JP5900303B2 - 鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板とその製造方法 - Google Patents

鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板とその製造方法 Download PDF

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本発明は、建築、海洋構造物、造船、土木、建設産業用機械、ラインパイプ等の分野で使用される、鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板とその製造方法に関するものである。
ラインパイプは、厚板ミルや熱延ミルにより製造された鋼板を、UOE成形、プレスベンド成形、ロール成形等で鋼管形状に成形して製造する。
硫化水素を含む原油や天然ガスの輸送に用いられるラインパイプは、強度、靭性、溶接性の他に、耐水素誘起割れ性(耐HIC性)や耐応力腐食割れ性(耐SCC性)などのいわゆる耐サワー性を備えることが必要とされる。
鋼材の水素誘起割れ(HIC)は、腐食反応による水素イオンが鋼材表面に吸着し、原子状の水素として鋼内部に侵入し、鋼中のMnSなどの非金属介在物や硬い第2相組織のまわりに拡散・集積し、その内圧により割れを生ずるものとされている。
このような水素誘起割れを防ぐためにいくつかの方法が提案されている。例えば、特許文献1には、鋼中のS含有量を下げるとともに、CaやREMなどを適量添加することにより、長く伸展したMnSの生成を抑制し、微細に分散した球状のCaS介在物に形態を変え、硫化物系介在物による応力集中を小さくし、割れの発生・伝播を抑制することによって、耐HIC性を改善する技術が提案されている。
特許文献2、特許文献3には、偏析傾向の高い元素(C、Mn、P等)の低減やスラブ加熱段階での均熱処理による偏析の低減、および圧延後の冷却時の変態途中での加速冷却を行う技術が提案されている。これにより、中心偏析部での割れの起点となる島状マルテンサイトの生成、および割れの伝播経路となるマルテンサイトなどの硬化組織の生成を抑制するというものである。
また、特許文献4、特許文献5には、高強度鋼板に対して、低SかつCa添加により硫化物系介在物の形態制御を行いつつ、低C−低Mn化により中心偏析を抑制し、それに伴う強度低下をCr、Mo、Ni等の添加と加速冷却により補う方法が提案されている。
一方、鋼構造物の大型化やコスト削減の観点から、より高強度や高靭性を有する鋼板の需要が高まっている。鋼板の特性向上や合金元素削減、熱処理省略を目的として、通常、高強度鋼板は、制御圧延と制御冷却を組み合わせた、いわゆるTMCP技術が適用されて製造される。
TMCP技術を用いて鋼材の高強度化を行うには、制御冷却時の冷却速度を大きくすることが有効である。しかしながら、高冷却速度で制御冷却した場合、鋼板表層部が急冷されるため、鋼板内部に比べて表層部の硬さが高くなり、板厚方向の硬さ分布にばらつきが生じる。したがって、鋼板内の材質均一性を確保する観点で問題となる。
特許文献6には、制御冷却に際して、冷却速度を3〜12℃/sという比較的低冷却速度に制御することにより、板厚中心部に対する表面の硬さ上昇を抑える方法が開示されている。
特許文献7には、冷却過程で、フェライトが析出する温度域で待機を行うことにより、鋼板の組織をフェライトとベイナイトの2相組織とし、表層と板厚中心部の硬さの差を低減した、板厚方向に材質差の小さい鋼板の製造方法が開示されている。
また、特許文献8、特許文献9には、圧延後、表層部がベイナイト変態を完了する前に表面を復熱させる高冷却速度の制御冷却を行った、板厚方向に材質差の小さい鋼板の製造方法が開示されている。
特許文献10、特許文献11には、高周波誘導加熱装置を用いて、加速冷却後の鋼板表面を内部より高温に加熱して表層部の硬さを低減した、ラインパイプ用鋼板の製造方法が開示されている。
また、特許文献12には、制御冷却を、鋼板表面温度が500℃以下となるまで鋼板中央部の平均冷却速度5〜15℃/sで冷却した後、後期冷却で鋼板中央部の平均冷却速度20〜50℃/sで板厚方向平均温度600℃以下まで冷却することにより、表層の硬化組織を抑制する方法が開示されている。
一方、鋼板表面のスケール性状にむらがあると、冷却時にスケール厚さに応じてその下部の鋼板の冷却速度に違いを生じて、すなわち鋼板内で部分的に冷却停止温度のばらつきが生じて、スケール性状に対応して板幅方向に鋼板材質のばらつきが生じる。
