JP2013142773A - ハードコートフィルム、及びその製造方法、並びに、低反射フィルム - Google Patents

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Kenji Fujita
賢治 藤田
Keiko Tazaki
啓子 田崎
Shoji Takeshige
彰詞 竹重
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Abstract

【課題】干渉縞の少ない高屈折率ハードコートフィルム及び当該ハードコートフィルムの再現性に優れた製造方法、並びに、当該ハードコートフィルムを用いて形成された干渉縞の少ない低反射フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】トリアセチルセルロース基材の一面側に、高屈折率微粒子と、バインダー成分とを含有するハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が、前記トリアセチルセルロース基材の前記ハードコート層側の領域に、前記バインダー成分が浸透してなる浸透層を介して積層されたハードコートフィルムであって、前記浸透層に前記高屈折率微粒子を含有することを特徴とするハードコートフィルムである。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードコートフィルム、及びその製造方法、並びに、低反射フィルムに関する。
液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画像表示装置における画像表示面は、取り扱い時に傷がつかないように、耐擦傷性を付与することが要求される。これに対して、基材フィルムにハードコート(HC)層を設けたハードコートフィルムや、更に反射防止性や防眩性等光学機能を付与したハードコートフィルムを利用することにより、画像表示装置の画像表示面の耐擦傷性を向上させることが一般になされている。しかし、例えば反射防止性を付与するために、ハードコート層を高屈折率なものとする場合には、当該ハードコート層と基材フィルムとの界面における界面反射が大きくなり、干渉縞が問題となった。
特許文献1では、基材フィルム上に、アクリル系及び/又はメタクリル系樹脂を含むハードコート層用塗工組成物を硬化させたハードコート層、及び基材フィルムとハードコート層の間に、基材フィルムを形成する樹脂と、ハードコート層を形成する樹脂とが混合した境界層を設け、硬度及び密着性の向上、並びに干渉縞の発生の防止を図っている。しかしながら、特許文献1の手法では、低反射性を付与するために高屈折率ハードコート層とする場合には、界面反射を生じてしまい干渉縞の改善が不十分であった。
特許文献2には、低反射化が可能で、且つ干渉縞の発生を防止する光学フィルムとして、基材上にハードコート層、高屈折率傾斜ハードコート層、及び低屈折率層をこの順に積層した光学フィルムが記載されている。しかしながら、特許文献2の高屈折率傾斜ハードコート層は屈折率の調整が困難であり、また、再現性が悪いという問題があった。
特開2008−012675号公報 特開2009−265658号公報
本発明は上記実情を鑑みてなされたものであり、界面反射が低減され干渉縞が抑制された高屈折率ハードコートフィルム及び当該ハードコートフィルムの再現性に優れた製造方法、並びに、当該ハードコートフィルムを用いて形成された干渉縞が抑制された低反射フィルムを提供することを目的とする。
トリアセチルセルロース基材の一面側に、高屈折率微粒子と、バインダー成分とを含有するハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が、前記トリアセチルセルロース基材の前記ハードコート層側の領域に、前記バインダー成分が浸透してなる浸透層を介して積層されたハードコートフィルムであって、前記浸透層に前記高屈折率微粒子を含有することを特徴とする。
本発明のハードコートフィルムにおいては、前記浸透層内に存在する前記高屈折率微粒子が、前記浸透層の前記ハードコート層側界面から深さ50nm以上の領域に存在することが、干渉稿をより抑制できることから好ましい。
本発明に係るハードコートフィルムの製造方法は、高屈折率微粒子と、バインダー成分と、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上の浸透性溶剤を溶剤全体に対して30質量%以上含む溶剤とを含有するハードコート層用硬化性樹脂組成物を、トリアセチルセルロース基材の一面側に塗布し、乾燥後に硬化させることを特徴とする。
上記本発明の製造方法によれば、前記浸透層内に前記高屈折率微粒子を浸透させることができ、上記本発明に係るハードコートフィルムを再現性よく製造することができる。
本発明に係る低反射フィルムは、上記本発明に係るハードコートフィルムのハードコート層上に、直接、又は、高屈折率層及び中屈折率層から選ばれる少なくとも一層を介して、低屈折率層を積層してなることを特徴とする。
本発明によれば、界面反射が低減され干渉縞が抑制された高屈折率ハードコートフィルム及び当該ハードコートフィルムの再現性に優れた製造方法、並びに、当該ハードコートフィルムを用いて形成された干渉縞が抑制された低反射フィルムを提供することができる。
本発明のハードコートフィルムの断面の一例を示す模式図である。 本発明の低反射フィルムの断面の一例を示す模式図である。 本発明に係るハードコートフィルムの製造方法の一例を模式的に示した図である。 実施例1のハードコートフィルムの断面の電子顕微鏡写真である。 比較例1のハードコートフィルムの断面の電子顕微鏡写真である。
以下、本発明に係るハードコートフィルム、当該ハードコートフィルムの製造方法、及び低反射フィルムについて順に説明する。
なお、本発明において、浸透性とは、基材に対して浸透する性質の他、基材を膨潤又は湿潤させる概念を含む。
本発明において、浸透層とは、少なくとも、トリアセチルセルロースと、ハードコート層中のバインダー成分とが混合した層を表し、ハードコート層に含まれている高屈折率微粒子が更に含有していてもよい。
本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
本発明において、光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
本発明において、膜厚とは乾燥後乃至硬化後の平均膜厚(乾燥膜厚)を意味する。
本発明において、分子量とは、分子量分布を有する場合には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である重量平均分子量を意味し、分子量分布を有しない場合には、化合物そのものの分子量を意味する。
また、本発明において、微粒子の平均粒径とは、溶液中の当該微粒子を動的光散乱方法で測定し、粒径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50 メジアン径)を意味する。当該平均粒径は、日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計又はNanotrac粒度分析計を用いて測定することができる。上記微粒子は、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、二次粒径が上記範囲内であれば良い。
