ここで、好適には、前記電動機は、例えば歯車機構などの機械要素を介して第2回転要素に連結されていても構わない。また、前記駆動用電動機は、例えば歯車機構などの機械要素を介して第3回転要素に連結されていても構わない。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が好適に適用される車両の一部であるハイブリッド車両用動力伝達装置10(以下、単に動力伝達装置10という)の構成を例示する骨子図である。この図1に示す動力伝達装置10は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に用いられるものであって、駆動源(主動力源)であるエンジン12と、左右1対の駆動輪14l、14r(以下、特に区別しない場合には単に駆動輪14という)との間の動力伝達経路に、第1駆動部16、第2駆動部18、差動歯車装置20、および左右1対の車軸22l、22r(以下、特に区別しない場合には単に車軸22という)を主に備えて構成されている。
上記エンジン12は、例えば、気筒内噴射される燃料の燃焼によって駆動力を発生させるガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン等の内燃機関である。また、上記第1駆動部16は、3つの回転要素であるサンギヤS、キャリヤCA、およびリングギヤRを有する遊星歯車装置24と、その遊星歯車装置24のサンギヤSに連結された第1電動機MG1とを、備えて構成されている。また、上記エンジン12の出力軸であるクランク軸26と、非回転部材であるハウジング(トランスアクスルハウジング)28との間には、エンジン12の正転方向への回転を許容する一方、逆転方向の回転を阻止するワンウェイクラッチF0が設けられている。従って、エンジン12の逆回転がワンウェイクラッチF0によって阻止される。なお、ワンウェイクラッチF0が本発明の回転軸を選択的に非回転状態とするロック機構に対応し、第1電動機MG1が本発明の電動機に対応している。
エンジン12のクランク軸26は、第1駆動部16の入力回転部材としての上記遊星歯車装置24のキャリアCAに連結されている。また、そのクランク軸26は、機械式オイルポンプ30に連結されている。また、出力回転部材としての遊星歯車装置24のリングギヤRは、出力歯車32に連結されている。なお、出力歯車32は、第2駆動部18、差動歯車装置20、車軸22を介して駆動輪14に動力伝達可能に連結されている。また、遊星歯車装置24のサンギヤSは、第1電動機MG1に連結されている。すなわち、上記遊星歯車装置24は、エンジン12のクランク軸26に連結されると共に、ワンウェイクラッチF0に連結された本発明の第1回転要素RE1としてのキャリアCA、第1電動機MG1に連結された本発明の第2回転要素RE2としてのサンギヤS、および出力回転部材である本発明の第3回転要素RE3としてのリングギヤRを備えた差動機構に対応する。また、リングギヤRには、パーキングレンジが選択された際に作動してリングギヤRおよびそれに連結された出力歯車32を回転停止させて駆動輪14を回転停止させる公知であるパーキングロック機構33が設けられている。
上記出力歯車32は、第1駆動部16の入力軸としてのクランク軸26と平行な中間出力軸34と一体的に設けられた大径歯車36と噛み合わされている。また、同じくその中間出力軸34と一体的に設けられた小径歯車38が、差動歯車装置20の入力歯車40と噛み合わされている。また、上記大径歯車36は、駆動用電動機として機能する第2電動機MG2の出力軸42に連結された第2出力歯車44と噛み合わされている。すなわち、第2電動機MG2が駆動輪14に動力伝達可能に連結されている。ここで、好適には、第1電動機MG1および第2電動機MG2は、何れも駆動力を発生させるモータ(発動機)および反力を発生させるジェネレータ(発電機)としての機能を有するモータジェネレータであるが、第1電動機MG1は少なくともジェネレータとしての機能を備え、上記第2電動機MG2は少なくともモータとしての機能を備えるものである。
以上のように構成された動力伝達装置10において、第1駆動部16におけるエンジン12から出力された回転は、差動機構としての遊星歯車装置24を介して出力歯車32から出力され、上記中間出力軸34に設けられた大径歯車36およびその大径歯車36よりも歯数が少ない小径歯車38を介して差動歯車装置20の入力歯車40に入力される。ここで、出力歯車32から出力された回転は、上記大径歯車36の歯数と小径歯車38の歯数とで定まる所定の減速比で減速されて差動歯車装置20の入力歯車40に入力される。また、その差動歯車装置20は、よく知られた終減速機として機能している。