特許文献13、特許文献14には、冷却直前にデスケーリングを行うことにより、スケール性状による冷却むらを低減し、鋼板形状を改善する方法が開示されている。
特開昭54−110119号公報 特開昭61−60866号公報 特開昭61−165207号公報 特開平5−271766号公報 特開平7−173536号公報 特公平7−116504号 特許第3911834号 特許第3951428号 特許第3951429号 特開2002−327212号 特許第3711896号 特許第3546726号 特開平9−57327号 特許第3796133号
しかしながら、特許文献1〜5に記載の技術は、いずれも中心偏析部が対象で、中心偏析部以外の部分については考慮されていない。
制御冷却又は直接焼入れによって製造されるAPI規格X65グレード以上の強度を有する高強度鋼板においては、冷却速度の高い鋼板表面部が内部に比べて硬化するため、表面近傍から水素誘起割れが発生するという問題がある。
特許文献6記載の技術は、冷却速度の制限により、高冷却速度による高強度化や合金元素の削減、制御圧延の簡略化等といった制御冷却の効果を十分に活用することができない。特許文献7の製造方法は、Ar変態点以下での冷却待機でフェライトを析出させるため強度が低下するとともに、冷却待機時間が必要なため製造効率が悪化する。
特許文献8、特許文献9記載の製造方法は、鋼板の成分により変態挙動が異なると、復熱による十分な材質均質化の効果が得られない場合がある。また、高精度な冷却制御が必要なため、適用範囲が限られるとともに製造効率が悪化する。特許文献10、特許文献11記載の製造方法は、加速冷却での表層部の冷却速度が大きいと、鋼板表面の加熱だけでは表層部の硬さを十分に低減できない場合がある。
特許文献12記載の製造方法は、鋼板の成分により変態挙動が異なると、表層の硬化組織を抑制できない場合があり、十分な材質均質化の効果が得られない場合がある。
また、特許文献13、特許文献14記載の方法は、デスケーリングにより、熱間矯正時のスケールの押し込み疵による表面性状不良の低減や、鋼板の冷却停止温度のばらつきを低減して鋼板形状を改善しているが、均一な材質を得るための冷却条件に関しての記載はない。
鋼板の冷却状態は、表面性状だけでなく冷却の強弱によっても影響を受けるため、鋼板表面の冷却速度がばらつくと硬さのばらつきが生じる危険性がある。冷却速度によっては、鋼板表面の冷却状態において、鋼板表面と冷却水の間に気泡の膜が発生する“膜沸騰”と気泡が膜を形成する前に冷却水によって表面から分離される“核沸騰”とが混在し、表面の冷却速度にばらつきを生じる虞がある。それによって鋼板表面の硬さにばらつきを生じることになる。
従って、本発明は、従来、低廉な成分と高冷却速度冷却を組み合わせた場合、鋼板内の材質均一性と耐HIC特性を備えた高強度鋼板を製造するこができなかったことを解決し、中央偏析部のHICとともに表面近傍から発生するHICに対して優れた耐HIC特性を有し、鋼板の板厚方向および板幅方向の硬さのばらつきを低減した、鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板とその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは、API規格X65グレードの強度を有する高強度鋼板において、中央偏析部とともに表面近傍からのHIC発生を防止し、板厚方向および板幅方向の硬さのばらつきを低減し、鋼板内の材質均一性を向上させるために、鋼材の化学成分、ミクロ組織、製造方法を鋭意検討し、表層部の冷却速度や復熱を含む冷却パターンと鋼板内の平均冷却速度を制御することが重要であるとの知見を得て、本発明を完成した。本発明の課題は以下の手段により達成可能である。
(1)質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.5〜1.8%、P:0.01%以下、S:0.001%以下、Al:0.01〜0.08%、Ca:0.0005〜0.005%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、金属組織がベイナイト組織であり、板厚方向の硬さのばらつきがΔHV1025以下であり、板幅方向の硬さのばらつきがΔHV1025以下であり、鋼板表層部の最高硬さがHV10220以下であることを特徴とする、鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板。