1.ハードコートフィルム
本発明に係るハードコートフィルムは、トリアセチルセルロース基材(以下、「TAC基材」と称する場合がある。)の一面側に、高屈折率微粒子と、バインダー成分とを含有するハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が、前記トリアセチルセルロース基材の前記ハードコート層側の領域に、前記バインダー成分が浸透してなる浸透層を介して積層されたハードコートフィルムであって、前記浸透層に前記高屈折率微粒子を含有することを特徴とする。
図1は上記本発明に係るハードコートフィルム1の層構成の一例を模式的に示した断面図である。トリアセチルセルロース基材30の一面側に高屈折率微粒子11を含有するハードコート層10が設けられている。トリアセチルセルロース基材30のハードコート層10側の領域に、トリアセチルセルロース基材の成分とハードコート層中のバインダー成分が混合した浸透層20が形成されている。更に当該浸透層20の内部には、高屈折率微粒子11が存在している。
本発明のハードコートフィルムは、トリアセチルセルロースと、ハードコート層中のバインダー成分とが混合した浸透層を有することにより、当該浸透層と、トリアセチルセルロース基材との界面における屈折率差が小さく、界面反射を低減することができる。ハードコート層に含まれる高屈折率微粒子が浸透層にも存在することにより、ハードコート層と浸透層の界面における屈折率差が小さくなるため、当該界面においても界面反射を低減することができる。従来、高屈折率微粒子が含有された浸透層が得られていなかったため、浸透層と高屈折率微粒子を含むハードコート層との屈折率が大きいものとなっていた。本発明のハードコートフィルムは、各界面における界面反射が小さいため、高屈折率ハードコート層を有しながら、干渉縞を抑えることが可能となる。
また、本発明のハードコートフィルムは、上記浸透層を有することによりハードコート層とトリアセチルセルロース基材との密着性に優れている。
以下、本発明のハードコートフィルムを構成する各層を順に説明する。
[トリアセチルセルロース基材]
本発明に用いられるトリアセチルセルロース基材は、透明性(光透過性)の高いプラスチックフィルム又はシートである。
光学積層体の透明基材として用い得る物性を満たすものであれば特に限定されることはなく、適宜選んで用いることができる。
通常、光学積層体に用いられる基材には、透明、半透明、無色又は有色を問わないが、
光透過性が要求される。なお、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)
島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。
トリアセチルセルロース基材は、可視光域380〜780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な光透過性基材である。トリアセチルセルロース基材の平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
トリアセチルセルロース基材は、光学的等方性を有するため、液晶ディスプレイ用途の場合においても好ましく用いることができる。
尚、本発明に於けるトリアセチルセルロースとしては、純粋なトリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であっても良い。又、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステル、或いは可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸收剤等の各種添加剤が添加されていても良い。
本発明においては、トリアセチルセルロース基材の厚さは適宜選択して用いることができる。通常20〜200μm程度であり、好ましくは20〜120μm、特に好ましくは20〜80μmである。
[ハードコート層]
本発明のハードコート層は、後述するハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。
本発明において「ハードコート層」とは、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)でH以上の硬度を示すものである。本発明のハードコート層は、前記鉛筆硬度試験で更に4H以上であることが好ましい。
ハードコート層の膜厚は、3〜25μmであることが好ましく、更に5〜20μmであることが好ましい。3μm以上であれば、十分な強度が得られ、傷が生じにくく、25μm以下であれば、カールやクラックが生じにくい。また、25μmを超えると、本発明のハードコートフィルムと偏光板とを張り合わせる際、両者の接着剤に使用している溶剤(有機溶剤や水)が抜けにくくなり、乾燥効率が著しく悪化してしまう恐れがある。接着剤に使用している溶剤が残存してしまうと、偏光度の変化などが起こり、偏光板自体の性能低下が起こる恐れがある。
<ハードコート層用硬化性樹脂組成物>
本発明のハードコート層用硬化性樹脂組成物は、少なくとも高屈折率微粒子と、バインダー成分とを含有するものであり、更に、機能性付与を目的として防眩剤や防汚剤、帯電防止剤等、コーティング適正の制御としてレベリング剤や溶剤等、ブロッキング防止を目的として易滑剤等を含有していてもよい。以下、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の各成分を順に説明する。
(高屈折率微粒子)
本発明において高屈折率微粒子は、相対的に高屈折率乃至中屈折率の層を形成するための屈折率が1.55以上の微粒子であり、ハードコート層の屈折率を高めるとともにハードコート層に硬度を付与する。また、硬度、高屈折率化に加えて、帯電防止性等の機能を更に付与するものであっても良い。
高屈折率微粒子は平均粒径が5〜100nmであることが好ましく、10〜50nmであることがより好ましく、更に20〜30nmであることがより好ましい。高屈折率微粒子は、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、二次粒径が上記範囲内であることが好ましい。高屈折率微粒子が100nm未満であれば、後述する浸透層へ浸透しやすくなり、高屈折率微粒子の平均粒径が5nm以上であればハードコート層に硬度を付与することができる。
高屈折率微粒子としては、例えば、五酸化アンチモン(Sb)、ジルコニア酸化物、リンドープ酸化スズ(PTO)、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)、チタニア、酸化アンチモン、アクリルやスチレンなどの有機微粒子等の膜形成時に屈折率が高くなる微粒子を適宜選択して用いることができる。
中でも、後述する浸透層へ浸透しやすい点からは、五酸化アンチモン又はジルコニア酸化物を用いることが好ましい。
