JP2013142288A - 内燃機関の回転速度予測制御装置及びアイドルストップ制御装置 - Google Patents

内燃機関の回転速度予測制御装置及びアイドルストップ制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アイドルストップ制御装置においては惰性回転中の回転速度を予測することが必要であるが、回転速度は上昇と下降を繰り返し脈動しながら低下していくので正確に予測することはできず、予測した回転速度が実際には脈動によって回転速度が上昇している場合と下降している場合ではその予測結果に大きな乖離が生じるようになる。
【解決手段】内燃機関への燃料供給が停止された後の惰性回転期間中において、周期的に変動する回転速度の先行する周期における所定のクランク角度区間で回転速度差を求め、続く後続の周期における所定のクランク角度区間で回転速度差を求め、これらの回転速度差から予測回転速度差を求めると共に、この求められた予測回転速度差から後続の周期の次の周期の所定のクランク角度区間の予測回転速度を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は動力車両に搭載されている内燃機関の運転状態を制御する制御装置に係り、特に内燃機関の回転速度予測制御装置、及びこの回転速度予測制御装置を用いた内燃機関を自動停止した後に再始動を自動的に行う内燃機関のアイドルストップ制御装置に関するものである。
近年、動力機関車や自動車等の動力車両(以下では代表して自動車で説明する)に搭載されている内燃機関においては、ガソリンや軽油等のエネルギ資源の節約と環境保護を目的として内燃機関の効率的な運転を行なう技術が鋭意開発されている。
例えば、最近の自動車においては走行運転中に内燃機関の自動停止条件が成立した時に、燃料噴射弁から内燃機関に供給される燃料を遮断して気筒内での燃焼を停止することによって内燃機関が発生する動力(トルク)を失わせるアイドルストップ制御装置を搭載している。
これは交差点や交通渋滞によって内燃機関を運転しなくても良いのにも拘わらず、内燃機関を不必要に運転することによって燃料であるガソリンや軽油が無駄に消費される、COが余分に排出されるといった課題を解決するために提案された制御装置である。
そして、このアイドルストップ制御装置による内燃機関の自動停止条件は運転者がアクセルペダルから足を離したり、ブレーキペダルを踏んだりすることで成立するもので、要は自動車が走行状態から停止しようとする状態を検出して自動的に内燃機関の運転を停止させるものである。
尚、このアイドルストップ制御装置では自動車が完全に走行停止していなくても内燃機関の自動停止条件が成立したら内燃機関を自動的に停止するように動作するもので、その後、運転者によるアクセルペダルの踏み込みによって再始動要求が生じた場合や、補機類(カーエアコン用のコンプレッサや変速装置のオイルポンプ等)の動力確保のために内燃機関の動力が必要になった場合等に内燃機関を再始動させるように動作する。
そして、自動停止条件によって停止した或いは停止しようとしている内燃機関を再始動させる方法として、ピニオンギア押し出し式のスタータを用いることで内燃機関を再始動させることが提案されている。
これは内燃機関の回転が低下していく途中でスタータのピニオンギアを押し出し、そのピニオンギアを内燃機関のリングギアに噛合わせることで再始動の準備を行ない、次に再始動要求条件が成立するとスタータモータを回転させることでリングギアを回転させて内燃機関を再始動させるようにしている。
このようにアイドルストップ制御装置においては、内燃機関の自動停止条件が成立して燃料噴射弁からの燃料噴射が停止され、内燃機関が発生する動力(トルク)が失われた後の内燃機関の惰性回転期間中に、次回の内燃機関の再始動に備えてスタータのピニオンギアをリングギアに予め噛み込ませることが必要である。
そして、このスタータのピニオンギアを如何に上手くリングギアに噛み合わせるかという技術課題に対して、特開2010−270635号公報(特許文献1)で提案されている技術では、内燃機関の惰性回転期間中において、内燃機関の回転速度が「零」に向けて単調減少する期間の内燃機関の回転速度に基づいて、将来の内燃機関の回転速度が「零」に向けて単調減少する期間の内燃機関の回転速度を予測し、この予測された内燃機関の回転速度が「零」となる付近でスタータのピニオンギアをリングギアに噛み込ませるようにしている。
特開2010−270635号公報
アイドルストップ制御装置においては、内燃機関の自動停止条件が成立して内燃機関が発生する動力(トルク)が失われた後の惰性回転期間中に、スタータのピニオンギアをリングギアに予め噛み込ませる場合、その噛み込み音をできるだけ小さくすることが要求され、このためには内燃機関の回転速度がなるべく低い回転速度で噛み込ませるのが望ましい。
一方、内燃機関が惰性回転期間中に運転者による早期の再始動要求条件が成立したとき、できるだけ速やかに内燃機関を再始動する必要性がある。しかしながら、特許文献1のようにスタータのピニオンギアをリングギアに予め噛み込ませる回転速度が特許文献1のように低い場合においては、スタータのピニオンギアがまだリングギアに噛み合っていない状態で再始動要求条件が成立すると再始動が困難となる課題がある。
このように、内燃機関が惰性回転期間中に運転者による再始動要求条件が成立したときの要求に応えるには、比較的高い内燃機関の回転速度でスタータのピニオンギアをリングギアに予め噛み込ませておくことが望ましい。このためには、より高い精度での回転速度の予測が必要である。回転速度の予測が正確にできると、これに合わせてスタータモータへの通電制御やピニオンギアの押し出しタイミングが正確にできるので比較的高い回転速度領域でスタータのピニオンギアをリングギアに噛み込ませておくことができる。
また、これとは別にピニオンギア押し出し式のスタータは、ピニオンギアを押し出してリングギアに噛み込ませるまでに遅れ時間があり、ピニオンギアを押し出すタイミング時に生じる上記時間遅れの間にも内燃機関の回転速度が低下していくので、これを考慮したピニオンギア押し出すタイミングを得るためにも精度の高い回転速度の予測が必要である。