(2)さらに、質量%で、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Cr:0.50%以下、Mo:0.50%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする、(1)に記載の鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板。
(3)さらに、質量%で、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%、Ti:0.005〜0.1%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする、(1)または(2)に記載の鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板。
(4)下記(1)式で示されるCP値(質量%)が1.0以下であり、下記(2)式で示されるCeq値(質量%)が0.30以上0.37以下であることを特徴とする、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板。
CP=4.46C(%)+2.37Mn(%)/6+{1.74Cu(%)+1.7Ni(%)}/15+{1.18Cr(%)+1.95Mo(%)+1.74V(%)}/5+22.36P(%) ・・・(1)
Ceq=C(%)+Mn(%)/6+(Cu(%)+Ni(%))/15+(Cr(%)+Mo(%)+V(%))/5 ・・・(2)
但し、各式において各元素記号は含有量(質量%)。
(5)(1)乃至(4)の何れか一つに記載の化学成分を有する鋼を、1000℃以上1300℃以下の温度に加熱し、圧延終了温度が鋼板表面温度でAr温度以上で熱間圧延した後、制御冷却の直前に鋼板表面での噴射流の衝突圧が1MPa以上でデスケーリングを行い、冷却開始時の鋼板表面温度が(Ar−10)℃以上から鋼板表面の冷却速度が200℃/s以下、且つ鋼板の平均冷却速度が15℃/s以上で、鋼板の平均温度で250℃以上550℃まで制御冷却し、その後直ちに誘導加熱により、冷却停止温度以上であって且つ鋼板表面温度で500〜700℃、鋼板平均温度で350〜600℃まで再加熱を行うことを特徴とする、鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板の製造方法。
(6)(5)に記載の製造方法で製造された鋼板を用いた材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼管。
本発明によれば、低廉な化学成分でも鋼板内の材質均一性に優れ、且つ耐HIC特性に優れる、高強度の耐サワーラインパイプ用鋼板およびその製造方法が得られ、産業上極めて有用である。
本発明の製造方法を実施するための製造ラインの一例を示す概略図。
本発明に係る高強度鋼板の化学成分について説明する。以下の説明において%で示す単位は全て質量%である。
C:0.02〜0.08%
Cは0.02%未満では十分な強度が確保できず、0.08%超えでは加速冷却時に表層部の硬さが上昇するとともに、耐HIC特性と靭性を劣化させるため、含有量を0.02〜0.08%に規定する。
Si:0.01〜0.5%
Siは脱酸のため添加するが、0.01%未満では脱酸効果が十分でなく、0.5%を超えると靭性や溶接性を劣化させるため、含有量を0.01〜0.5%に規定する。
Mn:0.5〜1.8%
Mnは強度、靭性のため添加するが、0.5%未満ではその効果が十分でなく、1.8%を超えると溶接性と耐HIC特性が劣化するため、含有量を0.5〜1.8%に規定する。
P:0.01%以下
Pは不可避的不純物元素であり、溶接性を劣化させるとともに、中心偏析部の硬さを上昇させることで耐HIC性を劣化させる。0.01%を超えるとその傾向が顕著となるため、含有量の上限を0.01%に規定する。好ましくは0.008%以下である。
S:0.001%以下
Sは一般的には鋼中においてはMnS介在物となり耐HIC特性を劣化させるため少ないほどよい。しかし、0.001%以下であれば問題ないため、含有量の上限を0.001%に規定する。
Al:0.01〜0.08%
Alは脱酸剤として添加されるが、0.01%未満では効果がなく、0.08%を超えると鋼の清浄度が低下し、靱性が劣化するため、含有量を0.01〜0.08%に規定する。
Ca:0.0005〜0.005%
