JP2013144829A - 樹枝状金属粉、樹枝状金属粉を含む導電ペースト、電磁波シールド材、放熱材、および樹枝状金属粉の製造方法 - Google Patents

樹枝状金属粉、樹枝状金属粉を含む導電ペースト、電磁波シールド材、放熱材、および樹枝状金属粉の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電解法由来ではない樹枝状金属粉、導電ペースト、電磁波シールド材、放熱材、および電解法によらずに樹枝状金属粉を形成することのできる樹枝状金属粉の製造方法を提供する。
【解決手段】樹枝状金属粉の製造方法では、アスコルビン酸イオンおよび低級アルコールを含む水溶液と、金属イオンを含む水溶液とを混合する。これにより、主枝と、主枝から伸びる側枝とを有する樹枝状金属粉を得ることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、樹枝状金属粉、樹枝状金属粉を含む導電ペースト、電磁波シールド材、放熱材、および樹枝状金属粉の製造方法に関する。
近年、携帯機器等の小型化により電磁波シールド材がますます薄くなる傾向にある。このため、電磁波シールド材の屈曲耐性または変形耐性の向上が求められている。
電磁波シールド材は導電フィラーを含む導電層を有する。そして、電磁波シールド材の薄膜化要求により導電層を薄くする必要がある。導電層の薄膜化は、電磁波シールド材の屈曲または変形により導電層内の導電フィラー同士の離間を生じさせるため、従来の導電層よりも導電性が低下するおそれがある。このため、屈曲または変形に伴う導電性低下が小さい導電層が要求されている。
また、導電ペーストにより回路形成されているフレキシブル基板においても同様の要求がある。すなわち、この種のフレキシブル基板において、屈曲または変形に伴う導電低下率が小さい導電パターンが要求されている。
また、電子部品に塗布または接着される放熱材についても同様の要求がある。すなわち、放熱材の薄膜化により、電子部品の実装基板の屈曲または変形に伴う放熱材内の放熱フィラー同士の離間が発生しやすくなる。このため、従来の放熱材よりも放熱性が低下するおそれがある。このような事情により、実装基板の屈曲または変形に対し、放熱性低下が小さい放熱材が要求されている。
電磁波シールド材の導電層、および導電パターンの形成用の導電ペーストに含まれる導電フィラーと、電子部品の放熱材の放熱フィラーとは、同種の金属フィラーが用いられている。金属フィラーは導電性および伝熱性を兼ね備えるためである。従って、電磁波シールド材の導電層の薄膜化によって生じる要求、導電パターンの屈曲性に対する要求、および放熱材に対する要求は、金属フィラーに対する要求に集約される。
上記要求を解決する金属フィラーとして、導電フィラー同士が互いに絡まりやすい樹枝状の金属粉の採用が検討されている。例えば、特許文献1によれば、電解法により樹枝状金属粉を形成することができる。
特開平9−125110号公報
しかし、電解法では電解設備を必要とする。このため、簡易な方法で樹枝状金属粉を形成することができる製造方法が検討されている。
また、電解法では、樹枝状金属粉の製造時に消費する電気エネルギが大きいため、省エネの観点から、電解法由来でない樹枝状金属粉、電解法由来でない導電フィラーを有する導電ペースト、電磁波シールド材および放熱材が要求されている。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電解法由来ではない樹枝状金属粉、導電ペースト、電磁波シールド材、放熱材、および電解法によらずに樹枝状金属粉を形成することのできる樹枝状金属粉の製造方法を提供することにある。
(1)請求項1に記載の発明は、アスコルビン酸イオンおよび低級アルコールを含む水溶液と、金属イオンを含む水溶液とを混合することを特徴とする樹枝状金属粉の製造方法である。
(2)請求項2に記載の発明は、アスコルビン酸イオンを含む水溶液と、金属イオンおよび低級アルコールを含む水溶液とを混合することを特徴とする樹枝状金属粉の製造方法である。
本発明では、還元剤としてアスコルビン酸イオンを用いる。そして、アスコルビン酸イオンと低級アルコールとの存在下で金属イオンを還元する。低級アルコールと水分子との水素結合により構築される溶媒構造は金属析出態様を制御する。低級アルコール溶媒中または水溶媒中では球状金属粒子が析出するが、水および低級アルコールの混合溶媒中では、樹枝状金属粉が析出する。この製造条件により形成される樹枝状金属粉は、主枝および側枝を有する。すなわち、従来困難とされた電解法由来ではない樹枝状金属粉を提供することができる。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の樹枝状金属粉の製造方法において前記低級アルコールとして炭素数3以下のアルコールを用いることを要旨とする。
