JP2013133476A - 耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼板及びその製造方法 - Google Patents

耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼板とその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.015〜0.040%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.50〜1.60%、P、S、Ca:0.0005〜0.0050%、Ti:0.010〜0.040%、Al、N、さらに、Nb、V、Moの1種または2種以上、必要に応じてCu、Ni、Cr、Bの1種または2種以上、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、特定の成分からなるパラメータ式を満足する化学成分を有し、金属組織がフェライト相とベイナイト相の2相組織を主相とし、島状マルテンサイト(MA)の分率が体積分率で4%以下、且つTiと(Nb、V、Mo)の1種または2種以上を含む粒子径20nm以下の複合炭化物が分散析出していることを特徴とする鋼板。上述した化学成分を有する鋼を、所定のスラブ加熱温度と圧延終了温度で熱間圧延した後、所定の条件で加速冷却し、その後直ちに再加熱を行う
【選択図】図1

Description

本発明は、建築、海洋構造物、造船、土木、建設産業用機械、ラインパイプ等の分野で使用される、耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼板とその製造方法に関するものである。
硫化水素を含む原油や天然ガスの輸送に用いられるラインパイプは、強度、靭性、溶接性の他に、耐水素誘起割れ性(耐HIC性)や耐応力腐食割れ性(耐SSC性)などのいわゆる耐サワー特性が必要とされる。
鋼材の水素誘起割れ(HIC)は、腐食反応により水素イオンが鋼材表面に吸着し、原子状の水素として鋼内部に侵入し、鋼中のMnSなどの非金属介在物や硬い第2相組織のまわりに拡散・集積し、その内圧により割れを生ずるものとされている。応力腐食割れ(SSC)は、同様の水素起因で応力下において発生する割れである。
このようなHICやSSCを防ぐためにいくつかの方法が提案されている。例えば、特許文献1には、鋼中のS含有量を下げるとともに、CaやREMなどを適量添加することにより、長く伸展したMnSの生成を抑制し、微細に分散した球状のCaS介在物に形態を変え、硫化物系介在物による応力集中を小さくし、割れの発生・伝播を抑制することによって、耐HIC性を改善することが記載されている。
また、特許文献2、特許文献3には、偏析傾向の高い元素(C、Mn、P等)の低減やスラブ加熱段階での均熱処理による偏析の低減、および圧延後の冷却時の変態途中での加速冷却を行い、中心偏析部での割れの起点となる島状マルテンサイトの生成、および割れの伝播経路となるマルテンサイトなどの硬化組織の生成を抑制することが記載されている。
特許文献4、特許文献5、特許文献6には、高強度鋼板に対して、低SかつCa添加により硫化物系介在物の形態制御を行いつつ、低C−低Mn化により中心偏析を抑制し、それに伴う強度低下をCr、Mo、Ni等の添加と加速冷却により補う方法が提案されている。
また、特許文献7には、ミクロ組織が割れ感受性の高いブロック状ベイナイトやマルテンサイトを含まないフェライト−ベイナイト2相組織である、API規格X80グレードの耐HIC性や耐SSC性に優れた高強度鋼が開示されている。特許文献8、特許文献9には、ミクロ組織をフェライト単相組織とすることで耐HIC性や耐SSC性を改善し、MoまたはTiの多量添加によって得られる炭化物の析出強化の利用により高強度化した鋼が開示されている。
一方、溶接鋼構造物の大型化、またコスト削減の観点から、より高強度、高靭性を有する鋼板の需要が高まっている。高強度鋼板は、焼入れ焼戻し処理、あるいは制御圧延と制御冷却を組み合わせたTMCP技術が適用されて製造される。しかし、焼入れ焼戻し処理は時間と手間を要し、製造コストが高い。
特許文献10、特許文献11には、圧延から焼入れ焼戻し処理までを同一ラインで行い、かつ急速加熱で保持時間無しの焼戻し処理を行う技術が開示されている。すべての工程を同一ラインで行うことで製造時間が短縮されるので、製造効率、製造コストが大幅に改善される。
また、この技術で製造された鋼材は、急冷によってベイナイトまたはマルテンサイト組織とした後に、急速加熱焼戻しを行うことによって、過飽和に固溶した炭素が微細なセメンタイトとして析出し、さらに保持時間無しの焼戻し処理によりセメンタイトが粗大化しないため、強度靱性に優れている。
特開昭54−110119号公報 特開昭61−60866号公報 特開昭61−165207号公報 特開平5−9575号公報 特開平5−271766号公報 特開平7−173536号公報 特開平7−216500号公報 特開昭61−227129号公報 特開平7−70697号公報 特許3015923号公報 特許3015924号公報