ところで、発明者等の知見によれば、内燃機関の回転速度は惰性回転期間中に亘って上昇と下降を繰り返し周期的に脈動しながら低下することが判明した。
したがって、内燃機関が惰性回転期間中にスタータのピニオンギアをリングギアに噛み込ませるには、脈動しながら低下する内燃機関の回転速度を正確に予測することが必要である。
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は回転速度が単調減少することを前提に回転速度を予測している。このため、上昇と下降を繰り返し脈動しながら低下していく回転速度を正確に予測することはできず、予測した回転速度が実際には脈動によって回転速度が上昇している場合と下降している場合ではその予測結果に大きな乖離が生じるようになる。
本発明の目的は、内燃機関の惰性回転期間中に回転速度を精度よく予測することができるアイドルストップ制御装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、惰性回転期間中に回転速度を精度よく予測すると共に、比較的高い回転速度領域でスタータのピニオンギアをリングギアに噛み込ませて噛み込み音抑制と素早い再始動要求を満たすアイドルストップ制御装置を提供することにある。
本発明の特徴は、回転速度を予測するために、内燃機関への燃料供給が停止された後の惰性回転期間中において、少なくとも、周期的に変動する回転速度の先行する一つの周期における所定のクランク角度区間で回転速度算出手段により算出された回転速度から回転速度差を求め、これに続く後続の周期における所定のクランク角度区間で回転速度算出手段により算出された回転速度から回転速度差を求め、これらの回転速度差から予測回転速度差を求めると共に、この求められた予測回転速度差から後続の周期の次の周期の所定のクランク角度区間の予測回転速度を算出するようにしたところにある。
本発明によれば、周期的に脈動している回転速度の上昇と下降を反映させて将来の回転速度を予測するようにしているため精度が高い回転速度を推定することができる。また、惰性回転期間中に回転速度を精度よく予測することができるので、比較的高い回転速度領域でスタータのピニオンギアをリングギアに噛み込ませることができるようになる。
本発明における内燃機関の回転速度特性とスタータのピニオンギアの回転速度特性及びスタータの制御信号の出力特性を示す特性図である。 本発明が適用されるアイドルストップ制御装置を構成する簡易的な構成図である。 図2に示すアイドルストップ制御装置の制御フローチャートを示すフローチャート図である。 本発明の一実施例になる内燃機関の回転速度を予測する制御フローチャートを示すフローチャート図である。 図4に示す制御フローチャートの予測方法を説明する説明図である。 図4に示す制御フローチャートで使用する回転速度の予測値算出方法を説明するための説明図である。 本発明の他の実施例になる内燃機関の回転速度を予測する制御フローチャートを示すフローチャート図である。 図7に示す制御フローチャートの予測時間補正分を説明する特性図である。
以下、図面に基づき本発明の一実施例を詳細に説明するが、まず図2でアイドルストップ制御装置の大まかな構成と動作について説明する。
図2はアイドルストップ制御装置の簡単な構造を示しており、スタータ201はいわゆるピニオンギア押し出し方式のスタータであり、スタータモータ205とスタータモータ205によって回転駆動されるピニオンギア203と、ピニオンギア203を押し出すための押し出し手段であるマグネットスイッチ202を備えた構成となっている。
スタータモータ205の回転はその内部にある減速機構で減速することでトルクを増大させてピニオンギア203に伝達する。マグネットスイッチ202に通電するとピニオンギア203を押し出して(図2の右方向)、リングギア204に連結する構造となっている。ピニオンギア203はスタータモータ205の軸方向にスプライン結合されており、軸方向に移動可能である。
尚、ピニオンギア203を押し出す機能を備えるものであれば、マグネットスイッチ202でなくても良い。ピニオンギア203はワンウェイクラッチ207と一体化されている。
上述の通り、ピニオンギア203はスタータモータ205の軸方向にスプライン結合されて軸方向に移動可能であり、ピニオンギア203は内燃機関のクランク軸に連結されたリングギア204と噛み合わせて回転することで内燃機関に動力を伝えることができる。
ワンウェイクラッチ207はスタータモータ205が内燃機関を正回転させる方向にしか動力が伝わらない構成にする。これにより、ピニオンギア203がリングギア204に噛み合っている時は、リングギア204の回転速度はスタータモータ205の回転速度に対して減速比に応じた同期速度になるか、もしくは、それよりも速い回転速度になる。
すなわち、リングギア204がピニオンギア203の回転速度よりも低下しようとすると、ワンウェイクラッチ207が動力を伝達するためリングギア204の回転速度がスタータモータ205に対する同期速度を下回ることはない。
一方で、同期速度よりもリングギアの回転速度の方が速い時は、ワンウェイクラッチ207が動力を伝達しないため、リングギア204からスタータモータ205側へ動力が伝達されることはない。
図2に示す通り、クランク角度センサ209からの信号はクランク角度を検出したり、内燃機関の回転速度を算出するために使用され、クランク角度センサ209からの信号は制御装置208に入力される。尚、リングギア204と図示しない内燃機関のクランク軸は連結されているので、リングギアの回転速度と内燃機関の回転速度は同義である。
制御装置208は気筒に燃料を供給する燃料噴射弁の制御信号、気筒内の混合気を着火する点火装置の制御信号、気筒内に供給される空気を制御する電子制御スロットル弁の制御信号等を生成して気筒内の燃焼を制御している。
更に、制御装置208にはアクセルペダルの状態、ブレーキペダルの状態、車速等の各種情報よりアイドルストップ制御を許可して少なくとも燃料噴射弁からの燃料供給を遮断し、これによって内燃機関の運転が停止されようになっている。
