JP2013133450A - 樹脂微粒子の水系分散体の製造方法及びトナーの製造方法 - Google Patents

樹脂微粒子の水系分散体の製造方法及びトナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 樹脂粒子の粒径が小粒径で、粒度分布がシャープな樹脂微粒子の水系分散体の製造方法、及び該樹脂微粒子の水系分散体を用いたトナーの製造方法を提供する。
【解決手段】
少なくとも、酸基を有する樹脂及びアニオン性界面活性剤を混合して混合物を得る混合工程と、
該酸基を有する樹脂のガラス転移点以上の温度で、水、酸、及び下記式1で表される3級アミンの存在下で該混合物の撹拌を行い、樹脂乳化物を得る乳化工程とを有する樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は電子写真用トナー、インク、塗料、接着剤、粘着剤、繊維加工、製紙、紙加工等に用いられる樹脂微粒子の水系分散体の製造方法に関する。また、本発明は、該樹脂微粒子の水系分散体を用いるトナーの製造方法に関する。
樹脂微粒子の水系分散体は、トナー、インクジェットプリンタ用インク、静電印刷等の液体現像剤等の多岐にわたる分野で使用されている。いずれの分野においても、樹脂微粒子の水系分散体における樹脂微粒子の粒径、粒度分布の制御は重要であり、特に小粒径でかつ粒度分布がシャープである樹脂微粒子が望まれている。
樹脂微粒子の水系分散体をトナーの製造に使用する場合、より精密に粒径が制御された樹脂微粒子の水系分散体が望まれている。これは、樹脂微粒子の粒径や粒度分布がトナー粒度分布、形状等を大きく左右し、トナーの現像性等に大きな影響を与えるためである。
特許文献1には、樹脂微粒子の製造方法として、転相乳化法と呼ばれる有機溶剤を使用した方法が提案されている。また、特許文献2や3には、環境負荷低減、省資源の観点から、有機溶剤をほとんど使用せずに樹脂分散体を得る、無溶剤乳化方法が提案されている。
特開平8−211655 特開2004−189765 特開2007−106906
特許文献1〜3に記載の方法では、酸基を有する樹脂を乳化する場合、酸基由来の負電荷と界面活性剤の負電荷との静電反発により、樹脂に対する界面活性剤の吸着が阻害されることから、界面活性剤の付着量にムラができてしまう。そのため、分散体表面への界面活性剤の付着量が不均一となることから、形成される樹脂微粒子の粒度分布が幅広くなり、望ましい粒径のトナーが得られない場合がある。
近年、電子写真分野では低温定着性と保存安定性を両立させるため、低軟化点樹脂からなるコアを高軟化点樹脂からなるシェルで被覆した構造を持つ、コアシェルトナーが広く用いられている。シェルの構成材料として、粒径が大きく、粒度分布が広い樹脂微粒子の水系分散体を用いた場合、コア粒子へのシェル粒子付着が不均一となり、トナーの保存安定性が低下してしまう。上記課題を解決するために、シェルの被覆量を増加させることも考えられるが、この場合トナー全体の軟化点が上昇してしまい、低温定着性が悪化する。従って、保存安定性と低温定着性の両立のため、樹脂微粒子を十分に小粒径化し、粒度分布を狭くすることは大きな課題である。
本発明は上記の課題を解決するものである。すなわち、本発明の目的は、小粒径かつ粒度分布の狭い樹脂微粒子の水系分散体の製造方法を提供することである。また、該樹脂微粒子の水系分散体を用いることで、低温定着性や保存安定性に優れたトナーの製造方法を提供することである。
本発明は、酸基を有する樹脂及びアニオン性界面活性剤を混合して混合物を得る混合工程と、該酸基を有する樹脂のガラス転移点以上の温度で、水系媒体、酸、下記式1で表される3級アミン及び該混合物を撹拌し、樹脂乳化物を得る乳化工程とを有し、該乳化工程において、水相中における該3級アミンと該酸から生成するアミノカチオンの濃度が、臨界凝集濃度以下である樹脂微粒子の水系分散体の製造方法に関する。
NR 式1
[式1において、R、R、Rは、それぞれ、炭素数1乃至8の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、ヒドロキシル基を有していてもよい。]
本発明により、酸基を有する樹脂を用いた場合でも、従来よりも、小粒径かつ粒度分布の狭い樹脂微粒子の水系分散体を提供することが可能となる。また、本発明により製造した、小粒径かつ粒度分布の狭い樹脂微粒子の水系分散体を利用してトナーを製造することにより、低温定着性や保存安定性に優れたトナーを得ることができる。
<樹脂微粒子の水系分散体の製造方法>
まず、樹脂微粒子の水系分散体の製造方法のうち、第一の態様について説明する。
本発明の製造方法の第一の態様は、酸基を有する樹脂及びアニオン性界面活性剤を混合して混合物を得る混合工程を有する。
本発明で用いられる酸基を有する樹脂とは、分子鎖の末端や側鎖に、カルボキシル基、スルホ基、又はこれらの塩を有する樹脂を意味する。具体的には、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミド酸系樹脂等が好適に例示できる。その中でも、トナー用材料として使用する場合には、トナーの軟化温度(Tm)とガラス転移点(Tg)の差を小さくすることができるという観点から、ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂は、酸成分とアルコール成分を縮重合することにより得られる。ポリエステル樹脂を製造する際、酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、n−ドデシルコハク酸、n−デドセニルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸の他、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン等、3価以上の多価カルボン酸、及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。
アルコール成分としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等の脂肪族ジオールの他、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の2価のアルコール、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価のアルコール等を用いても良い。
本発明に用いられる酸基を有する樹脂のガラス転移点(Tg)は、トナーとして使用する場合には、ブロッキング防止の観点から50℃以上であることが好ましく、低温定着性の観点から80℃以下であることが好ましい。
本発明に用いられる酸基を有する樹脂の軟化温度(Tm)は、トナーとして使用する場合には、低温定着性の観点から150℃以下であることが好ましく、トナーの耐熱保管性の観点からは90℃以上が好ましい。
本発明に用いられる酸基を有する樹脂は、該樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、分子量3,500以上15,000以下の範囲にメインピークのピークトップを有することが好ましい。メインピークのピークトップが上記の範囲内であれば、樹脂微粒子の水系分散体を凝集トナーの製造に用いた場合の熱安定性が高い。
本発明に用いられる酸基を有する樹脂は、酸価が1〜30mgKOH/gであることが好ましい。樹脂の酸価が1以上であれば、トナーとした際に帯電性が高く、飛散やかぶりが抑制される。また、酸価が30以下であれば、樹脂の吸湿が抑制され、温度の異なる環境下においても、トナー特性が変動しにくい。
本発明に用いられるアニオン性界面活性剤は、疎水性置換基として、直鎖または枝分かれ構造を有する炭化水素鎖、フッ化炭素鎖、あるいはベンゼン、ナフタレン等の芳香環を有する疎水基と、スルホン酸エステル、カルボン酸、あるいはスルホン酸を有する親水基とを有する化合物であることが好ましい。アニオン性界面活性剤としては、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル、せっけん、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等が挙げられる。具体的には、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油ナトリウム等の脂肪酸セッケン類;オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート等の硫酸エステル類;ラウリルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリイソプロピルナフタレンスルホネート、ジブチルナフタレンスルホネートなどのアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム;ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート、ラウリン酸アミドスルホネート、オレイン酸アミドスルホネート等のスルホン酸塩類;ラウリルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ノニルフェニルエーテルホスフェート等のリン酸エステル類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸塩類;スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩類が挙げられる。界面活性剤は、液中の濃度が、臨界ミセル濃度以上になるように添加されることが好ましい。界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明における混合工程では、酸基を有する樹脂とアニオン性界面活性剤とをそのまま混合しても良いし、あるいは水の存在下でこれらの材料を混合しても良い。
