JP2013143936A - 有機酸および/またはその塩類の風味改善方法、ならびに食品添加剤の製造方法および食品添加剤 - Google Patents

有機酸および/またはその塩類の風味改善方法、ならびに食品添加剤の製造方法および食品添加剤 Download PDF

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Abstract

【課題】制菌効果などの食品用添加素材として有用な有機酸および/またはその塩類が固有に有する呈味を保持または向上しつつ、かつ当該有機酸およびその塩類が副次的に有する不快味を解消または低減し得る、有機酸および/またはその塩類の呈味改善方法、ならびに食品添加剤の製造方法および食品添加剤を提供すること。
【解決手段】 有機酸および/またはその塩類を燻煙で処理する工程を含む、有機酸および/またはその塩類の呈味改善方法を開示する。本発明によれば、有機酸および/またはその塩類の制菌効果を維持しつつ、固有の良好な味を保ち、不快味および不快臭を抑制することができる。得られた食品添加剤は、食品製造、調理等の種々の分野において有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機酸および/またはその塩類の風味改善方法、ならびに食品添加剤の製造方法および食品添加剤に関し、より詳細には、有機酸および/またはその塩類を含有する食品添加剤の呈味を改善させた、有機酸およびその塩類の呈味改善方法、ならびに食品添加剤の製造方法および食品添加剤に関する。
クエン酸、酢酸ナトリウムなどの有機酸およびその塩類は、食品のpH調整や制菌効果による保存性向上などのために用いられることが多いが、特有の酸味、酸臭、塩味、渋味を伴う。
有機酸およびその塩類の風味改善は従来より検討され、例えば、特許文献1は、有機酸アルカリ性塩や有機酸中性塩による酸味抑制効果を開示し、特許文献2は、発酵物を含む発酵乳食品の酢酸臭、発酵臭などの不快臭を抑制し、その風味を改善するために、糖や糖アルコールを添加した発酵乳食品を開示している。しかしながら、従来より検討されている方法は、アミノ酸、核酸などの調味成分との併用や、有機酸に対する有機酸塩の中和的な作用を利用するものであり、他の味が加わったり、有機酸のpHが上昇してその制菌効果にマイナスに作用するなど弊害が生じるような方法であり、十分な方法とはいえない。
特開2011−155858号公報 特開2002−95409号公報
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、制菌効果などの食品用添加素材として有用な有機酸およびその塩類が固有に有する呈味を保持または向上しつつ、かつ当該有機酸およびその塩類が副次的に有する不快味を解消または低減し得る、有機酸および/またはその塩類の呈味改善方法、ならびに食品添加剤の製造方法および食品添加剤を提供することにある。
本発明者らは、有機酸および/またはその塩類を燻煙処理することによって、有機酸およびその塩類の制菌効果を維持しつつ不快味や不快臭を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、有機酸および/またはその塩類を燻煙で処理する工程を含む、有機酸および/またはその塩類の呈味改善方法である。
1つの実施態様では、上記有機酸および/またはその塩類は、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、酒石酸、アスコルビン酸、およびアミノ酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸である。
1つの実施態様では、上記有機酸および/またはその塩類は、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、および鉄塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩である。
本発明はまた、有機酸および/またはその塩類を燻煙で処理する工程を含む、食品添加剤の製造方法である。
1つの実施態様では、上記有機酸および/またはその塩類は、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、酒石酸、アスコルビン酸、およびアミノ酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸である。