また、制御装置208からは内燃機関の惰性回転期間中にピニオンギア押し出し指令信号Mgsとスタータモータ回転指令信号Stsがそれぞれ独立して出力される。図2で示す通り、ピニオンギア押し出し指令信号Mgsを伝えるマグネットスイッチ通電用スイッチ206aとモータ回転指令信号Stsを伝えるスタータモータ通電用スイッチ206bがピニオンギア押し出しとスタータモータ205の回転とを制御する。スイッチの役割を果たす部品として機械式接点を持つリレースイッチや、半導体を用いたスイッチなどを使うことができる。
以上のような構成を有するアイドルストップ制御装置においては、運転者がアクセルペダルから足を離したり、ブレーキペダルを踏んだりすると、制御装置208は自動車が停止しようとしていると判断して、燃料噴射弁への制御信号を停止する。これによって内燃機関の気筒内には混合気がなくなるので燃焼が停止して内燃機関は惰性回転を行ないながら回転速度が低下していく。
回転速度が低下していって所定の噛み合い回転数付近に達すると、制御装置208はスタータモータ通電用スイッチ206bをオンさせてスタータモータ205を回転させ、この回転が所定の回転数に達するとスタータモータ通電用スイッチ206bをオフする。これに同期、或いは連動してマグネットスイッチ通電用スイッチ206aをオンしてマグネットスイッチ202によってピニオンギア203をリングギア204側に押し出して両者を噛み合わせる。この時のピニオンギア203の回転速度とリングギア204の回転速度は接近(理想的には同一の回転速度)しており、円滑に両者は噛み合うようになる。
次に、アクセルペダルが踏み込まれると制御装置208は再始動要求条件が成立したと判断して、スタータモータ通電用スイッチ206bを再びオンしてスタータモータ205を回転させてピニオンギア203を介してリングギア204を回転させて内燃機関を始動する。この始動は通常の始動と同様である。
このようなアイドルストップ制御装置において次に本発明の一実施例になる回転速度の予測方法について以下に説明する。
図1及び図3を参照して本発明の一実施例を詳細に説明するが、図3はアイドルストップ制御装置を動作させる際の制御フローチャートを示しており、制御装置208の内部で実施される。
制御装置208は周知の通り、演算処理を行なうCPU(セントラルプロセッシングユニット)、制御プログラムや定数、演算式等が格納されたフラッシュROM(リードオンリーメモリ)、CPUによる演算処理で求めた制御値等を一次的に格納するワークエリアとして機能するRAM(ランダムアクセスメモリ)やI/O入出力部を構成するロジック回路等より構成されている。
一方、図1は図3に示した制御フローチャートを実施した時のリングギア204とピニオンギア203との回転速度の時間変化と、そのときの制御装置208の出力信号の挙動を示している。
図3に示す制御フローチャートは、例えば自動停止条件や再始動要求条件等のアイドルストップ制御条件が成立したことにより定時割り込みやイベント割り込みが発生して起動されるものであり、これが起動されるとステップ301(この場合は自動停止条件成立を判断している)にて燃料噴射弁からの燃料噴射が停止される。その結果、内燃機関は燃焼による動力(トルク)が生じないので、内燃機関の回転は惰性回転を始めて降下するようになる。
次に、ステップ302に進むと燃料カット開始からピニオンギア203が噛み込む前に、再始動要求条件が成立して再始動要求が発生する可能性があるので、このステップによってこれを検出している。
ステップ302によって再始動要求があると判断なされるとステップ311に進む。アイドルストップ条件が成立し、燃料カットされた後でも内燃機関の回転速度が高い領域に関しては燃焼噴射を再開して燃焼を再開することで内燃機関の回転速度を復帰させることができるが、内燃機関の回転速度が低い領域では燃焼を再開してもそのまま内燃機関が止まってしまうことがある。
したがって、ステップ311にて内燃機関が燃焼復帰可能かどうかを判定し、燃焼復帰可能な場合はステップ312にて燃料噴射を再開して燃料による再始動を実施する。一方、燃焼復帰不可能な場合はステップ313に進んでピニオンギア203をリングギア204に噛み込ませ、その後ステップ310に進んでスタータ201による再始動を行う。尚、ステップ311の燃焼復帰可否判定は、例えば内燃機関の回転速度が所定の値(例えば300r/min)を下回った時点で燃焼復帰できないと判定することができる。
ステップ302に戻って、このステップで再始動要求がないと判断されるとステップ303に進む。このステップ303にてピニオンギア203とリングギア204とを噛み込ませる所定の予測回転速度(例えば100r/min)までの時間Tpを、将来の内燃機関の回転速度の予測結果から算出する。この内燃機関の回転速度の予測に関しては後で詳しく述べるが、例えば、図1において現在の時点が時点t1とすると、時点t1から時点t4までがピニオンギア203とリングギア204とを噛み込ませる所定の予測回転速度Nesetまでの時間Tpである。この時間Tpの算出は所定の算出タイミングで時々刻々に制御装置208によって行われる。
したがって、所定の予測回転速度Nesetが精度良く求められれば上述の時間Tpも精度良く求められるので、ピニオンギア203とリングギア204を噛み込ませる所定の予測回転速度Nesetを高い領域に移行しても上手く噛み込み動作を実行することができる。ここで、この制御を実行する上で予測回転速度Nesetは固定値に定められているのが望ましい。
ステップ303で時間Tpが推定できるとステップ304に進んで予回転制御の開始判定を行う。スタータモータ205は図1の通電期間101で示すように、ピニオンギア203をリングギア204に噛み込ませる前に通電することによってピニオン203を回転させる回転制御を実行する必要がある。そして、この通電期間101に亘ってスタータモータ205を回転する制御を予回転制御と称している。
予回転制御の開始判定の方法としては、例えばピニオンギア203とリングギア204とを噛み込ませる所定の予測回転速度Nesetまでの時間Tpがモータ予回転制御時間Tm(ここでは、通電期間である時間Ttとピニオンギア押し出し遅れ時間Tdelayを合わせて予回転制御時間Tmとしている)を下回ったことを条件にすることが考えられる。