本発明の製造方法の第一の態様は、酸基を有する樹脂のガラス転移点以上の温度で、水系媒体、酸、NRで表される3級アミン及び混合物を撹拌し、樹脂乳化物を得る乳化工程を有する。
撹拌装置としては、高速回転式ホモジナイザーや高圧式ホモジナイザーが挙げられる。
本発明では乳化工程において、3級アミンと酸により生じるアミノカチオンが、酸基を有する樹脂の酸基由来の負電荷を遮蔽する。これにより、樹脂の酸基由来の負電荷とアニオン性界面活性との静電反発が弱められ、界面活性剤がより多量かつ均一に近い状態で、樹脂表面に付着すると考えられる。そのため、粒径が小さくシャープな粒度分布を持つ樹脂微粒子の水系分散体が得られる。一方で、水系媒体中のアミノカチオンの濃度が高過ぎる場合、酸基を有する樹脂に対するアミノカチオンの電荷遮蔽効果が強くなりすぎ、樹脂微粒子同士の凝集が生じる。その結果、樹脂微粒子の粒径が大きく、粒度分布がブロードな樹脂微粒子の水系分散体となってしまう。
そのため、本発明の乳化工程では、水相中における3級アミンと酸から生成するアミノカチオンの濃度が、臨界凝集濃度以下である必要がある。尚、本発明におけるアミノカチオンの濃度とは、水相中における3級アミンと酸の濃度のうち、低い方の濃度を意味する。
臨界凝集濃度とは、ある乳化工程の条件下において、樹脂微粒子の凝集が起こる際の、水相におけるアミノカチオンの濃度の最小値を意味する。ここでいう凝集とは、樹脂乳化物における樹脂微粒子の体積分布基準50%粒径が、3級アミンと酸を添加していない樹脂乳化物における樹脂微粒子の体積分布基準50%粒径の1.5倍を超えることを意味する。
臨界凝集濃度は、具体的には、次のような方法で測定される。
まず、3級アミンと酸を添加せずに作製した樹脂微粒子の水系分散体を作製し、該樹脂微粒子の水系分散体における樹脂微粒子の体積分布基準50%粒径を測定する。
次に、20℃において、クレアミックス2.2S(エム・テクニック社製)で、回転速度10,000r/分で該樹脂微粒子の水系分散体を撹拌しつつ、アミノカチオンの濃度が、5.0mol/Lとなるように、等モルの3級アミンと塩酸を水に溶解して作製した水溶液を徐々に添加し、随時、樹脂微粒子の体積分布基準50%粒径を測定する。
そして、上記水溶液を添加した水系分散体における樹脂微粒子の体積分布基準50%粒径が、上記水溶液を添加する前の樹脂乳化物における樹脂微粒子の体積分布基準50%粒径の1.5倍を超えた時点での、水相におけるアミノカチオンの濃度を臨界凝集濃度とする。
樹脂微粒子の粒径の測定には、動的光散乱式粒度分布測定装置(ナノトラックUPA150:日機装社製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い粒径を測定する。
本発明における3級アミンと酸の量は、水相中のアミノカチオンの濃度が臨界凝集濃度以下となればよいが、3級アミンと酸のいずれかの量が多いと、例えば樹脂ポリエステルを使用した場合、水相のpHが、塩基性または酸性に片寄る場合があり、樹脂の加水分解を促進してしまう。このことから、3級アミンと酸は、等モル量添加することが好ましい。 本発明における乳化工程では、水系媒体、酸、下記式1で表される3級アミン及び混合物の撹拌が行われる。
NR 式1
[式1において、R、R、Rは、それぞれ、炭素数1乃至8の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、ヒドロキシル基を有していてもよい。]
式1におけるR、R、Rは、それぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基、もしくはヒドロキシル基を有する炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。また、式1におけるR、R、Rは、それぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基、もしくはヒドロキシル基を有する炭素数2の炭化水素基であることがより好ましい。3級アミンとしては、具体的には、以下の化合物が挙げられる。2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−(ジブチルアミノ)エタノール、N−エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリドデシルアミン。これらの3級アミンの中でも、樹脂微粒子の水系分散体の保存安定性の観点から、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−(ジブチルアミノ)エタノール、N−エチルジエタノールアミンからなる群から選択される1以上の3級アミンを用いることが特に好ましい。
3級アミンは、SP値が17乃至28であることが好ましく、19乃至25であることがより好ましい。3級アミンのSP値が前記範囲内であることによって、樹脂微粒子の水系分散体の保存安定性が良好となる。
SP値(溶解性パラメータ(δ))は、2つ以上の化合物の親和性の目安となる指標の一つであり、分子の凝集エネルギーの平方根で表わされる。SP値は、Hansen溶解度パラメータ(HSPiP第3版,Ver.3.1.14)を使用し、化合物の構造式から算出する。なお、アミンのSP値は、酸で中和されていないアミンの状態で算出する。
本発明で用いられる酸としては、塩酸、硝酸、燐酸、硫酸等の無機酸;酢酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸等の有機酸が挙げられる。
乳化工程では、必要に応じ塩基性物質を添加してもよい。酸基を有する樹脂をそのまま水系媒体中で微粒化させるとpHが3〜4となり、例えば、酸基を有する樹脂がポリエステル樹脂等の加水分解性樹脂である場合には、樹脂の加水分解が促進してしまう。従って、特に加水分解性樹脂を用いる場合には、塩基性物質を添加することが好ましい。塩基性物質としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び、炭酸水素カリウム等の無機塩基類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、及びトリエチルアミン等の有機塩基類が挙げられる。この中でも、塩基性条件下での加水分解抑制の観点から、弱塩基である、ジメチルアミンやトリエチルアミン等のアミンを用いることが好ましい。塩基性物質を用いる場合、水系媒体中のpHが6〜11となるように、添加量を調整することが好ましい。
本発明の第一の態様における、混合工程及び乳化工程の詳細な手順の一例について説明する。酸基を有する樹脂、界面活性剤、酸及び3級アミンを、塩基性物質が存在している水系媒体中に投入し、次いで混合する。次に、該酸基を有する樹脂のガラス転移点(Tg)より高い温度に加熱し、せん断力を加えながら混合物を撹拌し、乳化物を得る。さらに、得られた乳化物を該樹脂のガラス転移点以下の温度までせん断力を加えて撹拌しながら冷却し、樹脂微粒子の水系分散体を得る。
上記乳化工程において、酸基を有する樹脂の溶融粘度が10Pa・sより大きくなる場合、目的とする粒径の乳化物が得にくくなる場合がある。従って、第一の態様の乳化工程においては、樹脂溶融粘度を10Pa・s以下にするために、酸基を有する樹脂の軟化点以上に加温しながら混合物の撹拌を行う。なお、樹脂溶融粘度とは、水中における樹脂の溶融粘度を意味する。乳化工程における温度は、高い温度が好ましいが、樹脂溶融粘度が10Pa・s以下となる温度で十分である。逆に、乳化工程における温度が高すぎると、樹脂の加水分解が促進される場合があるため、乳化時の温度は150℃以下であることが好ましい。
乳化工程において加熱温度が100℃以上になる場合は、密閉加圧できる容器内で乳化工程を行ってもよい。
本発明の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法では、乳化工程の後、得られた乳化物を、せん断力を加えながら、酸基を有する樹脂のTg以下の温度まで冷却する冷却工程を有することが好ましい。冷却工程での冷却速度は、0.5℃/分以上10.0℃/分以下であることが好ましく、1.0℃/分以上10.0℃/分以下であることがより好ましく、1.0℃/分以上5.0℃/分以下であることが特に好ましい。冷却速度が上記の範囲内であれば、粗大粒子の発生や、樹脂微粒子の粒度分布のブロード化を抑制することができる。なお、樹脂微粒子の水系分散体をTg以下の温度から室温まで冷却する際には、冷却速度は特に制限されない。
樹脂微粒子の水系分散体に含まれる樹脂微粒子は、体積分布基準50%粒径が0.02μm以上1.00μm以下であることが好ましく、0.02μm以上0.40μm以下であることがより好ましい。樹脂微粒子の体積分布基準50%粒径が上記の範囲内であれば、樹脂微粒子の安定性が良好であり、沈降分離が起こりにくい。また、凝集法によるトナーの製造に用いる場合には、トナー1粒子間におけるトナー組成の均一性を保つことが容易となる。
上記樹脂微粒子の体積分布基準50%粒径を上記範囲に調整するためには、界面活性剤の量、塩基性物質の量、3級アミンの量、酸の量、乳化工程時の加熱温度、及び、乳化工程や冷却工程での剪断力の強さを適宜調整するとよい。
