JP2013144685A - (s)−または(r)−4−ハロ−3−ジヒドロキシ酪酸エステルの調製方法 - Google Patents

(s)−または(r)−4−ハロ−3−ジヒドロキシ酪酸エステルの調製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鏡像異性的に純粋な(S)−または(R)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの調製法。
【解決手段】キラル配位子を含むルテニウム錯体の触媒の存在下で、4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルの不斉水素化により、4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステル(式中、Rは、CHX、CHXまたはCXであり、Xは、独立して、Clおよび/またはBrを示し、またRは、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、アラルキルであって、それぞれのアリールまたはアラルキルは、任意に、1以上のC1−4−アルキル基および/またはハロゲン原子によりさらに置換されている)を得る。
Figure 2013144685

【選択図】なし

Description

本発明は、式(II)の4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルの不斉水素化による、鏡像異性的に純粋な、式((S)−I)または((R)−I)の(S)−または(R)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの調製方法に関する
Figure 2013144685
(式中、Rは、CHX、CHXまたはCXであり、Xは、独立して、Clおよび/またはBrを示し、
は、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、アリールまたはアラルキルである)
Figure 2013144685
(式中、R、RおよびXは、上記した通りである)。
本明細書中において、「鏡像異性的に純粋な化合物」という語は、少なくとも90%の鏡像体過剰率(ee)を有する、光学的に活性な化合物を含む。
本明細書中において、「C1−6アルキル」という語は、1〜6の炭素原子を有する直鎖のまたは分岐のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルを示し、これは、任意に、1以上のハロゲン原子により、さらに置換されていてもよい。
本明細書中において、「C1−4−アルコキシ」という語は、1〜6の炭素原子を有する直鎖のまたは分岐のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシを示し、これは、任意に、1以上のハロゲン原子により、さらに置換されていてもよい。
本明細書中において、「C3−8−シクロアルキル」という語は、3〜8の炭素原子を有するシクロ脂肪族基、すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを示す。
本明細書中において、「アリール」という語は、芳香族基、好ましくは、フェニルまたはナフチルを示し、これは、任意に、1以上のハロゲン原子、C1−4−アルキルおよび/またはC1−4−アルコキシにより置換されており、ここで、アルキルおよびアルコキシ置換基は、任意に、1以上のハロゲン原子により、さらに置換されている。
本明細書中において、「アラルキル」という語は、任意にハロゲン原子によりさらに置換されている直鎖のC1−4アルキル部位を示し、これは、上で定義した、任意にさらに置換されたアリール部位に結合している。
一般的に、3−ヒドロキシ酪酸エステルおよびその誘導体は、製薬工業化学における有用な鍵中間体である。誘導体の中でも、特に、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルは、Rosuvastatin(登録商標)または Atorvastatin(登録商標)のような、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の調製のための、重要な基本単位である。薬学的に条件を満たした品質で上記ヒドロキシ酪酸エステルを提供するため、および鏡像異性体の費用のかかる分離を回避するために、不斉水素化の方法は、高いee、好ましくは90〜100%の範囲のeeをもたらすべきである。
不斉水素化は、もっぱら、キラルな遷移金属−配位子錯体を用いて行われ、ここでの遷移金属は、ルテニウムまたはロジウムであり、配位子は、しばしば、置換されたキラルな二座ジホスフィンである。
WO-A-02/40492 は、(S)−6−メトキシ−5,6’−ベンゾ−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)ビフェニル配位子を含む触媒を用いた、4−クロロ−3−オキソ酪酸エチルの不斉水素化を開示している。83%eeで(S)−生成物が得られる。