Caは硫化物系介在物の形態制御による耐HIC特性向上に有効な元素であるが、0.0005%未満ではその効果が十分でなく、0.005%を超えて添加しても効果が飽和し、むしろ、鋼の清浄度の低下により耐HIC特性を劣化させるので、含有量を0.0005〜0.005%に規定する。上記以外の残部はFeおよび不可避的不純物とする。
CP=4.46C(%)+2.37Mn(%)/6+{1.74Cu(%)+1.7Ni(%)}/15+{1.18Cr(%)+1.95Mo(%)+1.74V(%)}/5+22.36P(%) ・・・(1)
但し、C(%)、Mn(%)、Cu(%)、Ni(%)、Cr(%)、Mo(%)、V(%)、P(%)は各元素の含有量(質量%)であり、添加しない元素は0とする。
CP値は、各合金元素の含有量から中心偏析部の材質を推定するために考案された式であり、(1)式で表されるCP値(質量%)を1.0以下とする。CP値が高いほど中心偏析部の濃度が高くなり、中心偏析部の硬さが上昇する。このCP値を1.0以下とすることでHICを抑制することが可能となる。また、CP値が低いほど中心偏析部の硬さが低くなるため、さらに高い耐HIC特性が必要な場合はその上限を0.95とすることが望ましい。
以上が本発明の基本化学成分であるが、鋼板の強度靱性をさらに改善する場合、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Tiの1種又は2種以上を含有してもよい。
Cu:0.50%以下
Cuは靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であるが、多く添加すると溶接性が劣化するため、添加する場合は0.50%を上限とする。
Ni:0.50%以下
Niは靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であるが、多く添加するとコスト的に不利になり、また、溶接熱影響部靱性が劣化するため、添加する場合は0.50%を上限とする。
Cr:0.50%以下
CrはMnと同様に低Cでも十分な強度を得るために有効な元素であるが、多く添加すると溶接性を劣化するため、添加する場合は0.50%を上限とする。
Mo:0.50%以下
Moは靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であるが、多く添加すると溶接性が劣化するため、添加する場合は0.50%を上限とする。
Nb、V、Tiの1種又は2種以上
Nb、VおよびTiは、鋼板の強度および靭性を高めるために添加する選択元素であり、要求強度に応じて、1種または2種以上を添加することができる。各元素とも、0.005%未満では効果が無く、0.1%を超えると溶接部の靭性が劣化するので、添加する場合は0.005〜0.1%の範囲とするのが好ましい。
[金属組織]
金属組織は、引張強度520MPa以上の高強度化を達成するために、板厚方向に均一な、ベイナイト組織の混合したベイナイト主体組織とする。ここでベイナイト組織とは、オーステナイト温度域から加速冷却することにより生成する変態組織であり、ベイニティックフェライトやグラニュラーベイナイトを含む。
少なくとも表層部がベイナイト組織の場合、表層硬さが低く、耐HIC特性が向上する。表層部にマルテンサイトや島状マルテンサイト(MA)等の硬質相が生成すると、表層硬さが上昇し、耐HIC特性が劣化するとともに、鋼板内の硬さのばらつきが増大して材質均一性が低下する。表層部とは鋼板表面から板厚方向に5mmまでとする。
ベイナイト組織以外に、マルテンサイト、パーライト、島状マルテンサイト、セメンタイト、残留オーステナイトなどの金属組織が1種または2種以上混在すると、靭性劣化が生じ、表層硬さが上昇するため、これらの組織は少ない程良いが、体積分率で5%未満の場合には、それらの影響が無視できるため、本発明範囲内とする。
[硬さのばらつき]
板厚方向の硬さのばらつきは荷重10kgでのビッカース硬さ(以下、HV10)でΔHV1025以下、板幅方向の硬さのばらつきはΔHV1025以下とする。ΔHV10は最高硬さと最低硬さの差とする。
耐サワーラインパイプ用高強度鋼板の場合、鋼板の強度や伸び、成形性、耐HIC性、耐SCC性などを満足させる観点から、鋼板内の硬さのばらつき抑制が要求される。
板厚方向の硬さのばらつきがΔHV1025を超えた場合や、板幅方向の硬さのばらつきがΔHV1025を超えた場合は、上記特性に悪影響を及ぼす。例えば、鋼板表層部の硬さが鋼板内部に比べてΔHV1025を超えて硬くなった場合は、成形後にスプリングバックが起こりやすくなったり、硫化水素に対する割れ感受性が高まったりする。