1つの実施態様では、上記有機酸および/またはその塩類は、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、および鉄塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩である。
本発明はまた、上記で得られた食品添加剤を含有する、食品である。
本発明によれば、制菌効果を有する食品用添加素材として有用な有機酸およびその塩類が固有に有する呈味を保持または向上しつつ、かつ有機酸およびその塩類の不快味を解消または低減させた食品添加剤を提供することができる。その結果、各種の食品製造および調理に際し、製造される食品、料理等において当該有機酸およびその塩類固有の呈味を一層活かすことができる。本発明の食品添加剤は身体にとって安全であり、その製造においては複雑な製造設備を必要とせず、製造従事者にとって安全な環境で製造することができる。
実施例1で得られた燻煙処理した酢酸ナトリウムについて、ガスクロマトグラフ質量分析にかけた際(実施例19)の当該燻煙処理した酢酸ナトリウムのスペクトルを示すグラフである。
まず、本発明の食品用有機酸および/またはその塩類の呈味改善方法について説明する。
本発明においては、有機酸およびその塩類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が燻煙で処理される。
本発明に用いられる有機酸および/またはその塩類は、食品製造分野または調理分野において一般に使用され得る食品用あるいは食用の有機酸および/またはその塩類あるいはそれらの組合せである。
本発明において、有機酸の1つの例としては、特に限定されないが、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、および乳酸ならびにそれらの組合せが挙げられる。
1つの実施態様では、本発明に用いられる有機酸の他の例としては、アミノ酸が挙げられる。アミノ酸の例としては、特に限定されないが、グリシン、アラニン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、リシン、アスパラギン酸、およびアルギニンならびにそれらの組合せが挙げられる。
1つの実施態様では、本発明に用いられる有機酸の他の例としては、不飽和脂肪酸が挙げられる。不飽和脂肪酸の例としては、特に限定されないが、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、ドコサペンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、およびエイコサペンタエン酸(EPA)ならびにそれらの組合せが挙げられる。
1つの実施態様では、有機酸のうち、常温にて液体のものを燻煙処理する場合、特に限定されないが、例えば、吸着剤(デキストリン、でん粉等)に吸着(吸着粉末化)させたものを燻煙処理してもよい。
有機酸の塩類の例としては、特に限定されないが、例えば、上記有機酸のナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、および鉄塩ならびにそれらの組合せが挙げられる。
あるいは、本発明において、有機酸の塩類の具体的な例としては、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、フマル酸ナトリウム、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸水素カリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、およびアスパラギン酸ナトリウムならびにそれらの組合せが挙げられる。
すなわち、本発明の呈味改善方法においては、上記有機酸および/またはその塩類は1種またはそれ以上を組み合わせたものが使用され得る。複数の有機酸および/またはその塩類を組み合わせる場合の量比は特に限定されず、当業者がその使用目的に応じて任意に設定することができる。
本発明において、有機酸および/またはその塩類の燻煙処理は、例えば燻煙を充満させた空間にこのような有機酸および/またはその塩類を一定時間配置することにより行われる。
燻煙は、例えば、燻煙材を高温下で加熱することにより発生する煙であって、燻煙材に含まれる種々の化学的成分から構成されるものである。燻煙の発生は、有機酸および/またはその塩類を処理する閉鎖空間と同じ空間内で行われてもよく、あるいは燻煙を発生させる空間は燻煙を充満させる空間とは異なる空間で行われてもよい。この場合、燻煙は燻煙を発生させる空間から燻煙を充満させる空間に配管などを介して導入される。