新規のメチレンジオキソおよびエチレンジオキソ置換されたジホスフィン配位子、および2−ベンズアミドメチル−3−オキソ酪酸メチルの不斉水素化のためのその使用が、EP-A-0 850 945 に開示されている。パイ(Pai),C.−C.等、Tetrahedron Lett. 2002, 43, 2789-2792 には、4−クロロ−3−オキソ酪酸エチルの不斉水素化のための上記配位子の使用が開示されている。
EP-A-0 955 303 には、EP-A-0 850 945 に開示された配位子のルテニウム−ヨード誘導体を用いる、4−メチレン−2−オキセタノン(ジケテン)の、4−メチル−2−オキセタノン(3−ヒドロキシ酪酸のβ−ラクトン)への不斉水素化が記載されている。
本発明により解決されるべき技術的な問題は、鏡像異性的に純粋な(S)−または(R)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルを得るための、4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルの不斉水素化のための、他の一般的な方法を提供することであった。
この問題を、請求項1の方法により解決することができた。
本発明は、式(III)のキラル配位子を含むルテニウム錯体の触媒の存在下、式(II)の4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルの不斉水素化により、鏡像異性的に純粋な、式((S)−I)または((R)−I)の(S)−または(R)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの調製方法を提供する。
Figure 2013144685
(式中、Rは、CHX、CHXまたはCXであり、Xは、独立して、Clおよび/またはBrを示し、
は、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであって、それぞれのアリールまたはアラルキルは、任意に、1以上のC1−4アルキル基および/またはハロゲン原子によりさらに置換される)
Figure 2013144685
(式中、R、RおよびXは、上記した通りである)
Figure 2013144685
好ましい態様において、Rは、CHXであり、Xは、ClまたはBrを示し、より好ましくは、RはCHXであり、XはClを示す。
WO 03/029259 は、式(III)の配位子のルテニウム錯体を用いる、3−オキソ酸エステルのアルキルおよびアリール誘導体の不斉水素化の方法を開示している。
フッ素化3−オキソ酸のエステルの不斉水素化のいくつかの例が存在するが、式(II)の化合物の水素化は開示されていない。4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ酪酸エチルのような、ここに開示されている全てのフッ素化脂肪族3−ヒドロキシ酸エステルは、70〜80%の範囲の中程度のeeにて得られるのみである。
WO 03/029259 の実験結果を考慮して EP-A-0 850 945 に注目すると、式(III)の5,5’−ビス(ジフェニルホスファニル)−2,2,2’,2’,−テトラフルオロ−4,4’−ビ[ベンゾ−1,3−ジオキソリル]配位子(Fluoxphos)の遷移金属錯体が、式(II)の化合物の不斉水素化に適しているという可能性は極めて低い。
驚くべきことに、式(III)の配位子((−)−Fluoxphos および (+)−Fluoxphos)を含むルテニウム錯体を用いる、4−クロロ−3−オキソ酪酸エステルおよび4,4,4−トリクロロ−3−オキソ酪酸エステルの不斉水素化は、非常に高いeeレベルを与える。
好ましい態様において、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびtert−ブチルから成る群から選択される。より好ましいRは、メチル、エチルまたはイソプロピルである。特に好ましいRは、メチルまたはエチルである。
他の好ましい態様において、Rは、任意に置換されたフェニルまたはナフチルである。
水素化は、C1−4−アルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(MeCN)、またはこれらの混合物のような、極性溶媒中の触媒溶液を用いて行われる。好ましくは、極性溶媒は、メタノール、エタノール若しくはイソプロピルアルコール、またはそれらの混合物である。この溶液は、ジクロロメタンのような、さらなる溶媒添加物を含んでいてもよい。
触媒溶液を、極性溶媒中に、ルテニウム塩Run+ (式中、nは2または3であり、Yは、Cl、Br、I、BF 、AsF 、SbF 、PF 、ClO またはOTf(トリフルオロメタンスルホン酸塩またはトリフレート)、または他の適切な対イオンである)を溶解させ、式(III)の配位子の適切な量を混合し、任意に、少なくとも1つの安定化配位子をさらに混合することにより調製することができる。
あるいは、触媒溶液を、触媒前駆体錯体、すなわち、既に少なくとも1つの安定化配位子を有する予め調製したルテニウム錯体を、極性溶媒中で、他の配位子の適切な量と混合することにより得ることができる。触媒前駆体錯体は、ジエン、アルケンまたはアレーンのような、少なくとも1つの安定化配位子を含む。好ましい態様において、安定化配位子は、1,5−シクロオクタジエン(cod)、ノルボルナジエン(nbd)、またはp−シメン(cym)である。特に好ましい安定化配位子は、p−シメンである。
