JP5970839B2 - 合成樹脂製容器 - Google Patents
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しかしながら、上述したような調味料等の内容物においては、ガラス瓶にロールラベルを貼付するという、長年使用されてきた商品外観のイメージを維持することが要求されており、胴部に減圧吸収のためのパネル部を設けることはラベル貼付ができないことから望ましくない。また減圧のために胴部が不正変形すると、一見して変形がわかることから、外観に影響を与えることなく内圧変化に対応できることが望まれている。
また上記特許文献3に記載された底形状では、自立搬送に際して、底部の反転傾斜部を上方に押し込むための装置が別途必要である。さらに、底部の反転傾斜部を上方に押し込まずにグリッパー等で容器を保持搬送する場合には、装置が複雑になり、生産性に劣るおそれがある。
本発明の他の目的は、容器の内圧変化による容器の外観に変化がなく、容器の自立性が維持されると共に、搬送性や生産性にも優れた合成樹脂製容器を提供することである。
1.上げ底部の中央部が、上げ底部の外方又は内方に突出していること、
2.湾曲膨出部の表面が粗面であること、
3.脚部の内周壁の表面が粗面であること、
が好適である。
また、上げ底部に、隣り合う多数の湾曲膨出部、及びこの湾曲膨出部に径方向にかけて複数の膨出部分が形成されることで、上げ底部の移動時に発生する上げ底部への圧縮力の影響を緩和することが可能となる。これにより、容器の減圧吸収時に内圧が変化して上げ底部に応力が作用すると、上げ底部が均一に撓み変形しつつ、容器内方に向かって緩やかに移動することが可能となって、安定して所望の減圧吸収能を発揮することができる。
また、前記湾曲膨出部に径方向にかけて複数の膨出部分が形成されていることにより、上げ底部が中央部から外周側に向かって段階的に変形し易くなると共に、上げ底部を上方に大きく移動させることができ、大きな内圧変化に対応し得る。
更に、前記上げ底部が、湾曲膨出部を形成する径方向の溝(交線)、又は複数の膨出部分が径方向及び周方向の溝(交線)によって区画されていることにより、上げ底部全体の保形性が向上するため、容器内に内容物が熱間充填されて、内容物の自重による荷重を受けつつ容器が暖められた場合でも、或いは充填された内容物の蒸気圧等により、容器内が大気圧を超える陽圧となった場合でも、上げ底部が容器外方に異常に膨出することが有効に防止されている。
また、上げ底部に形成された湾曲膨出部の表面、環状の脚部の内側面の表面が粗面に形成されていること、すなわち本発明の合成樹脂製容器を成形する際に用いる底金型に、粗面加工が施されていることにより、複雑な形状の底部であっても離型性を向上することができ、生産性にも優れている。
本発明の合成樹脂製容器においては、減圧吸収に寄与しない環状の脚部が底部に形成されていることから、内圧変化が生じても容器の高さを常に一定に維持することが可能であると共に、容器の自立性が維持され、搬送性にも優れている。
また本発明の合成樹脂製容器においては、胴部に減圧吸収のためのパネルを形成する必要がないことから、外観特性を維持できると共に、ラベルの貼付も可能である。
図1に示す本発明の合成樹脂製容器1(以下、容器1とも称する)は、口部2、肩部3、胴部4及び底部5から成り、胴部4は、肩部3から連なる上部胴部4a、底部に連なる下部胴部4b、上部胴部4a及び下部胴部4bの間に位置する中央胴部4cから成っている。
中央胴部4cは、周方向リブ6,6,6が平行且つ等間隔に3本形成され、胴部の機械的強度及び内圧変形に対する保形性が確保されている。またリブ6の部分を除いた外周面が軸方向にストレートに形成されており、ラベル(図示せず)を胴部に一周巻きつけることも可能である。
図に示す具体例では、下部胴部4bと底部5の間にもリブ7が形成され、胴部4及び底部5を明確に区画しているが、胴部及び底部は必ずしも明確に区画されていなくてもよい。
図1及び図3(A)から明らかなように、上げ底部9は、接地部8bよりも上方に位置し、且つ、環状の脚部8の付け根8dから上げ底部9の中央部10に向かって下方に突出した形状を有している。
