JP2013144560A - 合成樹脂製容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】底部が減圧吸収性能を有する合成樹脂容器であって、該底部には、胴部から連なる外周壁、接地部及び内周壁から成る環状の脚部が形成され、且つ該脚部の内周壁よりも内側が、前記接地部よりも上方に位置する上げ底部として形成されており、該上げ底部は、前記脚部の内周壁との付け根よりも下方に突出していると共に、上げ底部の中央部外縁から外周側に向かって外方に突出する複数の凸部、及び該凸部の間に形成される凹部が周方向且つ等間隔に形成されていることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
しかしながら、上述したような調味料等の内容物においては、ガラス瓶にロールラベルを貼付するという、長年使用されてきた商品外観のイメージを維持することが要求されており、胴部に減圧吸収のためのパネル部を設けることはラベル貼付ができないことから望ましくない。また減圧のために胴部が不正変形すると、一見して変形がわかることから、外観に影響を与えることなく内圧変化に対応できることが望まれている。
また上記特許文献3に記載された底形状では、自立搬送に際して、底部の反転傾斜部を上方に押し込むための装置が別途必要である。さらに、底部の反転傾斜部を上方に押し込まずにグリッパー等で容器を保持搬送する場合には、装置が複雑になり、生産性に劣るおそれがある。
本発明の他の目的は、容器の内圧変化による容器の外観に変化がなく、容器の自立性が維持されると共に、搬送性や生産性にも優れた合成樹脂製容器を提供することである。
1.凹部が前記中央部から前記付け根まで連通していること、
2.凸部が、上げ底部の中央部外縁から外周側に向かって下方に傾斜する内方傾斜面、該内方傾斜面の外側端部から前記付け根に向かって上方に傾斜する外方傾斜面、及び前記内方傾斜面から凹部の方向に傾斜する側方傾斜面を有し、前記付け根に向かって幅広に形成されていること、
3.凹部が、V字形状を形成していること、
4.凸部が、中央部から外周側に向かって下方に傾斜する内方傾斜面、及び該内方傾斜面の外側端部から前記付け根に向かって上方に傾斜する外方傾斜面を有すること、
5.上げ底部の中央部が、上げ底部の外方又は内方に突出していること、
6.凸部の傾斜面の表面が粗面であること、
7.脚部の内周壁の表面が粗面であること、
が好適である。
また、前記凸部間に凹部が形成されていること、特にこの凹部の谷底部分の肉厚を低減して薄肉に形成することにより、隣り合う凸部がその間隔を狭めるように撓むため、上げ底部の変形が起こりやすい。従って、容器の減圧吸収時に内圧が変化して上げ底部に応力が作用すると、上げ底部が均一に変形しつつ、上方に向かって緩やか移動することが可能であり、安定して所望の減圧吸収能を発揮することができる。
更に、この上げ底部に前記凸部及び凹部が形成されることにより、上げ底部全体の保形性が向上するため、容器内に内容物が熱間充填されて、内容物の自重による荷重を受けつつ容器が暖められた場合でも、或いは充填された内容物の蒸気圧等により、容器内が大気圧を超える陽圧となった場合でも、上げ底部が容器外方に異常に膨出することが有効に防止されている。
本発明の合成樹脂製容器においては、減圧吸収に寄与しない環状の脚部が底部に形成されていることから、内圧変化が生じても容器の高さを常に一定に維持することが可能であると共に、容器の自立性が維持され、搬送性にも優れている。
また本発明の合成樹脂製容器においては、胴部に減圧吸収のためのパネルを形成する必要がないことから、外観特性を維持できると共に、ラベルの貼付も可能である。
図1に示す本発明の合成樹脂製容器1は、口部2、肩部3及び胴部4及び底部5から成り、胴部4は、肩部3から連なる上部胴部4a、底部に連なる下部胴部4b、上部胴部4a及び下部胴部4bの間に位置する中央胴部4cから成っている。
中央胴部4cは、周方向リブ6,6,6が平行且つ等間隔に3本形成され、胴部の機械的強度及び内圧変形に対する保形性が確保されている。またリブ6の部分を除いた外周面が軸方向にストレートに形成されており、ラベル(図示せず)を胴部に一周巻きつけることも可能である。
図に示す具体例では、下部胴部4bと底部5の間にもリブ7が形成され、胴部4及び底部5を明確に区画しているが、胴部及び底部は必ずしも明確に区画されていなくてもよい。