さらに好ましい態様において、触媒前駆体錯体は、少なくとも1つの式(III)(Fluoxphos)のキラル配位子を含む。
さらに好ましい態様において、触媒前駆体錯体は、安定化配位子として、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)またはアセトニトリル(MeCN)のような、少なくとも1つの極性溶媒分子を含む。
このような安定化配位子を含む触媒前駆体錯体の例は、[RuCl(cym)]、[RuBr(cym)]、[RuCl(Fluoxphos)(ベンゼン)]Cl、[RuCl(Fluoxphos)・DMF]、[RuCl(Fluoxphos)・DMSO]および[RuCl(cod)・MeCN]である。
さらに、触媒溶液を、全ての必要とする配位子を既に含む、予め調製したキラルルテニウム錯体を溶解することにより得ることができる。
触媒および触媒溶液の調製に一般的に適用できる方法のいくつかの例が、アッシュウォース(Ashworth),T.V.等、S. Afr. J. Chem. 1987, 40, 183-188、WO 00/29370 およびマシマ(Mashima),K.、J. Org. Chem. 1994, 59, 3064-3076 に開示されている。
好ましい態様において、触媒前駆体錯体を、極性溶媒中で、式[RuCl(cym)]のビス[(1−イソプロピル−4−メチルベンゼン)ジクロロルテニウム]と、(−)−Fluoxphos または(+)−Fluoxphos 配位子とを混合することにより調製する。
好ましくは、金属塩Run+ またはルテニウム錯体を、キラル二座ホスフィン配位子と、1:5〜5:1の比で混合する。最も好ましくは、Ru/ホスフィン比は、1:2〜2:1の範囲にある。最も好ましくは、Ru/ホスフィン比は、1:1である。
詳細な態様において、遷移金属塩、触媒前駆体錯体および式(III)の配位子のルテニウム錯体の対イオンは、Cl、Br、I、BF 、AsF 、SbF 、PF 、ClO またはOTfであり、より好ましくは、Cl、IまたはBF である。
好ましい態様において、反応中の水素圧は、1〜60barの範囲にあり、より特に好ましくは、2〜35barの範囲にある。
水素化を、20〜150℃の範囲における温度で行うことができる。好ましくは、温度は、70〜130℃の範囲にある。特に好ましくは、温度は、80〜120℃の範囲にある。
本発明を、以下の限定されない例により説明する。

例1
(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル(式(S)−I、R=CHCl、R=エチル)
150mLのオートクレーブ中アルゴン雰囲気下で、RuCl(10.2mg,0.049mmol)、(−)−5,5’−ビス(ジフェニルホスファニル)−2,2,2’,2’−テトラフルオロ−4,4’−ビ[ベンゾ−1,3−ジオキソリル](すなわち、(−)−Fluoxphos)(34.2mg,0.050mmol)、および4−クロロ−3−オキソ酪酸エチル(0.81g,4.9mmol,約98.5%)を、脱気したエタノール(30mL)中に溶解させる。アルゴンをオートクレーブに流し込んだ後、水素化を、2時間80℃で、4barの水素圧で行う。室温にまで冷却した後、反応溶液を、直接、GCにより、コンバージョン(カラム:HP−101 25m/0.2mm)および鏡像体過剰率(ee)(カラム:Lipodex-E 25m/0.25mm)について分析する。97.6%のeeで、コンバージョンは100%である。
例2
(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル(式(S)−I、R=CHCl、R=エチル)
250mlのオートクレーブ中アルゴン雰囲気下で、ビス[(1−イソプロピル−4−メチルベンゼン)ジクロロルテニウム](すなわち、[RuCl(cym)])(6.7mg,0.011mmol)、(−)−Fluoxphos(16.0mg,0.023mmol)、および4−クロロ−3−オキソ酪酸エチル(9.11g,54.5mmol,約98.5%)を、脱気したエタノール(30mL)中に溶解する。アルゴンをオートクレーブに流し込んだ後に、水素化を、2.3時間90℃で、30barの水素圧で行う。室温にまで冷却した後に、反応溶液を、直接、GCにより、コンバージョン(カラム:HP−101 25m/0.2mm)、およびee(カラム:Lipodex-E 25m/0.25mm)について分析する。95.8%のeeで、コンバージョンは100%である。
例3
(R)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル(式(R)−I、R=CHCl、R=エチル)
1Lのオートクレーブ中アルゴン雰囲気下で、RuCl(10.0mg,0.048mmol)、(+)−Fluoxphos(36.1mg,0.053mmol)、および4−クロロ−3−オキソ酪酸エチル(8.0g,48mmol,約98.5%)を、脱気したエタノール(170mL)およびジクロロメタン(40mL)中に溶解する。アルゴンをオートクレーブに流し込んだ後に、水素化を、90分間82℃で、35barの水素圧で行う。室温にまで冷却した後に、反応溶液を、直接、GCにより、コンバージョン(カラム:HP−101 25m/0.2mm)、およびee(カラム:Lipodex-E 25m/0.25mm)について分析する。97.8%のeeで、コンバージョンは100%である。