また、第1駆動部16における第1電動機MG1の回転は、遊星歯車装置24を介して出力歯車32に伝達され、中間出力軸34に設けられた大径歯車36および小径歯車38を介して差動歯車装置20の入力歯車40に伝達されるように構成されている。また、第2駆動部18における第2電動機MG2の回転は、出力軸42および第2出力歯車44を介して中間出力軸34に設けられた大径歯車36に伝達され、その大径歯車36および小径歯車38を介して差動歯車装置20の入力歯車40に伝達されるように構成されている。すなわち、本実施例の動力伝達装置10においては、エンジン12、第1電動機MG1、および第2電動機MG2の何れもが走行用の駆動源として用いられ得るように構成されている。
図2は、本実施例の動力伝達装置10によるハイブリッド駆動を制御するために備えられた電気系統の要部を例示する図である。この図2に示すように、動力伝達装置10は、例えばハイブリッド駆動制御用電子制御装置50、エンジン制御用電子制御装置52、および電動機制御用電子制御装置54を備えている。これらの電子制御装置50、52、54は、何れもCPU、ROM、RAM、および入出力インターフェイス等から成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン12、第1電動機MG1、および第2電動機MG2によるハイブリッド駆動制御をはじめとする各種制御を実行する。ここで、本実施例においては、上記電子制御装置52が主にエンジン12の駆動制御を、上記電子制御装置54が主に第1電動機MG1および第2電動機MG2の駆動制御を、上記電子制御装置50が上記電子制御装置52、54を介しての動力伝達装置10全体の駆動制御等を行う態様について説明するが、これら電子制御装置50、52、54は、必ずしも個別の制御装置として備えられたものでなくともよく、一体の制御装置として備えられたものであってもよい。また、上記電子制御装置50、52、54それぞれが更に個別の制御装置に分けて備えられたものであってもよい。
図2に示すように、上記電子制御装置50には、動力伝達装置10の各部に設けられた各種センサやスイッチ等から各種信号が供給されるようになっている。具体的には、車速センサ56から車速Vを表す信号、アクセル開度センサ58から運転者の出力要求量に対応するアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Accを表す信号、MG1回転速度センサ60から第1電動機MG1の回転速度Nmg1を表す信号、MG2回転速度センサ62から第2電動機MG2の回転速度Nmg2を表す信号、出力軸回転速度センサ64から出力歯車32の回転速度Noutを表す信号、クランク角センサ66からエンジン12の回転速度Neを表す信号、バッテリセンサ68から図示しないバッテリ(蓄電装置)の蓄電量である充電容量SOCを表す信号、或いはその充電容量SOCに応じた入出力制限値すなわち入力制限値Winおよび出力制限値Woutを表す信号、車輪速センサ69から各車輪(駆動輪14を含む)の回転速度Nrを表す信号等がそれぞれ上記電子制御装置50に供給されるようになっている。
また、電子制御装置50からは、電子制御装置52、54へそれぞれエンジン12の駆動制御、第1電動機MG1の駆動制御、および第2電動機MG2の駆動制御を行うための指令信号が出力されるようになっている。すなわち、電子制御装置52に対して、エンジントルク指令として、例えばエンジン出力制御装置70(図3を参照)を介してエンジン12の出力を制御するための信号である、そのエンジン12の吸気管に備えられた電子スロットル弁の開度θthを操作するスロットルアクチュエータへの駆動信号、燃料噴射装置による吸気管等への燃料供給量を制御する燃料供給量信号、或いは点火装置によるエンジン12の点火時期を指令する点火信号等が出力される。また、電子制御装置54に対して、MG1トルク指令およびMG2トルク指令として、第1インバータ72および第2インバータ74(図3を参照)を介して図示しないバッテリから第1電動機MG1および第2電動機MG2に対して供給される電気エネルギ等を制御するための指令信号が出力される。
図3は、前記電子制御装置50、52、54等に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。好適には、この図3に示すハイブリッド駆動制御部76は、電子制御装置50に機能的に備えられるものであるが、これらの制御機能は、電子制御装置50、52、54の何れに備えられたものであってもよく、更にはそれら電子制御装置50、52、54とは別の制御装置に備えられたものであってもよい。また、ハイブリッド駆動制御部76に含まれるエンジン駆動制御部78が電子制御装置52に、第1電動機駆動制御部80および第2電動機駆動制御部82が電子制御装置54に機能的に備えられるというように、それらの制御機能が電子制御装置50、52、54に分散的に備えられると共に各電子制御装置50、52、54相互間で情報の送受信を行うことで処理を実行するものであっても構わない。
