JP2010000935A - 車両用駆動装置 - Google Patents

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恵太 今井
Toru Matsubara
亨 松原
Tatsuya Imamura
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Yuji Iwase
雄二 岩▲瀬▼
Kenta Kumazaki
健太 熊▲崎▼
Atsushi Tabata
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Abstract

【課題】エンジンに連結された電気式差動変速部と無段変速部とを備え、それら2つの変速部の変速比によって総合変速比が設定される駆動装置において、高車速での燃費の向上を図る。
【解決手段】前段の変速部である電気式差動部20に、後段の無段変速部30との連結関係を変更する第1切替クラッチC1及び第2切替クラッチC2を設け、これら第1切替クラッチC1の係合と第2切替クラッチC2の係合とを切り替えることで、電気式差動部20を、変速比が大きい第1の差動状態と、変速比が小さい第2の差動状態とに切り替えることが可能な構成とする。このような構成により、後段の無段変速部30の変速比幅が小さくても、高車速のときに前段の電気式差動部20の変速比を小さい変速比に切り替えることによって駆動装置の総合変速比を増加させることが可能になり、燃費の向上を図ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載される駆動装置に関し、さらに詳しくは、駆動力源(例えばエンジン)に連結された電気式差動変速部(以下、電気式差動部という場合もある)と、無段変速部とを備え、前記電気式差動変速部の変速比と無段変速部の変速比とによって総合変速比が設定される車両用駆動装置に関する。
近年、環境保護の観点から、車両に搭載されたエンジンからの排気ガスの排出量低減と燃料消費率(燃費)の向上が望まれており、これを満足する車両として、ハイブリッドシステムを搭載したハイブリッド車両が実用化されている。
ハイブリッド車両は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの駆動力源と、エンジンの出力により発電または蓄電装置の電力により駆動する電動機(例えばモータジェネレータまたはモータ)とを備え、エンジン及び電動機のいずれか一方または双方を走行駆動力源としている。
この種のハイブリッド車両においては、車速及びアクセル開度に基づいて、エンジン及び電動機の運転領域(具体的には駆動または停止)が制御される。例えば、発進時や低速走行時のようにエンジン効率が低くなる領域では、エンジンを停止させて電動機のみの動力で駆動輪を駆動する。また、通常走行時には、エンジンを駆動して、そのエンジンの動力で駆動輪を駆動するという制御を行う。さらに、全開加速等の高負荷時には、エンジンの動力に加えて、蓄電装置から電動機に電力を供給して電動機による動力を補助動力として追加するという制御を行う。
ハイブリッド車両の駆動装置として、例えば、第1電動機、第2電動機及び差動機構(例えば遊星歯車装置)を備え、入力軸がエンジンに連結される電気式差動部と、この電気式差動部から駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速部と、第1乃至第2電動機からの発電電力の充電及び第1乃至第2電動機への電力供給が可能な蓄電装置(例えばバッテリ)とを備えた駆動装置が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。このような車両用駆動装置では、第1電動機及び第2電動機の各運転状態を制御することにより、電気式差動部が無段変速機構(電気式無段変速部)として作動する。
また、この種の車両用駆動装置において、電気式差動部の後段側の動力伝達経路に配置される変速部として、ベルト式CVT(CVT:Continuously Variable Transmission)などの無段変速部が適用されている(例えば、特許文献3参照)。なお、変速部にトロイダル式CVTを適用することも可能である(トロイダル式CVTを適用することについては未公開である)。
特開2005−264762号公報 特開2006−273305号公報 特開平11−217025号公報 特開2006−300174号公報
ところで、例えば、駆動力源(エンジン)に連結される電気式差動変速部と、無段変速部とを備え、それら2つの変速部の変速比によって総合変速比が設定される車両用駆動装置において、無段変速部を例えばトロイダル式CVTで構成する場合、変速比幅が狭いため総合変速比の変速比幅が制約される。総合変速比幅が制約されると、エンジンの動作点を燃費最適点にできる車速域を広くすることができないため、動力性能と燃費の両立を図ることができず、特に高速燃費が改善されない可能性がある。このような課題は未公知の事項である。
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、駆動力源(エンジン)に連結された電気式差動変速部と無段変速部とを備え、それら2つの変速部の変速比によって総合変速比が設定される駆動装置において、高車速での燃費の向上を図ることが可能な車両用駆動装置の提供を目的とする。
本発明は、駆動力源と、前記駆動力源に連結された電気式差動変速部と、無段変速部とを備え、前記電気式差動変速部の変速比と無段変速部の変速比とによって総合変速比が設定される車両用駆動装置を前提とし、このような車両用駆動装置において、前記電気式差動変速部は複数の歯車からなり、第1の差動状態と第2の差動状態との切替えが可能であるとともに、それら第1の差動状態と第2の差動状態とにおいて前記電気式差動変速部の出力と前記無段変速部の入力軸との連結関係が変更されるように構成されていることを特徴している。
このように、電気式差動変速部を第1の差動状態と第2の差動状態とに切り替え可能とすることにより、無段変速部の変速比が上限に達したときに、電気式差動変速部の変速比をローギヤ(大きい変速比)からハイギヤ(小さい変速比)に切り替えることが可能になり、この変速比の切替えにより、駆動装置の総合変速比を増加させることができる。これによって駆動力源であるエンジンの動作点を燃費最適点にできる車速域が広がり、高速走行における燃費の向上を図ることができる。さらに、上記した2つの差動状態において電気式差動変速部の出力と無段変速部の入力軸との連結関係が変更されるように構成しているので、簡単な切替制御で高速燃費の向上を図ることができる。
本発明において、好適には、前記第1の差動状態と第2の差動状態とにおいて駆動力源と電気式差動変速部との連結関係は変更されない構成とする。また好適には、前記第1の差動状態と第2の差動状態とにおいて電気式差動変速部と電動機との連結関係は変更されない構成とする。
本発明において、好適には、電気式差動変速部の第1の差動状態と第2の差動状態とは車速または要求駆動トルクに基づいて切り替える構成とする。また好適には、電気式差動変速部は、第1電動機及び第2電動機と差動機構とを備えた構成とし、入力軸回転数と出力軸回転数との差動状態が制御される構成とする。
また好適には、無段変速部を機械式無段変速部によって構成する。また好適には、前記電気式差動変速部は、第1遊星歯車装置と第2遊星歯車装置とを備え、前記第1遊星歯車装置のキャリヤと前記第2遊星歯車装置のリングギヤとが互いに連結され、前記第1遊星歯車装置のリングギヤと前記第2遊星歯車装置のキャリヤとが互いに連結されている構成とする。
本発明において、好適には、電気式差動変速部と無段変速部とを選択的に係合する第1係合装置(例えば第1切替クラッチC1)及び第2係合装置(例えば切替クラッチC2)を設け、その第1係合装置の係合または解放と第2係合装置の係合または解放とを組み合わせることによって、前記電気式差動変速部を、前記第1の差動状態、前記第2の差動状態、または、非差動状態に選択的に切り替えるように構成する。
この構成によれば、第1係合装置及び第2係合装置の係合/解放制御を行うだけで、駆動力源であるエンジンと電気式差動変速部との連結関係、及び、電気式差動変速部の第1電動機及び第2電動機と差動機構との連結関係を変更することなく、電気式差動変速部を第1の差動状態と第2の差動状態とに切り替えることができる。しかも、これら第1係合装置及び第2係合装置を、電気式差動変速部を非差動状態にする係合装置として兼用することができるので、装置のコンパクト化を図ることができる。
本発明の具体的な構成として、好適には、駆動力源と、前記駆動力源に連結された電気式差動変速部と、無段変速部とを備え、前記電気式差動変速部の変速比と無段変速部の変速比とによって総合変速比が設定される車両用駆動装置を対象とし、このような車両用駆動装置において、前記電気式差動変速部と前記無段変速部とを選択的に係合する第1係合装置と第2係合装置とを備えているとともに、前記電気差動変速部は、第1電動機及び第2電動機と、第1遊星歯車装置及び第2遊星歯車装置とを備える。また、前記第1遊星歯車装置及び第2遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ及びリングギヤの一部が互いに連結されることによって、第1回転要素、第2回転要素、第3回転要素及び第4回転要素の4つの回転要素が構成されており、その第1回転要素を前記第1電動機に連結し、第2回転要素を駆動力源に連結し、第3回転要素を前記第2電動機に連結する。そして、前記第1係合装置を係合状態にすることにより第3回転要素と電気式差動変速部の出力軸とを係合することが可能であり、第2係合装置を係合状態にすることにより第4回転要素と電気式差動変速部の出力軸とを係合することが可能であり、さらに第1係合装置及び第2係合装置の両方を係合状態とすることにより電気式差動変速部を非差動状態とすることが可能であるという構成を挙げることができる。
このような構成の場合、好適には、前記4つの回転要素は、第1回転要素、第2回転要素、第3回転要素、第4回転要素の順番で配置する。
また好適には、前記第1遊星歯車装置は第1サンギヤ、第1キャリヤ及び第1リングギヤを備え、前記第2遊星歯車装置は第2サンギヤ、第2キャリヤ及び第2リングギヤを備えており、その第1遊星歯車装置の第1サンギヤを前記第1電動機に連結し、第1遊星歯車装置の第1キャリヤを第2遊星歯車装置の第2リングギヤと前記駆動力源とに連結し、第1遊星歯車装置の第1リングギヤを第2遊星歯車装置の第2キャリアと前記第2電動機とに連結する。
また好適には、前記第1係合装置及び第2係合装置と当該車両用駆動装置の出力軸との間に前記無段変速部を設け、その電気式差動変速部の出力軸と無段変速部の入力軸とを前記第1係合装置または/及び第2係合装置を介して連結する。
また好適には、前記第1電動機と一体回転する部材を非回転部材に選択的に係合するための第3係合装置(例えば切替ブレーキB0)を設ける。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の車両用駆動装置の一例を示すスケルトン図である。
この例の駆動装置1は、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型のハイブリッド車両に用いられるものであって、走行用の駆動力源としてのエンジン(例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン)10を備えている。さらに、駆動装置1は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース1A(以下、ケース1Aともいう)内において共通の軸心上に配設され、エンジン10の出力軸(クランクシャフト)に連結される入力軸11と、この入力軸11に直接に連結、もしくは図示しない脈動吸収ダンパー(振動減衰装置)などを介して間接に連結された電気式差動部20と、電気式差動部20の出力軸22(以下、差動部出力軸22という)に連結され、電気式差動部20と当該駆動装置1の出力軸12との間の動力伝達経路の一部を構成する機械式の無段変速部30とを備えており、図6に示すように、エンジン10からの動力を、電気式差動部20、無段変速部30、出力軸12、及び、ディファレンシャル装置(終減速機)2を介して左右の駆動輪3に伝達するようになっている。
−電気式差動部−