また、透明性と帯電性を合わせ持つ点から、五酸化アンチモンを用いることが特に好ましい。
高屈折率微粒子は、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の全固形分に対して10〜70質量%含まれることが好ましく、20〜60質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、ハードコート層に十分な硬度を付与するとともに、ハードコート層を高屈折率なものとすることができる。
高屈折率微粒子は単一の材質や単一の平均粒径のものだけでなく、材質や平均粒径の異なるものを2種類以上組み合わせて用いても良い。2種類以上組み合わせて用いる場合は、各粒子の平均粒径が5〜100nm以内で且つ各粒子の合計質量%が10〜70質量%となることが好ましい。
(バインダー成分)
ハードコート層用硬化性樹脂組成物に用いられるバインダー成分は、硬化性有機樹脂が好ましく、塗膜とした時に光が透過する透光性のものが好ましく、少なくとも光硬化性化合物を含むことが好ましい。バインダー成分として、1種又は2種以上のバインダー成分を用いることができ、非硬化性化合物を含んでいても良い。
光硬化性化合物としては、光硬化性官能基を有する化合物が挙げられる。光硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。光硬化性官能基を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好適に用いられる。
本発明においては、バインダー成分の一部が浸透層を形成するため、バインダー成分中には、浸透層を形成し得る成分が含まれる。浸透層を形成し得る成分としては、分子量が1000以下の化合物が好適に用いられる。
ハードコート層用硬化性樹脂組成物におけるバインダー成分中の硬化性化合物は通常、ハードコート層乃至浸透層において、架橋し硬化物として存在する。
光硬化性官能基を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物が好適に用いられ、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する多官能性(メタ)アクリレート系化合物が好適に用いられる。
本発明において、多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、2官能(メタ)アクリレートとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、これら(メタ)アクリレートは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、本発明においては、上記浸透層を形成し得るバインダー成分の他、更に、分子量が1000以上のバインダー成分を含んでいてもよい。
分子量が1000以上のバインダー成分としては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アクリレート系重合体等が挙げられる。中でも、透明性及び屈折率の点からウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
上記多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール、ビス−[ヒドロキシメチル]−シクロヘキサン等;上記多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール;上記多価アルコールとε−カプロラクトンとの反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール;ポリカーボネートポリオール(例えば、1,6−ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等);及び、ポリエーテルポリオールを挙げることができる。上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等を挙げることができる。
上記有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルイソシアネート等のイソシアネート化合物、これらイソシアネート化合物の付加体、或いはこれらイソシアネートの多量体等が挙げられる。
上記ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートであることが硬度の面から好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、6官能以上であることが好ましい。上記ウレタン(メタ)アクリレートが6官能未満であると、ハードコート層の硬度が弱くなるおそれがある。
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、6〜15官能であることがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートはウレタン樹脂として市販されているが、本発明においては、市販品を用いてもよい。本発明において使用できる市販品としては、例えば、日本合成化学工業社製:UV1700B(重量平均分子量2000、10官能)、UV7600B(重量平均分子量1500、6官能)、日本化薬社製:DPHA40H(重量平均分子量7000、10官能)、UX5003(重量平均分子量700、6官能)、根上工業社製:UN3320HS(重量平均分子量5000、15官能)、UN904(重量平均分子量4900、15官能)、UN3320HC(重量平均分子量1500、10官能)、UN3320HA(重量平均分子量1500、6官能)、荒川化学工業社製:BS577(重量平均分子量1000、6官能)、及び、新中村化学工業社製:U15HA(重量平均分子量2300、15官能)等を挙げることができる。
本発明のハードコート層用硬化性樹脂組成物に用いられるバインダー成分としては、中でも、分子量が1000以下の光硬化性化合物を含むことが、浸透層に屈折率分布をもたせ干渉縞を解消し、且つ、浸透層に比較的低分子量のバインダー成分をより多く浸透させ、浸透層の硬度を向上することができる点から好ましい。分子量が1000を超えると、TAC基材へ塗布する際の粘度が高くなって、浸透力が低下し、浸透層の硬度が不十分になる恐れがある。
本発明のハードコート層用硬化性樹脂組成物に用いられるバインダー成分としては、中でも、重量平均分子量が1000以下の光硬化性化合物(1)をバインダー成分全体に対して70質量%以上と、重量平均分子量が1000〜30000であって、前記光硬化性化合物(1)とは相互に光硬化性官能基の数が異なる光硬化性化合物(2)をバインダー成分全体に対して30質量%以下とを、選択して組み合わせて用いることが好ましく、中でも、上記光硬化性化合物(1)及び光硬化性化合物(2)はいずれも光硬化性官能基の数が2個以上、更に3個以上であることが好ましい。