また、板幅方向の硬さのばらつきがΔHV1025を超えた場合は、成形時に硬い部分と軟らかい部分での変形量の差が所望の形状が得られない程度となり、小板に切断した場合に小板毎の強度や伸びが異なったりする。
鋼板内の材質均一性と耐HIC特性の観点からは、板厚方向の硬さのばらつきはΔHV1020以下、板幅方向の硬さのばらつきはΔHV1020以下であることがより好ましい。
[硬さの最大値]
API規格X65グレードの強度を有する高強度鋼板において、鋼板表層部の硬さが上昇すると、水素誘起割れ(HIC)を発生する危険性が高まる。鋼板表層部からの水素誘起割れ(HIC)を抑制するために、鋼板表層部の硬さ(表面下1mmでの硬さ)をHV10220以下とする。より厳しいサワー環境で鋼板が使用される場合には、耐サワー特性の観点から、鋼板表層部の硬さ(表面下1mmでの硬さ)はHV10210以下とすることが好ましい。
なお、冷間成形によりパイプとした後の鋼管表層部(表面下1mm)の硬さはHV10235以下であることが望ましい。より厳しいサワー環境で鋼板が使用される場合には、耐サワー特性の観点から、鋼板表層部の硬さ(表面下1mmでの硬さ)はHV10225以下とすることが好ましい。これは冷間成形時の加工硬化量を考慮している。
本発明に係る高強度鋼板は、熱間圧延し、制御冷却を施した後、再加熱して製造することができ、各工程における条件は以下の様である。
[スラブ加熱温度]
スラブ加熱温度は、1000〜1300℃とする。加熱温度が1000℃未満では炭化物の固溶が不十分で必要な強度が得られず、1300℃を超えると靭性が劣化するため、1000〜1300℃とする。なお、ここでの温度は加熱炉の炉内温度であり、スラブはこの温度に中心部まで十分に加熱されるものとする。
[熱間圧延]
熱間圧延は、強度および耐HIC性能の観点から、圧延終了温度を鋼板表面温度でAr温度以上とする。Ar温度は、以下の式で求めることができる。
Ar(℃)=910−310C−80Mn−20Cu−15Cr−55Ni−80Mo、但し、各元素記号は含有量(質量%)とする。
また、高い母材靱性を得るためにはオーステナイト未再結晶温度域に相当する950℃以下の温度域での圧下率を60%以上とすることが望ましい。なお、鋼板の表面温度は放射温度計等で測定することができる。
[デスケーリング]
熱間圧延後、制御冷却の直前に鋼板表面での噴射流の衝突圧を1MPa以上とする高衝突圧のデスケーリングを行う。鋼板表面での噴射流の衝突圧が1MPa未満では、デスケーリングが不十分でスケールむらが生じる場合があり、表層硬さのばらつきが生じるため、1MPa以上とする。
制御冷却直前に鋼板表面での噴射流の衝突圧を種々に変化させた予備試験を行い、デスケーリング冷却後の鋼板のスケール厚みが15μm以下となる噴射流の衝突圧として1MPa以上を求めた。制御冷却後の鋼板のスケール厚さで15μm以下とした場合、板厚方向の硬さのばらつきをΔHV1025以下、且つ板幅方向の硬さのばらつきをΔHV1025以下とすることが可能である。
デスケーリングは高圧水を用いて行うが、鋼板表面での噴射流の衝突圧が1MPa以上であれば、他の噴射流を用いても構わない。
[制御冷却]
制御冷却の冷却開始温度は鋼板表面温度で(Ar−10℃)以上とする。冷却開始時の鋼板表面温度が低いと、制御冷却前のフェライト生成量が多くなり、Ar変態点からの温度低下が10℃を超えると5%を超えるフェライトが生成する虞があり、強度が低下するとともに耐サワー特性が劣化するため、冷却開始時の鋼板表面温度は(Ar−10℃)以上とする。
[冷却速度]
鋼板表面の冷却速度が200℃/s以下、且つ鋼板の平均の冷却速度が15℃/s以上とする。高強度化を図りつつ、鋼板内の硬さのばらつきを低減し、材質均一性を向上させるためには、表層部の冷却速度と鋼板の平均冷却速度の両方を制御することが重要である。鋼板の平均冷却速度とは、板厚方向の冷却速度の平均値を指す。
鋼板表面の冷却速度が200℃/sを超えると、マルテンサイトや島状マルテンサイト(MA)等の硬質相が生成して、表層硬さが上昇するとともに耐サワー特性が劣化するため、鋼板表面の冷却速度は、200℃/s以下とする。好ましくは、150℃/s以下である。
また、鋼板の平均冷却速度が15℃/s未満では、ベイナイト組織が得られずに強度低下や耐サワー特性が劣化したり、硬さのばらつきが大きくなるため、鋼板の平均冷却速度は15℃/s以上とする。より好ましくは、20℃/s以上である。
さらに、鋼板表面の冷却速度が200℃/s以下、且つ鋼板の平均冷却速度が15℃/s以上とすることにより、冷却停止温度のばらつきを抑制することができ、鋼板形状が良好となる。