図1及び図4(A)から明らかなように、上げ底部9は、接地部8bよりも上方に位置し、且つ、環状の脚部8の付け根8dから上げ底部9の中央部10に向かって下方に突出した形状を有している。また図2及び図4(A)から明らかなように、上げ底部9の中央部10は、後述する凸部12,12・・・が連接する仮想円Cを外縁として、ほぼ平坦に形成されている。また、中央部10の中心部分には、中央部10の肉厚寸法よりも大とされた円10bで区画される厚肉部10bが形成されている。
本発明の合成樹脂製容器においては、図4に示す内圧変化に対応した底部の挙動から明らかなように、容器内が減圧状態になったときに、隣り合う凸部12,12・・・がその間隔を狭めるように撓むことで、凹部13,13・・・を含んだ上げ底部9全体が上方に向かって移動して、減圧吸収性能を発揮することが可能になる。
本発明の合成樹脂製容器において、減圧時に上げ底部9を均一且つ緩やかに上方に向かって移動させるためには、凹部13,13・・・の谷底部分の肉厚を低減して薄肉に形成することが望ましい。すなわち、凹部13,13・・・の谷底部分の肉厚を薄肉とすることで、減圧時に隣り合う凸部12,12・・・がその間隔を狭めるように撓み易くなり、凹部13,13・・・を含んだ上げ底部9全体を均一且つ緩やかに上方に向かって移動させることが可能になる。
また、この上げ底部9に凸部12,12・・・及び凹部13,13・・・が形成されることにより、上げ底部9全体の保形性が向上するため、容器1内に内容物が熱間充填されて、内容物の自重による荷重を受けつつ容器1が暖められた場合でも、上げ底部9が容器1外方に異常に膨出することが有効に防止されている。
ここで、凹部13,13・・・は、隣り合う凸部12,12・・・の側方傾斜面12dを側面として、谷底部分を有するU字形状となる。ここで好適には、凹部13,13・・・は、その谷底部分の肉厚を低減させて薄肉に形成することにより、上述したように上げ底部9を上方に向かって移動させることがより容易になる。
尚、凸部12の外側端部12bは明確な頂点として存在していなくてもよい。
本発明の合成樹脂製容器1においては、充填温度にかかわらず、内容物が充填された直後(B)においては、上げ底部9は内容物の自重により空の状態(A)よりも下方に移動するが、72℃という準高温で充填・密封された後に冷却され、減圧状態になった場合(C)には、上げ底部9は、空の状態(A)よりもやや上方に移動しているが、下方に突出した状態を維持している。また85℃という高温で充填・密封された後に冷却され、減圧状態になった場合(D)には、上げ底部9の中央部10は、環状の脚部8の付け根8dよりも上方に位置し、凸部12,12・・・の外側端部12bよりも内側が大きく上方にせり上がった形状になっている。
従って、これらの図を重ね合わせてなる図4(E)から明らかなように、本発明の合成樹脂製容器では、凸部12,12・・・の肉厚が均等となるよう形成された上げ底部9が緩やかに変形して容器内方にせり上がった状態になることによって、所望の減圧吸収能を発揮することができる。また高温充填の場合でも、上げ底部9は一気に反転することなく、緩やかに変形し、最終的には、上げ底部の外側端部12bよりも内側が大きく上方にせり上がった状態となるので、従来の底部減圧能を有する合成樹脂製容器に比して上げ底部9の上下方向の変化は緩やかであって、容器底部の負荷を低減することができる。
すなわち、図に示した具体例では、凸部12,12・・・及び凹部13,13・・・は、それぞれ8個形成されていたがこれに限定されるものではなく、上げ底部9の径にもよるが、4乃至12個の範囲にあることが、上げ底部の可動領域を増加してより大きな減圧吸収性能を発揮する上で望ましい。前述の個数が4個未満であると、上記範囲にある場合に比して減圧時の撓み幅が小さくなって減圧性能が低下するおそれがあり、前述の個数が12個を越えると、上記範囲にある場合に比して凹部13,13・・・の幅が小さくなり成形が困難になるおそれがある。
また凹部13,13・・・の谷底部分の幅は、上述したように狭いことが望ましく、凹部13,13・・・の形状がV字形状であれば、V字の頂点(谷底)部分の肉厚を低減させて薄肉とできることから、更に効果的である。
また凸部12,12・・・は、隣り合う凸部12,12・・・がその間隔を狭めるように撓み可能である限り、図に示された形状に限定されないが、大きな内圧変化にも対応し得る可動領域を確保するためには、図に示した具体例のように、頂部が下方且つ外周側に突出した形状であることが好適である。