樹枝状金属粉の製造方法において、アルコールの炭素数が小さいとき、主枝および側枝の成長が抑制される。本発明では、炭素数3以下のアルコールを用いるため、炭素数4以上のアルコールを用いる場合と比較して、主枝および側枝の太さを小さくすることができる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の樹枝状金属粉の製造方法において、前記低級アルコールとして、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メチル−1−プロパノール、エチレングリコール、グリセリンの群から選択される少なくとも1つを用いることを要旨とする。これらの低級アルコールを用いることにより主枝および側枝を有する樹枝状金属粉を形成することができる。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹枝状金属粉の製造方法において、前記アスコルビン酸イオンのモル量と前記金属イオンのモル量とは等しいことを要旨とする。
アスコルビン酸イオンの濃度と金属イオンの濃度とが異なるとき金属析出の速度が変化する。金属析出の速度が大きいとき、樹枝状金属粉の形状は歪になる。本発明では、アスコルビン酸イオンのモル量と金属イオンのモル量を等しくする。これにより、金属析出速度が過大となることを抑制する。すなわち、この構成により、主枝と側枝とを有する樹枝状金属粉の収率を大きくすることができる。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹枝状金属粉の製造方法において、前記金属イオンは、銀イオン、銅イオン、パラジウムイオン、金イオン、および白金イオンの群から選択される少なくとも1つであることを要旨とする。
銀イオン、銅イオン、パラジウムイオン、金イオン、および白金イオンは、他の金属イオンに比べてアスコルビン酸イオンにより容易に還元される。このため、これら金属の樹枝状金属粉を得ることができる。
(7)請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹枝状金属粉の製造方法において、アスコルビン酸イオン、低級アルコール、および金属イオンを含む混合水溶液における低級アルコールおよび水の質量を溶媒質量として、前記低級アルコールとして、メタノールもしくはエタノール、またはこれらアルコールの混合物を用いて、前記低級アルコールの濃度を前記溶媒質量に対して25〜75質量%とすることを要旨とする。
低級アルコールの濃度によって樹枝状金属粉の主枝の外径の大きさが変わる。具体的には、低級アルコールの濃度が全溶媒に対して100質量%に近くなると、主枝の外径が大きくなる。また、低級アルコールの濃度が全溶媒に対して0質量%に近くなっても主枝の外径が大きくなる。
また、低級アルコールの種類によっても樹枝状金属粉の主枝の外径の大きさが変わる。具体的には、炭素数が大きいアルコール程、樹枝状金属粉の主枝の外径が大きくなる。
本発明では、低級アルコールとして、エタノールもしくはメタノールまたはこれらの混合物を用いるとともに低級アルコールの濃度を全溶媒に対して25〜75質量%とする。これにより、樹枝状金属粉の主枝の平均外径を300nm以下とすることができる。
(8)請求項8に記載の発明は、液相還元法により形成される樹枝状金属粉であって、主枝と、この主枝から伸びる側枝とを有し、前記主枝の平均外径が0.1〜1.2μmであることを要旨とする。
この樹枝状金属粉は主枝および側枝を有するため、樹枝状金属粉の集合体は主枝および側枝が互いに絡まる。このため、樹枝状金属粉の集合体が変形するとき、変形前後における樹枝状金属粉の接点数の低下率は、球状金属粒子の集合体の変形時における接点数の低下率に比べて小さい。この特性は、樹枝状金属粉を含む導電層または導電パターンの屈曲導電性、または樹枝状金属粉を含む放熱材の屈曲放熱性として現れる。すなわち、この樹枝状金属粉によれば、導電層の屈曲導電性、導電パターンの屈曲導電性、および放熱材の屈曲放熱性を向上させることができる。また、電解法由来ではないため、省エネに寄与する。
(9)請求項9に記載の発明は、液相還元法により形成される樹枝状金属粉であって、主枝と、この主枝から伸びる側枝とを有し、前記主枝の平均外径が0.3μm以下であることを要旨とする。
主枝の平均外径が0.3μm以下である樹枝状金属粉の集合体は、主枝の平均外径が0.3μmよりも大きい樹枝状金属粉から構成される集合体に比べて、単位体積当たりの主枝および側枝の個数が多い。すなわち、主枝の平均外径が0.3μm以下である樹枝状金属粉の集合体における単位体積当たりの接点数は、主枝の平均外径が0.3μmよりも大きい樹枝状金属粉の集合体における単位体積当たりの接点数よりも多い。このため、主枝の平均外径が0.3μm以下である樹枝状金属粉の集合体が変形するときの変形前後における樹枝状金属粉の接点数の低下率は、主枝の平均外径が0.3μmより大きい樹枝状金属粉の集合体が変形するときの樹枝状金属粉の接点数の低下率よりも小さい。このようなことから、主枝の平均外径が0.3μm以下の樹枝状金属粉によれば、導電層の屈曲導電性、導電パターンの屈曲導電性、および放熱材の屈曲放熱性をさらに向上させることができる。また、電解法由来ではないため、省エネに寄与する。