ところで、TMCP技術を用いて鋼材の高強度化を行うには、制御冷却時の冷却速度を大きくすることが有効であるが、制御冷却又は直接焼入れによって製造されるAPI規格X80グレードを超える強度を有する高強度鋼板においては、鋼板表層部が急冷されて硬化組織が生成する虞があり、中心偏析部のみならず表層近傍からHICやSSCが発生する懸念がある。
しかしながら、特許文献1〜9に記載されている、耐HIC性および耐SSC性を改善する方法はいずれも中心偏析部が対象で、中心偏析部以外の部分については考慮されていない。
また、特許文献4〜6では、合金元素の添加により強度を確保するためコストが上昇する。特許文献7では、低温割れ感受性の高いブロック状ベイナイトやマルテンサイトの生成を抑制するために冷却速度を制限する必要があり、加速冷却による合金コスト削減の恩恵を十分に得られない。また、特許文献7に記載の圧延・冷却方法を用いてフェライト−ベイナイト2相組織を安定的に得ることは難しい。
特許文献8、特許文献9では、フェライト相は割れ感受性が低いため耐HIC性や耐SSC性は改善されるが、フェライト単相では強度が低いため析出強化を活用している。特許文献8では、C及びMoを多量に添加し、炭化物を多量に析出させることによって高強度化しているが、Mo炭化物が分散したフェライト組織を得るためには、焼入れ焼戻しの後に冷間加工を行い、さらに再度焼戻しを行う必要があり、製造コストが上昇する。
また、Mo炭化物の粒径が約0.1μmと大きく、強度上昇効果が低いため、C及びMoの含有量を高め、炭化物の量を増やすことによって所定の強度を得る必要がある。
特許文献9では、Ti添加鋼を特定の温度で鋼帯に巻き取り、TiCの析出強化を利用して高強度化している。TiCはMo炭化物に比べ微細であり、析出強化に有効な炭化物であるが、析出時の温度の影響を受けて粗大化しやすいが、析出物粗大化に対する対策がなされていないため析出強化が十分ではなく、多量のTi添加が必要となる。多量の合金元素を添加することは、素材コストが上昇するだけではなく、溶接熱影響部靭性を劣化させるため、高靭性が要求される場合には望ましくない。
特許文献10、特許文献11に記載の技術では、製造効率、製造コストを大幅に改善できるが、高強度の鋼を得るためには、その実施例が示すように、鋼材の炭素含有量を高めるか、あるいはその他の合金元素の添加量を増やす必要があるため、素材コストの上昇と溶接熱影響部靭性の劣化が問題となる。
このように従来の技術では、多量の合金元素を添加することなく耐HIC性と耐SSC性および溶接熱影響部靭性に優れた高強度鋼板を製造することは困難である。
本発明は、上記課題を解決し、API規格X80グレード以上の強度を有するラインパイプ用として好適な耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、高強度鋼板の耐サワー特性の向上と高強度化を両立させ、さらに溶接熱影響部靭性を向上させるために、鋼材の成分とミクロ組織および鋼板の製造方法について鋭意検討し、以下の知見を得た。
1.高強度と耐サワー特性の両立には、高強度を確保しつつも偏析を抑制して割れ感受性の低い成分系となるように、偏析を考慮したCP値を適正化し、ミクロ組織をフェライト相とベイナイト相との強度差の小さいフェライト+ベイナイト2相組織とすることが最も効果的である。
2.制御圧延後の加速冷却とその後の再加熱という製造プロセスを採ることで、Ti、Nb、V、Mo等を含む微細析出物による軟質相であるフェライト相の強化と、硬質相であるベイナイト相の軟化が起こり、強度差の小さいフェライト+ベイナイト2相組織を得ることができる。
図1に、強度差の小さいフェライト+ベイナイト2相組織を得る組織制御方法を概略的に示す。Ar温度以上のオーステナイト領域からベイナイト領域まで加速冷却することで、未変態オーステナイトとベイナイトの混合組織とし、冷却後、直ちに再加熱することにより、未変態オーステナイトはフェライトに変態し、フェライト相中には微細析出物が分散析出する。
一方、ベイナイト相は焼戻されて焼戻しベイナイトとなる。この微細析出物によって析出強化したフェライト相と焼戻されて軟化したベイナイト相の2相組織とすることで、合金元素を多量に添加することなく、高強度化と耐サワー特性の両立が可能となる。
3.加速冷却時のベイナイト変態による強化に加え、Cに対するTi、Nb、V、Moの添加量を適正化することで、再加熱時に析出する微細炭化物による析出強化を最大限に活用することができ、合金元素の少ない低成分系の鋼においても高強度化が可能になる。
また、加速冷却後の再加熱は、表層部の硬化組織の生成を抑制できるため、表層部近傍における耐HIC性と耐SSC性の向上にも効果的である。
本発明は上記知見を基に更に検討を加えてなされたもので、すなわち、本発明は、