モータ予回転制御時間Tmはスタータモータ205の作動に基づく物理的な時間として把握できる。すなわち、通電期間Ttに亘る通電によってスタータモータ203が回転されるが、図1のピニオンギア203の回転速度(モータの回転速度が減速されているが、モータの回転に比例している)が目標回転速度に達するまでの時間Ttは把握可能である。つまり、通電開始から目標回転速度に達するまでの時間を計測することで把握でき、これは予め適用するスタータモータ205に合わせて求められている。
また、スタータモータ205への通電を停止した後にピニオンギア押し手段によってピニオンギア203はリングギア204側に押し出されるが、この時に移動にかかる遅れ時間Tdelayが発生する。
この遅れ時間Tdelayはピニオンギア押し手段であるマグネットスイッチ通電用スイッチ206aをオンからピニオンギア203が移動してリングギア204に到達しリングギア204に噛み込むまでの時間である。
したがって、上述したように時間Tpがモータ予回転時間Tmを下回ったと判断されるとスタータモータ205の予回転制御を開始する。尚、これ以外にも予回転制御を開始する判断条件があるので、適用されるシステムにあった判断条件を決めれば良い。
予回転制御の開始判定が成立した後は、ステップ305に進んでスタータモータ205に通電して予回転制御を開始する。予回転制御はピニオンギア203の回転速度が目標回転速度に達するまで行われるか、所定の時間が経過すると終了される。
その後は、通電をやめることでスタータモータ205が発生するトルクが失われ、ピニオンギア203は惰性回転に移行する。尚、本実施例においては必ずしもスタータモータ205を予回転制御させる必要はないが、予回転させることで内燃機関の回転速度、すなわち、リングギア204の回転速度が比較的高い領域であってもピニオンギア203とリングギア204との円滑な噛み込みが可能になるので、予回転制御するほうがより望ましい。
ステップ306では予回転制御している時或いは予回転制御が終了した直後等にピニオンギア203がリングギア204に噛み込む前に、再始動要求条件が成立して再始動要求が発生する可能性があるので、このステップによってこれを検出している。再始動要求があるとステップ311に進んで上述したステップ311,312、313、310の制御動作を実行する。
ステップ306で再始動要求がないと判断されるとステップ307に進んでピニオンギア押し出し判定を行う。この判定方法としては、図1にあるようにピニオンギア203とリングギア204とを噛み込ませる所定の予測回転速度Nesetまでの時間Tpがピニオンギア押し出し手段の遅れ時間Tdelayを下回ったことを条件にする。
図1のTdelayがピニオンギア押し出し手段の遅れ時間であり、この遅れ時間Tdelayを考慮して、時点t3で押し出し指令を出力する。つまりピニオンギア押し出し手段の遅れ時間Tdelay、すなわちピニオンギア203が移動してリングギア204に到達するまでの時間の間の内燃機関の回転速度の変化を予測することで、任意の内燃機関の回転速度でピニオンギア203がリングギア204に噛み込むように押し出しタイミングを決めることができ、噛み込み音抑制と素早い再始動要求に備えることを実現できる。
次に、ステップ309でピニオンギア203がリングギア204に噛み込んだ後に発生した再始動要求の有無が判断され、再始動要求があると判断されるとステップ310に進んで直ちにスタータモータ205に通電してピニオンギア203によってリングギア204を回転させて再始動を開始する。ピニオンギア203が噛み込み済みであるので、直ちにスタータモータ205に通電し、クランキングを開始することで素早い再始動を可能にすることができる。
ステップ309で再始動要求がないと判断されると、再びステップ309に戻り再始動要求の監視を継続する。
以上がアイドルストップ制御装置の大まかな制御動作の説明であるが、以下に本発明の特徴である回転速度の予測方法について説明する。
内燃機関の惰性回転期間中の回転速度は図5に示すように上昇と下降を繰り返し周期的に脈動しながら降下し、例えば、直列4気筒4サイクルの内燃機関の場合ではクランク角度180度を1周期として、この周期内で回転速度の上昇と下降の挙動(パターン)はおおよそ3つのクランク角度区間で変動している。
図5において、圧縮行程の気筒が上死点に達した所をクランク角度0度とした場合、0度を始点として膨張行程の前半は、圧縮行程で高まった燃焼室内の圧力の力により内燃機関回転速度が上昇するα区間(4気筒の場合、例えば0〜50度)、膨張行程の力より180度位相がずれた他の気筒の圧縮行程での圧縮力が勝り内燃機関回転速度が下降するβ区間(4気筒の場合、例えば50〜140度)、β区間よりさらに内燃機関回転速度の下降が大きいγ区間(4気筒の場合、例えば140〜180度)である。これを1周期として回転速度は周期的に脈動しながら降下していくようになる。
また、3気筒4サイクルエンジンの内燃機関の場合ではクランク角度240度を1周期として、その周期内で回転速度の上昇と下降の挙動(パターン)はおおよそ3つのクランク角度区間で変動している。したがって、これも同様にクランク角度240度を1周期として回転速度は周期的に脈動しながら降下していくようになる。
以下では直列4気筒4サイクルの内燃機関の場合を対象に説明するが、上述したようにこの場合はクランク角度180度を1周期として、この周期内で回転速度の上昇と下降の挙動(パターン)はおおよそ3つのクランク角度区間で変動している。
尚、予測の精度の度合いでもあるが区間の分け方はα区間及びβ区間とγ区間を足し合わせた少なくとも2区間にする方法や、更に区間を細かく分けても良い。要は惰性回転で回転速度が降下している過程で、周期的に脈動している回転速度が上昇する領域と下降する領域の回転速度から将来の脈動する回転速度を予測するものである。
図5において、それぞれのクランク角度区間での回転速度差ΔNeは回転速度が低くなるにつれて内燃機関の機構系のフリクションの増加で大きくなっていく。したがって、内燃機関の惰性回転中の所定の回転角度でサンプリングした複数の回転速度差ΔNeを入力値とし、例えば、この複数の入力値から求めた(近似した)一次関数もしくは二次関数を用いて将来に到達すべきであろう回転速度を予測するものである。