図3に示すハイブリッド駆動制御部76は、動力伝達装置10のハイブリッド駆動制御を行う。具体的には、エンジン出力制御装置70を介してエンジン12の駆動を制御すると共に、第1インバータ72および第2インバータ74を介して第1電動機MG1および第2電動機MG2の駆動(力行)乃至発電(回生)を制御する。斯かる制御を行うために、エンジン駆動制御部78、第1電動機駆動制御部80、第2電動機駆動制御部82、トルク変動判定部84を含んでいる。以下、これらの制御機能について分説する。
エンジン駆動制御部78は、基本的には、エンジン出力制御装置78を介してエンジン12の駆動を制御する。具体的には、エンジン12の出力が電子制御装置50により算出される目標エンジン出力(目標回転速度乃至目標出力トルク)となるように、エンジン12の吸気管に備えられた電子スロットル弁の開度θthを操作するスロットルアクチュエータへの駆動信号、燃料噴射装置による吸気管等への燃料供給量を制御する燃料供給量信号、および点火装置によるエンジン12の点火時期を指令する点火信号等を、電子制御装置52を介してエンジン出力制御装置70へ供給する。
第1電動機駆動制御部80は、基本的には、第1インバータ72を介して第1電動機MG1の作動を制御する。具体的には、第1電動機MG1の出力が電子制御装置50により算出される目標第1電動機出力(目標回転速度乃至目標出力トルク)となるように、図示しないバッテリと第1電動機MG1との間の電気エネルギの入出力を制御するための信号を、電子制御装置54を介して第1インバータ72へ供給する。
第2電動機駆動制御部82は、基本的には、第2インバータ74を介して第2電動機MG2の作動を制御する。具体的には、第2電動機MG2の出力が電子制御装置50により算出される目標第2電動機出力(目標回転速度乃至目標出力トルク)となるように、図示しないバッテリと第2電動機MG2との間の電気エネルギの入出力を制御するための信号を、電子制御装置54を介して第2インバータ74へ供給する。
ハイブリッド駆動制御部76は、エンジン駆動制御部78、第1電動機駆動制御部80、および第2電動機駆動制御部82を介して動力伝達装置10によるハイブリッド駆動制御を行う。例えば、予め定められて記憶装置に記憶された図示しないマップから、アクセル開度センサ58により検出されるアクセル操作量Accおよび車速センサ56により検出される車速V等に基づいて、駆動輪14に伝達されるべき駆動力(駆動トルク)の目標値である要求駆動力Treq(要求駆動トルク)を算出し、算出されたその要求駆動力Treqに応じて、低燃費で排ガス量の少ない運転となるようにエンジン12、第1電動機MG1、および第2電動機MG2の少なくとも1つから要求出力を発生させる。すなわち、エンジン12を停止させると共に第1電動機MG1および第2電動機MG2のうち少なくとも一方を駆動源とするモータ走行モード(EVモード)、専らエンジン12を駆動源としてその動力を機械的に駆動輪14に伝えて走行するエンジン走行モード、およびエンジン12および第2電動機MG2(或いはそれに加えて第1電動機MG1)を共に駆動源として走行するハイブリッド走行モード等を、車両の走行状態に応じて選択的に成立させる。
ハイブリッド駆動制御部76は、好適には、エンジン12が停止させられる走行モードであるモータ走行モードと、そのエンジン12の駆動が行われる走行モードであるエンジン走行モード乃至ハイブリッド走行モードとの切替制御を行う。例えば、図示しないバッテリの充電容量SOCが予め定められた閾値Sboより大きい場合には、エンジン12が停止させられる走行モードであるモータ走行モードを成立させる一方、充電容量SOCが上記閾値Sbo以下である場合には、エンジン12の駆動が行われる走行モードであるエンジン走行モード乃至ハイブリッド走行モードを成立させる。また、好適には、アクセル開度センサ58により検出されるアクセル操作量Accおよび車速センサ56により検出される車速V等に基づいて斯かる走行モードの切替制御を行うものであってもよい。
図4および図5は、差動機構である遊星歯車装置24における3つの回転要素の回転速度を相対的に表すことができる共線図であり、縦線Y1〜Y3は紙面向かって左から順に縦線Y1が第1電動機MG1に連結された第2回転要素RE2であるサンギヤSの回転速度を、縦線Y2がエンジン12に連結された第1回転要素RE1であるキャリアCAの回転速度を、縦線Y3が大径歯車36および第2出力歯車44等を介して第2電動機MG2に動力伝達可能に連結された第3回転要素RE3であるリングギヤRの回転速度をそれぞれ示している。また、図4はエンジン12の駆動が行われない(エンジン12が停止させられる)モータ走行モードにおける各回転要素の相対速度を、図5はエンジン12の駆動が行われる走行モードであるエンジン走行モード乃至ハイブリッド走行モードにおける各回転要素の相対速度をそれぞれ示している。