このような組み合わせの場合、浸透層に屈折率分布をもたせ干渉縞を解消し、且つ、ハードコートフィルムのカールを低減し、耐クラック性を向上する点から好ましい。上記光硬化性化合物(2)においても、重量平均分子量が30000を超えると浸透性溶剤とともにTAC基材に浸透するという効果が得られない場合があるので、30000以下であることが好ましい。
ハードコート層用硬化性樹脂組成物におけるバインダー成分の含有量は、通常、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、10〜90質量%であり、20〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。
(溶剤)
本発明のハードコート層用硬化性樹脂組成物に用いられる溶剤は、前記トリアセチルセルロース基材の前記ハードコート層側の領域に、前記バインダー成分が浸透した浸透層を形成するために、通常、TAC基材に対して浸透性を有する浸透性溶剤が用いられる。
TAC基材に対して浸透性を有する浸透性溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、及びシクロヘキサノンが挙げられる。浸透性溶剤は1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、トリアセチルセルロース基材の溶解性が非常に高く、深い浸透層を形成できる点から、浸透性溶剤としては、酢酸メチルを含むことが好ましい。
本発明においては、上記浸透性溶剤を溶剤全体に対して30質量%以上含む溶剤が好適に用いられる。2種以上の浸透性溶剤を組み合わせて用いる場合には、浸透性溶剤の合計が溶剤全体の30質量%以上であればよい。上記浸透性溶剤が30質量%以上含まれる溶剤を用いることにより、トリアセチルセルロース基材に上記バインダー成分が浸透し、浸透層を形成するとともに、当該浸透層に、更に、上記高屈折率微粒子をも再現性よく浸透させることができる。
浸透性溶剤と組み合わせて用いられる他の溶剤は、上記浸透性溶剤と混和する溶剤であれば特に限定されない。他の溶剤としては、具体的にはケトン類の溶剤が好適に用いられ、中でも、メチルイソブチルケトンが好ましい。他の溶剤は、1種類であっても2種類以上を組み合わせてもよい。
溶剤として酢酸メチルのみを単独で用いる場合には、乾燥が速く、製造設備においてノズル詰まりなどのトラブルが発生する恐れがある。そこで、他の浸透性溶剤を含む他の溶剤と混合して、トリアセチルセルロース基材への浸透性と、溶剤の乾燥速度等を勘案した酢酸メチルとの混合溶剤とすることが好ましい。
浸透性溶剤として酢酸メチルを用いる場合、溶剤全体に対する酢酸メチルの含有量は、浸透性の点から、30質量%以上であることが好ましく、中でも、40質量%以上であることが好ましい。一方、乾燥速度の点からは、溶剤全体に対する酢酸メチルの含有量が、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
ハードコート層用硬化性樹脂組成物中の溶剤の含有量は、ハードコート層用硬化性樹脂組成物全体に対して、通常、20〜80質量%であり、30〜60質量%が好ましい。
(その他の成分)
ハードコート層硬化性樹脂組成物には、上記成分のほかに、更に光重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等を適宜添加することもできる。更に、反応性又は非反応性レベリング剤、各種増感剤等の各種添加剤が混合されていても良い。帯電防止剤及び/又は防眩剤を含む場合には、ハードコート層に、更に帯電防止性及び/又は防眩性を付与できる。
(1)光重合開始剤
上記バインダー成分に含まれる光硬化性成分の硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。これらの重合開始剤は、光照射により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。光重合開始剤は、上記バインダー成分の反応性に合わせて適宜選択して用いる。
光照射によりラジカルを発生するラジカル重合開始剤としては、例えば、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられ、更に具体的には、1,3−ジ(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、チバ・ジャパン(株)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名イルガキュア184、チバ・ジャパン(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・ジャパン(株)製)、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)(商品名イルガキュア784、チバ・ジャパン(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記以外にも、市販品が使用でき、具体的には、チバ・ジャパン(株)製のイルガキュア907、イルガキュア379、イルガキュア819、イルガキュア127、イルガキュア500、イルガキュア754、イルガキュア250、イルガキュア1800、イルガキュア1870、イルガキュアOXE01、DAROCUR TPO、DAROCUR1173、日本シイベルヘグナー(株)製のSpeedcureMBB、SpeedcurePBZ、SpeedcureITX、SpeedcureCTX、SpeedcureEDB、Esacure ONE、Esacure KIP150、Esacure KTO46、日本化薬(株)製のKAYACURE DETX−S、KAYACURE CTX、KAYACURE BMS、KAYACURE DMBI等が挙げられる。
また、光照射によりカチオンを発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η−ベンゼン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)等が例示され、さらに具体的には、ベンゾイントシレート、2,5−ジニトロベンジルトシレート、N−トシフタル酸イミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ラジカル重合開始剤としても、カチオン重合開始剤としても用いられるものとしては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等が例示され、更に具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5トリアジン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤の含有量は、通常、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の全固形分に対して1〜20質量%であり、2〜10質量%であることが好ましい。
(2)帯電防止剤
帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物及びそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、又は金属キレート部を有し、且つ、電離放射線により重合可能なモノマー又はオリゴマー、或いは電離放射線により重合可能な官能基を有する且つ、カップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
帯電防止剤としては、導電性ポリマーも挙げることができる。導電性ポリマーとしては特に限定されず、例えば、芳香族共役系のポリ(パラフェニレン)、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、脂肪族共役系のポリアセチレン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)、分子中に複数の共役鎖を持つ共役系である複鎖型共役系、前述の共役高分子鎖を飽和高分子にグラフト又はブロック共重した高分子である導電性複合体等を挙げることができる。
また、前記帯電防止剤の他の例としては、導電性微粒子が挙げられる。当該導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物からなるものを挙げることができる。そのような金属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)等を挙げることができる。前記導電性微粒子の平均粒径は、0.1nm〜0.1μmであることが好ましい。かかる範囲内であることにより、前記導電性微粒子をバインダーに分散した際、ヘイズがほとんどなく、全光線透過率が良好な高透明な膜を形成可能な組成物が得られる。
(3)防眩剤
防眩剤としては微粒子が挙げられ、微粒子の形状は、真球状、楕円状などのものであってよく、好ましくは真球状のものが挙げられる。また、微粒子は無機系、有機系のものが挙げられるが、好ましくは有機系材料により形成されてなるものが好ましい。微粒子は、防眩性を発揮するものであり、好ましくは透明性のものがよい。微粒子の具体例としては、プラスチックビーズが挙げられ、より好ましくは、透明性を有するものが挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。微粒子の添加量は、樹脂組成物100質量部に対し、2〜30質量部、好ましくは10〜25質量部程度である。
(4)他の微粒子
本発明のハードコートフィルムにおいては、本発明の効果を損なわない範囲で、高屈折率微粒子の他に、更に他の微粒子を含んでいてもよい。他の微粒子としては、シリカ(SiO)、酸化アルミニウム、酸価亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化セリウム等の金属酸化物微粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物微粒子などが挙げられる。金属微粒子、金属硫化物微粒子、金属窒化物微粒子等を用いても良い。
ハードコート層に高硬度を付与する点からは、シリカ、酸化アルミニウムが好ましい。また、屈折率を調整するために、相対的に低屈折率の、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等のフッ化物微粒子などの微粒子を適宜選択して用いてもよい。更に、帯電防止性、導電性を付与する場合には、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ等を適宜選択して用いることができる。これらは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ハードコート層用硬化性樹脂組成物において、その他の微粒子の含有量は、上記高屈折率微粒子に対して、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、実質的に含有していないことがより好ましい。
[浸透層]
本発明に係るハードコートフィルムは、トリアセチルセルロース基材のハードコート層側の領域に、ハードコート層のバインダー成分が浸透した浸透層を有する。当該浸透層ではハードコート層のバインダー成分がトリアセチルセルロース基材の樹脂と混合しているため、当該浸透層と、トリアセチルセルロース基材との界面における屈折率差が小さく、界面反射を低減することができる。更に、本発明の浸透層は、内部に高屈折率微粒子が存在しているため、ハードコート層と当該浸透層の界面における屈折率差が小さくなるため、当該界面においても界面反射を低減することができる。このように、界面反射を低減することにより、干渉縞が抑制される。
浸透層の厚みは、特に限定されないが、密着性を向上し、0.1μm以上であることが好ましく、0.5〜15μmの範囲内であることが好ましい。
また、浸透層内に存在する高屈折率微粒子は、当該浸透層中のいずれの部分に存在してもよいが、中でも、上記浸透層の上記ハードコート層側界面から深さ50nm以上の領域に存在することが干渉縞を抑える点から好ましい。
浸透層の存在、及び浸透層内に高屈折率微粒子が存在することは、例えば、ハードコートフィルムの断面の電子顕微鏡写真、及び顕微IRによるマッピングやTOF−SIMS法によって、確認することができる。
また、浸透層においては、前記ハードコート層のバインダー成分がトリアセチルセルロース基材に浸透して、通常、硬化しているので、トリアセチルセルロース基材−ハードコート層間の密着性が優れたものになる。これにより、トリアセチルセルロース基材からのハードコート層の剥離といった問題が生じないため耐熱性や耐水性等の信頼性が高くなるという利点を有する。
なお、本発明に係るハードコートフィルムの密着性としては、塗布密着性(JIS K 5600)を測定する。測定方法としては、例えば、1mm角で合計100目の碁盤目を入れ、ニチバン(株)製工業用24mmセロテープ(登録商標)を用いて5回連続剥離試験を行い、残っているマス目の数量を計測し、下記基準に基づいて密着度を測定する。当該密着度で90%以上であることが好ましい。
密着度(%)=(剥がれなかったマス目の数/合計のマス目数100)×100
[その他の層]
ハードコートフィルムは、上記したようにトリアセチルセルロース基材、ハードコート層及び浸透層により基本的には構成されてなる。しかしながら、ハードコートフィルムとしての機能又は用途を加味して、上記ハードコート層上(トリアセチルセルロース基材とは反対側の面)に、更に下記のような一又は二以上の層を設けてもよい。
<帯電防止層>
帯電防止層は、帯電防止剤と硬化性樹脂を含む帯電防止層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。帯電防止層の厚さは、30nm〜3μm程度であることが好ましい。
帯電防止剤としては、上記ハードコート層の帯電防止剤で挙げたものと同様のものを用いることができる。
帯電防止層用硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂としては、公知のものを適宜選択して、1種又は2種以上用いることができる。
<防眩層>