1.質量%で、C:0.015〜0.040%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.50〜1.60%、P:0.008%以下、S:0.0010%以下、Ca:0.0005〜0.0050%、N:0.0010〜0.0050%、Ti:0.010〜0.040%、Al:0.005〜0.080%、さらに、Nb:0.005〜0.050%、V:0.005〜0.150%、Mo:0.01〜0.50%の1種または2種以上、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記(1)〜(4)式を満足する化学成分を有し、金属組織がフェライト相とベイナイト相の2相組織を主相とし、島状マルテンサイト(MA)の分率が体積分率で4%以下、且つTiと(Nb、V、Mo)の1種または2種以上を含む粒子径20nm以下の複合炭化物が分散析出していることを特徴とする、耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼板。
4.0<Ti/N≦10.0 (1)
但し、各合金元素は含有量(質量%)
Ti−3.4N≧0.003 (2)
但し、各合金元素は含有量(質量%)
0.50≦C/(Ti+Nb+V+Mo)≦3.00 (3)
但し、各合金元素は含有量(原子%)
CP≦1.00 (4)
但し、CP=4.46C+2.37Mn/6+{1.74Cu+1.7Ni}/15+{1.18Cr+1.95Mo+1.74V}/5+22.36Pで各合金元素は含有量(質量%)
CM≦0.180 (5)
但し、PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5Bで各合金元素は含有量(質量%)
2.さらに、質量%で、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Cr:0.50%、B:0.0050%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする、1に記載の耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼板。
3.1または2に記載の化学成分を有する鋼を、1000〜1300℃の温度に加熱し、Ar温度以上の圧延終了温度で熱間圧延した後、5℃/sec以上の冷却速度で300〜600℃まで加速冷却を行い、その後直ちに0.5℃/sec以上の昇温速度で、冷却停止温度以上であって且つ550〜700℃まで再加熱を行うことを特徴とする、耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼板の製造方法。
4.1または2に記載の鋼板を用いて製造されたことを特徴とする、耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼管。
本発明によれば多量の合金元素を添加することない低廉成分で且つ製造コストの低い製造方法で高強度で且つ優れた耐サワー特性と溶接熱影響部靭性を有するラインパイプ用高強度鋼管が得られ、産業上極めて有用である。本発明では、低C化や炭化物析出による未変態オーステナイトへのC濃縮低減などの成分最適化、さらに加速冷却後に再加熱する製造プロセスにより、MAの生成を抑制できるため耐HIC性と耐SSC性の向上を可能とする。
強度差の小さいフェライト+ベイナイト2相組織を得る組織制御方法を説明する概略図。 本発明の製造方法を実施するための製造ラインの一例を示す説明図。
以下、本発明に係る高強度鋼板および製造条件について詳しく説明する。
[ミクロ組織]
金属組織は、フェライト相とベイナイト相の2相組織を主相とする。フェライト相とベイナイト相の2相組織において、フェライト相は、加速冷却後に残存する未変態オーステナイトがフェライトに変態した、微細なグラニュラーフェライトまたはベイニティックフェライトとする。
ベイニティックフェライトは、粒界が平滑で明瞭である通常のポリゴナルフェライトに比べて強度と靭性に優れているため、ベイナイト相との強度差が小さく、耐サワー特性と高強度の両立が可能である。また、ベイナイト相は変態強化により優れた強度と靭性を有している。ベイナイト相の体積分率は特に規定しないが、母材の強度と靭性確保の観点から10%以上、耐HIC性や耐SSC性の観点から80%以下とすることが好ましく、より好ましい体積分率は20〜60%である。
フェライト+ベイナイト2相組織は、一般的には軟質なフェライト相と硬質なベイナイト相の混合組織であり、このような組織を有する鋼材はフェライト相とベイナイト相との界面に水素が集積しやすいうえに、前記界面が割れの伝播経路となるため、耐HIC性や耐SSC性が劣っているが、微細なグラニュラーフェライトまたはベイニティックフェライトとした場合、フェライト相とベイナイト相の強度差が小さく、耐サワー特性と高強度の両立が可能である。
島状マルテンサイト(MA)の分率は体積分率で4%以下とする。MAは非常に硬い硬質相であることから、母相とMAとの界面に水素が集積しやすく、更に、前記界面が割れの伝播経路となる可能性が高いため、MA分率の上昇とともに耐HIC性や耐SSC性が急激に劣化し、MAの分率が体積分率で4%を超えると劣化が顕著になるため、体積分率で4%以下とする。
フェライト+ベイナイト2相組織に、マルテンサイトやパーライト、残留オーステナイトなどの異なる金属組織が1種または2種以上混在する場合は、異相界面での水素集積や応力集中によってHICやSSCを生じやすくなるため、フェライト相とベイナイト相以外の組織分率は少ない程良く、フェライト相とベイナイト相以外の金属組織(マルテンサイト、パーライト、残留オーステナイト等の1種または2種以上)の合計は体積分率で5%未満とすることが好ましい。