図4および図5を用いて動力伝達装置10の作動について説明すると、遊星歯車装置24は、第2回転要素RE2としてのサンギヤS、第1回転要素RE1および入力回転部材としてのキャリアCA、第3回転要素RE3および出力回転部材としてのリングギヤRを備えた差動機構に対応する。また、第2回転要素RE2としてのサンギヤSが第1電動機MG1に連結され、第1回転要素RE1としてのキャリアCAがエンジン12に連結され、第3回転要素RE3としてのリングギヤRが大径歯車36、第2出力歯車44等を介して第2電動機MG2に動力伝達可能に接続されることで、遊星歯車装置24、第1電動機MG1、および第2電動機MG2を主体とする電気的無段変速部が構成される。
また、図4を用いてモータ走行モードにおける動力伝達装置10の作動について説明すると、エンジン12の駆動は行われず、その回転速度は零とされる。具体的には、ロック機構として機能するワンウェイクラッチF0によりクランク軸26の逆転方向への回転が阻止され、クランク軸26の回転が非回転状態とされる。斯かる状態においては、第2電動機MG2の力行トルクが車両前進方向の駆動力として駆動輪14へ伝達される。また、第1電動機MG1の力行トルクが車両前進方向の駆動力として駆動輪14へ伝達される。すなわち、第1電動機MG1の力行トルクにより、出力回転部材に対応するリングギヤRの回転速度が正回転方向に引き上げられる。図4の破線から実線への変化は、第1電動機MG1の回転速度を破線に示す値から実線に示す値に下げたとき、第2電動機MG2の回転速度(リングギヤRの回転速度)が引き上げられる様子を示している。すなわち、動力伝達装置10においては、エンジン12のクランク軸26がワンウェイクラッチF0によってゼロ回転でロック(固定)されることで、第1電動機MG1および第2電動機MG2を走行用の駆動源として併用することができ、例えば家庭用電源からバッテリへの蓄電が可能な所謂プラグインハイブリッド車両等において、モータ走行の高出力化を実現することができる。
また、図5を用いてエンジン走行モード乃至ハイブリッド走行モードにおける動力伝達装置10の作動について説明すると、キャリアCAに入力されるエンジン12の出力トルクに対して、第1電動機MG1による反力トルクがサンギヤSに入力されると、その第1電動機MG1は発電機として機能させられる。また、リングギヤRの回転速度(出力軸回転速度)が一定である場合には、第1電動機MG1の回転速度を上下に変化させることにより、エンジン12の回転速度Neを連続的に(無段階に)変化させることができる。すなわち、エンジン12の回転速度Neを例えば燃費が最もよい回転速度に設定する制御を、第1電動機MG1の力行制御乃至反力制御により実行することができる。この種のハイブリッド形式は、機械分配式あるいはスプリットタイプと称される。
ここで、動力伝達装置10のように、エンジン12のクランク軸26の逆回転を阻止するワンウェイクラッチF0を備えた構成において、モータ走行モードで例えば凍結路面や波状路等を走行すると、駆動輪14がスリップグリップを繰り返すことで駆動輪14においてトルク変動が生じ、そのトルク変動が差動機構である遊星歯車装置24に伝達されると、エンジン12のクランク軸26に回転変動(振動)が生じてしまう。この回転変動が繰り返されると、ワンウェイクラッチF0に回転変動によるトルク(以下、振動トルク)が伝達されるため、ワンウェイクラッチF0を構成するスプラグやローラに負荷がかかり、ワンウェイクラッチF0の耐久性が低下する可能性があった。
これに対して、ハイブリッド駆動制御部76は、トルク変動を検出すると第1電動機MG1を制御して、クランク軸26をワンウェイクラッチF0に押し付ける方向のトルクを発生させる。これより、クランク軸26の回転変動(振動)が抑制されてワンウェイクラッチF0に伝達される振動トルクが抑制されるため、ワンウェイクラッチF0の耐久性低下が抑制される。
或いは、ハイブリッド駆動制御部76は、前記トルク変動を検出すると第1電動機MG1を制御して、クランク軸26の回転速度Neをゼロよりも高い予め設定されている所定回転速度Ne1に引き上げる。これより、トルク変動によってクランク軸26の回転速度Neが変動しても、クランク軸26はワンウェイクラッチF0から浮いた状態(すなわちワンウェイクラッチF0は空転状態)となるので、ワンウェイクラッチF0にはクランク軸26の回転変動による振動トルクが伝達されなくなるため、ワンウェイクラッチF0の耐久性低下が抑制される。なお、所定回転速度Ne1は、予め実験的に求められおり、トルク変動が発生してもワンウェイクラッチF0に振動トルクが伝達されない(すなわちワンウェイクラッチF0の空転状態が維持される)範囲であって最小限の値に設定されている。
