JP6181954B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
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Description
図1は、本発明に係る車両の制御装置を適用する車両の一例を示す全体構成図である。
エンジン1は、クランク軸1aを有すると共に、点火火花を発生させるための点火プラグ14b、この点火プラグ14bの放電に必要な電圧を得るため点火コイル14a、燃料を噴射する燃料噴射弁15などを備えている。
なお、半導体スイッチング素子13は、機械式マグネットスイッチなどに置き換えることができる。
なお、本実施形態では、エンジン1の回転速度NEを1分間当たりの回転数(rpm)で表すものとする。
ピニオンギヤ4は、リングギヤ2と噛合可能なギヤであり、スタータモータ7の軸(ピニオン軸)8に軸方向に移動可能に設けられている。
このワンウェイクラッチにより、ピニオンギヤ4がリングギヤ2に噛み合っている場合は、リングギヤ2の回転速度は、スタータモータ7の回転速度に対して減速比に応じた同期速度になるか、若しくは、それよりも速い回転速度になる。
スタータモータ7は、エンジン1をクランキングするためのモータであり、スタータモータ7の回転はその内部にある減速機構で減速することでトルクを増大させてピニオンギヤ4に伝達される。
ピニオンギヤセンサ38は、ピニオン軸8(ピニオンギヤ4)の回転速度NPを検出するためのセンサである。
ここで、ECU11のピニオン移送指令(ピニオン押し出し指令)により半導体スイッチング素子13aがオン状態になると、バッテリ12の電力が半導体スイッチング素子13aを介してアクチュエータ5へ供給される。アクチュエータ5に電力が供給されると、アクチュエータ5は、レバー6を介してピニオンギヤ4を図1の右方向である押し出し方向へ移動させるトルクを発生し、ピニオンギヤ4はリングギヤ2と噛合する。
クランク軸1aにはトランスミッション16が接続されており、エンジン1で発生する回転駆動力は、トランスミッション16、ドライブシャフト17及びタイヤ(駆動輪)18を介して路面に伝えられる。
また、バッテリ12のマイナス端子側には、バッテリセンサ39が接続される。バッテリセンサ39は、バッテリ電圧、バッテリ電流、バッテリ周囲温度などのバッテリ状態を検知し、検知した情報をECU11へ出力する。
ECU11は、CPU21、ROM22、RAM23を含むマイクロコンピュータを備えると共に、センサ等からの信号を入力するための入力回路24、制御機器等に向けて信号を出力するための出力回路26、入力回路24及び出力回路26とマイクロコンピュータとの間で信号の送受信を行わせるための入出力ポート25などを備えている。
ECU11は、カム角センサ35、クランク角センサ36からの信号に基づき算出した点火タイミングに基づいて、出力回路26から点火コイル14aに向けて点火信号を出力する。点火信号を受信した点火コイル14aは、シリンダ内の混合気に点火するために、点火プラグ14bへ高電圧の電力を供給する。
スイッチング素子13a,13bは、出力回路26を介してECU11から出力されるPWM駆動信号に応じてデューティ制御され、アクチュエータ5、スタータモータ7への電力供給を制御する。なお、ECU11は、エンジン1の始動要求(スタータ3の駆動要求)に応じてPWM駆動信号をスイッチング素子13a,13bに出力する。
ECU11は、走行速度算出部11a、回転速度算出部11b、減速時燃料カット制御部11c、燃料噴射復帰制御部11d、コーストストップ制御部11e、スタータ制御部11fなどの機能を備えている。
回転速度算出部11bは、リングギヤセンサ37からの出力信号に基づき、エンジン回転速度NE(rpm)を算出する。