また図2及び図3(A)から明らかなように、上げ底部9の中央部10はほぼ平坦に形成され、その外縁に後述する湾曲膨出部12,12・・・が連接されている。また、中央部10の中心部分には、中央部10の肉厚寸法よりも厚肉に形成された円10aで区画される厚肉部10bが形成されている。
ここで、湾曲膨出部12、及び湾曲膨出部12に形成される複数の膨出部分12a,12b,12cを区画する径方向の溝13,13・・・、周方向の溝14,14・・・、及び前記径方向及び周方向の溝が交差する点である交点15,15・・・は、隣り合う多数の湾曲膨出部12及び膨出部分12a,12b,12cが撓む際の基点として作用する。
尚、膨出部分12a,12b,12cとは、周方向に連接する湾曲膨出部12に対し、上げ底部9の中央部10から外周側に向かって、a〜cの表記を付加したものである。
また、上げ底部9に、隣り合う多数の湾曲膨出部12、及びこの湾曲膨出部12に径方向にかけて複数の膨出部分12a,12b,12cが形成されることで、上げ底部9の移動時に発生する上げ底部9への圧縮力の影響を緩和することが可能となる。これにより、容器1の減圧吸収時に内圧が変化して上げ底部9に応力が作用すると、上げ底部9が均一に撓み変形しつつ、容器1内方に向かって緩やかに移動することが可能となって、安定して所望の減圧吸収能を発揮することができる。
更に、前記上げ底部9が、湾曲膨出部12を形成する径方向の溝13,13・・・、又は複数の膨出部分12a,12b,12cが径方向の溝13,13・・・及び周方向の溝14,14・・・によって区画されていることにより、上げ底部9全体の保形性が向上するため、容器1内に内容物が熱間充填されて、内容物の自重による荷重を受けつつ容器1が暖められた場合でも、或いは充填された内容物の蒸気圧等により、容器1内が大気圧を超える陽圧となった場合でも、上げ底部9が容器1外方に異常に膨出することが有効に防止されている。
また、本発明の合成樹脂製容器においては、前述した通り、径方向の溝13,13・・・、周方向の溝14,14・・・、及び交点15,15・・・が、複数の膨出部分12a,12b,12cが形成された湾曲膨出部12を有する上げ底部9が撓んで減圧吸収能を発揮する際の基点となることから、径方向の溝13,13・・・、周方向の溝14,14・・・、及び交点15,15・・・の部分の肉厚を低減させて薄肉に形成することが望ましい。これにより、上げ底部9が更に撓み易くなって、上げ底部9を容器1内方に向かって移動させることがより容易になる。
本発明の合成樹脂製容器においては、充填温度にかかわらず、内容物が充填された直後(B)においては、上げ底部9は内容物の自重により空の状態(A)よりも下方に移動するが、72℃という準高温で充填・密封された後に冷却され、減圧状態になった場合(C)には、上げ底部9は、空の状態(A)よりもやや上方に移動しているが、下方に突出した状態を維持している。また85℃という高温で充填・密封された後に冷却され、減圧状態になった場合(D)には、上げ底部9の中央部10は、環状の脚部8の付け根8dよりも上方に位置し、膨出部分12bよりも内側が大きく上方にせり上がった形状になっている。
従って、これらの図を重ね合わせてなる図3(E)から明らかなように、本発明の合成樹脂製容器では、減圧吸収能を発揮する際に、上げ底部9の湾曲膨出部12自体が反転することなく、更に上げ底部9の中心側の膨出部分12aから12cにかけて、上げ底部9が容器内方にせり上がるように段階的に変形することで、従来の底部減圧吸収能を有する合成樹脂製容器に比して上げ底部9の上下方向の変化は緩やかなものとなると共に、上げ底部9を上方に大きく移動させることができ、大きな内圧変化に対応し得る。これにより、底部変形による容器底部の負荷を軽減しつつ、所望の減圧吸収能を発揮することができる。
すなわち、図に示した具体例では、湾曲膨出部12は周方向に12個(径方向の溝の本数が12本)、膨出部分は13a,13b、13cと3個(周方向の溝の本数が2本)形成されていたが、これに限定されるものではなく、上げ底部9の径にもよるが、周方向に6乃至24個の範囲(径方向の溝の本数が6本乃至24本の範囲)、径方向に2乃至6個の範囲(周方向の溝の本数が1本乃至5本の範囲)にあることが、上げ底部9の表面積を増加すると共に薄肉化することによって、大きな内圧変化にも対応し得る可動領域を確保すると共に、成形性の点から望ましい。
