が挙げられる。
本発明のベシクル組成物に配合される成分(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、1種または1種以上混合されたものを用いることができ、さらにこれらのHLB値は、8.0〜15.0であり、好ましくは9.0〜14.0であり、より好ましくは11.0〜13.0であることを特徴とする。なお、HLB値は実測HLBを使用した。
本発明におけるベシクル組成物に配合される成分(B)ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられ、好ましくは、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等である。
本発明のベシクル組成物の成分(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルと成分(B)ポリオールの配合比率は特に限定されるものではないが、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(B)ポリオール=0.01〜1.0であり、好ましくは、0.05〜0.7であり、より好ましくは0.1〜0.4である。
本発明におけるベシクル組成物に配合される成分(C)水の含有量は、1〜95質量%であり、好ましくは、5〜60質量%であり、より好ましくは、10〜30質量%である。
本発明のベシクル組成物に配合される成分(D)ベシクル安定化剤として、脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール、グリセリン脂肪酸エステル、エーテル型非イオン界面活性剤、N−アシルタウリン塩等からなる群より選択される少なくとも1種もしくは2種以上を本発明のベシクル組成物の効果を損なわない範囲において配合することができ、例えば、脂肪酸としては、直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸等のカプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸等が挙げられ、脂肪酸エステルとしては、ミリスチン酸セチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸バチル、ステアリン酸バチル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル等が挙げられ、高級アルコールとしては、イソステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられ、グリセリン脂肪酸エステルとしては、ミリスチン酸グリセリル、ステアリル酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル等が挙げられ、さらにエーテル型非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられ、N−アシルタウリン塩としては、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリム等が挙げられる。
本発明のベシクル組成物の成分(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルと成分(D)ベシクル安定化剤の配合比率は特に限定されるものではないが、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル/(D)ベシクル安定化剤=99.9/0.1〜50/50の範囲とすることにより皮膚や毛髪への浸透性が高く、さらに経時安定性に優れたベシクルを調製することが可能となり、好ましくは99.8/0.2〜30/15であり、より好ましくは99.5/0.5〜25/5である。
本発明のベシクル組成物は、成分(A)、(B)、及び(D)からなるX相と成分(C)からなるY相をそれぞれ加温し、高温下でホモミキサー撹拌することにより調製することができる。
本発明のベシクル組成物の平均粒子径は、30〜300nmであり、好ましくは、30〜250nmであり、より好ましくは50〜150nmの範囲とすることで経時安定性に優れたベシクルを調製することができる。
本発明のベシクル組成物の確認は、ベシクル組成物の1%水溶液をクライオ電子顕微鏡法により観察し、図1に示すようなリング状の観察像が得られた際、ベシクルの形成と判断した。