[析出物]
フェライト相内に分散析出する析出物はTiと(Nb、V、Mo)の1種または2種以上を含む粒子径20nm以下の複合炭化物とする。
フェライト相中にTiと、Nb、V、Moの1種または2種以上を含有する複合炭化物が微細析出すると、フェライト相が強化され、フェライト相とベイナイト相間の強度差が低くなるため、優れた耐HIC性や耐SSC性を得ることができる。
析出物が極めて微細な場合、耐HIC性や耐SSC性に対して何ら影響を与えないため、粒子径20nm以下とする。Tiと、Nb、V、Moの1種または2種以上を含有する複合炭化物は熱的に安定であり、後述する製造条件で加速冷却後に施す急速加熱で成長速度が遅いために粒子径が20nm以下の極めて微細な析出物として得られる。
このような粒子径20nm以下の析出物は、引張強度が620MPa以上(APIX80グレード以上)の高強度鋼板とするためには、2×10個/μm以上析出させることが好ましい。析出形態としては、ランダムでも列状でも良く、特に規定されない。また、強度および靭性の観点から、複合炭化物の粒子径は10nm未満であることがより好ましい。
また、この微細炭化物は主にフェライト相中に析出するが、化学成分、製造条件によってはベイナイト相からも析出する場合もある。この場合はさらなる強化が可能であるが、フェライト相とベイナイト相の硬度差がHv70以下であれば耐HIC性や耐SSC性に影響はない。
上述したTiと、Nb、V、Moの1種または2種以上を含有する複合炭化物は、以下に述べる化学成分の鋼に本発明の製造方法を適用することにより得ることができる。
[化学成分]
以下の説明において個々の合金元素の含有量の限定を説明する%で示す単位は全て質量%とする。また、残部はFeおよび不可避的不純物とする。
C:0.015〜0.040%
Cは炭化物として析出強化に寄与する元素であるが、0.015%未満では十分な強度が確保できず、また溶接部が多サイクルの熱履歴を受ける場合は、溶接熱影響部靭性が劣化する虞がある。一方、0.040%を超えると、未変態オーステナイトへのC濃縮が増大し、中心偏析部や表層部でMAなどの硬質相が生成し易くなり、耐HIC性や耐SSC性が劣化する虞がある。また、0.040%を超えると溶接部でも硬質相が生成する場合があり、溶接熱影響部靭性が劣化する。
Si:0.01〜0.50%
Siは脱酸のため添加するが、0.01%未満では脱酸効果が十分でなく、一方、0.50%を超えると靭性や溶接性を劣化させる。
Mn:0.50〜1.60%
Mnは強度、靭性のため添加するが、0.50%未満ではその効果が十分でなく、一方、1.60%を超えると溶接性と耐HIC性や耐SSC性が劣化する。特に、耐HIC性と耐SSC性の観点から、より好ましいMn量は0.50〜1.50%である。
P:0.008%以下
Pは不可避不純物元素であり、溶接性を劣化させるとともに、中心偏析部の硬さを上昇させることで耐HIC性や耐SSC性を劣化させ、0.008%を超えるとその傾向が顕著となる。特に、耐HIC性と耐SSC性の観点から、より好ましいP量は0.006%以下である。
S:0.0010%以下
Sは一般的には鋼中においてはMnS介在物となり耐HIC性や耐SSC性を劣化させるため少ないほどよいが、0.0010%以下であれば問題ない。
Ca:0.0005〜0.0050%
Caは硫化物系介在物の形態制御による耐HIC性や耐SSC性向上に有効な元素であるが、0.0005%未満ではその効果が十分でなく、一方、0.0050%を超えて添加しても効果が飽和し、むしろ、鋼の清浄度の低下により耐HIC性や耐SSC性を劣化させる。
N:0.0010〜0.0050%
NはTiと共に析出物を形成するが、TiN析出物は1350℃以上に達する溶接熱影響部の高温域において微細分散することにより、溶接熱影響部の旧オーステナイト粒を細粒化し、溶接熱影響部の靭性向上に大きく寄与する。0.0010%未満ではその効果が十分でなく、一方、0.0050%を超えると、溶接部の靭性劣化を招くと共に製鋼段階でのスラブ割れを招く危険性がある。
Ti:0.010〜0.040%
Tiは本発明において重要な元素である。Tiは、Nb、V、Moと共に微細な複合炭化物を形成し、強度上昇に大きく寄与する。Tiを含む複合炭化物は、再加熱時に効果的に微細析出するとともに、Nb、V、Moと共に熱的に安定な複合炭化物を形成することにより再加熱時の粗大化が抑制される。しかし、0.010%未満ではその効果が十分でなく、一方、0.040%を超える添加は溶接熱影響部の靭性が劣化する。析出強化を十分に活用し、且つ溶接熱影響部の靭性劣化を抑制するという観点から、Ti量は0.015〜0. 035%とすることがより好ましい。
Al:0.005〜0.080%
Alは脱酸剤として添加されるが、0.0051%未満では効果がなく、一方、0.080%を超えると鋼の清浄度が低下し、靱性が劣化する。
Nb:0.005〜0.050%、V:0.005〜0.150%、Mo:0.01〜0.50%の1種または2種以上