例4
(R)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル(式(R)−I、R=CHCl、R=エチル)
1Lのオートクレーブ中アルゴン雰囲気下で、[RuCl(cod)・MeCN](15.8mg,0.026mmol,アッシュウォース(Ashworth),T.V.等、S. Afr. J. Chem. 1987, 40, 183-188 に開示されるように、RuClと1,5−シクロオクタジエンから調製する)、(+)−Fluoxphos(36.1mg,0.053mmol)、および4−クロロ−3−オキソ酪酸エチル(8.0g,48mmol,約98.5%)を、脱気したエタノール(170mL)およびジクロロメタン(40mL)中に溶解する。アルゴンをオートクレーブに流し込んだ後に、水素化を、80分間82℃で、35barの水素圧で行う。室温にまで冷却した後に、反応溶液を、直接、GCにより、コンバージョン(カラム:HP−101 25m/0.2mm)、およびee(カラム:Lipodex-E 25m/0.25mm)について分析する。97.3%のeeで、コンバージョンは100%である。
例5
(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル(式(S)−I、R=CHCl、R=エチル)
1Lのオートクレーブ中アルゴン雰囲気下で、[RuCl(cym)](5.0mg,0.008mmol)、(−)−Fluoxphos(12.1mg,0.018mmol)、および4−クロロ−3−オキソ酪酸エチル(27.0g,162mmol,約98.5%)を、脱気したエタノール(340mL)およびジクロロメタン(80mL)中に溶解する。アルゴンをオートクレーブに流し込んだ後に、水素化を、70分間110℃で、22barの水素圧で行う。室温にまで冷却した後に、反応溶液を、直接、GCにより、コンバージョン(カラム:HP−101 25m/0.2mm)、およびee(カラム: Lipodex-E 25m/0.25mm)について分析する。98.1%のeeで、コンバージョンは100%である。
例6
(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル(式(S)−I、R=CHCl、R=エチル)
1Lのオートクレーブ中アルゴン雰囲気下で、[RuI((−)−Fluoxphos)(cym)]I(35mg,0.030mmol,WO 00/29370 に開示されるように(−)−Fluoxphos と[Ru(cym)]から調製する)、および4−クロロ−3−オキソ酪酸エチル(33.4mg,200mmol,約98.5%)を、脱気したエタノール(340mL)およびジクロロメタン(80mL)中に溶解する。アルゴンをオートクレーブに流し込んだ後に、水素化を、170分間100℃で、22barの水素圧で行う。室温にまで冷却した後に、反応溶液を、直接、GCにより、コンバージョン(カラム:HP−101 25m/0.2mm)、およびee(カラム:Lipodex-E 25m/0.25mm)について分析する。97.4%のeeで、コンバージョンは100%である。
例7
(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル(式(S)−I、R=CHCl、R=エチル)
1Lのオートクレーブ中アルゴン雰囲気下で、[RuCl((−)−Fluoxphos)(cym)]BF(23mg,0.022mmol,マシマ(Mashima),K.、J. Org. Chem. 1994, 59, 3064-3076 に開示されるように、(−)−Fluoxphos と[RuCl(cym)]とAgBFから調製される)、および4−クロロ−3−オキソ酪酸エチル(33.4mg,200mmol,約98.5%)を、脱気したエタノール(340mL)およびジクロロメタン(80mL)中に溶解する。アルゴンをオートクレーブに流し込んだ後に、水素化を、180分間100℃で、22barの水素圧で行う。室温にまで冷却した後に、反応溶液を、直接、GCにより、コンバージョン(カラム:HP−101 25m/0.2mm)、およびee(カラム:Lipodex-E 25m/0.25mm)について分析する。98.0%のeeで、コンバージョンは100%である。
例8
4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸tert−ブチル(式I、R=CHCl、R=tert−ブチル)
150mLのオートクレーブ中アルゴン雰囲気下で、[RuCl(cym)](7.7mg,0.013mmol)、(+)−Fluoxphos(17.9mg,0.026mmol)、および4−クロロ−3−オキソ酪酸tert−ブチル(GCによる分析:96.9%,1.0g,5.2mmol)を、脱気したエタノール(30mL)中に溶解する。アルゴンをオートクレーブに流し込んだ後に、水素化を、4時間80℃で、4barの水素圧で行う。室温にまで冷却した後に、反応溶液を、直接、GCにより、コンバージョン(カラム:HP−101 25m/0.2mm)について分析する。鏡像体過剰率についての分析を、シフト試薬としてトリス[3−(トリフルオロメチルヒドロキシメチレン)−(+)−ショウノウ酸]ユーロピウム(III)、溶媒としてCDClを用いるH−NMRにより行う。コンバージョンは>99%である。93.2%の片方の鏡像異性体のeeで、収率は約67%である。