燻煙を充満させる空間の大きさは、特に限定されない。燻煙処理は、例えば、閉鎖空間で行われ得るが、燻煙の排気口を備えた空間(例えば燻製装置内)で行われてもよい。
有機酸および/またはその塩類の燻製処理は、例えば、回転式ドラムに有機酸および/またはその塩類を仕込んだ燻製装置においてドラムを回転しながら(すなわち適度に攪拌された環境下で)行われてもよい。攪拌すると、均一に燻煙処理された有機酸および/またはその塩類を含む食品添加剤などを一度に多く得ることができる。さらに、燻煙を充満させる空間の省スペース化を図ることもできる。攪拌手段としては、必ずしも上記に限定されず、例えば、当業者に公知の機械式攪拌手段、送風式攪拌手段が用いられてもよい。
燻煙材としては、特に限定されず、例えば、オーク、ヒッコリー、サクラ、ナラ、リンゴ、ブナ、クヌギ、クルミ、ならびにこれらの組合せのような木材が挙げられる。燻煙材の種類および/または組合せは、後述する本発明の呈味が改善された食品添加剤およびそれを配合させた食品の呈味を考慮して、適宜選択することができる。なお、燻煙材には、上記木材の樹皮を除いた木質部を粉砕し、得られた粉末を棒状に固めたスモークウッド、および/または木質部を粒状に細かくしたスモークチップを用いてもよい。
燻煙を充満させた空間の燻煙の濃度は特に限定されない。
燻煙を充満させた空間の温度は、特に限定されず、例えば、10℃〜140℃であり、好ましくは20℃〜90℃である。10℃未満の場合、燻煙が液化して木酢液を生じ、有機酸塩と一緒になってペースト状になることがあり、140℃を超えると、燻煙量が多くなりすぎて、所望でない風味となることがある。
有機酸および/またはその塩類は、必ずしも限定されないが、一定の粒度に整粒されたものを用いることが望ましい。粒径は、特に限定されず、例えば、10メッシュ〜400メッシュであり、好ましくは20メッシュ〜100メッシュである。粒径が10メッシュ未満の場合、呈味の偏りが出やすく、400メッシュを超えると、有機酸および/またはその塩類の粉末が上記のような攪拌下での燻煙の際に飛散し易くなって現実的な作業に適さなくなるおそれがある。なお、上記メッシュサイズは、日本工業規格(JIS Z8801)による。
燻煙を充満させた空間で有機酸および/またはその塩類を処理する時間(燻煙時間)は、一度に処理する有機酸および/またはその塩類の量、燻煙濃度、処理する空間容積等によって変動するため、必ずしも限定されないが、例えば、10分〜5時間であり、好ましくは10分〜3時間であり、より好ましくは20分〜2時間30分である。有機酸および/またはその塩類を攪拌する場合、好ましくは30分〜2時間30分であり、有機酸およびその塩類のすべての粒子が燻煙に接することができるように薄く広げて静置する場合、好ましくは20分〜40分である。燻煙時間がこのような時間内に設定されることにより、製造効率を良好に保持したまま、燻煙臭が適度に抑制され、有機酸およびその塩類に良好な呈味を付与することができる。
このようにして有機酸および/またはその塩類の呈味を改善することができる。
次に、本発明の食品添加剤の製造方法について説明する。
この食品添加剤の製造方法においては、有機酸および/またはその塩類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が燻煙で処理される。
本発明の製造方法において、有機酸および/またはその塩類には、上記有機酸および/またはその塩類の呈味改善方法で使用する有機酸および/またはその塩類を使用することができる。
本発明において、有機酸の1つの例としては、特に限定されないが、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、および乳酸ならびにそれらの組合せが挙げられる。
1つの実施態様では、本発明に用いられる有機酸の他の例としては、アミノ酸が挙げられる。アミノ酸の例としては、特に限定されないが、グリシン、アラニン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、リシン、アスパラギン酸、およびアルギニンならびにそれらの組合せが挙げられる。
有機酸の塩類の例としては、特に限定されないが、例えば、上記有機性のナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、および鉄塩ならびにそれらの組合せが挙げられる。