本発明のベシクル組成物は、蛍光色素であるDPH(ジフェニルヘキサトリエン)の偏光蛍光強度比による膜流動性の数値が0.03〜0.15であり、好ましくは0.06〜0.13であり、より好ましくは0.08〜0.11である。この数値が低いほど膜流動性が高いことを示しており、通常リン脂質からなるようなリポソームで得られる数値は0.2以上であることから本発明のベシクル組成物から調製されるベシクルは高い膜流動性を有している。
本発明の皮膚外用剤又は化粧料中に含有する本発明のベシクル組成物の含有量は、特に限定されるものではないが、0.1〜50質量%であり、好ましくは0.3〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%である。
本発明のベシクル組成物を含有する皮膚外用剤又は化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲において、通常の皮膚外用剤又は化粧料に用いられる水溶性及び/又は油溶性の有効成分を配合することができる。さらにその他各種成分、油性成分、高級アルコール、脂肪酸、極性脂質、保湿成分、抗菌成分、粘度調整剤、紫外線吸収剤、色素、香料なども配合することができる。
水溶性及び/又は油溶性の有効成分としては特に制限しないが、植物エキス、アミノ酸類及びその塩、美白剤や抗炎症剤、抗老化剤、シワ改善剤、肌荒れ防止剤等が挙げられ、例えば、ローズマリー葉エキス、シソエキス、モモ葉エキス、カミツレ花エキス、ブドウ葉エキス等の植物エキス、プロリン、アルギニン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ロイシン、イソロイシン、チロシン等のアミノ酸類及びその塩、トラネキサム酸、トラネキサム酸セチル等のトラネキサム酸誘導体及びその塩、アルブチン、ハイドロキノン配糖体、トコフェロール誘導体、パンテノール、ジカプリル酸ピリドキシン、ジパルミチン酸アスコルビル、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル等のビタミン誘導体及びその塩、サリチル酸誘導体、リノール酸レチノール、水添レチノール等のレチノール誘導体、グリチルレチン酸誘導体、グリチルリチン酸誘導体及びその塩、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、フルルビプロフェン、ユビキノン誘導体、インドメタシン、ニコチン、カフェイン等が挙げられ、これらを1種または2種以上配合することができる。
油性成分としては、スクワラン、流動パラフィンなどの炭化水素油、オリーブ油、マカデミアンナッツ油、ホホバ油などの植物油、牛脂などの動物油、トリエチルヘキサノイン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、エチルヘキサン酸セチル、セバシン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシルなどのエステル油類、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、シクロメチコンなどのシリコーン油類などが挙げられる。高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。脂肪酸としては、炭素数12以上の直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸などが挙げられる。極性脂質としては、セラミド類、糖セラミド類、リン脂質類、コレステロール及びその誘導体、糖脂質などが挙げられる。保湿成分としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アミノ酸誘導体、ベタイン類、コラーゲン類などが挙げられる。
本発明に係わるベシクル組成物を含有した皮膚外用剤又は化粧料については、特に限定されるものではないが、例えば、皮膚外用剤、医薬用軟膏、化粧水、乳液、クリーム、パック、美容液、メークアップ化粧料、日焼け止めクリーム、ヘアシャンプー、ヘアクリーム、ヘアコンディショナー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアワックス、ヘアジェル、ヘアパックなどが挙げられる。
