第1実施形態
図1に、第1実施形態による自転車用無段変速機を構成するハブアッセンブリ12を有する自転車10を示す。図1に示す通り、自転車10は、フレーム14と、後輪16と、フロントスプロケット18と、チェーン20と、を備える。図示しないが、自転車10は、従来のギアシフタが装着されたハンドルを有する。従来のギアシフタは、ギア比の変更のために、ハブアセンブリ12を操作するためのボーデンケーブルに接続される。後輪16は、ハブアセンブリ12によってフレーム14に回転可能に支持される。フロントスプロケット18は、サイクリストのペダリング作用による回転力を受けるよう構成される。チェーン20は、従来と同様に、フロントスプロケット18からハブアセンブリ12へ回転力を伝達し、後輪16をフレーム14に対して回転させる。
図2に示すように、ハブアセンブリ12は、基本的に無段変速機ユニット22(以下「CVTユニット22」)を有する。また、ハブアセンブリ12は、リアスプロケット24と、固定ハブシャフト26(例えば自転車の車軸)と、を有する。さらに、ハブアセンブリ12は、自転車駆動部材の一例としての駆動部28と、被駆動部材の一例としてのハブシェル30と、を有する。さらに、ハブアセンブリ12は、上流側遊星ギアユニット32(例えば上流側遊星ギア機構)を有する。
図3に示すように、リアスプロケット24はハブシャフト26に回転可能に支持される。リアスプロケット24は、チェーン20を介してフロントスプロケット18から回転力を受ける。ハブシャフト26は、従来と同様に、フレーム14に固定される。ハブシャフト26は、ハブアセンブリ12及び後輪16の回転軸を規定する中心軸R1を有する。ハブシェル30は、左側カップ34、右側カップ36、軸受アッセンブリ37,38,39によってハブシャフト26回りに回転可能に支持される。ハブシェル30は、ハブアセンブリ12の内部空間を形成する。また、ハブシェル30はスポークフランジ40,42を有する。スポークフランジ40,42はスポーク及び後輪16の外側のホイールリムを支持する。左側カップ34は、左側カップ34とハブシャフト26との間で配置される軸受アッセンブリ37によってハブシャフト26に対して回転可能に支持される。右側カップ36はハブシェル30に固定される。右側カップ36は、右側カップ36と駆動部28との間で配置される軸受アッセンブリ38によって駆動部28に対して回転可能に支持される。駆動部28は概ね環状の部材である。駆動部28は、駆動部28とハブシャフト26との間で配置される軸受アッセンブリ39によってハブシャフト26回りに回転可能に支持される。駆動部28は、駆動部28に固定されるリアスプロケット24を支持する。リアスプロケット24が駆動部28に回転不能に取り付けられているので、リアスプロケット24からのトルクは駆動部28へ直接伝達される。
以下、サイクリストの進行方向ペダリング作用に応じて中心軸R1回りにリアスプロケット24が回転する回転方向を、中心軸R1回りの「進行回転方向」という(つまり図1におけるハブアセンブリ12回りの時計回り方向)。さらに、進行回転方向と反対の回転方向は、中心軸R1回りの「逆回転方向」という(図1におけるハブアセンブリ12回りの反時計回り方向)。さらに、右手の四指を中心軸R1回りの進行回転方向に向けるよう中心軸R1を握ったときに右手の延ばした親指が指す軸方向を、ハブシャフト26の中心軸R1の「第1軸方向X1」という(つまり図3におけるハブシャフト26の中心軸R1に沿った左側方向)。さらに、第1軸方向と反対の軸方向を、ハブシャフト26の中心軸R1の「第2軸方向X2」という(つまり図3におけるハブシャフト26の中心軸R1に沿った右側方向)。
図3に示すように、CVTユニット22及び上流側遊星ギアユニット32は、ハブシェル30の内部空間内に配置される。CVTユニット22及び上流側遊星ギアユニット32は、駆動部28とハブシェル30との間の動力伝達経路に機能的に配置される。特に、上流側遊星ギアユニット32は、CVTユニット22に対して動力伝達経路において上流側で、機能的に配置される。具体的には、上流側遊星ギアユニット32は、駆動部28とCVTユニット22との間で機能的に配置される。CVTユニット22は、上流側遊星ギアユニット32とハブシェル30との間で機能的に配置される。この構成により、駆動部28からの回転力が、動力伝達経路を通じて上流側遊星ギアユニット32及びCVTユニット22を介してハブシェル30に伝達される。
上流側遊星ギアユニット32は、基本的に、上流側太陽ギア50と、複数の上流側遊星ギア52と、上流側リングギア54と、上流側遊星ギアキャリア56と、を有する。具体的には、本実施形態において、上流側遊星ギアユニット32は、4つの上流側遊星ギア52を有する(1つのみを図3に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、上流側遊星ギア52の数を変更することができる。例えば、上流側遊星ギア52の数を、好ましくは3つに変更できる。上流側太陽ギア50、上流側遊星ギア52、上流側リングギア54及び上流側遊星ギアキャリア56は、鋼などの金属材料またはギア機構において典型的に用いられる他の適当な材料で形成される。さらに、CVTユニット22は、基本的に、リングローラ58と、複数の第1円錐状遊星ローラ60と、第1ローラキャリア62(例えば第1キャリア)と、太陽ローラ64と、を有する。CVTユニット22は、さらに、複数の第2円錐状遊星ローラ66と、第2ローラキャリア68(例えば第2キャリア)と、を有する。具体的には本実施形態において、CVTユニット22は、4つの第1円錐状遊星ローラ60(1つのみを図3に示す)と、4つの第2円錐状遊星ローラ66(1つのみを図3に示す)と、を有する。しかしながら、第1円錐状遊星ローラ60及び第2円錐状遊星ローラ66の数は、必要に応じてあるいは所望により変更することができる。例えば、第1円錐状遊星ローラ60の数は、好ましくは7に変更でき、第2円錐状遊星ローラ66の数は、好ましくは6に変更できる。リングローラ58、第1円錐状遊星ローラ60、第1ローラキャリア62及び太陽ローラ64は、鋼のような金属材料または摩擦ギア機構において典型的に用いられる他の適当な材料で形成される。上流側遊星ギアキャリア56及び第1ローラキャリア62は、ハブシャフト26に固定して回転不能に連結される共通キャリア部材74上で一体的に形成される。
上流側太陽ギア50は、駆動部28の環状部分28aの外周面上に一体的に形成される。上流側太陽ギア50は径方向外側に延設されるギア歯50aを有する。上流側太陽ギア50は、駆動部28とともにハブシャフト26回りに回転可能である。上流側遊星ギア52は、上流側遊星ギアキャリア56に回転可能に支持される。上流側遊星ギアキャリア56は、ハブシャフト26に回転不能に支持される。上流側遊星ギアキャリア56は、ハブシャフト26回りに上流側遊星ギアキャリア56上の周方向に等間隔で配置された4つの回転アクスル56aを有する。上流側遊星ギア52は、上流側遊星ギアキャリア56の回転アクスル56aに回転可能に連結される。回転アクスル56aは、上流側遊星ギア52の回転軸R2を規定する中心軸を有する。
上流側遊星ギア52のそれぞれは、小径ギア部分70と、小径ギア部分分70より大きな直径を有する大径ギア部分72と、を有する。小径及び大径ギア部分70,72は、単一部材として一体的に形成される。小径ギア部分70は径方向外側に延設されるギア歯70aを有する。大径ギア部分72は径方向外側に延設されるギア歯72aを有する。小径ギア部分70のギア歯70aは上流側太陽ギア50のギア歯50aと噛み合う。大径ギア部分72のギア歯72aは上流側リングギア54と噛み合う。上流側リングギア54は、CVTユニット22のリングローラ58の内周面に配置される。上流側リングギア54は径方向内側に延設されるギア歯54aを有する。ギア歯54aは、大径ギア部分72のギア歯72aと噛み合う。さらに、上流側リングギア54は、従来と同様にCVTユニット22のリングローラ58の内周面に固定される。具体的には、本実施形態において、上流側リングギア54の外周面に形成されるスプライン54bは、リングローラ58の連結部76に形成されるスプライン溝76aと係合する。本実施形態において、上流側遊星ギア52のそれぞれは、二重ギア部分(つまり小径及び大径ギア部分70,72)を有する段差ギアとして形成される。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、上流側遊星ギア52を異なるタイプのギアにもできる。例えば、上流側遊星ギア52は、上流側太陽ギア50及び上流側リングギア54の両方と噛み合う単一のギア部分のみを有することができる。さらに、上流側遊星ギア52はまた、3つ以上のギア部分を有する段差ギアとして形成することもできる。さらに、本実施形態において、大径ギア部分72のギア歯72aの数は、小径ギア部分70のギア歯70の数より多い。しかしながら、ギア歯70a及び72aの数は必要に応じてあるいは所望により変更することができる。例えば、大径ギア部分72のギア歯72aの数は、小径ギア部分70のギア歯70の数より少なくすることもできる。さらにあるいは、上流側遊星ギア52は、上流側太陽ギア50と噛み合う大径ギア部分と、大径ギア部分より小さい直径を有するとともに上流側リングギア54と噛み合う小径ギア部分と、を有することもできる。
リングローラ58は、ハブシャフト26に機能的に支持され、上流側遊星ギアユニット32を介して駆動部28に機能的に連結される。具体的には、リングローラ58は、ハブシャフト26に回転可能に支持される。リングローラ58は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿ったリングローラ58の軸方向離間位置に第1及び第2リングローラ部78,80を有する。第1及び第2リングローラ部78,80は、第1及び第2円錐状遊星ローラ60,66とそれぞれ摩擦によって係合する。特に、第1及び第2リングローラ部78,80は第1及び第2テーパ状内周面78a,80aをそれぞれ有する。第1リングローラ部78の内径は、第2リングローラ部80の内径より大きい。第1テーパ状内周面78aは、第1リングローラ部78の内径がハブシャフト26の第1軸方向X1に沿って減少するように構成される。また、第2テーパ状内周面80aは、第2リングローラ部80の内径がハブシャフト26の第1軸方向X1に沿って増加するように構成される。第1及び第2リングローラ部78,80はギア歯を有さない。特に、第1及び第2テーパ状内周面78a,80aには、ギア歯が形成されない。
第1円錐状遊星ローラ60は、第1ローラキャリア62に回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ60は、リングローラ58及び太陽ローラ64と摩擦によって係合する。第1ローラキャリア62は、ハブシャフト26に機能的に支持される。特に、第1ローラキャリア62は、ハブシャフト26に回転不能に装着される。第1ローラキャリア62は、ハブシャフト26回りに第1ローラキャリア62上の周方向に等間隔で配置された4つの回転アクスル62aを有する。第1円錐状遊星ローラ60は、従来と同様に第1ローラキャリア62の回転アクスル62aに回転可能に連結される。回転アクスル62aは、第1円錐状遊星ローラ60の回転軸R3(例えば第1回転軸)を規定する中心軸を有する。第1円錐状遊星ローラ60の回転軸R3のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R3のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第1軸方向X1に沿って減少するよう、回転軸R3は構成される。第1円錐状遊星ローラ60は、互いに実質的に同一である。したがって、説明の簡単化のため、1つだけ(つまり1つの第1円錐状遊星ローラ60)を説明する。第1円錐状遊星ローラ60は、単一部材として一体的に形成される。第1円錐状遊星ローラ60は、第1円錐状遊星ローラ60の回転軸R3に沿った第1円錐状遊星ローラ60の軸方向離間位置に第1及び第2摩擦係合部82,84を有する。第1及び第2摩擦係合部82,84は、リングローラ58と太陽ローラ64とそれぞれ摩擦によって係合している。第1及び第2摩擦係合部82,84は、第1円錐状遊星ローラ60の回転軸R3に沿って同軸状に配置される。第1摩擦係合部82は、テーパ状外周面82aを有する円錐台形状(つまり円錐体の一部すなわち円錐切頭体)を有する。第2摩擦係合部84は、テーパ状外周面84aを有する円錐台形状(つまり円錐体の一部すなわち円錐切頭体)を有する。第1摩擦係合部82は、軸方向に回転軸R3に沿って第2摩擦係合部84に近づくにつれて、第1最小径から第1最大径に次第に増加する外径を有する。第2摩擦係合部84もまた、軸方向に回転軸R3に沿って第1摩擦係合部82に近づくにつれて、第2最小径から第2最大径に次第に増加する外径を有する。本実施形態において、第1摩擦係合部82の第1最大径は、第2摩擦係合部84の第2最大径と等しい。第1及び第2摩擦係合部82,84はギア歯を有さない。特に、テーパ状外周面82a,84aにはギア歯は形成されない。
第1摩擦係合部82のテーパ状外周面82aは、リングローラ58の第1リングローラ部78の第1テーパ状内周面78aと摩擦によって係合する。具体的には、テーパ状外周面82aは第1テーパ状内周面78aと接触し、これにより、テーパ状外周面82aは、テーパ状外周面82aと第1テーパ状内周面78aとの間の第1接触において第1有効径D1を有する。ハブシャフト26の中心軸R1及び第1円錐状遊星ローラ60の回転軸R3を含む第1面とテーパ状外周面82aとの交差が、この第1面と第1テーパ状内周面78aとの交差に沿って延びるよう、第1摩擦係合部82は配置される。第2摩擦係合部84のテーパ状外周面84aは、太陽ローラ64と摩擦によって係合する。具体的には、テーパ状外周面84aは太陽ローラ64と接触し、これにより、テーパ状外周面84aは、テーパ状外周面84aと太陽ローラ64との間の第2接触C2において第2有効径D2を有する。ハブシャフト26の中心軸R1及び第1円錐状遊星ローラ60の回転軸R3を含む第1面とテーパ状外周面84aとの交差が、ハブシャフト26の中心軸R1と実質的に平行して延びるよう、第2摩擦係合部84は配置される。
太陽ローラ64はハブシャフト26に機能的に支持される。具体的には、太陽ローラ64はハブシャフト26に回転可能に支持される。さらに、太陽ローラ64はハブシャフト26の中心軸R1に沿って移動可能である。太陽ローラ64は、第1及び第2円錐状遊星ローラ60,66と摩擦によって係合する。太陽ローラ64は基本的に円筒形状を有する。太陽ローラ64は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿った太陽ローラ64の軸方向離間位置に第1及び第2太陽ローラ部86,88を有する。第1及び第2太陽ローラ部86,88は、太陽ローラ64の外周面に対して径方向外側に突出し、フランジを形成している。第1及び第2太陽ローラ部86,88は、太陽ローラ64の外周面回りに周方向に配置され、フランジを形成している。第1及び第2太陽ローラ部86,88は互いに実質的に平行である。第1及び第2太陽ローラ部86,88は外周面86a,88aをそれぞれ有する。外周面86a,88aは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して曲面状であり、したがって、第1及び第2太陽ローラ部86,88はバレル状(樽形)である。第1及び第2太陽ローラ部86,88は、第1及び第2円錐状遊星ローラ60,66とそれぞれ摩擦によって係合する。特に、外周面86a,88aの径方向最外部は、第1,第2円錐状遊星ローラ60,66とそれぞれ径方向において接触する。外周面86a,88aの径方向最外部は同じ直径を有する。外周面86aの径方向最外部は、第1太陽ローラ部86と第1円錐状遊星ローラ60との間の第1接触面を形成する。外周面88aの径方向最外部は、第2太陽ローラ部88と第2円錐状遊星ローラ66との間の第2接触面を形成する。第1及び第2接触面は互いに実質的に平行である。第1及び第2太陽ローラ部86,88はギア歯を有さない。特に、外周面86a,88aにはギア歯が形成されない。
第2円錐状遊星ローラ66は第2ローラキャリア68に回転可能に支持される。第2円錐状遊星ローラ66はリングローラ58及び太陽ローラ64と摩擦によって係合する。第2ローラキャリア68はハブシャフト26に機能的に支持される。特に、第2ローラキャリア68はハブシャフト26回りに回転可能に装着される。さらに、第2ローラキャリア68はハブシェル30に機能的に連結される。第2ローラキャリア68は、ハブシャフト26回りに第2ローラキャリア68上の周方向に等間隔で配置された4つの回転アクスル68aを有する。第2円錐状遊星ローラ66は第2ローラキャリア68の回転アクスル68aに回転可能に連結される。回転アクスル68aは、第2円錐状遊星ローラ66の回転軸R4(例えば第2回転軸)を規定する中心軸を有する。第2円錐状遊星ローラ66の回転軸R4のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R4のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第2軸方向X2に沿って減少するよう、回転軸R4は構成される。
第2円錐状遊星ローラ66は、互いに実質的に同一である。したがって、簡単化のため、1つだけ(つまり1つの第2円錐状遊星ローラ66)を説明する。第2円錐状遊星ローラ66は、単一部材として一体的に形成される。第2円錐状遊星ローラ66は、第2円錐状遊星ローラ66の回転軸R4に沿った第2円錐状遊星ローラ66の軸方向離間位置に第3及び第4摩擦係合部90,92を有する。第3及び第4摩擦係合部90,92は、リングローラ58と太陽ローラ64とそれぞれ摩擦によって係合している。第3及び第4摩擦係合部90,92は、第2円錐状遊星ローラ66の回転軸R4に沿って同軸状に配置される。第3摩擦係合部90は、テーパ状外周面90aを有する円錐台形状(つまり円錐体の一部すなわち円錐切頭体)を有する。第4摩擦係合部92は、テーパ状外周面92aを有する円錐形状を実質的に有する。しかしながら、第4摩擦係合部92は円錐台形状(つまり円錐体の一部すなわち円錐切頭体)を有することもできる。第3摩擦係合部90は、軸方向に回転軸R4に沿って第4摩擦係合部92に近づくにつれて、第3最小径から第3最大径に次第に増加する外径を有する。第4摩擦係合部92もまた、軸方向に回転軸R4に沿って第3摩擦係合部90に近づくにつれて、第4最小径から第4最大径に次第に増加する外径を有する。本実施形態において、第3摩擦係合部90の第3最大径は、第4摩擦係合部92の第4最大径よりも大きい。したがって、第3摩擦係合部90は、フランジを形成するよう第4摩擦係合部92のテーパ状外周面92aに対して径方向外側に突出している。第3及び第4摩擦係合部90,92はギア歯を有さない。特に、テーパ状外周面90a,92aには、ギア歯が形成されない。
第3摩擦係合部90のテーパ状外周面90aは、リングローラ58の第2リングローラ部80の第2テーパ状内周面80aと摩擦によって係合する。具体的には、テーパ状外周面90aは第2テーパ状内周面80aと接触し、これにより、テーパ状外周面90aは、テーパ状外周面90aと第2テーパ状内周面80aとの間の第3接触において第3有効径D3を有する。ハブシャフト26の中心軸R1及び第2円錐状遊星ローラ66の回転軸R4を含む第2面とテーパ状外周面90aとの交差が、この第2面と第2テーパ状内周面80aとの交差に沿って延びるよう、第3摩擦係合部90は配置される。第4摩擦係合部92のテーパ状外周面92aは、太陽ローラ64と摩擦によって係合する。具体的には、テーパ状外周面92aは太陽ローラ64と接触し、これにより、テーパ状外周面92aは、テーパ状外周面92aと太陽ローラ64との間の第4接触C4において第4有効径D4を有する。ハブシャフト26の中心軸R1及び第2円錐状遊星ローラ66の回転軸R4を含む第2面とテーパ状外周面92aとの交差が、ハブシャフト26の中心軸R1と実質的に平行して延びるよう、第4摩擦係合部92は配置される。
このようなCVTユニット22の構成により、第1円錐状遊星ローラ60の第1及び第2摩擦係合部82,84が、リングローラ58の第1リングローラ部78及び太陽ローラ64の第1太陽ローラ部86とそれぞれ摩擦によって係合する。第2円錐状遊星ローラ66の第1及び第2摩擦係合部90,92が、リングローラ58の第2リングローラ部80及び太陽ローラ64の第2太陽ローラ部88とそれぞれ摩擦によって係合する。