Nbは、変態強化の増大と組織の微細粒化により、強度と靭性を向上させるとともに、TiおよびV、Moと共に微細な複合炭化物を形成して強度上昇に寄与する。しかし、0.005%未満ではその効果が十分でなく、一方、0. 050%を超えると溶接熱影響部の靭性が劣化する。このため、Nbを添加する場合、Nb量は0.005〜0.050%とする。変態強化と析出強化を十分に活用するという観点から、Nb量は0.010〜0. 050%とすることがより好ましい。
Vは、TiおよびNb、Moと共に微細な複合炭化物を形成し、強度上昇に寄与する。しかし、0.005%未満ではその効果が十分でなく、一方、0.150%を超えると溶接熱影響部の靭性が劣化する。このため、Vを添加する場合、V量は0.005〜0.150%とする。析出強化を十分に活用し、且つ溶接熱影響部の靭性劣化を抑制するという観点から、V量は0.010〜0. 120%とすることがより好ましい。
Moは、NbおよびTiと共に微細な複合炭化物を形成し、強度上昇に寄与する。しかし、0.01%未満ではその効果が十分でなく、一方、0.50%を超えると溶接熱影響部の靭性が劣化する。このため、Moを添加する場合、Mo量は0.01〜0.50%とする。析出強化を十分に活用し、且つ溶接熱影響部の靭性劣化を抑制するという観点から、Mo量は0.05〜0. 40%とすることがより好ましい。
4.0<Ti/N≦10.0
質量%でのTi量とN量の比:4.0<Ti/N≦10.0とする。本発明による高強度化はTiとNb、V、Moの1種または2種以上を含む複合析出物(主に炭化物)の微細析出によるものであるが、Ti/N≦4.0ではTiがTiNの析出に消費されてしまい、析出強化に有効なTiとNb、V、Moの1種または2種以上を含む複合析出物を十分に得ることができない。
一方、Ti/N>10.0ではTiが過剰になり、TiNの粗大化を招くため、溶接熱影響部靭性が劣化する。
Ti−3.4N≧0.003
質量%でTi−3.4N≧0.003とする。TiとNb、V、Moの1種または2種以上を含む複合炭化物を十分に得るためには、Tiの役割が重要である。Ti−3.4N<0.003では、微細な複合炭化物を形成するために必要なTi量を十分に確保することが困難である。
0.50≦C/(Ti+Nb+V+Mo)≦3.00
原子%でのC量とNb、V、MoおよびTiの合計量の比であるC/(Nb+V+Mo+Ti)を0.50〜3.00とする。複合析出物による析出強化を有効に利用するためには、C量と炭化物形成元素であるNb、V、Mo、Ti量との関係が重要であり、これらの元素を適正なバランスのもとで添加することによって、熱的に安定し、且つ非常に微細な複合炭化物を得ることができる。
C/(Nb+V+Mo+Ti)の値が0.50未満または3.00を超える場合は、いずれかの元素の含有量が過剰であり、粒径20nm未満の微細な複合炭化物が十分に得られず、また、島状マルテンサイトなどの硬化組織の形成による耐HIC性や耐SSC性の劣化や靭性の劣化を招く。
なお、質量%での含有量を用いる場合には、(C/12.01)/(Ti/47.9+Nb/92.91+V/50.94)の値を0.50〜3.00とする。
CP≦1.00
但し、CP=4.46C+2.37Mn/6+{1.74Cu+1.7Ni}/15+{1.18Cr+1.95Mo+1.74V}/5+22.36Pで各元素の含有量(質量%)であり、添加しない元素は0とする。
CP値は、各合金元素の含有量から中心偏析部の材質を推定する式で、CP値が高いほど中心偏析部の濃度が高くなり、中心偏析部の硬さが上昇する。このCP値を1.00以下とすることでHICやSSCを抑制することが可能となる。また、CP値が低いほど中心偏析部の硬さが低くなるため、さらに良好な耐HIC性や耐SSC性が必要な場合は、その上限を0.95とすることが望ましい。
CM≦0.180 (5)
但し、PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5Bで各合金元素は含有量(質量%)
良好な溶接熱影響部靱性を確保するために、PCM≦0.180とする。さらに良好な溶接熱影響部靱性が必要な場合は、その上限を0.16とすることが望ましい。
以上が本発明の基本化学成分であるが、鋼板の強度、靱性をさらに改善する場合には、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Cr:0.50%以下、B:0.0050%以下の1種または2種以上を含有してもよい。
Cuは靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であるが、過剰に添加すると溶接性が劣化するため、添加する場合は0.50%を上限とする。Niは靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であるが、過剰に添加するとコスト的に不利になり、また、溶接熱影響部靱性が劣化するため、添加する場合は0.50%を上限とする。
CrはMnと同様に低Cでも十分な強度を得るために有効な元素であるが、過剰に添加すると溶接性が劣化するため、添加する場合は0.50%を上限とする。
Bは強度上昇、HAZ靭性改善に寄与する元素であるが、過剰に添加すると溶接性が劣化するため、添加する場合は0.0050%を上限とする。