[冷却停止温度]
冷却停止温度は、鋼板の平均温度で250〜550℃とする。圧延終了後、制御冷却でベイナイト変態の温度域である250〜550℃まで急冷することにより、ベイナイト相を生成させる。なお、鋼板の平均温度は、鋼板板厚方向に温度分布がある場合は、その断面内で平均した温度である。
冷却停止温度が550℃を超えると、ベイナイト変態が不完全であり、十分な強度が得られない。また、冷却停止温度が250℃未満では、マルテンサイトや島状マルテンサイト(MA)が生成し、特に鋼板表層部の硬さ上昇が著しくなり、硬さのばらつきが大きくなるとともに耐サワー特性が劣化する。さらに、鋼板に歪みを生じやすくなり、成形性が劣化する。
従って、鋼板内の材質均一性と耐サワー特性の劣化を抑制するため、制御冷却の冷却停止温度は250〜550℃とする。なお、加速冷却後に生じた鋼板表面温度と鋼板中心温度との差は、しばらくすると熱伝導によって鋼板内でほぼ均一な温度分布となるため、冷却停止温度は、冷却後均熱化された鋼板の鋼板表面温度としても良い。
[再加熱温度]
加速冷却後、直ちに誘導加熱により、冷却停止温度以上であって且つ鋼板表面温度で500〜700℃、鋼板平均温度で350〜600℃まで再加熱を行う。再加熱により表層部を焼戻すため、再加熱温度は冷却停止温度以上とする。ここで、誘導加熱装置を用いるのは、急速な加熱が可能で、鋼板の加熱温度を鋼板表層部と板厚中央部とで変化させることが可能であるためである。
高冷却速度の加速冷却によって表層部の一部に硬質相が生成した場合でも、鋼板表層部の加熱によって硬質相が分解され、表層部の硬さが低減される。しかし、鋼板表面温度が500℃未満では硬質相の分解が十分でないため、硬さ低下が不十分であり、一方、700℃を超えると、鋼板中央部の加熱温度も上昇するため大きな強度低下を招く。従って、誘導加熱による再加熱での鋼板表面温度は500〜700℃とする。
また、誘導加熱により表層部を加熱し、熱伝導によって鋼板内部が加熱されるため、鋼板内部よりも表層部の温度が高くなるが、鋼板平均温度の上昇を抑制し、表層部の硬さを効果的に低減するために、誘導加熱による鋼板表面温度は、鋼板平均温度よりも100℃以上高い温度とすることが望ましい。
加速冷却後の誘導加熱によって、鋼板表層部だけでなく鋼板内部の強度ばらつきも低減できる。しかし、鋼板中央部の加熱温度が350℃未満ではバラツキの低減が不十分であり、一方、600℃を超えると、焼戻しによる強度低下をまねくだけでなく、DWTT性能が劣化する。従って、誘導加熱による再加熱での鋼板の平均温度は350〜600℃とする。
更に強度のバラツキ低減やDWTT性能の劣化を抑制するためには、誘導加熱による再加熱での鋼板の平均温度を400〜550℃の範囲とすることが望ましい。
誘導加熱直後に生じた鋼板表面温度と鋼板中心温度の差は、しばらくすると熱伝導によって鋼板内でほぼ均一な温度分布となるため、誘導加熱後均熱化された鋼板の鋼板表面温度としても良い。
再加熱温度において、特に温度保持時間を設定する必要はなく、再加熱温度に到達後、直ちに冷却してもよい。再加熱温度に保持する場合は、30分を超えて温度保持を行うと強度低下を招く場合があるので、30分以内とすることが望ましい。また、再加熱後の冷却速度は任意に適宜選定してよいが、急冷すると鋼板形状が劣化する場合があるので、空冷が望ましい。
図1に本発明に係る鋼板の製造に好適な設備の一例を示す。圧延ライン1には上流から下流側に向かって熱間圧延機2、高衝突圧デスケーリング装置3、制御冷却装置4、インライン型誘導加熱装置5を配置する。また、高衝突圧デスケーリング装置3の前に熱間矯正機を設置しても良い。
熱間矯正機で鋼板6の形状を改善することにより、噴射流の衝突圧を増大させることができるため、低コストでより効率的にデスケーリングを行うことができる。
インライン型誘導加熱装置5を圧延ライン上に設置するので、圧延および冷却終了後の鋼板を迅速に再加熱処理することができる。すなわち、圧延して加速冷却した後の鋼板を、冷却停止温度から過度に冷却させることなく、直ちに冷却停止温度以上であって且つ鋼板表面温度で500〜700℃、鋼板平均温度で350〜600℃まで再加熱を行うことができる。
また、インライン型誘導加熱装置5の前に熱間矯正機を設置しても良い。熱間矯正機で鋼板の形状が改善するとともに、誘導加熱装置での再加熱をより均一にすることができる。
本発明によれば、制御冷却の直前に高衝突圧デスケーリングを行い、制御冷却の直後に誘導加熱で再加熱処理を行うことにより、板厚方向の硬さのばらつきがΔHV1025以下、板幅方向の硬さのばらつきがΔHV1025以下とすることができる。