(10)請求項10に記載の発明は、液相還元法により形成される樹枝状金属粉であって、主枝と、この主枝から伸びる側枝と、前記側枝から伸びる2次側枝とを有し、前記主枝の平均外径が0.3μm以下であることを要旨とする。
樹枝状金属粉は、側枝から伸びる2次側枝を有する。このため、2次側枝がない樹枝状金属粉に比べて、樹枝状金属粉同士がより複雑に絡まる。すなわち、この樹枝状金属粉の集合体の変形前後における接点数の低下率は、2次側枝がない樹枝状金属粉の集合体の変形前後における接点数の低下率よりも小さい。このようなことから、この樹枝状金属粉によれば、導電層の屈曲導電性、導電パターンの屈曲導電性、および放熱材の屈曲放熱性をさらに向上させることができる。また、電解法由来ではないため、省エネに寄与する。
(11)請求項11に記載の発明は、請求項8〜10のいずれか一項に記載の樹枝状金属粉と、溶剤と、バインダとを含む導電ペーストである。
導電ペーストには上記構成の樹枝状金属粉が含まれている。このため、当該導電ペーストにより形成された導電パターンの屈曲に対する導電低下率は、粒子状金属粉を含む導電パターンの屈曲に対する導電低下率よりも小さい。すなわち、導電パターンの屈曲に対する導電低下率を小さくすることが可能な導電ペーストを提供することができる。また、液相還元法由来の樹枝状金属粉を用いるため、省エネに寄与する。
(12)請求項12に記載の発明は、請求項8〜10のいずれか一項に記載の樹枝状金属粉を含む導電層を備える電磁波シールド材である。
導電ペーストには上記構成の樹枝状金属粉が含まれているため、屈曲に対する導電低下率を小さくすることができる。液相還元法由来の樹枝状金属粉を用いるため、製造時の消費エネルギを小さくすることができる。
(13)請求項13に記載の発明は、請求項8〜10のいずれか一項に記載の樹枝状金属粉を含む放熱材である。
放熱材には上記構成の樹枝状金属粉が含まれている。樹枝状金属粉は互いに絡み合っているため、放熱材が変形したとき、樹枝状金属粉同士が離間することが抑制される。すなわち、屈曲に対する放熱性の低下が抑制される。また、液相還元法由来の樹枝状金属粉を用いるため、省エネに寄与する。
本発明によれば、電解法由来ではない樹枝状金属粉、電解法由来ではない樹枝状金属粉を含む導電ペースト、電磁波シールド材、および放熱材を提供することができる。また、電解法によらずに樹枝状金属粉を形成することができる。
樹枝状金属粉の電子顕微鏡写真図。 樹枝状金属粉の電子顕微鏡写真図。 樹枝状金属粉の外形構造を示す模式図。 球状金属粒子の電子顕微鏡写真図。 エタノールの濃度と主枝の平均外径との関係を示すグラフ。
[樹枝状金属粉]
図1〜図3を参照して、銀を主成分とする樹枝状金属粉の外形構造について説明する。
樹枝状金属粉は、液相還元法により形成される。樹枝状金属粉は、後述する製造条件により形成することができる。樹枝状金属粉の外形構造は、電解法により形成される金属粉と異なる。
図1は、樹枝状金属粉を走査型電子顕微鏡により2000倍で撮像した写真である。
図2は、樹枝状金属粉を走査型電子顕微鏡により15000倍で撮像した写真である。図1および図2に示す樹枝状金属粉は、表1に示す実施例1の製造条件で形成した金属粉である。図3は、樹枝状金属粉を構成する主枝の模式図である。
樹枝状金属粉は、核から放射状に伸びる主枝と、主枝から伸びる側枝と、側枝から伸びる2次側枝とを備えている。
幾つかの樹枝状金属粉は主枝の長さが略同じであり、全体として球体を呈する。他の幾つかの樹枝状金属粉は、主枝の長さが異なり、全体として歪な球体を呈する。
樹枝状金属粉の集合体には、全体として球状の樹枝状金属粉、樹枝状金属粉から分離した主枝、主枝から分離した側枝、複数の樹枝状金属粉が絡まった塊等が含まれる。樹枝状金属粉は絡まりあって存在する。すなわち、互いに隣接する樹枝状金属粉において、一方の樹枝状金属粉の主枝は、他方の樹枝状金属粉の主枝の間の隙間に入り込みとともに、一方の主枝の側枝と他方の主枝の側枝とが互いに接触する。
主枝の外径は、基部から先端部まで略同じ大きさである。主枝の先端は丸くなっている。主枝の平均外径は300nmである。なお、主枝において側枝が伸びていないところの外径を、主枝の外径とした。
殆どの主枝は略直線的に伸びている。一部の主枝は弓なり伸びている。なお、主枝の曲がりは、樹枝状金属粉同士の接触により生じると考えられる。主枝の長さは0.5μm〜6μmである。
側枝の外径は、基部から先端部まで略同じであり、先端部の先は丸くなっている。
幾つかの側枝は、その側枝が付いている主枝よりも細い。他の幾つかの側枝は、その側枝が付いている主枝と同じ太さまたは主枝よりも太い。
原則的には、主枝の基部に近い側枝ほど長い。しかし、例外的に、基部側の側枝よりも長い側枝が存在する。比較的長い側枝の幾つかは2次側枝を有する。
側枝は主枝に先端側に傾いている。すなわち、側枝と主枝との間の角度は鋭角である。主枝と側枝との間の角度は略同じであり、各側枝は略平行に伸びている。