具体的なハイブリッド駆動制御部76の制御作動を図6を用いて説明する。図6は、モータ走行モードで走行中に駆動輪14側からトルク変動が伝達された際に、ハイブリッド駆動制御部76が、第1電動機MG1によってクランク軸26をワンウェイクラッチF0に押し付ける、或いは、クランク軸26の回転速度すなわちエンジン回転速度Neを所定回転速度Ne1に引き上げることで、ワンウェイクラッチF0に伝達される振動トルクを抑制して、ワンウェイクラッチF0の耐久性低下を防止する制御作動を説明するためのタイムチャートである。図6において横軸が時間tを示し、縦軸が上から順番にエンジン回転速度Ne(すなわちクランク軸26の回転速度)、第1電動機トルクTmg1、第1電動機回転速度Nmg1、第2電動機トルクTmg2、第2電動機回転速度Nmg2をそれぞれ示している。
図6は、第2電動機MG2の力行のみによるモータ走行中にトルク変動が発生した場合の制御作動を示している。すなわち、第1電動機MG1は定常走行時ではトルクを出力しておらず空転状態とされている。このような走行状態で、t1時点において波状路を通過するなどしてトルク変動が発生すると、駆動輪14に機械的に連結された第2電動機回転速度Nmg2が変動するとともに、遊星歯車装置24の差動作用によって第1電動機回転速度Nmg1も変動する。そして、t2時点においてトルク変動の発生が判断されると、ワンウェイクラッチF0の係合ショックを抑制してその耐久性低下を抑制するために、第1電動機MG1によるトルク制御が開始される。ここで、実線が図4の共線図において上向きのトルクTmg1を与え、第1電動機回転速度Nmg1を上昇させてエンジン回転速度Neを所定回転速度Ne1に制御した場合を示し、一点鎖線が図4の共線図において下向きのトルクTmg1を与え、クランク軸26がワンウェイクラッチF0に押し付けられる方向のトルクが発生している場合を示している。
先ず、実線で示すエンジン回転速度Neを所定回転速度Ne1に制御した場合について説明する。t2時点においてトルク変動の発生が判定されると、実線で示すように、第1電動機MG1から第1電動機回転速度Nmg1を正転方向に引き上げるトルクTmg1が出力されることで、t2時点からt3時点において、第1電動機回転速度Nmg1が負の回転速度から正の回転速度まで上昇している。これに伴って、遊星歯車装置24の差動作用によって、エンジン回転速度Neもゼロから上昇し、t3時点において所定回転速度Ne1に到達している。t3時点からt4時点においては、エンジン回転速度Neが所定回転速度Ne1で維持されるようにフィードバック制御されている。具体的には、エンジン回転速度Neと所定回転速度Ne1との偏差δが逐次算出され、その偏差δがゼロとなるように、第1電動機MG1のトルクTmg1がフィードバック制御される。そして、t4時点において路面が平坦路に切り換わるなどしてトルク変動が収束したものと判断されると、第1電動機MG1のトルク制御が終了する。このように、t3時点からt4時点において、エンジン回転速度Neが所定回転速度Ne1で維持されると、クランク軸26がワンウェイクラッチF0から浮いた状態(すなわちワンウェイクラッチF0が空転状態)となるので、ワンウェイクラッチF0には振動トルクが伝達されなくなる。従って、ワンウェイクラッチF0に振動トルクによる係合負荷がかからなくなるため、ワンウェイクラッチF0の耐久性低下が抑制されることとなる。なお、エンジン回転速度Neは、クランク角センサ66によって直接検出してもよく、第1電動機MG1の回転速度Nmg1および第2電動機MG2の回転速度Nmg2から遊星歯車装置24のギヤ比ρに基づいて逐次算出しても構わない。
次に、一点鎖線で示すエンジン12のクランク軸26をワンウェイクラッチF0に押し付ける制御を行った場合について説明する。t2時点においてトルク変動の発生が判定されると、一点鎖線で示すように、第1電動機MG1から第1電動機回転速度Nmg1を負の方向に引き下げるトルクTmg1が出力されることで、第1電動機回転速度Nmg1が負の回転速度で維持されている。このとき、遊星歯車装置24の差動作用によって、エンジン回転速度Neが引き下げられ、クランク軸26がワンウェイクラッチF0に押し付けられることでゼロに保持されている。ここで、t2時点からt4時点においては、エンジン回転速度Neがゼロで保持されるようにフィードバック制御されている。具体的には、エンジン回転速度Neが逐次検出され、その回転速度Neがゼロとなるように第1電動機MG1のトルクTmg1がフィードバック制御される。そして、t4時点において路面が平坦路に切り換わるなどしてトルク変動が収束したものと判断されると、第1電動機MG1のトルク制御が終了する。このように、t2時点からt4時点においてエンジン回転速度Neがゼロとなるように、クランク軸26がワンウェイクラッチF0に押し付けられる方向にトルクが付与されると、トルク変動が発生してもクランク軸26の回転変動が抑制されるので、ワンウェイクラッチF0に伝達される振動トルクが抑制され、ワンウェイクラッチF0の耐久性低下が抑制されることとなる。