1つの実施態様では、本発明に用いられる有機酸の他の例としては、不飽和脂肪酸が挙げられる。不飽和脂肪酸の例としては、特に限定されないが、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、ドコサペンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、およびエイコサペンタエン酸(EPA)ならびにそれらの組合せが挙げられる。
1つの実施態様では、有機酸のうち、常温にて液体のものを燻煙処理する場合、特に限定されないが、例えば、吸着剤(デキストリン、でん粉等)に吸着(吸着粉末化)させたものを燻煙処理してもよい。
さらに、有機酸の塩類の具体的な例としては、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、フマル酸ナトリウム、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸水素カリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、およびアスパラギン酸ナトリウムならびにそれらの組合せが挙げられる。
すなわち、本発明の製造方法においては、上記有機酸および/またはその塩類は1種またはそれ以上を組み合わせたものが使用され得る。複数の有機酸および/またはその塩類を組み合わせる場合の量比は特に限定されず、当業者がその使用目的に応じて任意に設定することができる。
さらに、本発明の製造方法において、燻煙処理の方法、燻煙のための温度、時間および使用する燻煙材の種類等は上記有機酸および/またはその塩類の呈味改善方法で使用するものと同様である。
有機酸および/またはその塩類は1種またはそれ以上を組み合わせたものが使用される場合、有機酸および/またはその塩類を燻煙処理した後に混合してよく、あるいは、有機酸および/またはその塩類を混合した後に燻煙処理を行ってもよい。複数の有機酸および/またはその塩類を組み合わせる場合の量比は特に限定されず、当業者がその使用目的に応じて任意に設定することができる。
このようにして、食品添加剤を製造することができる。
本発明の製造方法により得られた食品添加剤は、主成分として有機酸および/またはその塩類を含有するが、当該有機酸および/またはその塩類が有していた不快味が解消または低減され、当該有機酸およびその塩類が固有に有する呈味が改善されたものである。本発明の製造方法により得られる呈味が改善された食品添加剤は、例えば、10ppm〜1000ppmの燻煙成分を含有する。
本発明の風味が改善された食品添加剤は、各種食品に添加して用いることができる。このような食品添加剤が使用され得る食品としては、例えば、ハム・ソーセージ、ハンバーグ、唐揚げ、天ぷら、煮物、卵焼き、サラダ、魚肉すりみ、魚介類加工品、フライ(コロッケ・トンカツ)が挙げられる。食品に添加する風味が改善された食品添加剤の割合は、特に限定されず、例えば、食品100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部であり、好ましくは0.2質量部〜2質量部である。0.1質量部未満の場合、食品添加剤としての十分な効果が得られず、5質量部を超えると、食品によっては、食品の風味を損なうことがある。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜12および比較例1〜5:有機酸および/またはその塩類の燻煙処理1)
回転ドラム式燻製装置(300L容量)を用いて、粉末酢酸(酢酸ナトリウム70質量部に酢酸30質量部を含有させたもの)(粒径80メッシュ)20kgおよび酢酸ナトリウム(粒径80メッシュ)20kgをそれぞれ燻煙処理した。燻煙材としては、サクラ、ホワイトオーク、ヒッコリーのスモークチップ各1kgを用いた。40℃にて2時間燻煙処理した。
(燻煙処理した有機酸および/またはその塩類の評価用ソーセージの調製)
表1の配合に従って、豚もも肉をミンサーで挽き、これにリン酸塩(ポリリン酸ナトリウム:ピロリン酸ナトリウム=2:1)、食塩、グルコース、アスコルビン酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、および水を合わせてフードカッターにて60秒間混合した。次いで、豚脂を添加して40秒間混合し、香辛料(黒胡椒およびナツメグ)を添加した。そして、上記燻煙処理した粉末酢酸および/または酢酸ナトリウムを表2−1および2−2に記載の配合割合で混合した製剤を制菌剤として添加して30秒間混合し、小麦澱粉を添加して30秒間混合した。混合物をケーシングに充填して結さく後、煮沸湯に入れて85℃にて40分間煮た。冷却後、保存試験および官能評価に供した。比較例として、燻煙処理していない(未処理の)粉末酢酸および/または酢酸ナトリウムを表2−3に記載の配合割合で混合した製剤を制菌剤として添加して、上記同様に保存試験および官能評価に供した。結果を表2−1から2−3に示す。