次に、樹脂微粒子の水系分散体の製造方法のうち、第二の態様について説明する。
第二の態様においては、酸基を有する樹脂、酸基を有する樹脂が可溶な溶剤を混合して混合物を得る混合工程の後に、せん断力を加えて混合物を撹拌し、樹脂乳化物を得る乳化工程を行う。その際、乳化工程は、水、酸、アニオン性界面活性剤、及び3級アミンの存在下で行われる。
第二の態様における、酸基を有する樹脂、アニオン性界面活性剤、塩基性物質、酸、3級アミンについては、第一の態様で述べたものと同様のものを使用することができる。
第二の態様で用いられる、樹脂が可溶な溶剤とは、室温から乳化温度の範囲で、溶剤100質量部に対して、酸基を有する樹脂10質量部を溶解させることが可能な溶剤を意味する。溶剤は水溶性でも非水溶性でも良いが、溶剤の除去の観点から、比較的沸点が低い水溶性溶剤が好ましい。具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが挙げられ、これらの溶剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
第二の態様における乳化工程では、第一の態様と同様の、乳化装置、塩基性物質、水溶性無機塩を使用することができる。
第二の態様における、混合工程及び乳化工程の詳細な手順の一例について説明する。酸基を有する樹脂、アニオン性界面活性剤、塩基性物質、及び樹脂が可溶な溶剤を投入し、樹脂が溶剤に均一に溶解するまで撹拌を行う。次いで、せん断力を加えながら、酸、水及び3級アミンの混合物を滴下し、樹脂を転相乳化させる。転相乳化を行う際の温度は、取扱上の観点から溶剤の沸点以下であることが好ましく、室温条件下で行うことがより好ましい。その後、加熱又は減圧して溶剤を除去することで、樹脂微粒子の水系分散体を得る。
上記樹脂微粒子の体積分布基準50%粒径を所望の範囲に調整するためには、界面活性剤の量、塩基性物質の量、3級アミンの量、酸の量、樹脂が可溶な溶剤の量、乳化工程時の剪断力の強さを適宜調整するとよい。
なお、第二の態様において、アニオン性界面活性剤は、必ずしも混合工程から添加する必要は無く、例えば乳化工程において、水、酸、3級アミンと共に添加しても良い。
<トナーの製造方法>
本発明で得られた樹脂微粒子の水系分散体は、凝集法等のトナーの製造に用いることが可能である。凝集法によってトナーを製造する場合、上記樹脂微粒子の水系分散体と着色剤とを混合し、樹脂微粒子及び着色剤を水系媒体中で凝集させ凝集体を形成する凝集工程、前記凝集体を加熱し融合する融合工程を経て、トナーを得る。以下、トナーの製造方法について詳細に説明するが、本発明におけるトナーの製造方法は下記方法に限定されるものではない。
凝集工程では、上述の樹脂微粒子の水系分散体、着色剤微粒子の水系分散体、さらに必要に応じて、例えば離型剤のようなトナー成分を、混合して混合液を調製し、混合液中に含まれる粒子を凝集し、凝集体を形成する。凝集体を形成するための方法としては、例えば、凝集剤を上記混合液中に添加・混合し、温度を調整したり、機械的動力を適宜加えたりする方法が挙げられる。
着色剤は、顔料であっても染料であってもよいが、耐光性等の観点から顔料が好ましく使用される。なお、この場合の顔料とは、水に対して不溶な、有機または無機の有色の化合物のことである。
無機系顔料としては、以下のものが挙げられる。コバルトブルー、セルシアンブルー、コバルトバイオレット、コバルトグリーン、ジンクホワイト、チタニウムホワイト、ライトレッド、クロムオキサイドグリーン、マルスブラック等の酸化物顔料;ビリジャン、イェローオーカー、アルミナホワイト等の水酸化物顔料;ウルトラマリーン、タルク、ホワイトカーボン等のケイ酸塩顔料;金粉、銀粉、ブロンズ粉等の金属粉;カーボンブラック。有機系顔料としては、以下のものが挙げられる。βナフトール系アゾ化合物、ナフトールAS系アゾ化合物、モノアゾ型あるいはジスアゾ型アセト酢酸アリリド系アゾ化合物、ピラゾン系アゾ化合物、縮合系アゾ顔料、フタロシアニン系化合物、サブフタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、キナクリドン系化合物、イソインドリン系化合物、イソインドリノン系化合物、スレン系化合物、ペリレン系化合物、ぺリノン系化合物、チオインジゴ系化合物、ジオキサジン化合物、キノフタロン系化合物、ジケトピロロピロール系化合物。以下に、黒、シアン、マゼンタ、イエローにおいて、市販されている色材を例示する。
黒色の色材としては、Raven1060、Raven1080、Raven1170、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven3500、Raven5250、Raven5750、Raven7000、Raven5000 ULTRAII、Raven1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製);Black Pearls L、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製);Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Printex35、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上デグッサ社製);No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)が挙げられる。
シアン色の色材としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:2、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等が挙げられる。
マゼンタ色の色材としては、C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202、C.I.Pigment Red−207等が挙げられる。
イエローの色材としては、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.PigmentYellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等が挙げられる。
離型剤としては、以下のものが挙げられる。ポリエチレン等の低分子量ポリオレフィン類;融点(軟化点)を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリン酸ステアリル等のエステルワックス類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックス等の鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物などが挙げられる。
トナーには必要に応じて帯電制御剤を添加してもよい。帯電制御剤としてはクロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体や高分子系帯電制御剤などが使用できる。
凝集剤としては、例えば、ナトリウム、カリウム等の一価の金属の金属塩;カルシウム、マグネシウム等の二価の金属の金属塩;鉄、アルミニウム等の三価の金属の金属塩が挙げられる。凝集剤を添加、混合する際には、混合液中に含まれる樹脂粒子(酸基を有する樹脂)のガラス転移点(Tg)以下の温度であることが好ましい。この温度条件下で上記混合を行うと、凝集が安定した状態で進行する。上記混合は、公知の混合装置、ホモジナイザー、ミキサー等を用いて行うことができる。
ここで形成される凝集体の平均粒径としては、特に制限はないが、通常、得ようとするトナー粒子の平均粒径と同じ程度になるように制御するとよい。凝集体の平均粒径の制御は、例えば、上記凝集剤等の添加・混合時の温度と上記攪拌混合の条件を適宜設定・変更することにより容易に行うことができる。
融合工程とは、上記凝集体を、第一の樹脂のガラス転移点(Tg)以上に加熱し融合することで、凝集体表面を平滑化させたトナー粒子(コア粒子)を得る工程である。本工程により、上記凝集体の表面積が減少し、良好な形状のトナー粒子を得ることが可能になる。また、後述の付着工程にてシェル粒子を付着させる場合、シェル粒子が効率的にコア粒子に付着する。一次融合工程に入る前に、トナー粒子間の融着を防ぐため、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤等を適宜投入することができる。
キレート剤の例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸及びそのNa塩等のアルカリ金属塩、グルコン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ニトロトリアセテート塩、COOH及びOHの両方の官能性を含む多くの水溶性ポリマー類(高分子電解質)が挙げられる。
融合工程における加熱温度としては、凝集体に含まれる酸基を有する樹脂のガラス転移点(Tg)から、樹脂が熱分解する温度の間であればよい。加熱・融合の時間としては、加熱の温度が高ければ短い時間で足り、加熱の温度が低ければ長い時間が必要である。即ち、加熱・融合の時間は、加熱の温度に依存するので一概に規定することはできないが、一般的には10分〜10時間である。なお、融合工程の後、必要に応じて下記のトナー冷却工程を行ってもよい。