電気式差動部(電気式差動変速部)20は、入力軸11に入力されたエンジン10の出力を伝達する差動機構21と、第1電動機MG1及び第2電動機MG2と、切替ブレーキB0と、切替クラッチC1及び切替クラッチC2とを備えている。この例の第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、電動機(駆動力源)として機能するとともに発電機としても機能するモータジェネレータである。なお、差動用電動機である第1電動機MG1は反力を発生させるためのジェネレータ(発電)機能を少なくとも備え、走行用電動機である第2電動機MG2は走行用の駆動力源として駆動力を出力するためのモータ(電動機)機能を少なくとも備えている。
差動機構21は、互いに同軸上に配設されたシングルピニオン型の一対の第1遊星歯車装置211及び第2遊星歯車装置212を備えている。これら第1遊星歯車装置211及び第2遊星歯車装置212は、キャリアとリングギヤとがそれぞれ相互に連結されることにより、いわゆるCR−CR連結の遊星歯車機構を構成している。
第1遊星歯車装置211は、第1サンギヤS1と、第1遊星歯車P1と、この第1遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持する第1キャリヤCA1と、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1とを回転要素として備えている。第2遊星歯車装置212も同様に、第2サンギヤS2と、第2遊星歯車P2と、この第2遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持する第2キャリヤCA2と、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2とを回転要素として備えている。これら第1遊星歯車装置211の第1キャリアCA1と第2遊星歯車装置212の第2リングギヤR2とが連結されており、また、第2遊星歯車装置212の第2キャリアCA2と第1遊星歯車装置211の第1リングギヤR1とが接続されている(CR−CR連結)。
この差動機構21において、第1遊星歯車装置211の第1キャリヤCA1は入力軸11を介してエンジン10に連結されている。第1遊星歯車装置211の第1サンギヤS1は第1電動機MG1に連結されており、これら第1サンギヤS1と第1電動機MG1とが一体的に回転する。また、第1遊星歯車装置211の第1サンギヤS1は切替ブレーキB0を介してトランスミッションケース1Aに選択的に連結される。
第1遊星歯車装置211の第1リングギヤR1及び第2遊星歯車装置212の第2キャリヤCA2は第1切替クラッチC1を介して当該電気式差動部20の差動部出力軸22に選択的に連結される。また、第1遊星歯車装置211の第1リングギヤR1及び第2遊星歯車装置212の第2キャリヤCA2には第2電動機MG2が連結されており、これら第1リングギヤR1及び第2キャリヤCA2と第2電動機MG2とが一体的に回転する。そして、第2遊星歯車装置212の第2サンギヤS2は、第2切替クラッチC2を介して差動部出力軸22に選択的に連結される。
以上の構造の電気式差動部20において、第1切替クラッチC1が係合され、第2切替クラッチC2及び切替ブレーキB0が解放されると、第1遊星歯車装置211の第1リングギヤR1が切替クラッチC1を介して差動部出力軸22に連結され、第1遊星歯車装置211の第1サンギヤS1、第1キャリアCA1、第1リングギヤR1がそれぞれ相互に相対回転可能な差動作用が働く差動状態となり、エンジン10の出力が第1電動機MG1と差動部出力軸22(無段変速部30の入力軸31)に分配されるとともに、その分配されたエンジン10の出力の一部により第1電動機MG1から発生した電気エネルギで蓄電装置(例えばバッテリ)5が充電される。また、発生した電気エネルギにより第2電動機MG2が回転駆動されるので、例えば無段変速状態とされて、エンジン10の回転数に関わらず出力軸12の回転が連続的に変化させられる。すなわち、電気式差動部20は、電気的に変速比γ0(入力軸11の回転数/差動部出力軸22の回転数)が連続的に変化する電気的な無段変速機として機能する。なお、後述するように、第1電動機MG1の回転数NMG1がメカニカルロック点(図3参照)となるように制御することで、電気パスを「0」に近づけることができる。
また、第2切替クラッチC2が係合され、第1切替クラッチC1及び切替ブレーキB0が解放されると、第2遊星歯車装置212の第2サンギヤS2が差動出力軸22に連結され、第2遊星歯車装置212の第2サンギヤS2、第2キャリアCA2、第2リングギヤR2がそれぞれ相互に相対回転可能な差動作用が働く差動状態となり、この場合も、電気式差動部20は、電気的に変速比γ0が連続的に変化する電気的な無段変速機として機能する。ただし、第2切替クラッチC2のみを係合した場合(切替ブレーキB0及び第1切替クラッチC1は解放)、第2遊星歯車装置212の第2リングギヤR2がエンジン10に連結され、第2サンギヤS2が差動出力軸22に連結されるので、電気式差動部20の変速比は、上記した切替クラッチC1のみを係合した場合(切替ブレーキB0及び第2切替クラッチC2は解放)と比較してハイギヤ比となる。このように第2切替クラッチC2のみが係合した場合の作動状態を「無段ハイ」という(図2参照)。また、上記した第1切替クラッチC1のみが係合した場合の作動状態を「無段ロー」という(図2参照)。
一方、第1切替クラッチC1及び第2切替クラッチC2の両方が係合されると、第1遊星歯車装置211の第1サンギヤS1、第1キャリヤCA1及び第1リングギヤR1と、第2遊星歯車装置の第2サンギヤS2、第2キャリヤCA2及び第2リングギヤR2とが一体回転する非差動状態となり、エンジン10の回転数Neと差動部出力軸23の回転数とが一致する状態となるので、電気式差動部20は変速比γ0が「1」に固定された変速機として機能する定変速状態(非差動状態)となる。この場合の電気式差動部20の変速比を「有段ロー」という(図2参照)。
さらに、この例の電気式差動部20には、第1遊星歯車装置211の第1サンギヤS1を非回転部材であるトランスミッションケース1Aを選択的に連結する切替ブレーキB0を設けているので、この切替ブレーキB0を係合することにより、第1サンギヤS1が非回転状態となり、この状態で第1切替クラッチC1を係合すると、第1遊星歯車装置211の第1リングギヤR1が第1キャリヤCA0よりも増速回転されるので、電気式差動部20の変速比γ0が「1」よりも小さい値に固定された増速変速機として機能する定変速状態(第1の差動状態)となる。この場合の電気式差動部20の変速比を「有段ハイ・ロー」という(図2参照)。また、切替ブレーキB0と第2切替クラッチC2とが係合すると、第2遊星歯車装置212の第2サンギヤS2が第2キャリヤCA2よりも増速回転されるので、電気式差動部20の変速比γ0が「1」よりも更に小さい値に固定された増速変速機として機能する定変速状態(第2の差動状態)となる。この場合の電気式差動部20の変速比を「有段ハイ・ハイ」という(図2参照)。
以上の電気式差動部20に設けられた切替ブレーキB0、第1切替クラッチC1及び第2切替クラッチC2は、従来の車両用有段式自動変速機においてよく用いられている油圧式摩擦係合装置であって、互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型や、回転するドラムの外周面に巻き付けられた1本または2本のバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成され、それが介装されている両側の部材を選択的に連結するようになっている。
−無段変速部−
無段変速部30は、変速比γCVT(γCVT=無段変速部30の入力軸31の回転数N31/出力軸12の回転数Nout)を機械的作用により連続的に変化させることができる無段の自動変速機として機能するトロイダル式CVTである。この例では、ダブルキャビティ式のフルトロイダル型CVTを無段変速部30に適用した場合について説明するが、ハーフトロイダル型のCVTを無段変速部30に適用することも可能である。
無段変速部30の出力軸31は電気的差動部20の差動出力軸22に連結されている。無段変速部30は、入力軸31上で相対向する2つの入力ディスク33a,33b(以下、特に区別しない場合には「入力ディスク33」という)と、これら2つ入力ディスク33a,33bの間において入力ディスク33a,33bのそれぞれに相対向して同軸上に設けられているとともに、出力ギヤ37及びカウンタシャフト35などを介して出力軸12に連結された2つの出力ディスク34a,34b(以下、特に区別しない場合には「出力ディスク34」という)とを備えている。
また、この例の無段変速部30は、相対向するそれぞれの入力ディスク33a,33bと出力ディスク34a,34bとの間に、その回転軸を対称軸として2つずつ合計4つのパワーローラ36a,36b,36c,36d(以下、特に区別しない場合には「パワーローラ36」という)を備えている。
そして、相対向する入力ディスク33と出力ディスク34とは互いが近づく方向に押圧され、それらの対向面はその間に設けられた2つのパワーローラ36の外周面と摩擦力を発生して接触し、その接触を維持しつつパワーローラ36の回転軸が揺動可能となるように、入力ディスク33及び出力ディスク34の相対向するパワーローラ36との接触面は円弧状断面を有している。
このように構成された無段変速部30においては、第1の動力伝達経路を形成する1組の入力ディスク33a、パワーローラ36a,36b、及び、出力ディスク34aと、第2の動力伝達経路を形成する1組の入力ディスク33b、パワーローラ36c,36d、及び、出力ディスク34bとが、機械的配置としては入力軸31の回転軸上で直列に設けられ、動力伝達経路としては並列に設けられている。そして、入力軸31から入力された駆動トルクは、無段変速部30内の並列な2つの動力伝達経路でそれぞれ入力ディスク33、パワーローラ36、出力ディスク34の順に伝達され、この出力ディスク34にカウンタシャフト35を介して連結された出力軸12を経て駆動輪3(図6参照)へ伝達されるようになっている。
そして、無段変速部30では、入力ディスク33と出力ディスク34とのそれぞれと、外周面で摩擦接触するパワーローラ36の回転軸と差動部出力軸23の回転軸とのなす角度θPRを4つのパワーローラ36で同時に同じ角度に変化させることによって、入力ディスク33におけるパワーローラ36との接触点の半径(有効径)と出力ディスク34におけるパワーローラ36との接触点の半径(有効径)との比が変化し、無段変速部30の変速比γCVTが連続的に変化する。具体的には、上記角度θPRが小さくされるほど、入力ディスク33における上記接触点の半径は大きくなり出力ディスク34における上記接触点の半径は小さくなって、無段変速部30の変速比γCVTは小さくなる。
なお、パワーローラ36の回転角度(傾転角)は、後述する油圧制御回路202及びECU(Electronic Control Unit)100によって例えば油圧アクチュエータ(図示せず)等を駆動制御することによって制御される。
また、無段変速部(トロイダル式CVT)30の変速速度は、パワーローラ36を移動させる際の移動量(オフセット量)や移動速度によってパワーローラ36が傾転する速度を変化させることにより制御されるため、油圧アクチュエータ等の油圧の大きさを制御することにより、パワーローラ36の移動量を通常の変速時の移動量よりも大きく設定(小さく設定)したり、その移動速度を通常の変速時の移動速度よりも高く設定(低く設定)することにより、無段変速部30の変速速度を高く設定(低く設定)することができる。
−変速制御−
以上のように構成された駆動装置1では、上述したように、第1切替クラッチC1及び第2切替クラッチC2と、切替ブレーキB0とを備えており、これら切替クラッチC1,C2、切替ブレーキB0の係合または解放を組み合わせることによって、電気式差動部20は無段変速機として作動する無段変速状態と、変速比γ0が一定の変速機として作動する定変速状態を構成することが可能である。
具体的には、第1切替クラッチC1のみが係合された場合、または、第2切替クラッチC2のみが係合された場合には、上述したように電気式差動部20が電気的な無段変速機(変速比が「無段ロー」または「無段ハイ」)として機能し、この電気式差動部20に直列に配置された無段変速部30が機械的な無段変速機として機能して、電気式差動部20の変速比γ0と無段変速部30の変速比γCVTとの積である駆動装置1の全体としてのトータル変速比(総合変速比)γT(=入力軸11の回転数Nin/出力軸12の回転数Nout)が無段階に得られる。
また、第1切替クラッチC1及び第2切替クラッチC2の両方が係合された場合、または、切替ブレーキB0と2つの切替クラッチC1,C2のいずれか一方とが係合された場合には、定変速状態(変速比が「有段ロー」、「有段ハイ・ロー」または「有段ハイ・ハイ」)とされた電気式差動部20と無段変速部30とで機械的な無段変速機として機能して、駆動装置1の全体としてのトータル変速比(総合変速比)γTが無段階に得られる。