なお、第1電動機MG1に負のトルクTmg1が出力されると、ワンウェイクラッチF0を反力要素にして第3回転要素RE3であるリングギヤRにトルクが伝達されることとなる。すなわち、第1電動機MG1および第2電動機MG2の両駆動に切り換えられることとなる。そこで、第1電動機MG1のトルクTmg1と第2電動機MG2のトルクTmg2とに基づいて駆動輪14に伝達される駆動力(トルク)が、駆動輪14に伝達されるべき要求駆動力Treq(要求駆動トルク)となるように、第2電動機駆動制御部82は、第1電動機MG1のトルクTmg1に応じてトルクTmg2のトルク補償を実行することもできる。具体的には、第1電動機MG1の負のトルクTmg1が出力されると駆動輪14に伝達される駆動力が増加することとなるが、それに対して図6の一点鎖線で示すように、第2電動機駆動制御部82が第2電動機MG2のトルクTmg2を低下させることで、駆動輪14からは要求駆動力Treq(要求駆動トルク)が出力されることとなる。
図6は、第2電動機MG2の力行のみによるモータ走行中にトルク変動が発生した場合の制御作動を示しているが、図7は、第1電動機MG1および第2電動機MG2でモータ走行中にトルク変動が発生した場合の制御作動を示している。このような走行状態にあっては、第1電動機MG1が負のトルクを出力しているため、クランク軸26がワンウェイクラッチF0に押し付けられた状態となっているが、第1電動機MG1のトルクTmg1が小さい場合、トルク変動が発生するとクランク軸26が回転変動(振動)してしまうこととなる。
これに対して、t2時点においてトルク変動の発生が判定されると、第1電動機駆動制御部80は、第1電動機MG1から出力される第1電動機回転速度Nmg1を負の方向に引き下げるトルクTmg1を増加させる。なお、図7においては、予め負のトルクTmg1が出力されているものの、そのトルクTmg1が小さいためにトルク変動が発生するとクランク軸26が回転変動する状態を前提としている。このような場合には、t2時点からt4時点で示すように、第1電動機MG1の負の方向へのトルクTmg1が増加してクランク軸26がワンウェイクラッチF0にさらに強い力で押し付けられる。従って、クランク軸26の回転変動が抑制される。このトルク増加量は、上述したようにエンジン回転速度Neがゼロで保持れるように第1電動機MG1のトルクTmg1がフィードバック制御されるので、そのフィードバック制御による演算値に基づいて決定される。なお、トルク変動が小さい場合には、定常走行時のトルクTmg1でクランク軸26がワンウェイクラッチF0に押し付けられることとなり、第1電動機MG1のトルクTmg1は増加しない。
また、上記のように第1電動機MG1の負方向へのトルクTmg1が増加する場合においても、ワンウェイクラッチF0を反力要素として第3回転要素RE3であるリングギヤRに伝達される駆動力(トルク)は増加する。従って、第2電動機駆動制御部82は、第1電動機MG1のトルクTmg1と第2電動機MG2のトルクTmg2とに基づいて駆動輪14に伝達される駆動力(トルク)が、駆動輪14に伝達されるべき要求駆動力Treq(要求駆動トルク)となるように、第1電動機MG1のトルクTmg1に応じてトルクTmg2を制御する。具体的には、図7のt2時点からt4時点で示されるように、第1電動機MG1のトルク増加に拘わらず駆動輪14に伝達される駆動力を増加させない補償トルク分だけ第2電動機MG2のトルクTmg2が減少させられている。このように、第1電動機MG1および第2電動機MG2によってモータ走行させる場合であっても、第1電動機MG1を制御してクランク軸26の回転変動を抑制することができる。
なお、図7には、トルク変動が発生すると第1電動機MG1によってクランク軸26をワンウェイクラッチF0に押し当てる制御のみが記載されているが、第1電動機MG1の回転速度Nmg1を引き上げてエンジン回転速度Neを所定回転速度Ne1に制御することにより、クランク軸26をワンウェイクラッチF0から浮かせる制御も一応可能である。しかしながら、ワンウェイクラッチF0が反力要素として機能しなくなり、第1電動機MG1による駆動力が伝達されなくなる。従って、それを補うために第2電動機MG2のトルクTmg2を大幅に増加させる必要が生じるため、第1電動機MG1および第2電動機MG2の両駆動で走行中は、さらに第1電動機MG1のトルクTmg1を増加させるだけで済む、第1電動機MG1によってクランク軸26をワンウェイクラッチF0に押し付ける制御の方が好ましい。