燃料噴射復帰制御部11dは、減速時燃料カット制御部11cによってエンジン1への燃料供給が停止されているときに、例えばエンジン回転速度NE(rpm)が燃料噴射復帰回転速度以下になると、エンジン1への燃料供給を再開するよう燃料噴射弁15を制御する。
なお、コーストストップ制御部11eは、車両の停止を自動停止の実施条件としないアイドルストップ制御を実施するが、車両が停止していることを少なくとも条件としてエンジン1を自動停止させるアイドルストップ制御を実施させることができる。
そこで、本実施形態では、エンジン1を迅速に再始動させるとともに、ピニオンギヤ4とリングギヤ2との噛み合い音を抑制すべく、ECU11は、エンジン自動停止制御後のエンジン1が惰性回転している期間において所定の噛み合わせ条件が成立しているときに、ピニオンギヤ4とリングギヤ2との噛み合わせを実施する。
ここで、ピニオンギヤ4をリングギヤ2に噛み合わせるときに発生する音(噛み込み音)を十分に小さくするには、ピニオンギヤ4に対するリングギヤ2の相対回転速度が低い領域(例えば0±100rpm〜200rpm)、つまり、回転速度差が小さい状態で両者を噛み合せる必要がある。
そこで、ECU11は、ピニオンギヤ4の回転速度に対するリングギヤ2の相対回転速度が所定速度よりも低く、かつ、相対回転速度の加速度(変化率)が所定値よりも小さいときに、ピニオンギヤ4をリングギヤ2に噛み込ませるように、ピニオンギヤ4の押し出し制御のタイミングを制御する。
図4は、ピニオンギヤ4の押し出し動作に伴う位置変化と、エンジン1が惰性回転している状態でのリングギヤ2の回転速度NRとの相関を例示する。
なお、図4及び後述する図5では、説明を簡略化するために、ピニオンギヤ4とリングギヤ2との噛み合わせ動作が許容される速度条件であるか否かをリングギヤ2の回転速度NRで示すが、回転しているピニオンギヤ4とリングギヤ2とを噛み合わせる場合には、図4及び図5における「リングギヤ回転速度」を、ピニオンギヤ回転速度とリングギヤ回転速度との速度差(相対回転速度)に読み替える。
ピニオンギヤ4が初期位置からリングギヤ2との当接位置まで移動するには時間(以下、移送時間という)を要するため、ピニオンギヤ4の押し出しを開始したときのリングギヤ2の回転速度と、ピニオンギヤ4がリングギヤ2に当接するようになったときのリングギヤ2の回転速度とは異なる。ここで、噛み込み音を抑制するためには、ピニオンギヤ4がリングギヤ2に当接するときの回転速度が所定の回転速度である必要がある。
そして、ECU11は、ピニオンギヤ4の移送時間だけ先のリングギヤ2の回転速度NRの推定値が所定の範囲以内であると判断すると、スタータ3を駆動してピニオンギヤ4の押し出し動作を開始する。つまり、半導体スイッチング素子13aにオン信号(押し出し指令信号)を出力してアクチュエータ5への通電を開始し、アクチュエータ5によってピニオンギヤ4をリングギヤ2に近づく方向に押し出す。
そして、図4におけるケース(1)の場合は、噛み込み音が十分に抑制された状態で、噛み込み位置(押し出し完了位置、クランキング開始位置)までピニオンギヤ4が移動して、スタータモータ7とクランク軸1aとが連結し、クランキングが可能な状態となる。しかし、図4中のケース(2)では、噛み込み滑りが発生して、噛み込み位置までピニオンギヤ4が移動する際に異音が発生する場合がある。
図5に例示する場合も、ECU11は、ピニオンギヤ4の移送時間だけ先のリングギヤ2の回転速度NRの推定値が所定の範囲以内であると判断すると、スタータ3を駆動してピニオンギヤ4の押し出し動作を開始する。
ピニオンギヤ4とリングギヤ2は、噛み込みを円滑に行わせるために、各ギヤ(歯部)に面取りが施されている。面取りとは、リングギヤ2及びピニオンギヤ4の角または隅を斜めに削りとった加工である。
そして、面取り部での滑り易さは、リングギヤ2とピニオンギヤ4の回転速度差(相対回転速度)には影響されず、回転速度差の変化率(回転加速度)に応じて変化し、変化率(回転加速度)が大きいほど滑り易くなる。