CVTユニット22はさらに、カムローダ94(例えば軸方向付勢部材)と、変速機構96と、を有する。カムローダ94は第2ローラキャリア68とハブシェル30との間で機能的に配置される。カムローダ94は第2ローラキャリア68からハブシェル30に回転力を伝達する。カムローダ94は第2ローラキャリア68をハブシェル30から離間する方向に軸方向に付勢する。カムローダ94は基本的に、出力プレート98(例えば出力部材)と、複数のボール100と、を有する。出力プレート98は、第2ローラキャリア68とハブシェル30との間に配置され、軸受アッセンブリ102によってハブシャフト26回りに回転可能に装着される。また、出力プレート98は、ハブシャフト26に軸方向に移動不能に支持され、一方向クラッチ104を介してハブシェル30に機能的に連結される。一方向クラッチ104は、中心軸R1回りの進行回転方向にのみ回転力を出力プレート98からハブシェル30に伝達する。ボール100は、第2ローラキャリア68に形成されたカム面68bと出力プレート98のカム面98aとの間で、ハブシャフト26回りに周方向に間隔をあけた位置に配置される。第2ローラキャリア68及び出力プレート98が互いに対して相対的に回転するとき、ボール100が第2ローラキャリア68を第2軸方向X2において出力プレート98から離間するよう軸方向に押圧するように、カム面68b,98aが構成される。さらに、皿ばねワッシャー106または他のタイプのスプリングが第2ローラキャリア68と出力プレート98との間に配置され、これにより第2ローラキャリア68が出力プレート98から離間するよう付勢される。本実施形態において、第2ローラキャリア68及び出力プレート98の両方は、カム面68b,98aを有する。しかしながら、カム面を、第2ローラキャリア68及び出力プレート98の少なくとも一方に形成することもできる。さらに、本実施形態において、カムローダ94はボール100を有する。しかしながら、ボール100の代わりに複数のローラをカムローダ94に用いることもできる。
上述の通り、カムローダ94は、第2軸方向X2に軸方向付勢力を生成する。この軸方向付勢力は、さらにCVTユニット22の部材間の接触力を生成する。具体的には、第2ローラキャリア68及び出力プレート98が互いに対して相対的に回転するとき、カムローダ94は、第2ローラキャリア68を出力プレート98から離間するよう付勢する軸方向付勢力を生成する。出力プレート98は、ハブシャフト26に軸方向に移動不能に装着される。具体的には、第1軸方向X1における出力プレート98の軸方向移動は、ハブシャフト26にねじ締めされた左側ロックナット107によって制限される。さらに、第1ローラキャリア62を形成する共通キャリア部材74もまた、ハブシャフト26に軸方向に移動不能に装着される。具体的には、第2軸方向X2における共通キャリア部材74の軸方向移動は、右側ロックナット108によって制限される。したがって、第2軸方向X2の軸方向付勢力がカムローダ94によって生成されるとき、軸方向付勢力が第2ローラキャリア68を介して第2円錐状遊星ローラ66に印加される。第2ローラキャリア68の第3摩擦係合部90は、リングローラ58の第2リングローラ部80と接触する。さらに、リングローラ58の第2リングローラ部80は、第2テーパ状内周面80aを有する。したがって、軸方向付勢力が第2円錐状遊星ローラ66に印加されると、第2円錐状遊星ローラ66の第3摩擦係合部90は、リングローラ58の第2リングローラ部80に向かって軸方向に押圧され、これにより、第2ローラキャリア68とリングローラ58との間に強い摩擦係合が生じる。さらに、第2円錐状遊星ローラ66の第3摩擦係合部90が、リングローラ58の第2リングローラ部80に向かって押圧されると、リングローラ58の第2リングローラ部80の第2テーパ状内周面80aが、第2円錐状遊星ローラ66を太陽ローラ64の第2太陽ローラ部88に向かって径方向内側へ押圧する径方向反力を生成する。また、これにより、第2円錐状遊星ローラ66と太陽ローラ64の第2太陽ローラ部88との間に強い摩擦係合が生じる。さらに、軸方向付勢力が第2円錐状遊星ローラ66に印加されると、軸方向付勢力がリングローラ58を軸方向に第2軸方向X2に向かって押圧する。リングローラ58の第1リングローラ部78は、第1円錐状遊星ローラ60の第1摩擦係合部82と接触する。第2ローラキャリア68の第3摩擦係合部90は、リングローラ58の第2リングローラ部80と接触する。したがって、軸方向付勢力がリングローラ58に印加されると、第1円錐状遊星ローラ60の第1摩擦係合部82が、リングローラ58の第1リングローラ部78に向かって軸方向に押圧される。第1円錐状遊星ローラ60は、ハブシャフト26に軸方向に移動不能に装着された第1ローラキャリア62に支持される。したがって、この軸方向付勢力により、リングローラ58と第1ローラキャリア62との間に強い摩擦係合が生じる。さらに、リングローラ58の第1リングローラ部78が、第1円錐状遊星ローラ60の第1摩擦係合部82に向かって押圧されると、リングローラ58の第1リングローラ部78の第1テーパ状内周面78aが、第1円錐状遊星ローラ60を太陽ローラ64の第1太陽ローラ部86に向かって径方向内側に押圧する径方向反力を生成する。また、これにより、第1円錐状遊星ローラ60と太陽ローラ64の第1太陽ローラ部86との間に強い摩擦係合が生じる。このようなCVTユニット22の構成では、カムローダ94が軸方向付勢力を生成すると、リングローラ58、第1円錐状遊星ローラ60、太陽ローラ64及び第2円錐状遊星ローラ66間の摩擦係合が、より強くなり、より堅く締めつけられる。その結果、CVTユニット22は、回転力を上流側遊星ギアユニット32からハブシェル30に、摩擦係合が滑ることなく伝達する。
変速機構96が太陽ローラ64に機能的に連結され、これにより、太陽ローラ64の軸方向位置が、第1位置(図3に示す)と第2位置(図5に示す)との間で中間位置(図4に示す)を通ってハブシャフト26の中心軸R1に沿って連続的に変更される。具体的には、変速機構96は基本的に、シフトキー96aと、プッシュロッド96bと、コイルばね96cと、ベース部96dと、を有する。変速機構96は、米国特許5,882,274号及び/または5,928,103号のいずれかにおける従来のシフト機構に対応する方法で動作する従来のシフト機構である。したがって、変速機構96の説明は、簡略化のために最小限に留める。
シフトキー96aは、好ましくは金属ブロック材である。シフトキー96aは、ハブシャフト26を通って中心軸R1に対して垂直に延設されるスロット26aに配置される。シフトキー96aは、プッシュロッド96bの一端に強固に固定され、プッシュロッドとともに移動する。シフトキー96aの両端はスロット26aから突出しており、ベース部96dと係合する。プッシュロッド96bはハブシャフト26の中央孔26b内に配置される。プッシュロッド96bは、ギアシフタ(図示せず)に接続されるボーデンタイプケーブルに機能的に連結される。プッシュロッド96bとボーデンタイプケーブルとの間の連結は従来と同様であるので、説明は簡略化のため省略する。しかしながら、ボーデンタイプケーブルを、ハブシャフト26の軸方向端部に装着される従来のベルクランクを介してプッシュロッド96bに機能的に連結することもできる。従来のベルクランクは、ハブシャフト26に回動可能に連結され、サイクリストのシフト操作に応じてプッシュロッド96bを中心軸R1に沿って操作し、これにより、シフトキー96aがスロット26aに沿って摺動する。コイルばね96cは、保持器とベース部96dとの間にハブシャフト26の周囲に配置され、ベース部96dを中心軸R1に沿って第2軸方向X2に付勢する。したがって、従来のベルクランクによって第1軸方向X1にプッシュロッド96bに印加された押す力が解除されると、コイルばね96cによって、ベース部96dが第2軸方向X2に移動する。ベース部96dは、ハブシャフト26の周囲に配置される。ベース部96dは、ハブシャフト26に軸方向に摺動可能に配置される。ベース部96dは、軸受アッセンブリを介して太陽ローラ64を回転可能に支持する。シフトキー96aがベース部96dと係合するので、スロット26aに沿ったシフトキー96aの軸方向移動により、太陽ローラ64が中心軸R1に沿って第1位置(図3に示す)と第2位置(図5に示す)との間で軸方向に移動する。
本実施形態において、変速機構96は、ハブシャフト26の外部から中心軸R1に沿って押されるプッシュロッド96bを有する。しかしながら、太陽ローラ64の軸方向位置を変更する変速機構は、異なるタイプのシフト機構を有することもできる。特に、シフト機構はプッシュロッド96bの回転をベース部96dの軸方向移動に変換する従来の機構を有することができる。
次に図6を参照して、ハブアセンブリ12の動力伝達経路を詳細に説明する。まず、リアスプロケット24が、チェーン20を介してフロントスプロケット18から回転力を受ける。これにより、リアスプロケット24が中心軸R1回りに進行回転方向に回転し、駆動部28が上流側遊星ギアユニット32の上流側太陽ギア50とともに中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。上流側遊星ギアユニット32は、駆動部28から回転力を受けてリングローラ58を回転させる。言いかえれば、リングローラ58は、上流側遊星ギアユニット32を介して駆動部28に機能的に連結されている。上流側遊星ギアユニット32は、回転入力として上流側太陽ギア50から回転力を受けて、上流側遊星ギア52を介して上流側リングギア54に回転力を伝達する。上流側遊星ギアユニット32は、−1.29のギア比を有する。言いかえれば、上流側遊星ギアユニット32は、上流側太陽ギア50の入力回転速度を増加させるが、上流側太陽ギア50の入力回転方向(つまり進行回転方向)を逆転させる。その結果、リングローラ58は中心軸R1回りに逆回転方向に回転する。
CVTユニット22は、リングローラ58から回転力を受けて、第1円錐状遊星ローラ60、太陽ローラ64及び第2円錐状遊星ローラ66を介して第2ローラキャリア68に回転力を伝達する。具体的には、CVTユニット22は、リングローラ58からの中心軸R1回りの逆回転方向の回転力を受けて、第2ローラキャリア68に回転力を伝達し、これにより、第2ローラキャリア68が中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。言いかえれば、CVTユニット22は、リングローラ58の入力回転方向(つまり逆回転方向)を逆転させる。具体的には、第1円錐状遊星ローラ60の第1摩擦係合部82のそれぞれは、回転入力としてリングローラ58の第1リングローラ部78からの回転力を受ける。そして、第1円錐状遊星ローラ60の第2摩擦係合部84のそれぞれは、太陽ローラ64の第1太陽ローラ部86に回転力を伝達する。その結果、太陽ローラ64は、太陽ローラ64の第1太陽ローラ部86の軸方向位置(つまり第2接触C2の軸方向位置)に応じた回転速度で、中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。一方、第2円錐状遊星ローラ66の第3摩擦係合部90のそれぞれは、リングローラ58の第2リングローラ部80からの回転力を受ける。さらに、第2円錐状遊星ローラ66の第4摩擦係合部92のそれぞれは、第2太陽ローラ部88からの回転力を受ける。言いかえれば、第2円錐状遊星ローラ66のそれぞれは、リングローラ58及び太陽ローラ64から2つの回転入力を受ける。第2円錐状遊星ローラ66のそれぞれは、差動装置として機能する。したがって、第2円錐状遊星ローラ66のそれぞれは、リングローラ58及び太陽ローラ64からの2つの回転入力を組み合わせて、これにより、太陽ローラ64の第2太陽ローラ部88の軸方向位置(つまり第4接触C4の軸方向位置)に応じた回転速度で、第2円錐状遊星ローラ66のそれぞれを中心軸R1回りに進行回転方向に回転させる。次に、第2円錐状遊星ローラ66の回転運動により、第2ローラキャリア68を中心軸R1回りに進行回転方向に回転させる。第2ローラキャリア68はハブシェル30に機能的に連結されている。したがって、第2ローラキャリア68は、さらに出力プレート98及び一方向クラッチ104を有するカムローダ94を介してハブシェル30へ回転力を伝達する。
さらに図3〜5を参照して、変速機構96が、太陽ローラ64の軸方向位置を、第1位置(図3に示す)と第2位置(図5に示す)との間で中間位置(図4に示す)を通ってハブシャフト26の中心軸R1に沿って連続的に変更する。第1位置は、軸方向において、第2位置に対して第2軸方向X2側に位置する。中間位置は、軸方向において、第1及び第2位置間に位置する。太陽ローラ64が、第1位置(図3に示す)から第2位置(図5に示す)に向かって連続的に移動するにつれて、第2摩擦係合部84と太陽ローラ64の第1太陽ローラ部86との間の第2接触C2における第1円錐状遊星ローラ60の第2摩擦係合部84の第2有効径D2(あるいは、係合半径)は次第に減少する。太陽ローラ64が、第1位置(図3に示す)から第2位置(図5に示す)に向かって連続的に移動するにつれて、第4摩擦係合部92と太陽ローラ64の第2太陽ローラ部88との間の第4接触C4における第2円錐状遊星ローラ66の第4摩擦係合部92の第4有効径D4(あるいは、係合半径)は次第に増加する。テーパ状外周面84a,92aに沿った第2及び第4接触C2,C4のこれらの軸方向移動により、リングローラ58と太陽ローラ64との間の有効径方向距離が変更され、これにより、CVTユニット22のギア比が変更される。具体的には、テーパ状外周面84a,92aに沿った第2及び第4接触C2,C4の軸方向移動により、第1及び第2円錐状遊星ローラ60,66のギア比がそれぞれ連続的に変化し、これにより、ハブアセンブリ12のギア比が連続的に変更される。特に、太陽ローラ64の第1位置(図3に示す)は、ハブアセンブリ12の高速ギア比を与える最高速ギア位置に対応する。本実施形態において、ハブアセンブリ12の高速ギア比は約1.2に調整される。太陽ローラ64の中間方向位置(図4に示す)は、ハブアセンブリ12の中速ギア比を与える中速ギア位置に対応する。本実施形態において、ハブアセンブリ12の中速ギア比は約0.7に調整される。太陽ローラ64の第2方向位置(図5に示す)は、ハブアセンブリ12の低速ギア比を与える低速ギア位置に対応する。本実施形態において、ハブアセンブリ12の低速ギア比は約0.3に調整される。
本実施形態において、CVTユニット22はハブシェル30内に配置される。しかしながら、CVTユニット22を自転車10の他の位置に配置することもできる。例えば、CVTユニット22を、フロントスプロケットが取り付けられているフレーム14の円筒状ハンガー部分に収容することができる。
第2実施形態
次に図7を参照して、第2実施形態の無段変速機ユニット122(以下に「CVTユニット122」)を有するハブアセンブリ112を説明する。
第2実施形態における第1実施形態の部材と同一の部材には、第1実施形態の部材と同じ参照符号を付している。また、第2実施形態における第1実施形態の部材と機能的に同一又は実質的に同一の部材には、同じ参照符号であるが、「100」を加算した参照符号を付している。いずれの場合も、説明の簡略化のために、第1実施形態の部材と同一の第2実施形態の部材の説明を省略する。
図7に示すように、ハブアセンブリ112は基本的に、CVTユニット122と、上流側遊星ギアユニット132と、を有する。上流側遊星ギアユニット132は、基本的に、上流側太陽ギア150と、複数の上流側遊星ギア152と、上流側リングギア154と、上流側遊星ギアキャリア156と、を有する。具体的には、上流側遊星ギアユニット132は、4つの上流側遊星ギア152を有する(2つのみを図7に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、上流側遊星ギア152の数を変更することができる。さらに、CVTユニット122は、基本的に、リングローラ158と、複数の第1円錐状遊星ローラ160と、第1ローラキャリア162(例えば第1キャリア)と、太陽ローラ164と、を有する。CVTユニット122は、さらに、複数の第2円錐状遊星ローラ166と、第2ローラキャリア168(例えば第2キャリア)と、を有する。具体的には、CVTユニット122は、4つの第1円錐状遊星ローラ160(2つのみを図7に示す)と、4つの第2円錐状遊星ローラ166(2つのみを図7に示す)と、を有する。しかしながら、第1円錐状遊星ローラ160及び第2円錐状遊星ローラ166の数は、必要に応じてあるいは所望により変更することができる。
上流側太陽ギア150はハブシャフト26の外周面に回転不能に支持される。上流側リングギア154は、CVTユニット122のリングローラ158の内周面に配置され、リングローラ158に固定される。また、上流側遊星ギア152は上流側太陽ギア150及び上流側リングギア154と係合する。具体的には、上流側遊星ギア152のそれぞれは、小径ギア部分170と、小径ギア部分170より大きな直径を有する大径ギア部分172と、を有する。小径及び大径ギア部分170,172は、単一部材として一体的に形成される。小径ギア部分170は上流側太陽ギア150と噛み合う。大径ギア部分172は上流側リングギア154と噛み合う。上流側遊星ギアキャリア156は、リアスプロケット24を固定して連結する駆動部128の外周面に配置され、駆動部128とともにハブシャフト26回りに回転可能である。また、上流側遊星ギアキャリア156は上流側遊星ギア152を回転可能に支持する。上流側遊星ギア152は、ハブシャフト26回りに上流側遊星ギアキャリア156上の周方向に等間隔で配置される。
リングローラ158は、ハブシャフト26に機能的に支持され、上流側遊星ギアユニット132を介して駆動部128に機能的に連結される。具体的には、リングローラ158はハブシャフト26に回転可能に支持される。リングローラ158は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿ったリングローラ158の軸方向離間位置に第1及び第2リングローラ部178,180を有する。第1及び第2リングローラ部178,180は、第1及び第2円錐状遊星ローラ160,166とそれぞれ摩擦によって係合する。第1リングローラ部178の内径が第2リングローラ部180の内径より小さい以外、リングローラ158は第1実施形態のリングローラ58と実質的に同一である。
第1円錐状遊星ローラ160は、第1ローラキャリア162に回転可能に支持され、リングローラ158及び太陽ローラ164と摩擦によって係合する。第1ローラキャリア162は、ハブシャフト26に機能的に支持され、ハブシャフト26に回転不能に装着される。第1円錐状遊星ローラ160は、ハブシャフト26回りに第1ローラキャリア162上の周方向に等間隔で配置され、第1ローラキャリア162に第1円錐状遊星ローラ160の回転軸R3(例えば第1回転軸)回りに回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ160の回転軸R3のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R3のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第1軸方向X1に沿って減少するよう、回転軸R3は構成される。複数の第1円錐状遊星ローラ160は互いに実質的に同一である。さらに、第1円錐状遊星ローラ160は、第1実施形態の第2円錐状遊星ローラ66と実質的に同一であり、第1実施形態の第1円錐状遊星ローラ60と同様に配置される。したがって、第1円錐状遊星ローラ160の説明は、簡略化のために最小限に留める。第1円錐状遊星ローラ160は、第1実施形態の第3及び第4摩擦係合部90,92とそれぞれ実質的に同一である第1及び第2摩擦係合部182,184を有する。第1及び第2摩擦係合部182,184は、リングローラ158と太陽ローラ164とそれぞれ摩擦によって係合している。第1及び第2摩擦係合部182,184はギア歯を有さない。