トナー冷却工程とは、上記トナー粒子を含む水系媒体の温度を、酸基を有する樹脂のガラス転移点(Tg)より低い温度まで冷却する工程である。Tgより低い温度まで水系媒体の冷却を行わないと、後述の付着工程を行う場合、凝集剤を添加した際に粗大粒子が発生してしまう。具体的な冷却速度は0.1〜50℃/分である。なお、コア粒子としては、上述した凝集工程及び融合工程を経て得られたものが好ましいが、他の製造方法によって得たコア粒子を用いても良い。
次に、コア粒子にシェル粒子を付着させる付着工程について詳細に説明する。付着工程とは、コア粒子に含まれる酸基を有する樹脂(第一の樹脂)のガラス転移点(Tg)より低い温度で、第二の樹脂を有する第二の樹脂微粒子の水系分散体、コア粒子及び凝集剤を混合し、水系分散体中の第二の樹脂微粒子をコア粒子の表面に付着させる工程である。付着工程はトナー冷却工程に次いで実施されることが好ましい。
凝集剤としては、ナトリウム、カリウム等の一価の金属の金属塩;カルシウム、マグネシウム等の二価の金属の金属塩;鉄、アルミニウム等の三価の金属の金属塩が挙げられる。凝集剤は、第二の樹脂微粒子の水系分散体と同時に混合しても良いし、またその前後に混合しても良い。なお、付着工程の後、必要に応じて下記の二次融合工程および洗浄、二次冷却工程を行ってもよい。
二次融合工程とは、付着工程により得られたシェル付着体を、酸基を有する樹脂(第一の樹脂)のガラス転移点(Tg)以上に加熱し融合することで、粒子表面を平滑化する工程である。二次融合工程により、コア樹脂とシェル樹脂が十分に固着され、後述の洗浄やろ過等の操作で、シェルがコア粒子から脱離することを抑制する。二次融合工程に入る前に、トナー粒子間の融着を防ぐため、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤等を適宜投入することができる。
二次融合工程における加熱温度としては、凝集体に含まれる酸基を有する樹脂のガラス転移点(Tg)から樹脂が熱分解する温度の間であればよい。加熱・融合の時間としては、加熱の温度が高ければ短い時間で足り、加熱の温度が低ければ長い時間が必要である。即ち、加熱・融合の時間は、加熱の温度に依存するので一概に規定することはできないが、一般的には10分〜10時間である。
二次融合工程の後に、得られた粒子を適切な条件で室温まで冷却し、洗浄、ろ過、乾燥等することにより、トナー粒子を得る。更に、得られたトナー粒子の表面に、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム等の無機粒体や、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂粒子を添加してもよい。これらの無機粒体や樹脂粒子は、流動性助剤やクリーニング助剤等の外添剤として機能する。
トナーの重量平均粒径(D4)は4.5〜7.0μmであることが好ましく、5.0〜6.5μmであることがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されない。
<樹脂のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)等の測定>
樹脂微粒子のTHF可溶分のGPCにより測定される分子量分布及び重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)等は以下のように求められる。
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、東ソー社製或いは、昭和電工社製の分子量が10〜10程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnの組み合わせが挙げられる。
試料は以下のようにして作製する。
樹脂(試料)をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、数時間放置した後、十分振とうし、試料の合一体がなくなるまでTHFと良く混ぜ、更に12時間以上静置する。このとき、THF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えば、マイショリディスクH−25−5:東ソー社製、エキクロディスク25CR:ゲルマン・サイエンス・ジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
<樹脂の酸価の測定>
樹脂の酸価は以下のように求められる。尚、基本操作は、JIS−K0070に準ずる。酸価は試料1g中に含有されている酸基を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を示す。
(1)試薬
(a)溶剤:エチルエーテル−エチルアルコール混液(1+1または2+1)またはベンゼン−エチルアルコール混液(1+1または2+1)を使用直前にフェノールフタレインを指示薬としてN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
(b)フェノールフタレイン溶液:フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/10水酸化カリウム−エチルアルコール溶液:水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
(2)操作
樹脂(試料)1〜20gを正しくはかりとり、これに溶剤100ml及び指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これを0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
(3)計算式
次の式によって酸価を算出する。
A=B×f×5.611/S
A:酸価
B:0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
<樹脂微粒子および着色剤微粒子の粒度分布解析>
上記粒度分布の解析には、動的光散乱式粒度分布測定装置(ナノトラックUPA150:日機装社製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い測定する。具体的な測定方法としては、イオン交換水に界面活性剤水溶液を滴下後、樹脂微粒子または着色剤微粒子分散液を機器の最適濃度に調整し、超音波分散機で30秒間分散処理を行う。得られた分散処理液を測定し、体積分布基準の50%粒径及び変動係数を求める。
<トナーの粒度分布解析>
トナーの粒度分布はコールター法による粒度分布解析にて測定する。測定装置として、マルチサイザーIV(コールター社製)を用い、該装置の操作マニュアルに従い測定する。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%塩化ナトリウム水溶液を調製する。該電解液として、例えば、ISOTON−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。具体的な測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を、0.1〜5ml加え、さらに測定試料(トナー)を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行う。得られた分散処理液を、アパーチャーとして100μmアパーチャーを装着した前記測定装置により、2.00μm以上のトナーの体積、個数を測定してトナーの体積分布と個数分布とを算出する。その算出結果から、トナーの重量平均粒径(D4)を求める。
<樹脂のガラス転移点(Tg)の測定>
樹脂のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)測定装置(DSC822:メトラー・トレド社製)を用いて測定する。DSC測定では、測定原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定を行う。測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。具体的には、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、10℃/分で昇温させた時に測定されるDSC曲線からTg計算する。吸熱前後のベースラインと吸熱による曲線の接線との交点の中心値をTg(℃)とする。
<樹脂の軟化温度(Tm)の測定>
樹脂の軟化温度(Tm)は、フローテスター(CFT−500D:島津製作所社製)を用いて測定される。測定する試料(樹脂)1.5gを秤量し、高さが1.0mmで直径1.0mmのダイを使用し、昇温速度4.0℃/分、予熱時間300秒、荷重5kg、測定温度範囲60.0〜200.0℃の条件で測定を行う。溶融開始温度と溶融終了温度の中間値を軟化温度(Tm)とする。
<樹脂微粒子の水系分散体の製造>
〔樹脂製造例1〕
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン50質量部、テレフタル酸28質量部、イソフタル酸20質量部、ジブチル錫オキシド0.03質量部を3つ口フラスコに仕込み、窒素気流下、230℃で24時間撹拌を行った後、トリメリット酸2質量部を添加し、200℃で1時間撹拌を行った。その後、温度を保持しつつ3mmHgの減圧条件下で4時間撹拌することで、Mwが20,500、Mnが7,200、Tgが71℃、酸価が9mgKOH/gのポリエステル樹脂1を得た。
〔樹脂製造例2〕