そこで、ECU11は、リングギヤ2とピニオンギヤ4との噛み込み許可条件に、リングギヤ2とピニオンギヤ4の回転速度差の単位時間あたりの変化量(回転加速度)の条件、具体的には、前記変化量(回転加速度)が所定値よりも小さいという条件を含めることで、リングギヤ2とピニオンギヤ4の噛み込み時に発生する異音(噛み込み音)を小さくする。
なお、リングギヤ2とピニオンギヤ4の回転速度差の単位時間あたりの変化量(回転加速度)が所定値よりも小さいという条件は、噛み込み動作開始前にピニオンギヤ4を予回転させるシステム、予回転を実施しないシステム、更に、予回転を実施しないシステムでは、ピニオンギヤ4の押し出し開始に同期してスタータモータ7への通電を開始するシステム、回転停止状態のピニオンギヤ4をリングギヤ2に噛み込ませるシステムのいずれにも適用することができる。
その後、ECU11は、ステップ103にて、例えば図示省略したブレーキペダルから足が離れるなどの運転者からの再始動要求、いわゆるチェンジ・オブ・マインド要求が有りと判定すると、ステップ104で、ECU11は、リングギヤセンサ37からの回転パルス信号の入力がないか否かを判定する。
一方、回転パルス信号の入力があった場合、ECU11は、ステップ106にて、最新の回転パルス信号(最新に計測したパルス周期)に基づき現時点でのエンジン回転速度NEを算出し、更に、今回求めたエンジン回転速度NEと前回求めたエンジン回転速度NEとからエンジン回転加速度ΔNEを算出する。
そして、ECU11は、予測ピニオン回転速度NPと予測エンジン回転速度NE(予測リングギヤ回転速度NR)とに基づき、移送時間だけ先の時点でのエンジン回転速度NEとピニオン回転速度NPとの速度差NEP(NE−NP=NEP)、つまり、ピニオンギヤ4の回転速度NPに対するリングギヤ2の相対回転速度を演算するとともに、前記速度差NEPの加速度ΔNEPを演算する。
また、ピニオンギヤ4の押し出し開始に同期してスタータモータ7への通電が開始され、ピニオンギヤ4の回転の上昇過程で噛み込みが行われる方式において、実際に噛み込みが開始されるときのピニオンギヤ4の回転速度とリングギヤ2の回転速度とから、スタータ駆動(押し出し及びモータ通電)のタイミングを決定するので、ピニオンギヤ4とリングギヤ2との回転速度差が小さく、かつ、回転速度差の変化率が小さいという条件下での噛み込みを精度良く行わせることができる。
なお、回転速度差NEPの第1範囲は、例えば、−5rpm〜100rpmとすることができ、また、加速度ΔNEPの第2範囲は、例えば、−5rpm/ms〜+10rpm/msに設定することができる。
つまり、エンジン回転速度NE(回転速度差)が上昇しているときと、エンジン回転速度NE(回転速度差)が減少しているときとで、スタータの駆動タイミングを変え、エンジン回転速度NEの増大変化している場合には減少変化している場合よりも、スタータ駆動が許可され易いようにしてあり、これにより、エンジン回転速度NEが減少する場合には、エンジン回転速度NEが増大する場合に比べて変化速度がより小さいときにスタータ3を駆動することになる。
なお、回転速度差NEPの第1範囲を、0rpm以上かつ所定速度以下の領域に設定し、加速度ΔNEPの第2範囲を、0rpm/ms以上かつ所定加速度以下の領域に設定することができ、また、第1範囲及び第2範囲を、プラス側とマイナス側とが同じ幅を持つ範囲とすることもできる。
惰性回転中のエンジン回転速度NEは一定の変化率で減速していくという挙動はとらず、エンジン回転速度NEの変化率(回転加速度)がクランク角に対応して周期的に変化しながら回転速度を下げていく。そこで、この周期的に変化しているエンジン回転速度NEの変化率を利用して、将来のエンジン回転速度NE、すなわち、リングギヤ2の回転速度NRを予測する。
クランク角に対応してこのエンジン回転速度NEの変化率は周期的に変化し、概ねクランク角によって一意に決まると仮定したうえで、クランク角をパラメータとしエンジン回転速度NEの変化率を近似的に求めるフィッティング関数を決める。