本実施例では、好ましくは回転速度の測定を行なう測定時点の直前の入力値を利用することにより、まさにその時点での内燃機関の状態(温度、負荷、劣化など)やブレーキの強弱が含まれた回転速度差ΔNeとなっており、例えば内燃機関の状態やブレーキの強弱を加味した補正をしなくても精度よく回転速度を予測できるものである。
次に、内燃機関の回転速度の予測を含む図3のステップ303である所定の予測回転速度Nesetまでの時間Tpを算出する具体的な制御を図4に示す制御フローチャート図を用いて説明するが、併せてこの制御を実施した時の回転速度の変化状態を図5に基づいて補足説明する。
図4及び図5において、ステップ401では所定のクランク回転角度区間であるα区間(例えば、クランク角で0度から50度の間で回転速度が上昇している区間)、β区間(例えば、クランク角で50度から140度の間で回転速度が下降している区間)及びγ区間(例えば、クランク角で140度から180度の間で回転速度がより下降している区間)で、それぞれの始点(回転速度の変化方向が反転する所定のクランク角度)と終点(回転速度の変化方向が反転する所定のクランク角度)を含む所定の回転角度間での内燃機関の回転速度Neを取り込み、この始点(回転速度の変化方向が反転する所定のクランク角度)と終点(回転速度の変化方向が反転する所定のクランク角度)で取り込まれた回転速度の間の回転速度差を求めて回転速度差ΔNeα1、ΔNeβ1、ΔNeγ1を算出する。この回転速度差ΔNeを求める演算は各区間の終点(=次の区間の始点でもある)を経過した直後に演算して求めるのが制御の即応性を高める上で望ましい。
次にステップ402において、180度回転した後に続いて繰り返される後続の周期のα区間、β区間及びγ区間のそれぞれの始点と終点での内燃機関の回転速度Neを取り込み、この始点と終点で取り込まれた回転速度の間の回転速度差を求めて回転速度差ΔNeα2、ΔNeβ2、ΔNeγ2を算出する。
ここで、本実施例では回転速度の脈動は180度毎に繰り返されるので、少なくとも2回以上の周期の回転速度を取り込むことが必要である。取り込む回数が増えればより正確な予測が可能となるが、あまり取り込む回数を多くすると、取り込みタイミング間の待ち時間や演算時間の制約から回転速度の予測の即応性に障害が出てくるので多くても3回乃至4回程度が望ましい。
次にステップ403に進んで、ステップ401とステップ402で算出された内燃機関の回転速度差ΔNeを用いて関数式を作成して、次の周期の予測すべき回転速度差ΔNefを推定する。つまり、図6にあるように、回転速度差ΔNeをY軸とし、平均回転速度NeをX軸としてステップ403においては一次関数もしくは二次関数で近似した関係式を用いてα区間、β区間、γ区間の予測回転速度差ΔNeαf、ΔNeβf、ΔNeγfを算出する。ここで、平均回転速度Neは各区間での平均回転速度であり、簡略的には始点と終点の回転速度の平均値を演算して得られるが、この方法以外に周知の平均値算出方法を用いても良い。
予測回転速度差ΔNeαf、ΔNeβf、ΔNeγfのうち、代表して、予測回転速度差ΔNeβfの算出方法を表したのが図6であり、一次関数を利用した算出方法が図6(a)、2次関数を利用した算出方法が図6(b)である。
一次関数を利用したβ区間での予測回転速度差ΔNeβfは、(x、y)=(β1区間の平均回転速度Ne、回転速度差ΔNeβ1)と、(x、y)=(β2区間の平均回転速度Ne、回転速度差ΔNeβ2)の2点から1次関数式で近似した関係式により算出する。この例では2点としたが、2点以上の入力値を用いても良い。当然のことながら、予測回転速度差ΔNeαf、ΔNeγfについても同様にして求められる。前にも述べたが、回転速度は脈動しながら降下していくので、予測回転速度差ΔNeαf、ΔNeγfについても前回の脈動と同様にクランク角度に対応しているものである。
二次関数を利用したβ区間での予測回転速度差ΔNeβfは、(x、y)=(β1区間の平均回転速度Ne、回転速度差ΔNeβ1)と、(x、y)=(β2区間の平均回転速度Ne、回転速度差ΔNeをeβ2))と、(x、y)=(β3区間の平均回転速度Ne、回転速度差ΔNeβ3))の3点から二次関数式で近似した関係式により算出する。この例では3点としたが、3点以上の入力値を用いても良い。予測回転速度差ΔNeαf、ΔNeγfについても同様にして求められる。
一次関数或いは二次関数の近似によって得られた各区間の予測回転速度差ΔNefの変化状態の挙動はこれ以前の脈動と同様にクランク角に対応して類似したものとなっている。このようにして求めたものが図5の破線で示す予測回転速度の変化状態である。
次に、ステップ404に進んで、ステップ403の算出結果から各クランク角度に対応した予測回転度速度Neαf、Neβf、Neγfを算出する。
予測回転度速度Neαfは図5に示すγ区間(2回目)の終点で取り込まれた回転速度にステップ403で推定された予測回転速度差ΔNeαfを加算して求められる。
また、予測回転度速度Neβfは先に求められた予測回転度速度Neαfにステップ403で推定された予測回転速度差ΔNeβfを減算して求められる。
更に、同様の手法で予測回転度速度Neγfは先に求められた予測回転度速度Neβfにステップ403で推定された予測回転速度差ΔNeγを加算して求められる。
尚、各区間内での回転速度は予測回転速度Neαf、Neβf、Neγfを補間計算して求めることができる。
次に、ステップ405において各区間の予測回転速度Neαf、Neβf、Neγfがピニオンギア203とリングギア204とを噛み込ませる所定の予測回転速度Nesetを下回るかどうかを判断し、下回らない場合は上記した演算を繰り返すようにステップ401に戻る。
一方、ステップ405において各区間の予測回転速度Neαf、Neβf、Neγfがピニオンギア203とリングギア204とを噛み込ませる所定の予測回転速度Nesetを下回ると判断されると、ステップ406に進んでピニオンギア203とリングギア204とを噛み込ませる所定の予測回転速度Nesetまでの時間Tpを内燃機関の回転速度とクランク角度情報から算出する。