太陽ローラ164はハブシャフト26に機能的に支持される。具体的には、太陽ローラ164は、ハブシャフト26に回転可能に支持され、ハブシャフト26の中心軸R1に沿って移動可能である。太陽ローラ164は第1及び第2円錐状遊星ローラ160,166と摩擦によって係合する。太陽ローラ164は第1実施形態の太陽ローラ64と実質的に同一である。したがって、太陽ローラ164の説明は簡略化のために最小限に留める。太陽ローラ164は、第1実施形態の第1及び第2太陽ローラ部86,88と実質的に同一である第1及び第2太陽ローラ部186,188を有する。第1及び第2太陽ローラ部186,188は、第1及び第2円錐状遊星ローラ160,166とそれぞれ摩擦によって係合する。第1及び第2太陽ローラ部186,188はギア歯を有さない。
第2円錐状遊星ローラ166は、第2ローラキャリア168に回転可能に支持され、リングローラ158及び太陽ローラ164と摩擦によって係合する。第2ローラキャリア168は第1実施形態の第2ローラキャリア68と実質的に同一である。したがって、第2ローラキャリア168の説明は簡略化のために最小限に留める。第2ローラキャリア168は、ハブシャフト26に機能的に支持され、ハブシャフト26回りに回転可能に装着される。第2ローラキャリア168は、さらにハブシェル30に機能的に連結される。第2円錐状遊星ローラ166は、ハブシャフト26回りに第2ローラキャリア168上の周方向に等間隔で配置される。第2円錐状遊星ローラ166は、第2ローラキャリア168に第2円錐状遊星ローラ166の回転軸R4(例えば第2回転軸)回りに回転可能に支持される。第2円錐状遊星ローラ166の回転軸R4のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R4のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第2軸方向X2に沿って減少するよう、回転軸R4は構成される。複数の第2円錐状遊星ローラ166は互いに実質的に同一である。さらに、第2円錐状遊星ローラ166は、第1実施形態の第1円錐状遊星ローラ60と実質的に同一であり、第1実施形態の第2円錐状遊星ローラ66と同様に配置される。したがって、第2円錐状遊星ローラ166の説明は簡略化のために最小限に留める。第2円錐状遊星ローラ166は、第1実施形態の第1及び第2摩擦係合部82,84とそれぞれ実質的に同一である第3及び第4摩擦係合部190,192を有する。第3及び第4摩擦係合部190,192は、リングローラ158と太陽ローラ164とそれぞれ摩擦によって係合している。第3及び第4摩擦係合部190,192はギア歯を有さない。
以上のようなCVTユニット122の構成により、第1円錐状遊星ローラ160の第1及び第2摩擦係合部182,184が、リングローラ158の第1リングローラ部178及び太陽ローラ164の第1太陽ローラ部186とそれぞれ摩擦によって係合する。第2円錐状遊星ローラ166の第1及び第2摩擦係合部190,192が、リングローラ158の第2リングローラ部180及び太陽ローラ164の第2太陽ローラ部188とそれぞれ摩擦によって係合する。
さらに図7を参照して、ハブアセンブリ112の動力伝達経路を詳細に説明する。まず、リアスプロケット24が、チェーン20を介してフロントスプロケット18から回転力を受ける(図1参照)。回転力により、リアスプロケット24が中心軸R1回りに進行回転方向に回転し、これにより、駆動部128が上流側遊星ギアユニット132の上流側遊星ギアキャリア156とともに中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。上流側遊星ギアユニット132は、駆動部128から回転力を受けて、リングローラ158を回転させる。言いかえれば、リングローラ158は、上流側遊星ギアユニット132を介して駆動部128に機能的に連結されている。上流側遊星ギアユニット132は、回転入力として上流側遊星ギアキャリア156から回転力を受けて、上流側遊星ギア152を介して上流側リングギア154に回転力を伝達する。上流側遊星ギアユニット132が2.79のギア比を有するよう、上流側遊星ギアユニット132は構成されている。言いかえれば、上流側遊星ギアユニット132は、上流側遊星ギアキャリア156の入力回転速度を増加させて、上流側リングギア154に固定されたリングローラ158に回転力を伝達する。その結果、リングローラ58は中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。
CVTユニット122は、リングローラ158から回転力を受けて、第1円錐状遊星ローラ160、太陽ローラ164及び第2円錐状遊星ローラ166を介して第2ローラキャリア168に回転力を伝達する。具体的には、CVTユニット122は、リングローラ158からの中心軸R1回りの進行回転方向の回転力を受けて、第2ローラキャリア168に回転力を伝達し、これにより、第2ローラキャリア168が中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。具体的には、第1円錐状遊星ローラ160の第1摩擦係合部182のそれぞれは、リングローラ158の第1リングローラ部178からの回転力を受ける。そして、第1円錐状遊星ローラ160の第2摩擦係合部184のそれぞれは、回転力を太陽ローラ164の第1太陽ローラ部186に伝達する。その結果、太陽ローラ164は、太陽ローラ164の第1太陽ローラ部186の軸方向位置(つまり第2接触C2の軸方向位置)に応じた回転速度で、中心軸R1回りに逆回転方向に回転する。一方、第2円錐状遊星ローラ166の第3摩擦係合部190のそれぞれは、リングローラ158の第2リングローラ部180からの回転力を受ける。さらに、第2円錐状遊星ローラ166の第4摩擦係合部192のそれぞれは、第2太陽ローラ部188からの回転力を受ける。言いかえれば、第2円錐状遊星ローラ166のそれぞれは、リングローラ158及び太陽ローラ164から2つの回転入力を受ける。第2円錐状遊星ローラ166のそれぞれは、差動装置として機能する。したがって、第2円錐状遊星ローラ166のそれぞれは、リングローラ158及び太陽ローラ164からの2つの回転入力を組み合わせて、これにより、太陽ローラ164の第2太陽ローラ部188の軸方向位置(つまり第4接触C4の軸方向位置)に応じた回転速度で、第2円錐状遊星ローラ166のそれぞれを中心軸R1回りに進行回転方向に回転させる。さらに、そして次に、第2円錐状遊星ローラ166の回転運動により、第2ローラキャリア168を中心軸R1回りに進行回転方向に回転させる。第2ローラキャリア168はハブシェル30に機能的に連結される。したがって、第2ローラキャリア168は、さらに出力プレート98及び一方向クラッチ104を有するカムローダ94を介してハブシェル30へ回転力を伝達する。
変速機構96が、太陽ローラ164の軸方向位置を第1位置(図3に示す)と第2位置(図5に示す)との間で中間位置(図4に示す)を通ってハブシャフト26の中心軸R1に沿って連続的に変更する。太陽ローラ164が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第2摩擦係合部184と太陽ローラ164の第1太陽ローラ部186との間の第2接触C2における第1円錐状遊星ローラ160の第2摩擦係合部184の第2有効径D2(あるいは、係合半径)は次第に減少する。太陽ローラ164が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第4摩擦係合部192と太陽ローラ164の第2太陽ローラ部188との間の第4接触C4における第2円錐状遊星ローラ166の第4摩擦係合部192の第4有効径D4(あるいは、係合半径)は次第に増加する。第2及び第4摩擦係合部184,192における第2及び第4接触C2,C4のこれらの軸方向移動により、リングローラ158と太陽ローラ164との間の有効径方向距離が変更され、これにより、CVTユニット122のギア比が変更される。具体的には、第2及び第4接触C2,C4のこれらの軸方向移動により、第1及び第2円錐状遊星ローラ160,166のギア比がそれぞれ連続的に変化し、これにより、ハブアセンブリ112のギア比が連続的に変更される。特に、太陽ローラ164の第1位置は、ハブアセンブリ112の高速ギア比を与える最高速ギア位置に対応する。太陽ローラ164の中間方向位置は、ハブアセンブリ112の中速ギア比を与える中速ギア位置に対応する。太陽ローラ164の第2方向位置は、ハブアセンブリ112の低速ギア比を与える低速ギア位置に対応する。
第3実施形態
次に図8を参照して、第3実施形態による無段変速機ユニット222(以下に「CVTユニット222」)を有するハブアセンブリ212を説明する。第3実施形態のCVTユニット222は、基本的にCVTユニット222が単一の円錐状遊星ローラ及び単一のローラキャリアのみを有し、CVTユニット222の太陽ローラがハブシャフト26の中心軸R1回りに回転不能であるという点で、第1実施形態のCVTユニット22とは異なっている。
第1実施形態と第3実施形態との類似点を考慮して、第3実施形態において第1実施形態と同一の部材には、第1実施形態と同じ参照符号を付している。また、第3実施形態において、第1実施形態の部材と機能的に同一、または実質的に同一である部材には、同じ参照符号であるが、「200」を加算した参照符号を付している。いずれの場合も、説明の簡略化のために、第1実施形態の部材と同一の部材の説明を省略する。
図8に示すように、ハブアセンブリ212は基本的に、CVTユニット222と、上流側遊星ギアユニット232と、を有する。上流側遊星ギアユニット232は第2実施形態の上流側遊星ギアユニット132と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット232の説明は簡略化のために最小限に留める。上流側遊星ギアユニット232は、基本的に、上流側太陽ギア250と、複数の上流側遊星ギア252と、上流側リングギア254と、上流側遊星ギアキャリア256と、を有する。上流側遊星ギアキャリア256は、リアスプロケット24に連結される駆動部228に固定される。本実施形態において、上流側遊星ギアユニット232は、4つの上流側遊星ギア252を有する(2つのみを図8に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、上流側遊星ギア252の数を変更することができる。上流側遊星ギア252のそれぞれは、小径及び大径ギア部分270,272を有する。
CVTユニット222は、基本的に、リングローラ258と、複数の第1円錐状遊星ローラ260と、第1ローラキャリア262(例えば第1キャリア)と、太陽ローラ264と、を有する。具体的には、本実施形態において、CVTユニット222は、4つの第1円錐状遊星ローラ260を有する(2つのみを図8に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、第1円錐状遊星ローラ260の数を変更することができる。
リングローラ258は、ハブシャフト26に機能的に支持され、上流側遊星ギアユニット232を介して駆動部228に機能的に連結される。具体的には、リングローラ258は、ハブシャフト26に回転可能に支持され、第1リングローラ部278を有する。第1リングローラ部278は第1円錐状遊星ローラ260と摩擦によって係合する。リングローラ258が単一のリングローラ部をのみ有する以外、リングローラ258は第1実施形態のリングローラ58と実質的に同一である。第1リングローラ部278は、第1実施形態の第2テーパ状内周面80aと実質的に同一であるテーパ状内周面を有する。
第1円錐状遊星ローラ260は、第1ローラキャリア262に回転可能に支持され、第2実施形態の第2円錐状遊星ローラ166と実質的に同一であり、第2実施形態の第2円錐状遊星ローラ166と同様に配置される。したがって、第1円錐状遊星ローラ260の説明は簡略化のために最小限に留める。第1円錐状遊星ローラ260はリングローラ258及び太陽ローラ264と摩擦によって係合する。第1ローラキャリア262は第2実施形態の第2ローラキャリア168と実質的に同一である。したがって、第1ローラキャリア262の説明は簡略化のために最小限に留める。
第1ローラキャリア262は、ハブシャフト26に機能的に支持され、ハブシャフト26回りに回転可能に装着される。第1ローラキャリア262は、さらにハブシェル30に機能的に連結される。第1円錐状遊星ローラ260は、ハブシャフト26回りに第1ローラキャリア262上の周方向に等間隔で配置され、第1ローラキャリア262に第1円錐状遊星ローラ260の回転軸R3(例えば第1回転軸)回りに回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ260の回転軸R3のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R3のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第2軸方向X2に沿って減少するよう、回転軸R3は構成される。複数の第1円錐状遊星ローラ260は互いに実質的に同一である。第1円錐状遊星ローラ260は、第2実施形態の第3及び第4摩擦係合部190,192とそれぞれ実質的に同一である第1及び第2摩擦係合部282,284を有する。第1及び第2摩擦係合部282,284は、リングローラ258と太陽ローラ264とそれぞれ摩擦によって係合している。第1及び第2摩擦係合部282,284はギア歯を有さない。
太陽ローラ264は、ハブシャフト26に機能的に支持される。具体的には、太陽ローラ264はハブシャフトの中心軸R1回りにハブシャフト26に回転不能に支持される。さらに、太陽ローラ264は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿って移動可能であり、第1円錐状遊星ローラ260と摩擦によって係合する。太陽ローラ264が単一の太陽ローラ部を有する以外、太陽ローラ264は第1実施形態の太陽ローラ64と実質的に同一である。したがって、太陽ローラ264の説明は簡略化のために最小限に留める。太陽ローラ264は、第1実施形態の第1太陽ローラ部86と実質的に同一である第1太陽ローラ部286を有する。第1太陽ローラ部286は第1円錐状遊星ローラ260と摩擦によって係合する。第1太陽ローラ部286はギア歯を有さない。
以上のようなCVTユニット222の構成により、第1円錐状遊星ローラ260の第1及び第2摩擦係合部282,284が、リングローラ258の第1リングローラ部278及び太陽ローラ264の第1太陽ローラ部286とそれぞれ摩擦によって係合する。
さらに図8を参照して、ハブアセンブリ212の動力伝達経路を詳細に説明する。まず、リアスプロケット24が、チェーン20を介してフロントスプロケット18から回転力を受ける(図1参照)。この回転力により、リアスプロケット24が中心軸R1回りに進行回転方向に回転し、これにより、駆動部228が上流側遊星ギアユニット232の上流側遊星ギアキャリア256とともに中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。上流側遊星ギアユニット232は、駆動部228から回転力を受けて、中心軸R1回りに進行回転方向にリングローラ258を回転させる。上流側遊星ギアユニット232は第2実施形態の上流側遊星ギアユニット132と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット232を介した回転力の伝達の説明は簡略化のために省略する。
CVTユニット222は、リングローラ258から回転力を受けて、第1円錐状遊星ローラ260及び太陽ローラ264を介して第1ローラキャリア262に回転力を伝達する。具体的には、CVTユニット222は、リングローラ258からの中心軸R1回りの進行回転方向の回転力を受けて、第1ローラキャリア262に回転力を伝達し、これにより、第1ローラキャリア262が中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。具体的には、第1円錐状遊星ローラ260の第1摩擦係合部282のそれぞれは、回転入力としてリングローラ258の第1リングローラ部278からの回転力を受ける。一方、第1円錐状遊星ローラ260の第2摩擦係合部284のそれぞれは、太陽ローラ264と摩擦によって係合する。したがって、リングローラ258の第1リングローラ部278からの回転力は、太陽ローラ264回りに進行回転方向に第1円錐状遊星ローラ260を回転させ、この結果、中心軸R1回りに進行回転方向に第1ローラキャリア262が回転する。第1ローラキャリア262は、太陽ローラ264の第1太陽ローラ部286の軸方向位置(つまり第2接触C2の軸方向位置)に応じた回転速度で、中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。第1ローラキャリア262はハブシェル30に機能的に連結されている。すなわち、第1ローラキャリア262は、出力プレート98及び一方向クラッチ104を有するカムローダ94を介してハブシェル30へ回転力を伝達する。
変速機構96が、太陽ローラ264の軸方向位置を第1位置(図3に示す)と第2位置(図5に示す)との間で中間位置(図4に示す)を通ってハブシャフト26の中心軸R1に沿って連続的に変更する。太陽ローラ264が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第2摩擦係合部284と太陽ローラ264の第1太陽ローラ部286との間の第2接触C2における第1円錐状遊星ローラ260の第2摩擦係合部284の第2有効径D2(あるいは、係合半径)は次第に増加する。第2摩擦係合部284における第2接触C2のこの移動により、リングローラ258と太陽ローラ264との間の有効径方向距離が変更され、これにより、CVTユニット222のギア比が変更される。具体的には、第2接触C2のこの軸方向移動により、第1円錐状遊星ローラ260のギア比がそれぞれ連続的に変化し、これにより、ハブアセンブリ212のギア比が連続的に変更される。
第4実施形態
次に図9を参照して、第4実施形態による無段変速機ユニット322(以下に「CVTユニット322」)を有するハブアセンブリ312を説明する。第4実施形態のCVTユニット322は、基本的にCVTユニット322が単一の円錐状遊星ローラ及び単一のローラキャリアのみを有し、CVTユニット322の太陽ローラがハブシェル30を回転させるようハブシェル30に機能的に連結されるという点で、第1実施形態のCVTユニット22とは異なっている。
第1実施形態と第4実施形態との類似点を考慮して、第4実施形態において第1実施形態の部材と同一の部材には同じ参照符号を付している。また、第4実施形態において、第1実施形態の部材と機能的に同一である、または実質的に同一である部材には、同じ参照符号であるが、「300」を加算した参照符号を付している。いずれの場合も、説明の簡略化のために、第1実施形態の部材と同一の部材の説明を省略する。
図9に示すように、ハブアセンブリ312は基本的に、CVTユニット322と、上流側遊星ギアユニット332と、を有する。上流側遊星ギアユニット332は第1実施形態の上流側遊星ギアユニット32と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット332の説明は簡略化のために最小限に留める。上流側遊星ギアユニット332は、基本的に、上流側太陽ギア350と、複数の上流側遊星ギア352と、上流側リングギア354と、上流側遊星ギアキャリア356と、を有する。上流側太陽ギア350は、リアスプロケット24に連結される駆動部328に固定される。本実施形態において、上流側遊星ギアユニット332は、4つの上流側遊星ギア352を有する(2つのみを図9に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、上流側遊星ギア352の数を変更することができる。上流側遊星ギア352のそれぞれは、小径及び大径ギア部分370,372を有する。
CVTユニット322は、基本的に、リングローラ358と、複数の第1円錐状遊星ローラ360と、第1ローラキャリア362(例えば第1キャリア)と、太陽ローラ364と、を有する。具体的には、本実施形態において、CVTユニット322は、4つの第1円錐状遊星ローラ360を有する(2つのみを図9に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、第1円錐状遊星ローラ360の数を変更することができる。