例えばフィッティング関数を数値的に時間積分する際は次のように積分することができる。初期条件のクランク角情報からフィッティング関数を使って加速度を計算し微小時間をかけることで微小時間後のエンジン回転速度NEの変化量を得ることができ、係る回転速度NEの変化量を初期条件のエンジン回転速度NEに加えることで微小時間後のエンジン回転速度NEを得ることができる。
上記の予測制御によって、ピニオンギヤ4の移送時間だけ先のタイミングにおけるエンジン回転速度NEを精度良く予測でき、もって、実際に噛み込みが開始されるときに回転速度条件を満たすことになるタイミングで、ピニオンギヤ4の押し出しを開始させることができる。
また、再始動要求に先だって、ピニオンギヤ4をリングギヤ2に噛み込ませる所謂プリメッシュ方式の再始動制御においても、回転速度差NEP及び加速度ΔNEPを条件とする押し出し制御を適用することができる。
そして、ECU11は、ステップ203にて、ピニオンギヤ4の予回転実施の条件が成立していると判断すると、ステップ204で、ピニオンギヤ4を初期位置に保持したまま(アクチュエータ5をオフに保持したまま)スタータモータ7に通電することで、ピニオンギヤ4を予回転させる。
ECU11は、ピニオンギヤ4を予回転させた後、ステップ205で、ピニオンギヤ4の押し出しを開始してからピニオンギヤ4がリングギヤ2に接触するようになるまでの移送時間だけ、現時点から先のタイミングにおけるエンジン回転速度NEを予測し、更に、前記移送時間だけ先のタイミングにおけるピニオンギヤ4の回転速度NPを予測する。
そして、ECU11は、移送時間だけ先の時点でのエンジン回転速度NEとピニオン回転速度NPとの速度差NEP(NE−NP=NEP)、つまり、ピニオンギヤ4に対するリングギヤ2の相対回転速度を演算するとともに、前記速度差NEPの加速度ΔNEPを演算する。
ピニオンギヤ4をリングギヤ2に噛み込ませた後、ECU11は、ステップ208で、再始動要求の発生を判定すると、ステップ209にてスタータモータ7への通電を行ってエンジン1をクランキングさせる。
上記実施形態で説明した各技術的思想は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて使用することができる。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
Claims (4)
- スタータモータのピニオンギヤをエンジンのクランク軸に取り付けたリングギヤに噛み込ませ、前記スタータモータにより前記ピニオンギヤを回転させて前記エンジンを始動させるスタータを備えた車両の制御装置において、
前記エンジンの回転速度であるエンジン回転速度の変化速度が所定の第2範囲内であるときに前記ピニオンギヤを前記リングギヤに噛み込ませ、
前記第2範囲は、前記エンジン回転速度の変化速度が0より大きいプラス領域と、前記エンジン回転速度の変化速度が0より小さいマイナス領域とを含み、
前記マイナス領域は、前記プラス領域よりも前記エンジン回転速度の変化速度の範囲が狭い車両の制御装置。 - 前記エンジン回転速度の変化速度が前記第2範囲内であり、かつ、前記エンジン回転速度が所定の第1範囲内であるときに、前記ピニオンギヤを前記リングギヤに噛み込ませる請求項1に記載の車両の制御装置。
- 前記ピニオンギヤの押し出し開始から前記ピニオンギヤが前記リングギヤに到達するまでの移送時間だけ先のエンジン回転速度を予測し、予測したエンジン回転速度に基づいて前記エンジン回転速度の変化速度を演算する請求項1または2に記載の車両の制御装置。
- 前記エンジン回転速度が、前記ピニオンギヤの回転速度に対する前記リングギヤの相対回転速度である請求項1から3までのいずれか一項に記載の車両の制御装置。
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