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン50質量部、テレフタル酸28質量部、イソフタル酸20質量部、ジブチル錫オキシド0.03質量部を3つ口フラスコに仕込み、窒素気流下、230℃で24時間撹拌を行った後、トリメリット酸1質量部を添加し、200℃で1時間撹拌を行った。その後、1mmHgで減圧を行いながら4時間撹拌することで、Mwが21,500、Mnが7,400、Tgが73℃、酸価が2mgKOH/gのポリエステル樹脂2を得た。
〔樹脂製造例3〕
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン50質量部、テレフタル酸28質量部、フマル酸20質量部、ジブチル錫オキシド0.03質量部を3つ口フラスコに仕込み、窒素気流下、230℃で24時間撹拌を行った後、トリメリット酸3質量部を添加し、200℃で30分間撹拌を行った。その後、温度を保持しつつ5mmHgの減圧下で2時間撹拌することで、Mwが22,500、Mnが7,200、Tgが65℃、酸価が13mgKOH/gのポリエステル樹脂3を得た。
〔実施例1〕
・ポリエステル樹脂1 430質量部
・水系媒体(イオン交換水) 490.6質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK) 86.0質量部
・樹脂中和用 塩基性物質(2−ジエチルアミノエタノール) 12.13質量部
アミノカチオンを生成するための材料
・3級アミン(2−(ジメチルアミノ)エタノール、SP値:23.2) 13.37質量部
・酸(1モル/L塩酸) 150質量部
を1,500mlの耐圧丸底ステンレス容器に入れ混合した。水相中のアミノカチオン濃度は、0.234mol/Lであった。
次に、高速剪断乳化装置クレアミックス(エム・テクニック社製:CLM−2.2S)を上記耐圧丸底ステンレス容器に密閉接続した。密閉された容器内の混合物を、140℃に加温しながら、クレアミックスのローター回転数を20,000r/分とし10分間剪断分散した。その後、50℃になるまで、20,000r/分の回転を維持しながら、1.0℃/分の冷却速度で冷却を行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.20μm、変動係数が28%である樹脂微粒子の水系分散体1を得た。上記乳化条件における臨界凝集濃度を別途測定したところ、臨界凝集濃度は、0.73mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体1を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.20μmであり、良好な分散状態が保たれていた。
〔比較例1〕
アミノカチオンを生成するための3級アミン及び酸を未添加とし、その質量分のイオン交換水を加えた以外は実施例1と同様にして、樹脂微粒子の水系分散体2を得た。得られた樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径は0.35μm、変動係数は110%であり、実施例1に比べ大きく、粒度分布がブロードなものであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体2を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.46μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔実施例2〕
水相中のアミノカチオン濃度を0.077mol/Lにするために、3級アミンとして、2−(ジメチルアミノ)エタノール4.46質量部、酸として、1モル/L塩酸50質量部を用い、総質量の差分のイオン交換水を加えた以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.30μm、変動係数が75%である樹脂微粒子の水系分散体3を得た。
尚、樹脂微粒子の水系分散体3を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.32μmであり、良好な分散状態が保たれていた。
〔実施例3〕
水相中のアミノカチオン濃度を0.155mol/Lに相当するために、3級アミンとして、2−(ジメチルアミノ)エタノール8.91質量部、酸として、1モル/L塩酸100質量部を用い、総質量の差分のイオン交換水を加えた以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.22μm、変動係数が34%である樹脂微粒子の水系分散体4を得た。
尚、樹脂微粒子の水系分散体4を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.24μmであり、良好な分散状態が保たれていた。
〔実施例4〕
水相中のアミノカチオン濃度を0.314mol/Lにするために、3級アミンとして、2−(ジメチルアミノ)エタノール17.83質量部、酸として、1モル/L塩酸200質量部を用い、総質量の差分のイオン交換水を減らした以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.23μm、変動係数が32%である樹脂微粒子の水系分散体5を得た。
尚、樹脂微粒子の水系分散体5を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.25μmであり、良好な分散状態が保たれていた。
〔実施例5〕
水相中のアミノカチオン濃度を0.647mol/Lにするために、3級アミンとして、2−(ジメチルアミノ)エタノール35.66質量部、酸として、1モル/L塩酸400質量部を用い、総質量の差分のイオン交換水を減らした以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.33μm、変動係数が102%である樹脂微粒子の水系分散体6を得た。
尚、樹脂微粒子の水系分散体6を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.41μmであり、乳化直後よりも粒径がやや大きくなった。
〔比較例2〕
水相中のアミノカチオン濃度を0.785mol/Lにするために、3級アミンとして、2−(ジメチルアミノ)エタノール42.79質量部、酸として、1モル/L塩酸480質量部を用い、総質量の差分のイオン交換水を減らした以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.47μm、変動係数が122%である樹脂微粒子の水系分散体7を得た。これは、乳化中に凝集が起こり、比較例1よりも粒径が大きく、粒度分布が広がったものと考えられる。
尚、樹脂微粒子の水系分散体7を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.55μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔比較例3〕
アミノカチオンを生成するための酸を未添加とし、その質量分のイオン交換水を加えたした以外は実施例1と同様にして、樹脂微粒子の水系分散体8を得た。得られた樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径は0.40μm、変動係数は136%であり、実施例1及び比較例1に比べ大きく、粒度分布がブロードなものであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体8を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.56μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔実施例6〕
3級アミンとして2−ジエチルアミノエタノール(SP値=20.6)17.58質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.21μm、変動係数が32%である樹脂微粒子の水系分散体9を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.236mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体9を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.23μmであり、良好な分散状態が保たれていた。
〔実施例7〕
3級アミンとして2−(ジブチルアミノ)エタノール(SP値=19.3)、26.00質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.23μm、変動係数が31%、である樹脂微粒子の水系分散体10を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.239mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体10を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.24μmであり、良好な分散状態が保たれていた。
〔実施例8〕
3級アミンとしてN−エチルジエタノールアミン(SP値=24.6)、19.98質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.22μm、変動係数が33%である樹脂微粒子の水系分散体11を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.237mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体11を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.22μmであり、良好な分散状態が保たれていた。