ここで、湾曲膨出部の周方向の個数が6個未満であると、上記範囲にある場合に比して上げ底部が撓む際の基点となる径方向の溝が効果的に形成されないおそれがあり、湾曲膨出部の周方向の個数が24個を越えると、上記範囲にある場合に比して径方向の溝が浅くなることで上げ底部が撓み辛くなり、減圧吸収能が低下するおそれがある。また、膨出部分の径方向の個数が6個を越えると、上記範囲にある場合に比して上げ底部に形成された形状の自由度が高くなり、減圧変形時に不均一な(例えば非対称な)変形を招くおそれがある。
尚、湾曲膨出部の形状は、上げ底部を上記範囲の数で分割することから、上げ底部の形状に左右される。
また、図に示した具体例では、上げ底部9の中央部10は、ほぼ平坦に形成されているが、上げ底部の外方又は内方に突出していてもよく、これにより、中央部をより薄肉化することが可能となって、より大きな減圧吸収性能を発揮することができる。
更に、本発明の合成樹脂製容器においては、底部の厚みが、胴部の最も薄い部分における厚みと同等或いはそれ以下であることが、好適であり、上げ底部の径にもよるが、0.2乃至0.3mmの範囲に薄肉化されていることが望ましい。
ここで、垂直距離h1が3mm未満であると、熱間充填時の熱変形により、上げ底部が接地部より突出してしまうおそれがあり、また、垂直距離h1が15mmを越えると、底部成形が困難となるおそれがある。
また、垂直距離h2が2mm未満であると、前述の場合と同様に、熱間充填時の熱変形により、上げ底部が接地部より突出してしまうおそれがあり、また、前記垂直距離h1と垂直距離h2の距離を5mm以上確保することが上げ底部9が減圧吸収能を発揮するために好適であることから、垂直距離h2が10mmを越えないことが好ましい。
延伸ブロー成形においては、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂から成るプリフォームを上述した底部形状を容器底部に賦形可能な底金型を用いて成形する。
この際、湾曲膨出部12,12・・・及び複数の膨出部分12a,12b,12cを区画する径方向の溝13,13・・・、周方向の溝14,14・・・から成る凹凸形状が底部に賦形されることから、底金型の離型性を向上するために底金型は粗面を有していることが好適である。特に、湾曲膨出部12,12・・・の表面、及び環状の脚部8の内周壁8cに相当する部分が、凹凸が入り組み、型抜きが困難になるおそれがあることから、上記箇所に対応する底金型の部分を粗面とすることが離型性の点から好ましい。従って、成形された合成樹脂製容器においても、かかる底金型と接触する、湾曲膨出部12,12・・・の表面及び環状の脚部8の内周壁8cの表面が粗面に形成される。
また上記熱可塑性ポリエステル樹脂の単層のみならず、上記熱可塑性ポリエステル樹脂とガスバリヤー性樹脂又は酸素吸収性樹脂との多層構造であっても良く、高温での熱間充填に耐え得る耐熱性を付与すべく、用いるプリフォームの口部は熱結晶化されていることが好ましい。
また延伸ブロー成形条件も、上述した形状を底部に付与可能な底金型を使用し得る限り、従来公知の成形条件で成形でき、一段ブロー成形の他、二段ブロー成形によっても成形することができ、耐熱性の見地から熱固定されていることが好適である。
またこのような内容物以外にも、比較的高温で熱間充填される内容物に対しても適用可能である。
Claims (4)
- 底部に胴部から連なる外周壁、接地部及び内周壁から成る環状の脚部、及び該脚部の内周壁よりも内側が、前記接地部よりも上方に位置する上げ底部が形成された合成樹脂製容器であって、該上げ底部は、前記脚部の内周壁との付け根よりも下方に突出していると共に、前記上げ底部の中央部外縁から外周側に向って幅広となり、且つ、径方向にかけて複数の略球状の膨出部分が形成された複数の湾曲膨出部が、周方向に連接する状態で等分に形成されていることを特徴とする合成樹脂製容器。
- 前記上げ底部の中央部が、上げ底部の外方又は内方に突出している請求項1記載の合成樹脂製容器。
- 前記湾曲膨出部の表面が粗面であること請求項2記載の合成樹脂製容器。
- 前記脚部の内周壁の表面が粗面であること請求項1乃至3の何れかに記載の合成樹脂製容器。
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