リングローラ358は、ハブシャフト26に機能的に支持され、上流側遊星ギアユニット332を介して駆動部328に機能的に連結される。具体的には、リングローラ358は、ハブシャフト26に回転可能に支持され、第1リングローラ部378を有する。第1リングローラ部378は第1円錐状遊星ローラ360と摩擦によって係合する。リングローラ358が単一のリングローラ部のみを有する以外、リングローラ358は第1実施形態のリングローラ58と実質的に同一である。
第1円錐状遊星ローラ360は、第1ローラキャリア362に回転可能に支持され、第1実施形態の第1円錐状遊星ローラ60と実質的に同一であり、第1実施形態の第1円錐状遊星ローラ60と同様に配置される。したがって、第1円錐状遊星ローラ360の説明は簡略化のために最小限に留める。第1円錐状遊星ローラ360はリングローラ358及び太陽ローラ364と摩擦によって係合する。複数の第1円錐状遊星ローラ360は互いに実質的に同一である。第1円錐状遊星ローラ360のそれぞれは、第1実施形態の第1及び第2摩擦係合部82,84とそれぞれ実質的に同一である第1及び第2摩擦係合部382,384を有する。第1及び第2摩擦係合部382,384は、リングローラ358と太陽ローラ364とそれぞれ摩擦によって係合している。第1及び第2摩擦係合部382,384はギア歯を有さない。
第1ローラキャリア362は、第1実施形態の第1ローラキャリア62と実質的に同一である。したがって、第1ローラキャリア362の説明は簡略化のために最小限に留める。第1ローラキャリア362はハブシャフト26に機能的に支持される。特に、第1ローラキャリア362はハブシャフト26に回転不能に装着される。第1円錐状遊星ローラ360は、ハブシャフト26回りに第1ローラキャリア362上の周方向に等間隔で配置され、第1ローラキャリア362に第1円錐状遊星ローラ360の回転軸R3(例えば第1回転軸)回りに回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ360の回転軸R3のそれぞれはハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R3のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第1軸方向X1に沿って減少するよう、回転軸R3は構成される。
太陽ローラ364はハブシャフト26に機能的に支持される。具体的には、太陽ローラ364は、ハブシャフト26に回転可能に支持される。さらに、太陽ローラ364は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿って移動可能であり、第1円錐状遊星ローラ360と摩擦によって係合する。太陽ローラ364が単一の太陽ローラ部を有することと、太陽ローラ364がハブシェル30に機能的に連結されること以外、太陽ローラ364は第1実施形態の太陽ローラ64と実質的に同一である。したがって、太陽ローラ364の説明は簡略化のために最小限に留める。太陽ローラ364は第1実施形態の第1太陽ローラ部86と実質的に同一である第1太陽ローラ部386を有する。さらに、太陽ローラ364は一方向クラッチ104を介してハブシェル30に機能的に連結される出力部388を有する。出力部388は、太陽ローラ364に一体的に形成され、一方向クラッチ104に軸方向に摺動可能に連結される。また、出力部388は第1実施形態の出力プレート98と実質的に同一とできる。第1太陽ローラ部386は第1円錐状遊星ローラ360と摩擦によって係合する。第1太陽ローラ部386はギア歯を有さない。
以上のようなCVTユニット322の構成により、第1円錐状遊星ローラ360の第1及び第2摩擦係合部382,384が、リングローラ358の第1リングローラ部378及び太陽ローラ364の第1太陽ローラ部386とそれぞれ摩擦によって係合する。
さらに図9を参照して、ハブアセンブリ312の動力伝達経路を詳細に説明する。まず、リアスプロケット24が、チェーン20を介してフロントスプロケット18から回転力を受ける(図1参照)。この回転力により、リアスプロケット24が中心軸R1回りに進行回転方向に回転し、これにより、駆動部328が上流側遊星ギアユニット332の上流側太陽ギア350とともに中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。上流側遊星ギアユニット332は、駆動部328から回転力を受けて、中心軸R1回りに逆回転方向にリングローラ358を回転させる。上流側遊星ギアユニット332は第1実施形態の上流側遊星ギアユニット32と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット332を介した回転力の伝達の説明は簡略化のために省略する。
CVTユニット322は、リングローラ358から回転力を受けて、第1円錐状遊星ローラ360を介して太陽ローラ364に回転力を伝達する。具体的には、CVTユニット322は、リングローラ358からの中心軸R1回りの逆回転方向の回転力を受けて、太陽ローラ364に回転力を伝達し、これにより、太陽ローラ364が中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。言いかえれば、CVTユニット322は、リングローラ358の入力回転方向(つまり逆回転方向)を逆転させる。具体的には、第1円錐状遊星ローラ360の第1摩擦係合部382のそれぞれは、回転入力としてリングローラ358の第1リングローラ部378からの回転力を受ける。そして、第1円錐状遊星ローラ360の第2摩擦係合部382のそれぞれは、回転力を太陽ローラ364の第1太陽ローラ部386に伝達する。その結果、太陽ローラ364は、太陽ローラ364の第1太陽ローラ部386の軸方向位置(つまり第2接触C2の軸方向位置)に応じた回転速度で、中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。太陽ローラ364は、ハブシェル30に機能的に連結される。したがって、太陽ローラ364は、さらに一方向クラッチ104を介してハブシェル30に回転力を伝達する。本実施形態においては、図9に示すように、ハブアセンブリ312は動力伝達経路にカムローダを有さない。しかしながら、任意選択的にあるいは追加的に、太陽ローラ364がカムローダ94を介してハブシェル30に回転力を伝達するよう、ハブアセンブリ312は動力伝達経路にカムローダ94を有することもできる。
変速機構96が、太陽ローラ364の軸方向位置を第1位置(図3に示す)と第2位置(図5に示す)との間で中間位置(図4に示す)を通ってハブシャフト26の中心軸R1に沿って連続的に変更する。太陽ローラ364が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第2摩擦係合部384と太陽ローラ364の第1太陽ローラ部386との間の第2接触C2における第1円錐状遊星ローラ360の第2摩擦係合部384の第2有効径D2(あるいは、係合半径)は次第に減少する。第2摩擦係合部384における第2接触C2のこの移動により、リングローラ358と太陽ローラ364との間の有効径方向距離が変更され、これにより、CVTユニット322のギア比が変更される。具体的には、第2接触C2のこの軸方向移動により、第1円錐状遊星ローラ360のギア比がそれぞれ連続的に変化し、これにより、ハブアセンブリ312のギア比が連続的に変更される。
第5実施形態
次に図10を参照して、第5実施形態による無段変速機ユニット422(以下に「CVTユニット422」)を有するハブアセンブリ412を説明する。CVTユニット422は基本的に、CVTユニット422の第1ローラキャリアが駆動部から回転力を受けるよう駆動部に機能的に連結されており、CVTユニット422のリングローラがハブシェル30を回転させるようハブシェル30に機能的に連結される点で、第3実施形態のCVTユニット222とは異なっている。
第1実施形態と第5実施形態との類似点を考慮して、第5実施形態において第1実施形態の部材と同一の部材には同じ参照符号を付している。また、第5実施形態において、第1実施形態の部材と機能的に同一、または実質的に同一である部材には、同じ参照符号であるが、「400」を加算した参照符号を付している。いずれの場合も、説明の簡略化のために、第1実施形態の部材と同一の部材の説明を省略する。
図10に示すように、ハブアセンブリ412は基本的に、CVTユニット422と、上流側遊星ギアユニット432と、を有する。上流側リングギア454が第1及び第2上流側リングギア部分454a,454bを有する以外、上流側遊星ギアユニット432は第2実施形態の上流側遊星ギアユニット132と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット432の説明は簡略化のために最小限に留める。上流側遊星ギアユニット432は、基本的に、上流側太陽ギア450と、複数の上流側遊星ギア452と、上流側リングギア454と、上流側遊星ギアキャリア456と、を有する。上流側遊星ギアキャリア456は、リアスプロケット24に連結される駆動部428に固定される。本実施形態において、上流側遊星ギアユニット432は4つの上流側遊星ギア452を有する(2つのみを図10に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、上流側遊星ギア452の数を変更することができる。上流側遊星ギア452のそれぞれは小径及び大径ギア部分470,472を有する。
上流側リングギア454は基本的に筒状部材である。第1及び第2上流側リングギア部分454a,454bは径方向内側に延設されるギア歯を有する。第1上流側リングギア部分454aは上流側遊星ギア452の大径ギア部分472と噛み合う。第2上流側リングギア部分454bは、CVTユニット422に回転力を伝達するよう、CVTユニット422に機能的に連結される。本実施形態において、第2上流側リングギア部分454bは内歯歯車を有する。しかしながら、第2上流側リングギア部分454bは、内歯歯車の代わりにCVTユニット422と噛み合うセレーションまたはスプラインを有することもできる。
CVTユニット422は、基本的に、リングローラ458と、複数の第1円錐状遊星ローラ460と、第1ローラキャリア462(例えば第1キャリア)と、太陽ローラ464と、を有する。具体的には、本実施形態において、CVTユニット422は4つの第1円錐状遊星ローラ460を有する(2つのみを図10に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、第1円錐状遊星ローラ460の数を変更することができる。
第1ローラキャリア462はハブシャフト26に機能的に支持される。特に、第1ローラキャリア462はハブシャフト26回りに回転可能に装着される。第1ローラキャリア462は、さらに上流側リングギア454に機能的に連結される。特に、第1ローラキャリア462は第1ローラキャリア462の外周面の外側に延設されるギア歯462aを有する。第1ローラキャリア462のギア歯462aは第2上流側リングギア部分454bのギア歯と噛合し、これにより、第1ローラキャリア462が上流側リングギア454からの回転力を受ける。第1円錐状遊星ローラ460は、ハブシャフト26回りに第1ローラキャリア462上の周方向に等間隔で配置され、第1ローラキャリア462に第1円錐状遊星ローラ460の回転軸R3(例えば第1回転軸)回りに回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ460の回転軸R3のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R3のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第1軸方向X1に沿って減少するよう、回転軸R3は構成される。複数の第1円錐状遊星ローラ460は互いに実質的に同一である。第1円錐状遊星ローラ460は、第1実施形態の第1円錐状遊星ローラ60と実質的に同一であり、第1実施形態の第1円錐状遊星ローラ60と同様に配置される。したがって、第1円錐状遊星ローラ460の説明は簡略化のために最小限に留める。第1円錐状遊星ローラ460のそれぞれは、第1及び第2摩擦係合部82,84とそれぞれ実質的に同一である第1及び第2摩擦係合部482,484を有する。第1及び第2摩擦係合部482,484は、リングローラ458と太陽ローラ464とそれぞれ摩擦によって係合している。第1及び第2摩擦係合部482,484はギア歯を有さない。
太陽ローラ464はハブシャフト26に機能的に支持される。具体的には、太陽ローラ464はハブシャフトの中心軸R1回りにハブシャフト26に回転不能に支持される。さらに、太陽ローラ464は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿って移動可能であり、第1円錐状遊星ローラ460と摩擦によって係合する。太陽ローラ464が単一の太陽ローラ部を有する以外、太陽ローラ464は第1実施形態の太陽ローラ64と実質的に同一である。したがって、太陽ローラ464の説明は簡略化のために最小限に留める。太陽ローラ464は、第1実施形態の第1太陽ローラ部86と実質的に同一である第1太陽ローラ部486を有する。第1太陽ローラ部486は第1円錐状遊星ローラ460と摩擦によって係合する。第1太陽ローラ部486はギア歯を有さない。
リングローラ458は、ハブシャフト26に機能的に支持され、一方向クラッチ104を介してハブシェル30に機能的に連結される。具体的には、リングローラ458は、ハブシャフト26に回転可能に支持される。リングローラ458は第1リングローラ部478を有する。第1リングローラ部478は第1円錐状遊星ローラ460と摩擦によって係合する。リングローラ458が単一のリングローラ部をのみ有することと、リングローラ458が一方向クラッチ104の内周部に連結されること以外、リングローラ458は第1実施形態のリングローラ58と実質的に同一である。
以上のようなCVTユニット422の構成により、第1円錐状遊星ローラ460の第1及び第2摩擦係合部482,484が、リングローラ458の第1リングローラ部478及び太陽ローラ464の第1太陽ローラ部486とそれぞれ摩擦によって係合する。
さらに図10を参照して、ハブアセンブリ412の動力伝達経路を詳細に説明する。まず、リアスプロケット24が、チェーン20を介してフロントスプロケット18から回転力を受ける(図1参照)。この回転力により、リアスプロケット24が中心軸R1回りに進行回転方向に回転し、これにより、駆動部428が上流側遊星ギアユニット432の上流側遊星ギアキャリア456とともに中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。上流側遊星ギアユニット432は、駆動部428から回転力を受けて、中心軸R1回りに進行回転方向に上流側リングギア454を回転させる。上流側遊星ギアユニット432は第2実施形態の上流側遊星ギアユニット132と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット432を介した回転力の伝達の説明は簡略化のために省略する。
CVTユニット422は、第1ローラキャリア462から回転力を受けて、第1円錐状遊星ローラ460及び太陽ローラ464を介してリングローラ458に回転力を伝達する。具体的には、CVTユニット422は、第1ローラキャリア462からの中心軸R1回りの進行回転方向の回転力を受けて、リングローラ458に回転力を伝達し、これにより、リングローラ458が中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。具体的には、第1ローラキャリア462は上流側リングギア454からの回転力を受ける。一方、第1円錐状遊星ローラ460の第2摩擦係合部484のそれぞれは、太陽ローラ464と摩擦によって係合する。したがって、第1ローラキャリア462からの回転力は、太陽ローラ464回りに進行回転方向に第1円錐状遊星ローラ460を回転させ、同時に第1円錐状遊星ローラ460は回転軸R3回りに回転し、この結果、中心軸R1回りに進行回転方向にリングローラ458が回転する。リングローラ458は、太陽ローラ464の第1太陽ローラ部486の軸方向位置(つまり第2接触C2の軸方向位置)に応じた回転速度で、中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。リングローラ458はハブシェル30に機能的に連結される。したがって、リングローラ458は、さらに一方向クラッチ104を介してハブシェル30に回転力を伝達する。本実施形態においては、図10に示すように、ハブアセンブリ412は動力伝達経路にカムローダを有さない。しかしながら、任意選択的にあるいは追加的に、リングローラ458がカムローダ94を介してハブシェル30に回転力を伝達するよう、ハブアセンブリ412は動力伝達経路にカムローダ94を有することもできる。
変速機構96が、太陽ローラ464の軸方向位置を第1位置(図3に示す)と第2位置(図5に示す)との間で中間位置(図4に示す)を通ってハブシャフト26の中心軸R1に沿って連続的に変更する。太陽ローラ464が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第2摩擦係合部484と太陽ローラ464の第1太陽ローラ部486との間の第2接触C2における第1円錐状遊星ローラ460の第2摩擦係合部484の第2有効径D2(あるいは、係合半径)は次第に減少する。第2摩擦係合部484における第2接触C2のこの移動により、リングローラ458と太陽ローラ464との間の有効径方向距離が変更され、これにより、CVTユニット422のギア比が変更される。具体的には、第2接触C2のこの軸方向移動により、第1円錐状遊星ローラ460のギア比がそれぞれ連続的に変化し、これにより、ハブアセンブリ412のギア比が連続的に変更される。
第6実施形態
次に図11を参照して、第6実施形態による無段変速機ユニット522(以下に「CVTユニット522」)を有するハブアセンブリ512を説明する。CVTユニット522は基本的に、CVTユニット522のリングローラがハブシャフト26に回転不能に連結されており、CVTユニット522の太陽ローラがハブシェル30を回転させるようハブシェル30に機能的に連結される点で、第5実施形態のCVTユニット422とは異なっている。
第1実施形態と第6実施形態との類似点を考慮して、第6実施形態において第1実施形態の部材と同一の部材には同じ参照符号を付している。また、第6実施形態において、第1実施形態の部材と機能的に同一、または実質的に同一である部材には、同じ参照符号であるが、「500」を加算した参照符号を付している。いずれの場合も、説明の簡略化のために、第1実施形態のパーツと同一の部材の説明を省略する。
図11に示すように、ハブアセンブリ512は基本的に、CVTユニット522と、上流側遊星ギアユニット532と、を有する。上流側遊星ギアユニット532は第5実施形態の上流側遊星ギアユニット432と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット532の説明は簡略化のために最小限に留める。上流側遊星ギアユニット532は、基本的に、上流側太陽ギア550と、複数の上流側遊星ギア552と、上流側リングギア554と、上流側遊星ギアキャリア556と、を有する。上流側遊星ギアキャリア556は、リアスプロケット24に連結される駆動部528に固定される。本実施形態において、上流側遊星ギアユニット532は4つの上流側遊星ギア552を有する(2つのみを図11に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、上流側遊星ギア552の数を変更することができる。上流側遊星ギア552のそれぞれは小径及び大径ギア部分570、572を有する。