〔実施例9〕
3級アミンとしてトリエタノールアミン(SP値=28.2)、22.38質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.22μm、変動係数が35%である樹脂微粒子の水系分散体12を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.237mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体12を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が1.21μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔実施例10〕
3級アミンとしてトリエチルアミン(SP値=15.5)、15.18質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.24μm、変動係数が42%である樹脂微粒子の水系分散体13を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.235mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体13を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が1.17μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔実施例11〕
3級アミンとしてトリプロピルアミン(SP値=16.4)、21.49質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.21μm、変動係数が38%、である樹脂微粒子の水系分散体14を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.237mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体14を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が1.16μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔実施例12〕
3級アミンとしてトリアミルアミン(SP値=15.9)、34.11質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.25μm、変動係数が40%である樹脂微粒子の水系分散体15を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.242mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体15を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が1.13μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔実施例13〕
3級アミンとしてトリヘキシルアミン(SP値=16.1)、40.43質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.26μm、変動係数が70%である樹脂微粒子の水系分散体16を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.244mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体16を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が1.29μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔実施例14〕
3級アミンとしてトリ−n−オクチルアミン(SP値=16.3)、53.05質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.28μm、変動係数が88%である樹脂微粒子の水系分散体17を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.250mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体17を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が1.27μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔比較例4〕
3級アミンとしてトリドデシルアミン、78.30質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例1と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.39μm、変動係数が115%であり、実施例1に比べ大きく、粒度分布がブロードなものである樹脂微粒子の水系分散体18を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.261mol/Lであった。
〔実施例15〕
・ポリエステル樹脂2 430質量部
・水系媒体(イオン交換水) 554.5質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK) 86.0質量部
・樹脂中和用 塩基性物質(2−ジエチルアミノエタノール) 2.69質量部
アミノカチオンを生成するための材料
・3級アミン(2−(ジメチルアミノ)エタノール、SP値=23.2)8.91質量部
・酸(1モル/L塩酸) 100質量部
を1,500mlの耐圧丸底ステンレス容器に入れ混合した。水相中のアミノカチオン濃度は、0.153mol/Lであった。
次に、高速剪断乳化装置クレアミックス(エム・テクニック社製:CLM−2.2S)を上記耐圧丸底ステンレス容器に密閉接続した。密閉された容器内の混合物を、140℃に加温しながら、クレアミックスのローター回転数を20,000r/分とし10分間剪断分散した。その後、50℃になるまで、20,000r/分の回転を維持しながら、1.0℃/分の冷却速度で冷却を行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.24μm、変動係数が48%である樹脂微粒子の水系分散体19を得た。上記乳化条件における臨界凝集濃度を別途測定したところ、臨界凝集濃度は、0.42mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体19を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.23μmであり、良好な分散状態が保たれていた。
〔比較例5〕
3級アミン及び酸を未添加とし、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例15と同様に乳化を行い、樹脂微粒子の水系分散体20を得た。得られた樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径は1.32μm、変動係数は125%であった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体20を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が1.42μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔実施例16〕
3級アミン(2−(ジメチルアミノ)エタノール)17.83質量部、及び酸(1モル/L塩酸)200質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例15と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.36μm、変動係数が72%である樹脂微粒子の水系分散体21を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.310mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体21を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.37μmであり、良好な分散状態が保たれていた。
〔比較例6〕
3級アミン(2−(ジメチルアミノ)エタノール)26.74質量部、及び酸(1モル/L塩酸)300質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例15と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が1.45μm、変動係数が144%である樹脂微粒子の水系分散体22を得た。これは、乳化中に凝集が起こり、比較例5よりも粒径が大きく、粒度分布が広がったものと考えられる。水相中のアミノカチオン濃度は、0.471mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体22を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が1.88μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔実施例17〕