ここで、時間Tpの算出方法は以下の方法で求められ、予測回転度速度Neαfに関しては以下の通りである。
現在の回転速度を200rpm、クランク角度を0度と仮定したときに、次の周期の予測回転速度を250rpm、クランク角度を50度とすると、
クランク角度0−50度間の平均回転速度Neは、
Ne=225r/min=(200+250)/2
クランク角度0−50度に要する時間Tpは、
Tpα=37ms=1*1000/(225/60)*(50−0)/360
と計算される。
同様に予測回転度速度Neβfに関する時間Tpβ、予測回転度速度Neγfに関する時間Tpγも同様に求められる。
そして、これらの時間Tpα、時間Tpβ、時間Tpγを加算すれば時間Tpが求められる。
このように、本実施例においては周期的に脈動しながら降下していく回転速度を予測できるため精度の高い回転速度を推定することができるようになる。
次に、このピニオンギア203とリングギア204とを噛み込ませる所定の予測回転速度Nesetまでの時間Tpが求まると、図3に戻ってステップ304に進んで予回転制御の開始判定を行なうものである。
次に、本発明の第2の実施形態について図7に基づき説明するが、図3のステップ303である所定の予測回転速度までの時間Tpを算出するときの制御フローチャートである。基本的には図4に示す制御フローチャートと同様の手法で回転速度を予測するものであるが、その予測において更に補正を加える点で図4とは相違している。
図7において、ステップ701では所定の回転角度区間であるα区間(例えば、クランク角で0度から50度の間で回転速度が上昇している区間)、β区間(例えば、クランク角で50度から140度の間で回転速度が下降している区間)及びγ区間(例えば、クランク角で140度から180度の間で回転速度がより下降している区間)で、それぞれの始点(回転速度の変化方向が反転する所定のクランク角度)と終点(回転速度の変化方向が反転する所定のクランク角度)を含む所定の回転角度間での内燃機関の回転速度Neを取り込み、この始点(回転速度の変化方向が反転する所定のクランク角度)と終点(回転速度の変化方向が反転する所定のクランク角度)で取り込まれた回転速度の間の回転速度差を求めて回転速度差ΔNeα1、ΔNeβ1、ΔNeγ1を算出する。
次にステップ702において、180度回転した後に繰り返される次の後続の周期のα区間β区間及びγ区間のそれぞれの始点と終点での内燃機関の回転速度Neを取り込み、この始点と終点で取り込まれた回転速度の間の回転速度差を求めて回転速度差ΔNeα2、ΔNeβ2、ΔNeγ2を算出する。
次にステップ703に進んで、ステップ701とステップ702で算出された内燃機関の回転速度差ΔNeを用いて関数式を作成して、次の予測すべき基本予測回転速度差ΔNefnを推定する。つまり、回転速度差ΔNeをY軸とし、平均回転速度NeをX軸としてステップ703においては一次関数もしくは二次関数で近似した関係式を用いてα区間、β区間、γ区間の基本予測回転速度差ΔNeαfn、ΔNeβfn、ΔNeγfnを算出する。この演算は図4に示す演算と同様である。
また、このステップ703では基本予測回転速度差ΔNeαfn、ΔNeβfn、ΔNeγfnが表れるα区間、β区間、γ区間の角度を時間換算した経過時間に補正係数をかけた予測時間補正分回転速度差ΔNeαft、ΔNeβft、ΔNeγftを算出する。
この予測時間補正分回転速度差ΔNeαft、ΔNeβft、ΔNeγftは内燃機関の回転速度が低いほど大きくなる。つまり、回転速度が低いほど機構系のフリクションが大きくなり回転速度の落ち込みが大きくなるからである。
図8は予測時間と予測時間補正分回転速度差ΔNeftの関係を表しており、予測時間が長くなるほど予測時間補正分回転速度差はΔNeftは大きくなるように設定されている。ここで予測時間はα区間、β区間、γ区間の経過時間であり、回転速度が低くなるほどクランク角度区間を経過時間が長くなることを表している。
次に、ステップ704において、基本予測回転速度差ΔNefnと予測時間補正分回転速度差ΔNeftから予測回転速度差ΔNefが求められる。
例えばβ区間の予測回転速度ΔNeβfは、ステップ703で算出された基本予測回転速度差ΔNeβfnと予測時間補正分回転速度差ΔNeβftから、ΔNeβf=ΔNeβfn+ΔNeβftの演算をおこなって算出される。予測回転速度差ΔNeαf、ΔNeγfについても同様にして求められる。
次に、ステップ705に進んで、ステップ704の算出結果から各クランク角度に対応した予測回転度速度Neαf、Neβf、Neγfを算出する。
予測回転度速度Neαfは図4の実施例と同様に、図5に示すγ区間(2回目)の終点で取り込まれた回転速度にステップ704で推定された予測回転速度差ΔNeαfを加算して求められる。
また、予測回転度速度Neβfは先に求められた予測回転度速度Neαfにステップ704で推定された予測回転速度差ΔNeβfを減算して求められる。
更に、同様の手法で予測回転度速度Neγfは先に求められた予測回転度速度Neβfにステップ704で推定された予測回転速度差ΔNeγfを加算して求められる。
次に、ステップ706において各区間の予測回転速度Neαf、Neβf、Neγfがピニオンギア203とリングギア204とを噛み込ませる所定の予測回転速度Nesetを下回るかどうかを判断し、下回らない場合は上記した演算を繰り返すようにステップ701に戻る。
一方、ステップ706において各区間の予測回転速度Neαf、Neβf、Neγfがピニオンギア203とリングギア204とを噛み込ませる所定の予測回転速度Nesetを下回ると判断されると、ステップ707に進んでピニオンギア203とリングギア204とを噛み込ませる所定の予測回転速度Nesetまでの時間Tpを内燃機関の回転速度とクランク角度情報から算出する。
次に、このピニオンギア203とリングギア204とを噛み込ませる所定の予測回転速度Nesetまでの時間Tpが求まると、図3に戻ってステップ304に進んで予回転制御の開始判定を行なうものである。