上流側リングギア554は基本的に筒状部材である。上流側リングギア554は第1及び第2上流側リングギア部分554a,554bを有する。第1及び第2上流側リングギア部分554a,554bは径方向内側に延設されるギア歯を有する。第1上流側リングギア部分554aは上流側遊星ギア552の大径ギア部分572と噛み合う。第2上流側リングギア部分554bは、CVTユニット522に回転力を伝達するよう、CVTユニット522に機能的に連結される。本実施形態において、第2上流側リングギア部分554bは内歯歯車を有する。しかしながら、第2上流側リングギア部分554bは、内歯歯車の代わりにCVTユニット522と噛み合うセレーションまたはスプラインを有することもできる。
CVTユニット522は、基本的に、リングローラ558と、複数の第1円錐状遊星ローラ560と、第1ローラキャリア562(例えば第1キャリア)と、太陽ローラ564と、を有する。具体的には、本実施形態において、CVTユニット522は4つの第1円錐状遊星ローラ560を有する(2つのみを図11に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、第1円錐状遊星ローラ560の数を変更することができる。
第1ローラキャリア562はハブシャフト26に機能的に支持される。特に、第1ローラキャリア562はハブシャフト26回りに回転可能に装着される。第1ローラキャリア562は、さらに上流側リングギア554に機能的に連結される。特に、第1ローラキャリア562は、第1ローラキャリア562の外周面の外側に延設されるギア歯562aを有する。第1ローラキャリア562のギア歯562aは第2上流側リングギア部分554bのギア歯と噛合し、これにより、第1ローラキャリア562が上流側リングギア554からの回転力を受ける。第1円錐状遊星ローラ560は、ハブシャフト26回りに第1ローラキャリア562上の周方向に等間隔で配置され、第1ローラキャリア562に第1円錐状遊星ローラ560の回転軸R3(例えば第1回転軸)回りに回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ560の回転軸R3のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R3のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第1軸方向X1に沿って減少するよう、回転軸R3は構成される。複数の第1円錐状遊星ローラ560は互いに実質的に同一である。第1円錐状遊星ローラ560は、第1実施形態の第1円錐状遊星ローラ60と実質的に同一であり、第1実施形態の第1円錐状遊星ローラ60と同様に配置される。したがって、第1円錐状遊星ローラ560の説明は簡略化のために最小限に留める。第1円錐状遊星ローラ560のそれぞれは、第1及び第2摩擦係合部82,84とそれぞれ実質的に同一である第1及び第2摩擦係合部582,584を有する。第1及び第2摩擦係合部582,584は、リングローラ558と太陽ローラ564とそれぞれ摩擦によって係合している。第1及び第2摩擦係合部582,584はギア歯を有さない。
リングローラ558はハブシャフト26に固定されて回転不能に支持される。具体的には、リングローラ558はフレーム部514に形成される。フレーム部514は、円筒状インナーシェル514aとケーシング部514bとを有する。インナーシェル514aはハブシェル30の内周面に沿って軸方向に延びる。リングローラ558は、インナーシェル514aの一方の軸方向端部においてインナーシェル514aの内周面に形成される。インナーシェル514aは、インナーシェル514aとハブシェル30の間で配置される軸受アッセンブリ38a,38bによってハブシェル30を回転可能に支持する。ケーシング部514bは、ハブシェル30の外部に配置されるとともに、インナーシェル514aに固定される。さらに、ケーシング部514bはハブシャフト26及びフレーム14に固定される。ケーシング部514bはリアスプロケット24を覆う。駆動部528は、ケーシング部514bと駆動部528との間で配置される軸受アッセンブリ38cによってケーシング部514bに対して回転可能に支持される。リングローラ558は第1リングローラ部578を有する。第1リングローラ部578は第1円錐状遊星ローラ560と摩擦によって係合する。リングローラ558が単一のリングローラ部のみを有することと、リングローラ558がフレーム部514上に形成されること以外、リングローラ558は第1実施形態のリングローラ58と実質的に同一である。第1リングローラ部578はギア歯を有さない。
太陽ローラ564はハブシャフト26に機能的に支持される。具体的には、太陽ローラ564はハブシャフト26に回転可能に支持される。さらに、太陽ローラ564は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿って移動可能である。太陽ローラ564は第1円錐状遊星ローラ560と摩擦によって係合する。太陽ローラ564が単一の太陽ローラ部を有することと、太陽ローラ564がハブシェル30に機能的に連結されること以外、太陽ローラ564は第1実施形態の太陽ローラ64と実質的に同一である。したがって、太陽ローラ564の説明は簡略化のために最小限に留める。太陽ローラ564は、第1実施形態の第1太陽ローラ部86と実質的に同一である第1太陽ローラ部586を有する。さらに、太陽ローラ564は、一方向クラッチ104を介してハブシェル30に機能的に連結される出力部588を有する。出力部588は太陽ローラ564に一体的に形成される。出力部588は、一方向クラッチ104に軸方向に摺動可能に連結され、第1実施形態の出力プレート98と実質的に同一にすることができる。第1太陽ローラ部586は第1円錐状遊星ローラ560と摩擦によって係合する。第1太陽ローラ部586はギア歯を有さない。
以上のようなCVTユニット522の構成により、第1円錐状遊星ローラ560の第1及び第2摩擦係合部582,584が、リングローラ558の第1リングローラ部578及び太陽ローラ564の第1太陽ローラ部586とそれぞれ摩擦によって係合する。
さらに図11を参照して、ハブアセンブリ512の動力伝達経路を詳細に説明する。まず、リアスプロケット24が、チェーン20を介してフロントスプロケット18から回転力を受ける(図1参照)。この回転力により、リアスプロケット24が中心軸R1回りに進行回転方向に回転し、これにより、駆動部528が上流側遊星ギアユニット532の上流側遊星ギアキャリア556とともに中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。上流側遊星ギアユニット532は、駆動部528から回転力を受けて、中心軸R1回りに進行回転方向に上流側リングギア554を回転させる。上流側遊星ギアユニット532は、第2実施形態の上流側遊星ギアユニット132と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット532を介した回転力の伝達の説明は簡略化のために省略する。
CVTユニット522は、第1ローラキャリア562から回転力を受けて、第1円錐状遊星ローラ560及びリングローラ558を介して太陽ローラ564に回転力を伝達する。具体的には、CVTユニット522は、第1ローラキャリア562からの中心軸R1回りに進行回転方向の回転力を受けて、太陽ローラ564に回転力を伝達し、これにより、太陽ローラ564が中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。具体的には、第1ローラキャリア562は上流側リングギア554からの回転力を受ける。一方、第1円錐状遊星ローラ560の第1摩擦係合部582のそれぞれは、リングローラ558と摩擦によって係合する。したがって、第1ローラキャリア562からの回転力は、太陽ローラ560回りに進行回転方向に第1円錐状遊星ローラ560を回転させ、同時に第1円錐状遊星ローラ560は回転軸R3回りに回転し、この結果、中心軸R1回りに進行回転方向に太陽ローラ564が回転する。太陽ローラ564は、太陽ローラ564の第1太陽ローラ部586の軸方向位置(つまり第2接触C2の軸方向位置)に応じた回転速度で、中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。太陽ローラ564は、ハブシェル30に機能的に連結される。したがって、太陽ローラ564は、さらに一方向クラッチ104を介してハブシェル30に回転力を伝達する。本実施形態においては、図11に示すように、ハブアセンブリ512は動力伝達経路にカムローダを有さない。しかしながら、任意選択的にあるいは追加的に、太陽ローラ564がカムローダ94を介してハブシェル30に回転力を伝達するよう、ハブアセンブリ512は動力伝達経路にカムローダ94を有することもできる。
変速機構96が、太陽ローラ564の軸方向位置を第1位置(図3に示す)と第2位置(図5に示す)との間で中間位置(図4に示す)を通ってハブシャフト26の中心軸R1に沿って連続的に変更する。太陽ローラ564が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第2摩擦係合部584と太陽ローラ564の第1太陽ローラ部586との間の第2接触C2における第1円錐状遊星ローラ560の第2摩擦係合部584の第2有効径D2(あるいは、係合半径)は次第に減少する。第2摩擦係合部584における第2接触C2の移動により、リングローラ558と太陽ローラ564との間の有効径方向距離が変更され、これにより、CVTユニット522のギア比が変更される。具体的には、第2接触C2の軸方向移動により、第1円錐状遊星ローラ560のギア比がそれぞれ連続的に変化し、これにより、ハブアセンブリ512のギア比が連続的に変更される。
本実施形態においては、リングローラ558は、フレーム部514に形成され、第1円錐状遊星ローラ560回りに配置される。しかしながら、リングローラ558を、ハブシャフト26に固定される円錐体ローラとして形成することもできる。この場合、リングローラ558は、ハブシャフト26の中心軸R1に向いている第1摩擦係合部582の径方向内側部で第1摩擦係合部582と摩擦によって係合する。
第7実施形態
次に図12を参照して、第7実施形態による無段変速機ユニット622(以下に「CVTユニット622」)を有するハブアセンブリ612を説明する。第7実施形態のCVTユニット622は、基本的にCVTユニット622が単一の円錐状遊星ローラ及び単一のローラキャリアのみを有し、CVTユニット622の太陽ローラが駆動部から回転力を受けるよう駆動部に機能的に連結され、CVTのリングローラがハブシェル30を回転させるようハブシェル30に機能的に連結されるという点で、第1実施形態のCVTユニット22とは異なっている。
第1実施形態と第7実施形態との類似点を考慮して、第7実施形態において第1実施形態の部材と同一の部材には同じ参照符号を付している。また、第7実施形態において、第1実施形態の部材と機能的に同一、または実質的に同一である部材には、同じ参照符号であるが、「600」を加算した参照符号を付している。いずれの場合も、説明の簡略化のために、第1実施形態の部材と同一部材の説明を省略する。
図12に示すように、ハブアセンブリ612は基本的に、CVTユニット622と、上流側遊星ギアユニット632と、を有する。上流側遊星ギアユニット632は第1実施形態の上流側遊星ギアユニット32と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット632の説明は簡略化のために最小限に留める。上流側遊星ギアユニット632は、基本的に、上流側太陽ギア650と、複数の上流側遊星ギア652と、上流側リングギア654と、上流側遊星ギアキャリア656と、を有する。上流側太陽ギア650は、リアスプロケット24に連結される駆動部628に固定される。本実施形態において、上流側遊星ギアユニット632は、4つの上流側遊星ギア652を有する(2つのみを図12に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、上流側遊星ギア652の数を変更することができる。上流側遊星ギア652のそれぞれは、小径及び大径ギア部分670、672を有する。
上流側リングギア654は基本的に筒状部材である。上流側リングギア654は第1及び第2上流側リングギア部分654a,654bを有する。第1及び第2上流側リングギア部分654a,654bは径方向内側に延設されるギア歯を有する。第1上流側リングギア部分654aは上流側遊星ギア652の大径ギア部分672と噛み合う。第2上流側リングギア部分654bは、CVTユニット622に回転力を伝達するよう、CVTユニット622に機能的に連結される。本実施形態において、第2上流側リングギア部分654bは内歯歯車を有する。しかしながら、第2上流側リングギア部分654bは、内歯歯車の代わりにCVTユニット622と噛み合うセレーションまたはスプラインを有することもできる。
CVTユニット622は、基本的に、リングローラ658と、複数の第1円錐状遊星ローラ660と、第1ローラキャリア662(例えば第1キャリア)と、太陽ローラ664と、を有する。具体的には、本実施形態において、CVTユニット622は4つの第1円錐状遊星ローラ660を有する(2つのみを図12に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、第1円錐状遊星ローラ660の数を変更することができる。
太陽ローラ664はハブシャフト26に機能的に支持される。具体的には、太陽ローラ664はハブシャフト26に回転可能に支持される。さらに、太陽ローラ664は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿って移動可能であり、第1円錐状遊星ローラ660と摩擦によって係合する。太陽ローラ664が単一の太陽ローラ部を有することと、太陽ローラ664が上流側遊星ギアユニット632を介して駆動部628に機能的に連結されること以外、太陽ローラ664は第1実施形態の太陽ローラ64と実質的に同一である。したがって、太陽ローラ664の説明は簡略化のために最小限に留める。太陽ローラ664は、第1実施形態の第1太陽ローラ部86と実質的に同一である第1太陽ローラ部686を有する。さらに、太陽ローラ664は太陽ローラ664の外周面の外側に延設されるギア歯664aを有する。太陽ローラ664のギア歯664aは第2上流側リングギア部分654bのギア歯と軸方向に摺動可能に噛合し、これにより、太陽ローラ664が上流側リングギア654から回転力を受ける。第1太陽ローラ部686は第1円錐状遊星ローラ660と摩擦によって係合する。第1太陽ローラ部686はギア歯を有さない。
第1円錐状遊星ローラ660は第1ローラキャリア662に回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ660は、第2実施形態の第2円錐状遊星ローラ166と実質的に同一であり、第2実施形態の第2円錐状遊星ローラ166と同様に配置される。したがって、第1円錐状遊星ローラ660の説明は簡略化のために最小限に留める。第1円錐状遊星ローラ660はリングローラ658及び太陽ローラ664と摩擦によって係合する。複数の第1円錐状遊星ローラ660は互いに実質的に同一である。第1円錐状遊星ローラ660のそれぞれは、第2実施形態の第1及び第2摩擦係合部182,184とそれぞれ実質的に同一である第1及び第2摩擦係合部682,684を有する。第1及び第2摩擦係合部682,684はリングローラ658と太陽ローラ664とそれぞれ摩擦によって係合している。第1及び第2摩擦係合部682,684はギア歯を有さない。
第1ローラキャリア662は、軸方向配置以外、第1実施形態の第1ローラキャリア62と実質的に同一である。したがって、第1ローラキャリア662の説明は簡略化のために最小限に留める。第1ローラキャリア662はハブシャフト26に機能的に支持される。特に、第1ローラキャリア662はハブシャフト26に移動不能に装着される。第1円錐状遊星ローラ660は、ハブシャフト26回りに第1ローラキャリア662上の周方向に等間隔で配置される。第1円錐状遊星ローラ660は、第1ローラキャリア662に第1円錐状遊星ローラ660の回転軸R3(例えば第1回転軸)回りに回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ660の回転軸R3のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R3のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第1軸方向X1に沿って増加するよう、回転軸R3は構成される。
リングローラ658は、ハブシャフト26に機能的に支持され、一方向クラッチ104を介してハブシェル30に機能的に連結される。具体的には、リングローラ658はハブシャフト26に回転可能に支持される。リングローラ658は第1リングローラ部678を有する。第1リングローラ部678は第1円錐状遊星ローラ660と摩擦によって係合する。リングローラ658が単一のリングローラ部をのみ有することと、リングローラ658が一方向クラッチ104の内周部に連結されること以外、リングローラ658は第1実施形態のリングローラ58と実質的に同一である。
以上のようなCVTユニット622の構成により、第1円錐状遊星ローラ660の第1及び第2摩擦係合部682,684が、リングローラ658の第1リングローラ部678及び太陽ローラ664の第1太陽ローラ部686とそれぞれ摩擦によって係合する。
さらに図12を参照して、ハブアセンブリ612の動力伝達経路を詳細に説明する。まず、リアスプロケット24が、チェーン20を介してフロントスプロケット18から回転力を受ける(図1参照)。この回転力により、リアスプロケット24が中心軸R1回りに進行回転方向に回転し、これにより、駆動部628が上流側遊星ギアユニット632の上流側太陽ギア650とともに中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。上流側遊星ギアユニット632は、駆動部628から回転力を受けて、中心軸R1回りに逆回転方向に上流側リングギア654を回転させる。上流側遊星ギアユニット632は第1実施形態の上流側遊星ギアユニット32と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット632を介した回転力の伝達の説明は簡略化のために省略する。
CVTユニット622は、太陽ローラ664から回転力を受けて、第1円錐状遊星ローラ660を介してリングローラ458に回転力を伝達する。具体的には、CVTユニット622は、太陽ローラ664からの中心軸R1回りの逆回転方向の回転力を受けて、リングローラ658に回転力を伝達し、これにより、リングローラ658が中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。言いかえれば、CVTユニット622は、太陽ローラ664の入力回転方向(つまり逆回転方向)を逆転させる。具体的には、太陽ローラ664は上流側リングギア654からの回転力を受ける。一方、第1円錐状遊星ローラ660の第2摩擦係合部684のそれぞれは、太陽ローラ664と摩擦によって係合する。したがって、太陽ローラ664からの回転力により、第1円錐状遊星ローラ660が回転軸R3回りに回転し、リングローラ658が中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。リングローラ658は、太陽ローラ664の第1太陽ローラ部686の軸方向位置(つまり第2接触C2の軸方向位置)に応じた回転速度で、中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。リングローラ658はハブシェル30に機能的に連結される。したがって、リングローラ658は、さらに一方向クラッチ104を介してハブシェル30に回転力を伝達する。本実施形態においては、図12に示すように、ハブアセンブリ612は動力伝達経路にカムローダを有さない。しかしながら、任意選択的にあるいは追加的に、リングローラ658がカムローダ94を介してハブシェル30に回転力を伝達するよう、ハブアセンブリ612は動力伝達経路にカムローダ94を有することもできる。