なお、駆動装置1内の動力伝達経路が遮断されたニュートラル「N」状態とする場合には、例えば第1切替クラッチC1、第2切替クラッチC2及び切替ブレーキB0の全てが解放されて第1電動機MG1及び第2電動機MG2がともに自由回転状態とされる。
図3は、第1変速部として機能する電気式差動部20と第2変速部として機能する無段変速部30とを備えた駆動装置1において、電気式差動部20の各回転要素の回転数(回転速度)の相対関係を直線上で表すことができる共線図(ある特定の動力伝達状態における共線図)を示している。
この図3の共線図は、各回転要素を示す横軸と相対的回転数(回転速度)を示す縦軸とからなる2次元座標であり、横線X1が回転数「0」を示している。また、駆動装置1の各回転要素に対応する4本の縦線Y1、Y2、Y3、Y4が左側から順番に配置されており、縦線Y1が第1回転要素RE1に対応する第1遊星歯車装置211の第1サンギヤS1を表しており、縦線Y2が第2回転要素RE2に対応し、かつ、相互に連結された第1遊星歯車装置211の第1キャリヤCA1及び第2遊星歯車装置212の第2リングギヤR2を表している。また、縦線Y3が第3回転要素RE3に対応し、かつ、相互に連結された第2遊星歯車装置212の第2キャリヤCA2及び第1遊星歯車装置211の第1リングギヤR1を表しており、縦線Y4が第4回転要素に対応する第2遊星歯車装置212の第2サンギヤS2を表している。
上記図3の共線図を用いて表現すれば、この例の駆動装置1においては、電気式差動部20の第1回転要素RE1(第1サンギヤS1)が、第1電動機MG1に連結されるとともに、切替ブレーキB0を介してトランスミッションケース1Aに選択的に連結される。また、第2回転要素RE2(第1キャリヤCA1及び第2リングギヤR2)が入力軸11すなわちエンジン10に連結される。
さらに、第3回転要素RE3(第1リングギヤR1及び第2キャリヤCA2)が第2電動機MG2に連結されるとともに、第1切替クラッチC1を介して差動部出力軸22つまり無段変速部30の入力軸31に選択的に連結される。また、第4回転要素RE4(第2サンギヤS2)が第2切替クラッチC2を介して差動部出力軸22つまり無段変速部30の入力軸31に選択的に連結される。
そして、切替ブレーキB0を係合して(第1電動機MG1の回転数NMG1=「0」)、第1切替クラッチC1を係合すると、第1遊星歯車装置211の第1リングギヤR1が差動部出力軸22(無段変速部30の入力軸31)に連結され、図3の実線で示すように、第1リングギヤR1の回転数つまり差動部出力軸22の回転数は、エンジン回転数Neよりも増速された状態(変速比:「有段ハイ・ロー」)で無段変速部30に入力される。また、切替ブレーキB0を係合し、第2切替クラッチC2を係合すると、第2遊星歯車装置212の第2サンギヤS2が差動部出力軸22(無段変速部30の入力軸)に連結され、図3の破線で示すように、第2サンギヤS2の回転数つまり差動部出力軸22の回転数は、エンジン回転数Neよりも更に増速された状態(変速比:「有段ハイ・ハイ」)で無段変速部30に入力される。
このように、この例の駆動装置1では、電気式差動部20に設けた第1切替クラッチC1の係合と第2切替クラッチC2の係合とを切り替えることによって、電気式差動部20を第1の差動状態(変速比:[有段ハイ・ロー])と第2の差動状態(変速比:[有段ハイ・ハイ])とに切り替えることができる。なお、このようなクラッチ切替えによって、当該電気式差動部20の出力(アウトプット)と無段変速部30の入力軸31との連結関係が変更されるだけであり、エンジン10と電気式差動部20との連結関係、及び、電気式差動部20の第1電動機MG1及び第2電動機MG2と差動機構21との連結関係を変更することなく、電気式差動部20の差動状態を簡単に切り替えることができる。
また、第1切替クラッチC1及び第2切替クラッチC2の両方を係合することによって電気式差動部20を非差動状態とすることができるので、電気式差動部20を非差動状態にするための切替クラッチを新たに設けることなく、第1切替クラッチC1及び第2切替クラッチC2で兼用することが可能となり、装置のコンパクト化を図ることができる。
なお、無段変速部30においては、その変速比γCVTが連続的に変化し、出力軸12に向けて動力が伝達される。
以上の駆動装置1はECU100(図4及び図6参照)によって制御される。
−ECU−
ECU100は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM及び入出力インターフェースなどを備えており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン10、電気式差動部20の第1電動機MG1及び第2電動機MG2の各駆動制御、並びに、無段変速部30の変速制御等の駆動制御を実行する。
ECU100には、図4に示す各センサやスイッチなどからの各種信号、例えば、エンジン水温センサにて検出されるエンジン10の冷却水温を表す信号、シフトポジションセンサにて検出されるシフトポジションを表す信号、第1電動機MG1の回転数NMG1を表す信号、第2電動機MG2の回転数NMG2を表す信号、エンジン回転数センサにて検出されるエンジン10の出力軸(クランクシャフト)の回転数であるエンジン回転数Neを表す信号、入力軸回転数センサにて検出される無段変速部30の入力軸31の回転数を表す信号、出力軸回転数センサにて検出される出力軸12の回転数(車速V)を表す信号、ストロークセンサ及び傾転角センサにて検出される無段変速部(トロイダル式CVT)30のパワーローラ36のストローク量及び傾転角を表す信号、Mモード(手動変速走行モード)を指令する信号、エアコンの作動を示すエアコン信号、CVT油温センサにて検出される無段変速部30の作動油温を表す油温信号、サイドブレーキ操作を表す信号、フットブレーキ操作を示す信号、蓄電装置5の温度を示すバッテリ温度信号、アクセル開度センサにて検出されるアクセル開度Acc(運転者の出力要求量に対応するアクセルペダルの操作量)を示すアクセル開度信号、スロットル開度センサにて検出されるスロットルバルブの開度を示す信号、A/Fセンサにて検出されるエンジン10の空燃比を示す信号、スノーモード設定を示すスノーモード設定信号、車両加速度センサにて検出される車両の前後加速度を示す加速度信号、オートクルーズ走行を示すオートクルーズ信号、車重センサにて検出される車両の重量を示す車重信号、各車輪の車輪速を示す車輪速信号などが供給される。
また、ECU100からは、エンジン出力を制御するエンジン出力制御装置201(図6参照)への制御信号、例えばエンジン10の吸気管13に設けられた電子スロットルバルブ14の開度(スロットル開度)を操作するスロットルアクチュエータ15を駆動する駆動信号、燃料噴射装置16によるエンジン10の各気筒内への燃料供給量を制御する燃料供給量信号、点火装置17によるエンジン10の点火時期を指令する点火信号、及び、過給圧を調整するための過給圧調整信号などが出力される。
さらに、ECU100からは、電動エアコンを作動させるためのエアコン駆動信号、第1電動機MG1及び第2電動機MG2の各作動を指令する指令信号、シフトインジケータを作動させるためのシフトポジション(操作位置)表示信号、ギヤ比インジケータを作動させるためのギヤ比表示信号、スノーモードであることを表示させるためのスノーモード表示信号、制動時の車輪のスリップを防止するABSアクチュエータを作動させるためのABS作動信号、Mモードが選択されていることを表示させるMモード表示信号などを出力される。また、ECU100からは、電気式差動部20及び無段変速部30の油圧アクチュエータを制御するために油圧制御回路202(図6参照)に含まれる電磁ソレノイドバルブを作動させるバルブ指令信号、その電磁ソレノイドバルブに供給されるライン圧を調整するためのライン圧コントロールソレノイドバルブを作動させるバルブ指令信号、油圧制御回路202の油圧源である電動油圧ポンプを作動させるための駆動指令信号、電動ヒータを駆動するための信号、クルーズコントロール制御用コンピュータへの信号などが出力される。
−シフト操作装置−
次に、手動変速操作装置であるシフト操作装置について図5を参照して説明する。
この例のシフト操作装置7は、例えば運転席近傍に配設され、複数種類のシフトポジションを選択するために操作されるシフトレバー71を備えている。
シフトレバー71は、駆動装置1内の動力伝達経路が遮断されたニュートラル状態(中立状態)とするとともに、出力軸12をロックするための駐車ポジション「P(パーキング)」、後進走行のための後進走行ポジション「R(リバース)」、駆動装置1内の動力伝達経路が遮断された中立状態とする中立ポジション「N(ニュートラル)」、前進自動変速走行ポジション「D(ドライブ)」、または、前進手動変速走行ポジション「M(マニュアル)」のいずれかのポジションに手動操作されるように設けられている。
「P」ポジション及び「N」ポジションは、車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであり、「R」ポジション、「D」ポジション及び「M」ポジションは、車両を走行させるときに選択される走行ポジションである。また、「D」ポジションは、最高速走行ポジションでもあり、「M」ポジションは、エンジンブレーキ効果が得られるエンジンブレーキレンジでもある。
「M」ポジションは、例えば車両の前後方向において上記「D」ポジションと同じ位置において車両の幅方向に隣接して設けられており、シフトレバー71が「M」ポジションへ操作されることにより、複数の変速レンジ(例えば「D」レンジを含む5つの変速レンジ)のいずれかの変速レンジがシフトレバー71の操作に応じて変更される。具体的には、この「M」ポジションには、車両の前後方向にアップシフト位置「+」及びダウンシフト位置「−」が設けられており、シフトレバー71がそれ等のアップシフト位置「+」またはダウンシフト位置「−」へ操作されると、「D」レンジを含む5つの変速レンジのいずれかに切り替えられる。
また、シフトレバー71はスプリング等の付勢手段により上記アップシフト位置「+」及びダウンシフト位置「−」から、「M」ポジションへ自動的に戻されるようになっている。また、シフト操作装置7にはシフトレバー71の各シフトポジションを検出するためのシフトポジションセンサ(図4参照)が備えられており、そのシフトレバー71のシフトポジションや「M」ポジションにおける操作回数等をECU100へ出力する。
そして、上記シフトレバー71の手動操作により選択されたシフトポジションに応じて例えば油圧制御回路202(図6参照)が電気的に切り替えられて、駆動装置1内の動力伝達経路が上記選択されたものに変更される。例えば、シフトポジションとして「P」ポジションまたは「N」ポジションが選択された場合には、例えば第1切替クラッチC1、第2切替クラッチC2及び切替ブレーキB0の全てが解放され、第1電動機MG1及び第2電動機MG2がともに自由回転状態とされ、駆動装置1内の動力伝達経路が動力伝達遮断状態にされる。
−ECUの動作説明−
次に、ECU100の制御機能の要部を図6を参照して説明する。
ECU100は、ハイブリッド制御部101、切替制御部102及び無段変速制御部103などを備えている。
ハイブリッド制御部101は、電気式差動部20の差動状態においてエンジン10を効率の高い作動域で作動させる一方で、エンジン10と第2電動機MG2との駆動力の配分や第1電動機MG1の発電による反力が最適になるように変化させて電気式差動部20の電気的な無段変速機としての変速比γ0を制御する。例えば、現在の走行車速において、運転者の出力要求量としてのアクセル開度(アクセルペダル操作量)Accや車速Vから車両の目標(要求)出力を算出し、車両の目標出力と充電要求値から必要なトータル目標出力を算出し、そのトータル目標出力が得られるように伝達損失、補機負荷、第2電動機MG2のアシストトルク等を考慮して目標エンジン出力を算出し、その目標エンジン出力が得られるエンジン回転数NeとエンジントルクTeとなるようにエンジン10を制御するとともに、第1電動機MG1の発電量を制御する。
ハイブリッド制御部101は、動力性能や燃費向上などのために無段変速部30の変速比γCVTを考慮して制御を実行する。このようなハイブリッド制御では、エンジン10を効率のよい運転域で作動させるエンジン回転数Neと、車速V及び無段変速部30の変速比γCVTで定まる差動部出力軸23の回転数とを整合させるために、電気式差動部20を電気的な無段変速機として機能させる。