このように、本実施例においては周期的に脈動しながら降下していく回転速度を予測できるため精度の高い回転速度を推定することができるようになる。
以上説明したように、内燃機関の回転速度は惰性回転期間中に亘って上昇と下降を繰り返し脈動しながら低下している。したがって、内燃機関が惰性回転期間中にスタータのピニオンギアをリングギアに噛み込ませるには、脈動しながら降下する内燃機関の回転速度を正確に予測することが必要である。
本発明はこのような観点から、周期的に脈動する回転速度の上昇と下降を反映させて将来の回転速度を予測するようにしているため精度が高い回転速度を推定することができる。また、惰性回転期間中に回転速度を精度よく予測することができるので、比較的高い回転速度領域でスタータのピニオンギアをリングギアに噛み込ませることができるようになる。
尚、実施例においては、直列4気筒4サイクルの内燃機関の場合でクランク角度180度を1周期として説明しているが、3気筒4サイクルの内燃機関の場合ではクランク角度240度を1周期として、6気筒4サイクルの内燃機関の場合ではクランク角度120度を1周期として同様の制御を実行すればよいものである。
101…予回転でのモータ通電信号、201…スタータ、202…マグネットスイッチ、203…ピニオンギア、204…リングギア、205…スタータモータ、206a…マグネットスイッチ通電用スイッチ、206b…スタータモータ通電用スイッチ、207…ワンウェイクラッチ、208…制御装置、209…クランク角度センサ、Tp…現時点からピニオンギアとリングギアとを噛み込ませる所定内燃機関回転速度までの時間、Tt…モータ予回転開始信号から目標回転に達するまでの時間、Tdelay…ピニオンギア飛出し信号からピニオンギアがリングギアに噛み込むまでの遅れ時間、Tm…モータ予回転時間(Tt+Tdelay)、t1…現時点タイミング、t2…モータ予回転開始タイミング、t3…ピニオンギア押し出しタイミング、t4…ピニオンギアがリングギアに噛み込むタイミング、Ne…内燃機関の回転速度、ΔNe…内燃機関の回転速度差、α…膨張行程前半の内燃機関の回転速度が上昇する区間、β…膨張より圧縮行程が勝り内燃機関の回転速度が下降する区間、γ…β区間よりさらに内燃機関の回転速度の下降が大きい区間。

Claims (14)

  1. 内燃機関の回転速度を算出する回転速度算出手段と、
    前記内燃機関のクランク軸のクランク角度を算出するクランク角度算出手段と、
    前記内燃機関への燃料供給が停止された後の惰性回転期間中において、少なくとも、周期的に変動する回転速度の先行する一つの周期における所定のクランク角度区間で前記回転速度算出手段により算出された回転速度から回転速度差を求め、これに続く後続の周期における前記所定のクランク角度区間で前記回転速度算出手段により算出された回転速度から回転速度差を求め、これらの回転速度差から予測回転速度差を求める予測回転速度差算出手段と、
    前記予測回転速度差算出手段で求められた予測回転速度差から前記後続の周期に続く次の周期の前記所定のクランク角度区間の予測回転速度を算出する予測回転速度算出手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の回転速度予測制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の回転速度予測制御装置において、
    前記予測回転速度差算出手段は、
    前記内燃機関への燃料供給が停止された後の惰性回転期間中において、少なくとも、周期的に変動する回転速度の先行する一つの周期における先行する所定のクランク角度区間及びこれに続く後続の所定のクランク角度区間で前記回転速度算出手段により算出された回転速度から回転速度差を求め、これに続く後続の周期における前記先行する所定のクランク角度区間及びこれに続く前記後続の所定のクランク角度区間で前記回転速度算出手段により算出された回転速度から回転速度差を求め、これらの回転速度差から前記後続の周期に続く次の周期の前記先行するクランク角度区間及び前記後続のクランク角度区間の予測回転速度差を求めることを特徴とする内燃機関の回転速度予測制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の回転速度予測制御装置において、
    前記予測回転速度差算出手段は少なくとも、
    前記先行する一つの周期における先行する所定のクランク角度区間で第1の回転速度差を求め、これに続く後続の所定のクランク角度区間で第2の回転速度差を求め、
    前記後続の周期における前記先行する所定のクランク角度区間で第3の回転速度差を求め、これに続く前記後続の所定のクランク角度区間で第4の回転速度差を求め、
    前記第1の回転速度差と前記第3の回転速度差に基づいて前記後続の周期に続く次の周期の前記先行する所定のクランク角度区間の回転速度差を予測し、
    前記第2の回転速度差と前記第4の回転速度差に基づいて前記後続の周期に続く次の周期の前記後続の所定のクランク角度区間の回転速度差を予測することを特徴とする内燃機関の回転速度予測制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関の回転速度予測制御装置において、
    前記予測回転速度差算出手段は少なくとも、
    前記先行する所定のクランク角度区間及び前記後続の所定のクランク角度区間を時間換算した時間から決まる時間補正分によって前記第1回転速度差乃至第4回転速度差を補正することを特徴とする内燃機関の回転速度予測制御装置。
  5. 請求項3或いは請求項4に記載の内燃機関の回転速度予測制御装置において、
    前記予測回転速度差算出手段は少なくとも、
    前記第1の回転速度差と前記第3の回転速度差を一次関数で近似した関数式で前記後続の周期より後の周期の前記先行する所定のクランク角度区間の回転速度差を予測し、前記第2の回転速度差と前記第4の回転速度差を一次関数で近似した関数式で前記後続の周期に続く次の周期の前記後続の所定のクランク角度区間の回転速度差を予測することを特徴とする内燃機関の回転速度予測制御装置。
  6. 請求項3或いは請求項4に記載の内燃機関の回転速度予測制御装置において、