変速機構96が、太陽ローラ664の軸方向位置を第1位置(図3に示す)と第2位置(図5に示す)との間で中間位置(図4に示す)を通ってハブシャフト26の中心軸R1に沿って連続的に変更する。太陽ローラ664が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第2摩擦係合部684と太陽ローラ664の第1太陽ローラ部684との間の第2接触C2における第1円錐状遊星ローラ660の第2摩擦係合部686の第2有効径D2(あるいは、係合半径)は次第に増加する。第2摩擦係合部684における第2接触C2のこの移動により、リングローラ658と太陽ローラ664との間の有効径方向距離が変更され、これにより、CVTユニット622のギア比が変更される。具体的には、第2接触C2のこの軸方向移動により、第1円錐状遊星ローラ660のギア比がそれぞれ連続的に変化し、これにより、ハブアセンブリ612のギア比が連続的に変更される。
第8実施形態
次に図13を参照して、第8実施形態による無段変速機ユニット722(以下に「CVTユニット722」)を有するハブアセンブリ712を説明する。第8実施形態のCVTユニット722は、基本的にCVTユニット722が単一の円錐状遊星ローラ及び単一のローラキャリアのみを有し、CVTユニット722の太陽ローラが駆動部から回転力を受けるよう駆動部に機能的に連結され、CVTの第1ローラキャリアがハブシェル30を回転させるようハブシェル30に機能的に連結されるという点で、第1実施形態のCVTユニット22とは異なっている。
第1実施形態と第8実施形態との類似点を考慮して、第8実施形態において第1実施形態の部材と同一の部材には同じ参照符号を付している。また、第8実施形態において、第1実施形態の部材と機能的に同一、または実質的に同一である部材には、同じ参照符号であるが、「700」を加算した参照符号を付している。いずれの場合も、説明の簡略化のために、第1実施形態の部材と同一の部材の説明を省略する。
図13に示すように、ハブアセンブリ712は基本的に、CVTユニット722と、上流側遊星ギアユニット732と、を有する。上流側遊星ギアユニット732は、第5実施形態の上流側遊星ギアユニット432と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット732の説明は簡略化のために最小限に留める。上流側遊星ギアユニット732は、基本的に、上流側太陽ギア750と、複数の上流側遊星ギア752と、上流側リングギア754と、上流側遊星ギアキャリア756と、を有する。上流側遊星ギアキャリア756は、リアスプロケット24に連結される駆動部728に固定される。本実施形態において、上流側遊星ギアユニット732は4つの上流側遊星ギア752を有する(2つのみを図13に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、上流側遊星ギア752の数を変更することができる。上流側遊星ギア752のそれぞれは小径及び大径ギア部分770、772を有する。
上流側リングギア754は基本的に筒状部材である。上流側リングギア754は第1及び第2上流側リングギア部分754a,754bを有する。第1及び第2上流側リングギア部分754a,754bは径方向内側に延設されるギア歯を有する。第1上流側リングギア部分754aは上流側遊星ギア752の大径ギア部分772と噛み合う。第2上流側リングギア部分754bは、CVTユニット722に回転力を伝達するよう、CVTユニット722に機能的に連結される。本実施形態において、第2上流側リングギア部分754bは内歯歯車を有する。しかしながら、第2上流側リングギア部分754bは、内歯歯車の代わりにCVTユニット722と噛み合うセレーションまたはスプラインを有することもできる。
CVTユニット722は、基本的に、リングローラ758と、複数の第1円錐状遊星ローラ760と、第1ローラキャリア762(例えば第1キャリア)と、太陽ローラ764と、を有する。具体的には、本実施形態において、CVTユニット722は4つの第1円錐状遊星ローラ760を有する(2つのみを図13に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、第1円錐状遊星ローラ760の数を変更することができる。
太陽ローラ764はハブシャフト26に機能的に支持される。具体的には、太陽ローラ764はハブシャフト26に回転可能に支持される。さらに、太陽ローラ764は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿って移動可能であえい、第1円錐状遊星ローラ760と摩擦によって係合する。太陽ローラ764が単一の太陽ローラ部を有することと、太陽ローラ764が上流側遊星ギアユニット728を介して駆動部732に機能的に連結されること以外、太陽ローラ764は第1実施形態の太陽ローラ64と実質的に同一である。したがって、太陽ローラ764の説明は簡略化のために最小限に留める。太陽ローラ764は、第1実施形態の第1太陽ローラ部86と実質的に同一である第1太陽ローラ部786を有する。さらに、太陽ローラ764は太陽ローラ764の外周面の外側に延設されるギア歯764aを有する。太陽ローラ764のギア歯764aは第2上流側リングギア部分754bのギア歯と軸方向に摺動可能に噛合し、これにより、太陽ローラ764が上流側リングギア754から回転力を受ける。第1太陽ローラ部786は第1円錐状遊星ローラ760と摩擦によって係合する。第1太陽ローラ部786はギア歯を有さない。
リングローラ758はハブシャフト26に固定して回転不能に支持される。具体的には、リングローラ758はフレーム部714に形成される。フレーム部714は、円筒状インナーシェル714aとケーシング部714bとを有する。フレーム部714は、第6実施形態のフレーム部514と実質的に同一である。インナーシェル714aは、ハブシェル30の内周面に沿って軸方向に延びる。リングローラ758は、インナーシェル714aの一方の軸方向端部においてインナーシェル714aの内周面に形成される。インナーシェル714aは、インナーシェル714aとハブシェル30の間で配置される軸受アッセンブリ38a,38bによってハブシェル30を回転可能に支持する。ケーシング部714bは、ハブシェル30の外部に配置されるとともに、インナーシェル714aに固定される。さらに、ケーシング部714bはハブシャフト26及びフレーム14に固定される。ケーシング部714bはリアスプロケット24を覆う。駆動部728は、ケーシング部714bと駆動部728との間で配置される軸受アッセンブリ38cによってケーシング部714bに対して回転可能に支持される。リングローラ758は第1リングローラ部778を有する。第1リングローラ部778は第1円錐状遊星ローラ760と摩擦によって係合する。リングローラ758が単一のリングローラ部をのみ有することと、リングローラ758がフレーム部714上に形成されること以外、リングローラ758は第1実施形態のリングローラ58と実質的に同一である。第1リングローラ部778はギア歯を有さない。
第1円錐状遊星ローラ760は第1ローラキャリア762に回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ760は、第2実施形態の第2円錐状遊星ローラ166と実質的に同一であり、第2実施形態の第2円錐状遊星ローラ166と同様に配置される。したがって、第1円錐状遊星ローラ760の説明は簡略化のために最小限に留める。第1円錐状遊星ローラ760はリングローラ758及び太陽ローラ764と摩擦によって係合する。第1ローラキャリア762は、軸方向配置以外、第6実施形態の第1ローラキャリア562と実質的に同一である。したがって、第1ローラキャリア762の説明は簡略化のために最小限に留める。第1ローラキャリア762はハブシャフト26に機能的に支持される。特に、第1ローラキャリア762はハブシャフト26回りに回転可能に装着される。第1ローラキャリア762は、さらに一方向クラッチ104を介してハブシェル30に機能的に連結される。特に、第1ローラキャリア762は出力部762aを有する。第1ローラキャリア762の出力部762aは、ハブシェル30に回転力を伝達するよう、一方向クラッチ104に連結される。第1円錐状遊星ローラ760は、ハブシャフト26回りに第1ローラキャリア762上の周方向に等間隔で配置される。第1円錐状遊星ローラ760は、第1ローラキャリア762に従来と同様に第1円錐状遊星ローラ760の回転軸R3(例えば第1回転軸)回りに回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ760の回転軸R3のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R3のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第1軸方向X1に沿って増加するよう、回転軸R3は構成される。複数の第1円錐状遊星ローラ760は互いに実質的に同一である。第1円錐状遊星ローラ760のそれぞれは、第2実施形態の第1及び第2摩擦係合部182,184とそれぞれ実質的に同一である第1及び第2摩擦係合部782,784を有する。第1及び第2摩擦係合部782,784は、リングローラ758と太陽ローラ764とそれぞれ摩擦によって係合している。第1及び第2摩擦係合部782,784はギア歯を有さない。
以上のようなCVTユニット722の構成により、第1円錐状遊星ローラ760の第1及び第2摩擦係合部782,784が、リングローラ758の第1リングローラ部778及び太陽ローラ764の第1太陽ローラ部786とそれぞれ摩擦によって係合する。
さらに図13を参照して、ハブアセンブリ712の動力伝達経路を詳細に説明する。まず、リアスプロケット24が、チェーン20を介してフロントスプロケット18から回転力を受ける(図1参照)。この回転力により、リアスプロケット24が中心軸R1回りに進行回転方向に回転し、これにより、駆動部728が上流側遊星ギアユニット732の上流側太陽ギア750とともに中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。上流側遊星ギアユニット732は、駆動部728から回転力を受けて、中心軸R1回りに進行回転方向に上流側リングギア754を回転させる。上流側遊星ギアユニット732は第2実施形態の上流側遊星ギアユニット132と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット732を介した回転力の伝達の説明は簡略化のために省略する。
CVTユニット722は、太陽ローラ764から回転力を受けて、第1円錐状遊星ローラ760を介して第1ローラキャリア762に回転力を伝達する。具体的には、CVTユニット722は、太陽ローラ764からの中心軸R1回りの進行回転方向の回転力を受けて、第1ローラキャリア762に回転力を伝達し、これにより、第1ローラキャリア762が中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。具体的には、太陽ローラ764は上流側リングギア754からの回転力を受ける。一方、第1円錐状遊星ローラ760の第1摩擦係合部782のそれぞれは、リングローラ758と摩擦によって係合する。したがって、太陽ローラ764からの回転力は、太陽ローラ764回りに進行回転方向に第1円錐状遊星ローラ760を回転させ、同時に第1円錐状遊星ローラ760は回転軸R3回りに回転し、この結果、中心軸R1回りに進行回転方向に第1ローラキャリア762が回転する。第1ローラキャリア762は、太陽ローラ764の第1太陽ローラ部786の軸方向位置(つまり第2接触C2の軸方向位置)に応じた回転速度で、中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。第1ローラキャリア762はハブシェル30に機能的に連結される。したがって、第1ローラキャリア762は、さらに一方向クラッチ104を介してハブシェル30に回転力を伝達する。本実施形態においては、図13に示すように、ハブアセンブリ712は動力伝達経路にカムローダを有さない。しかしながら、任意選択的にあるいは追加的に、第1ローラキャリア762がカムローダ94を介してハブシェル30に回転力を伝達するよう、ハブアセンブリ712は動力伝達経路にカムローダ94を有することもできる。
変速機構96が、太陽ローラ764の軸方向位置を第1位置(図3に示す)と第2位置(図5に示す)との間で中間位置(図4に示す)を通ってハブシャフト26の中心軸R1に沿って連続的に変更する。太陽ローラ764が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第2摩擦係合部784と太陽ローラ764の第1太陽ローラ部784との間の第2接触C2における第1円錐状遊星ローラ760の第2摩擦係合部786の第2有効径D2(あるいは、係合半径)は次第に増加する。第2摩擦係合部784における第2接触C2のこの移動により、リングローラ758と太陽ローラ764との間の有効径方向距離が変更され、これにより、CVTユニット722のギア比が変更される。具体的には、第2接触C2のこの軸方向移動により、第1円錐状遊星ローラ760のギア比がそれぞれ連続的に変化し、これにより、ハブアセンブリ712のギア比が連続的に変更される。
本実施形態においては、リングローラ758は、フレーム部714に形成され、第1円錐状遊星ローラ760回りに配置される。しかしながら、リングローラ758を、ハブシャフト26に固定される円錐体ローラとして形成することもできる。この場合、リングローラ758は、ハブシャフト26の中心軸R1に向いている第1摩擦係合部782の径方向内側部で第1摩擦係合部782と摩擦によって係合する。
第9実施形態
次に図14を参照して、第9実施形態による無段変速機ユニット822(以下に「CVTユニット822」)を有するハブアセンブリ812を説明する。CVTユニット822は基本的に、CVTユニット822の太陽ローラがハブシャフト26に回転不能に連結されており、CVTユニット822の第1ローラキャリアが駆動部からの回転力を受けるよう駆動部に機能的に連結される点で、第2実施形態のCVTユニット122とは異なっている。
第1実施形態と第9実施形態との類似点を考慮して、第9実施形態において第1実施形態の部材と同一の部材には同じ参照符号を付している。また、第9実施形態において、第1実施形態の部材と機能的に同一、または実質的に同一である部材には、同じ参照符号であるが、「800」を加算した参照符号を付している。いずれの場合も、説明の簡略化のために、第1実施形態のパーツと同一の部材の説明を省略する。
図14に示すように、ハブアセンブリ812は基本的に、CVTユニット822と、上流側遊星ギアユニット832と、を有する。上流側遊星ギアユニット832は第5実施形態の上流側遊星ギアユニット432と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット832の説明は簡略化のために最小限に留める。上流側遊星ギアユニット832は、基本的に、上流側太陽ギア850と、複数の上流側遊星ギア852と、上流側リングギア854と、上流側遊星ギアキャリア856と、を有する。上流側遊星ギアキャリア856は、リアスプロケット24に連結される駆動部828に固定される。本実施形態において、上流側遊星ギアユニット832は4つの上流側遊星ギア852を有する(2つのみを図14に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、上流側遊星ギア852の数を変更することができる。上流側遊星ギア852のそれぞれは小径及び大径ギア部分870,872を有する。
上流側リングギア854は基本的に筒状部材である。上流側リングギア854は第1及び第2上流側リングギア部分854a,854bを有する。第1及び第2上流側リングギア部分854a,854bは径方向内側に延設されるギア歯を有する。第1上流側リングギア部分854aは上流側遊星ギア852の大径ギア部分872と噛み合う。第2上流側リングギア部分854bは、CVTユニット822に回転力を伝達するよう、CVTユニット822に機能的に連結される。本実施形態において、第2上流側リングギア部分854bは内歯歯車を有する。しかしながら、あるいは、第2上流側リングギア部分854bは、内歯歯車の代わりにCVTユニット822と噛み合うセレーションまたはスプラインを有することもできる。
CVTユニット822は、基本的に、リングローラ858と、複数の第1円錐状遊星ローラ860と、第1ローラキャリア862(例えば第1キャリア)と、太陽ローラ864と、を有する。CVTユニット822は、さらに、複数の第2円錐状遊星ローラ866と、第2ローラキャリア868(例えば第2キャリア)と、を有する。具体的には本実施形態において、CVTユニット822は、4つの第1円錐状遊星ローラ860(2つのみを図14に示す)と、4つの第2円錐状遊星ローラ866(2つのみを図14に示す)と、を有する。しかしながら、第1円錐状遊星ローラ860及び第2円錐状遊星ローラ866の数は、必要に応じてあるいは所望により変更することができる。
第1ローラキャリア862はハブシャフト26に機能的に支持される。特に、第1ローラキャリア862はハブシャフト26回りに回転可能に装着される。第1ローラキャリア862は、さらに上流側リングギア854に機能的に連結される。特に、第1ローラキャリア862は第1ローラキャリア862の外周面の外側に延設されるギア歯862aを有する。第1ローラキャリア862のギア歯862aは第2上流側リングギア部分854bのギア歯と噛合し、これにより、第1ローラキャリア862が上流側リングギア854からの回転力を受ける。第1円錐状遊星ローラ860はハブシャフト26回りに第1ローラキャリア862上の周方向に等間隔で配置される。第1円錐状遊星ローラ860は、第1ローラキャリア862に従来と同様に第1円錐状遊星ローラ860の回転軸R3(例えば第1回転軸)回りに回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ860の回転軸R3のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R3のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第1軸方向X1に沿って減少するよう、回転軸R3は構成される。複数の第1円錐状遊星ローラ860は互いに実質的に同一である。第1円錐状遊星ローラ860は、第2実施形態の第1円錐状遊星ローラ160と実質的に同一であり、第2実施形態の第1円錐状遊星ローラ160と同様に配置される。したがって、第1円錐状遊星ローラ860の説明は簡略化のために最小限に留める。第1円錐状遊星ローラ860のそれぞれは、第2実施形態の第1及び第2摩擦係合部182,184とそれぞれ実質的に同一である第1及び第2摩擦係合部882、884を有する。第1及び第2摩擦係合部882,884は、リングローラ858と太陽ローラ864とそれぞれ摩擦によって係合している。第1及び第2摩擦係合部882,884はギア歯を有さない。
リングローラ858はハブシャフト26に機能的に支持される。具体的には、リングローラ858はハブシャフト26に回転可能に支持される。リングローラ858は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿ったリングローラ858の軸方向離間位置に第1及び第2リングローラ部878,880を有する。第1及び第2リングローラ部878,880は、第1及び第2円錐状遊星ローラ860,866とそれぞれ摩擦によって係合する。リングローラ858が上流側リングギア854から独立した別部材として形成される以外、リングローラ858は第2実施形態のリングローラ158と実質的に同一である。第1リングローラ部878の内径は第2リングローラ部880の内径より小さい。第1及び第2リングローラ部878,880はギア歯を有さない。
太陽ローラ864はハブシャフト26に機能的に支持される。具体的には、太陽ローラ864はハブシャフト26に回転不能に支持される。さらに、太陽ローラ864は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿って移動可能であり、第1及び第2円錐状遊星ローラ860,866と摩擦によって係合する。太陽ローラ864がハブシャフト26に回転不能に連結される以外、太陽ローラ864は第2実施形態の太陽ローラ164と実質的に同一である。したがって、太陽ローラ864の説明は簡略化のために最小限に留める。太陽ローラ864は、第2実施形態の第1及び第2太陽ローラ部188,188と実質的に同一である第1及び第2太陽ローラ部886,888を有する。第1及び第2太陽ローラ部886,888は第1及び第2円錐状遊星ローラ860,866とそれぞれ摩擦によって係合する。第1及び第2太陽ローラ部886,888はギア歯を有さない。