防眩層は、防眩剤と硬化性樹脂を含む防眩層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。当該硬化性樹脂は、公知のものを適宜選択して、1種又は2種以上用いることができる。
(防眩剤)
防眩剤としては、上記ハードコート層の防眩剤で挙げたものと同様のものを用いることができる。
<防汚層>
本発明の好ましい態様によれば、ハードコートフィルム最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けてもよい。防汚層は、ハードコートフィルムに対して防汚性と耐擦傷性のさらなる改善を図ることが可能となる。防汚層は、防汚剤と硬化性樹脂組成物を含む防汚層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。
防汚層用硬化性樹脂組成物に含まれる防汚剤や硬化性樹脂は、公知の防汚剤及び硬化性樹脂から適宜選択して1種又は2種以上を用いることができる。
<第2のハードコート層>
ハードコートフィルムの硬度を更に向上させるために、前記ハードコート層のトリアセチルセルロース基材とは反対側の面に第2のハードコート層を設けても良い。
第2のハードコート層は前記ハードコート層と同様のものを用いることができ、当該二つのハードコート層の組成は同一であっても良く、異なっていても良い。
2.ハードコートフィルムの製造方法
本発明に係るハードコートフィルムの製造方法は、高屈折率微粒子と、バインダー成分と、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上の浸透性溶剤を溶剤全体に対して30質量%以上含む溶剤とを含有するハードコート層用硬化性樹脂組成物を、トリアセチルセルロース基材の一面側に塗布し、乾燥後に硬化させることを特徴とする。
上記製造方法によれば、上記本発明に係るハードコートフィルムを、再現性よく製造する事ができる。
ハードコート層用硬化性樹脂組成物は、通常、溶剤に高屈折率微粒子やバインダー成分の他、光重合開始剤等を一般的な調製法に従って、混合し分散処理することにより調製される。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等を用いることができる。ハードコート層用硬化性樹脂組成物の構成成分については、上述したのでここでの説明を省略する。
塗布方法は、トリアセチルセルロース基材表面にハードコート層用硬化性樹脂組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法、マイクログラビアコート法、スプレーコート法、スピンコート法等の公知の方法が用いられる。
また、トリアセチルセルロース基材上へのハードコート層用硬化性樹脂組成物の塗工量としては、得られるハードコートフィルムが要求される性能により異なるものであるが、乾燥後の膜厚に応じて適宜調節すればよく、塗工量が5g/m〜30g/mの範囲内、特に10g/m〜25g/mの範囲内であることが好ましい。
前記の方法のいずれかで塗布した後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンに搬送され各種の公知の方法で溶剤を乾燥する。ここで固形分濃度、塗布液温度、乾燥温度、乾燥風の風速、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶剤雰囲気濃度等を選定することにより、表面凹凸形状のプロファイルによる外部拡散及び高屈折率微粒子や添加剤による内部拡散を調整できる。特に、乾燥条件の選定によって浸透層の深さを調整する方法が簡便で好ましい。具体的な乾燥温度としては、30〜120℃、高屈折率微粒子を含有する浸透層を形成する点からより好ましくは50〜100℃、乾燥風速では0.2〜50m/sであることが好ましく、乾燥時間20秒〜3分、好ましくは30秒〜1分程度の範囲内で適宜調整する。このようにして、トリアセチルセルロース基材への浸透性溶剤、バインダー成分による浸透深さ、すなわち浸透層の層厚及び浸透層の硬度分布を調整することができる。
より具体的には、乾燥温度を高くすることで、バインダー成分、高屈折率微粒子及び溶剤の基材への浸透性が向上する。すなわち、乾燥温度を制御することで、バインダー成分、高屈折率微粒子及び溶剤の基材への浸透性を制御することができ、浸透層の層厚及び浸透層中の高屈折率微粒子が存在する領域を調整することができる。中でも、浸透層の上記ハードコート層側界面から深さ50nm以上の領域に高屈折率微粒子が存在するように、乾燥条件を選択することが干渉縞を抑制する点から好ましい。
また、浸透層中のバインダー成分量の調整により、浸透層の硬度向上や、アンカー効果によりトリアセチルセルロース基材とハードコート層との密着性や、トリアセチルセルロース基材と浸透層との屈折率差が0.03以上で顕著となる干渉縞の発生を防止することが可能となる。
次に、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布、必要に応じて乾燥させた塗膜に対し、当該硬化性樹脂組成物に含まれる反応性シリカ微粒子やバインダー成分の反応性官能基に応じて、光照射及び/又は加熱して塗膜を硬化させることにより、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層と共に高屈折率微粒子を含有する浸透層が形成される。
光照射には、主に、紫外線、可視光、電子線、電離放射線等が使用される。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用する。
エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mJ/cm程度である。本発明においては、ハードコート層用硬化性樹脂組成物に含まれる上記バインダー成分、中でも多官能性(メタ)アクリレート系化合物が架橋するため、低いエネルギーでも有効に硬化させることが可能である。例えば、エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜150mJ/cmとすることができる。
その結果、短時間硬化が可能となり、生産効率を高めることが可能である。また、電子線硬化の場合には、100keV〜300keVのエネルギーを有する電子線等を使用する。
加熱する場合は、通常40℃〜120℃の温度にて処理する。また、室温(25℃)で24時間以上放置することにより反応を行っても良い。
図3は本発明に係るハードコートフィルムの製造方法の一例を模式的に示した図である。
図3(A)に示すように、トリアセチルセルロース基材30の一面側に高屈折率微粒子を11を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜60を形成する。
次いで、図3(B)に示すように、塗膜60を乾燥させ、乾燥した塗膜70とする。この際、ハードコート層用硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤がトリアセチルセルロース基材10に浸透していき、溶剤及びバインダー成分が浸透している領域80が形成されるとともに、高屈折率微粒子11も浸透する。高屈折率微粒子11は溶剤及びバインダー成分と比較して浸透性が低いため、溶剤やバインダーと同一の深さまでは浸透しない場合がある。