さらに、密着性の良い均一な薄スケールが形成されるため、再加熱処理した鋼板に生じ易いスケールの剥離を抑制し、鋼板内の材質均一性に優れ、且つスケールの耐剥離性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板を製造することができる。
本発明に係る高強度鋼板を、プレスベンド成形、ロール成形、UOE成形等で管状に成形した後、突き合わせ部を溶接することにより、鋼板内の材質均一性に優れ、高強度かつ耐HIC特性に優れた硫化水素を含む原油や天然ガスの輸送に好適な耐サワーラインパイプ用高強度鋼管(UOE鋼管、電縫鋼管、スパイラル鋼管等)を製造することができる。
例えば、UOE鋼管は、鋼板の端部を開先加工し、Cプレス、Uプレス、Oプレスで鋼管形状に成形した後、内面溶接および外面溶接で突き合わせ部をシーム溶接し、さらに必要に応じて拡管工程を経て製造される。また、溶接方法は十分な継手強度と継手靭性が得られる方法であれば、いずれの方法でも良いが、優れた溶接品質と製造能率の観点から、サブマージアーク溶接を用いることが好ましい。
表1に示す化学成分の鋼(鋼種A〜L)を連続鋳造法によりスラブとし、これを用いて板厚25mmと34mmの厚鋼板(No.1〜27)を製造した。
スラブを加熱後、熱間圧延により所定の板厚とした後直ちに、あるいは制御冷却直前に高衝突圧のデスケーリングを行った後、水冷型の制御冷却装置を用いて冷却を行った。
得られた鋼板のミクロ組織およびスケール性状を、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡により観察した。10視野の断面組織写真を得て、スケール厚さを測定し、10視野の平均値で評価した。
また、各鋼板の引張特性、硬さ、耐HIC特性およびスケールの耐剥離性を測定した。引張特性は、圧延垂直方向の全厚試験片を引張試験片として引張試験を行い、引張強度を測定した。
また、ビッカース硬度計で板厚方向の硬さと板幅方向の硬さを測定した。板厚方向の硬さは1mmピッチで全厚を測定し、板幅方向の硬さは20mmピッチで全幅を測定した。なお、板幅方向の硬さは、表層1mm位置(表層から板厚(t)方向へ1mm)、板厚(t)/4位置、板厚(t)/2位置(板厚中心部)で測定したが、いずれの鋼板も表層1mm位置において硬さのばらつきが最大を示したので、板幅方向の硬さのばらつきは表層1mm位置で評価した。硬さの測定はいずれも荷重10kgでおこなった。
耐HIC特性は、NACE Standard TM−02−84に準じた浸漬時間96時間のHIC試験を行い、割れが認められない場合を耐HIC特性良好と判断して○で、割れが発生した場合を×として評価した。
スケールの耐剥離性は、鋼板のスケール表面に碁盤目状に切込みを入れた後にテープ剥離を行う碁盤目試験を実施し、スケールの剥離が無い場合を○、剥離がある場合を×としてスケールの耐剥離性を評価した。
DWTT性能は、鋼板の板厚中心で表裏両面から19mmに減厚したDWTT試験片を用いて−37℃の試験温度で落重試験を実施し、延性破面率で評価した。
本発明範囲は、高強度鋼板として引張強度520MPa以上、表層1mm位置とt/2位置ともミクロ組織はベイナイト組織、板厚方向と板幅方向の硬さのばらつきはΔHV1025以下、HIC試験で割れが認められない、スケールの耐剥離性が良好、およびDWTT性能が延性破面率85%以上とした。
各鋼板(No.1〜27)の製造条件と測定結果を表2に併せて示す。
No.1〜12は、化学成分および製造方法が本発明の範囲内の本発明例である。いずれも、引張強度520MPa以上、板厚方向と板幅方向の硬さのばらつきはΔHV1025以下で、且つ鋼板のミクロ組織は、表層1mm位置とt/2位置ともベイナイト組織であり、耐HIC特性、スケールの耐剥離性およびDWTT性能も良好であった。
一方、No.13〜22は、化学成分は本発明の範囲内であるが、製造方法が本発明の範囲外の実施例である。No.13は、スラブ加熱温度が低く、ミクロ組織の均質化と炭化物の固溶が不十分であり低強度であった。
No.14は、冷却開始温度が低く、フェライトが析出したため、低強度であり、且つ耐HIC特性が劣っていた。No.15は、制御冷却条件が本発明範囲外で、ミクロ組織として板厚中心部でベイナイト組織が得られず、パーライトが析出したため、低強度であり、且つ耐HIC特性が劣っていた。