(保存試験)
ソーセージ表面に細菌ロイコノストック・メセンティディス(Leuconosutoc mesenteroides)の菌液を100個/gになるように接種し、ソーセージを10℃にて保存し、所定日数ごとにサンプリングして菌数を測定した。
Figure 2013143936
Figure 2013143936
Figure 2013143936
Figure 2013143936
表2−1から2−3より明らかなように、燻煙処理した酢酸ナトリウムや粉末酢酸などを含む製剤の添加により全体的に酢酸ナトリウムの酸味、酸臭が低減し、肉らしい風味が増した。また、燻煙材の差異としては、ホワイトオーク、ヒッコリーでは燻煙臭が強く、サクラではややマイルドな風味であった。一方、燻煙処理した酢酸ナトリウムや粉末酢酸などを含む製剤を添加したソーセージは、未処理の酢酸ナトリウムや粉末酢酸などを含む製剤を添加したソーセージと同様に保存することができた。
(実施例13〜18および比較例6〜9:有機酸およびその塩類の燻煙処理2)
自家製小型燻製装置(燻煙を発生させる空間(A):30×16×16cm(縦×横×奥行);燻煙を充満させる空間(B):29×30×28cm(縦×横×奥行);Bの背面にファンがついており、Aで発生する燻煙を、パイプを通してBに送り込み、Bで燻煙を充満させるとともに煙突から排気する)を用いて、クエン酸、グリシン、または酢酸ナトリウム、クエン酸、グリシンおよびデキストリン(燻煙処理する前に表4−1の実施例17または18に記載の配合割合で混合した)製剤各30g(粒径20〜100メッシュ)を燻煙処理した。燻煙材としては、サクラまたはホワイトオークのスモークチップ各80gを用いた。40℃にて20分間燻煙処理した。
(燻煙処理した有機酸および/またはその塩類の評価用煮物の調製)
表3の配合に従って、調味液を調製し、この調味液1質量部に対し、冷凍里芋1質量部を浸漬し、真空パック後、90℃にて60分間加熱した。冷却して開封後、保存試験および官能評価に供した。比較例として、未処理のクエン酸、グリシン、または酢酸ナトリウム、クエン酸、グリシンおよびデキストリン(表4−2に記載の配合割合で混合した)製剤を制菌剤として添加して、上記同様に保存試験および官能評価に供した。結果を表4−1および4−2に示す。
(保存試験)
煮物表面に枯草菌(Bacillus subtilis)の菌液を10cfu/gになるように接種し、煮物を25℃にて48時間保存し、24時間ごとにサンプリングして菌数を測定した。
Figure 2013143936
Figure 2013143936
Figure 2013143936
表4−1および4−2から明らかなように、燻煙処理したクエン酸は未処理のクエン酸よりも酸味が低減し、後味に酸味が残らなかった。また、燻煙処理したグリシンは未処理のグリシンよりも甘味が低減し、後味にクドさが残らなかった。さらに、燻煙処理した酢酸ナトリウム、クエン酸、グリシンおよびデキストリン混合製剤は未処理の製剤のような酸味、酸臭がなく、おいしさが感じられた。一方、燻煙処理したクエン酸、グリシン、または酢酸ナトリウム、クエン酸、グリシンおよびデキストリン(燻煙処理する前に表4−1に記載の配合割合で混合した)製剤を添加した煮物は、未処理のクエン酸、グリシン、製剤を添加した煮物と同様に保存することができた。
(実施例19:燻煙処理した酢酸ナトリウムのガスクロマトグラフ質量分析)
実施例1で得られた燻煙処理した酢酸ナトリウム(試料)30gを、500ml容量のヘッドスペースボトルに入れ、このボトルにアルコール用NeedlEX(信和化工株式会社製濃縮用注射針)を挿入した。次いで、このボトルを70℃で1時間インキュベートした後、NeedlEX取り出し、この注射針で濃縮採取した試料を、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−17A,MS−QP5050(株式会社島津製作所製))で分析した。
このガスクロマトグラフ質量分析におけるその他の分析条件、昇温プログラムおよびキャリアガス条件はそれぞれ以下の通りであった:
<その他の分析条件>
カラム:DB−1(60m×0.32mm,i.d. 1μmフィルム;J&W Scientific製)
スプリット分析
<昇温プログラム>
イニシャル温度:50℃
イニシャル時間:1分
昇温時間:10℃/分
ファイナル温度:300℃
ファイナル時間:1分
<キャリアガス>
カラム入口圧:100kPa