また、一つの主枝に形成される複数の側枝は、この主枝と複数の側枝で一つの平面を構成する。この平面から突出するように伸びる側枝も存在するが、この側枝の長さは、平面を構成する側枝の長さに比べて短い。なお、主枝から面状に伸びる側枝も存在する。
2次側枝の外径は、基部から先端部まで略同じ外径であり、先端部の先は丸くなっている。2次側枝の長さは、側枝よりも短い。2次側枝は、主枝および側枝を含む平面内に形成されている。すなわち、主枝と、この主枝から伸びる側枝と、この側枝から伸びる2次側枝とは、同一平面内に存在する。
側枝は略全ての主枝に対して存在する。すなわち、側枝のない主枝は殆ど存在しない。これに対して、2次側枝は一部の側枝にのみ存在する。すなわち、2次側枝の形成されている側枝の数は少ない。
銀を主成分とする樹枝状金属粉の外形構造について説明したが、所定製造条件を満たす液相還元法により形成された樹枝状金属粉は、金属の種類に拠らず、銀を主成分とする樹枝状金属粉と同様の構造を有する。例えば、金、白金、銅、パラジウムを主成分とする樹枝状金属粉は、上記説明した銀を主成分とする樹枝状金属粉と同様の外形構造である。
次に、樹枝状金属粉の集合体の構造的特徴について説明する。
樹枝状金属粉の集合体は、隣接する樹枝状金属粉が主枝および側枝を絡ませて網状組織を形成する。外力により網状組織の形状が変わるとき、樹枝状金属粉同士の接点の位置が移動するが、主枝および側枝が絡み合っているため、樹枝状金属粉同士の接点数の変化は小さい。
これに対し、球状金属粒子の集合体は、隣接する球状金属粒子が接触して網状組織を構成するが、球状金属粒子同士が絡み合わないため、球状金属粒子の集合体に外力が加えられると、一の球状金属粒子は他の球状金属粒子から容易に離れる。このため、外力により網状組織の形状が変わるとき、球状金属粒子の接点数が大きく変化する。
以上より、樹枝状金属粉の集合体は次の特徴を有する。
樹枝状金属粉の集合体が導電体として用いられる場合は、球状金属粒子の集合体が導電体として用いられる場合に比べて、樹枝状金属粉の集合体の屈曲または変形による導電性の低下が小さい。
樹枝状金属粉の集合体が放熱材として用いられる場合は、球状金属粒子の集合体が放熱材として用いられる場合に比べて、樹枝状金属粉の集合体の屈曲または変形による放熱性の低下が小さい。
次に、樹枝状金属粉を含む導電ペーストについて説明する。
この種の導電ペーストは、フレキシブル基板に印刷法で回路形成する場合において、導電パターンを形成するためのインクとして用いられる。また、基板または筐体に塗布される電磁波シールド材の材料として用いられる。
導電ペーストは、上記構成の樹枝状金属粉と、溶剤と、バインダとを含む。
樹枝状金属粉は、導電ペーストの全体の体積に対して50%〜70%とされる。
バインダとしては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラニン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エチルセルロース樹脂等が用いられる。
溶剤としては、バインダ樹脂を溶解させるものが用いられる。例えば、エステル系、エーテル系、ケトン系、エーテルエステル系のいずれの溶媒も用いることができる。具体的には、印刷性の観点から、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ターピネオール等が用いられる。
導電ペーストの特徴を説明する。
導電ペーストには樹枝状金属粉が含まれているため、この導電ペーストにより形成された導電パターンは、基板の屈曲または変形による導電低下率は小さい。すなわち、導電ペーストを用いることにより屈曲または変形耐性の高い導電回路を形成することができる。
次に、樹枝状金属粉を含む電磁波シールド材について説明する。
電磁波シールド材は、基板と、樹枝状金属粉を含む導電層とを備えている。導電層は、樹枝状金属粉を含む導電ペーストを基材に塗布し、乾燥および加熱することにより形成される。導電層には樹枝状金属粉が含まれるため、電磁波シールド材の屈曲または変形による導電低下率は小さい。すなわち、電磁波シールド材は、導電性について屈曲または変形耐性が高い。
次に、樹枝状金属粉を含む放熱材について説明する。
放熱材は、樹枝状金属粉と、多孔体とを含む。多孔体は、樹脂または金属により形成される。樹枝状金属粉は多孔体の空孔に存在する。樹枝状金属粉は互いに絡み合って存在するため、放熱材が変形したとき、樹枝状金属粉同士が離れることが抑制される。すなわち、屈曲に対する放熱性の低下が抑制される。なお、この放熱材は、電子部品のヒートシンクとして用いられる。
[樹枝状金属粉の製造方法]
樹枝状金属粉の製造方法について説明する。
まず、純水に還元剤としてのアスコルビン酸を溶解し、この溶液にエタノールを適量加える。次に、アスコルビン酸およびエタノールを含む水溶液に、硝酸銀水溶液を加え、室温(例えば25℃)で、5分間にわたって500rpmで撹拌する。すると、溶液中に樹枝状金属粉が析出する。なお、樹枝状金属粉は溶液中に浮遊して存在するが、24時間放置したとき殆どの樹枝状金属粉が沈降する。
樹枝状金属粉は、遠心分離と洗浄を繰り返すことにより精製される。