    前記予測回転速度差算出手段は少なくとも、
    3周期分の前記先行する所定のクランク角度区間の回転速度差を二次関数で近似した関数式で前記後続の周期より後の周期の前記先行する所定のクランク角度区間の回転速度差を予測し、
    前記3周期分の前記後続の所定のクランク角度区間の回転速度差を二次関数で近似した関数式で前記後続の周期に続く次の周期の前記後続の所定のクランク角度区間の回転速度差を予測することを特徴とする内燃機関の回転速度予測制御装置。
  7. 請求項3に記載の内燃機関の回転速度予測制御装置において、
    前記予測回転速度算出手段は少なくとも、
    予測回転速度を前記第4の回転速度差を算出するために用いた最後の回転速度に順次予測された回転速度差を加算或いは減算して求めることを特徴とする内燃機関の回転速度予測制御装置。
  8. 内燃機関の自動停止条件が成立した時に、燃料噴射弁から前記内燃機関に供給される燃料を遮断して気筒内での燃焼を停止させ、前記内燃機関の回転速度が下降する惰性回転期間中にスタータのピニオンギアを前記内燃機関のクランク軸に連結されたリングギアに噛み込ませるようにしたアイドルストップ制御装置において、
    前記アイドルストップ制御装置は、
    内燃機関の回転速度を算出する回転速度算出手段と、
    前記内燃機関のクランク軸のクランク角度を算出するクランク角度算出手段と、
    前記内燃機関への燃料供給が停止された後の惰性回転期間中において、少なくとも、周期的に変動する回転速度の先行する一つの周期における所定のクランク角度区間で前記回転速度算出手段により算出された回転速度から回転速度差を求め、これに続く後続の周期における所定のクランク角度区間で前記回転速度算出手段により算出された回転速度から回転速度差を求め、これらの回転速度差から予測回転速度差を求める予測回転速度差算出手段と、
    前記予測回転速度差算出手段で求められた予測回転速度差から前記後続の周期に続く次の周期の前記所定のクランク角度区間の予測回転速度を算出する予測回転速度算出手段と、
    前記予測回転速度算出手段により予測した内燃機関の回転速度に基づいて、前記スタータモータの通電時期と通電時間及び前記ピニオンギアを前記リングギアに噛み合わせる作動時期を制御するスタータモータ制御手段と、
    を備えたことを特徴とするアイドルストップ制御装置。
  9. 請求項8に記載のアイドルストップ制御装置において、
    前記予測回転速度差算出手段は、
    前記内燃機関への燃料供給が停止された後の惰性回転期間中において、少なくとも、周期的に変動する回転速度の先行する一つの周期における先行する所定のクランク角度区間及びこれに続く後続の所定のクランク角度区間で前記回転速度算出手段により算出された回転速度から回転速度差を求め、これに続く後続の周期における先行する所定のクランク角度区間及びこれに続く後続の所定のクランク角度区間で前記回転速度算出手段により算出された回転速度から回転速度差を求め、これらの回転速度差から前記後続の周期に続く次の周期の前記先行するクランク角度区間及び後続のクランク角度区間の予測回転速度差を求めることを特徴とするアイドルストップ制御装置。
  10. 請求項9に記載のアイドルストップ制御装置において、
    前記予測回転速度差算出手段は少なくとも、
    前記先行する一つの周期における先行する所定のクランク角度区間で第1の回転速度差を求め、これに続く後続の所定のクランク角度区間で第2の回転速度差を求め、
    前記後続の周期における前記先行する所定のクランク角度区間で第3の回転速度差を求め、これに続く前記後続の所定のクランク角度区間で第4の回転速度差を求め、
    前記第1の回転速度差と前記第3の回転速度差に基づいて前記後続の周期に続く次の周期の前記先行する所定のクランク角度区間の回転速度差を予測し、
    前記第2の回転速度差と前記第4の回転速度差に基づいて前記後続の周期に続く次の周期の前記後続の所定のクランク角度区間の回転速度差を予測することを特徴とするアイドルストップ制御装置。
  11. 請求項10に記載のアイドルストップ制御装置において、
    前記予測回転速度差算出手段は少なくとも、
    前記先行する所定のクランク角度区間及び前記後続の所定のクランク角度区間を時間換算した時間から決まる時間補正分によって前記第1回転速度差乃至第4回転速度差を補正することを特徴とするアイドルストップ制御装置。
  12. 請求項10或いは請求項11に記載のアイドルストップ制御装置において、
    前記予測回転速度差算出手段は少なくとも、
    前記第1の回転速度差と前記第3の回転速度差を一次関数で近似した関数式で前記後続の周期より後の周期の前記先行する所定のクランク角度区間の回転速度差を予測し、前記第2の回転速度差と前記第4の回転速度差を一次関数で近似した関数式で前記後続の周期に続く次の周期の前記後続の所定のクランク角度区間の回転速度差を予測することを特徴とするアイドルストップ制御装置。
  13. 請求項10或いは請求項11に記載のアイドルストップ制御装置において、
    前記予測回転速度差算出手段は少なくとも、
    前記予測回転速度差算出手段は少なくとも、
    3周期分の前記先行する所定のクランク角度区間の回転速度差を二次関数で近似した関数式で前記後続の周期より後の周期の前記先行する所定のクランク角度区間の回転速度差を予測し、
    前記3周期分の前記後続の所定のクランク角度区間の回転速度差を二次関数で近似した関数式で前記後続の周期に続く次の周期の前記後続の所定のクランク角度区間の回転速度差を予測することを特徴とするアイドルストップ制御装置。
  14. 請求項10に記載のアイドルストップ制御装置において、
    前記予測回転速度算出手段は少なくとも、
    予測回転速度を前記第4の回転速度差を算出するために用いた最後の回転速度に順次予測された回転速度差を加算或いは減算して求めることを特徴とするアイドルストップ制御装置。
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