更に、図に示した具体例では、上げ底部9の中央部10は、ほぼ平坦に形成されているが、上げ底部9の外方又は内方に突出していてもよく、これにより、中央部10をより薄肉化することが可能となって、より大きな減圧吸収性能を発揮することができる。
更に、凸部12,12・・・の頂部をつなぐ円が、上げ底部9の外径の60乃至90%の径を有することが好適である。尚、本実施形態では、前記円が上げ底部9の外径の75%の径となっている。上げ底部9の外径の60%未満であると、上記範囲にある場合に比して減圧時の撓み幅が小さくなって減圧性能が低下するおそれがあり、上げ底部9の外径の90%を越えると、上記範囲にある場合に比して内周壁との角度が急になり成形が困難になるおそれがある。
また、本発明の合成樹脂製容器においては、底部の厚みが、胴部の最も薄い部分における厚みと同等或いはそれ以下であることが、好適であり、上げ底部の径にもよるが、0.2乃至0.3mmの範囲に薄肉化されていることが望ましい。
延伸ブロー成形においては、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂から成るプリフォームを上述した底部形状を容器底部に賦形可能な底金型を用いて成形する。
この際、凸部12,12・・・及び凹部13,13・・・から成る凹凸形状が底部に賦形されることから、底金型の離型性を向上するために底金型は粗面を有していることが好適である。特に、上げ底部9の表面、すなわち、凸部12,12・・・の内方傾斜面12a、外側端部(頂部)12b、外方傾斜面12c、及び側方傾斜面12d及び凹部13,13・・・の表面、更には環状の脚部8の内周壁8cに相当する部分が、凹凸が入り組み、型抜きが困難になるおそれがあることから、上記箇所に対応する底金型の部分を粗面とすることが離型性の点から好ましい。従って、成形された合成樹脂製容器においても、かかる底金型と接触する、上げ底部9の表面、更には環状の脚部8の内周壁8cの表面が粗面に形成される。
また上記熱可塑性ポリエステル樹脂の単層のみならず、上記熱可塑性ポリエステル樹脂とガスバリヤー性樹脂又は酸素吸収性樹脂との多層構造であっても良く、高温での熱間充填に耐え得る耐熱性を付与すべく、用いるプリフォームの口部は熱結晶化されていることが好ましい。
また延伸ブロー成形条件も、上述した形状を底部に付与可能な底金型を使用し得る限り、従来公知の成形条件で成形でき、一段ブロー成形の他、二段ブロー成形によっても成形することができ、耐熱性の見地から熱固定されていることが好適である。
またこのような内容物以外にも、比較的高温で熱間充填される内容物に対しても適用可能である。
Claims (8)
- 底部が減圧吸収性能を有する合成樹脂容器であって、該底部には、胴部から連なる外周壁、接地部及び内周壁から成る環状の脚部が形成され、且つ該脚部の内周壁よりも内側が、前記接地部よりも上方に位置する上げ底部として形成されており、該上げ底部は、前記脚部の内周壁との付け根よりも下方に突出していると共に、上げ底部の中央部外縁から外周側に向かって外方に突出する複数の凸部、及び該凸部の間に形成される凹部が周方向且つ等間隔に形成されていることを特徴とする合成樹脂製容器。
- 前記凹部が前記中央部から前記付け根まで連通している請求項1記載の合成樹脂製容器。
- 前記凸部が、上げ底部の中央部外縁から外周側に向かって下方に傾斜する内方傾斜面、該内方傾斜面の外側端部から前記付け根に向かって上方に傾斜する外方傾斜面、及び前記内方傾斜面から凹部の方向に傾斜する側方傾斜面を有し、前記付け根に向かって幅広に形成されている請求項1又は2記載の合成樹脂製容器。
- 前記凹部が、V字形状を形成する請求項1乃至3の何れかに記載の合成樹脂製容器。
- 前記上げ底部の中央部が、上げ底部の外方又は内方に突出している請求項1乃至4の何れかに記載の合成樹脂製容器。
- 前記凸部の表面が粗面である請求項1乃至5の何れかに記載の合成樹脂製容器。
- 前記凹部の表面が粗面である請求項1乃至6の何れかに記載の合成樹脂製容器。
- 前記脚部の内周壁の表面が粗面である請求項1乃至7の何れかに記載の合成樹脂製容器。
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