具体的には、樹枝状金属粉を含む溶液を遠心分離機に入れ、遠心分離機を回転速度5000rpm、5分間にわたって駆動させる。次に、遠心分離により得られた樹枝状金属粉を純水で数回洗浄する。この洗浄は、遠心分離機により分離された液(以下、上澄み液)の電気伝導度が50mS/cm以下になるまで繰り返す。最後に、樹枝状金属粉を約80℃で真空乾燥する。
樹枝状金属粉の製造方法について特徴を説明する。
上記樹枝状金属粉の製造方法は、液相還元法に分類される。
一般的には、液相還元法では、球状金属粒子を得ることができるが、樹枝状金属粉を得ることは困難であるとされていた。これは、液相では、析出金属が球状で存在することがエネルギ的に最も安定すると考えられるためである。実際、液相還元法では、突起の有する球状金属粒子は容易に形成されるが、側枝が存在する樹枝状金属粉の製造は困難であった。
一般的な液相還元法では、還元剤と、錯化剤と、分散剤と溶媒中で混合する。錯化剤は金属イオンと還元剤との反応を促進する。分散剤により、金属イオンの還元速度を調整し、金属粒子の大きさを制御する。また、分散剤は、金属粒子同士の凝集を抑制する。
これに対し、本実施形態の樹枝状金属粉の製造方法では、還元剤としてアスコルビン酸またはアスコルビン酸塩を用いる。そして、低級アルコールおよび水の存在下で金属イオンを還元する。
低級アルコールと水分子との水素結合により構築される溶媒構造は金属析出態様を制御する。すなわち、低級アルコールと水の比率によって金属析出態様が変化する。このような溶媒中では金属は異方的に成長する。このような方法により、樹枝状金属粉を析出させることを可能とした。
なお、アスコルビン酸としては、L−アスコルビン酸およびR−アスコルビン酸のいずれを用いることも可能である。アスコルビン酸塩としては、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸マグネシウム等が挙げられる。
以下、実施例および比較例について表1〜表4を参照して説明する。
各表には、析出金属の製造条件および析出金属の形状を示す。また、析出金属が樹枝状金属粉である場合は、主枝の平均外径を示す。
主枝の平均外径は、電子顕微鏡写真に撮像されている樹枝状金属粉の主枝を測定し、収集したデータに基づいて算出した。平均外径は30箇所の測定値の平均値である。外径の測定箇所は、主枝の伸長方向における中間点とした。
(1.析出金属およびアンモニアについて)
表1に、実施例1、実施例2および比較例1の製造条件および析出金属の形状を示す。
実施例1では、形成目的金属粉の種類を銀粉(Ag粉)とした。
L−アスコルビン酸の水溶液にエタノールを添加し、この溶液に、硝酸銀水溶液を加えて反応液を形成した。そして、反応液を撹拌して樹枝状金属粉を得た。
反応液中の硝酸銀の濃度とL−アスコルビン酸の濃度とは等モル量とした。
具体的には、反応液における硝酸銀の濃度を17g/Lとし、反応液におけるL−アスコルビン酸の濃度を18g/Lとした。反応液の溶媒質量に対するエタノールの濃度を50質量%とした。なお、反応液の溶媒質量とは、水とエタノールの全質量を示す。すなわち、純水を50質量%、エタノールを50質量%とした。
撹拌は室温(25℃)で行った。なお、撹拌前の反応液のpHは3であった。
以上の条件によれば、主枝の平均外径が200nmの樹枝状金属粉が得られた(図1および図2参照)。
実施例2では、形成目的金属の種類を銅粉(Cu粉)とした。
L−アスコルビン酸の水溶液にエタノールを添加し、この溶液に、硝酸銅(II)三水和物の水溶液を加えて反応液を形成した。そして、反応液を撹拌して樹枝状金属粉を得た。
反応液中の硝酸銅(II)三水和物の濃度とL−アスコルビン酸の濃度とは等モル量とした。具体的には、硝酸銅(II)三水和物の濃度を反応液全体の質量に対して24g/Lとし、L−アスコルビン酸の濃度を反応液全体の質量に対して18g/Lとした。他の条件は、実施例1と同様である。以上の条件によれば、主枝の平均外径が200nmの樹枝状金属粉が得られた。
実施例1と実施例2の比較によれば、上記樹枝状金属粉の形成は金属の種類によらないことが示される。すなわち、L−アスコルビン酸により還元可能な金属であれば、上記実施例1の条件と同様の条件により樹枝状金属粉を得ることができる。具体的には、上記樹枝状金属粉の製造方法により、金、銀、銅、白金、およびパラジウムの樹枝状金属粉を得ることができる。
比較例1では、形成目的金属粉の種類を銀粉(Ag粉)とした。
L−アスコルビン酸の水溶液にエタノールを添加して第1溶液を調整した。硝酸銀水溶液にアンモニアを加えて第2溶液を調整した。そして、第1溶液と第2溶液とを混合して反応液を調整し、撹拌した。なお、撹拌前の反応液のpHは11であった。この条件では、球状金属粒子が得られた(図4参照)。
実施例1と比較例1の相違点は、アンモニアを添加の有無である。この他の条件は、実施例1と比較例1とは同じである。
実施例1と比較例1との比較によれば、アンモニアは析出金属の形状を変える物質として作用する。