カラム流量:2.3mL/分
線速度:38.8cm/秒
全流量:51.3mL/分
得られた結果を図1および表5に示す。
Figure 2013143936
図1に示されるように、実施例1で得られた燻煙処理した酢酸ナトリウムには、燻煙により数多くの化合物が酢酸ナトリウムに担持されており、かつ表5に示されるような物質が、燻煙処理によって特に顕著に担持されたことがわかる。また、この結果と、上記実施例に示す図1ならびに表2−1、2−2、2−3、4−1および4−2の結果とを考慮すると、燻煙処理によって、制菌効果を維持しつつ、不快味の解消または低減が、図1および表5に示されるような物質により達成され、総合的なおいしさとして優れた味覚を提供し得たことがわかる。
(実施例20および21:他の有機酸の塩類の燻煙処理)
表6に示されるように、塩化カリウムの代わりに、それぞれ粒径60メッシュのクエン酸カルシウム(実施例20)およびクエン酸第一鉄ナトリウム(実施例21)を用い、所定の燻煙材を用いて20分間燻煙処理したこと以外は、実施例13〜18と同様にして、各有機酸の塩類を燻煙処理した。
Figure 2013143936
次いで、得られた燻煙処理した有機酸の塩類と、このような燻煙処理を行わなかった有機酸の塩類(コントロール)とを用いて、それぞれ0.05%(w/v)水溶液を調製し、成人男女12人による官能評価を行った。官能評価にあたっては、各水溶液を試飲し、不快味(苦味・収斂味・金属味)の各々について、各不快味が「1点:強い」「2点:どちらかというと強い」「3点:強いとも弱いとも思わない」「4点:どちらかというと弱い」「5点:弱い」との基準を設け、5点満点で評価した。それぞれの結果(平均点)、および試飲した際の代表的なコメントについて表7に示す。
Figure 2013143936
表7に示すように、本発明の方法を用いて燻煙処理をした有機酸の塩類を用いると、コントロールで感じた不快味が実施例20および21のいずれにおいても著しく低減(評価点は上昇)していることがわかる。このように、上記酢酸ナトリウムだけでなく、他の有機酸の塩類に対しても燻煙処理によって呈味改善の効果が生じていることがわかる。
本発明によれば、有機酸および/またはその塩類の制菌効果を維持しつつ不快味や不快臭を抑制する風味改善方法を提供することができる。糖類などの甘味成分やアミノ酸、核酸、グルタミン酸ナトリウムなどの調味成分などを用いないことから、余計な味を付け加えることなく、有機酸および/またはその塩類の風味を改善できるため、どんな食材にも利用しやすく、有機酸およびその塩類の添加量を多くしても、食材の風味を損なうことがない。また、既存技術では難しかった酸臭の抑制にも十分な効果を発する。本発明により得られる食品添加剤は、食品製造、調理等の種々の分野において有用である

Claims (7)

  1. 有機酸および/またはその塩類を燻煙で処理する工程を含む、有機酸および/またはその塩類の風味改善方法。
  2. 前記有機酸および/またはその塩類が、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、酒石酸、アスコルビン酸、およびアミノ酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記有機酸および/またはその塩類が、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、および鉄塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩である、請求項2に記載の方法。
  4. 有機酸および/またはその塩類を燻煙で処理する工程を含む、食品添加剤の製造方法。
  5. 前記有機酸および/またはその塩類が、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、酒石酸、アスコルビン酸、およびアミノ酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記有機酸および/またはその塩類が、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、および鉄塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩である、請求項5に記載の方法。
  7. 請求項4から6のいずれかに記載の方法で得られた食品添加剤を含有する、食品。
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