すなわち、ハイブリッド制御部101は、例えば図7の燃費マップに示すようなエンジン回転数Neとエンジン10の出力トルク(エンジントルク)Teとをパラメータとする2次元座標内において、無段変速走行のときに運転性と燃費性とを両立するように制御する。具体的には、エンジン回転数Ne及びエンジントルクTeをパラメータとし、エンジン10の燃費向上のために予め実験的に定められたエンジン10の動作曲線である燃焼効率最適線LEF(最適燃費率曲線LEF、燃費マップ)を用い、その燃焼効率最適線LEFに沿ってエンジン10が作動するように、駆動装置1の総合変速比γTの目標値を定め、その目標値が得られるように電気式差動部20の変速比γ0を制御する。
このとき、ハイブリッド制御部101は、第1電動機MG1により発電された電気エネルギをインバータ4を通じて蓄電装置5や第2電動機MG2へ供給するので、エンジン10の動力の主要部は機械的に差動部出力軸23へ伝達されるが、エンジン10の動力の一部は第1電動機MG1の発電のために消費されて電気エネルギに変換される。この電気エネルギは、インバータ4を通じて第2電動機MG2へ供給され、これによって第2電動機MG2が駆動されて第2電動機MG2からの動力が差動部出力軸23へ伝達される。この電気エネルギの発生から第2電動機MG2で消費されるまでに関連する機器により、エンジン10の動力の一部を電気エネルギに変換し、その電気エネルギを機械的エネルギに変換するまでの電気パスが構成される。なお、図7の燃費マップは例えばECU100のハイブリッド制御部101内に予め記憶されている。
ハイブリッド制御部101はエンジン制御部111を備えている。エンジン制御部111は、スロットルアクチュエータ15による電子スロットルバルブ14の開閉制御、燃料噴射装置16によるエンジン10の各気筒内への燃料供給量の制御、及び、点火装置17によるエンジン10の点火時期の制御などの各種制御を実行するための制御信号をエンジン出力制御装置201に出力する。
そして、ハイブリッド制御部101は、例えば下記の駆動力源切替線図(図8)から車速Vとアクセル開度Accとで示される車両状態に基づいて、モータ走行領域とエンジン走行領域とのいずれの領域であるかを判断して、モータ走行またはエンジン走行を実行する。このように、ハイブリッド制御部101によるモータ走行は、図8から明らかなように、一般的にエンジン効率が高トルク域に比較して悪いとされる比較的低アクセル開度Acc時(低エンジントルクTe時)、または、車速Vの比較的低車速時(低負荷域)で実行される。
このモータ走行時には、停止しているエンジン10の引き摺りを抑制して燃費を向上させるために、電気式差動部20の差動作用によりエンジン回転数Neは「0」もしくは略「0」にされる。
図8の駆動力源切替線図は、車速V及びアクセル開度Accをパラメータとして、モータ走行領域とエンジン走行領域とを判定するための2次元マップであって、例えばハイブリッド制御部101に予め記憶されている。図8の駆動力源切替線図において、実線Aは、エンジン10を走行用の駆動力源として車両を発進/走行(以下、「走行」という)させるエンジン走行と、第2電動機MG2を走行用の駆動力源として車両を走行させるモータ走行とを切り替えるための境界線つまりエンジン走行領域とモータ走行領域との境界線である。
ハイブリッド制御部101のエンジン制御部111は、例えば車両状態に基づいて図8の駆動力源切替線図からモータ走行とエンジン走行との切り替えを判定した場合に、エンジン10の始動または停止を実行する。
例えば、エンジン制御部111は、図8の実線Bの[点a→点b]に示すように、アクセルペダルが踏み込み操作され、アクセル開度Accが大きくなって車両状態がモータ走行領域からエンジン走行領域へ変化した場合にはエンジン走行に切り替える。具体的には、例えば第1電動機MG1への通電により当該第1電動機MG1の回転数NMG1を上昇させてエンジン回転数Neを引き上げ、そのエンジン回転数Neが点火可能な回転数以上に達した時点で点火装置17にて点火を行ってエンジン10を始動させて、モータ走行からエンジン走行へ切り替える。このとき、エンジン制御部111は、第1電動機MG1の回転数NMG1を速やかに引き上げることで、アイドル回転数以下のエンジン回転数領域における共振領域を速やかに回避してエンジン始動を行い、その始動時の振動を抑制するようにしてもよい。
また、エンジン制御部111は、図8の実線Bの[点b→点a]に示すように、アクセルペダルが戻されてアクセル開度Accが小さくなり、車両状態がエンジン走行領域からモータ走行領域へ変化した場合には、エンジン10のフューエルカットを開始するとともに、エンジン回転数Neを引き下げてエンジン10の停止を行うことによってエンジン走行からモータ走行へ切り替える。このとき、エンジン制御部111は、第1電動機MG1の回転数NMG1を速やかに引き下げることで、エンジン回転数Neを速やかに「0」もしくは略「0」に引き下げるようにしてもよい。これにより、上記共振領域を速やかに回避することができ、エンジン停止時の振動を抑制することができる。
また、ハイブリッド制御部101は、エンジン走行領域であっても、蓄電装置5からの電気エネルギを第2電動機MG2へ供給し、その第2電動機MG2を駆動してエンジン10の動力を補助するトルクアシストが可能である。なお、この例ではエンジン10と第2電動機MG2との両方を走行用の駆動力源とする車両の走行はモータ走行ではなくエンジン走行に含まれるものとする。
また、ハイブリッド制御部101は、車両の停止状態または低車速状態に関わらず、電気式差動部20の電気的CVT機能(差動作用)によってエンジン10の運転状態を維持することができる。例えば、車両停止時に蓄電装置5の充電残量SOC(State of Charge)が低下して第1電動機MG1による発電が必要となった場合には、例えば、エンジン10の動力により第1電動機MG1が発電状態で、その第1電動機MG1の回転数NMG1が引き上げられ、第2電動機MG2の回転数NMG2が車両停止状態により「0」(略「0」)となっても、動力分配機構21の差動作用によってエンジン回転数Neを自立回転可能な回転速度以上に維持できる。
また、ハイブリッド制御部101は、車両の停止中または走行中に関わらず、電気式差動部20の電気的CVT機能によって第1電動機MG1及び/または第2電動機MG2を制御してエンジン回転数Neを任意の回転速度に維持する。
−電機式差動部の切替制御−
切替制御部102は、車両状態に基づいて、電気式差動部20の差動制限手段である切替ブレーキB0、第1切替クラッチC1、及び、第2切替クラッチC2の各係合/解放を切り替えることにより、上記した電気式差動部20の無段変速状態(差動状態)と有段変速状態(ロック状態)とを選択的に切り替える。
例えば、切替制御部102は、図8と同じ座標系に表された太い破線、1点鎖線及び2点鎖線で示す差動状態切替線図(差動状態切替マップ)を予め記憶しており、車速V及びアクセル開度Accに基づいて図8の差動状態切替線図を参照して、切替ブレーキB0、第1切替クラッチC1、第2切替クラッチC2の各係合装置を係合(ロック)させるべきか否かを判定し、その判定結果に基づいて油圧制御回路202に指令信号を出力することにより、切替ブレーキB0、第1切替クラッチC1または第2切替クラッチC2を係合または解放する。
具体的には、例えば、アクセル開度Accが、図8の判定アクセル開度Acc1(太い破線)を超えた高開度である場合には、車両状態が[C1・C2ロック領域]にあるので、切替制御部102は第1切替クラッチC1及び第2切替クラッチC2の両方を係合して電気式差動部20の変速比γ0を「1」に固定する(変速比が「有段ロー」に固定される)。
また、車速Vが図8の第1判定車速V1(太い1点鎖線)以上で、第2判定車速V2(太い2点鎖線)未満である場合には、車両状態が[B0ロック領域]かつ[C1ロック領域]にあるので、切替制御部102は切替ブレーキB0と第1切替クラッチC1とを係合して電気式差動部20を増速変速機として機能させる(変速比が「有段ハイ・ロー」に設定される)。
さらに、車速Vが図8の第2判定車速V2(太い2点鎖線)を超えた高車速である場合には、車両状態が[B0ロック領域]かつ[C2ロック領域]にあるので、切替制御部102は切替ブレーキB0と第2切替クラッチC2とを係合して電気式差動部20を増速変速機として機能させる(変速比が「有段ハイ・ハイ」に設定される)。
そして、切替制御部102は、第1切替クラッチC1及び第2切替クラッチC2の両方を係合した場合、または、切替ブレーキB0と第1切替クラッチC1または第2切替クラッチC2のいずれか一方とを係合した場合には、ハイブリッド制御部101に対して電気式差動部20を電気的な無段変速機として機能させる差動制御を禁止する。
一方、図8において低アクセル開度Accで低車速Vの車両状態、つまり、車両状態が[B0ロック領域]にも[C1・C2ロック領域]にも属さない無段制御領域(フリー領域)である場合には、第1切替クラッチC1または第2切替クラッチC2のいずれか一方のみを選択的に係合して、ハイブリッド制御部101に対して上記差動制御を許可する。
なお、切替制御部102は、電気式差動部20を電気的な無段変速機として作動させるための電気系の制御機器の故障や機能低下時には、第1切替クラッチC1及び第2切替クラッチC2の両方を係合する制御や、切替ブレーキB0と第1切替クラッチC1または第2切替クラッチC2のいずれか一方とを係合する制御を実行する場合もある。例えば、第1電動機MG1における電気エネルギの発生からその電気エネルギが機械的エネルギに変換されるまでの電気パスに関連する機器が機能低下する場合、すなわち、第1電動機MG1、第2電動機MG2、インバータ4、蓄電装置5、それらを接続する伝送路などの故障(フェイル)や、故障とか低温による機能低下が発生したような車両状態となる場合には、電気式差動部20の制御領域が無段制御領域であっても、切替制御部102は、車両走行を確保するために、上記した係合制御を優先的に実行する場合もある。
このように、この例の駆動装置1では、電気式差動部20を無段変速状態と有段変速状態(定変速状態)とに選択的に切り替えることが可能であって、切替制御部102により車両状態に基づいて電気式差動部20の切り替えるべき変速状態が判断され、電気式差動部20が無段変速状態または有段変速状態のいずれかの状態に選択的に切り替えられる。また、この例では、ハイブリッド制御部101により車両状態に基づいてモータ走行またはエンジン走行が実行されるが、このエンジン走行とモータ走行とを切り替えるために、エンジン制御部111によりエンジン10の始動または停止が行われる。
ここで、図8の切替線図について説明する。まず、図8の切替線図において、太い破線は、切替制御部102による電気式差動部20の[無段制御領域(フリー領域)]と[C1・C2ロック領域]との判定のための判定アクセル開度Acc1を示している。また、図8の切替線図において、太い1点鎖線は、切替制御部102による電気式差動部20の[無段制御領域(フリー領域)]と[B0ロック領域]との判定のための第1判定車速V1を示しており、車速Vが第1判定車速V1以上で、第2判定車速V2未満である場合には[B0ロック領域]かつ[C1ロック領域]となっている。さらに、図8の切替線図において、太い2点鎖線は、切替制御部102による電気式差動部20の[C1ロック領域]と[C2ロック領域]との判定のための第2判定車速V2を示しており、車速Vが第2判定車速V2を超えた高車速である場合には[B0ロック領域]かつ[C2ロック領域]となっている。また、図8の切替線図において、太い破線で示される判定アクセル開度Acc1と、1点鎖線で示される第1判定車速V1と、2点鎖線で示される第2判定車速V2とには、それぞれ、細い破線、1点鎖線、2点鎖線で示すヒステリシスが設けられている。
なお、図8の切替線図に示す第2判定車速V2は、切替ブレーキB0と第1切替クラッチC1とを係合した状態(変速比が[有段ハイ・ロー]の状態)での走行中に、車速Vが上昇して無段変速部30の変速比γCVTが上限に達したときに、クラッチ係合が第1切替クラッチC1から第2切替クラッチC2に切り替わる(変速比が[有段ハイ・ハイ]に切り替わる)ように設定されている。
以上の図8の切替線図に示す判定アクセル開度Acc1(太い破線)、第1判定車速V1(太い1点鎖線)及び第2判定車速V2(太い2点鎖線)、並びに、その各ヒステリシス線(細い破線、1点鎖線、2点鎖線)は、予め実験・計算等によって、動力性能及び燃費などを考慮して経験的に求めたものをマップ化したものであって、上記したようにECU100の切替制御部102に記憶されている。