例9
4,4,4−トリクロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル(式I、R=CCl、R=エチル)
150mLのオートクレーブ中アルゴン雰囲気下で、[RuCl(cym)](7.6mg,0.012mmol)、(+)−Fluoxphos(17.8mg,0.026mmol)、および4,4,4−トリクロロ−3−オキソ酪酸エチル(分析:97%,1.21g,5.2mmol)を、脱気したエタノール(30mL)中に溶解する。アルゴンをオートクレーブに流し込んだ後に、水素化を、7.5時間80℃で、4barの水素圧で行う。室温にまで冷却した後に、反応溶液を、直接、GCにより、コンバージョン(カラム:HP−101 25m/0.2mm)について分析する。95.3%の片方の鏡像異性体のeeで、コンバージョンは99%である。鏡像体過剰率についての分析を、シフト試薬としてトリス[3−(トリフルオロメチルヒドロキシメチレン)−(+)−ショウノウ酸]ユーロピウム(III)、溶媒としてCDClを用いるH−NMRにより行う。
比較例1
(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル(式(S)−I、R=CHCl、R=エチル)
250mLのオートクレーブ中アルゴン雰囲気下で、[RuCl(cym)](6.7mg,0.011mmol)、(−)−5,5’−ビス(ジフェニルホスファニル)−4,4’−ビ[ベンゾ−1,3−ジオキソリル](14.3mg,0.023mmol)、および4−クロロ−3−オキソ酪酸エチル(9.10g,54.5mmol,約98.5%)を、脱気したエタノール(30mL)中に溶解する。アルゴンをオートクレーブに流し込んだ後に、水素化を、2.3時間90℃で、30barの水素圧で行う。室温にまで冷却した後に、反応溶液を、直接、GCにより、コンバージョン(カラム:HP−101 25m/0.2mm)、およびee(カラム:Lipodex-E 25m/0.25mm)について分析する。89.5%のeeで、コンバージョンは100%である。

Claims (7)

  1. 式((S)−I)または((R)−I)の鏡像異性的に純粋な(S)−または(R)−4−ハロ−3−ヒドロキシ酪酸エステルの調製方法であって、この方法は、式(III)のキラル配位子を含むルテニウム錯体の触媒の存在下で、式(II)の4−ハロ−3−オキソ酪酸エステルの不斉水素化を含む方法。
    Figure 2013144685
    (式中、Rは、CHX、CHXまたはCXであり、Xは、独立して、Clおよび/またはBrを示し、
    は、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであって、それぞれのアリールまたはアラルキルは、任意に、1以上のC1−4アルキル基および/またはハロゲン原子によりさらに置換される)
    Figure 2013144685
    (式中、R、RおよびXは、上記した通りである)
    Figure 2013144685
  2. 前記式(III)の配位子を含むルテニウム錯体が、安定化配位子として、少なくも1つのジエン、アルケン若しくはアレーン、または極性溶媒分子を含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記式(III)の配位子を含むルテニウム錯体が、安定化配位子として、少なくとも1分子の1,5−シクロオクタジエンまたはp−シメンを含む請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記水素化を、C1−4−アルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、およびそれらの混合物から成る群から選択される極性溶媒を含む溶液中で行い、前記溶媒は、任意に、さらなる溶媒添加剤を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記ルテニウム錯体の対イオンが、Cl、Br、I、BF 、AsF 、SbF 、PF 、ClO 、およびOTfから成る群から選択される請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ルテニウム錯体を、極性溶媒中で、式[RuCl(cym)]の錯体と、Fluoxphos配位子とを混合することにより調製する請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 反応中の水素圧が、1〜60barの範囲に、好ましくは2〜35barの範囲にある請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
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