・ポリエステル樹脂3 430質量部
・水系媒体(イオン交換水) 430.8質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK) 86.0質量部
・樹脂中和用 塩基性物質(10% アンモニア水) 20.0質量部
アミノカチオンを生成するための材料
・3級アミン(2−(ジメチルアミノ)エタノールSP値=23.2)17.83質量部
・酸(1モル/L塩酸) 200質量部
を1,500mlの耐圧丸底ステンレス容器に入れ混合した。水相中のアミノカチオン濃度は、0.318mol/Lであった。
次に、高速剪断乳化装置クレアミックス(エム・テクニック社製:CLM−2.2S)を上記耐圧丸底ステンレス容器に密閉接続した。密閉された容器内の混合物を、140℃に加温しながら、クレアミックスのローター回転数を20,000r/分とし10分間剪断分散した。その後、50℃になるまで、20,000r/分の回転を維持しながら、1.0℃/分の冷却速度で冷却を行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.04μm、変動係数が32%である樹脂微粒子の水系分散体23を得た。上記乳化条件における臨界凝集濃度を別途測定したところ、臨界凝集濃度は、0.87mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体23を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.04μmであり、良好な分散状態が保たれていた。
〔比較例7〕
3級アミン及び酸を未添加とし、総質量をイオン交換水量で調整した以外は実施例17と同様に乳化を行い、樹脂微粒子の水系分散体24を得た。得られた樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径は0.06μm、変動係数は66%であり、実施例17より大きくまた粒度分布がブロードなものであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体24を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.08μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔実施例18〕
3級アミン(2−(ジメチルアミノ)エタノール)44.57質量部、及び酸(1モル/L塩酸)500質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例17と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.05μm、変動係数が45%である樹脂微粒子の水系分散体25を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.831mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体25を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.05μmであり、良好な分散状態が保たれていた。
〔比較例8〕
3級アミン(2−(ジメチルアミノ)エタノール)49.03質量部、及び酸(1モル/L塩酸)550質量部を用い、総質量をイオン交換水量で調整した以外は、実施例17と同様の条件で行い、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.33μm、変動係数が102%である樹脂微粒子の水系分散体26を得た。これは、乳化中に凝集が起こり、比較例7よりも粒径が大きく、粒度分布が広がったものと考えられる。水相中のアミノカチオン濃度は、0.921mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体26を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.41μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔実施例19〕
ポリエステル樹脂1を100質量部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK)を2.0質量部、樹脂中和用塩基性物質(水酸化ナトリウム)を1.20質量部、500mlのビーカーに投入し、カイ型の攪拌機で200r/分の攪拌下、95℃で120分間混合した。
その後、温度を保ちつつ、カイ型の攪拌機で200r/分の攪拌下、3級アミン(2−(ジメチルアミノ)エタノール)3.12質量部、及び酸(1モル/L塩酸)35質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた95℃に加熱した水溶液を、2時間かけて滴下し、体積分布基準の50%粒径が0.27μm、変動係数が50%である樹脂微粒子の水系分散体27を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.149mol/Lであった。また、上記乳化条件における臨界凝集濃度を別途測定したところ、臨界凝集濃度は、0.71mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体27を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.27μmであり、良好な分散状態が保たれていた。
〔比較例9〕
3級アミン及び酸を未添加とした以外は実施例19と同様に乳化を行い、樹脂微粒子の水系分散体28を得た。得られた樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径は0.48μm、変動係数が152%であり、実施例19より大きく、また粒度分布がブロードなものであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体28を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.59μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
〔実施例20〕
ポリエステル樹脂1を60質量部、アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK)を7.2質量部、樹脂中和用塩基性物質(10%アンモニア水)1.12質量部、メチルエチルケトン150質量部、イソプロピルアルコール50質量部、を混合し、溶解し、超高速攪拌装置T.K.ロボミックス(プライミクス社製)を用いて4,000r/分で攪拌した。
さらに、3級アミン(2−(ジメチルアミノ)エタノール)2.46質量部、及び酸(1モル/L塩酸)21質量部(アミノカチオンとして、ポリエステル樹脂100質量部に対し0.035molに相当する添加量)をイオン交換水177.8質量部に溶解させた水溶液を滴下し、その後、エバポレーターを用いてテトラヒドロフランを除去した。そして、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.21μm、変動係数が26%である樹脂微粒子の水系分散体29を得た。水相中のアミノカチオン濃度は、0.106mol/Lであった。また、上記乳化条件における臨界凝集濃度を別途測定したところ、臨界凝集濃度は、0.72mol/Lであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体29を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.21μmであり、良好な分散状態が保たれていた。
〔比較例10〕
3級アミン及び酸を未添加とした以外は実施例20と同様に乳化を行い、樹脂微粒子の水系分散体30を得た。得られた樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径は0.31μm、変動係数が111%であり、実施例20より大きくまた粒度分布がブロードなものであった。
尚、樹脂微粒子の水系分散体30を1か月静置した後、樹脂微粒子の粒径を再度測定したところ、樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径が0.34μmであり、乳化直後よりも粒径が大きくなった。
実施例1〜20、比較例1〜10において用いられた材料、得られた樹脂微粒子の物性等を表1、2に示す。なお、表1、2において、「アミノカチオン量」とは、ポリエステル樹脂100質量部に対するアミノカチオンの量(mol)を表す。実施例1〜20、比較例1〜10の結果から、アミノカチオンを添加することで、水系分散体の樹脂微粒子を小粒径にし、かつ樹脂微粒子の粒径を均一に近い状態で制御できることが示された。
<凝集トナーの製造>
〔実施例21〕
(離型剤水系分散液の調製)
・エステルワックス(ベヘン酸ベヘニル、融点75℃) 100質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK) 10質量部