本発明では鋼板の硬さは特に規定しないが、API規格X80グレード以上の強度を有する高強度鋼板においては、中心偏析部や鋼板表層部の硬さが上昇すると、HICやSSCを発生する危険性が高まる。耐サワー特性の観点から、中心偏析部や鋼板表層部からのHICやSSC割れを抑制するために、中心偏析部や鋼板表層部を含む鋼板の硬さがビッカース硬さでHV248以下であることが望ましい。
また、API規格X80グレード以上の高強度鋼板として、引張強度は620MPa以上を有することが望ましい。また、製造上のばらつきを考慮して、引張強度は640MPa以上を有することがより好ましい。
[製造条件]
以下の説明において、温度はスラブや鋼板の平均温度とする。
本発明では、上述した化学成分を有する鋼(スラブ)を、所定のスラブ加熱温度と圧延終了温度で熱間圧延した後、所定の条件で加速冷却し、その後直ちに再加熱を行う。
スラブ加熱温度:1000〜1300℃
加熱温度が1000℃未満では炭化物の固溶が不十分で必要な強度が得られず、一方、1300℃を超えると靭性が劣化する。
熱間圧延終了温度:Ar温度以上
圧延終了温度がAr温度未満になると、その後のフェライト変態速度が低下するため、再加熱によるフェライト変態時に十分な微細析出物の分散析出が得られず、強度が低下する。
Ar温度は、下記の式で求めることができる。Ar=910−310C(%)−80Mn(%)−20Cu(%)−15Cr(%)−55Ni(%)−80Mo(%)式において、C(%)、Mn(%)、Cu(%)、Cr(%)、Ni(%)、Mo(%)は各元素の含有量(%)であり、添加しない元素は0とする。
加速冷却:冷却速度5℃/sec以上、冷却停止温度300〜600℃
圧延終了後、直ちに5℃/sec以上の冷却速度で300〜600℃まで加速冷却する。圧延終了後に放冷または徐冷を行うと、高温域から析出物が析出して析出物が容易に粗大化し十分な強度が得られないとともに、十分な変態強化が得られない。よって、析出強化と変態強化に最適な温度まで急冷(加速冷却)を行い、高温域からの析出を防止し、且つ変態強化の効果を得る。冷却設備としては任意の設備を用いることが可能であり、特に規定しない。
冷却速度が5℃/sec未満では、高温域での析出防止効果が十分ではなく強度が低下するとともに、ベイナイト変態による変態強化が十分に得られない。また、冷却時に高温域でフェライトを生成する虞があり、フェライト変態時に生じた析出物は高温域で容易に粗大化するため、十分な強度が得られない。高温域での析出防止とベイナイト変態による変態強化の効果を十分に発揮させるために、圧延終了後の冷却速度は10℃/sec以上とすることがより好ましい。
圧延終了後の加速冷却でベイナイト変態域である300〜600℃まで急冷することにより、ベイナイト相を生成させ、且つ再加熱時のフェライト変態の駆動力を大きくする。駆動力が大きくなることで、再加熱過程でのフェライト変態を促進し、短時間の再加熱でフェライト変態を完了させることが可能となる。
冷却停止温度が300℃未満では、ベイナイトやマルテンサイト単相組織となるか、フェライト+ベイナイト2相組織となっても島状マルテンサイト(MA)が生成するために耐HIC性や耐SSC性が劣化する。
一方、冷却停止温度が600℃を超えると、再加熱時のフェライト変態が完了せずパーライトが析出して耐HIC性や耐SSC性が劣化するとともに、ベイナイト変態による変態強化の効果が十分ではなく強度が低下する。
再加熱時のフェライト変態の駆動力を大きくし、フェライト変態時の析出物による析出強化の効果を十分に得るという観点から、冷却停止温度は400〜600℃とすることがより好ましい。
再加熱条件:昇温速度(0.5℃/sec以上)、再加熱温度(冷却停止温度以上且つ550〜700℃)
上述した加速冷却後、直ちに0.5℃/sec以上の昇温速度で、冷却停止温度以上であって且つ550〜700℃の温度まで再加熱を行う。このプロセスは本発明における重要な製造条件である。フェライト相の強化に寄与する微細析出物は、再加熱時のフェライト変態と同時に析出する。微細析出物によるフェライト相の強化とベイナイト相の軟化を同時に行い、フェライト相とベイナイト相の強度差の小さい組織を得るためには、加速冷却後、直ちに冷却停止温度以上であって且つ550〜700℃の温度まで再加熱することが必要である。また、この再加熱の際には、冷却停止温度よりも50℃以上高い温度に昇温することが望ましい。
昇温速度が0.5℃/sec未満では、目的の再加熱温度に達するまでに長時間を要するため、微細析出物の分散析出が得られず十分な強度を得ることができないのみならず、製造効率が悪化する。また、靱性の劣化を抑制するためには、昇温中での析出物の粗大化を抑制して微細かつ均一に分散析出させることが有効であり、この観点からは昇温速度は3℃/sec以上とすることが好ましい。
再加熱温度は、焼戻しを兼ねるため冷却停止温度以上とする。また、再加熱温度が550℃未満では微細析出物による十分な析出強化が図れず、またフェライト変態が完了せずにその後の冷却時に未変態オーステナイトがパーライトに変態するため耐HIC性や耐SSC性が劣化する。
一方、再加熱温度が700℃を超えると、析出物が粗大化して十分な強度が得られない。再加熱温度において、特に温度保持時間を設定する必要はない。したがって、再加熱温度に到達後、直ちに冷却してもよい。冷却速度は、微細析出物が継続して析出するように適宜選定するが、特に空冷が望ましい。再加熱温度に保持する場合は、30分を超えて温度保持を行うと析出物の粗大化を生じ、強度低下を招く場合があるので、30分以内とすることが望ましい。