そして、この例においては、切替ブレーキB0と第1切替クラッチC1とを係合した状態(変速比が[有段ハイ・ロー]の状態)での走行中に、車速Vが上昇して無段変速部30の変速比γCVTが上限に達したときには、電気式差動部20の変速比がロー[有段ハイ・ロー]からハイ[有段ハイ・ハイ]に切り替わる。このとき、駆動装置1の総合変速比γTは、同じ車速では一定であるので、無段変速部30の変速比を少しローギヤ側(変速比を少し大きい側)に戻すことができる。これによって見かけ上、駆動装置1の総合変速比γTを増加させることができる。これによりエンジン10の動作点を燃費最適点にできる車速域が広がるので、高速燃費の向上を図ることができる。
このように、この例の駆動装置1によれば、後段の無段変速部(トロイダル式CVT)30の変速比幅が小さくても、前段の変速部である電気式差動部20の高車速での差動状態の切り替えを可能とし、後段の無段変速部30の変速比γCVTが上限に達しても、前段の電気式差動部20の変速比をハイギヤに切り替えることによって、駆動装置1の総合変速比幅を大きくすることができるので、高車速であっても、エンジン10を燃焼効率最適線LEF(図7参照)上に沿って(もしくは燃焼効率最適線LEFに近い領域で)動作させることが可能になり、燃費の向上を図ることができる。
また、この例の駆動装置1では、第1切替クラッチC1の係合と第2切替クラッチC2の係合とを切り替えて、電気式差動部20の出力(アウトプット)と無段変速部30の入力軸31との連結関係を変更するという切替制御を行うだけで、駆動装置1の総合変速比γTを増加(まはた減少)させることができる。すなわち、エンジン10と電気式差動部20との連結関係、及び、電気式差動部20の第1電動機MG1及び第2電動機MG2と差動機構21との連結関係を変更しないで、電気式差動部20の差動状態を切り替えることができるので、簡単な切替制御で燃費の向上を図ることができる。
なお、以上の例では、車速Vに基づいて第1切替クラッチC1の係合と第2切替クラッチC2の係合とを切り替えることによって電気式差動部20の差動状態を切り替えているが、これに限られることなく、要求駆動トルクに基づいて第1切替クラッチC1の係合と第2切替クラッチC2の係合とを切り替えて、電気式差動部20の差動状態を切り替えるようにしてもよい。
−無段変速部の制御−
次に、無段変速制御部103について説明する。
無段変速制御部103は、油圧制御回路202に指令信号を出力し、無段変速部30のパワーローラ36を傾転させることにより無段変速部30の変速比γCVTを変化させて変速を行う。例えば、無段変速制御部103は、電気式差動部20の差動状態に応じて予め設定された車速V及びアクセル開度Accとの関係から変速比γCVTを決定し、その変速比γCVTが得られるように無段変速部30の変速制御を実行する。
ここで、この例では、ハイブリッド制御部101による電気式差動部20の変速比γ0の制御によってエンジン走行中は燃費向上のため、エンジン回転数Ne及びエンジントルクTeなどで示されるエンジン10の動作状態を示すエンジン動作点PEG(図7参照)が燃焼効率最適線LEFに沿うように(燃費最適点となるように)、エンジン10を作動しているが、これに加えて、電気式差動部20におけるエンジン10からの出力(駆動エネルギ)の伝達効率η20を向上させることで、車両全体としての燃費を更に向上させることができる。その具体的な制御について以下に説明する。
まず、無段変速制御部103は、上述のように、無段変速部30の変速制御を実行するが、エンジン走行中において電気式差動部20が差動状態(無段変速状態)である場合には、図9に示す無段変速部変速比マップから車速Vに基づいて無段変速部30の変速比γCVTを決定(設定)する。
図9の無段変速部変速比マップは、図7に示す燃焼効率最適線LEF上のエンジン動作点PEGでエンジン10が作動した場合に、理想的には第1電動機MG1の回転数NMG1が「0」もしくは略「0」になるように、つまり、図3の共線図で第1電動機MG1の回転停止を示すメカニカルロック点になるように、車速Vと変速比γCVTとの関係を、予め実験・計算等により求めてマップ化したものである。従って、この図9の無段変速部変速比マップを用いて無段変速制御部103が無段変速部30の変速比γCVTを決定することによって、燃焼効率最適線LEFにエンジン動作点PEGが沿うように無段変速部30の変速比γCVTを設定することができる。
そして、第1電動機MG1の回転数NMG1が「0」に近づくほど電気式差動部20の伝達効率η20が向上するので、図9の無段変速部変速比マップに従って決定される無段変速部30の変速比γCVT(基本変速比)は、電気式差動部20の伝達効率η20が充分に高くなるように、具体的に表現すれば、その伝達効率η20が予め定められた下限値以上になるように設定(決定)された変速比である。
また、無段変速制御部103は、切替ブレーキB0が係合されて、第1電動機MG1がメカニカルロック点に維持されて第1電動機MG1の回転が停止された場合にも、図9の無段変速部変速比マップから車速Vに基づいて無段変速部30の変速比γCVTを決定(設定)する。さらに、無段変速制御部103は、電気式差動部20の差動が制限されていない場合と電気式差動部20の差動が制限されている場合とに応じて、電気式差動部20の差動動作や無段変速部30の変速を調整する。
また、無段変速制御部103は、電気式差動部20の変速比γ0及び無段変速部30の変速比γCVTを制御することで駆動装置1の総合変速比を調整する。
具体的に説明すると、無段変速制御部103は、電気式差動部20の差動が制限されている場合には、エンジン10の出力が目標出力に略一致するように無段変速部30の変速比を調整することでエンジン10の動作点を設定する。一方、電気式差動部20の差動が制限されていない場合には、エンジン10の出力が目標出力に略一致するように、電気式差動部20の変速比と無段変速部30の変速比との総合変速比γTを調整することでエンジン10の動作点を設定する。
一方、上記したハイブリッド制御部101は電気式差動部20の伝達効率η20を高めるために差動制御部112を備えている。ここで、エンジン走行中において電気式差動部20が差動状態(無段変速状態)である場合に、無段変速制御部103が、図9の無段変速部変速比マップに基づいて無段変速部30の変速比γCVTを決定すると、差動制御部112は、エンジン10からの出力の伝達効率η20を高めるように、第1電動機MG1の回転数NMG1を制御し、電気式差動部20の変速比γ0を決定(設定)して変更する。電気式差動部20の伝達効率η20は、第1電動機MG1と第2電動機MG2との間の電気パスに伝達される電気エネルギである電気パス量、つまり第1電動機MG1の消費電力または出力電力が「0」に近づくほど向上するので、差動制御部112は、第1電動機MG1の消費電力または出力電力を「0」に近づけることによって電気式差動部20の伝達効率η20を高める。
具体的に説明すると、差動制御部112は、第1電動機MG1の消費電力または出力電力を「0」に近づけることによって電気式差動部20の伝達効率η20を高めるので、その電気式差動部20の伝達効率η20が充分に高いと見ることができる電気パス許容範囲内に第1電動機MG1の消費電力または出力電力(電気パス量)が入っているか否かを判定する。その判定結果が肯定判定である場合(電気パス量が電気パス許容範囲内に入っている場合)には、差動制御部112は、現状の第1電動機MG1の回転数NMG1を維持する。
一方、上記判定結果が否定判定である場合(電気パス量が電気パス許容範囲内に入っていない場合)には、差動制御部112は、第1電動機MG1の回転数NMG1を「0」に近づける方向に補正するための補正値つまり第1電動機回転数変更値ΔNMG1を決定する。具体的には、例えば、第1電動機回転数変更値ΔNMG1と電気パス量との関係を予め実験・計算等によって求めてマップ化しておき、そのマップ(図10)を参照して電気パス量(第1電動機MG1の消費電力または出力電力)に基づいて第1電動機回転数変更値ΔNMG1を決定し、その回転数変更値ΔNMG1を用いて、第1電動機MG1の回転数NMG1を「0」に近づける方向(電気パス量を「0」に近づける方向)に補正する。
なお、第1電動機回転数変更値ΔNMG1と電気パス量との関係は、図10に示すように、電気パス量が蓄電装置5の放電側(または充電側)に行くほど第1電動機回転数変更値ΔNMG1が大きく(または負側に小さく)なる関係であってもよい。また、第1電動機回転数変更値ΔNMG1の正負は原点を境に反転するが、電気パス量に関わらず第1電動機回転数変更値ΔNMG1の絶対値が一定となる関係であってもよい。
そして、差動制御部112は、第1電動機MG1の回転数NMG1の補正を行った場合には、再び上記電気パス許容範囲内に第1電動機MG1の消費電力または出力電力(電気パス量)が入っているか否かを判定する。このように差動制御部112は、第1電動機MG1の消費電力または出力電力(電気パス量)についての判定処理が肯定となるまで、その判定処理と、第1電動機MG1の回転数補正処理とを繰り返して実行する。
以上のように、差動制御部112は、第1電動機MG1の消費電力または出力電力を「0」に近づけることによって電気式差動部20の伝達効率η20を高めているが、これに限られることなく、第1電動機MG1の回転数NMG1が「0」に近づくほど、上記した第1電動機MG1の消費電力または出力電力は「0」に近づく点を考慮し、差動制御部112は、第1電動機MG1の回転数NMG1を「0」に近づけることによって電気式差動部20の伝達効率η20を高めるようにしてもよい。この場合、差動制御部112が実行する判定処理に用いる電気パス許容範囲に替えて、第1電動機MG1の回転数NMG1についての許容範囲である第1電動機回転数許容範囲を用い、差動制御部112は、その第1電動機回転数許容範囲内に第1電動機MG1の回転数NMG1が入っているか否かを判定するようにすればよい。また、この場合、図10のマップの横軸を上記電気パス量から第1電動機MG1の回転数NMG1に置き替えて、第1電動機回転数変更値ΔNMG1を決定するようにすればよい。
以上のようにして、無段変速制御部103が図9の無段変速部変速比マップにより無段変速部30の変速比γCVTを決定し、さらに差動制御部112が上記電気パス量または第1電動機MG1の回転数NMG1を「0」に収束させるように制御することによって、電気式差動部20の伝達効率η20を更に高めることができる。
−効率制御例(1)−
次に、エンジン走行中において電気式差動部20が差動状態(無段変速状態)である場合に、電気式差動部20の伝達効率η20を向上させる制御の一例について図11のフローチャートを参照して説明する。図11の制御ルーチンはECU100において所定時間(例えば数msec乃至数十msec程度)毎に繰り返して実行される。
まず、ステップST101においては、上記第1電動機回転数変更値ΔNMG1を初期化する。具体的には、第1電動機回転数変更値ΔNMG1を「0」に設定する。
ステップST102においては、出力軸回転数センサ(図4参照)の出力信号から算出される車速Vに基づいて、図9の無段変速部変速比マップを参照して無段変速部30の変速比γCVT(基本変速比)を決定し、その変速比γCVTが実現されるように、無段変速部30のパワーローラ36の傾転角制御を行う。
次に、ステップST103では、第1電動機MG1の回転数NMG1が「0」(上記電気パス量が「0」)に近づくように、第1電動機MG1の回転数NMG1を第1電動機回転数変更値ΔNMG1だけ補正する。具体的には、現在の第1電動機MG1の回転数NMG1に第1電動機回転数変更値ΔNMG1を加算して目標回転数を算出し、その目標回転数に第1電動機MG1の回転数NMG1が一致するように第1電動機MG1を制御する。
ステップST104においては、第1電動機MG1の消費電力または出力電力(電気パス量)が上記電気パス許容範囲内に入っているか否かを判定する。具体的には、図10に示す電気パス許容範囲つまり上限閾値及び下限閾値をそれぞれXE(絶対値)とする許容範囲(「0」を含む)内に、上記電気パス量の絶対値が入っているか否かを判定し、その判定結果が肯定判定である場合(|電気パス量|≦閾値)はリターンする。一方、ステップST104の判定結果が否定判定である場合(|電気パス量|>閾値)はステップST105に移行する。
なお、ステップST104の判定処理において、上記電気パス量として第1電動機MG1の消費電力または出力電力を用いているが、他の物理量、例えば第1電動機MG1の制御電流値を電気パス量として用いてもよい。第1電動機MG1の制御電流値とは上記消費電力に対応する駆動電流値(消費電流値)または上記出力電力に対応する発電電流値をいう。