また、本発明に係わる使用用途としては、皮膚や毛髪に直接塗布又は散布してもよく、さらに、手又は指で適量をとった後、使用部位に塗り広げて使用することができる。もしくは、布や不織布、紙、ゲル等に含浸させた後にこれを用いて皮膚や毛髪に塗布してもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明品を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるものではない。以下の各本発明品及び比較品の配合量は質量%を示す。
本発明のベシクル組成物の経時安定性、膜流動性及び経皮吸収性について評価した。
1.実験方法
表1に示すように不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸及び/又は飽和分岐脂肪酸からなるポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、精製水、その他各成分を量りとり、ホモミキサーで撹拌し、本発明品1〜5のベシクル組成物を調製し、また比較品1〜3として、リン脂質、直鎖脂肪酸からなるポリグリセリン脂肪酸エステル、比較品4として、ポリグリセリン脂肪酸エステルのみを使用した。配合量は質量%である。各本発明品のベシクル組成物を調製直後と50℃,1ヶ月で保存した後、各種ベシクル組成物を精製水で10%水溶液に希釈し、動的光散乱(ZETASIZER Nano−S, Malvern社製)を用いて平均粒子径を測定し、経時安定性を評価した。また膜流動性評価として、蛍光色素であるDPH(ジフェニルヘキサトリエン)と蛍光分光光度計(RF−5300PC, SHIMADZU社製, Ex:350nm, Em:450nm)を用いて偏光蛍光強度比を算出した。
経皮吸収性試験は、3次元培養表皮モデルとしてEpiSkinTM−Large Model(SkinEthic社製)を用いて、10%水溶液に希釈した本発明品と比較品をEpiSkinの角層側から適用し、適用24時間後のEpiSkinを透過した物質量についてマイクロプレートリーダー(EnSpireTM2300,パーキンエルマー社製,Ex:494nm,Em:520nm)を用いて定量を行った。浸透させる物質としては、蛍光色素のカルセインをモデル物質として用いた。
(平均粒子径の評価基準)
◎:平均粒子径が200nm未満
○:平均粒子径が200nm以上〜300nm未満
△:平均粒子径が300nm以上〜500nm未満
×:平均粒子径は500nm以上、又は析出物の出現
(安定性の評価基準)
◎:直後の平均粒子径からの変化率が10%未満
○:直後の平均粒子径からの変化率が10%以上〜20%未満
△:直後の平均粒子径からの変化率が20%以上〜30%未満
×:直後の平均粒子径からの変化率が30%以上
(膜流動性の評価基準)
◎:DPHの偏光蛍光強度比が0.08以上〜0.11未満
○:DPHの偏光蛍光強度比が0.03以上〜0.08未満又は0.11以上〜0.15未満
△:DPHの偏光蛍光強度比が0.01以上〜0.03未満又は0.15以上〜0.20未満
×:DPHの偏光蛍光強度比が0.01未満又は0.20以上の値又は検出不可
(経皮吸収性の評価基準)
リン脂質を使用した比較品1のカルセイン透過量を基準として、有意性を評価した。
◎:基準と比べて5倍以上の透過量のもの
○:基準と比べて1倍以上〜5倍未満の透過量のもの
△:基準と比べて0.5倍以上〜1倍未満の透過量のもの
×:基準と比べて0.5倍未満の透過量のもの
2.結果
表1の結果から、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸及び/又は飽和分岐脂肪酸からなるポリグリセリン脂肪酸エステルとポリオールが配合されたベシクル組成物は経時安定性に優れることを確認した。さらに、ベシクル組成物の平均粒子径及び膜流動性を適切に調整した本発明品が安定性及び経皮吸収性に特に優れることを確認した。
Figure 2018199669
本発明品のベシクル組成物の毛髪に対する毛髪浸透性を評価した。
1.実験方法
表2に示す本発明品と比較品を10%水溶液に希釈し、これを10cmの人毛毛髪(ビューラックス社製)に対して塗布し、水洗後にタオルドライし、ドライヤーで乾燥させた。乾燥させた毛髪をミクロトームで切断し、この毛髪切断面を蛍光顕微鏡(Axiovert S100,Carl Zeiss社製)により観察した。蛍光色素としてカルセインを使用した。
(評価基準)
リン脂質を使用した比較品1で処理した毛髪中のカルセイン蛍光強度を基準として、有意性を評価した。
◎:基準と比べて蛍光を明瞭に確認できる
○:基準と比べて蛍光を確認できる
△:基準と比べて蛍光がほぼ同等
×:基準と比べて蛍光が劣っている
2.結果