また、図6および図7は、第2電動機MG2の力行時のタイムチャートであるが、第2電動機MG2の回生時であっても同様の制御を実行することができる。なお、第2電動機MG2の回生時においては、例えば図6のタイムチャートにおいて第2電動機MG2のトルクTmg2が正負逆になるだけであって、基本的には力行時と変わらないためその説明を省略する。
図3に戻り、上記トルク変動が生じたか否かはトルク変動判定部84によって判定される。トルク変動判定部84は、例えば車輪速センサ69によって検出される駆動輪14の回転速度Nrを逐次検出し、その単位時間当たりの変化量α(変化率α)が予め設定されている閾値α1以上となるとトルク変動が発生したものと判定する。或いは、トルク変動判定部84は、車輪速センサ69によって検出される前後輪の各回転速度Nrから前後輪の回転速度差Nslipを算出し、その回転速度差Nslipが予め設定されている閾値Nslip1以上となるとトルク変動が発生したものと判定する。また、上記変化量αが閾値α1未満、或いは回転速度差Nslipが閾値Nslip1未満になったことを検出すると、トルク変動が収束したものと判定される。なお、上記閾値α1および閾値Nslip1は、予め設定される値であり、本制御が必要となるトルク変動が発生したものと判断できる値に設定されている。
図8は、電子制御装置50〜54の制御作動の要部すなわち、モータ走行中に駆動輪側からトルク変動が伝達された際に、クランク軸26の回転変動(振動)を抑制してワンウェイクラッチF0の耐久性低下を抑制することができる制御作動を説明するためのフローチャートであって、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。なお、図8のフローチャートは、モータ走行時において実施されるものである。
先ず、トルク変動判定部84に対応するステップST1において、モータ走行中にトルク変動が発生したか否かが判定される。具体的には、例えば駆動輪14の回転速度Nrの変化率αや前後輪の回転速度差Nslip等に基づいて判定される。ST1が否定される場合、本ルーチンは終了させられる。
一方、ST1が肯定される場合、第1電動機MG1によってクランク軸26がワンウェイクラッチF0に押し付けられる。或いは、第1電動機MG1によってエンジン回転速度Neを所定回転速度Ne1に引き上げて、クランク軸26をワンウェイクラッチF0から浮かせた状態(ワンウェイクラッチF0の空転状態)にさせられる。このように制御されると、何れにおいてもクランク軸26の回転変動が抑制され、ワンウェイクラッチF0にクランク軸26の回転変動による振動トルクが伝達されなくなるので、ワンウェイクラッチF0を構成するスプラグやローラ等にかかる負荷が抑制される。
上述のように、本実施例によれば、エンジン12のクランク軸26およびキャリヤCA(第1回転要素RE1)を回転変動させるトルク変動が伝達されても、クランク軸26およびキャリヤCA(第1回転要素RE1)がワンウェイクラッチF0に押し付けられる方向のトルクが第1電動機MG1から出力されるので、クランク軸26およびキャリヤCAが回転変動することが抑制され、ワンウェイクラッチF0の耐久性低下を抑制することができる。
また、本実施例によれば、エンジン12のクランク軸26およびキャリヤCA(第1回転要素RE1)を回転変動させるトルク変動が伝達されても、クランク軸26およびキャリヤCA(第1回転要素RE1)をワンウェイクラッチF0から浮かすように第1電動機MG1のトルクを制御するので、ワンウェイクラッチF0に振動トルクが伝達されなくなり、ワンウェイクラッチF0の耐久性低下を抑制することができる。
また、本実施例によれば、ロック機構は、ワンウェイクラッチF0である。このようにすれば、駆動輪14側からトルク変動が伝達されてもエンジン12のクランク軸26およびキャリヤCAの回転変動が抑制されるので、ワンウェイクラッチF0にかかる負荷が抑制され、ワンウェイクラッチF0の耐久性低下を抑制することができる。
また、本実施例によれば、運転者の要求駆動力Treqが出力されるように、第1電動機MG1のトルクTmg1に応じて第2電動機MG2のトルクTmg2を変更するものである。このようにすれば、第1電動機MG1が制御されることで駆動輪14に伝達される駆動力が変化するが、第2電動機MG2のトルクTmg2がそれに応じて変更されることで、運転者の要求駆動力Treqを維持して運転者に違和感を与えることを防止することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、ロック機構としてワンウェイクラッチF0が使用されていたが、これに限定されずブレーキやドグクラッチなどクランク軸26を固定可能な機構であれば適宜変更しても構わない。