また、ステップST104の判定処理の対象を第1電動機MG1の消費電力または出力電力(電気パス量)としているが、これに替えて、第1電動機MG1の回転数NMG1を対象として判定を行ってもよい。この場合、ステップST104の処理を、図12に示す処理に置き替えればよい。具体的には、第1電動機回転数許容範囲の上限閾値及び下限閾値をそれぞれXNMG1(絶対値)とし、その第1電動機回転速度許容範囲内に第1電動機MG1の回転数NMG1が入っているか否かを判定し、その判定結果が肯定判定である場合(|NMG1|≦閾値)はリターンする。図11のステップST104の判定結果が否定判定である場合(|NMG1|>閾値)はステップST105に移行する。
ステップST105においては、図10に示す関係つまり第1電動機回転数変更値ΔNMG1と電気パス量との関係に基づいて、電気パス量(第1電動機MG1の消費電力または出力電力)から第1電動機回転数変更値ΔNMG1を決定する。その後に、ステップST103に戻る。なお、以上のステップST101〜ST105の各処理は差動制御部112において実行する処理である。
一方、無段変速制御部103は、エンジン走行中において電気式差動部20が差動状態(無段変速状態)である場合に、図9の無段変速部変速比マップを参照して無段変速部30の変速比γCVT(基本変速比)を決定した後、電気式差動部20におけるエンジン10からの出力の伝達効率η20と、無段変速部30における伝達効率ηCVTとの乗算値ηP(以下、「乗算効率ηP」という)を高めるように無段変速部30の変速比γCVTを決定(設定)して変更する。この変速比制御について説明する。
まず、図13に示すような電気式差動部20の変速比γ0に応じて変化する上記変速比γCVTと乗算効率ηPとの関係を予め実験・計算等によって求め、その結果をマップ化した伝達効率乗算値マップが無段変速制御部103に記憶されている。
無段変速制御部103は、電気式差動部20の変速比γ0をエンジン回転数Neと第2電動機MG2の回転数NMG2とから検出し、図13の伝達効率乗算値マップとその検出された変速比γ0とに基づいて現在の無段変速部30の変速比γCVTに対応する乗算効率ηPを把握する。その上で無段変速制御部103は、図13の伝達効率乗算値マップ上でその乗算効率ηPがより高くなるように、図9の無段変速部変速比マップにより決定された無段変速部30の上記基本変速比に対して上記変速比γCVTの補正を行い、その変速比γCVTを決定(設定)して変更する。ここで、図9の無段変速部変速比マップに従って無段変速部30の変速比γCVTが上記基本変速比に設定されることにより、電気式差動部20において、理想的には第1電動機MG1の回転数NMG1が「0」もしくは略「0」になって、伝達効率η20は高められるので、上記基本変速比に対する変速比γCVTの補正は、上記乗算効率ηP(η20×ηCVT)がより高くなるようにすればよいが、専ら無段変速部30の伝達効率ηCVT(以下、「CVT効率ηCVT」という)がより高くなるように設定することがよい。
具体的に、無段変速制御部103は、図9の無段変速部変速比マップから無段変速部30の変速比γCVTを決定した後、図13の伝達効率乗算値マップから現在の電気式差動部20の変速比γ0に対応する伝達効率曲線Lηを選択し、その選択された伝達効率曲線Lηにおいて、現在の無段変速部30の変速比γCVTに対応する乗算効率ηPが、点PMAXで示される最高効率から所定量低い伝達効率下限判定値以下であるか否かを判定する。この伝達効率下限判定値は、乗算効率ηPが充分に高いと見ることができる乗算効率ηPの目標範囲の下限値である。その判定結果が否定判定である場合つまり乗算効率ηPが上記伝達効率下限判定値を超えている場合には、無段変速制御部103は、現状の無段変速部30の変速比γCVTを維持する。
一方、上記判定結果が肯定判定である場合つまり乗算効率ηPが伝達効率下限判定値以下である場合には、無段変速制御部103は、最高効率を示す点PMAX(図13参照)に対応した変速比γCVT(目標変速比)と現状の変速比γCVTとの差を求め、その変速比差を変速比γCVTの補正量である変速比変更値ΔγCVTとし、乗算効率ηPが高くなる方向つまり上記点PMAXに近づく方向に無段変速部30の変速比γCVTを変速比変更値ΔγCVTだけ補正する。
このとき、無段変速部30の変速比γCVTが大きく変動しないようにするために、変速比変更値ΔγCVTの上限値を制限する補正ガード値が予め設定されており、無段変速制御部103は変速比変更値ΔγCVT(絶対値)がその補正ガード値を超えない範囲内で無段変速部30の変速比γCVTを補正する。従って、無段変速制御部103は、図13から求めた変速比変更値ΔγCVTの絶対値が補正ガード値を超えた場合には、その絶対値が補正ガード値にまで小さくするガード処理を施した上で、無段変速部30の変速比γCVTの補正をする。例えば図13に示すように、無段変速部30の変速比γCVTが変速比変更値ΔγCVTだけ一度補正されただけでは、その補正後の乗算効率ηPは伝達効率下限判定値を超えないことがある。無段変速制御部103は、無段変速部30の変速比γCVTの補正をした場合には、再び乗算効率ηPが伝達効率下限判定値以下であるか否かを判定する。このように無段変速制御部103は、乗算効率ηPについての判定処理と無段変速部30の変速比γCVTの補正処理とを繰り返す。
無段変速制御部103が無段変速部30の変速比γCVTの補正をすることは、上述したように、専ら無段変速部30のCVT効率ηCVTがより高くなるようにすることでもあるので、この点を考慮し、無段変速制御部103での判定処理の対象を乗算効率ηPとするのではなく、CVT効率ηCVTとしてもよい。この場合、無段変速制御部103は、図9に示すマップ、つまり縦軸を無段変速部30のCVT効率ηCVTとした無段変速部伝達効率マップを用いずに、現在の無段変速部30の変速比γCVTに対応するCVT効率ηCVTが、上記点PMAX(図13参照)で示される最高効率から所定量だけ低いCVT効率下限判定値以下であるか否かを判定して補正を行う。
−効率制御例(2)−
次に、エンジン走行中において電気式差動部20が差動状態(無段変速状態)である場合に上記乗算効率ηPを向上させるための制御について図14のフローチャートを参照して説明する。図14の制御ルーチンはECU100において所定時間(例えば数msec乃至数十msec程度)毎に繰り返して実行される。
まず、ステップST201において、無段変速部30の変速比γCVTを補正する際の補正量である変速比変更値ΔγCVTを初期化する。具体的には、変速比変更値ΔγCVTを「0」に設定する。
ステップST202では、出力軸回転数センサ(図4参照)の出力信号から算出される車速Vに基づいて、図9の無段変速部変速比マップを参照して無段変速部30の変速比γCVT(基本変速比)を決定する。
ステップST203においては、乗算効率ηPが高くなる方向、つまり、図13において点PMAXに近づく方向となるように、無段変速部30の変速比γCVTを、後述するステップST205及びST206において設定変更される変速比変更値ΔγCVTだけ補正する。具体的には、目標とされる無段変速部30の変速比γCVTが、現在の変速比γCVT(無段変速部30の入力軸回転数N31/出力軸回転数Nout)に変速比変更値ΔγCVTを加算した変速比に設定変更され、その目標とされる変速比γCVTになるように、上述した無段変速部30のパワーローラ36の傾転角制御を行う。
ステップST204においては、図13の伝達効率乗算値マップから現在の電気式差動部20の変速比γ0に対応する伝達効率曲線Lηを選択し、その選択した伝達効率曲線Lηにおいて、現在の無段変速部30の変速比γCVTに対応する乗算効率ηPが上記伝達効率下限判定値以下であるか否かを判定する。ここで、本来的には、乗算効率ηPが図13の伝達効率乗算値マップでの上記最高効率に達しているか否かを判定すべきであるが、この例では、制御負荷軽減のために上記伝達効率下限判定値を用いて判定処理を行う。
このステップST204の判定結果が肯定判定である場合つまり上記乗算効率ηPが伝達効率下限判定値以下である場合はステップST205に進み、ステップST204の判定結果が否定判定である場合はリターンする。
なお、ステップST204の判定処理の対象を乗算効率ηPとしているが、これに替えて無段変速部30のCVT効率ηCVTを用いて判定処理を行ってもよい。この場合、ステップST204は図15に示す処理に置き替えればよい。具体的には、図13に示すマップつまり縦軸を無段変速部30のCVT効率ηCVTとした無段変速部伝達効率マップに基づいて、現在の無段変速部30の変速比γCVTに対応するCVT効率ηCVTがCVT効率下限判定値以下であるか否を判定し、その判定結果が肯定判定(CVT効率η≦下限判定値)である場合はリターンする。ステップST204の判定結果が否定判定(CVT効率η>下限判定値)である場合はステップST205に移行する。
ステップST205においては、最高効率を示す点PMAX(図13参照)に対応した変速比γCVT(目標変速比)と現状の変速比γCVTとの差を求めて変速比変更値ΔγCVTを決定する。
そして、ステップST206においては、変速比変更値ΔγCVTに対して上記ガード処理を実行する。具体的には、ステップST205で決定された変速比変更値ΔγCVTの絶対値が予め設定された補正ガード値を超えないように変速比変更値ΔγCVTを補正する。なお、以上のステップST201〜206の各処理は無段変速制御部103が実行する処理である。
以上の制御を実施することで、以下の効果(A1)〜(A7)を奏することができる。
(A1)図9に基づいて無段変速部30の変速比γCVTを決定すると、図7に示す燃焼効率最適線LEFにエンジン動作点PEGが沿うように無段変速部30の変速比γCVTを設定すると言えるので、エンジン10を最適燃費で運転することが可能であり、エンジン10の動作状態に起因した燃費の悪化を抑制できる。
また、無段変速部30が電気式差動部20と駆動輪3との間の動力伝達経路の一部を構成しているので、第1電動機MG1の回転数NMG1を調整せずに無段変速部30の変速比γCVTを変化させることにより、エンジン回転数Neが車速Vに拘束されないようにすることが可能であり、電気式差動部20を、伝達効率η20が充分に高い所定の差動状態に維持しつつ、燃焼効率最適線LEFにエンジン動作点PEGが沿うようにエンジン10を運転できる。
(A2)電気式差動部20におけるエンジン10からの出力の伝達効率η20を高めるように第1電動機MG1の回転数NMG1を制御して電気式差動部20の変速比γ0を決定して変更しているので、電気式差動部20の伝達効率η20低下による燃費の悪化を抑制できる。
また、第1電動機MG1の電力を「0」に近づけることによって電気式差動部20の伝達効率η20を高めているので、例えば電圧一定であればその制御電流値を検出することにより伝達効率η20を高めることを容易に実施し得る。なお、第1電動機MG1の回転数NMG1を「0」に近づけることによって電気式差動部20の伝達効率η20を高める場合には、第1電動機MG1の回転数NMG1を検出することにより伝達効率η20を高めることを容易に実施し得る。
(A3)電気式差動部20におけるエンジン10からの出力の伝達効率η20と、無段変速部30における伝達効率ηCVTとの乗算値である乗算効率ηPを高めるように、無段変速部30の変速比γCVTを決定(設定)して変更するので、電気式差動部20または無段変速部30の伝達効率低下による燃費の悪化を抑制できる。
(A4)上記乗算効率ηP(CVT効率ηCVT)がより高くなるように、図9の無段変速部変速比マップにより決定された無段変速部30の基本変速比に対して変速比γCVTの補正を行い、その変速比γCVTを決定して変更するので、図9による基本変速比の決定によって乗算効率ηPがある程度高い状態から上記補正が開始されることとなり、効率的に無段変速部30の変速比γCVTを補正し設定できる。
(A5)現在の無段変速部30の変速比γCVTに対応するCVT効率ηCVTが点PMAX(図13参照)で示される最高効率から所定量低いCVT効率下限判定値以下であるか否かを判定し、その判定結果が肯定判定である場合には、点PMAXに近づく方向に無段変速部30の変速比γCVTを変速比変更値ΔγCVTだけ補正するので、充分に無段変速部30の伝達効率γCVTが高くなったところで上記補正が終了し制御負荷を軽減できる。
(A6)予め上記補正ガード値が設けられており、無段変速制御部103は変速比変更値ΔγCVT(絶対値)がその補正ガード値を超えない範囲内で無段変速部30の変速比γCVTを補正するので、大幅に無段変速部30の変速比γCVTが変化することが回避され、乗員に違和感を生じさせないようすることが可能である。
(A7)図13に示すような伝達効率乗算値マップに基づいて、無段変速部30の基本変速比に対して変速比γCVTの補正を行い、その変速比γCVTを決定(設定)して変更するので、いちいち上記乗算効率ηPを算出する場合と比較して制御負荷を軽減できる。