液相還元法ではアンモニアは錯化剤として用いられる。しかし、還元剤としてL−アスコルビン酸を用いて、アルコール存在下で金属を還元する場合においては、アンモニアは、析出金属の形状を変える。すなわち、アンモニア存在するときは、球状金属粒子を得ることができ、アンモニアの濃度を0質量%もしくは0質量%に近い値にすることにより、樹枝状金属粉を得ることができる。アンモニアの濃度を調整することにより、樹枝状金属粉の主枝または側枝の長さを制御することができると考えられる。
(2.アルコールの種類)
表2を参照して、アルコールの種類による析出金属の形状について説明する。なお、製造条件は表2に示した通りである。実施例4は、表1の実施例1と同じ実施例である。
各例の比較によれば、アルコールの種類により析出金属の形状が変わることが示される。すなわち、低級アルコール程、樹枝状金属粉の主枝の外径が小さくなる傾向にある。表2には示していないが炭素数7以上のアルコールでは、樹枝状金属粉を得られにくくなる傾向にある。
また、アルコールの価数が大きい程、主枝の外径が大きくなる傾向にある。
なお、酸素原子を有しかつ水に溶解する極性溶媒であっても、アルコール類以外は樹枝状金属粉が得られにくい。すなわち、比較例2および比較例3に示されるように、アルコールに代えてアセトン、またはジエチレングリコールモノブチルエーテルを用いたとき、析出金属は球体になる。
以上から、次のことが示される。樹枝状金属粉を得るためには、炭素数6以下のアルコールを用いることが好ましい。また、アルコールの種類を選択することにより、主枝の外径を適宜調整することが可能である。
なお、導電ペースト用としては樹枝状金属粉の主枝は細い方がよい。これは、単位体積当たりの繊維数を増大させるためである。このような用途において、主枝の平均外径が300nm以下の樹枝状金属粉が要求される。表2によれば、主枝の平均外径が300nm以下の樹枝状金属粉を得るためには、炭素数3以下であって、1価のアルコールを用いることが好ましい。
(3.還元剤の種類)
表3に示す比較例4を参照して、還元剤の種類による析出金属の形状について説明する。なお、製造条件は、表3に示した通りであり、還元剤の種類以外の条件は、実施例1と同様である。
実施例1と比較例4の比較によれば、還元剤の種類により析出金属の形状が変わることが示される。
すなわち、還元剤としてグルコースを用いた場合、樹枝状金属粉は得られない。グルコースは水酸基を有するが、還元性がL−アスコルビン酸よりも低いため、樹枝状金属粉が析出しないと考えられる。
(4.エタノールの濃度)
表4および図5を参照して、エタノールの濃度と樹枝状金属粉の形状との関係について説明する。
表4に示す各例の製造条件は、エタノールの濃度以外は、実施例1と同様である。実施例12は実施例1と同じ実施例である。図5は、表4の結果をグラフにした図である。図5に示す二点鎖線は各点に対する4次近似式である。
比較例5の製造条件すなわち、溶媒が水のみの場合、析出金属の形状は球体になる。比較例6の製造条件すなわち、溶媒がエタノールのみの場合、析出金属の形状は球体になる。すなわち、樹枝状金属粉の形成は水とエタノールの作用によると考えられる。このことは、アルコール全般に一般化される。
実施例9〜実施例15の結果および図5によれば、エタノールの濃度(すなわち、水とエタノールとの比率)が樹枝状金属粉の主枝の平均外径に影響を与えることが示される。すなわち、図5に示すように、エタノールの濃度が特定濃度よりも高くなる程、主枝の平均外径が大きくなる。エタノールの濃度が特定濃度よりも低くなる程、主枝の平均外径が大きくなる。エタノールの濃度が特定濃度で主枝の平均外径が最も小さい。特定濃度は、水とエタノールの混合溶液の場合、エタノール濃度で約50質量%である。
以下、実施形態の効果を説明する。
(1)本実施形態に示す樹枝状金属粉の製造方法では、アスコルビン酸および低級アルコールを含む水溶液と、金属イオンを含む水溶液とを混合する。すなわち、アスコルビン酸イオンと低級アルコールとの存在下で金属イオンを還元する。これにより、主枝および側枝を有する樹枝状金属粉を得ることができる。
(2)樹枝状金属粉の製造方法の変形例として次の方法が挙げられる。すなわち、アスコルビン酸イオンを含む水溶液と、金属イオンおよび低級アルコールを含む水溶液とを混合する。この方法によっても主枝および側枝を有する樹枝状金属粉を得ることができる。
また、樹枝状金属粉の製造方法の変形例として次の方法も挙げられる。
アスコルビン酸を含む水溶液Aと、低級アルコールを含む溶液B(溶液Bは低級アルコールであってもよい。)と、金属イオンを含む水溶液Cとを個別に形成する。そして、水溶液Aと溶液Bとを混合して混合液ABを作り、次にこの混合液ABと水溶液Cとを混合する。なお、混合液ABと水溶液Cとを混合する工程は、上記(1)の製造方法と実質的に同じである。すなわち、この製造方法は上記(1)の製造方法の一種である。このため、この製造方法によっても、主枝および側枝を有する樹枝状金属粉を得ることができる。