No.16は、冷却停止温度が低く、マルテンサイトや島状マルテンサイト(MA)の硬質相が生成したため、鋼板表層部の最高硬さがHV10220を超えて、板厚方向と板幅方向の硬さのばらつきもΔHV1025を超えており、鋼板内の材質均一性と耐HIC特性が劣っていた。
No.17は、制御冷却直前のデスケーリングの衝突圧が低く、且つ冷制御却条件が本発明範囲外であるため、鋼板表層部の最高硬さがHV10220を超えて、硬さのばらつきもΔHV1025を超えて鋼板内の材質均一性に劣っており、スケールの耐剥離性も劣っていた。
No.18〜No.20は、いずれも制御冷却直前のデスケーリングを行っていなか、衝突圧が低いため、表層部の冷却速度が増加してマルテンサイトが生成し、鋼板表層部の最高硬さがHV10220を超えて、板厚方向と板幅方向の硬さのばらつきもΔHV1025を超えており、鋼板内の材質均一性と耐HIC特性およびスケールの耐剥離性が劣っていた。
No.21は、再加熱温度が低く本発明範囲外であり、鋼板表層部の最高硬さがHV10220を超えて、硬さのばらつきもΔHV1025を超えており、鋼板内の材質均一性に劣っていた。No.22は、再加熱温度が高く、板厚中心部でセメンタイトが粗大析出するため、DWTT性能が劣っていた。No.23〜No.27は、化学成分が本発明の範囲外であり、鋼板表層部の最高硬さがHV10220を超えて、硬さのばらつきがΔHV1025を超えているか、耐HIC特性が劣っていた。
1 圧延ライン
2 熱間圧延機
3 高衝突圧デスケーリング装置
4 制御冷却装置
5 インライン型誘導加熱装置
6 鋼板

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.5〜1.8%、P:0.01%以下、S:0.001%以下、Al:0.01〜0.08%、Ca:0.0005〜0.005%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、金属組織がベイナイト組織であり、板厚方向の硬さのばらつきがΔHV1025以下であり、板幅方向の硬さのばらつきがΔHV1025以下であり、鋼板表層部の最高硬さがHV10220以下であり、下記(1)式で示されるCP値(質量%)が1.0以下であることを特徴とする、鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板。
    CP=4.46C(%)+2.37Mn(%)/6+{1.74Cu(%)+1.7Ni(%)}/15+{1.18Cr(%)+1.95Mo(%)+1.74V(%)}/5+22.36P(%) ・・・(1)
    但し、式において各元素記号は含有量(質量%)。
  2. さらに、質量%で、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Cr:0.50%以下、Mo:0.50%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板。
  3. さらに、質量%で、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%、Ti:0.005〜0.1%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板。
  4. 請求項1乃至3の何れか一つに記載の耐サワーラインパイプ用高強度鋼板の製造方法であって、
    請求項1乃至の何れか一つに記載の化学成分を有する鋼を、1000℃以上1300℃以下の温度に加熱し、圧延終了温度が鋼板表面温度でAr温度以上で熱間圧延した後、制御冷却の直前に鋼板表面での噴射流の衝突圧が1MPa以上でデスケーリングを行い、冷却開始時の鋼板表面温度が(Ar−10)℃以上から鋼板表面の冷却速度が200℃/s以下、且つ鋼板の平均冷却速度が15℃/s以上で、鋼板の平均温度で250℃以上550℃まで制御冷却し、その後直ちに誘導加熱により、冷却停止温度以上であって且つ鋼板表面温度で500〜700℃、鋼板平均温度で350〜600℃まで再加熱を行うことを特徴とする、鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板の製造方法。
  5. 請求項1乃至3の何れか一つに記載の耐サワーラインパイプ用高強度鋼板を成形してなる、材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼管。
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