・イオン交換水 890質量部
上記材料をジャケット付混合容器に投入した後、90℃に加熱し、定量ポンプにて循環させながら、クレアミックスW−モーション(エム・テクニック社製)を用いて、ローター回転数19,000r/分、スクリーン回転数19,000r/分の条件にて撹拌し、60分間分散処理した。60分間の分散処理の後、引き続きローター回転数1,000r/分、スクリーン回転数0r/分、冷却速度10℃/分の条件にて40℃まで冷却することで、離型剤水系分散液を得た。このサンプルを動的光散乱式粒度分布測定装置(ナノトラックUPA150:日機装社製)を用い測定したところ、体積分布基準の50%粒径は0.15μmであり、また、0.8μm以上の粗大粒子は0.01体積%以下であった。
(着色剤水系分散液の調製)
・シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3) 100質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK) 10質量部
・イオン交換水 890質量部
上記材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて、回転数24,000r/分で30分間分散を行った。その後、さらに高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業社製)を用いて、圧力条件200MPaにて分散を行い、シアン顔料を分散させてなる着色剤水系分散液を調製した。着色剤水系分散液における着色剤(シアン顔料)の体積分布基準の50%粒径は0.12μm、着色剤濃度は10質量%であった。
(凝集工程)
・樹脂微粒子の水系分散体23 50質量部
・着色剤水系分散液 10質量部
・離型剤水系分散液 20質量部
・1質量%硫酸マグネシウム水溶液 20質量部
・イオン交換水 100質量部
上記の各成分を丸型ステンレス製フラスコに投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて5,000r/分で10分間混合、分散した。その後、加熱用ウォーターバス中で撹拌翼を用いて、混合液が撹拌されるような回転数に適宜調節しながらで48℃まで加熱した。48℃で1時間保持した後、形成された凝集粒子の体積平均粒径を、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製:FPIA−3000)を用い、該装置の操作マニュアルに従い測定した。その結果、体積平均粒径が約5.1μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
<融合工程>
その後、ここに38質量部のイオン交換水に対し、クエン酸三ナトリウム2質量部を溶解させた水溶液を追加した後、撹拌を継続しながら75℃まで加熱し、2時間保持した。得られた粒子の体積平均粒径及び平均円形度をフロー式粒子像分析装置(シスメックス社製:FPIA−3000)を用い、該装置の操作マニュアルに従い測定した。その結果、体積平均粒径が約5.4μm、平均円形度が0.963である十分に融合、合一した粒子が形成されていることが確認された。
<ろ過、洗浄、乾燥工程>
その後、得られた液を冷却し、ろ過を行った。ろ物をイオン交換水で十分に洗浄し、真空乾燥機を用いて乾燥することにより、トナー粒子1を得た。
(トナーの作製)
該トナー粒子100質量部に、BET法で測定した比表面積が200m/gである疎水化処理されたシリカ微粉体1.8質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で乾式混合してトナーとした。そして、下記の方法で定着性の評価を行った。
市販のフルカラーデジタル複写機(CLC1100、キヤノン社製)を使用し、普通紙(64g/m)上に未定着のトナー画像(0.6mg/cm)を形成した。次に、市販のカラーレーザープリンター(LBP−5500、キヤノン社製)から取り外した定着ユニットを定着温度が調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。その際、定着試験は常温常湿下で行い、プロセススピードは100mm/秒に設定した。また、定着温度を10℃ずつ温度を上げ、それぞれの定着温度において未定着画像の定着を行った。前記未定着画像を定着させたときの定着画像のオフセットの有無を目視にて確認したところ、オフセットが発生しなかった定着温度の範囲は105〜145℃であった。
〔比較例11〕
樹脂微粒子の水系分散体23を水系分散体24とする以外は、実施例21と同様にして行い、トナー粒子2を得た。ろ過工程におけるろ液が、離型剤分散液の脱離による白濁液となった。白濁液中の離型剤成分を分析したところ、トナー粒子製造に用いた離型剤の35%が流れ出ていた。実施例21と同様の手順で該トナー粒子の定着試験を行ったところ、定着温度の範囲は105〜120℃であった。
〔実施例22〕
融合工程までの工程を実施例21と同様の条件で行い、さらに次に説明する付着工程を行った。
(付着工程)
実施例21の融合工程と同様にして粒子の融合を行った後、攪拌を継続しながら、ウォーターバス内に水を入れ、コア粒子を25℃まで冷却した。次いで、樹脂微粒子の水系分散体1を7.7質量部添加した。尚、樹脂微粒子の水系分散体1の添加量は、コア粒子を球状粒子と仮定し、5.5μmのコア粒子を0.20μmのシェル粒子1層で覆うのに必要なシェルとなる量とした。
その後、10分間攪拌を行い、さらに2質量%塩化カルシウム水溶液60質量部を滴下し、35℃に昇温した。この状態で、随時、液を少量抽出し、2μmのマイクロフィルターに通し、ろ液が透明になるまで、35℃で攪拌を継続した。ろ液が透明になったのを確認後、40℃に昇温して1時間攪拌した後、5質量%クエン酸三ナトリウム水溶液35質量部を添加し、65℃に昇温して1.5時間攪拌を行った。
(ろ過、洗浄、乾燥工程)
その後、得られた液を冷却し、ろ過を行った。ろ物をイオン交換水で十分に洗浄し、真空乾燥機を用いて乾燥することにより、トナー粒子3を得た。トナー粒子3の重量平均粒径(D4)は5.9μmであった。
次いで、反射型電子顕微鏡でトナー粒子を観測したところ、コア粒子がシェル粒子によって十分被覆されていた。得られたトナー粒子を温度が40℃、相対湿度が80%の環境下で1週間保存したところ、目視上、トナーの凝集が起こっておらず、トナーが良好な保存安定性を有していることが示された。
〔比較例12〕
樹脂微粒子の水系分散体1を水系分散体2とする以外は、実施例22と同様にして付着工程を行い、トナー粒子4を得た。乾燥後のトナー粒子を反射型電子顕微鏡で観測したところ、シェル粒子のコア粒子への被覆は不十分であった。得られたトナー粒子を温度が40℃、相対湿度が80%の環境下で1週間保存したところ、3日目からトナー粒子の融着が始まり、4日目以降は固まり状となり、この環境下ではトナー形状を維持することはできなかった。
本発明によって得られる樹脂微粒子の水系分散体は、電子写真用トナー、インク、塗料、接着剤、粘着剤、繊維加工、製紙、紙加工等の製造に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 酸基を有する樹脂及びアニオン性界面活性剤を混合して混合物を得る混合工程と、
    該酸基を有する樹脂のガラス転移点以上の温度で、水系媒体、酸、下記式1で表される3級アミン及び該混合物を撹拌し、樹脂乳化物を得る乳化工程とを有し、
    該乳化工程において、水相中における該3級アミンと該酸から生成するアミノカチオンの濃度が、臨界凝集濃度以下である樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
    NR 式1
    [式1において、R、R、Rは、それぞれ、炭素数1乃至8の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、ヒドロキシル基を有していてもよい。]
  2. 酸基を有する樹脂、及び該酸基を有する樹脂が可溶な溶剤を混合して混合物を得る混合工程と、
    水系媒体、酸、アニオン性界面活性剤、下記式1で表される3級アミン及び該混合物を撹拌し、樹脂乳化物を得る乳化工程とを有し、
    該乳化工程において、水相中における該3級アミンと該酸から生成するアミノカチオンの濃度が、臨界凝集濃度以下である樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
    NR 式1
    [式1において、R、R、Rは、それぞれ、炭素数1乃至8の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、ヒドロキシル基を有していてもよい。]
  3. 前記3級アミンのSP値が17乃至28である請求項1又は2に記載の樹脂微粒子の水系分散体の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂微粒子の水系分散体と着色剤とを混合し、樹脂微粒子及び着色剤を水系媒体中で凝集させて凝集体を形成する凝集工程と、前記凝集体を加熱し融合する融合工程とを有するトナーの製造方法。
  5. 樹脂、及び着色剤を含有するコア粒子に、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂微粒子の水系分散体中の樹脂微粒子を該コア粒子の表面に付着させる付着工程を有するトナーの製造方法。
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