また、この製造方法の変形例として、溶液Bと水溶液Cを混合して混合液BCを形成し、次にこの混合液BCと水溶液Aとを混合する、という方法もある。なお、混合液BCと水溶液Aとを混合する工程は、上記(2)の製造方法と実質的に同じ方法である。すなわち、この製造方法は上記(2)の製造方法の一種である。このため、この製造方法によっても、主枝および側枝を有する樹枝状金属粉を得ることができる。
なお、金属イオンの水溶液とアスコルビン酸イオンの水溶液とを直接混合すると球状の銀粒子が析出するため、金属イオンの水溶液とアスコルビン酸イオンの水溶液とを直接混合することは行わない。
(3)上記樹枝状金属粉の製造方法によれば、2次側枝を有する樹枝状金属粉を得ることもできる。2次側枝の存在により、樹枝状金属粉同士の接続強度(離間しにくくなる度合い)を高くすることができる。
(4)上記樹枝状金属粉の製造方法において、低級アルコールとして炭素数3以下のアルコールを用いることにより、炭素数4以上のアルコールを用いる場合と比較して、主枝および側枝の太さを小さくすることができる。
(5)樹枝状金属粉の製造方法で用いる低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メチル−1−プロパノール、エチレングリコール、グリセリンが挙げられる。また、これらアルコールにより構成される群から2以上のアルコールを選択してもよい。
(6)上記樹枝状金属粉の製造方法において、アスコルビン酸イオンのモル量と金属イオンのモル量とは実質的に等しくすることが好ましい。
アスコルビン酸イオンの濃度が金属イオンに対して大きいとき金属析出の速度が大きくなる。金属析出の速度が大きいとき、樹枝状金属粉の形状は歪む。このため、アスコルビン酸イオンの濃度と金属イオンの濃度とを実質的に等しくすることにより、樹枝状金属粉の収率を大きくすることができる。
(7)上記樹枝状金属粉の製造方法では、銀イオン、銅イオン、パラジウムイオン、金イオン、および白金イオンの群から選択される少なくとも1つを用いる。これにより、銀、銅、パラジウム、金、白金を含有する樹枝状金属粉を得ることができる。
(8)上記樹枝状金属粉の製造方法では、アルコールの種類を選択することにより、樹枝状金属粉の主枝の平均外径を設定することができる。例えば、炭素数の少ないアルコールを用いることにより、主枝の細い樹枝状金属粉を得ることができる。
(9)上記樹枝状金属粉の製造方法では、アルコールの濃度により、樹枝状金属粉の主枝の平均外径を調整することができる。例えば、エタノールを用いる場合、エタノールの濃度を反応液の全体に対して約50質量%とするとき、樹枝状金属粉の主枝の平均外径を最も細くすることができる。また、図5のグラフを用いることにより、樹枝状金属粉の主枝の平均外径を所望の大きさにすることができる。
(10)例えば、アルコールとしてエタノールを用いて、かつ、エタノールの濃度を溶媒質量の25〜75質量%とすることにより、主枝の平均外径が300nm以下の樹枝状金属粉を得ることができる。
(11)また、アルコールとしてメタノールを用いて、かつメタノールの濃度を溶媒質量の25〜75質量%とすることにより、主枝の平均外径が300nm以下の樹枝状金属粉を得ることができる。
(12)また、アルコールとしてメタノールおよびエタノールの混合溶液を用いて、かつこの混合溶液の濃度を溶媒質量の25〜75質量%とすることにより、主枝の平均外径が300nm以下の樹枝状金属粉を得ることができる。
(13)本実施形態の樹枝状金属粉は、主枝および側枝を有する。
樹枝状金属粉の集合体は主枝および側枝が互いに絡まっている。このため、樹枝状金属粉の集合体において全体が変形するとき、変形前後における樹枝状金属粉の接点数の低下率は、球状金属粒子の集合体における接点数の低下率に比べて小さい。
(14)主枝の平均外径が0.1〜1.2μmの樹枝状金属粉の集合体は、アルコールの種類の選択またはアルコールの濃度を調整することにより得られる。この集合体は、主枝の平均外径が1.2μm未満の主枝の樹枝状金属粉を含む集合体に比べて、樹枝状金属粉の集合体の剛性は高い。このため、この樹枝状金属粉を用いることにより、剛性がある導電層または導電パターンを得ることができる。
(15)主枝の平均外径が0.3μm以下の樹枝状金属粉の集合体は、アルコールの種類の選択またはアルコールの濃度を調整することにより得られる。この集合体は、主枝の平均外径が0.3μmよりも大きい樹枝状金属粉を含む集合体に比べて、単位体積当たりの樹枝状金属粉同士の接点数が多い。このため、この樹枝状金属粉によれば、導電層の屈曲導電性、導電パターンの屈曲導電性、および放熱材の屈曲放熱性を向上させることができる。
(16)本実施形態の樹枝状金属粉は、主枝と側枝と2次側枝を有する。樹枝状金属粉は2次側枝を有するため、主枝と側枝とを有する樹枝状金属粉に比べて、樹枝状金属粉同士がより複雑に絡まる。このため、この樹枝状金属粉によれば、導電層の屈曲導電性、導電パターンの屈曲導電性、および放熱材の屈曲放熱性をさらに向上させることができる。
(17)本実施形態の導電ペーストは、上記樹枝状金属粉と、溶剤と、バインダとを含む。このため、当該導電ペーストにより形成された導電パターンは屈曲に対する導電低下率が小さい。すなわち、基板屈曲に対する導電低下率を小さくすることが可能な導電ペーストを提供することができる。