図2に本発明の高強度鋼板の製造に好適な設備の一例を示す。圧延ライン1には上流から下流側に向かって熱間圧延機3、加速冷却装置4、ホットレベラー5、加速冷却後の鋼板を再加熱するためのインライン型誘導加熱装置6を配置する。
図示した設備では、インライン型誘導加熱装置6を、熱間圧延機3、加速冷却装置4と同一ライン上に設置するので、圧延および冷却終了後の鋼板2を迅速に再加熱処理することができる。すなわち、圧延して加速冷却した後の鋼板2を、冷却停止温度から過度に冷却させることなく、直ちに冷却停止温度以上で且つ550〜700℃に再加熱することができる。
誘導加熱装置は、均熱炉等に比べて温度制御が容易であり、設備コストも比較的低く、冷却後の鋼板を迅速に加熱できるので特に好ましい。ベイナイト変態域からの再加熱過程で誘導加熱炉を用いた急速加熱を利用して炭化物を析出させると、急速短時間で加熱することにより炭化物の粗大化が抑制され、非常に微細な炭化物が析出するため、通常の方法(従来は熱間圧延後の冷却過程や等温保持によってオーステナイトからのフェライト変態時や過飽和のフェライトからの析出を利用したり、或いは、圧延後急冷し、組織をマルテンサイトまたはベイナイトとした後に、加熱炉での焼戻し処理によってマルテンサイトまたはベイナイト中に炭化物を析出させる方法)に比べ、より大きな強度向上効果が得られることが特徴である。
また複数の誘導加熱装置を直列に連続して配置することにより、ライン速度や鋼板の種類・寸法が異なる場合にも、通電する誘導加熱装置の数を任意に設定するだけで、昇温速度、再加熱温度を自在に制御することが可能である。
再加熱後の冷却速度は任意であるので、加熱装置の下流側に特別な設備を設置する必要はない。なお再加熱装置として、インライン型誘導加熱装置6に替えて、鋼板の急速加熱が可能であるガス燃焼炉を用いても良い。
本発明の高強度鋼板を、プレスベンド成形、ロール成形、UOE成形等で管状に成形した後、溶接する(さらに必要に応じて拡管等を行う)ことにより、原油や天然ガスの輸送に好適な耐HIC特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼管(UOE鋼管、電縫鋼管、スパイラル鋼管等)を製造することができる。
例えば、UOE鋼管は、鋼板の端部を開先加工し、Cプレス、Uプレス、Oプレスで環状に成形した後、内面溶接および外面溶接で突き合わせ部をシーム溶接し、さらに必要に応じて拡管工程を経て製造される。
また、溶接方法は十分な継手強度と継手靭性が得られる方法であれば、いずれの方法でも良いが、優れた溶接品質と製造能率の観点から、サブマージアーク溶接を用いることが好ましい。
本発明に係るTi、Nb、V、Mo等を含む析出物が分散析出したフェライト相とベイナイト相の2相組織を有する高強度鋼板は、従来の加速冷却等で得られるベイナイトまたはアシキュラーフェライト組織の鋼板のような表層部での硬度上昇がないので、表層部からのHICやSSCが生じない。さらに強度差の小さいフェライト相とベイナイト相の2相組織は割れに対する抵抗が極めて高く、鋼板中心部や介在物からのHICやSSCも抑制することが可能となる。
また、偏析傾向のある合金成分量を管理し、CP値で規制することにより中心偏析部からの割れを抑制することができる。さらに、変態強化に加え析出強化を最大限に活用するため、合金元素を多量に添加する必要がなく、溶接熱影響部靭性を損なうことなく高強度化が達成できるものである。特に、低C化を指向して成分最適化を行うことにより、析出強化を最大活用できるとともに、中心偏析部や表層部の硬化組織低減による耐サワー特性の向上や溶接熱影響部靭性の向上を図ることができる。
表1に示す化学成分の鋼(鋼種A〜Y)を連続鋳造法によりスラブとし、これを用いて表2に示すNo.1〜No.33の厚鋼板を製造した。
スラブを加熱後、熱間圧延により所定の板厚とした後、直ちに水冷型の加速冷却設備を用いて冷却を行い、その後、誘導加熱炉を用いて再加熱を行った。誘導加熱炉は加速冷却設備と同一ライン上に設置した。誘導加熱炉に替えてガス燃焼炉を使用することも可能である。
得られた鋼板の金属組織を、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した。得られた鋼板の金属組織については、板厚中央部および板厚(t)の1/4位置を光学顕微鏡で観察し、撮影した写真から画像処理によりフェライト相とベイナイト相の面積分率を測定し、5視野の各相の面積分率の平均値を体積分率とした。
また、析出物の成分はエネルギー分散型X線分光法(EDX)により分析した。また、各鋼板の引張特性、耐HIC性、耐SSC性、溶接熱影響部(HAZ)靭性を測定した。それらの結果を、製造条件とともに表2に示す。
引張特性は、圧延垂直方向の全厚試験片を引張試験片として引張試験を行い、引張強度を測定した。溶接熱影響部(HAZ)靭性については、再現熱サイクル装置によって、最高加熱温度1400℃、入熱40kJ/cmに相当する熱履歴を加えた試験片を用いてシャルピー試験を行った。