第2円錐状遊星ローラ866は第2ローラキャリア868に回転可能に支持される。第2円錐状遊星ローラ866はリングローラ858及び太陽ローラ864と摩擦によって係合する。第2ローラキャリア868は第2実施形態の第2ローラキャリア168と実質的に同一である。したがって、第2ローラキャリア868の説明は簡略化のために最小限に留める。第2ローラキャリア868はハブシャフト26に機能的に支持される。特に、第2ローラキャリア868はハブシャフト26回りに回転可能に装着される。第2ローラキャリア868は、さらにハブシェル30に機能的に連結される。第2円錐状遊星ローラ866は、ハブシャフト26回りに第2ローラキャリア868上の周方向に等間隔で配置される。第2円錐状遊星ローラ866は、第2ローラキャリア868に従来と同様に第2円錐状遊星ローラ866の回転軸R4(例えば第2回転軸)回りに回転可能に支持される。第2円錐状遊星ローラ866の回転軸R4のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R4のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第2軸方向X2に沿って減少するよう、回転軸R4は構成される。複数の第2円錐状遊星ローラ866は互いに実質的に同一である。さらに、第2円錐状遊星ローラ866は、第2実施形態の第2円錐状遊星ローラ166と実質的に同一であり、第2実施形態の第2円錐状遊星ローラ166と同様に配置される。したがって、第2円錐状遊星ローラ866の説明は簡略化のために最小限に留める。第2円錐状遊星ローラ866は、第2実施形態の第3及び第4摩擦係合部190,192とそれぞれ実質的に同一である第3及び第4摩擦係合部890,892を有する。第3及び第4摩擦係合部890,892はリングローラ858と太陽ローラ864とそれぞれ摩擦によって係合している。第3及び第4摩擦係合部890,892はギア歯を有さない。
以上のようなCVTユニット822の構成により、第1円錐状遊星ローラ860の第1及び第2摩擦係合部882,884が、リングローラ858の第1リングローラ部878及び太陽ローラ864の第1太陽ローラ部886とそれぞれ摩擦によって係合する。第2円錐状遊星ローラ866の第1及び第2摩擦係合部890,892が、リングローラ858の第2リングローラ部880及び太陽ローラ864の第2太陽ローラ部888とそれぞれ摩擦によって係合する。
さらに図14を参照して、ハブアセンブリ812の動力伝達経路を詳細に説明する。まず、リアスプロケット24が、チェーン20を介してフロントスプロケット18から回転力を受ける(図1参照)。この回転力により、リアスプロケット24が中心軸R1回りに進行回転方向に回転し、これにより、駆動部828が上流側遊星ギアユニット832の上流側遊星ギアキャリア856とともに中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。上流側遊星ギアユニット832は、駆動部828から回転力を受けて、中心軸R1回りに進行回転方向に上流側リングギア854を回転させる。上流側遊星ギアユニット832は第2実施形態の上流側遊星ギアユニット132と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット832を介した回転力の伝達の説明は簡略化のために省略する。
CVTユニット822は、第1ローラキャリア862から回転力を受けて、第1円錐状遊星ローラ860、リングローラ858及び第2円錐状遊星ローラ866を介して第2ローラキャリア868に回転力を伝達する。具体的には、CVTユニット822は、第1ローラキャリア862からの中心軸R1回りの進行回転方向の回転力を受けて、第2ローラキャリア868に回転力を伝達し、これにより、第2ローラキャリア868が中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。具体的には、第1ローラキャリア862は上流側リングギア854からの回転力を受ける。一方、第1円錐状遊星ローラ860の第2摩擦係合部884のそれぞれは、太陽ローラ864と摩擦によって係合する。したがって、第1ローラキャリア862からの回転力は、太陽ローラ864回りに進行回転方向に第1円錐状遊星ローラ860を回転させ、同時に第1円錐状遊星ローラ860は回転軸R3回りに回転し、この結果、太陽ローラ864の第1太陽ローラ部886の軸方向位置(つまり第2接触C2の軸方向位置)に応じた回転速度で中心軸R1回りに進行回転方向にリングローラ858が回転する。さらに、第2円錐状遊星ローラ866の第3摩擦係合部890のそれぞれは、リングローラ858の第2リングローラ部880からの回転力を受ける。一方、第2円錐状遊星ローラ866の第4摩擦係合部892のそれぞれは、太陽ローラ864と摩擦によって係合する。したがって、リングローラ858の第2リングローラ部880からの回転力は、第2太陽ローラ部888回りに進行回転方向に第2円錐状遊星ローラ866を回転させ、この結果、中心軸R1回りに進行回転方向に第2ローラキャリア868が回転する。第2ローラキャリア868は、太陽ローラ864の第2太陽ローラ部888の軸方向位置(つまり第4接触C4の軸方向位置)に応じた回転速度で、中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。第2ローラキャリア868はハブシェル30に機能的に連結される。したがって、第2ローラキャリア868は、さらに出力プレート98及び一方向クラッチ104を有するカムローダ94を介してハブシェル30へ回転力を伝達する。
変速機構96が、太陽ローラ864の軸方向位置を第1位置(図3に示す)と第2位置(図5に示す)との間で中間位置(図4に示す)を通ってハブシャフト26の中心軸R1に沿って連続的に変更する。太陽ローラ864が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第2摩擦係合部884と太陽ローラ864の第1太陽ローラ部886との間の第2接触C2における第1円錐状遊星ローラ860の第2摩擦係合部884の第2有効径D2(あるいは、係合半径)は次第に減少する。太陽ローラ864が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第4摩擦係合部892と太陽ローラ864の第2太陽ローラ部888との間の第4接触C4における第2円錐状遊星ローラ866の第4摩擦係合部892の第4有効径D4(あるいは、係合半径)は次第に増加する。第2及び第4摩擦係合部884、892における第2及び第4接触C2,C4のこれらの軸方向移動により、リングローラ858と太陽ローラ864との間の有効径方向距離が変更され、これにより、CVTユニット822のギア比が変更される。具体的には、第2及び第4接触C2,C4のこれらの軸方向移動により、第1及び第2円錐状遊星ローラ860,866のギア比がそれぞれ連続的に変化し、これにより、ハブアセンブリ812のギア比が連続的に変更される。
第10実施形態
次に図15を参照して、第10実施形態による無段変速機ユニット922(以下に「CVTユニット922」)を有するハブアセンブリ912を説明する。CVTユニット922は基本的に、CVTユニット922のリングローラがハブシャフト26に回転不能に連結されており、CVTユニット922の第1ローラキャリアが駆動部からの回転力を受けるよう駆動部に機能的に連結される点で、第2実施形態のCVTユニット122とは異なっている。したがって、CVTユニット922の説明は簡略化のために最小限に留める。
第1実施形態と第10実施形態との類似点を考慮して、第10実施形態において第1実施形態の部材と同一の部材には同じ参照符号を付している。また、第10実施形態において、第1実施形態の部材と機能的に同一、または実質的に同一である部材には、同じ参照符号であるが、「900」を加算した参照符号を付している。いずれの場合も、説明の簡略化のために、第1実施形態の部材と同一の部材の説明を省略する。
図15に示すように、ハブアセンブリ912は基本的に、CVTユニット922と、上流側遊星ギアユニット932と、を有する。上流側遊星ギアユニット932は第5実施形態の上流側遊星ギアユニット432と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット932の説明は簡略化のために最小限に留める。上流側遊星ギアユニット932は、基本的に、上流側太陽ギア950と、複数の上流側遊星ギア952と、上流側リングギア954と、上流側遊星ギアキャリア956と、を有する。上流側遊星ギアキャリア956は、リアスプロケット24に連結される駆動部928に固定される。本実施形態において、上流側遊星ギアユニット932は4つの上流側遊星ギア952を有する(2つのみを図15に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、上流側遊星ギア952の数を変更することができる。上流側遊星ギア952のそれぞれは、小径及び大径ギア部分970,972を有する。
上流側リングギア954は基本的に筒状部材である。上流側リングギア954は第1及び第2上流側リングギア部分954a,954bを有する。第1及び第2上流側リングギア部分954a,954bは、径方向内側に延設されるギア歯を有する。第1上流側リングギア部分954aは上流側遊星ギア952の大径ギア部分972と噛み合う。第2上流側リングギア部分954bは、CVTユニット922に回転力を伝達するよう、CVTユニット922に機能的に連結される。本実施形態において、第2上流側リングギア部分954bは内歯歯車を有する。しかしながら、あるいは、第2上流側リングギア部分954bは、内歯歯車の代わりにCVTユニット922と噛み合うセレーションまたはスプラインを有することもできる。
CVTユニット922は、基本的に、リングローラ958と、複数の第1円錐状遊星ローラ960と、第1ローラキャリア962(例えば第1キャリア)と、太陽ローラ964と、を有する。CVTユニット922は、さらに、複数の第2円錐状遊星ローラ966と、第2ローラキャリア968(例えば第2キャリア)と、を有する。具体的には本実施形態において、CVTユニット922は、4つの第1円錐状遊星ローラ960(2つのみを図15に示す)と、4つの第2円錐状遊星ローラ966(2つのみを図15に示す)と、を有する。しかしながら、第1円錐状遊星ローラ960及び第2円錐状遊星ローラ966の数は、必要に応じてあるいは所望により変更することができる。
第1ローラキャリア962はハブシャフト26に機能的に支持される。特に、第1ローラキャリア962はハブシャフト26回りに回転可能に装着される。第1ローラキャリア962は、さらに上流側リングギア954に機能的に連結される。特に、第1ローラキャリア962は、第1ローラキャリア962の外周面の外側に延設されるギア歯962aを有する。第1ローラキャリア962のギア歯962aは第2上流側リングギア部分954bのギア歯と噛合し、これにより、第1ローラキャリア962が上流側リングギア954からの回転力を受ける。第1円錐状遊星ローラ960は、ハブシャフト26回りに第1ローラキャリア962上の周方向に等間隔で配置され、第1ローラキャリア962に第1円錐状遊星ローラ960の回転軸R3(例えば第1回転軸)回りに回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ960の回転軸R3のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R3のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第1軸方向X1に沿って減少するよう、回転軸R3は構成される。複数の第1円錐状遊星ローラ960は互いに実質的に同一である。第1円錐状遊星ローラ960は、第2実施形態の第1円錐状遊星ローラ160と実質的に同一であり、第2実施形態の第1円錐状遊星ローラ160と同様に配置される。したがって、第1円錐状遊星ローラ960の説明は、簡略化のために最小限に留める。第1円錐状遊星ローラ960のそれぞれは、第2実施形態の第1及び第2摩擦係合部182,184とそれぞれ実質的に同一である第1及び第2摩擦係合部982,984を有する。第1及び第2摩擦係合部982,984は、リングローラ958と太陽ローラ964とそれぞれ摩擦によって係合している。第1及び第2摩擦係合部982,984はギア歯を有さない。
リングローラ958はハブシャフト26に固定して回転不能に支持される。具体的には、リングローラ958はフレーム部914に形成される。フレーム部914は、円筒状インナーシェル914aとケーシング部914bとを有する。フレーム部914は、リングローラ958の構成以外、第6実施形態のフレーム部514と実質的に同一である。インナーシェル914aはハブシェル30の内周面に沿って軸方向に延びる。リングローラ958は、インナーシェル914aの一方の軸方向端部においてインナーシェル914aの内周面に形成される。インナーシェル914aは、インナーシェル914aとハブシェル30の間で配置される軸受アッセンブリ38a,38bによってハブシェル30を回転可能に支持する。ケーシング部914bは、ハブシェル30の外部に配置されるとともに、インナーシェル914aに固定される。さらに、ケーシング部914bはハブシャフト26及びフレーム14に固定される。ケーシング部914bはリアスプロケット24を覆う。駆動部928は、ケーシング部914bと駆動部928との間で配置される軸受アッセンブリ38cによってケーシング部914bに対して回転可能に支持される。リングローラ958は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿ったリングローラ958の軸方向離間位置に第1及び第2リングローラ部978,980を有する。第1及び第2リングローラ部978,980は第1及び第2円錐状遊星ローラ960,966とそれぞれ摩擦によって係合する。リングローラ958が上流側リングギア958から独立した別部材として形成されるリングローラ958がフレーム部914に形成される以外、リングローラ954は第2実施形態のリングローラ158と実質的に同一である。第1リングローラ部978の内径は第2リングローラ部980の内径より小さい。第1及び第2リングローラ部978,980はギア歯を有さない。
太陽ローラ964はハブシャフト26に機能的に支持される。具体的には、太陽ローラ964はハブシャフト26に回転可能に支持される。さらに、太陽ローラ964は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿って移動可能であり、第1及び第2円錐状遊星ローラ960,966と摩擦によって係合する。太陽ローラ964は第2実施形態の太陽ローラ164と実質的に同一である。したがって、太陽ローラ964の説明は簡略化のために最小限に留める。太陽ローラ964は、第2実施形態の第1及び第2太陽ローラ部188,188と実質的に同一である第1及び第2太陽ローラ部986,988を有する。第1及び第2太陽ローラ部986,988は、第1及び第2円錐状遊星ローラ960,966とそれぞれ摩擦によって係合する。第1及び第2太陽ローラ部986,988はギア歯を有さない。
第2円錐状遊星ローラ966は、第2ローラキャリア968に回転可能に支持され、リングローラ958及び太陽ローラ964と摩擦によって係合する。第2ローラキャリア968は第2実施形態の第2ローラキャリア168と実質的に同一である。したがって、第2ローラキャリア968の説明は簡略化のために最小限に留める。第2ローラキャリア968はハブシャフト26に機能的に支持される。特に、第2ローラキャリア968はハブシャフト26回りに回転可能に装着される。第2ローラキャリア968はさらにハブシェル30に機能的に連結される。第2円錐状遊星ローラ966は、ハブシャフト26回りに第2ローラキャリア968上の周方向に等間隔で配置され、第2ローラキャリア968に第2円錐状遊星ローラ966の回転軸R4(例えば第2回転軸)回りに回転可能に支持される。第2円錐状遊星ローラ966の回転軸R4のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R4のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第2軸方向X2に沿って減少するよう、回転軸R4は構成される。複数の第2円錐状遊星ローラ966は互いに実質的に同一である。さらに、第2円錐状遊星ローラ966は、第2実施形態の第2円錐状遊星ローラ166と実質的に同一であり、第2実施形態の第2円錐状遊星ローラ166と同様に配置される。したがって、第2円錐状遊星ローラ966の説明は簡略化のために最小限に留める。第2円錐状遊星ローラ966は、第2実施形態の第3及び第4摩擦係合部190,192とそれぞれ実質的に同一である第3及び第4摩擦係合部990,992を有する。第3及び第4摩擦係合部990,992はリングローラ958と太陽ローラ964とそれぞれ摩擦によって係合している。第3及び第4摩擦係合部990,992はギア歯を有さない。
以上のようなCVTユニット922の構成により、第1円錐状遊星ローラ960の第1及び第2摩擦係合部982,984が、リングローラ958の第1リングローラ部978及び太陽ローラ964の第1太陽ローラ部986とそれぞれ摩擦によって係合する。第2円錐状遊星ローラ966の第1及び第2摩擦係合部990,992が、リングローラ958の第2リングローラ部980及び太陽ローラ964の第2太陽ローラ部988とそれぞれ摩擦によって係合する。
さらに図15を参照して、ハブアセンブリ912の動力伝達経路を詳細に説明する。まず、リアスプロケット24が、チェーン20を介してフロントスプロケット18から回転力を受ける(図1参照)。この回転力により、リアスプロケット24が中心軸R1回りに進行回転方向に回転し、これにより、駆動部928が上流側遊星ギアユニット932の上流側遊星ギアキャリア956とともに中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。上流側遊星ギアユニット932は、駆動部928から回転力を受けて、中心軸R1回りに進行回転方向に上流側リングギア954を回転させる。上流側遊星ギアユニット932は第2実施形態の上流側遊星ギアユニット132と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット932を介した回転力の伝達の説明は簡略化のために省略する。
CVTユニット922は、第1ローラキャリア962から回転力を受けて、第1円錐状遊星ローラ960、太陽ローラ964及び第2円錐状遊星ローラ966を介して第2ローラキャリア968に回転力を伝達する。具体的には、CVTユニット922は、第1ローラキャリア962からの中心軸R1回りの進行回転方向の回転力を受けて、第2ローラキャリア968に回転力を伝達し、これにより、第2ローラキャリア968が中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。具体的には、第1ローラキャリア962は、回転入力として上流側リングギア954からの回転力を受ける。一方、第1円錐状遊星ローラ960の第1摩擦係合部982のそれぞれは、リングローラ958と摩擦によって係合する。したがって、第1ローラキャリア962からの回転力は、太陽ローラ964回りに進行回転方向に第1円錐状遊星ローラ960を回転させ、同時に第1円錐状遊星ローラ960は回転軸R3回りに回転し、この結果、太陽ローラ964の第1太陽ローラ部986の軸方向位置(つまり第2接触C2の軸方向位置)に応じた回転速度で中心軸R1回りに進行回転方向に太陽ローラ964が回転する。さらに、第2円錐状遊星ローラ966の第4摩擦係合部992のそれぞれは、太陽ローラ964の第2太陽ローラ部988からの回転力を受ける。一方、第2円錐状遊星ローラ966の第3摩擦係合部990のそれぞれは第2リングローラ部980と摩擦によって係合する。したがって、太陽ローラ964の第2太陽ローラ部988からの回転力は、第2太陽ローラ部988回りに進行回転方向に第2円錐状遊星ローラ966を回転させ、この結果、中心軸R1回りに進行回転方向に第2ローラキャリア968が回転する。第2ローラキャリア968は、太陽ローラ964の第2太陽ローラ部988の軸方向位置(つまり第4接触C4の軸方向位置)に応じた回転速度で、中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。第2ローラキャリア968はハブシェル30に機能的に連結される。したがって、第2ローラキャリア968は、さらに出力プレート98及び一方向クラッチ104を有するカムローダ94を介してハブシェル30へ回転力を伝達する。