−第2実施形態−
次に、ECU100の制御機能の要部の他の例を図16を参照して説明する。
この例は、図6に示した例(第1実施形態)に対し、エンジン燃焼方式制御部104とエンジン燃焼方式判定部105とが追加されている点が異なる。以下、その相違点について主に説明する。
この例のエンジン10は、理論空燃比の混合気を燃焼させるストイキ燃焼方式と、理論空燃比よりも燃料が希薄な混合気を燃焼させるリーン燃焼方式との複数の燃料消費特性が異なる燃焼方式を備えており、走行状態に適した燃焼方式が採用される。
図16のエンジン燃焼方式制御部104は、スロットル開度、エンジン回転数Neなどからエンジン負荷を推定し、予め実験的に設定された条件に従ってエンジン10の燃焼方式を、エンジン負荷に応じてストイキ燃焼方式またはリーン燃焼方式に切り替える。
この例では、エンジン10の燃焼方式が複数あるので、ハイブリッド制御部101は、燃焼効率最適線LEFとして、図9に示すものを用いるのではなく、ストイキ燃焼方式とリーン燃焼方式とのそれぞれの燃焼方式に応じた燃焼効率最適線、例えば図17に示すエンジン10の燃焼効率最適線LEF(最適燃費率曲線LEF、燃費マップ)を用いる。
そして、ハイブリッド制御部101は、図17においてエンジン10の燃焼方式に応じた燃焼効率最適線LEFを選択した上で、第1実施形態と同様にその選択された燃焼効率最適線LEFに沿ってエンジン10が作動するように電気式差動部20の変速比γ0を制御する。エンジン燃焼方式判定部105は、エンジン10の燃焼方式がストイキ燃焼方式とリーン燃焼方式とのいずれの方式に切り替えられているかを判定する。
無段変速制御部103は、無段変速部30の変速を行う変速制御手段として機能し、エンジン走行中において電気式差動部20が差動状態(無段変速状態)である場合には、図18の無段変速部変速比マップから車速Vに基づいて無段変速部30の変速比γCVTを決定(設定)する。
なお、図18に示す無段変速部変速比マップは、第1実施形態と同様に、車速Vから変速比γCVTが決定され燃焼効率最適線LEF上のエンジン動作点PEGでエンジン10が作動させられた場合に、理想的には第1電動機MG1の回転数NMG1が「0」もしくは略「0」、つまり、図3の共線図で第1電動機MG1の回転停止を示すメカニカルロック点になるように、車速Vと変速比γCVTとの関係をストイキ燃焼方式及びリーン燃焼方式について、その各変速比曲線(2本の変速比曲線)を、予め実験・計算等により求めてマップ化したものであって、無段変速制御部103に記憶されている。
この図18に示す無段変速部変速比マップにて無段変速部30の変速比γCVTが決定された場合、図19の共線図に示すように、ストイキ燃焼方式またはリーン燃焼方式のいずれの燃焼方式でも、第1電動機MG1の回転数NMG1がメカニカルロック点からずれないように運転され、エンジン回転数Neはそれぞれの燃焼方式の燃焼効率最適線LEFに沿ったエンジン動作点PEGに対応した異なった回転速度になる。なお、図19には、電気式差動部20の第1クラッチC1のみを係合した、ある特定の動力伝達状態における共線図を示している。
このように無段変速制御部103は、エンジン10の燃焼方式に応じて2本の変速比曲線からいずれかを選択する必要があるので、エンジン燃焼方式判定部105によりエンジン10がストイキ燃焼方式に切り替えられていると判定された場合には、図18の無段変速部変速比マップからストイキ燃焼方式の変速比曲線を選択し、エンジン燃焼方式判定部105によりエンジン10がリーン燃焼方式に切り替えられていると判定された場合には、図18の無段変速部変速比マップからリーン燃焼方式の変速比曲線を選択する。
そして、無段変速制御部103は、車速V及びその選択された変速比曲線に基づいて無段変速部30の変速比γCVTを決定(設定)する。言い換えると、上記選択された変速比曲線は現在の燃焼方式に応じた燃焼効率最適線LEF上のエンジン動作点PEGでエンジン10が作動させられた場合の車速Vと変速比γCVTとの関係であるので、無段変速制御部103は現在の燃焼方式に応じた燃焼効率最適線LEFに基づいて無段変速部30の変速比γCVTを決定(設定)する。
次に、エンジン走行中において電気式差動部20が差動状態(無段変速状態)である場合に、エンジン10の燃焼方式に応じて無段変速部30の変速比γCVTを決定する制御の一例について図20のフローチャート参照して説明する。図20の制御ルーチンはECU100において所定時間(例えば数msec乃至数十msec程度)毎に繰り返して実行される。
まず、エンジン燃焼方式判定部105での処理に対応するステップST401においては、エンジン10の燃焼方式がリーン燃焼方式に切り替えられているか否かを判定し、その判定結果が肯定判定である場合(リーン燃焼方式に切り替えられている場合)はステップST402に進む。ステップST401の判定結果が否定判定である場合(エンジン10の燃焼方式がストイキ燃焼方式に切り替えられている場合)はステップST403に進む。
ステップST402では、図18の無段変速部変速比マップからリーン燃焼方式の変速比曲線を選択する。ステップST403では、図18の無段変速部変速比マップからストイキ燃焼方式の変速比曲線を選択する。
次に、ステップST404においては、ステップST402またはステップST403にて選択された変速比曲線が無段変速部30の基本変速比を決定するための変速比曲線としてメモリにストアされる。そして、その選択された変速比曲線及び車速Vに基づいて無段変速部30の変速比γCVTが決定される。なお、上記ステップST402〜ST404の各処理は無段変速制御部103が実行する処理である。
以上のように、この例では、エンジン10の燃焼方式に応じて選択された変速比曲線(図18参照)と車速Vとに基づいて無段変速部30の変速比γCVTを決定している。つまり現在の燃焼方式に応じた燃焼効率最適線LEF(図17参照)に基づいて無段変速部30の変速比γCVTを決定しているので、エンジン10の燃焼方式が変更されても、その燃焼方式に応じて無段変速部30の変速比γCVTが決定(設定)され、それぞれの燃焼方式に応じた最適燃費を実現するように、エンジン10が運転され電気式差動部20の伝達効率η20が向上して車両全体として燃費低下を抑制することが可能である。
また、この例においても、上記した第1実施形態と同様に、車速Vが高速となって無段変速部30の変速比γCVTが上限に達したときには、電気式差動部20のクラッチ係合を第1切替クラッチC1から第2切替クラッチC2へと切り替えて、電気式差動部20の変速比をロー[有段ハイ・ロー]からハイ[有段ハイ・ハイ]に切り替えることによって、エンジン10の動作点を燃費最適点にできる車速域を広げることができ、高速燃費の向上を図ることができる。さらに、この例においても、上記した効果(A1)〜(A7)も達成することができる。
なお、この例では、エンジン10の燃焼方式を、リーン燃焼方式とストイキ燃焼方式との2方式としているが、エンジン10の燃焼方式は3方式以上であってもよい。
また、上記した第2実施形態では、エンジン10の燃焼方式が変更される場合について説明しているが、エンジン10の運転方式であるエンジン10の燃焼方式が変更される場合のみならず、その他の運転方式が変更される場合にも同様の制御作動で対応し得る。例えば、軽負荷時にはエンジン10が4気筒で駆動され高負荷時には8気筒で駆動されるような可変気筒の運転方式を備えたエンジン10にも上記制御作動で同様に対応し得る。
−第3実施形態−
図21は駆動装置の他の例を示すスケルトン図である。
この例の駆動装置1は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型のハイブリッド車両に用いられる駆動装置である点が上記した第1実施形態と異なる。その他の構成つまりエンジン10、電気式差動部20(第1切替クラッチC1及び第2切替クラッチC2を含む)、及び、無段変速部(トロイダル式CVT)30などの構成は上記した第1実施形態と基本的に同じである。
この例において、電気式差動部20の差動部出力軸22と無段変速部30の入力軸31とは、出力ギヤ23と入力ギヤ38との噛み合いによって連結されている。また、無段変速部30の出力ギヤ37にドリブンギヤ301が噛み合っている。ドリブンギヤ301はデフドライブギヤ302に連結されており、このデフドライブギヤ302が、デファレンシャル装置2に連結されたデフリングギヤ210に噛み合っている。
この例においても、電気式差動部20の変速比γ0と無段変速部30の変速比γCVTとによって駆動装置1の総合変速比γTを設定することができる。さらに、上記した第1実施形態と同様に、車速Vが高速となって無段変速部30の変速比γCVTが上限に達したときには、電気式差動部20のクラッチ係合を第1切替クラッチC1から第2切替クラッチC2へと切り替えて、電気式差動部20の変速比をロー[有段ハイ・ロー]からハイ[有段ハイ・ハイ]に切り替えることによって、駆動装置1の総合変速比γTを増加させることが可能となり、これによってエンジン10の動作点を燃費最適点にできる車速域を広げることができ、高速燃費の向上を図ることができる。なお、この例においても、上記した効果(A1)〜(A7)も達成することができる。
−第4実施形態−
図22は駆動装置の別の例を示すスケルトン図である。
この例の駆動装置1は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型のハイブリッド車両に用いられる駆動装置である点が上記した第1実施形態と異なる。その他の構成つまりエンジン10、電気式差動部20(第1切替クラッチC1及び第2切替クラッチC2を含む)、及び、無段変速部(トロイダル式CVT)30などの構成は上記した第1実施形態と基本的に同じである。
この例において、電気式差動部20の差動部出力軸22と無段変速部30の入力軸31とは、出力ギヤ23と入力ギヤ38との噛み合いによって連結されており、その無段変速部30の出力ギヤ37が、デファレンシャル装置2に連結されたデフリングギヤ210に噛み合っている。
この例においても、電気式差動部20の変速比γ0と無段変速部30の変速比γCVTとによって駆動装置1の総合変速比γTを設定することができる。さらに、上記した第1実施形態と同様に、車速Vが高速となって無段変速部30の変速比γCVTが上限に達したときには、電気式差動部20のクラッチ係合を第1切替クラッチC1から第2切替クラッチC2へと切り替えて、電気式差動部20の変速比をロー[有段ハイ・ロー]からハイ[有段ハイ・ハイ]に切り替えることによって、駆動装置1の総合変速比γTを増加させることが可能となり、これによってエンジン10の動作点を燃費最適点にできる車速域を広げることができ、高速燃費の向上を図ることができる。なお、この例においても、上記した効果(A1)〜(A7)も達成することができる。
−第5実施形態−
図23は駆動装置の別の例を示すスケルトン図である。
この例の駆動装置1は、上記した第1実施形態に対し無段変速部の構成及び車両搭載形式が異なる。具体的には、この例の駆動装置1は、ハイブリッド車両において横置きされるFF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に適用されるものであって、無段変速部500が、変速比γCVT(γCVT=無段変速部500の入力軸501の回転数N501/出力軸12の回転数Nout)を機械的作用により連続的に変化させることができるベルト式CVTである点に特徴がある。なお、エンジン10及び電気式差動部20(第1切替クラッチC1及び第2切替クラッチC2を含む)などの構成は上記した第1実施形態と基本的に同じである。
無段変速部500は、第1軸心RC1(無段変速部500の入力軸501)上に設けられた入力側のプライマリプーリ510と、第2軸心RC2(出力軸12)上に入力側のプライマリプーリ510と並列に設けられた出力側のセカンダリプーリ520と、これらプライマリプーリ510とセカンダリプーリ520とに巻き掛けられた金属製のベルト530とを備えている。無段変速部500の入力軸501は電気式差動部20の出力軸22に連結されている。また、無段変速部500の出力軸(駆動装置1の出力軸12)は、デフドライブギヤ302及びデフリングギヤ210を介してデファレンシャル装置2に連結されている。
プライマリプーリ510は、有効径が可変な可変プーリであって、入力軸501に固定された固定シーブ511と、入力軸501に軸方向のみの摺動が可能な状態で配設された可動シーブ512によって構成されている。セカンダリプーリ520も同様に有効径が可変な可変プーリであって、出力軸12に固定された固定シーブ521と、出力軸12に軸方向のみの摺動が可能な状態で配設された可動シーブ522によって構成されている。