次いで、図3(C)に示すように、塗膜10側から光照射90を行い、乾燥した塗膜70が硬化させられることにより、ハードコート層10が形成されると共に、トリアセチルセルロース基材30のハードコート層10側の領域に高屈折率微粒子を含有する浸透層20が形成される。
3.低反射フィルム
本発明に係る低反射フィルムは、上記本発明に係るハードコートフィルムのハードコート層上に、直接、又は、高屈折率層及び中屈折率層から選ばれる少なくとも一層を介して、低屈折率層を積層してなることを特徴とする。ここで高屈折率層、中屈折率層、及び低屈折率層とは、屈折率の高低を相対的に表したものである。
図2は上記本発明に係る低反射フィルム2の層構成の一例を模式的に示した断面図である。前記本発明に係るハードコートフィルムのハードコート層10上に高屈折率層又は中屈折率層50を介して低屈折率層40が設けられている。また、図示はしないが高屈折率層又は中屈折率層50を介することなくハードコート層10上に直接低屈折率層40が設けられていてもよい。
本発明の低反射フィルムは、低反射性を有するとともに、干渉縞が抑制されるという特徴を有する。
[低屈折率層]
低屈折率層は、上記本発明のハードコートフィルムのハードコート層上に、直接、又は、高屈折率層及び中屈折率層から選ばれる少なくとも一層を介して設けられ、反射防止性を付与する。低屈折率層の屈折率は、隣接するハードコート層、高屈折率層又は中屈折率層の屈折率よりも低ければよく、具体的には、1.49以下であることが好ましく、1.47以下であることがより好ましく、1.42以下であることが更により好ましい。
低屈折率層は、例えば、バインダー成分、溶剤の他、低屈折率化のための低屈折率微粒子、低屈折率樹脂等を含有する低屈折率層用硬化性樹脂組成物を用いて形成することができる。バインダー成分、低屈折微粒子、低屈折率樹脂、及び溶剤は従来公知のものを適宜選択して用いることができる。
低屈折率微粒子としては、中でも、空隙を有する微粒子(中空粒子)を用いることが好ましい。空隙を有する微粒子の材料は、低屈折率層の屈折率を低減するために、シリカ又はフッ素樹脂を用いることが好ましい。空隙を有する微粒子の平均粒径は、5〜300nmであることが好ましく、10〜80nmであることが特に好ましい。
低屈折率微粒子の含有量は、適宜調節して用いればよく、低屈折率層用硬化性樹脂組成物の全固形分に対して10〜95質量%が好ましく、より好ましくは、20〜90重量%である。
低屈折率層の膜厚は、適宜設定すれば良く、例えば、10〜300nmであることが好ましい。
[高屈折率層]
高屈折率層は、上記ハードコート層、上記低屈折率層、及び後述する中屈折率層よりも屈折率の高い層であり、上記ハードコート層上に、直接、又は、他の層を介して設けられ、反射防止性を向上する。
高屈折率層は、例えば、バインダー成分、溶剤の他、高屈折率微粒子を含有する高屈折率層用硬化性樹脂組成物を用いて形成することができる。高屈折率層用硬化性樹脂組成物の各成分は従来公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、上記ハードコート層用硬化性樹脂組成物の高屈折率微粒子、バインダー成分及び溶剤を用いることができる。
高屈折率層の膜厚は、適宜設定すれば良く、例えば、10〜300nmであることが好ましい。
[中屈折率層]
中屈折率層は、上記ハードコート層、及び上記高屈折率層よりも屈折率が低く、上記低屈折率層よりも屈折率が高い層であり、上記ハードコート層上に、直接、又は、他の層を介して設けられ、界面反射を低減するとともに、反射防止性を向上する。
中屈折率層は、例えば、バインダー成分、溶剤の他、屈折率を適宜調整するための微粒子を含有する中屈折率層用硬化性樹脂組成物を用いて形成することができる。中屈折率層用硬化性樹脂組成物の各成分は、従来公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、上記ハードコート層用硬化性樹脂組成物の高屈折率微粒子、バインダー成分及び溶剤を用いることができる。
中屈折率層の膜厚は、適宜設定すれば良く、例えば、10〜300nmであることが好ましい。
低屈折率層、中屈折率層、及び高屈折率層は、従来公知の方法により形成することができる。例えば、上記ハードコート層の製造方法と同様に、上記各層用硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥し、光照射及び/又は加熱して塗膜を硬化することにより、各屈折率層を形成することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(実施例1)
(1)ハードコート層用硬化性樹脂組成物の調製
以下の各成分を混合し、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を調製した。
<ハードコート層用硬化性樹脂組成物の組成>
・バインダー成分:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD−PET−30、分子量298及び352、光硬化性基数3及び4):25質量部
・高屈折率微粒子:五酸化アンチモン微粒子(平均粒径:20nm、日揮触媒化成株式会社製 商品名:V−4562、固形分40質量%、溶剤:MIBK):30質量部
・溶剤1:酢酸メチル:25質量部
・溶剤2:メチルエチルケトン(MEK):18質量部
・光重合開始剤(チバスペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュアー184):2質量部
(2)ハードコートフィルムの製造
トリアセチルセルロース(TAC)基材(コニカミノルタ(株)製、商品名:KC4UY、厚さ40μm)上にスロットダイコーターを用いて、上記ハードコート層用硬化性樹脂組成物を、塗布速度20m/minにて塗布し、塗膜を形成した。その塗膜を80℃で30秒間乾燥し、溶剤を除去した。次いで、その塗膜に紫外線照射装置を用いて、照射量80mj/cmで紫外線照射を行ない、塗膜を硬化させて乾燥膜厚7μmのハードコート(HC)層を有するハードコートフィルム1を得た。
ハードコートフィルムの断面の走査透過型電子顕微鏡写真から、ハードコート層側には厚み6μmの浸透層が形成されており、当該浸透層のハードコート層側界面から深さ200nmまでの範囲に五酸化アンチモン微粒子の分散された構造が形成されており、浸透層中に粒子の存在が確認された。実施例1のハードコートフィルムの断面の電子顕微鏡写真を図4に示す。
(3)低屈折率層の形成
以下の各成分を混合し、低屈折率層用硬化性樹脂組成物を調製した。
<低屈折率層用硬化性樹脂組成物の組成>
・中空シリカ微粒子(平均1次粒径50nm、空隙率40%):15質量部
・(メタ)アクリレート系化合物:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD−PET−30):1.0質量部