(18)本実施形態の電磁波シールド材は樹枝状金属粉を含む導電層を備える。導電層内では樹枝状金属粉が絡まって存在するため、金属粒子を含む電磁波シールド材に比べて、屈曲に対する導電低下率が小さい。すなわち、電磁波シールド材の屈曲時または振動時においても電磁波のシールド効果が高い。
(19)本実施形態の放熱材は樹枝状金属粉を含む。
樹枝状金属粉は互いに絡み合って存在するため、放熱材が変形したとき、樹枝状金属粉同士が離れることが抑制される。すなわち、屈曲に対する放熱性の低下が抑制される。
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態にて示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、異なる変形例を互いに組み合わせて実施することもできる。
・上記実施例では、銀を主成分とする樹枝状金属粉を形成するとき、析出金属の供給源として硝酸銀を用いているが、硝酸銀以外の銀塩を用いることもできる。例えば、硫酸銀、酢酸銀等を用いることができる。
・上記実施例では、反応液にアンモニアを含めていないが、アンモニア濃度を「0」にすることは必須要件ではない。すなわち、アンモニアを適量加えることも可能である。また、錯化剤、分散剤を適量加えることもできる。

Claims (13)

  1. アスコルビン酸イオンおよび低級アルコールを含む水溶液と、金属イオンを含む水溶液とを混合することを特徴とする樹枝状金属粉の製造方法。
  2. アスコルビン酸イオンを含む水溶液と、金属イオンおよび低級アルコールを含む水溶液とを混合することを特徴とする樹枝状金属粉の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の樹枝状金属粉の製造方法において、
    前記低級アルコールとして炭素数3以下のアルコールを用いる
    ことを特徴とする樹枝状金属粉の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の樹枝状金属粉の製造方法において、
    前記低級アルコールとして、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メチル−1−プロパノール、エチレングリコール、グリセリンの群から選択される少なくとも1つを用いる
    ことを特徴とする樹枝状金属粉の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹枝状金属粉の製造方法において、
    前記アスコルビン酸イオンのモル量と前記金属イオンのモル量とは等しい
    ことを特徴とする樹枝状金属粉の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹枝状金属粉の製造方法において、
    前記金属イオンは、銀イオン、銅イオン、パラジウムイオン、金イオン、および白金イオンの群から選択される少なくとも1つである
    ことを特徴とする樹枝状金属粉の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹枝状金属粉の製造方法において、
    アスコルビン酸イオン、低級アルコール、および金属イオンを含む混合水溶液における低級アルコールおよび水の質量を溶媒質量として、
    前記低級アルコールとして、メタノールもしくはエタノール、またはこれらアルコールの混合物を用いて、前記低級アルコールの濃度を前記溶媒質量に対して25〜75質量%とする
    ことを特徴とする樹枝状金属粉の製造方法。
  8. 液相還元法により形成される樹枝状金属粉であって、主枝と、この主枝から伸びる側枝とを有し、前記主枝の平均外径が0.1〜1.2μmであることを特徴とする樹枝状金属粉。
  9. 液相還元法により形成される樹枝状金属粉であって、主枝と、この主枝から伸びる側枝とを有し、前記主枝の平均外径が0.3μm以下であることを特徴とする樹枝状金属粉。
  10. 液相還元法により形成される樹枝状金属粉であって、主枝と、この主枝から伸びる側枝と、前記側枝から伸びる2次側枝とを有し、前記主枝の平均外径が0.3μm以下であることを特徴とする樹枝状金属粉。
  11. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の樹枝状金属粉と、溶剤と、バインダとを含む導電ペースト。
  12. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の樹枝状金属粉を含む導電層を備える電磁波シールド材。
  13. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の樹枝状金属粉を含む放熱材。
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