評価結果を表2に示す。表2の結果より本発明品で処理した毛髪切片の蛍光強度が優位に高いことを確認した。すなわち、経皮吸収性の結果と同様に本発明品の毛髪浸透性が優位に高いことを確認した。
Figure 2018199669
以下に本発明のベシクル組成物を含有する皮膚外用剤又は化粧料の応用例を示す。配合量は質量%である。実施例3〜7は、いずれも実施例1〜2の評価方法により皮膚や毛髪への水溶性及び/又は油溶性の有効成分の経皮吸収性や浸透性に優れた効果が認められた。
化粧水
A相
1,3−ブチレングリコール 5.0(質量%)
クエン酸 0.1
クエン酸三Na 0.4
精製水 残量
B相
トラネキサム酸 2.0
ヒアルロン酸Na 0.01
本発明品4 0.5
防腐剤 適量
精製水 20.0
C相
エタノール 3.0
防腐剤 適量
全量 100.0
(調製方法)A相成分、B相成分、C相成分を常温で撹拌均一に溶解させる。A相を撹拌しながらB相、C相の順に加え撹拌均一にする。
美容液
A相
キサンタンガム 0.4(質量%)
ヒドロキシエチルセルロース 0.4
1,3−ブチレングリコール 3.0
グリセリン 3.0
防腐剤 適量
精製水 残量
B相
グリチルリチン酸2K 0.1
本発明品2 20.0
精製水 10.0
C相
クエン酸ナトリウム 0.5
エデト酸四ナトリウム 0.1
精製水 9.4
全量 100.0
(調製方法)A相成分、B相成分、C相成分を常温で溶解させる。B相をA相に撹拌しながら徐々に加え粘性液体とし、さらにC相を加え均一にする。
ヘアシャンプー
A相
ラウロイルメチルアラニンNa水溶液(30%) 20.0(質量%)
ココイルメチルタウリンNa水溶液(30%) 10.0
コカミドプロピルベタイン水溶液(15%) 20.0
コカミドDEA 4.0
オレイン酸ポリグリセリル−10 1.0
1,3−ブチレングリコール 3.0
防腐剤 適量
B相
ポリクオタニウム−10 0.5
本発明品3 30.0
パンテノール 0.5
精製水 残量
全量 100.0
(調製方法)A相成分、B相成分を80℃に加温し、それぞれ均一溶解する。さらにA相を撹拌しながらB相を加え、30℃まで冷却する。
ヘアトリートメント
A相
ベヘントリモニウムクロリド(80%) 2.4(質量%)
セタノール 6.0
ステアリン酸グリセリル 1.0
ジメチコン 2.0
B相
加水分解ケラチン 0.5
防腐剤 適量
本発明品1 40.0
精製水 残量
全量 100.0
(調製方法)A相成分、B相成分を80℃に加温し、それぞれ均一溶解する。A相にB相を撹拌しながら加え、30℃まで冷却する。
軟膏
A相
オレイン酸ポリグリセリル−2 2.0(質量%)
ミネラルオイル 10.0
スクワラン 2.0
セレシン 4.0
ワセリン 2.0
防腐剤 適量
B相
インドメタシン 1.0
本発明品5 10.0
グリセリン 18.0
エデト酸2ナトリウム 0.1
防腐剤 適量
精製水 残量
全量 100.0
(調製方法)A相成分、B相成分を80℃に加温し、それぞれ均一溶解する。A相を撹拌しているところにB相を徐々に添加し撹拌する。撹拌しながら30℃まで冷却する。
本発明のベシクル組成物は、煩雑な調製法を必要とせず、経時安定性に優れかつ本発明のベシクル組成物を配合した皮膚外用剤又は化粧料において、水溶性及び/又は油溶性の有効成分が皮膚や毛髪に対して優れた浸透性を示すものである。

Claims (5)

  1. 皮膚や毛髪への有効成分の浸透性向上を目的とした皮膚外用剤又は化粧料に配合するベシクル組成物において、次の(A)〜(C)を必須成分として含有する平均粒子径が30〜300nmであることを特徴とするベシクル組成物。
    (A)ポリグリセリン脂肪酸エステル
    (B)ポリオール
    (C)水
  2. 請求項1に記載の成分(A)が、炭素数6〜22の脂肪酸から選択される1種以上の脂肪酸と重合度5〜20であるポリグリセリンとをエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれた1種以上である請求項1に記載のベシクル組成物。
  3. 請求項1〜2に記載の成分に、さらに(D)ベシクル安定化剤を添加することを特徴とするベシクル組成物。
  4. 蛍光色素であるDPH(ジフェニルヘキサトリエン)の偏光蛍光強度比による膜流動性の数値が0.03〜0.15であることを特徴とする請求項1〜3記載のベシクル組成物。
  5. 請求項1〜4記載のベシクル組成物を含有する皮膚外用剤又は化粧料。
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