・フッ素樹脂(共栄社化学(株)製、商品名:LINK−3A):1.0質量部
・溶剤:メチルイソブチルケトン(MIBK):83.0質量部
・光重合開始剤(チバスペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュアー127):0.1質量部
上記(2)で得られたハードコートフィルム1のHC層上に、上記低屈折率層用硬化性樹脂組成物を上記(2)と同様にスロットダイコーターを用いて塗布し、塗膜を形成した。その塗膜を乾燥後、紫外線照射を行ない、乾燥膜厚100nmの低屈折率層を形成し、低反射フィルムを得た。
(実施例2)
実施例1のハードコート層用硬化性樹脂組成物の組成を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、乾燥膜厚7μmのハードコート(HC)層を有するハードコートフィルム2を得た。
<ハードコート層用硬化性樹脂組成物の組成>
・バインダー成分:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD−PET−30):20質量部
・高屈折率微粒子:五酸化アンチモン微粒子(V−4562):45質量部
・溶剤1:酢酸メチル:25質量部
・溶剤2:メチルエチルケトン(MEK):8質量部
・光重合開始剤:(チバスペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュアー184):2質量部
ハードコートフィルムの断面の走査透過型電子顕微鏡写真から、TAC基材のハードコート層側には厚み5μmの浸透層が形成されており、当該浸透層のハードコート層側界面から深さ100nmまでの範囲に五酸化アンチモン微粒子の分散された構造が形成されており、浸透層中に粒子の存在が確認された。
更に、実施例1の(3)において、ハードコートフィルム1をハードコートフィルム2に代えた以外は、実施例1の(3)と同様にして、低反射フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1のハードコート層用硬化性樹脂組成物の組成を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、乾燥膜厚7μmのハードコート(HC)層を有するハードコートフィルム3を得た。
<ハードコート層用硬化性樹脂組成物の組成>
・バインダー成分:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD−PET−30):15質量部
・高屈折率微粒子:ジルコニア酸化物微粒子(一次粒径:10−20nm、二次粒径:80−90nm、東洋インキ製造(株)製、商品名:リオデュラスTYZ65−01、固形分40質量%、溶剤:MEK):40質量部
・溶剤1:酢酸メチル:25質量部
・溶剤2:メチルエチルケトン(MEK):18質量部
・光重合開始剤(チバスペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:イルガキュアー184):2質量部
ハードコートフィルムの断面の走査透過型電子顕微鏡写真から、TAC基材のハードコート層側には厚み5μmの浸透層が形成されており、当該浸透層のハードコート層側界面から深さ200nmまでの範囲にジルコニア酸化物微粒子の分散された構造が形成されており、浸透層中に粒子の存在が確認された。
更に、実施例1の(3)において、ハードコートフィルム1をハードコートフィルム3に代えた以外は、実施例1の(3)と同様にして、低反射フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1のハードコート層用硬化性樹脂組成物において、酢酸メチルをプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に変更した以外は実施例1と同様にして、乾燥膜厚7μmのハードコート(HC)層を有するハードコートフィルムを得た。
ハードコートフィルムの断面の走査透過型電子顕微鏡写真から、TAC基材のハードコート層側には厚み0.4μmの浸透層が形成されており、浸透層側には五酸化アンチモン微粒子の存在は確認されなかった。比較例1のハードコートフィルムの断面の電子顕微鏡写真を図5に示す。
更に、実施例1の(3)において、ハードコートフィルム1をハードコートフィルム3に代えた以外は、実施例1の(3)と同様にして、低反射フィルムを得た。
(干渉縞評価)
フナテック(株)製の干渉縞検査ランプ(Naランプ)を用い、実施例1〜3及び比較例1のハードコートフィルムをそれぞれ目視にて検査し、下記基準で評価した。
○:干渉縞の発生がほとんど見られなかった。
×:干渉縞がはっきりと確認された。
干渉縞評価の結果、実施例1〜3は○であった。一方、比較例1は×であった。
[結果のまとめ]
浸透性溶剤を30質量%以上含む溶剤を含有するハードコート層用硬化性樹脂組成物を用いて製造された実施例1〜3ハードコートフィルムは、浸透層内に高屈折率微粒子が存在することが明らかとなった。高屈折率微粒子とバインダー成分とが浸透してなる浸透層を有する実施例1〜3のハードコートフィルムは、干渉縞が抑制されることが明らかとなった。
1 ハードコートフィルム
2 低反射フィルム
10 ハードコート層
11 高屈折率微粒子
20 浸透層
30 トリアセチルセルロース基材
40 低屈折率層
50 高屈折率層/中屈折率層
60 塗膜
70 乾燥した塗膜
80 溶剤及びバインダー成分が浸透している領域
90 光照射

Claims (4)

  1. トリアセチルセルロース基材の一面側に、高屈折率微粒子と、バインダー成分とを含有するハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が、前記トリアセチルセルロース基材の前記ハードコート層側の領域に、前記バインダー成分が浸透してなる浸透層を介して積層されたハードコートフィルムであって、前記浸透層に前記高屈折率微粒子を含有することを特徴とする、ハードコートフィルム。
  2. 前記浸透層内に存在する前記高屈折率微粒子が、前記浸透層の前記ハードコート層側界面から深さ50nm以上の領域に存在する、請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 高屈折率微粒子と、バインダー成分と、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上の浸透性溶剤を溶剤全体に対して30質量%以上含む溶剤とを含有するハードコート層用硬化性樹脂組成物を、トリアセチルセルロース基材の一面側に塗布し、乾燥後に硬化させることを特徴とする、前記請求項1又は2に記載のハードコートフィルムの製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載のハードコートフィルムのハードコート層上に、直接、又は、高屈折率層及び中屈折率層から選ばれる少なくとも一層を介して、低屈折率層を積層してなることを特徴とする低反射フィルム。
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