変速機構96が、太陽ローラ964の軸方向位置を第1位置(図3に示す)と第2位置(図5に示す)との間で中間位置(図4に示す)を通ってハブシャフト26の中心軸R1に沿って連続的に変更する。太陽ローラ964が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第2摩擦係合部984と太陽ローラ964の第1太陽ローラ部986との間の第2接触C2における第1円錐状遊星ローラ960の第2摩擦係合部984の第2有効径D2(あるいは、係合半径)は次第に減少する。太陽ローラ964が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第4摩擦係合部992と太陽ローラ964の第2太陽ローラ部988との間の第4接触C4における第2円錐状遊星ローラ966の第4摩擦係合部992の第4有効径D4(あるいは、係合半径)は次第に増加する。第2及び第4摩擦係合部984、992における第2及び第4接触C2,C4のこれらの軸方向移動により、リングローラ958と太陽ローラ964との間の有効径方向距離が変更され、これにより、CVTユニット922のギア比が変更される。具体的には、第2及び第4接触C2,C4のこれらの軸方向移動により、第1及び第2円錐状遊星ローラ960,966のギア比がそれぞれ連続的に変化し、これにより、ハブアセンブリ912のギア比が連続的に変更される。
本実施形態においては、リングローラ958は、フレーム部914に形成され、第1及び第2円錐状遊星ローラ960,966回りに配置される。しかしながら、リングローラ958の第1及び第2リングローラ部978,980のそれぞれを、ハブシャフト26に固定される円錐体ローラとして形成することもできる。この場合、第1リングローラ部978は、ハブシャフト26の中心軸R1に向いている第1摩擦係合部982の径方向内側部で第1摩擦係合部982と摩擦によって係合する。さらに、第2リングローラ部980は、ハブシャフト26の中心軸R1に向いている第3摩擦係合部990の径方向内側部で第3摩擦係合部990と摩擦によって係合する。
第11実施形態
次に図16を参照して、第11実施形態による無段変速機ユニット1022(以下に「CVTユニット1022」)を有するハブアセンブリ1012を説明する。CVTユニット1022は基本的に、CVTユニット1022の第1ローラキャリアがハブシャフト26に回転不能に連結されており、CVTユニット1022の太陽ローラが駆動部からの回転力を受けるよう駆動部に機能的に連結される点で、第1実施形態のCVTユニット22とは異なっている。
第1実施形態と第11実施形態との類似点を考慮して、第11実施形態において第1実施形態の部材と同一の部材には同じ参照符号を付している。また、第11実施形態において、第1実施形態の部材と機能的に同一、または実質的に同一である部材には、同じ参照符号であるが、「1000」を加算した参照符号を付している。いずれの場合も、説明の簡略化のために、第1実施形態の部材と同一の部材の説明を省略する。
図16に示すように、ハブアセンブリ1012は基本的に、CVTユニット1022と、上流側遊星ギアユニット1032と、を有する。上流側遊星ギアユニット1032は第7実施形態の上流側遊星ギアユニット632と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット1032の説明は簡略化のために最小限に留める。上流側遊星ギアユニット1032は、基本的に、上流側太陽ギア1050と、複数の上流側遊星ギア1052と、上流側リングギア1054と、上流側遊星ギアキャリア1056と、を有する。上流側太陽ギア1050は、リアスプロケット24に連結される駆動部1028に固定される。本実施形態において、上流側遊星ギアユニット1032は4つの上流側遊星ギア1052を有する(2つのみを図16に示す)。しかしながら、必要に応じてあるいは所望により、上流側遊星ギア1052の数を変更することができる。上流側遊星ギア1052のそれぞれは、小径及び大径ギア部分1070,1072を有する。
上流側リングギア1054は基本的に筒状部材である。上流側リングギア1054は第1及び第2上流側リングギア部分1054a,1054bを有する。第1及び第2上流側リングギア部分1054a,1054bは径方向内側に延設されるギア歯を有する。第1上流側リングギア部分1054aは上流側遊星ギア1052の大径ギア部分1072と噛み合う。第2上流側リングギア部分1054bは、CVTユニット1022に回転力を伝達するよう、CVTユニット1022に機能的に連結される。本実施形態において、第2上流側リングギア部分1054bは内歯歯車を有する。しかしながら、あるいは、第2上流側リングギア部分1054bは、内歯歯車の代わりにCVTユニット1022と噛み合うセレーションまたはスプラインを有することもできる。
CVTユニット1022は、基本的に、リングローラ1058と、複数の第1円錐状遊星ローラ1060と、第1ローラキャリア1062(例えば第1キャリア)と、太陽ローラ1064と、を有する。CVTユニット1022は、さらに、複数の第2円錐状遊星ローラ1066と、第2ローラキャリア1068(例えば第2キャリア)と、を有する。具体的には本実施形態において、CVTユニット1022は、4つの第1円錐状遊星ローラ1060(2つのみを図16に示す)と、4つの第2円錐状遊星ローラ1066(2つのみを図16に示す)と、を有する。しかしながら、第1円錐状遊星ローラ1060及び第2円錐状遊星ローラ1066の数は、必要に応じてあるいは所望により変更することができる。
太陽ローラ1064はハブシャフト26に機能的に支持される。具体的には、太陽ローラ1064はハブシャフト26に回転可能に支持される。さらに、太陽ローラ1064は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿って移動可能であり、第1及び第2円錐状遊星ローラ1060,1066と摩擦によって係合する。太陽ローラ1064が上流側遊星ギアユニット1032を介して駆動部1028に機能的に連結されること以外、太陽ローラ1064は第1実施形態の太陽ローラ64と実質的に同一である。したがって、太陽ローラ1064の説明は簡略化のために最小限に留める。太陽ローラ1064は、第1実施形態の第1及び第2太陽ローラ部86,88と実質的に同一である第1及び第2太陽ローラ部1086,1088を有する。第1及び第2太陽ローラ部1086,1088は第1及び第2円錐状遊星ローラ1060,1066とそれぞれ摩擦によって係合する。第1及び第2太陽ローラ部1086,1088はギア歯を有さない。さらに、太陽ローラ1064は太陽ローラ1064の外周面の外側に延設されるギア歯1064aを有する。太陽ローラ1064のギア歯1064aは第2上流側リングギア部分1054bのギア歯と軸方向に摺動可能に噛合し、これにより、太陽ローラ1064が上流側リングギア1054から回転力を受ける。
第1ローラキャリア1062はハブシャフト26に移動不能に支持される。具体的には、第1ローラキャリア1062はフレーム部1014に形成される。フレーム部1014は、円筒状インナーシェル1014aとケーシング部1014bとを有する。フレーム部1014は、第1ローラキャリア1062がフレーム部1014に形成されること以外、第6実施形態のフレーム部514と実質的に同一である。インナーシェル1014aはハブシェル30の内周面に沿って軸方向に延びる。第1ローラキャリア1062は、インナーシェル1014aの一方の軸方向端部においてインナーシェル1014aの内周面に形成される。インナーシェル1014aは、インナーシェル1014aとハブシェル30の間で配置される軸受アッセンブリ38a,38bによってハブシェル30を回転可能に支持する。ケーシング部1014bは、ハブシェル30の外部に配置されるとともに、インナーシェル1014aに固定される。さらに、ケーシング部1014bはハブシャフト26及びフレーム14に固定される。ケーシング部1014bはリアスプロケット24を覆う。駆動部1028は、ケーシング部1014bと駆動部1028との間で配置される軸受アッセンブリ38cによってケーシング部1014bに対して回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ1060はハブシャフト26回りに第1ローラキャリア1062上の周方向に等間隔で配置される。
第1円錐状遊星ローラ1060は、第1ローラキャリア1062に第1円錐状遊星ローラ1060の回転軸R3(例えば第1回転軸)回りに回転可能に支持される。第1円錐状遊星ローラ1060の回転軸R3のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R3のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第1軸方向X1に沿って減少するよう、回転軸R3は構成される。複数の第1円錐状遊星ローラ1060は互いに実質的に同一である。第1円錐状遊星ローラ1060は、第1実施形態の第1円錐状遊星ローラ60と実質的に同一であり、第1実施形態の第1円錐状遊星ローラ60と同様に配置される。したがって、第1円錐状遊星ローラ1060の説明は簡略化のために最小限に留める。第1円錐状遊星ローラ1060のそれぞれは、第1実施形態の第1及び第2摩擦係合部82,84とそれぞれ実質的に同一である第1及び第2摩擦係合部1082,1084を有する。第1及び第2摩擦係合部1082,1084は、リングローラ1058と太陽ローラ1064とそれぞれ摩擦によって係合している。第1及び第2摩擦係合部1082,1084はギア歯を有さない。
リングローラ1058はハブシャフト26に機能的に支持される。具体的には、リングローラ1058はハブシャフト26に回転可能に支持される。リングローラ1058は、ハブシャフト26の中心軸R1に沿ったリングローラ1058の軸方向離間位置に第1及び第2リングローラ部1078,1080を有する。第1及び第2リングローラ部1078,1080は第1及び第2円錐状遊星ローラ1060,1066とそれぞれ摩擦によって係合する。リングローラ1058が上流側リングギア1058から独立した別部材として形成される以外、リングローラ1054は第1実施形態のリングローラ58と実質的に同一である。第1リングローラ部1078の内径は第2リングローラ部1080の内径より大きい。第1及び第2リングローラ部1078,1080はギア歯を有さない。
第2円錐状遊星ローラ1066は第2ローラキャリア1068に回転可能に支持される。第2円錐状遊星ローラ1066はリングローラ1058及び太陽ローラ1064と摩擦によって係合する。第2ローラキャリア1068は第1実施形態の第2ローラキャリア68と実質的に同一である。したがって、第2ローラキャリア1068の説明は簡略化のために最小限に留める。第2ローラキャリア1068はハブシャフト26に機能的に支持される。特に、第2ローラキャリア1068はハブシャフト26回りに回転可能に装着される。第2ローラキャリア1068は、さらにハブシェル30に機能的に連結される。第2円錐状遊星ローラ1066は、ハブシャフト26回りに第2ローラキャリア1068上の周方向に等間隔で配置され、第2ローラキャリア1068に第2円錐状遊星ローラ1066の回転軸R4(例えば第2回転軸)回りに回転可能に支持される。第2円錐状遊星ローラ1066の回転軸R4のそれぞれは、ハブシャフト26の中心軸R1に対して傾斜している。具体的には、中心軸R1と回転軸R4のそれぞれとの間の距離が中心軸R1の第2軸方向X2に沿って減少するよう、回転軸R4は構成される。複数の第2円錐状遊星ローラ1066は互いに実質的に同一である。さらに、第2円錐状遊星ローラ1066は、第1実施形態の第2円錐状遊星ローラ66と実質的に同一であり、第1実施形態の第2円錐状遊星ローラ66と同様に配置される。したがって、第2円錐状遊星ローラ1066の説明は簡略化のために最小限に留める。第2円錐状遊星ローラ1066は、第1実施形態の第3及び第4摩擦係合部90,92とそれぞれ実質的に同一である第3及び第4摩擦係合部1090,1092を有する。第3及び第4摩擦係合部1090,1092は、リングローラ1058と太陽ローラ1064とそれぞれ摩擦によって係合している。第3及び第4摩擦係合部1090,1092はギア歯を有さない。
以上のようなCVTユニット1022の構成により、第1円錐状遊星ローラ1060の第1及び第2摩擦係合部1082,1084が、リングローラ1058の第1リングローラ部1078及び太陽ローラ1064の第1太陽ローラ部1086とそれぞれ摩擦によって係合する。第2円錐状遊星ローラ1066の第1及び第2摩擦係合部1090,1092が、リングローラ1058の第2リングローラ部1080及び太陽ローラ1064の第2太陽ローラ部1088とそれぞれ摩擦によって係合する。
さらに図16を参照して、ハブアセンブリ1012の動力伝達経路を詳細に説明する。まず、リアスプロケット24が、チェーン20を介してフロントスプロケット18から回転力を受ける(図1参照)。この回転力により、リアスプロケット24が中心軸R1回りに進行回転方向に回転し、これにより、駆動部1028が上流側遊星ギアユニット1032の上流側太陽ギア1050とともに中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。上流側遊星ギアユニット1032は、駆動部1028から回転力を受けて、中心軸R1回りに逆回転方向に上流側リングギア1054を回転させる。上流側遊星ギアユニット1032は第1実施形態の上流側遊星ギアユニット32と実質的に同一である。したがって、上流側遊星ギアユニット1032を介した回転力の伝達の説明は簡略化のために省略する。
CVTユニット1022は、太陽ローラ1064から回転力を受けて、第1円錐状遊星ローラ1060、リングローラ1058及び第2円錐状遊星ローラ1066を介して第2ローラキャリア1068に回転力を伝達する。具体的には、CVTユニット1022は、太陽ローラ1064からの中心軸R1回りの逆回転方向の回転力を受けて、第2ローラキャリア1068に回転力を伝達し、これにより、第2ローラキャリア1068が中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。特に、第1円錐状遊星ローラ1060の第2摩擦係合部1084のそれぞれは太陽ローラ1064の第1太陽ローラ部1086からの回転力を受ける。そして、第1円錐状遊星ローラ1060の第1摩擦係合部1082のそれぞれは、回転力をリングローラ1058の第1リングローラ部1078に伝達する。その結果、リングローラ1058は、太陽ローラ1064の第1太陽ローラ部1086の軸方向位置(つまり第2接触C2の軸方向位置)に応じた回転速度で、中心軸R1回りに進行回転方向に回転する。一方、第2円錐状遊星ローラ1066の第4摩擦係合部1092のそれぞれは、太陽ローラ1064の第2太陽ローラ部1088からの回転力を受ける。さらに、第2円錐状遊星ローラ1066の第3摩擦係合部1090のそれぞれは、第2リングローラ部1080からの回転力を受ける。言いかえれば、第2円錐状遊星ローラ66のそれぞれは、リングローラ1058及び太陽ローラ1064から2つの回転入力を受ける。第2円錐状遊星ローラ1066のそれぞれは差動装置として機能する。したがって、第2円錐状遊星ローラ1066のそれぞれは、リングローラ1058及び太陽ローラ1064からの2つの回転入力を組み合わせて、これにより、太陽ローラ1064の第2太陽ローラ部1088の軸方向位置(つまり第4接触C4の軸方向位置)に応じた回転速度で、第2円錐状遊星ローラ1066のそれぞれを中心軸R1回りに進行回転方向に回転させる。さらに、そして次に、第2円錐状遊星ローラ1066のそれぞれのこの回転運動により、第2ローラキャリア1068を中心軸R1回りに進行回転方向に回転させる。第2ローラキャリア1068はハブシェル30に機能的に連結される。したがって、第2ローラキャリア1068は、さらに出力プレート98及び一方向クラッチ104を有するカムローダ94を介してハブシェル30へ回転力を伝達する。
変速機構96が、太陽ローラ1064の軸方向位置を第1位置(図3に示す)と第2位置(図5に示す)との間で中間位置(図4に示す)を通ってハブシャフト26の中心軸R1に沿って連続的に変更する。太陽ローラ1064が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第2摩擦係合部1084と太陽ローラ1064の第1太陽ローラ部1086との間の第2接触C2における第1円錐状遊星ローラ1060の第2摩擦係合部1084の第2有効径D2(あるいは、係合半径)は次第に減少する。太陽ローラ1064が、第1軸方向X1に沿って第1位置から第2位置に向かって連続的に移動するにつれて、第4摩擦係合部1092と太陽ローラ1064の第2太陽ローラ部1088との間の第4接触C4における第2円錐状遊星ローラ1066の第4摩擦係合部1092の第4有効径D4(あるいは、係合半径)は次第に増加する。第2及び第4摩擦係合部1084,1092における第2及び第4接触C2,C4のこれらの軸方向移動により、リングローラ1058と太陽ローラ1064との間の有効径方向距離が変更され、これにより、CVTユニット1022のギア比が変更される。具体的には、第2及び第4接触C2,C4のこれらの軸方向移動により、第1及び第2円錐状遊星ローラ1060,1066のギア比がそれぞれ連続的に変化し、これにより、ハブアセンブリ1012のギア比が連続的に変更される。
本発明の範囲の理解において、ここで用いられる用語「備える」及びその派生語は、記載された特徴、エレメント、コンポーネント、群、構成要素、及び/またはステップがあることを明記しているオープンエンドの用語を意味するのであって、記載されていない特徴、エレメント、コンポーネント、群、構成要素、及び/またはステップがあることを排除するものではない。上記は、用語「有する」、「含む」及びそれらの派生語など同様の意味を持つ語にも当てはまる。また、単数形的に用いられる用語「パート」、「部分」、「部」、「部材」あるいは「エレメント」は、単一のパートあるいは複数のパーツの2つの意味を持ちうる。さらには、ここでは、「実質的」、「およそ」、「約」といった程度を示す用語は、最終結果が大きく変わらないような、妥当な変形の条件の変更量を意味するものとして用いる。
本発明の説明のためにいくつかの実施例が選択されたに過ぎず、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱することがない範囲で、種々の変更、変形ができる。例えば、必要に応じて及び/または所望により、種々の部品の大きさ、形状、配置、向きを変更できる。互いと直接的に連結あるいは接触するよう示した部品は、それらの間に中間構造体を有することができる。1つのエレメントの機能は2つによって達成することができ、またその逆の場合も同様である。一の態様の構造及び機能を他の態様に適用することもできる。すべての利点が必ずしも同時に特定の態様にもたらされる必要はない。先行技術から区別されるそれぞれの特徴は、それ単独として、あるいは他の特徴と組み合わせとして、そのような特徴により実施される構造的あるいは機能的思想を含む出願人によるさらなる発明の内容として付帯的に考慮されるものとする。このように、前述の本発明にかかる実施例の説明は単なる例示であって、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって決められる本発明を限定するものではない。