プライマリプーリ510の可動シーブ512側には、固定シーブ511と可動シーブ512との間のV溝幅を変更するための油圧アクチュエータ513が配置されている。また、セカンダリプーリ520の可動シーブ522側にも、固定シーブ521と可動シーブ522との間のV溝幅を変更するための油圧アクチュエータ523が配置されている。
以上の構造の無段変速部(ベルト式CVT)500において、プライマリプーリ510の油圧アクチュエータ513の油圧を制御することにより、プライマリプーリ510及びセカンダリプーリ520の各V溝幅が変化してベルト530の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γCVT(γCVT=Nin/Nout)が連続的に変化する。また、セカンダリプーリ520の油圧アクチュエータ523の油圧は、ベルト滑りが生じない所定の挟圧力でベルト530が挟圧されるように制御される。これらの油圧制御は、例えば上記したECU100及び油圧制御回路202(図6参照)などによって実行される。
そして、このようにベルト式CVTで構成された無段変速部500を備えた駆動装置1においても、電気式差動部20の変速比γ0と無段変速部(ベルト式CVT)500の変速比γCVTとによって駆動装置1の総合変速比γTを設定することができる。さらに、上記した第1実施形態と同様に、車速Vが高速となって無段変速部500の変速比γCVTが上限に達したときには、電気式差動部20のクラッチ係合を第1切替クラッチC1から第2切替クラッチC2へと切り替えて、電気式差動部20の変速比をロー[有段ハイ・ロー]からハイ[有段ハイ・ハイ]に切り替えることによって、駆動装置1の総合変速比γTを増加させることが可能となり、これによってエンジン10の動作点を燃費最適点にできる車速域を広げることができ、高速燃費の向上を図ることができる。
また、この例によれば、第1実施形態に対し無段変速部500の機械的構造が異なるだけであるので、上記した第1実施形態の効果(A1)〜(A7)も同様に達成することができる。
−他の実施形態−
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
以上の例では、電気式差動部20の4つの回転要素RE1〜RE4を、図3の共線図に示すように、第1回転要素RE1、第2回転要素RE2、第3回転要素RE3、第4回転要素RE4の順番で配置し、第1回転要素RE1には第1電動機MG1が連結され、第2回転要素RE2にはエンジン10が連結され、第3回転要素には第2電動機MG2が連結され、第3回転要素RE3と第4回転要素RE4とに無段変速部30の入力軸が連結可能とされているが、本発明はこれに限られることなく、例えば、図24の共線図に示すように、第3回転要素RE3ではなく第4回転要素RE4に第2電動機MG2が連結された電気式差動部が適用された駆動装置にも適用可能である。
以上の例では、エンジン10と電気式差動部20とは直結されているが、エンジン10が電気式差動部20にクラッチ等の係合要素を介して連結されていてもよい。
以上の例では、エンジン10は入力軸11と直結されていたが、例えばギヤ、ベルト等を介して作動的に連結されておればよく、共通の軸心上に配置される必要もない。
以上の例では、第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、入力軸11に同心に配置されて第1電動機MG1は第1サンギヤS1に連結され、第2電動機MG2は第2キャリヤCA2及び第1リングギヤR1に連結されているが、必ずしもそのように配置される必要はなく、例えばギヤ、ベルト、減速機等を介して作動的に、第1電動機MG1は第1サンギヤS1に連結され、第2電動機MG2は第2キャリヤCA2及び第1リングギヤR1に連結されていてもよい。
なお、以上の各実施形態において、切替ブレーキB0の構成は省略することは可能である。
本発明を適用する駆動装置の概略構成を示すスケルトン図である。 電気式差動部の作動係合表である。 図1の駆動装置において各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表す共線図である。 図1の駆動装置を制御するECUの入力・出力信号を説明する図である。 シフト操作装置のシフトゲートを示す図である。 図1の駆動装置を制御するECUの要部構成を示すブロック図である。 エンジンの燃焼効率最適線(燃費マップ)の一例を示す図である。 電気式差動部の差動状態切替線図の一例と、エンジン走行とモータ走行とを切り替えるためのエンジン走行領域とモータ走行領域との境界線を有する駆動力源切替線図の一例とを示す図である。 無段変速部変速比マップの一例を示す図である。 第1電動機回転数変更値ΔNMG1と電気パス量との関係を示す図である。 エンジン走行中において電気式差動部が差動状態(無段変速状態)である場合の電気式差動部の伝達効率を向上させる制御の一例を示すフローチャートである。 図11のステップST104を置換するステップを示す図である。 無段変速部制御手段が無段変速部の変速比を補正するために用いる無段変速部の変速比と伝達効率との関係を示す図である。 エンジン走行中において電気式差動部が差動状態(無段変速状態)である場合に乗算効率を向上させるための制御の一例を示すフローチャートである。 図14のステップST204を置換するステップを示す図である。 図1の駆動装置を制御するECUの制御機能の要部を示すブロック図である。 図1の駆動装置に連結されたエンジンの燃焼効率最適線の他の例を示す図である。 無段変速部変速比マップの他の例を示す図である。 図1の駆動装置に連結されたエンジンの燃焼方式が切り替えられた場合の各回転要素の回転速度の相対関係を例示した共線図である。 エンジンの燃焼方式に応じて無段変速部の変速比を決定する制御作動を説明するフローチャートである。 本発明の駆動装置の他の例の概略構成を示すスケルトン図である。 本発明の駆動装置の別の例の概略構成を示すスケルトン図である。 本発明の駆動装置の別の例の概略構成を示すスケルトン図である。 本発明の駆動装置の別の例の各回転要素の回転速度の相対関係を示す共線図である。
符号の説明
1 駆動装置
10 エンジン(駆動力源)
11 入力軸
12 出力軸
20 電気式差動部(電機式差動変速部)
21 差動機構
211 第1遊星歯車装置
S1 第1サンギヤ
CA1 第1キャリヤ
R1 第1リングギヤ
212 第2遊星歯車装置
S2 第2サンギヤ
CA2 第2キャリヤ
R2 第2リングギヤ
22 出力軸
MG1 第1電動機
MG2 第2電動機
B0 切替ブレーキ(第3係合装置)
C1 第1切替クラッチ(第1係合装置)
C2 第2切替クラッチ(第2係合装置)
30 無段変速部
100 ECU

Claims (14)

  1. 駆動力源と、前記駆動力源に連結された電気式差動変速部と、無段変速部とを備え、前記電気式差動変速部の変速比と無段変速部の変速比とによって総合変速比が設定される車両用駆動装置であって、
    前記電気式差動変速部は複数の歯車からなり、第1の差動状態と第2の差動状態との切替えが可能であるとともに、それら第1の差動状態と第2の差動状態とにおいて前記電気式差動変速部の出力と前記無段変速部の入力軸との連結関係が変更されるように構成されていることを特徴とする車両用駆動装置。
  2. 請求項1記載の車両用駆動装置において、
    前記第1の差動状態と第2の差動状態とにおいて前記駆動力源と前記電気式差動変速部との連結関係は変更されないことを特徴とする車両用駆動装置。
  3. 請求項1記載の車両用駆動装置において、
    前記第1の差動状態と第2の差動状態とにおいて前記電気式差動変速部と電動機との連結関係は変更されないことを特徴とする車両用駆動装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両用駆動装置において、
    前記第1の差動状態と第2の差動状態とは車速に基づいて切り替えられることを特徴とする車両用駆動装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両用駆動装置において、
    前記第1の差動状態と第2の差動状態とは要求駆動トルクに基づいて切り替えられることを特徴とする車両用駆動装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両用駆動装置において、
    前記電気式差動変速部は、第1電動機及び第2電動機と差動機構とを備え、入力軸回転数と出力軸回転数との差動状態が制御されることを特徴とする車両用駆動装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の車両用駆動装置において、
    前記無段変速部は機械式無段変速部であることを特徴とする車両用駆動装置。
  8. 請求項1〜7記載の車両用駆動装置において、
    前記電気式差動変速部は、第1遊星歯車装置と第2遊星歯車装置とを備え、前記第1遊星歯車装置のキャリヤと前記第2遊星歯車装置のリングギヤとが互いに連結され、前記第1遊星歯車装置のリングギヤと前記第2遊星歯車装置のキャリヤとが互いに連結されていることを特徴とする車両用駆動装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載の車両用駆動装置において、
    前記電気式差動変速部と前記無段変速部とを選択的に係合する第1係合装置及び第2係合装置を備え、前記第1係合装置の係合または解放と、前記第2係合装置の係合または解放とを組み合わせることによって、前記電気式差動変速部を、前記第1の差動状態、前記第2の差動状態、または、非差動状態に選択的に切り替えることを特徴とする車両用駆動装置。
  10. 駆動力源と、前記駆動力源に連結された電気式差動変速部と、無段変速部とを備え、前記電気式差動変速部の変速比と無段変速部の変速比とによって総合変速比が設定される車両用駆動装置であって、
    前記電気式差動変速部と前記無段変速部とを選択的に係合する第1係合装置と第2係合装置とを備えているとともに、前記電気差動変速部は、第1電動機及び第2電動機と、第1遊星歯車装置及び第2遊星歯車装置とを有し、
    前記第1遊星歯車装置及び第2遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ及びリングギヤの一部が互いに連結されることによって、第1回転要素、第2回転要素、第3回転要素及び第4回転要素の4つの回転要素が構成されており、前記第1回転要素は前記第1電動機に連結され、前記第2回転要素は前記駆動力源に連結され、前記第3回転要素は前記第2電動機に連結されているとともに、
    前記第1係合装置は前記第3回転要素と前記電気式差動変速部の出力軸とを係合することが可能であり、前記第2係合装置は前記第4回転要素と前記電気式差動変速部の出力軸とを係合することが可能であり、前記第1係合装置及び第2係合装置の両方を係合状態とすることにより前記電気式差動変速部を非差動状態にすることが可能であることを特徴とする車両用駆動装置。
  11. 請求項10記載の車両用駆動装置において、
    前記4つの回転要素は、第1回転要素、第2回転要素、第3回転要素、第4回転要素の順番で配置されていることを特徴とする車両用駆動装置。
  12. 請求項10または11記載の車両用駆動装置において、
    前記第1遊星歯車装置は第1サンギヤ、第1キャリヤ及び第1リングギヤを備え、
    前記第2遊星歯車装置は第2サンギヤ、第2キャリヤ及び第2リングギヤを備え、
    前記第1遊星歯車装置の第1サンギヤは前記第1電動機に連結され、
    前記第1遊星歯車装置の第1キャリヤは、前記第2遊星歯車装置の第2リングギヤと前記駆動力源とに連結され、
    前記第1遊星歯車装置の第1リングギヤは、前記第2遊星歯車装置の第2キャリアと前記第2電動機とに連結されていることを特徴とする車両用駆動装置。
  13. 請求項10〜12のいずれか1つに記載の車両用駆動装置において、
    前記第1係合装置及び第2係合装置と当該車両用駆動装置の出力軸との間に前記無段変速部が設けられており、前記電気式差動変速部の出力軸と前記無段変速部の入力軸とが前記第1係合装置または/及び第2係合装置を介して連結されることを特徴とする車両用駆動装置。
  14. 請求項9〜13のいずれか1つに記載の車両用駆動装置において、
    前記第1電動機と一体回転する部材を非回転部材に選択的に係合するための第3係合装置を備えていることを特徴とする車両用駆動装置。
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