また、前述の実施例では、動力伝達装置10は前輪側を駆動するものであったが、後輪を駆動する構成であっても本発明を適用することができる。また、例えば左右の駆動輪に差動機構および電動機がそれぞれ設けられ、各電動機によって左右の駆動輪を駆動させる構成であっても本発明を適用することができる。図9にそれに対応する共線図を一例として示す。なお、図9において、左側が左車輪に設けられたシングルピニオン型の遊星歯車装置100の回転状態を示す共線図に対応し、右側が右車輪に設けられたシングルピニオン型の遊星歯車装置102の回転状態を示す共線図に対応するものとする。図9において左側から、Sは電動機MGに連結された遊星歯車装置100のサンギヤ(第2回転要素RE2)、CAは図示しない左車輪に連結された遊星歯車装置100のキャリヤ(第3回転要素RE3)、RはワンウェイクラッチF0に連結された遊星歯車装置100、102のリングギヤ(第1回転要素RE1)、CA’は図示しない右車輪に連結された遊星歯車装置102のキャリヤ(第3回転要素RE3’)、S’は電動機MG’に連結された遊星歯車装置102のサンギヤ(第2回転要素RE2’)に対応している。例えば左車輪において、電動機MGから正転方向に回転するトルクが出力されると、第1回転要素RE1であるリングギヤRを反力要素として第3回転要素RE3であるキャリヤCAに駆動トルクが伝達される。右車輪においても同様である。ここで、電動機MGおよび電動機MG’が空転状態で惰性走行中に波状路等を走行するなどして、左右車輪側から振動トルクが伝達されると、第1回転要素RE1において回転変動が発生する。このような場合に、電動機MGおよび電動機MG’から第1回転要素RE1をワンウェイクラッチF0に押し付ける方向のトルクを出力することで、第1回転要素RE1の回転変動が抑制されて、ワンウェイクラッチF0の耐久性低下が抑制されることとなる。
また、前述の実施例において、第1電動機MG1からクランク軸26をワンウェイクラッチF0に押し付ける方向のトルクを出力する制御、および第1電動機MG1からクランク軸26をワンウェイクラッチF0より浮かせる方向のトルクを出力する制御について、何れを実行するかは特に限定されていないが、これらを車両の走行状態に応じて変更することもできる。例えば、第2電動機MG2が力行状態にある場合、クランク軸26をワンウェイクラッチF0から浮かせる方向に作用するため、第1電動機MG1のクランク軸26をワンウェイクラッチF0から浮かせる方向のトルクが小さくて済む。従って、第2電動機MG2が力行状態にある場合には、第1電動機MG1は、クランク軸26をワンウェイクラッチF0から浮かせる方向のトルクを出力するのが好ましい。一方、第2電動機MG2が回生状態にある場合、クランク軸26をワンウェイクラッチF0に押し付ける方向に作用するため、第1電動機MG1のクランク軸26をワンウェイクラッチF0に押し付けるトルクが小さくて済む。従って、第2電動機MG2が回生状態にある場合には、第1電動機MG1は、クランク軸26をワンウェイクラッチF0に押し付ける方向のトルクを出力するのが好ましい。これより、第2電動機MG2が力行状態および回生状態の何れであるかに基づいて、第1電動機MG1の制御を変更させることもできる。具体的には、第2電動機MG2が力行状態にある場合には、第1電動機MG1は、クランク軸26をワンウェイクラッチF0から浮かせる方向のトルクを出力し、第2電動機MG2が回生状態にある場合には、第1電動機MG1は、クランク軸26をワンウェイクラッチF0に押し付ける方向のトルクを出力する。
また、前述の実施例では、第1電動機MG1がクランク軸26をワンウェイクラッチF0に押し当てるトルクを出力する際には、第2電動機MG1のトルクTmg2を低下させるとしたが、例えば第1電動機MG1がクランク軸26をワンウェイクラッチF0から浮き上がらせるトルクを出力する際には、電動機MG1のトルクTmg1が駆動輪14に伝達されないため、それに応じて第2電動機MG2のトルクTmg2を増加するトルク補償を実施しても構わない(図6の2点鎖線参照)。
また、前述の実施例では、トルク変動の発生を車輪の回転速度の変化率や前後輪の回転速度差Nslipに基づいて判定していたが、駆動輪14にトルクセンサを設け、逐次検出される駆動輪14のトルクに基づいてトルク変動の発生を判定するものであっても構わない。
また、前述の実施例の動力伝達装置10において、第2電動機MG2が第1電動機MG1と異なる回転軸上に配置されているが、これら第1電動機MG1および第2電動機MG2が一軸上に配置される構成であっても構わない。
また、遊星歯車装置24のサンギヤSが第1電動機MG1に連結され、キャリヤCAがエンジン12に連結され、リングギヤRが第2電動機MG2に動力伝達可能に連結されているが、この連結関係は一例であって、矛盾のない範囲で適宜変更しても構わない。また、前述の実施例では、遊星歯車装置が差動機構として使用されているが、例えば傘歯車など差動作用を生じさせることができる構成であれば適宜変更しても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。