耐HIC性は、NACE Standard TM−02−84に準じた浸漬時間96時間のHIC試験を行い、割れが認められない場合を耐HIC特性良好と判断して“○”、割れが発生した場合を“×”として評価した。
本実施例の性能評価では、引張強度620MPa以上(APIX80グレード以上)、HAZ靭性は延性−脆性遷移温度(vTrs)が0℃以下、耐HIC性は割れ無し、耐SSC性は割れ無し、をそれぞれ合格とした。
表2において、No.1〜18は本発明例であり、いずれも耐HIC性と耐SSC性が良好で、引張強度620MPa以上、溶接熱影響部の延性−脆性遷移温度(vTrs)が0℃以下である。また、Tiと、Nb、V、Moの1種または2種以上を含有する粒子径20nm未満の微細な複合炭化物が2×10個/μm以上の密度で分散析出していることが観察された。
一方、No.19〜23は、化学成分は本発明条件を満足するが、製造方法が本発明条件を満足しない比較例であり、いずれも微細炭化物の分散析出が不十分であり、十分な引張強度が得られていない。
No.19は、スラブ加熱温度が低く、ミクロ組織の均質化と微細分散析出に必要な炭化物の固溶が不十分であり、低強度であった。No.20とNo.21は、加速冷却が本発明条件を満足しないため、フェライト相+ベイナイト相の2相組織が得られず、微細炭化物の分散析出も不十分である。さらに、島状マルテンサイト(MA)やパーライトが析出するため、耐HIC性と耐SSC性が劣っている。
No.22は、再加熱昇温速度が遅いため、微細炭化物の分散析出が不十分であり、十分な引張強度が得られていない。No.23は、再加熱温度が低いため、これも微細炭化物の分散析出が不十分であり、十分な引張強度が得られていない。また、パーライトが析出するため、耐HIC性と耐SSC性が劣っている。
No.24〜33は、化学成分が本発明条件を満足しないため、耐HIC性と耐SSC性、HAZ靭性のいずれかが劣っている。
Figure 2013133476
Figure 2013133476
1:圧延ライン
2:鋼板
3:熱間圧延機
4:加速冷却装置
5:ホットレベラー
6:インライン型誘導加熱装置

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.015〜0.040%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.50〜1.60%、P:0.008%以下、S:0.0010%以下、Ca:0.0005〜0.0050%、N:0.0010〜0.0050%、Ti:0.010〜0.040%、Al:0.005〜0.080%、さらに、Nb:0.005〜0.050%、V:0.005〜0.150%、Mo:0.01〜0.50%の1種または2種以上、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記(1)〜(4)式を満足する化学成分を有し、金属組織がフェライト相とベイナイト相の2相組織を主相とし、島状マルテンサイト(MA)の分率が体積分率で4%以下、且つTiと(Nb、V、Mo)の1種または2種以上を含む粒子径20nm以下の複合炭化物が分散析出していることを特徴とする、耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼板。
    4.0<Ti/N≦10.0 (1)
    但し、各合金元素は含有量(質量%)
    Ti−3.4N≧0.003 (2)
    但し、各合金元素は含有量(質量%)
    0.50≦C/(Ti+Nb+V+Mo)≦3.00 (3)
    但し、各合金元素は含有量(原子%)
    CP≦1.00 (4)
    但し、CP=4.46C+2.37Mn/6+{1.74Cu+1.7Ni}/15+{1.18Cr+1.95Mo+1.74V}/5+22.36Pで各合金元素は含有量(質量%)
    CM≦0.180 (5)
    但し、PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5Bで各合金元素は含有量(質量%)
  2. さらに、質量%で、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Cr:0.50%、B:0.0050%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼板。
  3. 請求項1または請求項2に記載の化学成分を有する鋼を、1000〜1300℃の温度に加熱し、Ar温度以上の圧延終了温度で熱間圧延した後、5℃/sec以上の冷却速度で300〜600℃まで加速冷却を行い、その後直ちに0.5℃/sec以上の昇温速度で、冷却停止温度以上であって且つ550〜700℃まで再加熱を行うことを特徴とする、耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼板の製造方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の鋼板を用いて製造されたことを特徴とする、耐サワー特性と溶接熱影響部靭性に優れたラインパイプ用高強度鋼管。
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